JP6014454B2 - 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 - Google Patents
酸化亜鉛系焼結体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6014454B2 JP6014454B2 JP2012231470A JP2012231470A JP6014454B2 JP 6014454 B2 JP6014454 B2 JP 6014454B2 JP 2012231470 A JP2012231470 A JP 2012231470A JP 2012231470 A JP2012231470 A JP 2012231470A JP 6014454 B2 JP6014454 B2 JP 6014454B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- zinc oxide
- sintered body
- powder
- raw material
- based sintered
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
他方、酸化物ターゲットを用いると、膜に供給される酸素の一部はターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、これまで、酸化物ターゲットが工業的に用いられている。
そのため、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛系焼結体を無加圧焼結により作製するには、予め焼結体の目的組成に対して、その原料粉末である酸化亜鉛粉の仕込み量を増やしておく必要がある。
さらに、亜鉛が揮散する部分には当然空孔が生じやすく、焼結体の密度低下に繋がり、このような低密度の焼結体を用いてスパッタリングにて成膜すると、異常放電が発生しやすくなり安定に成膜できないという問題があった。すなわち、亜鉛の揮散を抑制することは無加圧焼結にて物理的に実現できない。一方、加圧焼結方法であれば、亜鉛の揮散を抑制できる可能性はあるが、固体圧縮法による一般的なホットプレス法では、原料粉末を成型加圧して焼結させるが、黒鉛からなるダイスとパンチ間にクリアランス(隙間)があるため、亜鉛の揮散を避けることができない。また、ガス圧縮法による通常のカプセルフリーHIP(熱間等方加圧焼結)法では、バルク焼結体をさらに高密度化させることができるが、HIPするには、処理品がある程度の高密度化(相対密度:90%〜95%)されている焼結体(欠陥が外観と遮断されている閉気孔しか存在しない)でなければ、さらに閉気孔をつぶして緻密化して、処理品を高密度の焼結体とすることができない。従って、カプセルフリーHIP法により加圧焼結する前に、別法(不活性常圧焼結などの無加圧焼結)にて、ある程度の高密度化(90%〜95%)の焼結体を作製する必要があるが、その焼結体を作製する段階にて、亜鉛が揮散してしまう。
なお、ここでいう高密度の焼結体とは、相対密度が98%以上であるものをいう。
しかしながら、焼結すべき粉体を金属製の容器内に気密封止するので、亜鉛の揮散をほぼゼロに抑えることができる唯一の方法であるが、金属製容器ごとに加圧されるので、加圧による金属製容器の収縮率が大きいと、金属製容器が破裂してしまい、原料粉末が揮散し、加えた圧力をかけることができない。そのため、一般に、金属製容器の収縮率を体積レベルで少なくとも50%以下とすればよいことが知られており、そのためには、金属製容器に充填した原料粉末の充填率を少なくとも50%以上にすればよいことが知られている。
しかし、市販の酸化亜鉛粉の充填率は20%弱である。
ここでいう原料粉末の充填率とは、すなわち原料粉末を加圧成形せずに原料粉末を金属製容器に充填した場合の原料粉末の充填率とは、理論的にカプセルHIP後に焼結体が理論密度に到達したとし、得られた焼結体の理論密度に対する、焼結体の原料である原料粉末のタップ密度の割合である。
また、混合粉作製の際にバインダーを含有させることにより、300mmφあるいは300mm角以上の大型焼結体を脱脂工程が増えることなく、上記と同様のプロセスにて作製できることを見出した。
(1)実質的に亜鉛と、チタンと、酸素とからなり、チタンの割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下である原料粉末を、加圧成形し、成型体とする工程と、前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とし、熱間等方加圧焼結を行う工程とを含むことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(2)実質的にガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方、亜鉛、チタン並びに酸素からなり、チタンの割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1〜6%である原料粉末を、加圧成形し、成型体とする工程と、前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とし、熱間等方加圧焼結を行う工程とを含むことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(3)前記原料粉末は、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉との混合粉からなる前記(1)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(4)前記原料粉末は、酸化ガリウム粉および酸化アルミニウム粉から選ばれる少なくとも一方と、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉との混合粉からなる前記(2)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(5)前記酸化チタン粉が、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンの粉末である前記(3)または(4)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(6)前記原料粉末は、バインダーを含有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(7)前記熱間等方加圧焼結を行う工程において、前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とした後、脱バインダー処理と金属製容器の真空脱気処理を同時に行い、次いで熱間等方加圧焼結を行う前記(6)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(8)前記成型体の密度が、2.8g/cm3以上である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(9)前記熱間等方加圧焼結は、焼結温度が800〜1100℃であり、得られる酸化亜鉛系焼結体の相対密度が98%以上となるように成型体を焼結することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(10)熱間等方加圧焼結における圧力は30MPa以上であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(11)スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられるターゲットであって、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなることを特徴とするターゲット。
