JP2017193755A - 透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜 - Google Patents

透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜 Download PDF

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Abstract

【課題】基板非加熱での成膜条件で、比抵抗値を安定させ、且つ低抵抗なITiO膜を成膜することができる透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜を提供する。【解決手段】低い比抵抗を有する透明導電膜の製造方法であって、インジウムとチタンと酸素を含有するスパッタリングターゲットを作製するスパッタリングターゲット作製工程S1と、スパッタリングターゲットを用いて基板に対して非加熱の状態でスパッタリング成膜を行う成膜工程S2と、成膜工程S2後に加熱処理を行う熱処理工程S3とを有し、成膜工程S2において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、高効率のシリコン系薄膜太陽電池を製造する際に表面電極として有用な、光吸収損失が低く、低抵抗である透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜に関する。
高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有する透明導電膜は、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に利用されており、その他にも、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等の各種防曇用の透明発熱体としても利用されている。
酸化インジウムに酸化チタンを添加した透明導電膜(以後、ITiO膜と略記する。)は、可視光領域だけでなく赤外線領域においても透過性に優れ、しかも低抵抗であるという特徴を有しており、太陽電池用の透明導電膜として有望視されている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、主として酸化インジウムからなり、チタンを含む酸化物焼結体において、チタンの含有量がTi/In原子数比で0.003〜0.120とする酸化物焼結体が記載されている。
また、特許文献3には、インジウム(In)および錫(Sn)のいずれか一方と、チタン(Ti)等の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、金属元素の総量の原子比(金属元素群より選ばれた全金属元素)/[(InまたはSn)+(金属元素群より選ばれた全金属元素)]が2.2〜40at%である酸化物膜からなる透明導電膜が記載されている。
また、特許文献4には、インジウム(In)と、チタン(Ti)等の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、金属元素の総量の原子比(全金属原子)/(In+全金属原子)が2.0〜40at%である酸化物焼結体が記載されている。
特開2004−168636号公報 特開2010−153386号公報 特開平9−150477号公報 特開平9−209134号公報
特許文献1や特許文献2では1mΩcm未満の比抵抗の透明導電膜が得られているものの、特許文献3や特許文献4に記載された透明導電膜では、特許文献1や特許文献2に記載された透明導電膜との組成には大きな差がないにも関わらず、1mΩcmを超える比抵抗となっており、成膜条件、環境によって透明導電膜の特性がばらついてしまうというという問題があった。
また、ITiOターゲットを用い、特許文献3、4に記載されているような、同条件(基板非加熱条件など)で、スパッタリングで成膜を行ったところ、比抵抗値が低抵抗にならないという事態が発生している。このような低抵抗にならない透明導電膜を結晶化させ、比抵抗値の低抵抗化を行うため、アニール処理を行ったが、同じ熱処理条件でのアニール処理の実施が、同じ成膜条件、環境で成膜を実施したITiO膜であっても、比抵抗値が低くなる膜、さらには高くなる膜が発生しており、比抵抗値が安定しないという問題があった。
またITiO膜をシリコン系太陽電池に適用する場合は、シリコン層へ直接成膜を行うため、ダメージを抑制する必要がある。特に熱のダメージが懸念される事から、200〜250℃程度でのプロセスが用いられていることが多く、そのため透明導電膜も出来るだけ低温で成膜する必要がある。そのため、透明導電膜についても基板非加熱での成膜が最も求められており、基板非加熱にて安定して低比抵抗の膜を得たいという課題がある。
特許文献1乃至4には、このような比抵抗値のばらつきに対する対策については記載されていない。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、基板非加熱での成膜条件で、比抵抗値を安定させ、且つ低抵抗なITiO膜を成膜することができる透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる従来技術の問題を解決するために、鋭意研究を重ね、シリコン系太陽電池に使用される透明導電膜として、種々の条件の検討を行った。その結果からスパッタリング開始時におけるスパッタリング装置チャンバー内の到達真空度を、特許文献3、4に記載されている「5.0×10−4Pa」といった高真空度に引くよりも、低い真空度、すなわち「10−3Pa台」の真空度の場合において低抵抗になるという実験結果が得られた。低い真空度での成膜により低抵抗になる理由について検討したところ、チャンバー内の残留水分が比抵抗への影響していることが疑われた。
