JP2011190528A - 酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法、酸化亜鉛系透明導電膜および透明導電性基板 - Google Patents

酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法、酸化亜鉛系透明導電膜および透明導電性基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた導電性と化学的耐久性とを兼ね備えた酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 本発明の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法は、パルスレーザ堆積法(PLD法)により酸化亜鉛系透明導電膜を形成する方法であって、実質的に亜鉛、チタンおよび酸素からなる酸化物焼結体または酸化物混合体を加工してなるターゲットを膜形成材料とし、該膜形成材料中に含まれるチタンと亜鉛との原子数比がTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、良好な導電性を有する酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法と、該方法により形成される酸化亜鉛系透明導電膜と、該膜を備えた透明導電性基板とに関する。
導電性と光透過性とを兼ね備えた透明導電膜は、これまでから、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子における電極などとして利用されているか、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等における防曇用透明発熱体など、幅広い用途に利用されている。特に、低抵抗で導電性に優れた透明導電膜は、太陽電池や、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、無機エレクトロルミネッセンスなどの液晶表示素子や、タッチパネルなどに好適であることが知られている。
従来、透明導電膜としては、例えば、酸化スズ(SnO2)系の薄膜、酸化亜鉛(ZnO)系の薄膜、そして酸化インジウム(In23)系の薄膜が知られている。具体的には、酸化スズ系の透明導電膜としては、アンチモンをドーパントとして含むもの(ATO)やフッ素をドーパントとして含むもの(FTO)が知られており、酸化亜鉛系の透明導電膜としては、アルミニウムをドーパントとして含むもの(AZO)やガリウムをドーパントとして含むもの(GZO)が知られており、酸化インジウム系の透明導電膜としては、スズをドーパントとして含むもの(ITO;Indium tin oxide)が知られている。中でも、最も工業的に利用されているのは酸化インジウム系の透明導電膜であり、とりわけITO膜は、低抵抗で導電性に優れることから、幅広く実用化されている。
このような透明導電膜を形成する際には、従来から、パルスレーザ堆積(PLD)法が工業的に汎用されている。パルスレーザ堆積法(以下、PLD法ということがある)は、複雑な複合薄膜を成膜するのに適した成膜方法であり、ターゲット等として用いる膜形成材料のポテンシャルを最大限に引き出し、当該材料の組成と得られる膜組成とのズレが少ない、という利点を有する成膜方法である。PLD法においては、例えば、数ナノ秒のパルス幅を持つパルスレーザ光のビームを個体ターゲットに集光させると、パルスレーザの高いピークパワー密度によって、ビームを照射されたターゲットは急速にその融点以上の温度にまで加熱され、蒸発したターゲットを構成する材料がターゲットの表面から放出されて真空内に入り、プラズマ(「プルーム」とも呼ばれる)を形成する。複合組成からなるターゲットの場合、プルームは、中性ラジカル、およびターゲットの組成と類似した化学量論的組成比を有する、陽イオンおよび陰イオンの両方の励起された高エネルギー・イオンを含んでいる。
PLD法において用いられるターゲットは、成膜しようとする膜を構成する金属元素を含む固体であればよく、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの焼結体や、場合によっては単結晶で形成されるが、金属酸化物の焼結体からなるターゲットが好ましく使用されている。
ところで、ITO膜の如き酸化インジウム系の透明導電膜は、その必須原料であるIn(インジウム)が、希少金属であるため高価で且つ資源枯渇のおそれがあり、しかも毒性を有し環境や人体に対して悪影響を及ぼす可能性があるため、近年、ITO膜に代替し得る工業的に汎用可能な透明導電膜が要望されている。そのような中、工業的製造も可能である酸化亜鉛系透明導電膜が注目されており、その導電性能を高めるべく研究が進められている。具体的には、導電性を高めるべくZnOに種々のドーパントをドープさせる試みがなされており、種々のドーパントごとに最適ドープ量と最低抵抗率が報告されている(非特許文献1)。この報告によれば、例えば、TiO2をドープさせる場合には、ドープ量は2質量%が最適であり、その時の最低抵抗率は5.6×10-4Ω・cmであることが示されている。このように、酸化亜鉛系透明導電膜は、実験室レベルではITO膜に遜色のない程度の低抵抗が得られるよう改善されてきている。
月刊ディスプレイ、1999年9月号、p10〜「ZnO系透明導電膜の動向」
しかしながら、これまでの酸化亜鉛系透明導電膜は、導電性の点では優れるものの、耐熱性、耐湿性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)などの化学的耐久性に劣るといった欠点があった。
そこで、本発明の課題は、優れた導電性と化学的耐久性とを兼ね備えた酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法と、該方法により形成される酸化亜鉛系透明導電膜と、該膜を備えた透明導電性基板とを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、酸化亜鉛にチタンをドープさせたチタンドープ酸化亜鉛からなる膜において、チタンのドープ量(含有量)を、これまで低抵抗を実現するうえで最適とされていたドープ量よりも増量し、亜鉛に比べ化学的耐久性に優れるチタンをより多く含有させるようにすれば、化学的耐久性を向上させることができるのではないかと考えるとともに、その際、チタンのドープ量が従来報告されている最適値から外れることで膜の抵抗率は高くなってしまうであろうことも予測した。ところが、検討を重ねたところ、この予測に反し、チタンのドープ量が従来の最適値よりも多くなるように、PLD法により酸化亜鉛系透明導電膜を形成する際の膜形成材料中に含まれるチタンと亜鉛との原子数比を特定範囲に設定すると、得られる膜の導電性(低抵抗)と化学的耐久性を両立させることが可能になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)パルスレーザ堆積法(PLD法)により酸化亜鉛系透明導電膜を形成する方法であって、実質的に亜鉛、チタンおよび酸素からなる酸化物焼結体または酸化物混合体を加工してなるターゲットを膜形成材料とし、該膜形成材料中に含まれるチタンと亜鉛との原子数比がTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下である、ことを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