本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法(以下、製造方法(a)という場合がある)は、原料粉末(以下、原料粉末(a)という場合がある)を、加圧成形し、成型体とする工程と、成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を所定範囲内とし、熱間等方加圧焼結を行う工程とを含む。
原料粉末(a)中のチタン原子数の割合が上記範囲内となるように酸化チタン粉が混合されると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。この酸化亜鉛系焼結体におけるチタンの含有量が上述の範囲で上限に近い場合(すなわち、10%に近い場合)、得られる酸化亜鉛系透明導電膜は、優れた化学的耐久性を有するが、チタンの含有量が上述の範囲で下限に近い場合(すなわち、0.2%に近い場合)よりも、屈折率が若干高くなり、近赤外域の高透過性は維持できるものの近紫外域および可視光域の透過性が若干低下する傾向にある。用途によっては全く問題ないが、例えば、化学的耐久性よりも透過率が要求されるCIS/CIGS太陽電池における透明電極などの太陽電池の部材に用いる場合、太陽電池の変換効率がチタンの含有量が下限に近い場合に比べて少し低下する傾向にある。一方、チタンの含有量が下限に近い場合、チタンの含有量が上限に近い場合よりも、化学的耐久性が問題のない範囲で若干低下するものの、得られる酸化亜鉛系透明導電膜の屈折率が若干低くなり、近赤外域の高透過性を維持しながら、近紫外域および可視光域の透過性も向上させることができる。
このように、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
ここで、全金属原子数とは、原料粉末に含まれる金属原子の総数であり、亜鉛が全金属原子数の約90〜99.8%を占める。そのため、原料粉末において、亜鉛が主成分となる。
この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X‐Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析の結果によって確認することができる。
水系溶媒は、水を主成分とし、水単独であってもよいし、水とメタノール、エタノール等のアルコールなどとの混合物であってもよい。
湿式混合は、例えば、硬質ZrO2ボール等を用いた湿式ボールミルや振動ミルにより行なえばよく、湿式ボールミルや振動ミルを用いた場合の混合時間は、12〜78時間程度が好ましい。なお、原料粉末をそのまま乾式混合してもよいが、湿式混合の方がより好ましい。固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
公知のバインダーとしては、例えば、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリα-メチルスチレン、エチルセルロース、ポリ乳酸メチル、(ポリ)ビニルブチラール、(ポリ)ビニルアセテート、(ポリ)ビニルアルコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、(ポリ)ビニルピロリドン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレートおよび種々のアクリルポリマーとそれらのコポリマーやターポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロースとその誘導体である樹脂などが挙げられる。
原料粉末と有機バインダーを混合した粉末を加圧成形するには、有機バインダーを用いないで成型体を作製する場合と同様にして行えばよい。
冷間静水圧プレス(CIP)の場合は、少なくとも50MPa以上300MPa未満であり、より好ましくは100MPa以上することが好ましく、例えば、成型体の密度を2.8g/cm3以上にするには、好ましくは80〜170MPa、より好ましくは100〜140MPaである。50MPa未満であると、安定なプレス成型体ができないおそれがある。300MPa以上であると、成型体がもろくわれやすくなるおそれがある。
なお、成型体の密度の測定方法は、直接成型体の測長を行い、この測定値から算出した体積と、測定した成型体の重量とから求めることができる。例えば、成型体の形状が円柱形状である場合は、成型体の直径と高さを直接測長することにより、円柱形状の成型体の体積を求め、重量を測定して、重量と体積から密度を計算することができる。
なお、原料粉末の充填密度とは、成型体を金属製容器に充填した際、金属製容器の内容積に対する成型体の質量であり、原料粉末の充填密度の値は、成型体のサイズと金属製容器内のサイズとの差が小さければ小さいほど、その成型体の密度の値に近づく。成型体のサイズが金属製容器のサイズよりも大きいなど成型体が金属製容器に収まらない場合、原料粉末の充填密度は、上述の測定した成型体の重量から成型体が金属製容器に収まらなかった分を差し引いて求めればよい。
また、理論密度とは、原料粉末に含まれる各金属酸化物の単体密度に各金属酸化物粉末の混合重量比をかけ、和をとったものであり、例えば、原料粉末が酸化亜鉛および酸化チタンからなる場合は、下記式から求められる。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
金属製容器の形状は、例えば、HIP時に等方的に対称収縮しやすいように円筒形状であることが好ましく、金属製容器のサイズは、金属製容器内に成型体を充填した際に、原料粉末の充填率を50%以上とすることができるサイズであれば、成型体のサイズよりも大きくても小さくてもよい。円筒形状であれば、HIP焼結体の均一性(相対密度、組成)が維持される。
金属製容器の壁厚は、1.5mm〜5mmが好ましい。この範囲内であれば、金属製容器が容易に軟化し、変形することができ、焼結反応が進むに従い、焼結体に追随して収縮することができる。
真空引きする際の金属製容器の加熱温度は100℃以上600℃以下であることが好ましい。なお、成型体が有機バインダーを含む場合には、真空引きする際の金属製容器の加熱温度は上述したように、450〜700℃程度である。
真空引き後の金属製容器内の圧力が1.33×10-2Paを超えたままであると、酸化亜鉛粉に付着しているガス、吸着水分の除去が充分に行われないため、高密度の焼結体が得られないおそれがある。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例に記載の評価方法によって測定することができる。
HIPにおける圧力は、好ましくは30MPa以上、より好ましくは50MPa以上であり、HIP条件は、焼結温度が800℃〜1100℃で、圧力30MPa以上の条件で1時間以上行うことが好ましい。HIP処理条件で温度が800℃未満、圧力30MPa未満では、得られる焼結体の相対密度が90%未満と低くなる。