しかしながら、低真空度による成膜条件制御(残留水分への依存)では、量産時におけるITiO膜の成膜条件の安定化は困難である。したがって、外部から適切量の水分を導入することで、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮することができ、かつ低抵抗の膜が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の一態様は、低い比抵抗を有する透明導電膜の製造方法であって、インジウムとチタンと酸素を含有するスパッタリングターゲットを作製するスパッタリングターゲット作製工程と、スパッタリングターゲットを用いて基板に対して非加熱の状態でスパッタリング成膜を行う成膜工程と、成膜工程後に加熱処理を行う熱処理工程とを有し、成膜工程において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、成膜時に適切量の水分を導入することで、比抵抗値を安定させ、且つ低抵抗なITiO膜を成膜することができる。
このとき、本発明の一態様では、Ti/(In+Ti)原子数比を0.0087以上0.026以下としても良い。
Tiの添加量を上記比率とすることで、高い導電性と低い抵抗値を有する透明導電膜を得ることができる。
また、本発明の一態様では、熱処理工程において、大気雰囲気にて少なくとも150℃以上で、20分以上加熱処理を行うことができる。
このような条件にすることで、アモルファス膜と結晶膜とが混在する膜の生成を防止することができる。
また、このとき、本発明の一態様では、加熱処理を150℃以上250℃以下で、20分以上70分以下としても良い。
経済的なメリットも考慮に入れた場合、上記条件範囲とすることが好ましい。
また、本発明の他の態様は、Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087以上0.026以下であり、含まれる水素濃度が5atoms/cm以上7atoms/cm以下であることを特徴とする透明導電膜である。
本発明の他の態様によれば、成膜時に適切量の水分を導入することで、一定量の水素を含有した透明導電膜は、比抵抗値のばらつきが少なく、且つ低抵抗である。
本発明によれば、基板非加熱での成膜条件で、比抵抗値を安定させ、低い比抵抗で、可視光〜近赤外領域における高い透過率を有する透明導電膜を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る透明導電膜の製造方法のプロセスの概略を示す工程図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.透明導電膜の製造方法
1−1.スパッタリングターゲット作製工程
1−2.成膜工程
1−3.熱処理工程
2.透明導電膜
<1.透明導電膜の製造方法>
図1に、本発明の一実施の形態に係る透明導電膜の製造方法のプロセスの概略を示す。本発明の一実施形態は、低い比抵抗を有する透明導電膜の製造方法であって、インジウムとチタンと酸素を含有するスパッタリングターゲットを作製するスパッタリングターゲット作製工程S1と、スパッタリングターゲットを用いて基板に対して非加熱の状態でスパッタリング成膜を行う成膜工程S2と、成膜工程S2後に加熱処理を行う熱処理工程S3とを有し、成膜工程S2において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることを特徴とする。
このように、成膜工程S2において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることで、成膜時に適切量の水分を導入することができ、これにより、比抵抗値を安定させ、且つ低抵抗なITiO膜を成膜することができる。以下、各工程を順にそれぞれ説明する。
(1−1.スパッタリングターゲット作製工程)
スパッタリングターゲット作製工程S1では、インジウムとチタンと酸素を含有するスパッタリングターゲットを作製する。
スパッタリングターゲットの作製方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定量のIn粉末とTiO粉末を混合し、その混合体を成形した後、加熱焼結してチタンを含有する酸化インジウム焼結体を作製する。作製された焼結体は適切な大きさに加工し、例えば、In系合金を用いて無酸素銅製のバッキングプレート等に貼り合わせてスパッタリング用ターゲットとする。
スパッタリングターゲット作製工程S1では、作製するスパッタリングターゲット中のチタン元素(Ti)が、Ti/(In+Ti)原子数比で0.0087以上0.026以下となるようにチタンを添加することが好ましい。
Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087未満であるとチタン添加による膜のキャリア電子の数と移動度の増大に効果がないため低抵抗膜が得られず、Ti/(In+Ti)原子数比が0.026を超えるとえられる膜のキャリア電子の移動度が著しく減少して導電率が低減となる。
(1−2.成膜工程)
