JP3684343B2 - 薄膜堆積用分子線源セル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜材料を加熱することにより、その成膜材料を昇華するか或いは溶融、蒸発し、固体表面に薄膜を成長させるための成膜材料の分子を発生する薄膜堆積用分子線源セルに関し、特に熱伝導率の低い有機エレクトロルミネッセンス材料等の昇華や蒸発に好適な分子線源セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子線エピタキシ装置と呼ばれる薄膜堆積装置は、高真空に減圧可能な真空チャンバ内に半導体ウエハ等の基板を設置し、所要の温度に加熱すると共に、この基板の薄膜成長面に向けてクヌードセンセル等の分子線源セルを設置したものである。この分子線源セルの坩堝に収納した成膜材料をヒータにより加熱し、昇華させるか、或いは溶融、蒸発させ、これにより発生した分子を前記基板の薄膜成長面に入射し、その面に薄膜をエピタキシャル成長させて、成膜材料の膜を形成する。
【0003】
このような薄膜堆積装置に使用される分子線源セルは、熱的、化学的に安定性の高い、例えばPBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる坩堝の中に成膜材料を収納し、この成膜材料を坩堝の外側に設けた電気ヒータで加熱し、これにより成膜材料を昇華させるか或いは溶融、蒸発させ、その分子を発生させるものである。
【0004】
近年、ディスプレイや光通信等の分野で、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の研究、開発が進められている。この有機EL素子は、EL発光能を有する有機低分子または有機高分子材料で発光層を形成した素子であり、自己発光型の素子としてその特性が注目されている。例えばその基本的な構造は、ホール注入電極上にトリフェニルジアミン(TPD)等のホール輸送材料の膜を形成し、この上にアルミキノリノール錯体(Alq3) 等の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMg、Li、Cs等の仕事関数の小さな金属電極を電子注入電極として形成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】
前記のような有機ELを形成する各層は、前述のような薄膜堆積装置を使用して形成される。ところが、特に有機エレクトロルミネッセンス膜を形成するための有機エレクトロルミネッセンス材料は、融点が低く、しかも熱伝導率が低い。このため、前述のような分子線源セルで加熱、蒸発しようとすると、ヒータで加熱される坩堝の周壁に近い周囲の部分では、昇華や蒸発に必要な所要の温度が得られても、坩堝の中央側で温度が極端に低くなり、昇華や蒸発に必要な温度に満たない状態となる。
【0006】
このような状態では、坩堝に収納された成膜材料のうち、坩堝の周壁に近い周囲の部分のみが昇華または蒸発され、坩堝の中央部にある成膜材料が蒸発されずに残ってしまう。そのため、材料の歩留まりが悪いだけでなく、温度の不均一性による膜の欠陥等が生じやすい。
【0007】
本件発明者らは、このような従来の分子線源セルにおける課題を解決するため、先の特願2001−192261号において、化学的、熱的に安定しており、且つその成膜材料より熱伝導率の高い伝熱媒体と共に、坩堝に成膜材料を収納することを提案した。具体的には、パイロリティック・ボロン・ナイトライド(PBN)、シリコンカーバイト、窒化アルミニウム等の高熱伝導材料からなる粒子状の伝熱媒体に、有機エレクトロルミネッセンス等の成膜材料を被覆した加熱材料を坩堝に収納し、これを加熱するものである。これにより、ヒータの熱を前記の伝熱媒体を介して坩堝の内部にまで伝熱し、坩堝の内部の成膜材料をも効率的に昇華または蒸発できるようにした。
【0008】
ところが、前記のような高伝熱材料からなる伝熱媒体は、有機エレクトロルミネッセンス等の成膜材料に比べて熱容量が大きく、坩堝に収納された加熱材料全体が大きな熱容量を持つようになる。そのため、ヒータにより加熱されても容易に温度が上昇せず、またヒータによる加熱を停止し、シュラウドで冷却しても、容易に温度が下降しない。すなわち、熱応答性が悪く、それが故に成膜材料の放射開始及びその停止の制御が困難であるという問題がある。
【0009】
特に、分子の放射停止時の分子のリークによる基板への飛散が問題である。分子の放射開始時の加熱材料の昇温時間の短縮は、ヒータの熱量を大きくすることで可能であるが、放射停止時には、ヒータの発熱を停止し、シュラウドで冷却しても、十分な降温速度がえられず、分子放射の停止が遅れる。