なお、原料粉末は金属製容器内に真空封止にて閉じこめられている閉鎖空間なので、亜鉛の揮散もなく組成ずれもおこることはない。
圧力媒体としてのガスとしては、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いる。
本発明の他の酸化亜鉛系焼結体の製造方法(以下、製造方法(b)という場合がある)は、実質的に、ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方、亜鉛、チタン並びに酸素からなり、チタンを所定の割合で含有し、かつガリウムまたはアルミニウムを所定の割合で含有する原料粉末(以下、原料粉末(b)という場合がある)を、上述した製造方法(a)における原料粉末に代えて用いる他は、上述した製造方法(a)と同様にして、酸化亜鉛系焼結体を製造する方法である。
原料粉末(b)は、第二ドーパントとしてガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方を含有するので、得られる酸化亜鉛系焼結体を用いて形成される酸化亜鉛系透明導電膜をより低抵抗化することができる。
原料粉末(b)中のチタン原子数の割合が上記範囲内となるように酸化チタン粉が混合されると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、原料粉末(a)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
ここで、全金属原子数とは、原料粉末(b)に含まれる金属原子の総数であり、亜鉛が全金属原子数の約84〜99.7%を占める。そのため、原料粉末(b)において、亜鉛が主成分となる。
原料粉末(b)にはガリウムおよびアルミニウムが含まれていてもよく、係る場合、原料粉末(b)中のガリウムおよびアルミニウムの原子数の割合は、全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であればよい。
酸化チタン粉、酸化亜鉛粉、水酸化亜鉛粉およびチタン酸亜鉛化合物粉などは、製造方法(a)で例示したものと同様のものを用いることができる。
酸化亜鉛系焼結体が、製造方法(a)により製造された場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、酸素とからなる焼結体である。
また、製造方法(b)により製造された場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、アルミニウムおよびガリウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなる焼結体である。
ここで、「実質的」とは、前者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、酸素とからなることを意味し、後者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなることを意味する。
このTi/(Zn+Ti)の値が0.002より小さいと、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の耐薬品性など化学的耐久性が不充分となり、比抵抗も高くなる。しかも、酸化亜鉛系焼結体中にチタン酸亜鉛化合物が形成されにくくなるため焼結体の強度が低下し、ターゲットへの加工が困難になるおそれがある。一方、Ti/(Zn+Ti)の値が0.1を超えるチタン含有量であると、後述するように酸化亜鉛系焼結体中に含まれないことが望まれる酸化チタン結晶相の形成が避けられなくなり、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の導電性や透明性が低下するおそれがある。好ましくは、チタンの含有量は、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.005〜0.09となる量であり、より好ましくは、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.008〜0.08となる量である。
一方、チタンが原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下では、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の化学的耐久性に極めて優れ、チタンのみでも低抵抗化することは可能であるが、さらなる低抵抗化するために、ガリウムおよびアルミニウムの少なくとも1つを含むことが好ましい。
なお、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方の酸化物相とは、Al2O3およびGa2O3から選ばれる少なくとも一方である。
なお、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトおよびチタンサイトから選ばれる少なくとも一方に、チタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これの亜鉛サイトにチタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
酸化亜鉛系焼結体に酸化チタンの結晶相が含まれていると、得られる膜が、比抵抗などの物性にムラがあり均一性に欠けるものとなるおそれがある。酸化亜鉛系焼結体は、上述したTi/(Zn+Ti)の値が0.1以下であるので、通常、チタンが酸化亜鉛に完全に反応し、酸化亜鉛系焼結体中に酸化チタン結晶相は生成されにくい。なお、酸化チタンの結晶相とは、具体的には、Ti2O3、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。なかでも、酸化チタンの結晶相は、Ti2O3、TiOを含むのが好ましい。
酸化亜鉛系焼結体に添加元素を含有させるには、例えば、上述した原料粉末に添加元素の酸化物の粉末を混合させるなどすればよい。
酸化亜鉛系焼結体に不純物を含有させるには、例えば、上述した原料粉末に不純物の粉末を混合させるなどすればよい。
本発明のターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられるターゲットである。なお、このような成膜の際に用いる固形材料のことを「タブレット」と称する場合もあるが、本発明においてはこれらを含め「ターゲット」と称することとする。
本発明のターゲットは、上述した酸化亜鉛系焼結体を所定の形状および所定の寸法に加工してなる。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、キシダ化学(株)製)および一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学品研究所製)をZn:Tiの原子数比が97:3となる割合(チタンの全金属原子数に対する割合:3%)で含有した原料粉末を樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミル混合法により湿式混合して、原料粉末スラリーを得た。湿式混合は、ボールとして硬質ZrO2ボールを用い、混合時間を18時間として行った。
