JP3754380B2 - 薄膜堆積用分子線源セルと薄膜堆積方法 - Google Patents

薄膜堆積用分子線源セルと薄膜堆積方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜材料を加熱することにより、その成膜材料を昇華または溶融、蒸発して成膜材料の分子を発生し、この成膜材料の分子を固体表面に向けて放出し、その固体表面に分子を堆積させて膜を成長させるのに使用される薄膜堆積用分子線源セルとそれを使用した薄膜堆積方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子線エピタキシ装置と呼ばれる薄膜堆積装置は、高真空に減圧可能な真空チャンバ内に基板を設置し、所要の温度に加熱すると共に、この基板の薄膜成長面に向けてクヌードセンセル等の分子線源セルを設置したものである。この分子線源セルの坩堝に収納した成膜材料をヒータにより加熱して昇華または溶融、蒸発させ、これにより発生した蒸発分子を前記基板の薄膜成長面に入射し、その面に薄膜をエピタキシャル成長させて、成膜材料の膜を形成する。
【0003】
このような薄膜堆積装置に使用される分子線源セルは、熱的、化学的に安定性の高い、例えばPBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる坩堝の中に成膜材料を収納し、この成膜材料を坩堝の外側に設けた電気ヒータで加熱し、これにより成膜材料を昇華または溶融、蒸発させ、成膜分子を発生させるものである。
【0004】
近年、ディスプレイや光通信等の分野で、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の研究、開発が進められている。この有機EL素子は、EL発光能を有する有機低分子または有機高分子材料で発光層を形成した素子であり、自己発光型の素子としてその特性が注目されている。例えばその基本的な構造は、ホール注入電極上にトリフェニルジアミン(TPD)等のホール輸送材料の膜を形成し、この上にアルミキノリノール錯体(Alq3) 等の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMg、Li、Ca等の仕事関数の小さな金属電極を電子注入電極として形成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】
最近のディスプレイは、大画面化が時代の要請となっている。そのため、前記のような有機ELを使用したディスプレイでも、大面積の基板に有機EL膜を形成することが要請される。とりわけ、有機ELを使用したディスプレイでは、基板上に均質な有機EL膜を形成することが要請される。
【0006】
ところが、有機EL膜の形成に使用される従来の真空蒸着装置では、一つの坩堝から成膜材料を昇華または蒸発して基板の表面上に分子を発射し、成膜材料を堆積して膜を成長させる方式であるため、大面積の基板上に均質な薄膜を形成することが困難である。
【0007】
また、このような有機EL材料は、蒸発源となる材料として粉体状のものが使用され、この粉体状の蒸発源材料を昇華し、その分子を発生させる。ところがこのとき、成膜材料の分子が互いに凝集し、クラスター化して飛散する、いわゆるスピッティング現象を起こしやすい。そして、このクラスター化した分子が成膜しようとする固体の成膜面に向けて飛散し、付着してしまう。この成膜面に付着したクラスターは、膜の不均一性や不連続性を生じさせ、膜の欠陥を生じる原因となる。
【0008】
本発明は、このような従来の分子線源セルにおける課題に鑑み、その第一の目的は、有機エレクトロルミネッセンス材料を大面積の基板上に均質に堆積できるようにすることにある。さらに第二の目的は、スピッティング現象による膜の欠陥が生じないようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、前記坩堝5、5a、5b、5cから蒸発した成膜材料a、b、cの分子を成膜する固体表面に向けて放出する分子放出口4、4a、4b、4cを、単一設けるのではなく、複数の分子放出口4、4a、4b、4cを一列または複数列に並んで設け、成膜材料a、b、cを固体表面に点状にではなく、同時に帯状または面状に堆積させることが出きるようにした。
【0010】