(2)前記膜形成材料は、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンをチタン源として得られたものである、(1)に記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
(3)前記低原子価酸化チタンは、2価のチタンからなる酸化チタン(TiO)あるいは3価のチタンからなる酸化チタン(Ti23)である、前記(2)記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法により成膜された透明導電膜であって、膜中に含まれるチタンと亜鉛の原子数比がTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下である、ことを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
(5)透明基材上に、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の透明導電膜の形成方法により成膜された酸化亜鉛系透明導電膜を備える、ことを特徴とする透明導電性基板。
(6)前記透明基材が、ガラス板、樹脂フィルムおよび樹脂シートのいずれかである、前記(5)に記載の透明導電性基板。
本発明によれば、PLD法によって、優れた導電性と化学的耐久性とを兼ね備えた酸化亜鉛系透明導電膜を形成することができる。しかも、このようにして形成された透明導電膜は、希少金属であり毒性を有するインジウムを必須としないという利点も有するので、工業的に極めて有用である。
(酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法)
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法は、特定の酸化物混合体を加工してなるターゲットを膜形成材料として、PLD法により成膜する方法である。詳しくは、前記膜形成材料は、亜鉛およびチタンを両方含む酸化物混合体を加工してなる1種のターゲットである。
前記特定の酸化物混合体は、実質的に亜鉛、チタンおよび酸素からなり、酸化亜鉛、酸化チタンが特定の原子数比で混合し、成形された混合体である。ここで、「実質的」とは、酸化物混合体を構成する全原子の99%以上が亜鉛、チタンおよび酸素からなることを意味する。
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法において用いる膜形成材料中に含まれるチタンと亜鉛との原子数比、すなわち前記特定の酸化物混合体に含まれるチタンと亜鉛との原子数比は、Ti/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下であることが重要である。このTi/(Zn+Ti)の値が0.02以下であると、チタンのドープ効果が不充分となり、形成される透明導電膜の導電性が低下するとともに、化学的耐久性の改善効果が不充分となり、一方、Ti/(Zn+Ti)の値が0.1を超えると、成膜時の不純物散乱要因が増し、移動度が低下し、導電性が低下する。好ましくは、膜形成材料中もしくは酸化物混合体中のチタンと亜鉛との原子数比は、Ti/(Zn+Ti)=0.025〜0.09であり、より好ましくはTi/(Zn+Ti)=0.03〜0.08である。
前記特定の酸化物混合体は、酸化亜鉛相と酸化チタン相とから構成されることが好ましい。酸化チタンが低原子価である、チタン(III)、チタン(II)の状態で、あることが重要である。焼結してもよいが、チタン酸亜鉛化合物相との複合酸化物が生成しないことが重要である。
なお、ここで、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
前記特定の酸化物混合体は、実質的に酸化亜鉛と酸化チタンの結晶相の混合物であることが好ましい。また、酸化チタンの結晶相とは、具体的には、TiO2、Ti23、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。
前記特定の酸化物混合体は、ガリウム、アルミニウム、錫、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、これらを「添加元素」と称することもある)をも含有することが好ましい。このような添加元素を含有することによって、形成される透明導電膜の比抵抗が低下し、導電性を向上させることができる。添加元素を含有する場合、その全含有量は、原子数比で、酸化物混合体を構成する全金属元素の総量に対して0.05%以下であることが好ましい。添加元素の含有量が前記範囲よりも多いと、酸化物混合体をターゲットとして形成される膜の比抵抗が増大するおそれがある。
前記添加元素は、酸化物の形態で酸化物混合体中に存在していてもよいし、前記酸化亜鉛相の亜鉛サイトに置換した(固溶した)形態で存在していてもよいし、前記酸化チタン相のチタンサイトに置換した(固溶した)形態で存在していてもよい。
前記特定の酸化物混合体は、必須元素である亜鉛およびチタンや前記添加元素のほかに、例えば、インジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムなどの他の元素を、不純物として含有していてもよい。不純物として含有される元素の合計含有量は、原子数比で、酸化物混合体を構成する全金属元素の総量に対して0.5%以下であることが好ましい。
前記原料粉末としては、チタン源として、酸化チタン粉、チタン金属粉等から選ばれる1種以上と、亜鉛源として、酸化亜鉛粉、水酸化亜鉛粉、亜鉛金属粉等から選ばれる1種以上とを、それぞれ組み合わせたものを用いることができる。特に、前記原料粉末としては、酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉もしくは水酸化亜鉛粉との混合粉を含むものが好ましい。例えば、チタン金属と酸化亜鉛とを組み合わせたものや、酸化チタンと亜鉛金属とを組み合わせたものを原料粉末とした場合、酸化物混合体中にチタンや亜鉛の金属粒が存在しやすくなり、これをターゲットとして成膜すると、成膜中にターゲット表面の金属粒が溶融してしまいターゲットから放出されず、得られる膜の組成とターゲットの組成とが大きく異なる傾向がある。
前記酸化チタン粉としては、4価のチタンからなる酸化チタン(TiO2)、3価のチタンからなる酸化チタン(Ti23)、2価のチタンからなる酸化チタン(TiO)等の粉末を用いることができるが、前記膜形成材料は、低原子価酸化チタンをチタン源として得られたものであることが好ましい。特に、3価のチタンからなる酸化チタン(Ti23)をチタン源として得られたものであることが好ましく、その点で、前記酸化チタン粉としてはTi23の粉末を用いるのが好ましい。Ti23をチタン源とすることが好ましい理由は、Ti23の結晶構造は三方晶であり、これと混合する酸化亜鉛は六方晶のウルツ鉱であるため、結晶構造の対称性が一致し、固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。なお、酸化チタン粉としては、純度が99重量%以上であるものを用いるのがよい。
ここでいう低原子価酸化チタンとは、TiO(II)、Ti23(III)のような整数の原子価を有するものばかりでなく、Ti35、Ti47、Ti611、Ti59、Ti815等)も含む、一般式:TiO2-x(X=0.1〜1)で表されるものである。この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X−ray diffraction、 XRD)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy、 XPS)などの機器分析の結果によって確認することができる。