なお、成型体の密度は、直接成型体の測長を行い、測長した直径と高さから算出した体積と、測定した成型体の重量とから求めた。
円柱状の成型体を、該成形体が崩れないようにステンレス(SUS304)でできた金属製容器(外径:83mm、内径:80mm、容器内部の高さ:78mm)に挿入(充填)した。下記式により算出した原料粉末の充填密度は3.19g/cm3、理論密度は5.6g/cm3であり、これより算出した金属製容器への原料粉末の充填率は約57%であった。
なお、充填密度および理論密度は、下記式より求めた。
充填密度=成型体の重量/金属製容器の内容積
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
この酸化亜鉛系焼結体(1)の相対密度は98.8%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(1)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
酸化亜鉛系焼結体(1)を、エネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。この酸化亜鉛系焼結体(1)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(1)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、異常放電は1時間あたり3回以内であった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、キシダ化学(株)製)、酸化ガリウム粉(Ga2O3粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、住友化学(株)製)および一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学品研究所製)をZn:Ga:Tiの原子数比が94.5:0.5:5.0となる割合(チタンの全金属原子数に対する割合:5%、ガリウムの全金属原子数に対する割合:0.5%)で含有した原料粉末を樹脂製ポットに入れ、実施例1と同様にして湿式混合、乾燥した後、冷間静水圧プレスにて137MPaの圧力をかけて成形し、切削加工を行い、直径80mmφ、高さ78mmの円柱状成型体を得た。
円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.38g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に充填し、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、充填密度は3.38g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約60%となった。
なお、理論密度は下記式から求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
この焼結体(2)の相対密度は98.8%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(2)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化ガリウム、一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
酸化亜鉛系焼結体(2)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとGaとTiとの原子数比はZn:Ga:Ti=94.5:0.5:5.0であった。酸化亜鉛系焼結体(2)のZnとGaとTiとの原子数比は、仕込み組成である原料粉末の原子数比からまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(2)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化ガリウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、キシダ化学(株)製)、酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」)および一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学品研究所製)をZn:Al:Tiの原子数比が94.5:0.5:5.0となる割合(チタンの全金属原子数に対する割合:5%、アルミニウムの全金属原子数に対する割合:0.5%)で含有した原料粉末を樹脂製ポットに入れ、実施例2と同様にして、直径80mmφ、高さ78mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.02g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に充填し、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、充填密度は3.02g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約54%となった。
なお、理論密度は下記式から求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(3)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(3)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとAlとTiとの原子数比はZn:Al:Ti=94.5:0.5:5.0であった。酸化亜鉛系焼結体(3)のZnとAlとTiの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比からまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、この酸化亜鉛系焼結体(3)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、キシダ化学(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学品研究所製)、酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」)をZn:Ti:Alの原子数比が98.2:1.0:0.8となる割合で含有した原料粉末を樹脂製ポットに入れ、実施例2と同様にして、直径80mmφ、高さ78mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.02g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に充填し、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、充填密度は3.02g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約54%となった。なお、理論密度は実施例3と同様にして求めた。