成膜工程S2では、スパッタリングターゲット作製工程S1で作製したスパッタリングターゲットを用いて基板に対して非加熱の状態でスパッタリング成膜を行う。
上述した通り、本発明は、外部から適切量の水分を導入することで、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮することができ、かつ低抵抗の膜が得られることを見出したものである。具体的には、成膜工程S2において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることを特徴とする。
スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧が0.3Pa未満であるとスパッタ粒子の運動エネルギーが高すぎてスパッタ粒子による膜の再スパッタが行われ、表面の荒れた膜となり、0.8Paを超えるとスパッタ粒子の運動エネルギーが低すぎて、基板に到達したスパッタ粒子が基板上でマイグレーションされず、ガサガサで密度の低い膜しか得られず比抵抗が高い膜となる。
また、水蒸気のガス圧が0.003Pa未満であると膜中に含まれる水分量が少なく、膜中の結晶化温度がばらついてしまい比抵抗の安定しない膜となり、0.01Paを超えると結晶化温度が高くなり、アモルファス膜と結晶膜が混在する膜となることがある。
また、ITiO膜をシリコン系太陽電池等に適用する場合は、成膜時のダメージを抑制する必要があるため、基板は非加熱の状態で成膜を行う。
上述した条件以外の条件については特に限定はされず、例えば、マグネトロンスパッタ法等のスパッタリング法により成膜を行う。
(1−3.熱処理工程)
熱処理工程S3では、成膜工程S2後に加熱処理を行う。本発明では、基板は非加熱の状態で成膜を行うため、アモルファス膜(非晶質膜)を加熱処理することで結晶化させる。
熱処理工程S3では、少なくとも150℃以上で、20分以上加熱処理を行うことが好ましい。また、経済的効率を考慮に入れた場合には、加熱処理は、150℃以上250℃以下で、20分以上70分以下とすることが好ましい。
熱処理温度、熱処理時間は、熱処理温度が150℃未満であったり、熱処理時間が20分未満であったりすると、アモルファス膜と結晶膜が混在する膜となる。また、250℃を超える熱処理温度、70分を超える熱処理時間にしたとしても、比抵抗の低減効果や比抵抗バラつきの低減効果は頭打ちであり、加熱に要する電力量が多くなったり、加熱(昇温)時間が長くなったりするだけで、経済的な利点がない。なお、熱処理雰囲気は大気雰囲気とする。
<2.透明導電膜>
本発明の一実施の形態に係る透明導電膜は、Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087以上0.026以下であり、含まれる水素濃度が5atoms/cm以上7atoms/cm以下であることを特徴とする。このような透明導電膜は、本発明の一実施の形態に係る透明導電膜の製造方法により製造される。
上述した通り、成膜時に適切量の水分を導入することで、比抵抗値が安定しており、且つ低抵抗である透明導電膜を得ることができるが、このときの透明導電膜は、5〜7atoms/cmの水素を含有している。したがって、Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087以上0.026以下であり、含まれる水素濃度が5atoms/cm以上7atoms/cm以下である透明導電膜は、比抵抗値のばらつきが少なく、且つ低抵抗である。
以上、説明した透明導電膜の製造方法、及び透明導電膜は、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に好適に用いることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例では、以下の手順で酸化物透明導電膜を作製し、評価した。
所定量のIn粉末とTiO粉末を混合し、その混合体を成形した後、加熱焼結して、チタンを含有する酸化インジウム焼結体を作製した。得られた焼結体を直径8インチ、厚さ5mmに加工し、In系合金を用いて無酸素銅製のバッキングプレートに貼り合わせてスパッタリング用ターゲットとした。
(実施例1)
実施例1では、Ti/(In+Ti)原子数比が0.017となるように、In粉末にTiO粉末を1質量%添加してITiOスパッタリングターゲットを作製した。作製したITiOスパッタリングターゲットを直流マグネトロンスパッタリング装置の強磁性体ターゲット用カソードに取り付け、スパッタリングターゲットと対面に厚み0.7mmのコーニング製ガラス基板を取り付けた。スパッタリングターゲットと基板との距離は80mmとした。
チャンバー内の真空度が、2.0×10−4Pa以下に達した時点で、Arガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスと水蒸気をチャンバー内に導入し、アルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.6Pa、水蒸気の分圧を0.006Paとして、基板非加熱とし、直流投入電力1500Wをターゲットと基板の間に投入し、直流プラズマを発生させた。ターゲット表面のクリーニングのため10分間プリスパッタを行った後で、基板をターゲット中心の直上部に静止したまま、スパッタリング成膜を実施し、膜厚100nmのITiO膜を基板上に形成した。