前記一般式TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンは単成分を作製するのは難しく、混合物として得られる。通常、酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気等の還元雰囲気にて、還元剤としてカーボン等を用いて、加熱することにより作製することができる。水素濃度、還元剤としてカーボン量、加熱温度を調製することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
前記酸化亜鉛粉としては、通常、ウルツ鉱構造のZnO等の粉末が用いられ、さらにこのZnOを予め還元雰囲気で焼成して酸素欠損を含有させたものを用いてもよい。なお、酸化亜鉛粉としては、純度が99重量%以上であるものを用いるのがよい。
前記水酸化亜鉛としては、アモルファスもしくは結晶構造のいずれであってもよい。
前記原料粉末として各々用いる化合物(粉)の平均粒径は、それぞれ5μm以下であることが好ましい。また、そのBET比表面積は、特に限定されない。
前記原料粉末として酸化チタン粉と、酸化亜鉛粉もしくは水酸化亜鉛粉との混合粉を用いる場合の各粉の混合割合は、各々用いる化合物(粉)の種類に応じて、得られる酸化物焼結体に含まれるチタンと亜鉛との原子数比が、Ti/(Zn+Ti)の値が上述した範囲である比率となるように適宜設定すればよい。なお、原料粉末として各々用いる化合物(粉)は、それぞれ1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記原料粉末を成形する際の方法は、特に制限されるものではないが、例えば、原料粉末を混合し、得られた混合物を成形すればよい。混合は、例えば、ボールミル、振動ミル、アトライター、ダイノミル、ダイナミックミル等の公知の混合方法を用いて行うことができ、乾式で行なってもよいし、湿式で行ってもよい。また、混合を湿式で行う際には、成形に供する前に得られるスラリー状の混合物を乾燥してもよく、その場合、乾燥は、例えば、加熱乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて行えばよい。得られた混合物の成形は、例えば、一軸プレス、冷間静水圧プレス(CIP)を用いて、通常1ton/cm2以上の圧力をかけて行なうことができる。成形に際しては、後述するPLD法に適した形状にすればよく、例えば、円板、四角板等の形状とすればよい。また、成形後、切断や研削等を適宜組み合わせて行うことにより、寸法を調整することもできる。なお、混合物を成形するにあたり、混合物の機械的強度を高めるため熱アニールを施すようにしてもよい。
得られた成形体のアニールは、大気雰囲気、不活性雰囲気もしくは還元雰囲気(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空、水素等)、および酸化雰囲気(大気よりも酸素濃度が高い雰囲気)のいずれかの雰囲気中、50〜600℃未満で行なう。そして、酸化雰囲気中でアニールする場合、400℃以下で行うことが望ましい。これは、TiO,Ti23がTiO2に酸化されてしまうからである。酸化チタンとしてTiO2を用いた場合、600℃未満であれば、大気雰囲気、還元雰囲気どちらでも構わない。アニールすることにより、混合成形体の機械的強度を高めることができる。
いずれの雰囲気中でアニールする際も、アニール時間(すなわち、アニール温度での保持時間)は、1時間〜15時間とすることが好ましい。アニール時間が1時間未満であると、機械的強度の向上が十分ではない。
アニールを行なう際の方法は、特に制限されるものではなく、常圧アニール法、ホットプレス法、熱間等圧プレス(HIP)、放電プラズマ焼結(SPS)、冷間等圧プレス(CIP)、ミリ波焼結法、マイクロ波焼結法など公知の方法を採用することができる。
前記アニール処理を施す際の不活性雰囲気あるいは還元雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、真空および水素からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる雰囲気が挙げられる。前記アニール処理の方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの非酸化性ガスを導入しながら常圧で加熱する方法や、真空(好ましくは、2Pa以下)下で加熱する方法等により行うことができるが、製造コストの観点からは、前者の常圧で行う方法が有利である。なお、アニール処理後、切断や研削等を適宜組み合わせて行うことにより、寸法を調整することもできる。
本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法に用いられるターゲットは、前記特定の酸化物混合体を加工することにより得られる。加工方法は、特に制限されず、適宜公知の方法を採用すればよい。例えば、酸化物混合体に平面研削等を施した後、所定の寸法に切断してから、支持台に貼着することにより、ターゲットを得ることができる。また、必要に応じて、複数枚の酸化物混合体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲット)としてもよい。
なお、PLD法による成膜の際に用いる固形材料のことを「タブレット」と称する場合もあるが、本発明においてはこれらを含め「ターゲット」と称することとする。
また、本発明では、前記特定の酸化物混合体に代えて、成形体を焼結することにより得られる酸化物焼結体を使用することができる。膜形成材料中もしくは酸化物焼結体中のチタンと亜鉛との原子数比は、Ti/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下であることが重要であり、好ましくはTi/(Zn+Ti)=0.025〜0.09であり、より好ましくはTi/(Zn+Ti)=0.03〜0.08である。
前記特定の酸化物焼結体は、酸化亜鉛相とチタン酸亜鉛化合物相とから構成されるか、または、チタン酸亜鉛化合物相から構成されることが好ましい。このように酸化物焼結体中にチタン酸亜鉛化合物相が含まれていると、焼結体自体の強度が増すので、過酷な条件(高電力など)で成膜条件においてもターゲットにクラックが生じたりすることがない。なお、ここで、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
前記特定の酸化物焼結体は、実質的に酸化チタンの結晶相を含有しないことが好ましい。
前記特定の酸化焼結体は、例えば、チタン源と亜鉛源とを含む原料粉末を前記と同様にして成形した後、得られた成形体を焼結することにより、得ることができる。
得られた成形体の焼結は、例えば、成形体を非酸化性雰囲気(真空雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気)にて静置し、焼結温度(最高到達温度)を900〜1700℃とし、この焼結温度での保持時間を0.5〜48時間とする条件で行えばよい。通常、酸化物焼結体を不活性雰囲気あるいは還元雰囲気にて焼結した場合は、酸素欠損の導入により、酸化物焼結体の比抵抗は低くなり、酸化雰囲気にて焼結した場合は、比抵抗は高くなる。焼結温度は、好ましくは600〜1500℃、より好ましくは1000〜1300℃とし、保持時間は、好ましくは15時間以上、より好ましくは20時間以上とするのがよい。焼結は、例えば、電気炉、ガス炉、還元炉等を用いて行うことができる。また、焼結は、ホットプレス法、熱間等圧プレス法(HIP)、冷間等圧プレス法(CIP)、放電プラズマ焼結法(SPS)、ミリ波焼結法、マイクロ波焼結法等を用いて、上述した成形と同時に行ってもよい。なお、焼成後、切断や研削等を適宜組み合わせて行うことにより、寸法を調整することもできる。
なお、焼結を行うに際しては、例えば、成形体をZnO粉体内に埋めた状態で分解を防止しつつ行なうことにより、得られる焼結体の密度を、好ましくは80%以上、より好ましくは90%の高密度とすることが好ましい。高密度の焼結体からなるターゲットは、膜品質の低下、すなわち、特にfs−PLD法の場合の結晶性および表面モホロジーの低下を招く可能性のあるアブレーションプルーム内の微粒子を低減するうえで好ましい。
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法に用いられるターゲットは、前記特定の酸化物焼結体を加工することにより得られる。
(PLD法)
本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法は、PLD法により成膜を行うものであるが、その際の具体的手法や条件などについては、上述した膜形成材料を用いること以外、特に制限はなく、公知の手法や条件を適宜採用すればよい。以下、PLD法について説明するが、これらに限定されないことは言うまでもない。
PLD法は、ターゲット等の膜形成材料の上にパルスレーザビームを集光させ、集光されたレーザパルスの高いパワー密度により、ターゲットの表面上の膜形成材料(酸化チタン、酸化亜鉛の混合体)を融除させてプラズマを形成させ、これを基板表面上に堆積させるものである。このとき、ターゲットと基板は両方とも高真空室内に設置されており、フィードスルー機構によってその動作を制御されている。
PLD法で最も幅広く使用されているパルスレーザ源は、エキシマレーザである。エキシマレーザは、数ナノ秒(ns)のパルス幅と、UV領域内の波長とを備えている。その典型的なフルエンス(エネルギー範囲密度)は、典型的な10mm2の集光スポットについて数J/cm2である。ただし、ナノ秒レーザPLD法では、数ミクロンの寸法の大型液滴が発生することになるので、工業手的なナノ秒PLDの幅広い使用には適さない。そこで、PLD法で使用するアブレーションのエネルギー源(パルスレーザ源)としては、フェムト秒レーザ又は類似の超短パルスレーザを使用することが好ましい。ナノ秒レーザパルスと比べて、フェムト秒〜ピコ秒のレーザパルスは、その超短のパルス幅のためにピークパワーが遥かに高く、又、アブレーション機構もナノ秒レーザアブレーションのものとは本質的に異なる。基本的な違いは、フェムト秒パルス幅中、ターゲットの内部には無視できる程度の熱伝導しか生じないため、アブレーションは基本的に非溶融状況において発生する。したがって、フェムト秒PLD法(fs−PLD法)を用いれば、液滴の発生しない薄膜が得られるので好ましい。
フェムト秒PLD法により成膜を行う際には、使用するフェムト秒パルスレーザのレーザビームのパルス幅は、通常10fs〜1psとし、パルスエネルギーは通常2μJ〜100mJとする。最初に、ビームを顕微鏡で10倍に拡大し、その後、集光レンズでターゲット表面上に集光する。これを小さく集光することで、集光スポットにおけるフルエンス(エネルギー密度)を、400μm2のスポット寸法で最大250J/cm2まで変化できる。超短パルスの非常に高いピークパワー(>5×106W)のために、フェムト秒レーザを使用したときの膜形成材料(Ti含有ZnO)の融除の閾値は、ナノ秒パルスレーザの場合と比べて比較的低い。Ti含有ZnOターゲットを融除し、アブレーションプラズマを生成するためには、フルエンスは1J/cm2よりも高ければ十分である。しかし、プラズマプルーム中の粒子数を減少させるためには、最大5J/cm2の高いフルエンスが好ましい。
パルスレーザ源と、パルスレーザの波長に対して透明な基板と、基板に照射して加熱するための連続波(CW)赤外線レーザと、マルチターゲットシステムとを装備している装置を用いれば、透明な基板上に透明な薄膜をパルスレーザ堆積したり、多層周期構造を直接堆積したりすることができる。例えば、基板の裏面からパルスレーザを入射し、基板を貫通してターゲット上に集光させると、ターゲットから融除された膜形成材料が、ターゲットと対向した基板の表面上に付着するが、その際、基板をターゲットに対して並進移動させることで、基板からターゲットまでの距離を変更できる。基板をターゲットから遠ざければ、大面積薄膜を成膜できる。基板をターゲットに極接近させれば、基板/ターゲット間の短い距離と、その基部におけるアブレーションプルームの狭い角度分布とによって、基板上にレーザの集光スポットと同程度の寸法の微細パターンを成膜することができる。基板を横方向に並進移動させれば、パターン構造(例えば、周期的なライン、格子、ドット)を成膜できる。基板/ターゲット間の長い距離と短い距離のそれぞれにて、異なる材料を用いて、2つの成膜プロセスを交互に実施すれば、多層の周期的誘電体構造を成膜できる。
基板は、最高900℃にまで加熱できる基板ヒータに搭載される。そして、基板マニピュレータが基板の表面に横方向及び回転的な動作を与え、該基板マニピュレータを使用して基板とターゲットの間の距離を調整できる。また、真空系は、ターボ分子ポンプで真空排気されることにより、1.5×10-8Torrのベース圧力で動作する。膜の成長中には、吸気口と排気口から別のガスを室に充填することもでき、例えば、室を0.1〜20ミリTorrの酸素で充填することができる。
レーザアブレーションは、レーザビームがターゲット表面上に集光された際に生じる。膜の成長中に、レーザ集光スポットが固定される一方で、ディスク型のターゲットがその表面垂直軸の周囲で回転されて、その表面に沿って、横方向に行ったり来たりの並進運動を行う。これは、ターゲット表面にわたるレーザビームの走査に相当する。このとき、回転の角速度は通常1rev/秒程度である。横方向への並進運動速度は通常0.3mm/秒程度であり、フルエンスは通常20J/cm-2程度である。パルス繰り返し周波数は1kHzに保つ。
なお、レーザビームをターゲット表面上に集光させる前には、あらかじめ、基板を最高600℃に加熱してガスを放出させておいた後、基板を酸素プラズマで約5分間処理することにより、基板から炭化水素による汚れを除去することが好ましい。また、レーザビームをターゲット表面上に集光させる前には、あらかじめ、約20分間かけてターゲット表面のプレアブレーション(事前融除)を行うことが好ましい。プレアブレーションの目的は、製造過程で汚れたターゲット表面を洗浄することである。プレアブレーションの最中には、ターゲットと基板の間にシャッタが挿入し、基板表面を保護する。
(酸化亜鉛系透明導電膜)
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜は、上述した酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法により成膜されたチタンドープ酸化亜鉛からなる透明導電膜である。かかる酸化亜鉛系透明導電膜中に含まれるチタンと亜鉛の原子数比は、Ti/(Zn+Ti)=0.02〜0.1、好ましくはTi/(Zn+Ti)=0.03〜0.09、より好ましくはTi/(Zn+Ti)=0.04〜0.08である。これにより、チタンのドープ効果により優れた導電性を発現しうるとともに、化学的耐久性にも優れた膜となる。この酸化亜鉛系透明導電膜は、チタンが酸化亜鉛のウルツ鉱の結晶構造の亜鉛サイトに置換固溶したものある。