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(4)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(4)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとAlとTiとの原子数比はZn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。酸化亜鉛系焼結体(4)のZnとAlとTiの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比からまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、この酸化亜鉛系焼結体(4)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、和光純薬工業(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学研究所製)および酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」)からなる原料粉末と、エチルセルロース(和光純薬製)と、水とを、全体の組成としてZn:Ti:Alの原子数比が98.2:1.0:0.8となる割合、原料粉末(酸化亜鉛粉と酸化チタン粉と酸化アルミニウム粉の合計):有機バインダー(エチルセルロース)=98.5:1.5(重量比)となる割合となるように混合し、スラリーを得た。
このように調整したスラリーを樹脂製ポットに入れ、湿式ボールミル混合法により湿式混合した。この湿式混合は、ボールとして硬質ZrO2ボールを用い、混合時間を18時間として行った。
なお、成型体の密度は、直接成型体の測長を行い、測長した直径と高さから算出した体積と、測定した成型体の重量とから求めた。
円柱状の成型体を、該成形体が崩れないようにステンレス(SUS304)でできた金属製容器(外径:158mm、内径:150mm、容器内部の高さ:150mm)に挿入(充填)した。実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、原料粉末の充填密度は3.17g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約57%となった。なお、理論密度は、実施例3と同様にして求めた。
酸化亜鉛系焼結体(5)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。この酸化亜鉛系焼結体(1)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(5)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、和光純薬工業(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学研究所製)からなる原料粉末と、エチルセルロース(和光純薬製)と、水とを、全体の組成としてZn:Tiの原子数比が99.0:1.0となる割合、原料粉末(酸化亜鉛粉と一酸化チタン粉の合計):有機バインダー(エチルセルロース)=98.5:1.5(重量比)となる割合となるように調整したスラリーを樹脂製ポットに入れ、実施例1と同様にして、直径300mmφ、高さ150mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.22g/cm3であった。
円柱状の成型体を、該成形体が崩れないようにステンレス(SUS304)でできた金属製容器(外径:308mm、内径:300mm、容器内部の高さ:150mm)に挿入(充填)した。実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、原料粉末の充填密度は3.22g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約58%となった。なお、理論密度は、実施例1と同様にして求めた。
酸化亜鉛系焼結体(6)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=99.0:1.0であった。この酸化亜鉛系焼結体(6)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti=99.0:1.0とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(6)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、和光純薬工業(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学研究所製)および酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」)からなる原料粉末と、エチルセルロース(和光純薬製)と、水とを、全体の組成としてZn:Ti:Alの原子数比が99.0:0.5:0.5となる割合、原料粉末(酸化亜鉛粉と一酸化チタン粉と酸化アルミニウム粉の合計):有機バインダー(エチルセルロース)=98.5:1.5(重量比)となる割合となるように調整したスラリーを樹脂製ポットに入れ、実施例1と同様にして、直径300mmφ、高さ150mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.22g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例6で用いたのと同様の金属製容器に成型体が崩れないように金属製容器に移し、金属製容器内に一杯に詰め(充填し)、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、原料粉末の充填密度は3.22g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約58%となった。なお、理論密度は、実施例3と同様にして求めた。
酸化亜鉛系焼結体(7)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5であった。この酸化亜鉛系焼結体(7)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(7)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、和光純薬工業(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学研究所製)および酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」からなる原料粉末と、エチルセルロース(和光純薬製)と、水とを、全体の組成としてZn:Ti:Alの原子数比が98.7:1.0:0.3となる割合、原料粉末(酸化亜鉛粉と一酸化チタン粉と酸化アルミニウム粉の合計):有機バインダー(エチルセルロース)=98.5:1.5(重量比)となる割合となるように調整したスラリーを樹脂製ポットに入れ、実施例1と同様にして、直径300mmφ、高さ150mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.22g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例6で用いたのと同様の金属製容器に成型体が崩れないように金属製容器に移し、金属製容器内に一杯に詰め(充填し)、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、原料粉末の充填密度は3.22g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約58%となった。なお、理論密度は、実施例3と同様にして求めた。