得られた酸化物透明電極膜の組成をICP発光分析およびEPMAで定量分析した。また、薄膜(透明導電膜)の比抵抗は、四端針法抵抗率計LORESTAEP(三菱電機社製、MCP−T360型)で測定した。比抵抗値は5点測定し、その平均値とばらつきを算出した。
成膜中に水を添加して得られたITiO膜の比抵抗値は、3.70×10−4〜4.91×10−4Ω・cmであった。また、成膜後、200℃に加熱したオーブンに、成膜サンプルを投入し30分加熱をした後、比抵抗値を確認したところ、1.89×10−4〜3.10×10−4Ω・cmのITiO酸化物透明電極膜得られた。表1に実施例1の結果を示す。
(実施例2〜12)
実施例2〜12では、実施例1に対してITiO酸化物透明導電膜を成膜する際の条件を以下のように変更した。すなわち、実施例2〜4では、水蒸気の分圧を0.003Pa(実施例2)、0.008Pa(実施例3)、0.010Pa(実施例4)と変更し、実施例5、6では、アルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa(実施例5)、0.8Pa(実施例6)と変更し、実施例7、8では、Ti/(In+Ti)原子数比を0.0087(実施例7)、0.026(実施例8)と変更し、実施例9、10では、オーブンの加熱温度を150℃(実施例9)、250℃(実施例10)と変更し、実施例11、12では、成膜後の膜の加熱時間を20分(実施例11)、70分(実施例12)と変更した以外は実施例1と同様にしてITiO酸化物透明導電膜を作製した。表1に実施例2〜12の結果を示す。
表1の結果から適切量の水分を導入することで、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮することができ、比抵抗の値がより低抵抗でばらつきの小さな膜になることが確認できた。
(比較例1)
比較例1では、水蒸気を導入せずにArガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスのガス圧を0.6Paとしたこと以外は実施例1と同様にして、ITiO酸化物透明導電膜を基板上に形成した。
得られたITiO膜の比抵抗値は4.50×10−4〜6.00×10−4Ω・cmであった。また、比較例1の膜を実施例1と同じ条件でアニール処理したITiO膜の比抵抗値は、4.00×10−4〜5.45×10−4Ω・cmであった。表1に比較例1の結果を示す。
(比較例2〜9)
比較例2〜9では、実施例1に対して、ITiO酸化物透明導電膜を成膜する条件を以下のように変更した。すなわち、比較例2、3では、水蒸気の分圧を0.002Pa(比較例2)、0.015Pa(比較例3)と変更し、比較例4、5では、Ti/(In+Ti)原子数比を0.008(比較例4)、0.030(比較例5)と変更し、比較例6、7では、アルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.2Pa(比較例6)、1.0Pa(実施例7)と変更し、比較例8では、オーブンの加熱温度を140℃(比較例8)と変更し、比較例9では、サンプル加熱時間を10分(比較例10)と変更し、これらの成膜条件変更部分以外は実施例1と同様にしてITiO酸化物透明導電膜を作製した。表1に比較例2〜9の結果を示す。
実施例に対して比較例の膜は、比抵抗の値もばらつきも大きく、中には成膜後に熱処理を行っても比抵抗が変化しない膜もある。したがって、比抵抗の膜では、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮することが出来ない。
(参考例1、2)
参考例1、2では、実施例1に対して、ITiO酸化物透明導電膜を成膜する条件を以下のように変更した。すなわち、参考例1では、オーブンの加熱温度を280℃(参考例1)と変更し、参考例2では、サンプル加熱時間を100分(参考例2)と変更し、これらの成膜条件変更部分以外は実施例1と同様にしてITiO酸化物透明導電膜を作製した。表1に参考例1、2の結果を示す。
参考例1、2では、実施例と同様に低抵抗でばらつきの小さな膜が得られている。しかしながら、オーブンの加熱温度を280℃とした参考例1は、加熱温度を250℃とした実施例10とほとんど差がなく、また、サンプル加熱時間を100分とした参考例2は、加熱時間を70分とした実施例12とほとんど差がなかった。したがって、いたずらに加熱温度や加熱時間を増やしてもそれほど効果はなく、経済的な利点がないことが分かった。
(結晶化温度)
実施例1〜3の膜と、比較例1の膜(水蒸気を導入せずにArガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスのガス圧を0.6Paとしたこと以外は実施例1と同様)について(基板非加熱)の高温XRD測定を用い、結晶化の確認を実施した。
実施例1〜3の膜については、実施例1が185〜190℃であり、実施例2が175〜180℃であり、実施例3が190〜195℃であって、いずれも結晶化温度が170℃を超えた結果となった。比較例1についても同様に高温XRD測定を実施し、結晶化温度は室温との結果となった。しかし比較例1の膜は、膜中の場所によっては結晶化温度が170℃を超える箇所が測定され、膜の中で結晶化温度がばらついている結果となった。
以上の結晶化温度測定の結果から、適切量の水分を導入することで、膜全体の結晶化温度のばらつきが少なくなり、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮していることが確認出来た。
(SIMS分析)
実施例1の成膜条件で得た膜と、比較例1の成膜条件(水蒸気を導入せずにArガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスのガス圧を0.6Paとしたこと以外は実施例1と同様)で得た膜(基板非加熱)の、膜中に含まれる水素(H)濃度の確認をSIMS分析を用いて測定した。
その結果、チャンバー内に水蒸気を導入して成膜した実施例1で得た膜の水素濃度は、約5〜7atoms/cm程度含まれており、比較例1水蒸気を導入せずにArガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスのガス圧を0.6Paとしたこと以外は実施例1と同様に成膜した比較例1で得た膜の水素濃度は、約0.5〜0.7atoms/cmとなった。
この結果から水蒸気の導入により、ITiO膜に水素が含まれていることが確認された。そして水素(H)量の最適化により、良好なITiO膜を得られることが確認出来た。
本発明者らは、かかる従来技術の問題を解決するために、鋭意研究を重ね、シリコン系太陽電池に使用される透明導電膜として、種々の条件の検討を行った。その結果からスパッタリング開始時におけるスパッタリング装置チャンバー内の到達真空度を、特許文献3、4に記載されている「5.0×10−4Pa」といった高真空度に引くよりも、低い真空度、すなわち「10−3Pa台」の真空度の場合において低抵抗になるという実験結果が得られた。低い真空度での成膜により低抵抗になる理由について検討したところ、チャンバー内の残留水分が比抵抗影響していることが疑われた。
Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087未満であるとチタン添加による膜のキャリア電子の数と移動度の増大に効果がないため低抵抗膜が得られず、Ti/(In+Ti)原子数比が0.026を超えるとられる膜のキャリア電子の移動度が著しく減少して導電率が低減となる。
熱処理温度、熱処理時間は、熱処理温度が150℃未満であったり、熱処理時間が20分未満であったりすると、アモルファス膜と結晶膜が混在する膜となる。また、250℃を超える熱処理温度、70分を超える熱処理時間にしたとしても、比抵抗の低減効果や比抵抗値のばらつきの低減効果は頭打ちであり、加熱に要する電力量が多くなったり、加熱(昇温)時間が長くなったりするだけで、経済的な利点がない。なお、熱処理雰囲気は大気雰囲気とする。
得られた酸化物透明導電膜の組成をICP発光分析およびEPMAで定量分析した。また、薄膜(透明導電膜)の比抵抗は、四端針法抵抗率計LORESTAEP(三菱電機社製、MCP−T360型)で測定した。比抵抗値は5点測定し、その平均値とばらつきを算出した。
成膜中に水を添加して得られたITiO膜の比抵抗値は、3.70×10−4〜4.91×10−4Ω・cmであった。また、成膜後、200℃に加熱したオーブンに、成膜サンプルを投入し30分加熱をした後、比抵抗値を確認したところ、1.89×10−4〜3.10×10−4Ω・cmのITiO酸化物透明導電得られた。表1に実施例1の結果を示す。
実施例に対して比較例の膜は、比抵抗の値もばらつきも大きく、中には成膜後に熱処理を行っても比抵抗が変化しない膜もある。したがって、比較例の膜では、ITiO膜のポテンシャルを安定して発揮することが出来ない。
その結果、チャンバー内に水蒸気を導入して成膜した実施例1で得た膜の水素濃度は、約5〜7atoms/cm程度含まれており水蒸気を導入せずにArガスに10体積%のOガスを混合した混合ガスのガス圧を0.6Paとしたこと以外は実施例1と同様に成膜した比較例1で得た膜の水素濃度は、約0.5〜0.7atoms/cmとなった。

Claims (5)

  1. 低い比抵抗を有する透明導電膜の製造方法であって、
    インジウムとチタンと酸素を含有するスパッタリングターゲットを作製するスパッタリングターゲット作製工程と、
    前記スパッタリングターゲットを用いて基板に対して非加熱の状態でスパッタリング成膜を行う成膜工程と、
    前記成膜工程後に加熱処理を行う熱処理工程とを有し、
    前記成膜工程において、スパッタリング時のアルゴン、酸素、水蒸気からなる混合ガスのガス圧を0.3Pa以上0.8Pa以下とし、かつ水蒸気のガス圧を0.003Pa以上0.01Pa以下とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
  2. 前記スパッタリングターゲットは、Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087以上0.026以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 前記熱処理工程において、大気雰囲気にて少なくとも150℃以上で、20分以上加熱処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 前記加熱処理を150℃以上250℃以下で、20分以上70分以下とすることを特徴とする請求項3に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. Ti/(In+Ti)原子数比が0.0087以上0.026以下であり、含まれる水素濃度が5atoms/cm以上7atoms/cm以下であることを特徴とする透明導電膜。
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