JP2006298714A - 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルゴンガスを導入して直流プラズマを発生させる前のスパッタリング装置の真空容器内の到達真空度が5×10-5Paにまで達しなくても、スパッタリングによって得られる膜の比抵抗を3×10-3Ω・cmよりも小さくすることができる酸化亜鉛系酸化物焼結体およびそれを用いたスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される酸化物焼結体を用いてスパッタリングターゲットを作製する。作製したスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを実施して、透明導電膜を作製する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化亜鉛系透明導電膜の製造に用いる酸化物焼結体、該酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットおよび酸化亜鉛系透明導電膜に関する。得られる酸化亜鉛系透明導電膜は、例えば太陽電池の電極として用いることができる。
透明導電膜は、可視光領域で高い透過率と高い導電性を有し、液晶表示素子や太陽電池等のほか、各種受光素子の電極に利用されている。また、自動車用・建築材用の熱線反射膜・帯電防止膜や、冷凍ショーケースの防曇用透明発熱体等にも用いられるなど、透明導電膜は広範に利用されている。
このような透明導電膜としては、周期律表のホウ素族(第13族、第3B族)元素を一種以上ドーパントとして含む酸化亜鉛膜や、錫をドーパントとして含む酸化インジウム(In23)膜などが知られている。特に、錫をドーパントとして含む酸化インジウム膜はITO膜と称され、低抵抗の膜が容易に得られることからよく用いられている。
しかし、ITO膜は、主に用いる原料が希少金属であるインジウムであり、高価であるため、ITO膜の低コスト化には限界がある。また、インジウムは、資源埋蔵量が少なく、亜鉛鉱処理などの副産物として得られるに過ぎないため、ITO膜の生産量を大幅に増大させること、およびインジウムを安定供給することも困難である。
これに対して、酸化亜鉛 (ZnO)を主成分とし、周期律表のホウ素族(第13族、第3B族)元素を含む酸化亜鉛系透明導電膜は、主原料である亜鉛が極めて低価格であり、かつ埋蔵量、生産量ともに極めて多く、ITO膜のような資源枯渇や安定供給の問題がない。
そのため、酸化亜鉛系透明導電膜は、現在、主に、太陽電池用透明導電膜として利用されている。
酸化亜鉛系透明導電膜において、亜鉛よりも価数の大きい元素である、Al、Ga、In等のホウ素族(第13族、第3B族)元素やSi、Ge等の炭素族(第14族、第4B族)元素を添加すると、膜の比抵抗が小さくなる。このため、酸化亜鉛系透明導電膜においては、これらの元素を添加したものが用いられている。
かかる酸化亜鉛系透明導電膜の作製にはスパッタリング法が用いられる。しかしながら、ITO透明導電膜と比較すると、酸化亜鉛系透明導電膜について、スパッタリング法により低抵抗の膜を安定して製造することが難しい。すなわち、酸化亜鉛系酸化物に対してスパッタリング法を適用する際に、従来の添加元素であるAl、Ga、In等のホウ素族(第13族、第3B族)元素やSi、Ge等の炭素族(第14族、第4B族)元素を用いると、これらの添加元素は酸化されやすいことから、添加元素の酸化により透明導電膜の導電率が低下してしまう。
これに対しては、特許文献1において、直流プラズマを発生させる前のチャンバー内の到達真空度を5×10-5Pa以下の高真空にし、その後にアルゴンガスを導入してスパッタリングを行うことで添加元素の酸化を抑制しつつ、酸化亜鉛系透明導電膜を製造する方法が提案されている。
しかしながら、実際の製造においては、ガラス基板が大型化しており、5×10-5Pa以下の高真空にするためには装置が大がかりになるとともに、該真空度に到達させるまでの時間が長くなるという問題がある。該真空度に到達させるまでの時間が長くかかると生産効率が低下してしまう。また、樹脂基板を用いて成膜する場合には、樹脂基板から雰囲気中に分子が離脱してしまうため、該真空度に到達させること自体が技術的に難しい。
特開2000−40429
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、アルゴンガスを導入して直流プラズマを発生させる前のスパッタリング装置の真空容器内の到達真空度が5×10-5Paにまで達しなくても、スパッタリングによって得られる膜の比抵抗を3×10-3Ω・cmよりも小さくすることができる酸化亜鉛系酸化物焼結体およびそれを用いたスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明に係る酸化物焼結体は、一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される。