酸化亜鉛系焼結体(8)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3であった。この酸化亜鉛系焼結体(8)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(8)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛粉(ZnO粉末;純度99.9%、平均粒径1μm以下、和光純薬工業(株)製)、一酸化チタン粉(TiO粉末;純度99.9%、平均粒径5μm以下、(株)高純度化学研究所製)および酸化アルミニウム粉(Al2O3粉末;純度99.9%、平均粒径0.5μm以下、住友化学(株)製の「AKP-3000」)からなる原料粉末と、エチルセルロース(和光純薬製)と、水とを、全体の組成としてZn:Ti:Alの原子数比が99.3:0.5:0.2となる割合、原料粉末(酸化亜鉛粉と一酸化チタン粉と酸化アルミニウム粉の合計):有機バインダー(エチルセルロース)=98.5:1.5(重量比)となる割合となるように調整したスラリーを樹脂製ポットに入れ、実施例1と同様にして、直径300mmφ、高さ150mmの円柱状成型体を得た。円柱状成型体の密度は、実施例1と同様にして求めたところ、3.22g/cm3であった。
円柱状の成型体を実施例6で用いたのと同様の金属製容器に成型体が崩れないように金属製容器に移し、金属製容器内に一杯に詰め(充填し)、実施例1と同様にして充填密度を求めたところ、原料粉末の充填密度は3.22g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから原料粉末の充填率は約58%となった。なお、理論密度は、実施例3と同様にして求めた。
酸化亜鉛系焼結体(9)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2であった。この酸化亜鉛系焼結体(9)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、原料粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(9)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
酸化亜鉛粉(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)と一酸化チタン粉(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)を、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が97.0:3.0(チタンの全金属原子数に対する割合:5%)となるように秤量した原料粉末を、ポリプロピレン製の容器に入れ、更に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これをボールミルにより混合し、原料粉末スラリーを得た。
原料粉末の充填率が約18%と極めて低く、金属製容器の収縮率が約82%となるため、原料粉末の収縮に金属製容器の収縮が追随できず、金属製容器が破裂してしまった。
Claims (10)
- 実質的に亜鉛と、チタンと、酸素とからなり、チタンの割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下である原料粉末を、加圧成形し、成型体とする工程と、
前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とし、熱間等方加圧焼結を行う工程とを含むことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。 - 実質的にガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方、亜鉛、チタン並びに酸素からなり、チタンの割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1〜6%である原料粉末を、加圧成形し、成型体とする工程と、
前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とし、熱間等方加圧焼結を行う工程とを含むことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。 - 前記原料粉末は、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉との混合粉からなる請求項1に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記原料粉末は、酸化ガリウム粉および酸化アルミニウム粉から選ばれる少なくとも一方と、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉との混合粉からなる請求項2に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記酸化チタン粉が、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンの粉末である請求項3または4に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記原料粉末は、バインダーを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記熱間等方加圧焼結を行う工程において、前記成型体を金属製容器に充填して、原料粉末の充填率を50%以上とした後、脱バインダー処理と金属製容器の真空脱気処理を同時に行い、次いで熱間等方加圧焼結を行う請求項6に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記成型体の密度が、2.8g/cm3以上である請求項1〜7のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記熱間等方加圧焼結は、焼結温度が800〜1100℃であり、得られる酸化亜鉛系焼結体の相対密度が98%以上となるように成型体を焼結することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 熱間等方加圧焼結における圧力は30MPa以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012231470A JP6014454B2 (ja) | 2012-03-02 | 2012-10-19 | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012046092 | 2012-03-02 | ||