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜は、良好な透明性を有し、かつ、上述したように優れた導電性と化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)など)を兼ね備えたものである。詳しくは、本発明の酸化亜鉛系透明導電膜は、従来の酸化亜鉛系透明導電膜(すなわち、本発明の如く特定量のチタンを含有しない酸化亜鉛系透明導電膜)における最大の欠点であった化学的耐久性を、透明性および導電性を損なうことなく改善したものである。具体的には、従来の酸化亜鉛系透明導電膜は、膜厚に依存するが、耐熱性については、200℃の大気雰囲気で30分間加熱すると比抵抗は急激に増大し、耐湿性については、恒温恒湿雰囲気(温度60℃、相対湿度90%)に10時間保持すると急激に増大してしまうものであった。また、従来の酸化亜鉛系透明導電膜の耐薬品性は、例えば40℃の3%塩酸水溶液や40℃の3%水酸化ナトリウム溶液に浸漬すると10分後には完全に消失してしまうものであった。
本発明の酸化亜鉛系透明導電膜の膜厚は、用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、好ましくは50〜600nm、より好ましくは100〜500nmである。50nm未満であると、充分な比抵抗が確保できないおそれがあり、一方、600nmを超えると膜に着色が生じてしまうおそれがある。
(透明導電性基板)
本発明の透明導電性基板は、透明基材上に、上述した透明導電膜の形成方法により成膜された酸化亜鉛系透明導電膜を備えるものである。
前記透明基材は、PLD法による成膜条件において形状を維持しうるものであれば、特に限定されない。例えば、各種ガラス等の無機材料、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリイミドなどのプラスチック類)等の樹脂などで形成された板状物、シート状物、フィルム状物等を用いることができるが、特に、ガラス板、樹脂フィルム又は樹脂シートのいずれかであるのが好ましい。透明基材の可視光透過率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上であるのがよい。
なお、前記透明基材として樹脂フィルムや樹脂シートを用いる場合、PLD法による成膜で受けるダメージを分散均一化するために、工業的に行われているロールツーロールの成膜方法で、巻き出し速度と巻取り速度をコントロールしながら引張応力をかけた状態で成膜することが好ましい。さらに、あらかじめ樹脂フィルムまたは樹脂シートを加熱した状態で成膜してもよいし、成膜最中に樹脂フィルムまたは樹脂シートを冷却するようにしてもよい。また、PLD法による成膜でダメージを受ける時間を短縮するため、樹脂フィルムまたは樹脂シートの搬送速度の高速化(例えば1.0m/分以上で)を図ることも効果的であり、この場合は、例えば成膜する樹脂フィルムまたは樹脂シートとターゲットとの距離が短くても成膜が可能となり、工業的プロセスとしては有利である。
前記透明基材には、必要に応じて、単層または多層からなる絶縁層、半導体層、ガスバリア層および保護層のいずれかが形成されていてもよい。絶縁層としては、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜などが挙げられる。半導体層としては、薄膜トランジスター(TFT)などが挙げられ、主にガラス基板に形成される。ガスバリア層としては、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、アルミニウム酸マグネシウム膜などが挙げられ、水蒸気バリア膜などとして樹脂板もしくは樹脂フィルムに形成される。保護層は、基材の表面を傷や衝撃から守るためのものであり、Si系、Ti系、アクリル樹脂系など各種コーティング層が挙げられる。
本発明の酸化亜鉛系透明導電性基板の比抵抗は、通常1×10-3Ω・cm以下、好ましくは8×10-4Ω・cm以下である。また、その表面抵抗(シート抵抗)は、用途によって異なるが、通常5〜10000Ω/□、好ましくは5〜300Ω/□であるのが好ましい。なお、比抵抗および表面抵抗は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
本発明の酸化亜鉛系透明導電性基板の透過率は、可視光領域で、通常85%以上、好ましくは90%以上である。また、その全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であり、そのヘイズ値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下であるのがよい。なお、透過率は、例えば実施例で後述する方法によって測定することができる。
本発明の透明導電性基板における酸化亜鉛系透明導電膜の膜厚は、50〜600nmであることが好ましい。この膜厚の範囲では、用途によって異なるが、可撓性が保たれた連続的な膜を得る事ができる。さらに、本発明の透明導電膜の膜厚は用途に応じて100〜500nmとすることが望ましい。
本発明の透明導電性基板には、必要に応じて、最外層として、保護膜、反射防止膜、フィルター等の役割や、液晶の視野角の調整、曇り止め等の機能を発揮する任意の樹脂または無機化合物の層を、1層または2層以上積層することができる。
本発明の透明導電性基板は、上述したように、良好な透明性を有し、かつ、上述したように優れた導電性と化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)など)を兼ね備えたものであるので、例えば、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ・無機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ・有機ELディスプレイ・電子ペーパーなどの透明電極、太陽電池の光電変換素子の窓電極、透明タッチパネル等の入力装置の電極、電磁シールドの電磁遮蔽膜、透明電波吸収体、紫外線吸収体、さらには透明半導体デバイスとして他の金属膜/金属酸化膜と組み合わせて活用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
なお、得られた透明導電性基板の評価は以下の方法で行なった。
<比抵抗>
比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA−GP、MCP−T610」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間に一定の電流を流し、内側の二探針間に一定電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定し、抵抗を求めた。
<表面抵抗>
表面抵抗(Ω/□)は、比抵抗(Ω・cm)を膜厚(cm)で除することにより算出した。
<透過率>
透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製「V−670」)を用いて測定した。
<耐湿性>
透明導電性基板を、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気中に1000時間保持する耐湿試験に付した後、表面抵抗を測定した。耐湿試験後の表面抵抗が、耐湿試験前の表面抵抗の2倍以下であると、耐湿性に優れると言える。
<耐熱性>
透明導電性基板を、温度200℃の大気中に5時間保持する耐熱試験に付した後、表面抵抗を測定した。耐熱試験後の表面抵抗が、耐熱試験前の表面抵抗の1.5倍以下であると、耐熱性に優れると言える。
<耐アルカリ性>
透明導電性基板を、3%のNaOH水溶液(40℃)中に10分間浸漬し、浸漬前後の基板上の膜質の変化の有無を目視にて確認した。
<耐酸性>
透明導電性基板を、3%のHCl水溶液(40℃)中に10分間浸漬し、浸漬前後の基板上の膜質の変化の有無を目視にて確認した。
