JP2004059965A - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜厚のばらつきが小さく均一性に優れたニオブ酸化膜を高い成膜速度で形成することが可能なスパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】実質的にニオブ酸化物から成るスパッタリングターゲットにおいて、室温での体積抵抗値が0.01mΩcm〜100Ωcmの範囲にあり、比重が4.4以上であり、ターゲット全体での比重のばらつきが30%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
【選択図】 図1
【解決手段】実質的にニオブ酸化物から成るスパッタリングターゲットにおいて、室温での体積抵抗値が0.01mΩcm〜100Ωcmの範囲にあり、比重が4.4以上であり、ターゲット全体での比重のばらつきが30%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタリングターゲットおよびその製造方法に係り、特に膜厚のばらつきが小さく均一性に優れたニオブ酸化膜を高い成膜速度で形成することが可能なスパッタリングターゲットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報関連技術の進展に伴って、特にディスプレイ技術分野の発達には顕著な成果が現れている。ディスプレイ機器の開発当初から今日に至るまでに主流を占めていたものは無論ブラウン管(陰極線管:CRT)である。一方、最近になって、特に薄型化や小型化に対応した新しいディスプレイ機器として、液晶表示素子やプラズマディスプレイが急速に普及している。その用途は、携帯電話やパーソナルコンピュ−ターのモニター、更には家庭用テレビやモバイル機器のモニターと適用応用分野を急速に拡大している。
【0003】
本来、上記のようなディスプレイ機器は、利用者がそれを見てディスプレイ上の情報を読み取るものであるから、当然そのディスプレイ上に表示された情報の見易さが第一の特性として要求される。しかしながら、利用者がディスプレイを観察する際に、利用者の背後からの光線がディスプレイ画面表面で反射することによって生じる背景の映り込みにより画像のコントラスト特性が低下し見易さが損なわれる原因となっている。このため、特に画面での表面反射を抑制することが必須の技術的要件になっている。そこで、ディスプレイ機器の表面部には、通常、各種の反射防止膜の形成処理が施されている。
【0004】
上記反射防止膜は、高低の屈折率を有する複数層の薄膜を光学設計により交互に積層して構成され、反射光を複数層の薄膜において干渉させて反射率を減衰させるメカニズムを有するものである。この反射防止膜の成膜方法としては、蒸着法や溶液法が主な手法となっていた。しかしながら、最近では、膜の生産能力と膜厚の制御性に優れ、安定的な高品位の膜質を得ることができる最適な手法として、スパッタ法が普及し始めてきている。
【0005】
上記スパッタ法は、放電ガスを導入した真空雰囲気中で、電極間に電圧を印加させてグロー放電を発生せしめ、この時プラズマ中の正イオンが加速されて陰極であるターゲット表面に衝突し、ターゲット成分原子をはじき出し、はじき出された原子を基板上に堆積させて所定の膜を形成する方法である。
【0006】
ここで上記高屈折率を有する材料としては、酸化チタン(TiO2)が広く使用される一方、低屈折率を有する材料としては酸化けい素(SiO2)が代表例として挙げられるが、最近では、特に高い屈折率を有する材料として、ニオブ(Nb)の酸化膜が多用化される傾向がある。
【0007】
上記Nb酸化膜の成膜方法としては、▲1▼Nbターゲットを用いて、ArとO2の混合ガス中でスパッタリングを行いターゲット成分と雰囲気ガス成分との反応によって酸化物や窒化物の膜を形成する反応性スパッタ法や▲2▼あらかじめNb膜を形成した後にプラズマ酸化させる手法や▲3▼Nb酸化物ターゲット等の絶縁物を用いて、電極間に高周波(RF)電圧を印加してターゲット上の正イオンの帯電による電位上昇を阻止しながら絶縁物の膜を形成する高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)が好適な成膜方法として挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記反射防止膜は、屈折率が異なる薄膜を複数層にわたって積層して構成されているため、個々の製品としての反射防止膜を完成させるためには多大な成膜時間が必要とされ、製品の製造コストを大きく押し上げるという問題点があった。
【0009】
特に、この薄膜が用いられる製品分野は、携帯電話や自動車、ディスプレイといった多品種で、かつ非常に大量生産を必要とする製品分野であるため、高効率で生産能力が高い成膜技術が要求される。しかしながら、従来のターゲットを用いて成膜する場合には、いずれも成膜速度が極めて遅いため生産性が低く、反射防止膜を使用した製品の製造コストが増大化してしまうことが問題点となっていた。
【0010】
また、高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)においては、電源設備が高価であり、全体の成膜設備費が増大する難点があると共に、放電電圧が不安定であり、成膜条件が安定した状態で均一な反射防止膜を量産することが困難であった。
【0011】
一方品質面では、以下のような問題が提起されている。すなわち、反射防止膜の屈折率は薄膜の膜厚に強く依存し、この膜厚の適否がディスプレイ画面での情報の見易さを左右することになるため、ユーザーはこの点を非常に重要視している。つまり、薄膜厚さのばらつきの大小が画像のコントラスト特性に大きな影響を及ぼすため極めて重要な特性になる。しかしながら、現在までの技術水準での膜厚のばらつきは、どの手法でも約1%と、未だに大きい難点があり、製品ユーザーとしては、薄膜厚のばらつきの更なる低減化を要求している現状である。
【0012】
本発明は、上記のような課題問題点に対処するためになされたものであり、特に膜厚のばらつきが1%以下となるように小さく均一性に優れたニオブ酸化膜を高い成膜速度で形成することが可能なスパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明者らは、上記目的を達成するため、成膜速度や膜厚のばらつきに影響を及ぼす因子について鋭意研究を進めた結果、ターゲットの不純物や結晶粒径、バルク抵抗(体積抵抗値)、比重およびそのばらつきなどが成膜速度、膜厚のばらつきに影響を及ぼす因子となっていることが判明した。そして、特にターゲット自体に所定範囲の体積抵抗値を付与して導電性をもたせ、さらに比重およびそのばらつきを適正に制御してスパッタリングターゲットを形成したときに、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質の反射膜を安定的に量産できるという知見を得た。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0014】
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲットは、実質的にニオブ酸化物から成るスパッタリングターゲットにおいて、室温での体積抵抗値が0.01mΩcm(=0.01×10−3Ωcm、単位「mΩ」は「ミリΩ」を示す)〜100Ωcmの範囲にあり、比重が4.4以上であり、ターゲット全体での比重のばらつきが30%以下であることを特徴とする。
【0015】
また上記スパッタリングターゲットにおいて、前記ニオブ酸化物の割合が95質量%以上であることが好ましい。上記ニオブ酸化物の割合が95質量%未満となると、反射膜として成膜した場合にニオブ酸化物としての反射特性が不十分となり、成膜全体において均一な特性が得られにくくなる。そのため、上記ニオブ酸化物の割合は95質量%以上であることが好ましいが、99質量%以上であることがより好ましい。
【0016】
さらに、前記ニオブ以外の金属不純物成分の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。スパッタリングターゲット中におけるニオブ以外の金属不純物成分の含有量が、1質量%を超える場合には、スパッタ時の成膜速度が大幅に低下するおそれがある。そのため、上記金属不純物成分の含有量は、1質量%以下とすることが望ましいが、0.5質量%以下とすることがより好ましい。なお、ニオブ以外の金属不純物成分には、ニオブ以外の金属単体(炭素および珪素含む)のみだけでなく、その化合物(酸化物、炭化物等)も含むものとする。
【0017】
また上記スパッタリングターゲットが直流2極スパッタ法に用いられるターゲットであることが成膜速度を高める観点から好ましい。なお、本発明に係るスパッタリングターゲットは五酸化ニオブ(Nb2O5)のような完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、高周波スパッタ法(RFスパッタ法)および直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)のいずれのスパッタ法にも適用できる。
【0018】
特に成膜速度を大きく設定でき、放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に本発明のターゲットを適用することにより、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0019】
本発明に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、ニオブ酸化物粉末を成形型に充填し常温で5MPa以上の圧力を加えて成形体を調製する工程と、得られた成形体を、10−4Tоrr(1.33×10−2Pa)以下の真空雰囲気中で温度300〜500℃で2〜10時間加熱することにより、成形体中の酸素含有量を調整する工程と、酸素含有量を調整した成形体を、500Tоrr(6.65×104Pa)以上の非酸化性雰囲気中でホットプレス処理することにより焼結体を形成する工程を備えることを特徴とする。
【0020】
また上記スパッタリングターゲットの製造方法において、前記ホットプレス処理時の焼結温度が1000〜1300℃の範囲であり、焼結時間が1〜5時間であることが好ましい。さらに、前記ホットプレス処理時の昇温速度が5℃/min以上であることが好ましい。また、前記ホットプレス処理後における焼結体の冷却速度が10℃/min以上であることが好ましい。