JP2012046092 | 2012-03-02 | ||
JP2012231470A JP6014454B2 (ja) | 2012-03-02 | 2012-10-19 | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013209741A JP2013209741A (ja) | 2013-10-10 |
JP6014454B2 true JP6014454B2 (ja) | 2016-10-25 |
Family
ID=49527829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012231470A Expired - Fee Related JP6014454B2 (ja) | 2012-03-02 | 2012-10-19 | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6014454B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102404834B1 (ko) * | 2014-07-31 | 2022-06-02 | 도소 가부시키가이샤 | 산화물 소결체, 그 제조 방법 및 스퍼터링 타깃 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6165413A (en) * | 1999-07-08 | 2000-12-26 | Praxair S.T. Technology, Inc. | Method of making high density sputtering targets |
JPWO2009078329A1 (ja) * | 2007-12-19 | 2011-04-28 | 日立金属株式会社 | 酸化亜鉛焼結体およびその製造方法、スパッタリングターゲット、電極 |
JP5585046B2 (ja) * | 2009-10-27 | 2014-09-10 | 東ソー株式会社 | 複合酸化物焼結体、ターゲット及び酸化物透明導電膜 |
JP2011190528A (ja) * | 2010-02-18 | 2011-09-29 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法、酸化亜鉛系透明導電膜および透明導電性基板 |
-
2012
- 2012-10-19 JP JP2012231470A patent/JP6014454B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013209741A (ja) | 2013-10-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5993703B2 (ja) | 酸化亜鉛系粉末の製造方法 | |
US8383019B2 (en) | Sputtering target, transparent conductive film and transparent electrode | |
CN103717779B (zh) | Zn-Sn-O系氧化物烧结体及其制造方法 | |
JP5764828B2 (ja) | 酸化物焼結体およびそれを加工したタブレット | |
JP2011184715A (ja) | 酸化亜鉛系透明導電膜形成材料、その製造方法、それを用いたターゲット、および酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法 | |
JP6306929B2 (ja) | 焼結体の製造方法 | |
JP2013173658A (ja) | 酸化錫系焼結体およびその製造方法 | |
WO2011145665A1 (ja) | 酸化亜鉛焼結体タブレットおよびその製造方法 | |
JP5392633B2 (ja) | ZnO系透明導電膜用ターゲットおよびその製造方法 | |
JP6014454B2 (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JP5993700B2 (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JP5167575B2 (ja) | 酸化物焼結体、スパッタリングターゲットおよび透明導電膜 | |
JP2012193073A (ja) | 酸化物成形体、酸化物焼結体、および透明導電膜形成材料 | |
JP6027844B2 (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JP5952031B2 (ja) | 酸化物焼結体の製造方法およびターゲットの製造方法 | |
JP2014097922A (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびターゲット | |
JP6014451B2 (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JP2014224036A (ja) | In−Ga−Zn系複合酸化物焼結体の製造方法 | |
JP2012197216A (ja) | 酸化物焼結体、その製造方法およびそれを用いたターゲット | |
JP2014097920A (ja) | 酸化亜鉛系粉末および酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JP2012106880A (ja) | 酸化亜鉛系透明導電膜形成材料、その製造方法、それを用いたターゲット、および酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法 | |
JP2014097921A (ja) | 酸化亜鉛系焼結体の製造方法 | |
JPWO2014171545A1 (ja) | In−Ga−Zn系複合酸化物焼結体およびその製造方法 | |
WO2014021374A1 (ja) | 酸化物焼結体およびそれを加工したタブレット | |
WO2021019854A1 (ja) | 蒸着用タブレットと酸化物透明導電膜および酸化錫系焼結体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150715 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160218 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160301 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160427 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160907 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160926 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6014454 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |