JP5134382B2 - スパッタリング複合ターゲット - Google Patents

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本発明は、スパッタリング複合ターゲッに関し、詳しくは、電気抵抗が低く、良好な導電性を有する酸化亜鉛(ZnO)系の透明導電膜の製造に好適なスパッタリング複合ターゲッに関する。
近年、太陽電池や、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」という。)等には、In系(例えばIn−SnO系、以下「ITO」という)膜やZnO系(例えばZnO−Al系、以下「AZO」という)膜が使用されている。
これらの透明導電膜を形成する方法としては、スパッタリングターゲットを原料として、基板上にスパッタリング法によって透明導電膜を形成する方法が知られている(例えば特許文献1)。
ITOは、比抵抗が低いので透明導電膜として多く使用されているが、主成分であるInは高価であり、また、資源として希少である等の問題があることから、近年では、ZnO系の透明導電膜の開発が盛んに行われている。
ZnO系の透明導電膜は、ZnOにAlをドープしたAZOを中心として、様々な種類の添加剤や成膜方法等が検討されているが、成膜安定性、導電安定性の点では、未だITOに及ばず、透明導電膜の主流はITO系に譲っているのが現状である。
ZnO系の透明導電膜は、ドープする添加剤と共に、酸素欠陥が導電性キャリアとして重要な役割を担うため、透明導電膜の抵抗を低くくし、導電安定性を向上させるためには、成膜中の酸素量(酸素欠陥量)の調整が重要な事項となっている。
透明導電膜中の酸素量を調整する方法としては、透明導電膜の組成を成分として有する酸化物系ターゲットとB等を含むスパッタガスとを用いて、水素を含む還元性雰囲気中でスパッタし、透明導電膜中にホウ素をドープする方法が挙げられる(特許文献2)。
また、酸化亜鉛粉末に酸化ガリウム粉末を添加した混合粉末を所定の温度で焼結し、その後還元して、酸素欠陥を有するスパッタリングターゲット用ZnO−Ga系焼結体を得て、このスパッタリングターゲットを用いて、GZO膜を形成する方法が挙げられる(特許文献3,4)。
また、酸化物をスパッタリングターゲットとして用い、不活性ガスに水素及び/又は有機ガスを導入した雰囲気中で、直流電力に高周波電力を重畳したスパッタ電圧を用いたマグネトロンスパッタリング法により、酸化過剰な状態を抑制して、抵抗率や抵抗分布が改善された透明導電膜を製造する方法が挙げられる(特許文献5)。
特開平6−172995号公報 国際公開第92/18990号パンフレット 特開平10−297966号公報 特開平10−297962号公報 特開2007−154255号公報
しかし、上記特許文献3及び4に記載されているように、酸素欠陥を有するスパッタリングターゲットを用いてZnO系の透明導電膜を形成すると、スパッタの初期段階では、成膜中への酸素欠陥の導入が確保されるものの、スパッタする時間が長くなるにつれて成膜中に導入されない残留酸素が逆にターゲット中に導入されるようになり、成膜中に導入される酸素欠陥量を長期的に一定に保つことが困難となる。
また、上記特許文献2及び5に記載されているように、スパッタガスに還元性ガス(水素等を含む還元性雰囲気)を用いてZnO系の透明導電膜を形成すると、必然的に還元性雰囲気中に含まれる水素イオンがターゲットに打ち込まれることになり、スパッタする時間の変化(長短)によって、ターゲット及びスパッタ雰囲気の変化を回避できず、ターゲット及びスパッタ雰囲気の変化により、透明導電膜中に導入される酸素欠陥量を長期的に一定に保つことが困難となる。
スパッタリングは、通常、真空にしたチャンバー内に基板及びターゲットを設置して行われるが、チャンバー内を真空にするために、例えばクライオポンプ等のためこみ式ポンプ(固体表面に気体分子を吸着して気相から気体分子を除去する形式のポンプ)が使用される。還元性雰囲気でスパッタリングを行うと、還元性雰囲気中に含まれる水素ガスの影響によりクライオポンプの再生間隔を短くする必要があり、効率的な成膜が困難になるという問題もある。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたものであり、安定して一定量の酸素欠陥を透明導電膜に導入することができ、光透過率が良好であり、低い電気抵抗及び良好な導電性を有する透明導電膜を形成するスパッタリング複合ターゲッを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、酸化亜鉛と炭素分とを併用することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のスパッタリング複合ターゲットは、
酸化亜鉛を含む酸化物系成分と、炭素系成分とを有し、
アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、イットリウム及び希土類元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を有し、
元素の含有割合が1.0〜10.0質量%であり、
酸化物系成分の表面の一部に炭素系成分を積層して成ることを特徴とする。
本発明によれば、酸化亜鉛を含む酸化物系成分と、炭素系成分とを有するスパッタリング複合ターゲットを用いることによって、安定した一定量の酸素欠陥を透明導電膜に導入することができ、光透過率が良好であり、低い電気抵抗及び良好な導電性を有するZnO系の透明導電膜を得ることができる。
以下、本発明のスパッタリング複合ターゲット及びこれを用いた透明導電膜の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において、濃度及び含有量等についての「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
本発明のスパッタリング複合ターゲットは、酸化亜鉛を含む酸化物系成分と、炭素系成分とを有するものである。
酸化物系成分は、酸化亜鉛から成るものでもよく、酸化亜鉛以外のものを含むものでもよい。酸化物系成分としては、例えば酸化亜鉛のチップ、酸化亜鉛粉末から成る焼結体、この焼結体に後述する特定の元素をドープしたもの、又は、酸化亜鉛粉末と後述する特定の元素を含む酸化物粉末を混合して焼結した焼結体等を用いることができる。
炭素系成分は、炭素を含むものであればよく、例えば炭素粉末や、スパッタリング用のカーボンチップ、Al、NbC、TaC、TiC等のカーバイド材料等を用いることができる。
スパッタリング複合ターゲットが炭素系成分を有することにより、安定した一定量の酸素欠陥を透明導電膜中に導入することができる。
酸素欠陥が導入されるメカニズムは明らかではないが、ZnOを含む酸化物系成分中の酸素(O)が、炭素系成分中のCと結びついてCO又はCOとなって放出されることにより、スパッタリングする時間や雰囲気変化等にかかわらず、安定した一定量の酸素欠陥が透明導電膜中に導入されると推測する。
透明導電膜に安定した一定量の酸素欠陥が導入され、この酸素欠陥が導電性キャリアとして機能するため、安価な材料であるZnO系の材料を用いて、ITO系の透明導電膜と同程度かそれ以上に電気抵抗が低く、良好な導電性を有する透明導電膜を得ることができる。
炭素系成分の他に、ホウ素系成分を複合ターゲットとして用いることも考えられたが、ホウ素系成分を複合ターゲットに用いると、透明導電膜の電気抵抗が高くなり、導電性が劣化した。
スパッタリング複合ターゲットは、酸化物系成分と炭素系成分とが一体となっているものでもよく、酸化物系成分と炭素系成分とが各々別体となっているものでもよい。
酸化物系成分及び炭素系成分が各々別体である場合は、これらを共にスパッタリングすることが好ましい。
なお、本明細書において「共に」とは、別体のスパッタリング複合ターゲットを略同時にスパッタリングする意味のことをいい、多少時間的なずれがある場合であっても、同一の還元性雰囲気中で別体のスパッタリング複合ターゲットをスパッタリングすることをいう。
酸化物系成分及び炭素系成分が各々別体の場合は、例えば酸化物系成分として上記の焼結体を用い、炭素系成分として非焼結体等を用いることができる。
また、酸化物系成分及び炭素系成分が各々別体の場合は、スパッタリング複合ターゲットとして、酸化物系成分の表面の少なくとも一部に炭素系成分を積層したものを用いることが好ましい。
次に、酸化物系成分及び炭素系成分が各々別体のスパッタリング複合ターゲットの例を説明する。
図1は、本発明のスパッタリング複合ターゲットの実施形態の一例を示す図である。
図1に示すように、本例のスパッタリング複合ターゲット1は、円盤状の酸化物系成分(例えばZnO)2と、所定の角度を有する扇形状の4つの炭素系成分(例えばカーボンチップ)3a〜3dとを有するものである。
スパッタリング複合ターゲット1は、酸化物系成分2の表面に、その中心部から所定の角度で放射線上に、扇形状の4つの炭素系成分3a〜3dを積層したものである。
炭素系成分3a〜3dは、スパッタリングにより形成される透明導電膜中に均等に酸素欠陥が導入されるように、酸化物系成分2の表面に等角度又は等間隔で配置することが好ましい。
なお、図1では、4つの扇形状の炭素系成分3a〜3dを、円盤状の酸化物系成分2の表面に配置した例を示したが、酸化物系成分2や炭素系成分3a〜3dの数、形状又は配列方法は、本例に限定されない。
本例のスパッタリング複合ターゲット1は、酸化物系成分2の最大面積をターゲット表面積とした場合に、該ターゲット表面積100%に対して、炭素系成分3が占める面積比(図1中、炭素系成分3a〜3dの合計面積比)が2〜15%であることが好ましい。