【0010】
特に、有機エレクトロルミネッセンスを使用したカラーディスプレイでは、主成分である有機エレクトロルミネッセンス材料にRGBの発色を与えるための3種類のドーパントをそれぞれ分けて注入する必要がある。ところが、ドーパントの放射停止の遅れにより、前後に放射するドーパントが基板上で混じり合ってしまうため、RGBの発色が得られない結果となる。
【0011】
本発明は、このような従来の分子線源セルにおける課題に鑑み、容器の中で加熱材料の温度勾配を小さくし、有機EL材料のような高分子であって熱伝導率の低い加熱材料でも、熱損傷を与えることなく、効率よく蒸発して蒸発分子を発生することができるようにすることを目的とする。さらに、分子の放射停止時に、応答性よく短時間で分子の放射を停止することが出来るようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、伝熱性の悪い成膜材料c、dに加えて、それより伝熱性の良い伝熱媒体eを含む加熱材料a、bを使用し、これらの加熱材料a、bを加熱することで、成膜材料c、dの伝熱性を改善した。さらに、伝熱媒体eを含むため、全体として加熱材料a、bの熱容量が大きくなったことによる分子放出停止時の放出停止の遅れについては、ニードルバルブ等のバルブ33、43を使用することにより、分子発生源側から放出される分子を即時に停止できるようにした。
【0013】
すなわち、本発明による薄膜堆積用分子線源セルは、成膜材料c、dとそれより熱伝導率の高い伝熱媒体eとからなる加熱材料a、bを収納した加熱材料収納部3、4と、この加熱材料収納部3、4の中の加熱材料a、bを加熱し、その成膜材料c、dの分子c’、d’を放出するためのヒータ32、42と、加熱材料収納部3、4から放出される成膜材料c、dの分子c’、d’をリークまたは停止するよう開閉されるバルブ33、43と、このバルブ33、43からリークした成膜材料c、dの分子c’、d’を基板51に向けて放出する分子放射部11、21とを有するものである。
【0014】
この場合、基板51の成膜面に堆積させる主成分となる成膜材料cの分子c’を放射する第一の分子線源セル1と、基板51の成膜面に堆積させる副成分となる成膜材料dの分子d’を放射する第二の分子線源セル2とを組み合わせたものである。第二の分子線源セル2は複数使用する場合もある。
【0015】
このような分子線源セルにおいて、成膜材料c、dは熱伝導率が低く、ヒータの熱が十分伝熱できない場合であっても、伝熱媒体eがヒータの熱を伝熱し、速やかに加熱材料a、bの全体及びその内部まで熱を伝える。このため、ヒータの近くとそれから離れた部分との温度差が小さくなり、成膜材料c、dの全体を容易に蒸発させることができる。
【0016】
また、加熱材料収納部3、4から放出される成膜材料c、dの分子c’、d’をリークまたは停止するよう開閉されるバルブ33、43を備えたため、加熱材料a、bが伝熱媒体eを含むことにより、その全体の熱容量が大きくなっても、バルブ33、34の開閉操作により、分子放射部11、21からの分子の放射開始及び放射停止を直ちに行うことができる。
【0017】
なお、バルブ33、43は、ニードル34、44の先鋭な先端部で分子通過孔38、48を開閉するニードルバルブが最適である。実験によれば、このようなニードルバルブは、そのニードルの位置と分子の放出量との関係がほぼ直線的である。そのため、分子の放出量を正確に制御しやすく、例えば主成分である成膜材料cの分子と副成分である成膜材料dの分子との比を正確に制御できるという利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は、基板51に成膜する薄膜として、主成分の成膜材料cを蒸発し、その分子c’を放出する第一の分子線源セル1とドーパント等の副成分の成膜材料dを蒸発し、その分子d’を放出する第二の分子線源セル2とを組み合わせた複合分子線源セルの例である。
【0019】
これらの分子線セル1、2は、容器31、41の中に加熱材料a、bを収納し、ヒータ32、42でこの加熱材料a、bに含まれる成膜材料を昇華または蒸発させる加熱材料収納部3、4と、この加熱材料収納部3、4から放出される成膜材料c、dの分子c’、d’をリークまたは停止するよう開閉されるバルブ33、43と、このバルブ33、43から送られてきた成膜材料c、dの分子c’、d’をヒータ15、25で再加熱し、基板51に向けて放出する分子放射部11、21とを有する。
【0020】
図2は、主成分の成膜材料cを昇華または蒸発して放射する第一の分子線源セル1を示す。
この分子線源セル1の加熱材料収納部3は、SUS等の金属の高熱伝導材料からなる円筒状の容器31を有し、この容器31の中に加熱材料aが収納されている。この加熱材料aは、図8に示すように、粒状の伝熱媒体eをコアとして、その表面に膜の主成分となる成膜材料cを被覆するようにして設けたものである。この加熱材料aを前記の加熱材料収納部3の容器31に収納している。
【0021】
また、伝熱媒体eの表面に成膜材料cを被覆する代わりに、伝熱媒体eと成膜材料cとを適当な割合で均一に混合した状態で加熱材料収納部3の容器31に収納してもよい。容器31に収納する伝熱媒体eと成膜材料cの容積比は、70%:30%前後が一般的である。
伝熱媒体eは、熱的、化学的に安定しており、且つ成膜材料cより熱伝導率の高いもので作られる。例えば伝熱媒体eは、PBN、シリコンカーバイト或いは窒化アルミニウム等の高熱伝導材料で作られている。
【0022】
図2に示すように、容器31の周囲にはヒータ32が配置され、その外側は液体窒素水等で冷却されるシュラウド39で囲まれている。容器31に設けた熱電対等の温度測定手段(図示せず)により、ヒータ32の発熱量を制御し、容器31の加熱材料aを加熱することにより、容器31内の成膜材料cが昇華または蒸発し、その分子が発生する。また、ヒータ32の発熱を停止し、シュラウド39で容器31の内部を冷却することにより、加熱材料aが冷却され、成膜材料の昇華または蒸発が停止される。
【0023】
加熱時には、伝熱媒体eを介して成膜材料cが加熱される。伝熱媒体eは成膜材料cより熱伝導率が高いため、成膜材料cだけでは容器31の中央にまで熱が伝わらない場合でも、この伝熱媒体eにより容器31の中央まで熱が伝わり、その容器31の中央にある成膜材料cも加熱して溶融、蒸発させる。これにより、容器31に収納された成膜材料cが満遍なく加熱、溶融、蒸発される。
【0024】
また伝熱媒体eは、PBN、シリコンカーバイト或いは窒化アルミニウム等のように、熱的、化学的に安定した材料で作られているため、ヒータ32での加熱によって溶融、蒸発することはない。従って、容器31の蒸気放出口2から放射される蒸発分子の中に伝熱媒体eを形成する分子が含まれることはなく、結晶成長する膜の組成に影響を与えない。
【0025】
なお、成膜材料cがEL発光能を有する有機低分子または有機高分子材料である場合、その気化温度は、銅等の金属等に比べて遙かに低く、大半は200℃以下である。他方、耐熱温度も比較的低く、前記のような有機低分子または有機高分子材料の蒸発には、その気化温度以上、耐熱温度以下の温度で加熱する必要がある。
【0026】
この容器31の成膜材料の分子が放出される側にバルブ33が設けられている。このバルブ33は、ニードルバルブであり、先鋭なニードル34と、そのニードル34の先端が嵌まり込むことにより、流路が閉じられ或いは流路断面積が絞られる分子通過孔を有する弁座35を有している。前記のニードル34は、ベローズ37を介してサーボモータ36により導入されるリニア運動によりその中心軸方向に移動される。
【0027】
図4(a)は図2のA部を拡大した図であるが、前記のリニア運動により、ニードル34の先端が弁座35の分子通過孔38に嵌合され、あるいはその分子通過孔38から離れて分子通過孔38が開かれる。図4(a)は、ニードル34の先端が弁座35の分子通過孔38に嵌まり込んでその弁座通過孔38を閉塞している状態であり、バルブ33が閉じられている状態を示している。
【0028】
図2に示すように、このバルブ33により開閉される弁座35の分子通過孔の先には、分子放射部11がある。この分子放射部11は円筒形の分子加熱室12を有し、この分子加熱室12の周囲にヒータ15が設けられている。前記のバルブ33側からリークし、分子放射部11に至った成膜材料の分子は、この分子加熱室12で所要の温度に再加熱され、分子放出口14から基板に向けて放射される。
【0029】
他方、図3は、副成分の成膜材料dを昇華または蒸発して放射する第二の分子線源セル2を示す。この第二の分子線源セル2の構成は、基本的に前述した第一の分子線源セル1と同じである。
すなわち、この第二の分子線源セル2の加熱材料収納部4は、SUS等の金属の高熱伝導材料からなる円筒状の容器41を有し、この容器41の中に加熱材料bが収納されている。この加熱材料bは、図8に示すように、前記の加熱材料aと同様に粒状の伝熱媒体eをコアとして、その表面に膜の副成分である成膜材料dを被覆するようにして設けたものである。
【0030】
図3に示すように、容器41の周囲にはヒータ42が配置され、その外側は液体窒素水等で冷却されるシュラウド49で囲まれている。これらヒータ42とシュラウド49の構造及び機能は、図2により前述したヒータ32とシュラウド39と全く同様である。
【0031】
この容器41の成膜材料の分子が放出される側にバルブ43が設けられている。このバルブ43は、やはりニードルバルブであり、先鋭なニードル44と、そのニードル44の先端が嵌まり込むことにより、流路が閉じられ或いは流路断面積が絞られる分子通過孔を有する弁座45を有している。前記のニードル44は、ベローズ47を介してサーボモータ46により導入されるリニア運動によりその中心軸方向に移動される。
図4(b)は図3のB部を拡大した図であるが、前記のリニア運動により、ニードル44の先端が弁座45の分子通過孔48に嵌合され、あるいはその分子通過孔48から離れて分子通過孔48が開かれる。
【0032】
図4(a)と図4(b)を比較すると明らかなように、主成分の成膜材料を供給、停止するためのバルブ33と副成分の成膜材料を供給停止するバルブ43とでは、分子通過孔38、48の径が異なっており、これに嵌合されるニードル34、44の先端のテーパも異なっている。すなわち、前者のバルブ33の分子通過孔38は、後者のバルブ43の分子通過孔48より径が大きく、また前者のバルブ33のニードル34の先端のテーパは、後者のニードル44のテーパより大きい。これにより、バルブ33、43を開いたときの分子の通過量、すなわち分子放出口14、24から放射される分子c’、d’の放射量に違いが生じる。この分子c’、d’の放射量は、膜の主成分と副成分の組成比率に応じて決定する。例えば、主成分:副成分の組成比が100:1の場合、バルブ33、43を最大に開いたときの分子の通過量も100:1とする。また、後述するように分子線源セル1、2からの分子の放射量は、容器31、41内の加熱材料a、bの加熱温度によっても設定できる。
【0033】
図3に示すように、このバルブ43により開閉される弁座45の分子通過孔の先には、分子放射部21がある。この分子放射部21は円筒形の分子加熱室22を有し、この分子加熱室22の周囲にヒータ25が設けられている。前記のバルブ43側からリークし、分子放射部21に至った成膜材料の分子は、この分子加熱室22で所要の温度に再加熱され、再凝固することなく分子放出口24から基板に向けて放射される。
【0034】
図5は、図2と図4(a)に示す分子線源セル1において、バルブ33のニードル34の先端の位置と分子放射口14から発射される成膜材料の分子のビーム圧との関係を示すグラフの一例である。この図5から明らか通り、バルブ33のニードル34の先端の位置と分子放射口14から発射される成膜材料の分子のビーム圧とはほぼ直線的な関係にある。従って、バルブ33のニードル34の先端の位置により、分子放射口14から発射される成膜材料の分子の量を正確に制御できることがわかる。この点は、他方の分子線源セル2でも同様である。
【0035】
図6は、やはり図2と図4(a)に示す分子線源セル1において、弁座35の分子通過孔をバルブ33のニードル34の先端で閉塞した状態から瞬時に全開したときの分子放射口14から発射される成膜材料の分子のビーム圧との時間との関係を示すグラフの一例である。この図6から明らか通り、弁座35の分子通過孔を瞬時に全開すると、放出される成膜材料の分子の量が急峻に立ち上がることが分かる。
【0036】
図7は、やはり図2と図4(a)に示す分子線源セル1において、弁座35の分子通過孔を全開した状態からバルブ33のニードル34の先端で瞬時に全閉したときの分子放射口14から発射される成膜材料の分子のビーム圧との時間との関係を示すグラフの一例である。この図7から明らか通り、弁座35の分子通過孔を瞬時に全閉すると、成膜材料の分子の量が急速に収束することがることが分かる。10-8Torrは真空チャンバ内の真空度であり、分子線源セル1のバックグランドである。
【0037】
このような2つの分子線源セル1、2を図1に示すように基板51に向けて設置し、それぞれの分子放出口14、24から主成分と副成分の成膜材料の分子c’、d’を発射し、基板51上に成膜させる。
副成分の成膜材料の分子d’を発射する分子線源セル2は複数のものを使用する場合があり、例えば有機エレクトロルミネッセンスを使用したカラーディスプレイのための発光膜を成膜する場合、RGBをそれぞれ発色するドーパントをそれぞれ別の分子線源セル2から発射する。
【0038】
図5に示すように、前記の分子線源セル1、2においては、それらのバルブ33、43のニードル34、44の先端の位置により、分子放射口14、24から発射される成膜材料の分子c’、d’の量を正確に制御できるため、分子線源セル1、2から発射される成膜材料の分子c’、d’の比を正確に設定できる。また、分子放射口14、24から発射される成膜材料の分子c’、d’の量は、ヒータ32、42による加熱材料a、bの加熱温度にも依存する。このため、前記バルブ33、43のニードル34、44の先端の位置と共に、ヒータ32、42の発熱温度を制御することにより、広い範囲で分子線源セル1、2から発射される成膜材料の分子c’、d’の比を設定できることになる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明による分子線源セルでは、熱伝導率が低い成膜材料でも、容器31、41内で均一な温度分布に加熱して溶融、蒸発することができるので、成膜材料を歩留まりよく蒸発して固体の表面に結晶成長させることができる。これにより、材料の使用効率を高めることができるだけでなく、成膜材料の温度ムラがなくなり、結晶成長により形成された膜の品質を高めることができる。
【0040】
さらに、加熱材料a、bが伝熱媒体eを含むことにより、その全体の熱容量が大きくなっても、バルブ33、34の開閉操作により、分子放射部11、21からの分子の放射開始及び放射停止を直ちに行うことができる。
なお、バルブ33、43としてニードルバルブを用いることにより、分子の放出量を正確に制御しやすく、例えば主成分である成膜材料cの分子と副成分である成膜材料dの分子の放射量の比を正確に制御できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による分子線源セルを2つ同時に使用した例を示す真空チャンバの分子線源セルの装着部分の縦断側面図である。
【図2】 同実施形態による一方の分子線源セルを示す縦断側面図である。
【図3】 同実施形態による他方の分子線源セルを示す縦断側面図である。
【図4】 図3と図4のそれぞれA部とB部を示す拡大断面図である。
【図5】 前記実施形態による分子線源セルのバルブのニードルの位置と放射される分子のビーム圧との関係の例を示すグラフである。
【図6】 前記実施形態による分子線源セルのバルブのニードルで分子通過孔を瞬時に開いた直後の時間と放射される分子のビーム圧との関係の例を示すグラフである。
【図7】 前記実施形態による分子線源セルのバルブのニードルで分子通過孔を瞬時に閉じた直後の時間と放射される分子のビーム圧との関係の例を示すグラフである。
【図8】 前記実施形態による分子線源セルに使用される加熱材料の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第一の分子線源セル
2 第二の分子線源セル
3 加熱材料収納部
4 加熱材料収納部
11 分子放射部
21 分子放射部
32 ヒータ
33 バルブ
34 バルブのニードル
38 分子通過孔
42 ヒータ
43 バルブ
44 バルブのニードル
48 分子通過孔
51 基板
a 加熱材料
b 加熱材料
c 成膜材料
d 成膜材料
c’ 成膜材料の分子
d’ 成膜材料の分子
e 伝熱媒体
Claims (3)
- 成膜材料(c)、(d)をヒータで加熱して蒸発し、その分子(c’)、(d’)を放出口(14)、(24)から放出し、基板(51)の成膜面上に堆積させて薄膜を形成する薄膜堆積用分子線源セルにおいて、成膜材料(c)、(d)とそれより熱伝導率の高い伝熱媒体(e)とからなる加熱材料(a)、(b)を収納した加熱材料収納部(3)、(4)と、この加熱材料収納部(3)、(4)の中の加熱材料(a)、(b)を加熱し、その成膜材料(c)、(d)の分子(c’)、(d’)を放出するためのヒータ(32)、(42)と、加熱材料収納部(3)、(4)から放出される成膜材料(c)、(d)の分子(c’)、(d’)をリークまたは停止するよう開閉されるバルブ(33)、(43)と、このバルブ(33)、(43)からリークした成膜材料(c)、(d)の分子(c’)、(d’)を基板(51)に向けて放出する分子放射部(11)、(21)とを有することを特徴とする薄膜堆積用分子線源セル。
- 基板(51)の成膜面に堆積させる主成分となる成膜材料(c)の分子(c’)を放射する第一の分子線源セル(1)と、基板(51)の成膜面に堆積させる副成分となる成膜材料(d)の分子(d’)を放射する第二の分子線源セル(2)とを組み合わせたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
- バルブ(33)、(43)は、ニードル(34)、(44)の先鋭な先端部で分子通過孔(38)、(48)を開閉するニードルバルブであることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜堆積用分子線源セル。
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