また、坩堝5、5a、5b、5cと分子放出口4、4a、4b、4cとを直接対向させず、その間にバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cを設けることにより、坩堝5、5a、5b、5cで発生した成膜材料a、b、cの分子を、それらバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cを通してから分子放出口4、4a、4b、4cから固体表面に向けて発射するようにしたものである。
【0011】
すなわち、本発明による薄膜堆積用分子線源セルは、成膜材料a、b、cを収納する坩堝5、5a、5b、5cと、この坩堝5、5a、5b、5cの中の成膜材料a、b、cを加熱して昇華または蒸発させる加熱手段と、膜を成膜しようとする固体表面に向けて前記坩堝5、5a、5b、5cから蒸発した成膜材料a、b、cの分子を放出する分子放出口4、4a、4b、4cとを有し、この分子放出口4、4a、4b、4cが一列または複数列に並んで複数個形成されているものである。
【0012】
このような薄膜堆積用分子線源セルでは、複数の分子放出口4、4a、4b、4cから、成膜材料a、b、cを固体表面に帯状または面状に堆積させることが出来るため、成膜させる固体表面を前記分子放出口4、4a、4b、4cの列と直交する方向に移動させながら薄膜を堆積させることにより、広い面積に薄膜を効率的に堆積させることが出来るようになる。
【0013】
さらに、本発明による薄膜堆積用分子線源セルは、坩堝5、5a、5b、5cと分子放出口4、4a、4b、4cとは直接対向しておらず、小部屋である複数のバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cとそれに通じる分子通過孔6、7、6a、7a、6b、7b、6c、7cを介して通じているものである。坩堝5、5a、5b、5cは、分子通過孔6、6a、6b、6cを介してバッファ室9、9a、9b、9cに通じる分子発生室8、8a、8b、8cに配置されている。そして、これらバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cの分子通過孔6、7、6a、7a、6b、7b、6c、7cが順次異なる方向を向いている。
【0014】
このような薄膜堆積用分子線源セルでは、成膜材料a、b、cの昇華または蒸発中に、いわゆるスピッティング現象により、成膜材料a、b、cの分子が一部クラスター化しても、このクラスターがバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cでトラップされ、分子放出口4、4a、4b、4cから固体表面側に放出されない。このため、固体表面に成膜材料a、b、cのクラスター化した分子が付着することがなく、膜に欠陥が生じない。さらに、バッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cの分子通過孔6、7、6a、7a、6b、7b、6c、7cが順次異なる方向を向いていることにより、成膜材料a、b、cのクラスター化した分子をバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cで確実にトラップし、膜の欠陥を確実に防止することが出来る。
【0016】
また、坩堝5、5a、5b、5cを配置した分子発生室8、8a、8b、8cと、成膜材料a、b、cの分子を放出する分子放出口4、4a、4b、4cとの間には、バッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cがあるため、分子発生室8、8a、8b、8c側と分子放出口4、4a、4b、4c側とは、緩やかに熱遮断された状態となる。そこで、分子発生室8、8a、8b、8c側と分子放出口4、4a、4b、4c側とにそれぞれ加熱手段としての別のヒータ3、3a、3b、3c、3’、3a’、3b’、3c’を設けることにより、その双方の温度設定と制御を各々独立して行える。この点でも欠陥の無い膜を成膜出来る。
【0017】
さらに、分子放出口4b、4cは、成膜材料b、cの分子の放出方向を変えることが出来るよう開口部が回転可能とするのが好ましい。こうすることにより、複数の薄膜堆積用分子線源セルを用いて、複数の成膜材料a、b、cを固体表面に同時に堆積させるときに、分子放出口4b、4cの放出方向を適宜調整することにより、複数の成膜材料a、b、cを固体表面の同じ箇所に堆積させることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1と図2は、本発明による薄膜堆積用分子線源セルの一実施形態を示す横断平面図と縦断側面図である。
【0019】
図2から明らかな通り、図1と図2では、分子線源セル2a、2b、2cが3つ使用されている。中央の分子線源セル2aは、主成分となる成膜材料aを固体表面である基板1の成膜面に堆積させるものである。また、その両側の分子線源セル2b、2cは、副成分、いわゆるドーパントとなる成膜材料b、cを固体表面である基板1の成膜面に堆積させるものである。
【0020】
何れの分子線源セル2a、2b、2cも、成膜材料a、b、cを収納した坩堝5a、5b、5cが分子発生室8a、8b、8cに配置されている。この分子発生室8a、8b、8cの壁面には、坩堝5a、5b、5cに収納した成膜材料a、b、cを加熱し、それらを昇華または蒸発させて、成膜材料a、b、cの分子を発生させる加熱手段である第一のヒータ3a、3b、3cが設けられている。
【0021】
坩堝5a、5b、5cを配置した分子発生室8a、8b、8cに隣接して小部屋状の第一のバッファ室9a、9b、9cが設けられ、分子発生室8a、8b、8cと第一のバッファ室9a、9b、9cとは、それらを仕切る隔壁に設けた複数の分子通過孔6a、6b、6cを介して通じている。
【0022】
さらに、前記第一のバッファ室9a、9b、9cの中には、もう一つの小部屋状の第二のバッファ室10a、10b、10cが設けられており、第一のバッファ室9a、9b、9cと第二のバッファ室10a、10b、10cとは、それらを仕切る隔壁の両側面にそれぞれ縦に並べて設けられた複数の分子通過孔7a、7b、7cを介して通じている。
【0023】
さらに、第二のバッファ室10a、10b、10cの前面には、縦に並んだ複数の分子放出口4a、4b、4cが横に向けて設けられている。この分子放出口4a、4b、4cは、前記分子発生室8a、8b、8cの中で坩堝5a、5b、5cから発生し、第一のバッファ室9a、9b、9cと第二のバッファ室10a、10b、10cを通って来た成膜材料a、b、cの分子を基板1の成膜面に向けて発射する開口部である。従って、成膜材料a、b、cの分子を堆積させる基板1の成膜面は、前記の分子放出口4a、4b、4cに向けて設置される。
【0024】
前記の分子放出口4a、4b、4cの周囲には、それを囲むようにして第二のヒータ3a’、3b’、3c’が設けられている。この第二のヒータ3a’、3b’、3c’は、分子放出口4a、4b、4cから放出される成膜材料a、b、cの分子が再凝固しないように温度を保持するものである。
【0025】
以上のような構成は、中央の分子線源セル2aも、またその両側の分子線源セル2b、2cも基本的には同様である。但し、主成分となる成膜材料aを固体表面である基板1の成膜面に堆積させる中央の分子線源セル2aでは、分子放射口4aの向きが固定されている。これに対し、副成分、いわゆるドーパントとなる成膜材料b、cを固体表面である基板1の成膜面に堆積させる両側の分子線源セル2b、2cでは、その分子放射口4b、4cが回転し、その分子放射口4b、4cの向きが変えられるようになっている。
【0026】
このような分子線源セルを使用し、基板1の成膜面に有機EL膜等の薄膜を形成する場合。第一のヒータ3a、3b、3cを発熱され、坩堝5a、5b、5cの中の成膜材料a、b、cを昇華または蒸発させて、成膜材料a、b、cの分子を発生させる。
【0027】
発生した成膜材料a、b、cの分子は、分子発生室8a、8b、8cからそれぞれ分子通過孔6a、6b、6cを通って第一のバッファ室9a、9b、9cに入る。第一のバッファ室9a、9b、9cに入った分子は、分子通過孔7a、7b、7cを通って第二のバッファ室10a、10b、10cに入る。さらに、第二のバッファ室10a、10b、10cに入った分子は、分子放出口4a、4b、4cから基板1の成膜面に向けて放出される。この分子の流れを中央の分子線源セル2aにおいて矢印で示したが、その両側の分子線源セル2b、2cにおいてもその分子の流れは同様である。
【0028】
このように、分子発生室8a、8b、8cで発生した成膜材料a、b、cの分子は、直ちに基板1の成膜面に向けて発射されることなく、分子発生室8a、8b、8cから第一のバッファ室9a、9b、9cと第二のバッファ室10a、10b、10cを経て基板1の成膜面に向けて放出されるため、いわゆるスピッティング減少により坩堝5a、5b、5cから飛散したクラスター化された分子は、第一のバッファ室9a、9b、9cと第二のバッファ室10a、10b、10cで捕捉され、基板1側にには放出されない。
【0029】
前述のように、坩堝5、5a、5b、5cを配置した分子発生室8、8a、8b、8cと、成膜材料a、b、cの分子を放出する分子放出口4、4a、4b、4cとの間には、バッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cがあるため、分子発生室8、8a、8b、8c側と分子放出口4、4a、4b、4c側とは、緩やかに熱遮断された状態となる。さらに、分子発生室8、8a、8b、8c側と分子放出口4、4a、4b、4c側とにそれぞれ別のヒータ3、3’を設けることにより、成膜時のその双方の温度設定と制御を各々独立して行える。
【0030】
図1と図2に示した実施形態では、中央の分子線源セル2aから主成分となる成膜材料aの分子を、その両側の分子線源セル2b、2cから副成分となる成膜材料b、cの分子を放出し、基板1の成膜面に堆積させる。この場合、図1に示すように、両側の分子線源セル2b、2cでは、その分子放射口4b、4cの向きを調整し、主成分の分子も副成分の分子も、共に基板1の成膜面の同じ箇所に堆積させるようにする。
【0031】
また、中央の分子線源セル2aもその両側の分子線源セル2b、2cも、それらの分子放射口4b、4cが縦一列に並んでいるため、基板1の成膜面には縦の帯状に成膜材料a、b、cの分子が被着し、堆積する。このため、図1に矢印で示すように、基板1を移動させることにより、大きな成膜面であっても、均一な薄膜を成膜することが可能となる。
【0032】
次に、図3と図4により、本発明による薄膜堆積用分子線源セルの他の実施形態について説明する。図3は分子線源セルの縦断正面図であり、図4は同分子線源セルの縦断側面図である。
図1と図2により前述した実施形態では、分子線源セル2、2a、2bの分子放射口4a、4b、4cが横に向けて縦一列に配列されている。これに対し、図3と図4に示した実施形態では、分子線源セル2の分子放射口4が上に向けて一列に配列されている。従って、成膜材料aの分子を堆積する基板1の成膜面は、前記分子放射口4に向けて下向きに配置される。すなわち、図3と図4に示した実施形態は、上部蒸着型の分子線源セルである。
【0033】
この図3と図4に示した実施形態では、分子線源セル2の分子放射口4が図3において紙面前後方向に、図4において左右に列んで配置されているため、基板1は図3に矢印で示すように、分子放射口4の配列方向と直交する方向に水平に移動させながら成膜される。
【0034】
それ以外は、図3と図4に示した実施形態も基本的に図1と図2により前述した実施形態と同様である。すなわち、第一のヒータ3、坩堝5、分子発生室8、分子通過孔6、7、バッファ室9、10、分子放出口4及び第二のヒータ3’を有することで基本的に共通している。また、図3と図4では、分子線源セル4を一つ配置しているが、図1と図2により前述した実施形態と同様に、複数の分子線源セルを配置し、複数の成膜成分の分子を基板1の成膜面に同時に堆積することも出来る。
【0035】
図5は、図3と図4に示した実施形態の変形である。この分子線源セル2では、第一のバッファ室9を90゜横に曲げ、第二のバッファ室10を分子発生室8の横上部に設けている。そしてこの第二のバッファ室9に設けた分子放出口4を横向きに、且つ縦一列に並ぶように開口している。従って、分子放出口4からの成膜材料aの分子の放出方向は図1と図2により前述した実施形態による分子線源セルと同様である。すなわち、成膜材料aの分子を堆積する基板1の成膜面は、前記の横向きの分子放射口4に対向させて横向きに配置されると共に、図5において紙面前後方向に移動しながら成膜される。
【0036】
この図5に示した分子線源セル2のそれ以外の構成は、図3と図4に示した分子線源セル2と同様であり、同じ部分は同じ符号で示してある。またこの場合も、図1と図2により前述した実施形態と同様に、複数の分子線源セルを配置し、複数の成膜成分の分子を基板1の成膜面に同時に堆積することも出来る。
【0037】
図6と図7は、成膜材料aの分子の放射方向を下方に変えた実施形態である。図6に示すように、この実施形態では、分子発生室8に別途容器状の坩堝を置かず、分子発生室8の底部を坩堝5とし、そこに成膜材料aを収納している。また、この実施形態では、単一のヒータ3が用いられ、このヒータ3で分子線源セル2の全体を加熱することにより、前記成膜材料aを蒸発または昇華させて分子を発生させると共に、放出する分子の再凝固を防止している。
【0038】
この分子線源セル2では、分子発生室8で発生した成膜材料aの分子は、分子通過孔6を経て第一のバッファ室9に入る。さらにこの分子は、分子通過孔7を経て第二のバッファ室10に入る。この点は基本的に前述した実施形態と同様である。これに加え、図6と図7に示した分子線源セル2では、第二のバッファ室10から、第一のバッファ室9及び分子発生室8を貫通して分子線源セル2の下部から下方に向けて開口した分子放出口4に至る分子通過筒11が設けられている。従って、成膜材料aの分子は、前記第二のバッファ室10から分子通過筒11を通り、分子放出口4から分子線源セル2の下方に向けて放出される。図7は、分子の放出方向を示したものである。分子放出口4から分子線源セル2の下方に向けて放出された分子は、基板1の上面に被着し、薄膜が堆積する。
【0039】
図3と図4に示した分子線源セル2、図5に示した分子線源セル2或いは図6と図7に示した分子線セル2のように、本発明による分子線源セルでは、分子を上方に向けて放射したり、横方向に向けて放射したり、或いは下方に向けて放射することが出来るという特徴を有している。
【0040】
前述した実施形態では、分子の放射方向が異なるものの、何れの分子線源セル2、2a、2b、2cも、基本的には図8(a)に示すように、何れも複数の分子放出口4が一列に並んだ実施形態のものである。これに対し、図8(b)に示すように、分子放出口4を複数列に並べることも出来る。これにより、基板1の広い面積に同時に成膜材料の分子を堆積させることにより、広い面積の成膜面に効率良く薄膜を形成することが可能となる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明による薄膜堆積用分子線源セルでは、成膜させる固体表面を前記分子放出口4、4a、4b、4cの列と直交する方向に移動させながら薄膜を堆積させることにより、広い面積に薄膜を効率的に堆積させることが出来るようになる。また、坩堝5、5a、5b、5cと分子放出口4、4a、4b、4cとが1つ以上の小部屋であるバッファ室9、10、9a、10a、9b、10b、9c、10cとそれに通じる分子通過孔6、7、6a、7a、6b、7b、6c、7cを介して通じているため、いわゆるスピッティング現象により、成膜材料a、b、cのクラスター化した分子が飛散しても、このクラスターが基板1の成膜面に及ばず、欠陥の無い膜を成膜することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの一実施形態を示す横断平面図である。
【図2】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの図1と同じ実施形態を示す縦断側面図である。
【図3】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの他の実施形態を示す縦断正面図である。
【図4】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの図3と同じ実施形態を示す縦断側面図である。
【図5】本発明による薄膜堆積用分子線源セルのさらに他の実施形態を示す縦断側面図である。
【図6】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの他の実施形態を示す縦断正面図である。
【図7】本発明による薄膜堆積用分子線源セルの図6と同じ実施形態における分子の放射方向を示す側面図である。
【図8】本発明による薄膜堆積用分子線源セルにおける分子放出口の配置の例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
3 第一のヒータ
3’ 第二のヒータ
4 分子放出口
4a 分子放出口
4b 分子放出口
4c 分子放出口
5 坩堝
5a 坩堝
5b 坩堝
5c 坩堝
6 分子通過孔
6a 分子通過孔
6b 分子通過孔
6c 分子通過孔
7 分子通過孔
7a 分子通過孔
7b 分子通過孔
7c 分子通過孔
8 分子発生室
8a 分子発生室
8b 分子発生室
8c 分子発生室
9 バッファ室
9a バッファ室
9b バッファ室
9c バッファ室
10 バッファ室
10a バッファ室
10b バッファ室
10c バッファ室
a 成膜材料
b 成膜材料
c 成膜材料

Claims (5)

  1. 成膜材料(a)、(b)、(c)を加熱することにより、その成膜材料(a)、(b)、(c)を昇華または蒸発して、固体表面に薄膜を成長させるための分子を発生する真空蒸着用分子線源セルにおいて、成膜材料(a)、(b)、(c)を収納する坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)と、この坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)の中の成膜材料(a)、(b)、(c)を加熱して昇華またたは蒸発させる加熱手段と、成膜材料(a)、(b)、(c)の分子を成膜する固体表面に向けて前記坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)から発生した分子を放出する分子放出口(4)、(4a)、(4b)、(4c)とを有し、この分子放出口(4)、(4a)、(4b)、(4c)が一列または複数列に並んで複数個形成されており、坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)と分子放出口(4)、(4a)、(4b)、(4c)との間に分子通過孔(6)、(7)、(6a)、(7a)、(6b)、(7b)、(6c)、(7c)を介して通じている小部屋である複数のバッファ室(9)、(10)、(9a)、(10a)、(9b)、(10b)、(9c)、(10c)を有し、これらバッファ室(9)、(10)、(9a)、(10a)、(9b)、(10b)、(9c)、(10c)の分子通過孔(6)、(7)、(6a)、(7a)、(6b)、(7b)、(6c)、(7c)が順次異なる方向を向いていることを特徴とする薄膜堆積用分子線源セル。
  2. 分子放出口(4b)、(4c)は、成膜材料(b)、(c)の分子の放出方向を変えることが出来るよう開口部が回転可能となっていることを特徴とする請求項に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  3. 坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)は、分子通過孔(6)、(6a)、(6b)、(6c)を介してバッファ室(9)、(9a)、(9b)、(9c)に通じる分子発生室(8)、(8a)、(8b)、(8c)に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  4. 坩堝(5)、(5a)、(5b)、(5c)を配置した分子発生室(8)、(8a)、(8b)、(8c)側と、成膜材料(a)、(b)、(c)の分子を放出する分子放出口(4)、(4a)、(4b)、(4c)側とにそれぞれ加熱手段としての別のヒータ(3)、(3a)、(3b)、(3c)、(3’)、(3a’)、(3b’)、(3c’)を設けたことを特徴とする請求項に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
  5. 成膜材料(a)、(b)、(c)を加熱することにより、その成膜材料(a)、(b)、(c)を昇華または蒸発して成膜材料(a)、(b)、(c)の分子を発生させ、この分子を固体表面に堆積させることにより、薄膜を成長させる薄膜堆積方法において、前記請求項1〜の何れかに記載の薄膜堆積用分子線源セルを使用し、成膜させる固体表面を前記分子放出口(4)、(4a)、(4b)、(4c)の列と直交する方向に移動させながら分子を堆積させて膜を成膜することを特徴とする薄膜堆積方法。
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