スパッタリング複合ターゲットにおいて、炭素系成分が占める面積比が2%未満であると、スパッタリング複合ターゲットを用いて得られた透明導電膜の電気抵抗が低くならず、炭素系成分を用いた効果が発揮されない場合がある。一方、該面積比が15%を超えると、カーボンが透明導電膜中に取り込まれてしまい、得られた透明導電膜の電気抵抗が高くなり、導電性が低下する場合がある。
次に、酸化物系成分と炭素系成分とが一体となっているスパッタリング複合ターゲットの例を説明する。
スパッタリング複合ターゲットが酸化物系成分と炭素系成分とが一体となっているものである場合は、酸化物系成分100重量部に対して、炭素系成分を0.8〜7.5重量部含有することが好ましい。
炭素系成分の含有量が0.8重量部未満であると、得られる透明導電膜の電気抵抗が低くならず、炭素系成分を用いた効果が発揮されない場合があり、7.5重量部を超えると、炭素が透明導電膜中に取り込まれてしまい、得られた透明導電膜の電気抵抗が高くなって、導電性が低下する場合がある。
スパッタリング複合ターゲットは、3〜5価の元素、具体的にはアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)及び希土類元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を有することが好ましい。
スパッタリング複合ターゲットが上記金属元素を有するものであると、優れた電導性を有する透明導電膜を得ることができる。
上記元素は酸化物系成分中にドープしてもよく、上記元素を含む金属又は酸化物等を用いてもよい。
スパッタリング複合ターゲット中の上記元素の含有割合は、1.0〜10.0%であることが好ましい。熱的に安定な透明導電膜が得られるようにするためには、上記元素の含有割合は2%程度であることが好ましい。
次に、本発明の透明導電膜の製造方法を図面に基づき説明する。
本発明の透明導電膜の製造方法は、酸化亜鉛を含む酸化物系成分と、炭素系成分とを有するスパッタリング複合ターゲットを用いて、基板上に透明導電膜を形成する。
図2は、一般的なRF(高周波)マグネトロンスパッタリング装置の概略構成を示す図である。
図2に示すように、RFマグネトロンスパッタリング装置10は、チャンバー11内に、基板4を保持する基板ホルダー12と、ターゲット1を保持するターゲットホルダー13とが対向配置されている。ターゲットホルダー13には、基板4とターゲット1との間に高周波(例えば13.56HMz)の電圧を印加する電源15が接続されている。
ターゲットホルダー13は、図示を省略した磁石及びヨークと、冷却水等の冷媒を循環させる配管14とを備えている。
また、RFマグネトロンスパッタリング装置10は、チャンバー11の外部に、該チャンバー11内にスパッタリング時のプロセスガスを供給するためのガスボンベ16と、チャンバー11内を真空にするためのクライオポンプ等の排気ポンプ17とを備えている。ガスボンベ16とチャンバー11とは、供給配管18で連結され、この供給配管18には、スパッタガスの供給量を調節する流量調節弁19が設けられている。
なお、図2においては、1つのガスボンベ16を設けた例を示したが、複数種類のガスを混合したスパッタガスを使用する場合は、複数のガスボンベを設け、該ガスボンベから複数のガスをチャンバー内に供給するようにしてもよい。
図2に示す例のスパッタリング装置を用いて、透明導電膜を製造する方法について説明する。
まず、基板ホルダー12に基板4をセットする。
基板4は、例えば表面が清浄な透明のガラス基板、又は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)及びポリオレフィン(PO)から成る群より選ばれた少なくとも1種の透明な樹脂基板を用いることができる。
次に、ターゲットホルダー13に、例えば図1に示すスパッタリング複合ターゲット1をセットする。スパッタリング複合ターゲット1は、酸化物系成分2を第1ターゲットとし、炭素系成分3を第2ターゲットとし、第1ターゲット上に第2ターゲットを積層して用いる。
次に、チャンバー11内を排気ポンプ16により排気し真空にする。
その後、排気を継続しながらチャンバー1内にガスボンベ16からスパッタガスを導入し、チャンバー11内が一定の雰囲気圧力になるようにする。スパッタガスは、例えば不活性ガスであるArガスを用いることが好ましく、Arガスと必要に応じてOガスを所定量混合した混合ガス等を用いてもよい。
ガス流量は、10〜50sccmが好ましくは、ガス圧は、0.5〜2.0Paが好ましい。
次に、電源14からターゲットホルダー13を介してスパッタリング複合ターゲット1と基板4との間に高周波(13.56MHz)の電圧を印加し、RF放電によりチャンバー11内にプラズマを発生させる。
そして、電源14から80〜120W、具体的には100Wの電力を印加して、基板4を加熱することなくスパッタリングを開始し、スパッタ時間10分間、室温(20±5℃)で、基板4上に厚さ200nm程度の透明導電膜を形成する。
本発明の透明導電膜の製造方法によれば、スパッタする時間を1〜50時間と変化させた場合であっても、室温(20±5℃)で、8.0×10−4Ω・cm未満、好ましくは5.0×10−4Ω・cm未満、より好ましくは2.0×10−4Ω・cm以下、具体的には、1.0×10−4Ω・cm以下の低い膜電気抵抗を有するZnO系の透明導電膜を得ることができる。
また、スパッタリング複合ターゲットに含まれる炭素系成分の面積比及び含有量が上記範囲内のものであれば、光透過率が80%以上の透明導電膜を得ることができる。
図3に示すRFマグネトロンスパッタ装置を用いて透明導電膜を製造することも可能である。
図3は、他例のRFマグネトロンスパッタ装置10の概略構成を示す図である。なお、図3において、図2と同様の部材には、同一の符号を付した。
図3に示すRFマグネトロンスパッタ装置10は、酸化物系成分を含有する第1ターゲット2’と、炭素系成分を含有する第2ターゲット3’をそれぞれ異なる位置に配置する2つのターゲットホルダー13a,13bを備えたものである。
この2つのターゲットホルダー13a,13bに、各々第1ターゲット2’、第2ターゲット3’を設置して、スパッタリング複合ターゲット1’とし、第1ターゲット2’と第2ターゲット3’を共に略同時にスパッタリングしてもよい。
なお、均質な透明導電膜を形成するために、基板ホルダー12を所定の速度で回転させるようにしてもよい。
また、図3においては、ターゲットホルダー13a,13bに各々電源15a,15bを接続した例を示したが、1つの電源からターゲットホルダー13a,13bの両方に電圧を印加するようにしてもよい。
また、スパッタリング複合ターゲット1は、図1〜3に示す例に限らず、酸化物系成分2と炭素系成分3とを一体化したものを用いてもよい。
本発明によれば、スパッタ時間に拘わらず、安定した一定の酸素欠陥を透明導電膜に導入することができ、In系の材料と比較して安価なZnO系の材料を用いて、ITOと同等程度の優れた低い電気抵抗及び良好な導電性を有する透明導電膜を得ることができる。
本発明によって得られる透明導電膜は、太陽電池や、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)等のFPD(Flat Panel Display)に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例、参考例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例
に限定されるものではない。
(実施例1)
に示すRF(高周波)マグネトロンスパッタ装置を用いて、ターゲットホルダーに、直径4インチ×厚さ4mmの酸化亜鉛から成る焼結体であるZnO成分を設置し、このZnO成分上に、ZnO成分の最大表面積100%に対して、金属Alを面積比で3%になるように設置した。
ZnO+Al成分の上に、ZnO+Al成分の最大表面積をターゲット表面積とし、該ターゲット表面積100%に対して、カーボンチップ(C)を面積比で6%になるように設置し、スパッタリング複合ターゲットとした。
次に、基板ホルダーに、厚さ1mmのガラス基板を設置した。
そして、チャンバー内を排気ポンプで真空にした後、スパッタガスとして、流量15sccm、ガス圧1PaのArガスをチャンバー内に導入した。
その後、基板を加熱することなく、室温(20±5℃)で、電源により100Wの高周波(13.56MHz)の電圧を、基板及びスパッタリング複合ターゲットの間に印加し、スパッタ時間10分間で、基板上に厚さ200nmの透明導電膜を形成した。
得られた透明導電膜の電気抵抗を4端子法測定機により測定した。透明導電膜の電気抵抗は、1.0×10−4Ω・cmであった。また、透明導電膜の光透過率は、85%であった。
トータルして50時間スパッタした後、上記と同様に10分間スパッタを行い、透明導電膜を製造した場合においても、透明導電膜の電気抵抗は1×10−4Ω・cm程度であった。
(実施例2)
スパッタリング複合ターゲットとして、実施例1と同様のZnO+Al成分のターゲット表面積100%に対して、カーボンチップ(C)を面積比で2%になるように設置したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜を形成した。
透明導電膜の電気抵抗は、1.0×10−4Ω・cmであり、光透過率は、85%であった。
(実施例3)
スパッタリング複合ターゲットとして、実施例1と同様のZnO+Al成分のターゲット表面積100%に対して、カーボンチップ(C)を面積比で15%になるように設置したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜を形成した。
透明導電膜の電気抵抗は、1.0×10−4Ω・cmであり、光透過率は、80%であった。
参考例4〜6)
ZnO、Al23、C(グラファイト)を以下の比率で粉体混合し、焼結等により一体化したスパッタリング複合ターゲットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして透明導電膜を形成した。
参考例4;ZnO:Al23:C(グラファイト)=97.2%:2.0%:0.8%
参考例5;ZnO:Al23:C(グラファイト)=95.5%:2.0%:2.5%
参考例6;ZnO:Al23:C(グラファイト)=91.5%:1.9%:6.7%
上記参考例4〜6のスパッタリング複合ターゲットを用いて得られた透明導電膜は、いずれも電気抵抗が1.0×10−4Ω・cm(参考例4〜6)であり、光透過率が85%(参考例4〜6)であった。
(比較例1)
直径4インチ×厚さ4mmのZnO成分をスパッタリングターゲットとしたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜を形成した。
得られた透明導電膜の電気抵抗は、3×10−1Ω・cmであり、光透過率は、85%であった。
(比較例2)
直径4インチ×厚さ4mmのZnO成分上に、ZnO成分の最大表面積100%に対して、金属Al成分を面積比で3%になるように設置したものをスパッタリングターゲットとしたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜を形成した。
透明導電膜の電気抵抗は、8×10−4Ω・cmであり、光透過率は、85%であった。
(比較例3,4,5)
金属Alの代わりに、金属Ta,金属Nb,希土類元素(具体的にはTa)を含む化合物を用いたスパッタリングターゲットを用いて、比較例2と同様にして、透明導電膜を形成した。
透明導電膜の電気抵抗は、いずれも8×10−4Ω・cm以上であり、光透過率は、いずれも85%であった。
〔結果の考察〕
実施例1〜3、参考例4〜6のスパッタリング複合ターゲットを用いて製造した透明導電膜は、いずれも電気抵抗が1×10−4Ω・cm以下と低く、基板を高温(例えば200℃)に加熱することなく室温で、且つ、ZnO系の安価な材料を用いて、ITOと同程度かそれ以上に低い電気抵抗及び良好な導電性を有する透明導電膜を得ることができた。
また、スパッタを50時間行った後であっても、得られる透明導電膜の電気抵抗が1×10−4Ω・cmと変わらず、スパッタの再現性が良好であることが確認できた。
一方、比較例1〜5のスパッタリングターゲットを用いると、得られた透明導電膜の電気抵抗が3×10−1Ω・cm又は8×10−4Ω・cm以上と高く、ITOと同程度の電気抵抗を有する透明導電膜を得ることができなかった。
本発明のスパッタリング複合ターゲットの実施形態の一例を示す平面図である。 一般的なRFマグネトロンスパッタ装置の概略構成を示す図である。 他例のRFマグネトロンスパッタ装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1、1’…スパッタリング複合ターゲット、2,2’…酸化物系成分、3,3’,3a〜3d…炭素系成分、4…基板、10…RFマグネトロンスパッタ装置、11…チャンバー、12…基板ホルダー、13,13a,13b…ターゲットホルダー、14…配管、15…電源、16…ガスボンベ、17…排気ポンプ、18…供給配管、19…流量調節弁

Claims (4)

  1. 酸化亜鉛を含む酸化物系成分と、炭素系成分とを有し、
    アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、イットリウム及び希土類元素から成る群より選ばれた少なくとも1種の元素を有し、
    上記元素の含有割合が1.0〜10.0質量%であり、
    上記酸化物系成分の表面の一部に上記炭素系成分を積層して成ることを特徴とするスパッタリング複合ターゲット。
  2. 上記炭素系成分は、カーボンチップである請求項1に記載のスパッタリング複合ターゲット。
  3. 上記酸化物系成分の最大面積をターゲット表面積とし、該ターゲット表面積100%に対して、上記炭素系成分が占める面積比が2〜15%であることを特徴とする請求項1または2に記載のスパッタリング複合ターゲット。
  4. 上記酸化物系成分が焼結体であり、上記炭素系成分が非焼結体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスパッタリング複合ターゲット。
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