本発明に係るスパッタリングターゲットは、前記酸化物焼結体を平板状に加工し、冷却用金属板に貼り合わせて作製することができる。
本発明に係るスパッタリングターゲットを用いることにより、スパッタリング装置の真空容器内の圧力が1×10-4Pa以上という真空度のよくない状態で不活性ガスを該真空容器内に導入して、スパッタリングを行っても、3×10-3Ω・cm以下という小さい比抵抗を有する透明導電膜を得ることができる。
本発明に係る透明導電膜は、一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.03≦x≦0.25である)で表示される。
該透明導電膜は、例えば太陽電池の電極に用いるのに好適である。
本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜の製造方法は、一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットをスパッタリング装置の真空容器内に取り付け、該真空容器内の圧力が1×10-4Pa以上の状態で不活性ガスを該真空容器内に導入し、スパッタリングを行うことを特徴とする。前記不活性ガスとしては、例えばアルゴンガスを用いることができる。
本発明に係る酸化物焼結体をスパッタリングターゲットに用いれば、不活性ガスを導入する前のスパッタリング装置の真空容器内の圧力は1×10-4Pa以上であってもよいので、該真空容器内を真空引きする時間が短くなり、生産効率が向上するとともに、真空引きのための大がかりな装置も不要となる。また、ガラス基板の大型化にも対応することができる。さらに、樹脂基板を用いて成膜することも可能となる。
以下、本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜とそれを成膜するターゲットについて詳細に説明する。
従来用いられていた酸化亜鉛系透明導電膜の添加元素は、Al、Ga、In等のホウ素族(第13族、第3B族)元素やSi、Ge等の炭素族(第14族、第4B族)元素であり、Inを除いて酸化物としての抵抗が高く、かつ、酸化されやすい元素である。
一方、Ti、ZrやHfなどの酸化物は、スパッタリング法での成膜速度が遅く、ZnOと混合焼結して得たスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを実施しても、ターゲット組成と膜組成が大きくずれ、低抵抗の膜が得られにくいと思われていた。
しかしながら、本発明者が、ZnOターゲット上に金属TiやHfのチップを置いてスパッタリングを行い、膜を作製してみたところ、成膜速度が遅くなることなく、低抵抗の膜が得られた。本発明者は、TiやHfは、酸素欠陥を導入しやすく、かつ、酸素欠陥を導入することにより導電性が得られる酸化物を形成する元素であると考え、他の元素についても酸化亜鉛へ添加することを検討した。具体的には、Nb、Ta、Ti、Hf、Inなどを添加した酸化亜鉛系焼結体ターゲットを作製し、検討したが、Nb、Ta、Inは酸化亜鉛と化合物を形成してしまうため、得られた膜の導電性が向上しなかった。
一方、TiとHfを添加した酸化亜鉛系焼結体ターゲットを用いると、到達真空度が5×10-5Paよりも1桁落ちる5×10-4Paで成膜した場合であっても、得られた膜は3×10-3Ω・cm以下の小さい比抵抗を示した。
本発明はこの知見に基づき完成されたものである。
本発明に係る酸化物焼結体は、一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される。
添加元素としてTiおよび/またはHfを使用することにより、到達真空度が5×10-5Paよりも1桁落ちる5×10-4Paでスパッタリング法により成膜した場合であっても、3×10-3Ω・cm以下の小さい比抵抗の透明導電膜を得ることができる。
本発明に係る酸化物焼結体におけるTiおよび/またはHfの原子比xは、0.05以上0.40以下であることが必要であり、好ましくは、0.10以上0.30以下である。
酸化物焼結体におけるTiおよび/またはHfの原子比xが0.05未満では、スパッタリング法により成膜して得られる透明導電膜中に含有されるTiおよび/またはHfの原子比xが0.03未満となり、得られる透明導電膜の比抵抗が3.0×10-3Ω・cmを上回ってしまう。また、酸化物焼結体におけるTiおよび/またはHfの原子比xが0.40を上回ると、スパッタリング法により成膜して得られる透明導電膜中に含有されるTiおよび/またはHfの原子比xが0.25を上回り、得られる透明導電膜の比抵抗が3.0×10-3Ω・cmを上回ってしまうとともに、透明導電膜の成膜速度が0.10nm/minを下回ってしまい、生産効率も悪くなる。
本発明に係る透明導電膜は、一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.03≦x≦0.25である)で表示され、例えば、前記した本発明に係る酸化物焼結体をスパッタリングターゲットに用いてスパッタリング法により成膜することによって得ることができる。
本発明に係る透明導電膜におけるTiおよび/またはHfの原子比xは、0.03以上0.25以下であることが必要であり、好ましくは、0.07以上0.15以下である。
酸化亜鉛系透明導電膜におけるTiおよび/またはHfの原子比xが0.03未満では、酸化亜鉛系透明導電膜の比抵抗が3×10-3Ω・cmより大きくなってしまう。また、原子比xが0.25を上回ると、酸化亜鉛系透明導電膜の比抵抗が3×10-3Ω・cmより大きくなってしまうとともに、スパッタリングによる成膜速度が0.10nm/minを下回ることとなってしまい、生産効率も悪くなる。
なお、本発明に係る酸化物焼結体におけるTiおよび/またはHfの原子比は、本発明に係る酸化物焼結体をスパッタリングターゲットに用いて成膜して得られる透明導電膜におけるTiおよび/またはHfの原子比よりも大きくなっている。これは、Ti原子およびTi酸化物、Hf原子およびHf酸化物がスパッタリングにより基板上へ堆積していく速度が、Zn原子およびZn酸化物より小さいため、スパッタリングターゲットにおける酸化物焼結体の組成において、目的とする透明導電膜の組成よりもTiO2やHfO2量を多くする必要があるからである。
次に、本発明に係る酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、透明導電膜の製造方法について説明する。
本発明に係る酸化物焼結体は、ZnO粉末と、TiO2粉末および/またはHfO2粉末とを適量秤量し、蒸留水を加えてボールミルなどで混合し、乾燥させた後、ホットプレス用の型に充填し、ホットプレスを行うことで製造することができる。各粉末の粒径は、0.5〜2.0μmが好ましい。
ホットプレス時の雰囲気条件は、真空中または不活性ガス中とし、非酸化性雰囲気とする。酸素分圧が極めて少ない非酸化性雰囲気中で焼結させることにより、混合した酸化物粉末中の酸素が雰囲気中へ移動する。その結果、酸素欠陥を有する酸化物焼結体を得ることができる。このようにして酸化物焼結体中に酸素欠陥を導入することにより、導電性を有する酸化物とすることができ、大面積の成膜が可能なDCスパッタリング法が使用できることとなる。
また、ホットプレス温度は、1250〜1450℃が好ましく、ホットプレス圧力は、15〜40MPa(153〜408kgf/cm2)が好ましく、ホットプレス時間は、0.5〜2.0時間が好ましい。
このようにして製造した酸化物焼結体を所定の形状に加工し、銅製のバッキングプレート等にメタルボンディング等によりボンディングすることで、本発明に係るスパッタリングターゲットを得ることができる。
そして、該スパッタリングターゲットを用いてDCスパッタリングを行うことにより、本発明に係る透明導電膜を得ることができる。
スパッタリングを行う際には、まずチャンバー内を所定の真空度まで減圧した後、スパッタガスとしてアルゴンガスをチャンバー内に導入する。アルゴンガスをチャンバー内に導入する前の到達真空度は5×10-4Pa以下とする。
酸化亜鉛系透明導電膜において従来から用いられている、Al、Ga、In等のホウ素族(第13族、第3B族)元素やSi、Ge等の炭素族(第14族、第4B族)元素を添加した酸化物焼結体をスパッタリングターゲットに用いた場合は、アルゴンガスをチャンバー内に導入する前の到達真空度を5×10-5Pa以下としないと得られる透明導電膜の比抵抗が大きくなってしまい、3×10-3Ω・cmを上回ってしまう。
これに対して、本発明のように添加元素としてTiおよび/またはHfを用い、所定量添加した場合は、アルゴンガスをチャンバー内に導入する前の到達真空度については5×10-4Pa以下とすれば、得られる透明導電膜の比抵抗は3×10-3Ω・cmより小さくなる。
スパッタリング条件としては、例えば、スパッタリング時のターゲット−基板間距離を60〜300mmとし、スパッタリングガス圧を0.1〜4.0Pa、特に好ましくは0.2〜2.0Paとすればよい。
ターゲット基板間距離については、ターゲット基板間距離が60mmよりも短くなると、基板がArプラズマに近づくため輻射熱によって基板温度が上昇してしまい樹脂基板などが使えなくなってしまうことや、プラズマに含まれる電子が基板に衝突してスパッタリングによって得られる膜に欠陥を生成し、抵抗が大きくなってしまうことのため、好ましくない。また、ターゲット基板間距離が300mmより長いと、成膜速度が遅くなってしまい、好ましくない。
スパッタリングガス圧については、スパッタリングガス圧が0.1Paより低いと、放電できなくなるので、好ましくない。また、スパッタリングガス圧が2.0Paより高いと、成膜速度が遅くなるので、好ましくない。
以下、本発明の実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1〜3)
市販のZnO粉末(白水化学製)とTiO2粉末(高純度化学製TIO11PB、3N、粒径2μm)を、一般式Zn1-xTixOにおいて、原子比xが0.10、0.25、0.35となるように適量秤量し、x=0.10のときを実施例1、x=0.25のときを実施例2、x=0.35のときを実施例3とした。そして、それぞれについて、蒸留水を加えてボールミルで混合し、乾燥させた後、カーボン製のホットプレス用の型に充填し、ホットプレスを行った。ホットプレス条件は、真空中で、温度を1300℃とし、ホットプレス圧力を19.6MPa(200kgf/cm2)とし、ホットプレス時間を1時間とした。
得られた焼結体を直径4インチ(101.6mm)、厚さ5mmの寸法に機械加工し、ターゲットを作製した。ターゲットは銅製のバッキングプレートにボンディングした。得られた焼結体の一部を取ってICP−AES(Inductively coupled plasma-Atomic emission spectroscopy、誘導結合プラズマ原子発光分光分析法)で分析した。分析結果を表1に示す。
次に、このターゲットを、図1に示すマグネトロンDCスパッタリング装置(アネルバ製SPF210H)に取り付けて、成膜を行った。
具体的には、ターゲット−基板間距離を90mmとした。そして、チャンバー内を所定の真空度まで減圧した後、スパッタガスとしてアルゴンガスをチャンバー内に導入した。アルゴンガスをチャンバー内に導入する前の到達真空度は5×10-4Paと5×10-5Paの2条件とした。
そして、前記到達真空度まで減圧を行った後、アルゴンガスをチャンバー内に導入してチャンバー内の全圧力を0.12Paにして、スパッタリングを行った。スパッタリングの際の投入電力はDC400Wとした。
基板にはソーダライムガラスを用い、基板に対しては意図的な加熱は行わなかった。得られる酸化物膜の膜厚については、500nm程度となるようにスパッタリングを行った。なお、スパッタリング中の放電はきわめて安定しておりDCスパッタリング法でも安定して成膜ができた。
成膜後、膜厚を触針式の膜厚測定装置を用いて測定し、成膜速度を算出した。また、透明導電膜の組成をICP−AESで測定し、比抵抗を4端針法で測定した。これらの測定結果を表1に示す。
(比較例1、2)
一般式Zn1-xTixOにおける原子比xが、x=0.03(比較例1)、x=0.50(比較例2)となるように秤量した以外は、実施例1〜3と同様にしてターゲットを作製するとともに、実施例1〜3と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
TiO2粉末をHfO2粉末(高純度化学製HFO01PB、98%、粒径2μm)に変え、一般式Zn1-xHfxOにおける原子比xが、x=0.10(実施例4)、x=0.25(実施例5)、x=0.35(実施例6)となるように秤量した。それ以外は、実施例1〜3と同様にしてターゲットを作製するとともに、実施例1〜3と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例3、4)
一般式Zn1-xHfxOにおける原子比xが、x=0.03(比較例3)、x=0.50(比較例4)となるように秤量した以外は、実施例4〜6と同様にしてターゲットを作製するとともに、実施例4〜6と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(従来例1)
添加元素を従来から用いられているAl23(高純度化学製ALO05PB、3N、粒径2〜3μm)に変え、一般式Zn1-xAlxOにおける原子比xが、x=0.1となるように秤量した以外は、実施例1〜3と同様にしてターゲットを作製するとともに、実施例1〜3と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 2006298714
表1からわかるように、添加元素がTiの場合(実施例1〜3、比較例1、2)およびHfの場合(実施例4〜6、比較例3、4)、スパッタリングを実施して得られた透明導電膜は、ターゲットとして用いた酸化物焼結体よりも添加元素(Ti、Hf)の原子比xが小さくなっている。一般的にスパッタリング法による成膜では、添加元素がAlである従来例1のように、ターゲット組成に近い組成の薄膜が得られる。しかし、Ti、Hfが添加されたターゲットを用いた場合、Ti原子およびTi酸化物、Hf原子およびHf酸化物が基板上に堆積していく速度はZn原子およびZn酸化物よりも小さい。このため、スパッタリングによって得られる透明導電膜におけるTi、Hfの原子比が、ターゲットに用いた酸化物焼結体における原子比よりも小さくなったものと思われる。
スパッタリングによって得られた透明導電膜の比抵抗については、添加元素がTiの場合(実施例1〜3、比較例1、2)、Hfの場合(実施例4〜6、比較例3、4)は、到達真空度が5×10-4Paの場合であっても、到達真空度が5×10-5Paの場合とほぼ同じである。これは、酸化チタンや酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムや酸化ケイ素よりも、少ない酸素欠損であっても導電性を示しやすいためであると思われる。これに対して、添加元素がAlの場合(従来例1)は、到達真空度の影響を大きく受けており、到達真空度が5×10-4Paの場合の透明導電膜の比抵抗(4.9×10-3Ω・cm)は、到達真空度が5×10-5Paの場合の透明導電膜の比抵抗(2.8×10-4Ω・cm)の18倍程度にまで大きくなっている。
また、透明導電膜の比抵抗の合否を判断する基準値については、透明導電膜の用途等に鑑み、3.0×10-3Ω・cmとする。本発明の範囲内の実施例1〜6は、到達真空度が5×10-5Paの場合も、到達真空度が5×10-4Paの場合も、透明導電膜の比抵抗は3.0×10-3Ω・cm未満となっている。これに対して、Ti、Hfの原子比が、本発明の下限値を下回る比較例1および3、本発明の上限値を上回る比較例2および4は、到達真空度が5×10-5Paの場合も、到達真空度が5×10-4Paの場合も、透明導電膜の比抵抗が3.0×10-3Ω・cmを上回っている。
透明導電膜の成膜速度の合否を判断する基準値については、透明導電膜の生産性等に鑑み、0.10nm/(W・min)とする。本発明の範囲内の実施例1〜6、ならびに酸化物焼結体におけるTi、Hfの原子比が0.03と本発明の下限値である0.05を下回っている比較例1および3は、透明導電膜の成膜速度が、0.10nm/(W・min)を上回っている。これに対して、酸化物焼結体におけるTi、Hfの原子比が、本発明の上限値である0.40を上回っている比較例2および4は、到達真空度が5×10-4Paの場合の透明導電膜の成膜速度がいずれも0.05nm/(W・min)と0.10nm/(W・min)を下回っている。さらに、表1の結果からわかるように、Ti、Hfの原子比が大きくなるほど透明導電膜の成膜速度が小さくなっているが、これは、Ti原子およびTi酸化物、Hf原子およびHf酸化物が基板上に堆積していく速度がZn原子およびZn酸化物よりも小さいためだと考えられる。
なお、添加元素がTi、Hfの場合においては、酸化導電膜における添加元素の原子比xは、到達真空度が5×10-5Paの場合、5×10-4Paの場合よりも、大きくなる傾向にある。これは到達真空度によりターゲット表面の酸化度が異なり、高真空の方がTiおよびHfの酸化度が低いため、スパッタリングされやすいためと思われる。また、酸化導電膜の成膜速度も、到達真空度が5×10-5Paの場合、5×10-4Paの場合よりも、大きくなる傾向にある。これも、酸化度の違いにより、高真空の方がTiおよびHfがZn格子に入りやすくなるためと思われる。
実施例1〜6、比較例1〜4、従来例1で使用したマグネトロンDCスパッタリング装置の概略図である。
符号の説明
1 真空チャンバー
2 ターゲット
3 直流電源
4 ガラス基板
5 供給管
6 マグネット

Claims (6)

  1. 一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される酸化物焼結体。
  2. 請求項1に記載の酸化物焼結体を平板状に加工し、冷却用金属板に貼り合わせたスパッタリングターゲット。
  3. 一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.03≦x≦0.25である)で表示される透明導電膜。
  4. 請求項3に記載の透明導電膜を電極に用いた太陽電池。
  5. 一般式Zn1-xxO(式中、AはTiおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を表し、xの値の範囲は、0.05≦x≦0.40である)で表示される酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットをスパッタリング装置の真空容器内に取り付け、該真空容器内の圧力が1×10-4Pa以上の状態で不活性ガスを該真空容器内に導入し、スパッタリングを行うことを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  6. 前記不活性ガスがアルゴンガスである請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
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