【0021】
本発明に係るスパッタリングターゲットにおいては、導電性がない絶縁体であるNb2O5のようなニオブの5酸化物ではなく、これより酸素含有割合を低減することにより、ある程度の導電性を付与したニオブ酸化物によりターゲットを構成し、もって成膜速度が大きいDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)による成膜を可能にしている。
【0022】
ここでDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)は、導電体から成るターゲットを陰極として、この陰極と陽極とから成る2極冷陰極間に直流電圧を印加してグロー放電を発生せしめて、スパッタ現象を利用して導電性を有する薄膜を形成する方法である。
【0023】
各成膜方法において、Nb酸化物の成膜速度を高めるためには、一般的に、投入電力を大きくしたり、ガス圧を高くしたりするなどの対策が考えられる。ところが、いずれの対策を実施した場合においても、大きな改善効果が確認されず、むしろ、膜中の酸素濃度に大きなばらつきを生じたり、膜へダメージを与えたりするため、膜で形成した反射膜の屈折率が低下するなどの問題が発生してしまう。
【0024】
またDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)において、成膜速度を低下させる要因は、成膜時に用いられる酸素(O2)ガスである。すなわち酸化物を成膜する場合、ポイズンモードと呼ばれる状態が形成されやすい。つまり、ターゲット表面が酸素ガスによって完全に酸化され、そのターゲット表面に形成された薄い酸化層にArやO2が衝突して酸化物薄膜を形成すると考えられている。その際、O2の原子量が小さいため、ターゲットに対する衝突エネルギーも小さくなり、必然的に成膜速度が低下してしまう。
【0025】
一方、高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)の場合では、酸化物ターゲットを用いるとともに高周波をエネルギー源として使用し、ArもしくはO2を少量アシストして成膜する方法であるが、成膜速度を上げるために投入電力を上昇させようとすると、ターゲット(TG)が破損し易くなるという問題が発生する。そのため、Nb酸化物ターゲットとしては、相対密度が70%程度のものが主流として使用されていた。上記のような破損現象は、DCスパッタ法においても同様に観察される。また、RFスパッタ法であるため、成膜効率がDCスパッタ法と比較して大幅に劣ることが難点である。一方、長所としては、DCの反応性スパッタ法と比較して、ターゲット自体に酸素が含まれているため、最少量のO2を使用することにより高い屈折率を有する膜を形成することが可能になるという点である。
【0026】
そこで、本発明者らは、双方のスパッタ方式の長所を兼ね備えたターゲットとして、DCスパッタ法が適用できるNb酸化物ターゲットの作製に取り組んだ。上記のようなDCスパッタ法が適用できるNb酸化物ターゲットの必須要件として種々検討した結果、ターゲットの体積抵抗値が室温(25℃)で100Ωcm〜0.01mΩcmの範囲であることが重要であることを見出した。更に適正な導電性および成膜速度を実現するために、上記体積抵抗値は50Ωcm〜0.05mΩcmの範囲が好ましい。さらに好ましくは10Ωcm〜0.1mΩcmの範囲である。
【0027】
上記ターゲットの体積抵抗値が0.01mΩcm未満であると、ターゲット中の酸素量が不足した状態となりスパッタリング雰囲気中のO2ガスの流量を増加させないと透明で高い屈折率を有する薄膜(ニオブ酸化膜)を形成することが不可能になり、O2ガスの流量を増加させると成膜速度が著しく低下することが確認された。一方、上記体積抵抗値が100Ωcmを超える場合には、ターゲットにほとんど導電性が付与されないことから、DCスパッタ操作が不可能になり、RFスパッタでは成膜速度が低下することが判明した。
【0028】
また上記ターゲットを用いて形成した膜の厚さのばらつきについて種々検討した結果、ターゲット各所での比重(相対密度)とそのばらつきが、製造した膜厚のばらつきと密接な関係を有することが判明した。
【0029】
すなわち、製造するNb酸化膜の膜厚のばらつきを少なくするため、特に膜厚のばらつきを1%以下とするためには、ターゲットの比重の平均値が4.4以上であることが必要である。またターゲットの相対密度は、90%以上であることが必要である。さらに、相対密度は、93%以上が好ましい。さらに、相対密度は、95%以上であることがさらに好ましい。
【0030】
上記ターゲットの比重の平均値が4.4未満である場合には、気孔や欠陥が多く、ターゲットの構造強度が低下してスパッタ時に破損する割合が増加してしまうからである。
【0031】
またターゲット各部に対応する成膜部における成膜速度を均一にするために、ターゲット全体の比重のばらつきは、30%以下とすることが必要である。更に上記成膜速度の均一化を図るために、上記比重のばらつきは、20%以下がさらに好ましい。さらには、15%以下のばらつきが尚好ましい。
【0032】
上記ターゲット全体の比重のばらつきが、30%を超える場合には、ターゲット内で比重(密度)が高い部分と低い部分とで、電圧の付加状態が変化してしまうため、成膜速度が変化し大きくばらついてしまう。更に比重が低い部位では、電子がチャージされ異常放電を引き起こし易くなることもある。
【0033】
ここで本発明に係るスパッタリングターゲットで規定する体積抵抗値については、以下に示す方法により測定した値を示すものとする。すなわち、図1に示す様に、例えば円盤状のターゲットの中心部(位置1)と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線状の外周近傍位置(位置2〜9)及びその半径の1/2の距離の位置(位置10〜17)から、それぞれ長さ15mm×幅15mmの寸法を有する試験片をそれぞれ採取し、これら17点の試験片についてそれぞれバルク抵抗を測定し、これらの平均値を本発明で規定する体積抵抗値とする。バルク抵抗は、四探針抵抗測定器(型番:RESISTEST−8A、ナプソン株式会社製)によって測定した値とする。なお抵抗測定器での測定条件は、電圧レンジ:100V、電流レンジ:100mA(ミリアンペア)とした。
【0034】
次にターゲットの比重の測定方法について説明する。すなわち、前記体積抵抗値の測定法と同様に図1に示す様に、円盤状のターゲットの中心部(位置1)と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線状の外周近傍位置(位置2〜9)及びその半径方向の1/2の距離の位置(位置10〜17)から、それぞれ長さ15mm×幅15mmの寸法を有する試験片を採取し、これら17点の試験片についてそれぞれアルキメデス法により比重を測定し、これらの平均値を本発明で規定するターゲットの比重とする。この比重値を、例えばNb2O5の理論比重:4.47g/cm3に対する比率を計算して相対密度を測定することもできる。
【0035】
さらに、ターゲット表面全体としての比重のばらつきは、上記図1に示す17点から採取した試験片について測定された比重の最大値および最小値から、{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100の式に基づいて求めた値を示すものとする。
【0036】
上記のようなスパッタターゲットの製造方法は、特定の成形燒結プロセスを満足させる以外は、特に限定されるものではなく、公知の各種製法を適用して作製することができる。
【0037】
たとえば、以下のような工程で作製できる。すなわち、市販されているNb酸化物(Nb2O5)の粉末を用いて、カーボン製の成形型に所定量充填する。次に、常温で5MPa以上の加圧力を加えてバルク状の成形体を調製する。本工程では、ターゲット原料粉末を加圧してある程度の緻密さを有するバルク状の成形体とするものである。粉末状態のままで後述する真空加熱処理を実施した場合には、原料粉から酸素が過剰に抜けてしまい、所定の組成から大きく外れてしまう。また、加圧力が5MPa未満の場合には、成形体の密度が不十分と成り、ターゲットに所定の体積抵抗値を付与することが困難になる。
【0038】
次に上記のように得られた成形体を、10−4Tоrr(1.33×10−2Pa)以下の真空雰囲気中で温度300〜500℃で2〜10時間加熱することにより、成形体中の酸素含有量を調整する真空加熱処理工程を行う。上記温度および時間範囲の下限未満では、成形体からの酸素の抜けが不十分となる一方、上記範囲の上限を超える温度および時間では、酸素が過剰に抜けてしまい、所定の体積抵抗値を有するターゲットが得難くなる。
【0039】
上記真空加熱処理により、成形体の平均組成が絶縁体である原料粉のNb2O5からNb2Ox(但し、x<5)へと変化し焼結体とした場合に所定の体積低効率を有する導電体へと変化するのである。
【0040】
具体的にはホットプレス装置で原料粉を加圧成形して所定サイズの成形体を作製する。この時、最終的に得られる焼結体の比重のばらつきを所定の範囲に制御するためには、常温状態で5MPa以上の加圧力を付加して成形することが重要な操作となる。この理由は以下の通りである。すなわち、未燒結状態で予め成形体の開気孔を減少させ、焼結体の各部位での焼結速度を均質化する作用効果と、脱ガス(O2)量を均質化する作用効果とが得られる。この初期状態での加圧成形方法を採用しないでホットプレスを実施した場合には、成形体の外周部からの外部加熱方式による焼結であるため、ある程度の仮焼結状態ができていないと、熱伝導性が低くなり、成形体の外周表面部からの焼結が始めに進行し内部の焼結が極端に遅くなるため、脱ガス量も不均一となり、ターゲットに密度むらが発生する。
【0041】
上記加圧成形処理が完了した時点で、次にホットプレス装置内を9×10−4Torr(1.2×10−2Pa)以下の真空度となるように真空排気を実施する。この真空度に到達した後、加熱を開始し脱ガス処理を実施する。昇温速度は、最低5℃/minで脱ガス温度まで上昇させる。昇温速度が5℃/min未満である場合には酸素ガスが抜け出す速度が遅く製造上効率的ではない。
【0042】
上記脱ガス温度は、300℃〜500℃の範囲が好適であり、処理時間は2〜10時間の範囲が好ましい。この脱ガス処理は、所望のターゲット抵抗値を得るために行うものである。この温度時間範囲内で処理することにより、所定量のO2が除去され、焼結体が導電性を有することになる。
【0043】
上記脱ガス処理温度が300℃未満の場合にはO2が十分に除去されない一方、500℃を超える場合にも、成形体の表面部の焼結が先に進行してO2が除去されにくくなったり、もしくは真空度との関係でO2が過度に減少してしまったりするという現象が発生し、得られる焼結体の導電性が変化してしまう。
【0044】
次に、上記酸素含有量を調整した成形体を、500Tоrr以上のアルゴン(Ar)ガスなどの非酸化性雰囲気中でホットプレス処理することによりターゲット用の焼結体を形成する工程に移る。すなわち、上記脱ガス処理工程の後、ホットプレス装置内に500Torr以上となるようにArガスもしくは、N2ガスなどの非酸化性ガスを導入して、その雰囲気下のもと、少なくとも5℃/minの昇温速度で焼結温度まで到達させて、1000〜1300℃の温度範囲で緻密化焼結を実施する。この焼結時間は1〜5時間の範囲が好ましい。
【0045】
上記焼結温度および焼結時間範囲の下限未満では、緻密で高比重のターゲット焼結体が得られない一方、上記範囲の上限を超える焼結温度および焼結時間でホットプレス処理を実施しても緻密化の改善効果は少なく、却って焼結体の特性や組成の変動を招き易くなり、所定の体積抵抗値を有するターゲットが得られない。
【0046】
上記ホットプレスによる焼結が完了した時点で、ホットプレス装置の加圧状態を解除して、10℃/min以上の冷却速度で焼結体の強制冷却を行い所望のターゲット用焼結体を作製する。得られたターゲット用焼結体を所望のサイズに機械加工して、この焼結体を、Al系やCu系材料からなるバッキングプレートに一体に接合する。接合剤としては、InやSnなどの低融点成分を含有する各種ろう材が使用される。こうして、ターゲットが完成される。
【0047】
上記構成に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法によれば、特にニオブ酸化物からなるターゲット自体が所定の体積抵抗値を有し導電性を備え、比重およびそのばらつきが適正に制御されているため、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質のニオブ酸化膜を安定的に量産することが可能になる。
【0048】
また本発明に係るスパッタリングターゲットは完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、特に成膜速度を大きく設定でき、かつ放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に適用することが可能であり、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係るスパッタリングターゲットの実施形態について、以下の実施例を参照して具体的に説明する。
【0050】
実施例1
市販されている純度2N(99%)のNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填した。それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で10MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内を1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0051】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1150℃まで加熱し、その温度で3時間保持することにより緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体を強制冷却することにより、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmとなるように機械加工して、得られた円盤状の焼結体をCu製のバッキングプレートとソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0052】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。
【0053】
なお、上記膜厚のばらつきは、前記ターゲットの比重のばらつきと同様に、図1に示す17点の測定点に対応するガラス基板上に形成されたNb酸化膜の厚さを膜厚計にて測定すると共に、測定された膜厚の最大値および最小値から、{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100の式に基づいて求めた値を示すものとする。これらの測定結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填した。それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で20MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が7×10−5Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で500℃まで加熱して2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0055】
この後、ホットプレス装置内にN2ガスを500Torrの圧力となるまで導入し、5℃/minの昇温速度で1250℃まで加熱して、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施してターゲット用焼結体を作製した。さらに得られた焼結体を、直径127mm×5mm厚さに機械加工し、この焼結体とCu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0056】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填した後に、それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で5MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が5×10−5Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で300℃まで加熱して3時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0058】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1050℃まで加熱し、その温度で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力20MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工した後に、この焼結体とCu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0059】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0060】
実施例4
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で15MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で350℃まで加熱して、2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0061】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrとなるまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1000℃まで加熱して、その状態で2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体について強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を、直径127mm×厚さ5mmに機械加工した。この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0062】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0063】
実施例5
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で10MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で450℃まで加熱して、4時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0064】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1200℃まで加熱し2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0065】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0066】
比較例1
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理および脱ガス処理を実施せずに、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。次に10℃/minの昇温速度で1150℃まで上昇させて、2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0067】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を試行したが、ターゲットが体積抵抗値100Ωcmを超えた絶縁体であり放電が不可能であったため、DCスパッタ装置に代えて、高周波スパッタ装置(RFスパッタ装置)を使用してガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理を実施せずに、ホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気することにより脱ガス処理を実施した。次に、ホットプレス装置内にO2ガスを500Torrになるまで投入した。次に10℃/minの昇温速度で1100℃まで加熱し、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0069】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を試行したが、ターゲットが体積抵抗値100Ωcmを超えた絶縁体であり放電が不可能であったため、DCスパッタ装置に代えて、高周波スパッタ装置(RFスパッタ装置)を使用してガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0070】
比較例3
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で1MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で700℃まで上昇させて5時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0071】
次に、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。
【0072】
さらに、10℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱して、その状態で5時間保持することにより、緻密化焼結(圧力20MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0073】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0074】
比較例4
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で0.5MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が5×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱して10時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0075】
次に、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。
【0076】
さらに、10℃/minの昇温速度で1400℃まで加熱し、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、その焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0077】
比較例5
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理を実施せずに、ホットプレス装置内の真空度が5×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に、10℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し3時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0078】
次に、ホットプレス装置内にArガスを投入せずに、上記真空度に維持したままの状態で、10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱して、2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施し、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0079】
比較例6
実施例1において、初期状態での加圧成形処理を実施しない点以外は実施例1と同様な条件で脱ガス処理および緻密化焼結等を実施することにより、比較例6に係るターゲットを調製した。得られたターゲットについて、体積抵抗値、比重およびそのばらつきを測定すると共に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、実施例1と同一条件でスパッタリング操作を行い、ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を下記表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
上記表1に示す結果から明らかなように、初期状態での加圧成形処理を実施し、真空条件下で脱ガス処理した後にホットプレス処理して調製した各実施例に係るスパッタリングターゲットによれば、比重のばらつきが小さく、スパッタリング操作によって膜厚のばらつきが1%未満となるような極めて均質なニオブ酸化膜が効率的に形成できることが判明した。
【0082】
特に、各実施例に係るスパッタリングターゲットは、所定範囲の体積抵抗値を有する導電体で形成されているため、成膜速度が高い直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に適用することが可能であり、各比較例のものと比較して、成膜速度を大幅に高めることができた。また、長時間に渡りスパッタリング操作を継続しても、ターゲットに割れや破損は全く発生せず、優れた構造強度および耐久性を有することが確認できた。
【0083】
一方、初期状態での加圧成形処理を実施せず、また真空条件下での脱ガス処理を実施しないで調製した比較例1,2に係るスパッタリングターゲットにおいては、酸素成分が十分に抜けず、絶縁体のままであったため、直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)が適用できず、成膜速度が遅い高周波スパッタ法(RFスパッタ法)を採用せざるを得ず、成膜速度が大幅に低下すると共に、膜厚のばらつきが大きくなることが再確認できた。
【0084】
また、脱ガス工程での処理温度が高過ぎる比較例3,4に係るスパッタリングターゲットにおいては、酸素成分が部分的に過剰に抜けてしまうため、体積抵抗値が過小になり、さらに比重のばらつきも大きく、スパッタリング操作によって形成される膜厚のばらつきも大きくなり、均質なニオブ酸化膜の形成が困難になることが判明した。
【0085】
また、脱ガス工程に引き続いて緻密化焼結工程も高真空下で実施して形成された比較例5に係るスパッタリングターゲットにおいても、同様に酸素成分の過剰な抜け出しが多くなり、体積抵抗値および比重のばらつきの制御が困難になることが判明した。
【0086】
さらに、初期状態での加圧成形処理を実施しない点以外は実施例1と同様な条件で脱ガス処理および緻密化焼結等を実施することにより形成した比較例6に係るターゲットにおいては、各部位での焼結速度を均質化する作用効果と、脱ガス(O2)量を均質化する作用効果とが得られず、脱ガス量が不均一となり、密度むらが大きく発生した。
【0087】
また、各実施例および比較例に係るスパッタリングターゲットは、いずれもニオブ以外の金属不純物成分の含有量は1質量%以下であった。
【0088】
なお、本発明方法では、ニオブ酸化物成形体を真空下で加熱脱ガス処理して一部の酸素成分を抜き出し、ターゲットに所定の導電性(体積抵抗値)を付与している。しかし、この方法に代えて、ニオブ酸化物粉末とニオブ粉末とを均一に混合した原料粉末を成形・焼結した場合においては、ターゲット組織におけるニオブ酸化物とニオブ元素との混合状態が均一にならず、導電性(体積抵抗値)および比重の制御が困難であり、本発明で狙う特性は得られない。
【0089】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法によれば、特にニオブ酸化物からなるターゲット自体が所定の体積抵抗値を有して導電性を備え、比重およびそのばらつきが適正に制御されているため、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質のニオブ酸化膜を安定的に量産することが可能になる。
【0090】
また本発明に係るスパッタリングターゲットは完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、特に成膜速度を大きく設定でき、かつ放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に適用することが可能であり、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。また、本実施例ではDCスパッタ法によってのみ成膜したが、本発明のスパッタリングターゲットをDCスパッタ以外の方法(例えば、RFスパッタ)に用いてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリングターゲットの体積抵抗値および比重を測定するための試験片の採取個所を示す模式図であり、またこのターゲットを使用して形成した膜の特性を測定する個所を示す模式図でもある。
【符号の説明】
1〜17 試験片の採取個所または膜特性の測定個所
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタリングターゲットおよびその製造方法に係り、特に膜厚のばらつきが小さく均一性に優れたニオブ酸化膜を高い成膜速度で形成することが可能なスパッタリングターゲットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報関連技術の進展に伴って、特にディスプレイ技術分野の発達には顕著な成果が現れている。ディスプレイ機器の開発当初から今日に至るまでに主流を占めていたものは無論ブラウン管(陰極線管:CRT)である。一方、最近になって、特に薄型化や小型化に対応した新しいディスプレイ機器として、液晶表示素子やプラズマディスプレイが急速に普及している。その用途は、携帯電話やパーソナルコンピュ−ターのモニター、更には家庭用テレビやモバイル機器のモニターと適用応用分野を急速に拡大している。
【0003】
本来、上記のようなディスプレイ機器は、利用者がそれを見てディスプレイ上の情報を読み取るものであるから、当然そのディスプレイ上に表示された情報の見易さが第一の特性として要求される。しかしながら、利用者がディスプレイを観察する際に、利用者の背後からの光線がディスプレイ画面表面で反射することによって生じる背景の映り込みにより画像のコントラスト特性が低下し見易さが損なわれる原因となっている。このため、特に画面での表面反射を抑制することが必須の技術的要件になっている。そこで、ディスプレイ機器の表面部には、通常、各種の反射防止膜の形成処理が施されている。
【0004】
上記反射防止膜は、高低の屈折率を有する複数層の薄膜を光学設計により交互に積層して構成され、反射光を複数層の薄膜において干渉させて反射率を減衰させるメカニズムを有するものである。この反射防止膜の成膜方法としては、蒸着法や溶液法が主な手法となっていた。しかしながら、最近では、膜の生産能力と膜厚の制御性に優れ、安定的な高品位の膜質を得ることができる最適な手法として、スパッタ法が普及し始めてきている。
【0005】
上記スパッタ法は、放電ガスを導入した真空雰囲気中で、電極間に電圧を印加させてグロー放電を発生せしめ、この時プラズマ中の正イオンが加速されて陰極であるターゲット表面に衝突し、ターゲット成分原子をはじき出し、はじき出された原子を基板上に堆積させて所定の膜を形成する方法である。
【0006】
ここで上記高屈折率を有する材料としては、酸化チタン(TiO2)が広く使用される一方、低屈折率を有する材料としては酸化けい素(SiO2)が代表例として挙げられるが、最近では、特に高い屈折率を有する材料として、ニオブ(Nb)の酸化膜が多用化される傾向がある。
【0007】
上記Nb酸化膜の成膜方法としては、▲1▼Nbターゲットを用いて、ArとO2の混合ガス中でスパッタリングを行いターゲット成分と雰囲気ガス成分との反応によって酸化物や窒化物の膜を形成する反応性スパッタ法や▲2▼あらかじめNb膜を形成した後にプラズマ酸化させる手法や▲3▼Nb酸化物ターゲット等の絶縁物を用いて、電極間に高周波(RF)電圧を印加してターゲット上の正イオンの帯電による電位上昇を阻止しながら絶縁物の膜を形成する高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)が好適な成膜方法として挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記反射防止膜は、屈折率が異なる薄膜を複数層にわたって積層して構成されているため、個々の製品としての反射防止膜を完成させるためには多大な成膜時間が必要とされ、製品の製造コストを大きく押し上げるという問題点があった。
【0009】
特に、この薄膜が用いられる製品分野は、携帯電話や自動車、ディスプレイといった多品種で、かつ非常に大量生産を必要とする製品分野であるため、高効率で生産能力が高い成膜技術が要求される。しかしながら、従来のターゲットを用いて成膜する場合には、いずれも成膜速度が極めて遅いため生産性が低く、反射防止膜を使用した製品の製造コストが増大化してしまうことが問題点となっていた。
【0010】
また、高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)においては、電源設備が高価であり、全体の成膜設備費が増大する難点があると共に、放電電圧が不安定であり、成膜条件が安定した状態で均一な反射防止膜を量産することが困難であった。
【0011】
一方品質面では、以下のような問題が提起されている。すなわち、反射防止膜の屈折率は薄膜の膜厚に強く依存し、この膜厚の適否がディスプレイ画面での情報の見易さを左右することになるため、ユーザーはこの点を非常に重要視している。つまり、薄膜厚さのばらつきの大小が画像のコントラスト特性に大きな影響を及ぼすため極めて重要な特性になる。しかしながら、現在までの技術水準での膜厚のばらつきは、どの手法でも約1%と、未だに大きい難点があり、製品ユーザーとしては、薄膜厚のばらつきの更なる低減化を要求している現状である。
【0012】
本発明は、上記のような課題問題点に対処するためになされたものであり、特に膜厚のばらつきが1%以下となるように小さく均一性に優れたニオブ酸化膜を高い成膜速度で形成することが可能なスパッタリングターゲットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明者らは、上記目的を達成するため、成膜速度や膜厚のばらつきに影響を及ぼす因子について鋭意研究を進めた結果、ターゲットの不純物や結晶粒径、バルク抵抗(体積抵抗値)、比重およびそのばらつきなどが成膜速度、膜厚のばらつきに影響を及ぼす因子となっていることが判明した。そして、特にターゲット自体に所定範囲の体積抵抗値を付与して導電性をもたせ、さらに比重およびそのばらつきを適正に制御してスパッタリングターゲットを形成したときに、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質の反射膜を安定的に量産できるという知見を得た。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0014】
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲットは、実質的にニオブ酸化物から成るスパッタリングターゲットにおいて、室温での体積抵抗値が0.01mΩcm(=0.01×10−3Ωcm、単位「mΩ」は「ミリΩ」を示す)〜100Ωcmの範囲にあり、比重が4.4以上であり、ターゲット全体での比重のばらつきが30%以下であることを特徴とする。
【0015】
また上記スパッタリングターゲットにおいて、前記ニオブ酸化物の割合が95質量%以上であることが好ましい。上記ニオブ酸化物の割合が95質量%未満となると、反射膜として成膜した場合にニオブ酸化物としての反射特性が不十分となり、成膜全体において均一な特性が得られにくくなる。そのため、上記ニオブ酸化物の割合は95質量%以上であることが好ましいが、99質量%以上であることがより好ましい。
【0016】
さらに、前記ニオブ以外の金属不純物成分の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。スパッタリングターゲット中におけるニオブ以外の金属不純物成分の含有量が、1質量%を超える場合には、スパッタ時の成膜速度が大幅に低下するおそれがある。そのため、上記金属不純物成分の含有量は、1質量%以下とすることが望ましいが、0.5質量%以下とすることがより好ましい。なお、ニオブ以外の金属不純物成分には、ニオブ以外の金属単体(炭素および珪素含む)のみだけでなく、その化合物(酸化物、炭化物等)も含むものとする。
【0017】
また上記スパッタリングターゲットが直流2極スパッタ法に用いられるターゲットであることが成膜速度を高める観点から好ましい。なお、本発明に係るスパッタリングターゲットは五酸化ニオブ(Nb2O5)のような完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、高周波スパッタ法(RFスパッタ法)および直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)のいずれのスパッタ法にも適用できる。
【0018】
特に成膜速度を大きく設定でき、放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に本発明のターゲットを適用することにより、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0019】
本発明に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、ニオブ酸化物粉末を成形型に充填し常温で5MPa以上の圧力を加えて成形体を調製する工程と、得られた成形体を、10−4Tоrr(1.33×10−2Pa)以下の真空雰囲気中で温度300〜500℃で2〜10時間加熱することにより、成形体中の酸素含有量を調整する工程と、酸素含有量を調整した成形体を、500Tоrr(6.65×104Pa)以上の非酸化性雰囲気中でホットプレス処理することにより焼結体を形成する工程を備えることを特徴とする。
【0020】
また上記スパッタリングターゲットの製造方法において、前記ホットプレス処理時の焼結温度が1000〜1300℃の範囲であり、焼結時間が1〜5時間であることが好ましい。さらに、前記ホットプレス処理時の昇温速度が5℃/min以上であることが好ましい。また、前記ホットプレス処理後における焼結体の冷却速度が10℃/min以上であることが好ましい。
【0021】
本発明に係るスパッタリングターゲットにおいては、導電性がない絶縁体であるNb2O5のようなニオブの5酸化物ではなく、これより酸素含有割合を低減することにより、ある程度の導電性を付与したニオブ酸化物によりターゲットを構成し、もって成膜速度が大きいDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)による成膜を可能にしている。
【0022】
ここでDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)は、導電体から成るターゲットを陰極として、この陰極と陽極とから成る2極冷陰極間に直流電圧を印加してグロー放電を発生せしめて、スパッタ現象を利用して導電性を有する薄膜を形成する方法である。
【0023】
各成膜方法において、Nb酸化物の成膜速度を高めるためには、一般的に、投入電力を大きくしたり、ガス圧を高くしたりするなどの対策が考えられる。ところが、いずれの対策を実施した場合においても、大きな改善効果が確認されず、むしろ、膜中の酸素濃度に大きなばらつきを生じたり、膜へダメージを与えたりするため、膜で形成した反射膜の屈折率が低下するなどの問題が発生してしまう。
【0024】
またDCスパッタ法(直流2極スパッタ法)において、成膜速度を低下させる要因は、成膜時に用いられる酸素(O2)ガスである。すなわち酸化物を成膜する場合、ポイズンモードと呼ばれる状態が形成されやすい。つまり、ターゲット表面が酸素ガスによって完全に酸化され、そのターゲット表面に形成された薄い酸化層にArやO2が衝突して酸化物薄膜を形成すると考えられている。その際、O2の原子量が小さいため、ターゲットに対する衝突エネルギーも小さくなり、必然的に成膜速度が低下してしまう。
【0025】
一方、高周波スパッタ法(RFスパッタリング法)の場合では、酸化物ターゲットを用いるとともに高周波をエネルギー源として使用し、ArもしくはO2を少量アシストして成膜する方法であるが、成膜速度を上げるために投入電力を上昇させようとすると、ターゲット(TG)が破損し易くなるという問題が発生する。そのため、Nb酸化物ターゲットとしては、相対密度が70%程度のものが主流として使用されていた。上記のような破損現象は、DCスパッタ法においても同様に観察される。また、RFスパッタ法であるため、成膜効率がDCスパッタ法と比較して大幅に劣ることが難点である。一方、長所としては、DCの反応性スパッタ法と比較して、ターゲット自体に酸素が含まれているため、最少量のO2を使用することにより高い屈折率を有する膜を形成することが可能になるという点である。
【0026】
そこで、本発明者らは、双方のスパッタ方式の長所を兼ね備えたターゲットとして、DCスパッタ法が適用できるNb酸化物ターゲットの作製に取り組んだ。上記のようなDCスパッタ法が適用できるNb酸化物ターゲットの必須要件として種々検討した結果、ターゲットの体積抵抗値が室温(25℃)で100Ωcm〜0.01mΩcmの範囲であることが重要であることを見出した。更に適正な導電性および成膜速度を実現するために、上記体積抵抗値は50Ωcm〜0.05mΩcmの範囲が好ましい。さらに好ましくは10Ωcm〜0.1mΩcmの範囲である。
【0027】
上記ターゲットの体積抵抗値が0.01mΩcm未満であると、ターゲット中の酸素量が不足した状態となりスパッタリング雰囲気中のO2ガスの流量を増加させないと透明で高い屈折率を有する薄膜(ニオブ酸化膜)を形成することが不可能になり、O2ガスの流量を増加させると成膜速度が著しく低下することが確認された。一方、上記体積抵抗値が100Ωcmを超える場合には、ターゲットにほとんど導電性が付与されないことから、DCスパッタ操作が不可能になり、RFスパッタでは成膜速度が低下することが判明した。
【0028】
また上記ターゲットを用いて形成した膜の厚さのばらつきについて種々検討した結果、ターゲット各所での比重(相対密度)とそのばらつきが、製造した膜厚のばらつきと密接な関係を有することが判明した。
【0029】
すなわち、製造するNb酸化膜の膜厚のばらつきを少なくするため、特に膜厚のばらつきを1%以下とするためには、ターゲットの比重の平均値が4.4以上であることが必要である。またターゲットの相対密度は、90%以上であることが必要である。さらに、相対密度は、93%以上が好ましい。さらに、相対密度は、95%以上であることがさらに好ましい。
【0030】
上記ターゲットの比重の平均値が4.4未満である場合には、気孔や欠陥が多く、ターゲットの構造強度が低下してスパッタ時に破損する割合が増加してしまうからである。
【0031】
またターゲット各部に対応する成膜部における成膜速度を均一にするために、ターゲット全体の比重のばらつきは、30%以下とすることが必要である。更に上記成膜速度の均一化を図るために、上記比重のばらつきは、20%以下がさらに好ましい。さらには、15%以下のばらつきが尚好ましい。
【0032】
上記ターゲット全体の比重のばらつきが、30%を超える場合には、ターゲット内で比重(密度)が高い部分と低い部分とで、電圧の付加状態が変化してしまうため、成膜速度が変化し大きくばらついてしまう。更に比重が低い部位では、電子がチャージされ異常放電を引き起こし易くなることもある。
【0033】
ここで本発明に係るスパッタリングターゲットで規定する体積抵抗値については、以下に示す方法により測定した値を示すものとする。すなわち、図1に示す様に、例えば円盤状のターゲットの中心部(位置1)と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線状の外周近傍位置(位置2〜9)及びその半径の1/2の距離の位置(位置10〜17)から、それぞれ長さ15mm×幅15mmの寸法を有する試験片をそれぞれ採取し、これら17点の試験片についてそれぞれバルク抵抗を測定し、これらの平均値を本発明で規定する体積抵抗値とする。バルク抵抗は、四探針抵抗測定器(型番:RESISTEST−8A、ナプソン株式会社製)によって測定した値とする。なお抵抗測定器での測定条件は、電圧レンジ:100V、電流レンジ:100mA(ミリアンペア)とした。
【0034】
次にターゲットの比重の測定方法について説明する。すなわち、前記体積抵抗値の測定法と同様に図1に示す様に、円盤状のターゲットの中心部(位置1)と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線状の外周近傍位置(位置2〜9)及びその半径方向の1/2の距離の位置(位置10〜17)から、それぞれ長さ15mm×幅15mmの寸法を有する試験片を採取し、これら17点の試験片についてそれぞれアルキメデス法により比重を測定し、これらの平均値を本発明で規定するターゲットの比重とする。この比重値を、例えばNb2O5の理論比重:4.47g/cm3に対する比率を計算して相対密度を測定することもできる。
【0035】
さらに、ターゲット表面全体としての比重のばらつきは、上記図1に示す17点から採取した試験片について測定された比重の最大値および最小値から、{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100の式に基づいて求めた値を示すものとする。
【0036】
上記のようなスパッタターゲットの製造方法は、特定の成形燒結プロセスを満足させる以外は、特に限定されるものではなく、公知の各種製法を適用して作製することができる。
【0037】
たとえば、以下のような工程で作製できる。すなわち、市販されているNb酸化物(Nb2O5)の粉末を用いて、カーボン製の成形型に所定量充填する。次に、常温で5MPa以上の加圧力を加えてバルク状の成形体を調製する。本工程では、ターゲット原料粉末を加圧してある程度の緻密さを有するバルク状の成形体とするものである。粉末状態のままで後述する真空加熱処理を実施した場合には、原料粉から酸素が過剰に抜けてしまい、所定の組成から大きく外れてしまう。また、加圧力が5MPa未満の場合には、成形体の密度が不十分と成り、ターゲットに所定の体積抵抗値を付与することが困難になる。
【0038】
次に上記のように得られた成形体を、10−4Tоrr(1.33×10−2Pa)以下の真空雰囲気中で温度300〜500℃で2〜10時間加熱することにより、成形体中の酸素含有量を調整する真空加熱処理工程を行う。上記温度および時間範囲の下限未満では、成形体からの酸素の抜けが不十分となる一方、上記範囲の上限を超える温度および時間では、酸素が過剰に抜けてしまい、所定の体積抵抗値を有するターゲットが得難くなる。
【0039】
上記真空加熱処理により、成形体の平均組成が絶縁体である原料粉のNb2O5からNb2Ox(但し、x<5)へと変化し焼結体とした場合に所定の体積低効率を有する導電体へと変化するのである。
【0040】
具体的にはホットプレス装置で原料粉を加圧成形して所定サイズの成形体を作製する。この時、最終的に得られる焼結体の比重のばらつきを所定の範囲に制御するためには、常温状態で5MPa以上の加圧力を付加して成形することが重要な操作となる。この理由は以下の通りである。すなわち、未燒結状態で予め成形体の開気孔を減少させ、焼結体の各部位での焼結速度を均質化する作用効果と、脱ガス(O2)量を均質化する作用効果とが得られる。この初期状態での加圧成形方法を採用しないでホットプレスを実施した場合には、成形体の外周部からの外部加熱方式による焼結であるため、ある程度の仮焼結状態ができていないと、熱伝導性が低くなり、成形体の外周表面部からの焼結が始めに進行し内部の焼結が極端に遅くなるため、脱ガス量も不均一となり、ターゲットに密度むらが発生する。
【0041】
上記加圧成形処理が完了した時点で、次にホットプレス装置内を9×10−4Torr(1.2×10−2Pa)以下の真空度となるように真空排気を実施する。この真空度に到達した後、加熱を開始し脱ガス処理を実施する。昇温速度は、最低5℃/minで脱ガス温度まで上昇させる。昇温速度が5℃/min未満である場合には酸素ガスが抜け出す速度が遅く製造上効率的ではない。
【0042】
上記脱ガス温度は、300℃〜500℃の範囲が好適であり、処理時間は2〜10時間の範囲が好ましい。この脱ガス処理は、所望のターゲット抵抗値を得るために行うものである。この温度時間範囲内で処理することにより、所定量のO2が除去され、焼結体が導電性を有することになる。
【0043】
上記脱ガス処理温度が300℃未満の場合にはO2が十分に除去されない一方、500℃を超える場合にも、成形体の表面部の焼結が先に進行してO2が除去されにくくなったり、もしくは真空度との関係でO2が過度に減少してしまったりするという現象が発生し、得られる焼結体の導電性が変化してしまう。
【0044】
次に、上記酸素含有量を調整した成形体を、500Tоrr以上のアルゴン(Ar)ガスなどの非酸化性雰囲気中でホットプレス処理することによりターゲット用の焼結体を形成する工程に移る。すなわち、上記脱ガス処理工程の後、ホットプレス装置内に500Torr以上となるようにArガスもしくは、N2ガスなどの非酸化性ガスを導入して、その雰囲気下のもと、少なくとも5℃/minの昇温速度で焼結温度まで到達させて、1000〜1300℃の温度範囲で緻密化焼結を実施する。この焼結時間は1〜5時間の範囲が好ましい。
【0045】
上記焼結温度および焼結時間範囲の下限未満では、緻密で高比重のターゲット焼結体が得られない一方、上記範囲の上限を超える焼結温度および焼結時間でホットプレス処理を実施しても緻密化の改善効果は少なく、却って焼結体の特性や組成の変動を招き易くなり、所定の体積抵抗値を有するターゲットが得られない。
【0046】
上記ホットプレスによる焼結が完了した時点で、ホットプレス装置の加圧状態を解除して、10℃/min以上の冷却速度で焼結体の強制冷却を行い所望のターゲット用焼結体を作製する。得られたターゲット用焼結体を所望のサイズに機械加工して、この焼結体を、Al系やCu系材料からなるバッキングプレートに一体に接合する。接合剤としては、InやSnなどの低融点成分を含有する各種ろう材が使用される。こうして、ターゲットが完成される。
【0047】
上記構成に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法によれば、特にニオブ酸化物からなるターゲット自体が所定の体積抵抗値を有し導電性を備え、比重およびそのばらつきが適正に制御されているため、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質のニオブ酸化膜を安定的に量産することが可能になる。
【0048】
また本発明に係るスパッタリングターゲットは完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、特に成膜速度を大きく設定でき、かつ放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に適用することが可能であり、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係るスパッタリングターゲットの実施形態について、以下の実施例を参照して具体的に説明する。
【0050】
実施例1
市販されている純度2N(99%)のNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填した。それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で10MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内を1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し、2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0051】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1150℃まで加熱し、その温度で3時間保持することにより緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体を強制冷却することにより、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmとなるように機械加工して、得られた円盤状の焼結体をCu製のバッキングプレートとソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0052】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。
【0053】
なお、上記膜厚のばらつきは、前記ターゲットの比重のばらつきと同様に、図1に示す17点の測定点に対応するガラス基板上に形成されたNb酸化膜の厚さを膜厚計にて測定すると共に、測定された膜厚の最大値および最小値から、{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100の式に基づいて求めた値を示すものとする。これらの測定結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填した。それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で20MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が7×10−5Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で500℃まで加熱して2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0055】
この後、ホットプレス装置内にN2ガスを500Torrの圧力となるまで導入し、5℃/minの昇温速度で1250℃まで加熱して、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施してターゲット用焼結体を作製した。さらに得られた焼結体を、直径127mm×5mm厚さに機械加工し、この焼結体とCu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0056】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填した後に、それをホットプレス装置内にセッティングし、常温度(25℃)で5MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が5×10−5Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で300℃まで加熱して3時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0058】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1050℃まで加熱し、その温度で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力20MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工した後に、この焼結体とCu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0059】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0060】
実施例4
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で15MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で350℃まで加熱して、2時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0061】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrとなるまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1000℃まで加熱して、その状態で2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体について強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を、直径127mm×厚さ5mmに機械加工した。この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0062】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0063】
実施例5
市販されている純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で10MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で450℃まで加熱して、4時間保持することにより、成形体中の一部の酸素を脱ガス処理した。
【0064】
この後、ホットプレス装置内にArガスを500Torrまで導入し、次に5℃/minの昇温速度で1200℃まで加熱し2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0065】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0066】
比較例1
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理および脱ガス処理を実施せずに、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。次に10℃/minの昇温速度で1150℃まで上昇させて、2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0067】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を試行したが、ターゲットが体積抵抗値100Ωcmを超えた絶縁体であり放電が不可能であったため、DCスパッタ装置に代えて、高周波スパッタ装置(RFスパッタ装置)を使用してガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理を実施せずに、ホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気することにより脱ガス処理を実施した。次に、ホットプレス装置内にO2ガスを500Torrになるまで投入した。次に10℃/minの昇温速度で1100℃まで加熱し、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0069】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を試行したが、ターゲットが体積抵抗値100Ωcmを超えた絶縁体であり放電が不可能であったため、DCスパッタ装置に代えて、高周波スパッタ装置(RFスパッタ装置)を使用してガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0070】
比較例3
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で1MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が1×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で700℃まで上昇させて5時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0071】
次に、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。
【0072】
さらに、10℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱して、その状態で5時間保持することにより、緻密化焼結(圧力20MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットについて、図1に示す17ヶ所における体積抵抗値を四探針測定器で測定するとともに、比重およびそのばらつきを測定した。
【0073】
しかる後に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0074】
比較例4
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を、直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングして、常温度(25℃)で0.5MPaの加圧力で成形し成形体とした。次にホットプレス装置内の真空度が5×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱して10時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0075】
次に、ホットプレス装置内にArガスを500Torrになるまで投入した。
【0076】
さらに、10℃/minの昇温速度で1400℃まで加熱し、その状態で3時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施して、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、その焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0077】
比較例5
実施例1で使用した市販の純度2NのNb酸化物粉末を直径140mmのカーボン製成形型に充填し、それをホットプレス装置内にセッティングした。次に、初期状態での加圧成形処理を実施せずに、ホットプレス装置内の真空度が5×10−4Torr以下になるまで真空排気した。次に、10℃/minの昇温速度で400℃まで加熱し3時間保持することにより脱ガス処理を実施した。
【0078】
次に、ホットプレス装置内にArガスを投入せずに、上記真空度に維持したままの状態で、10℃/minの昇温速度で800℃まで加熱して、2時間保持することにより、緻密化焼結(圧力30MPa)を実施した。その後、20℃/minの冷却速度で焼結体に強制冷却を実施し、ターゲット用焼結体を作製した。得られた焼結体を直径127mm×厚さ5mmに機械加工して、この焼結体と、Cu製のバッキングプレートとをソルダー接合した。このようにして得られたターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、出力:1kW,Ar流量:5sccm、O2流量:20sccmの条件下で、スパッタリング操作を行い、直径3インチのSiO2製ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0079】
比較例6
実施例1において、初期状態での加圧成形処理を実施しない点以外は実施例1と同様な条件で脱ガス処理および緻密化焼結等を実施することにより、比較例6に係るターゲットを調製した。得られたターゲットについて、体積抵抗値、比重およびそのばらつきを測定すると共に、このターゲットを直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に取り付けて、実施例1と同一条件でスパッタリング操作を行い、ガラス基板上に厚さ100nmのNb酸化膜を形成した。このNb酸化膜の成膜速度、屈折率および膜厚のばらつきを測定した。これらの測定結果を下記表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
上記表1に示す結果から明らかなように、初期状態での加圧成形処理を実施し、真空条件下で脱ガス処理した後にホットプレス処理して調製した各実施例に係るスパッタリングターゲットによれば、比重のばらつきが小さく、スパッタリング操作によって膜厚のばらつきが1%未満となるような極めて均質なニオブ酸化膜が効率的に形成できることが判明した。
【0082】
特に、各実施例に係るスパッタリングターゲットは、所定範囲の体積抵抗値を有する導電体で形成されているため、成膜速度が高い直流2極スパッタ装置(DCスパッタ装置)に適用することが可能であり、各比較例のものと比較して、成膜速度を大幅に高めることができた。また、長時間に渡りスパッタリング操作を継続しても、ターゲットに割れや破損は全く発生せず、優れた構造強度および耐久性を有することが確認できた。
【0083】
一方、初期状態での加圧成形処理を実施せず、また真空条件下での脱ガス処理を実施しないで調製した比較例1,2に係るスパッタリングターゲットにおいては、酸素成分が十分に抜けず、絶縁体のままであったため、直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)が適用できず、成膜速度が遅い高周波スパッタ法(RFスパッタ法)を採用せざるを得ず、成膜速度が大幅に低下すると共に、膜厚のばらつきが大きくなることが再確認できた。
【0084】
また、脱ガス工程での処理温度が高過ぎる比較例3,4に係るスパッタリングターゲットにおいては、酸素成分が部分的に過剰に抜けてしまうため、体積抵抗値が過小になり、さらに比重のばらつきも大きく、スパッタリング操作によって形成される膜厚のばらつきも大きくなり、均質なニオブ酸化膜の形成が困難になることが判明した。
【0085】
また、脱ガス工程に引き続いて緻密化焼結工程も高真空下で実施して形成された比較例5に係るスパッタリングターゲットにおいても、同様に酸素成分の過剰な抜け出しが多くなり、体積抵抗値および比重のばらつきの制御が困難になることが判明した。
【0086】
さらに、初期状態での加圧成形処理を実施しない点以外は実施例1と同様な条件で脱ガス処理および緻密化焼結等を実施することにより形成した比較例6に係るターゲットにおいては、各部位での焼結速度を均質化する作用効果と、脱ガス(O2)量を均質化する作用効果とが得られず、脱ガス量が不均一となり、密度むらが大きく発生した。
【0087】
また、各実施例および比較例に係るスパッタリングターゲットは、いずれもニオブ以外の金属不純物成分の含有量は1質量%以下であった。
【0088】
なお、本発明方法では、ニオブ酸化物成形体を真空下で加熱脱ガス処理して一部の酸素成分を抜き出し、ターゲットに所定の導電性(体積抵抗値)を付与している。しかし、この方法に代えて、ニオブ酸化物粉末とニオブ粉末とを均一に混合した原料粉末を成形・焼結した場合においては、ターゲット組織におけるニオブ酸化物とニオブ元素との混合状態が均一にならず、導電性(体積抵抗値)および比重の制御が困難であり、本発明で狙う特性は得られない。
【0089】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係るスパッタリングターゲットおよびその製造方法によれば、特にニオブ酸化物からなるターゲット自体が所定の体積抵抗値を有して導電性を備え、比重およびそのばらつきが適正に制御されているため、スパッタリング時における成膜速度が大幅に向上し、膜厚のばらつきも減少し、高品質のニオブ酸化膜を安定的に量産することが可能になる。
【0090】
また本発明に係るスパッタリングターゲットは完全な絶縁体ではなく、所定範囲の体積抵抗値を有し適度な導電性を有する酸化物から構成されているため、特に成膜速度を大きく設定でき、かつ放電電圧の安定性に優れた直流2極スパッタ法(DCスパッタ法)に適用することが可能であり、特性が優れた均一なスパッタ膜を効率的に、かつ容易に製造することが可能になり、反射膜等の酸化膜を使用した製品の製造コストを大幅に削減することが可能になる。また、本実施例ではDCスパッタ法によってのみ成膜したが、本発明のスパッタリングターゲットをDCスパッタ以外の方法(例えば、RFスパッタ)に用いてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリングターゲットの体積抵抗値および比重を測定するための試験片の採取個所を示す模式図であり、またこのターゲットを使用して形成した膜の特性を測定する個所を示す模式図でもある。
【符号の説明】
1〜17 試験片の採取個所または膜特性の測定個所
Claims (8)
- 実質的にニオブ酸化物から成るスパッタリングターゲットにおいて、室温での体積抵抗値が0.01mΩcm〜100Ωcmの範囲にあり、比重が4.4以上であり、ターゲット全体での比重のばらつきが30%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
- ニオブ酸化物の割合が95質量%以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- ニオブ以外の金属不純物成分の含有量が、1質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- 前記スパッタリングターゲットが直流2極スパッタ法に用いられるターゲットであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- ニオブ酸化物粉末を成形型に充填し常温で5MPa以上の圧力を加えて成形体を調製する工程と、得られた成形体を、10−4Tоrr以下の真空雰囲気中で温度300〜500℃で2〜10時間加熱することにより、成形体中の酸素含有量を調整する工程と、酸素含有量を調整した成形体を、500Tоrr以上の非酸化性雰囲気中でホットプレス処理することにより焼結体を形成する工程とを備えることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記ホットプレス処理時の焼結温度が1000〜1300℃の範囲であり、焼結時間が1〜5時間であることを特徴とする請求項5記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記ホットプレス処理時の昇温速度が5℃/min以上であることを特徴とする請求項5記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記ホットプレス処理後における焼結体の冷却速度が10℃/min以上であることを特徴とする請求項5記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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