(実施例1)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が96:4となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(1.01325×102kPa)のアルゴン雰囲気下、500℃で1時間加熱して、酸化物混合体(1)を得た。
得られた酸化物混合体(1)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=96:4(Ti/(Zn+Ti)=0.04)であった。この酸化物混合体(1)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)と酸化チタン(Ti23)の結晶相の混合物であった。
次に、得られた酸化物混合体(1)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):250℃
Base Pressure: 7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=96:4であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.4×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は14.7Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.6倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.2倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例2)
実施例1で得られた酸化物混合体(1)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製した。このターゲットを用いて、実施例1における透明基板(石英ガラス基板)をアクリル系透明樹脂シート(80mm×80mm×2mmt平板)に代えるとともに、成膜条件(Substrate Temperature)を下記通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、成膜時間120分間でPLD法により、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):130℃
Base Pressure: 7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=96:4であった。また、この透明導電膜について、実施例1と同様にして、X線回折を行うとともに、亜鉛へのチタンのドープ状態および結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は6.3×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は21Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均89%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の樹脂シートの可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.6倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.2倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例3)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が96:4となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(1.01325×102kPa)のアルゴン雰囲気下、800℃で4時間焼結して、酸化物焼結体(2)を得た。
得られた酸化物焼結体(2)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=96:4(Ti/(Zn+Ti)=0.04)であった。この酸化物焼結体(2)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(2)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):250℃
Base Pressure: 7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=96:4であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.4×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は14.7Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.6倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.2倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(比較例1)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が99:1となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(1.01325×102kPa)のアルゴン雰囲気下、400℃で3時間加熱して、酸化物混合体(C1)を得た。
得られた酸化物混合体(C1)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=99:1(Ti/(Zn+Ti)=0.01)であった。
次に、得られた酸化物混合体(C1)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いて、実施例1と同様にして、成膜時間120分間でPLD法により、膜厚320nmの透明導電膜を形成した。
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=99:1であった。また、この透明導電膜について、実施例1と同様にして、X線回折を行うとともに、亜鉛へのチタンのドープ状態および結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は2.34×10-3Ω・cmであり、表面抵抗は73.2Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域における透過率は、実施例1と同じである。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の2.4倍であり、耐湿性に劣ることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の2.2倍であり、耐熱性に劣ることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬後には膜は完全に溶解し、消失していた。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、膜は完全に溶解し、消失していた。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明ではあるが、抵抗が大きく導電性に劣るとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)にも劣る透明導電膜であることが明らかである。
(比較例2)
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末97.7重量部と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム粉末2.3重量部とを、ポリエチレン製ポットに入れ、乾式ボールミルを用いて72時間混合し、原料粉末の混合物を得た。得られた混合物を金型に入れ、成形圧300kg/cm2の圧力でプレスを行い、成形体を得た。この成形体に3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を施した後、以下の条件で焼結して、アルミニウムドープ酸化亜鉛の酸化物焼結体(C2)を得た。
焼結温度:1500℃
昇温速度:50℃/時間
保持時間:5時間
焼結雰囲気:大気中
得られた酸化物焼結体(C2)は、X線回折で分析したところ、ZnOとZnAl24との2相の混合組織であった。
次に、得られた酸化物焼結体(C2)を4インチφ、6mmtの形状に加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅製バッキングプレートにボンディングすることにより、ターゲットを作製した。そして、このターゲットを用いて、以下の条件でスパッタリング法による成膜を行い、透明基材(石英ガラス基板)上に膜厚300nmの透明導電膜を形成し、透明導電性基板を得た。形成した膜中のAl含有量は2.3重量%であった。
装置:dcマグネトロンスパッタ装置
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
基板温度:200℃
到達真空度:5×10-5Pa
スパッタリングガス:Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
DCパワー:300W
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は7.6×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は25.3Ω/□であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均88%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均55%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の3.2倍であり、耐湿性に劣ることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の7倍であり、耐熱性に劣ることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬後には膜は完全に溶解し、消失していた。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、膜は完全に溶解し、消失していた。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗ではあるが、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)に劣る透明導電膜であることが明らかである。
(実施例4)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(1.01325×102kPa)のアルゴン雰囲気下、800℃で4時間焼結して、酸化物焼結体(3)を得た。
得られた酸化物焼結体(3)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。この酸化物焼結体(3)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(3)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=97:3であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.2×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は14.0Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.7倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.3倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例5)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。次いで、得られた混合物を金型に入れ、一軸プレスにより成形圧500kg/cm2にて成形し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を常圧(1.01325×102kPa)のアルゴン雰囲気下、800℃で4時間焼結して、酸化物焼結体(4)を得た。
得られた酸化物焼結体(4)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。この酸化物焼結体(4)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(4)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=97:3であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.0×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は13.3Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.7倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.3倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例6)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23(III);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた混合粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化物焼結体(5)を得た(ホットプレス焼結)。得られた酸化物焼結体(5)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。この酸化物焼結体(5)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(5)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)社製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=97:3であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.2×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は14.0Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.7倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.3倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
得られた透明導電性基板の耐アルカリ性を評価したところ、浸漬前後で膜質に変化はなく耐アルカリ性に優れていることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐酸性を評価したところ、浸漬後、膜厚が薄くなっており溶解していたが、浸漬前後で膜質に変化はなく耐酸性に優れていることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例7)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO(II);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた混合粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化物焼結体(6)を得た(ホットプレス焼結)。得られた酸化物焼結体(6)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)であった。この酸化物焼結体(6)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(6)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=97:3であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は4.0×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は13.3Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均65%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.7倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.3倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明かつ低抵抗であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であることが明らかである。
(実施例8)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO(II);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が93:7となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた混合粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化物焼結体(7)を得た(ホットプレス焼結)。得られた酸化物焼結体(7)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=93:7(Ti/(Zn+Ti)=0.07)であった。この酸化物焼結体(7)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(7)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=93:7であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は9.0×10-4Ω・cmであり、表面抵抗は30.0Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均67%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.4倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.2倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
(比較例3)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(TiO(II);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が88:12となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた混合粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化物焼結体(C3)を得た(ホットプレス焼結)。得られた酸化物焼結体(C3)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=88:12(Ti/(Zn+Ti)=0.12)であった。この酸化物焼結体(C3)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(C3)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=88:12であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は1.1×10-2Ω・cmであり、表面抵抗は367.0Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均75%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.1倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.1倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であるが高抵抗であることが明らかである。
(比較例4)
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン粉末(Ti23(III);(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を原料粉末とし、これらをZn:Tiの原子数比が88:12となる割合で混合し、原料粉末の混合物を得た。混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた混合粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化物焼結体(C4)を得た(ホットプレス焼結)。得られた酸化物焼結体(C4)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=88:12(Ti/(Zn+Ti)=0.12)であった。この酸化物焼結体(C4)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)との結晶相の混合物であり、酸化チタンは全く存在していなかった。
次に、得られた酸化物焼結体(C4)を20mmφの円盤状に加工することにより、ターゲットを作製し、これを用いてPLD法により透明導電膜を成膜し、透明導電基板を得た。すなわち、パルスレーザ蒸着装置(誠南工業(株)製「PS−2000」)内に、上記ターゲットと、該ターゲットに対向させるように石英ガラス基板とを設置し、レーザ発光装置(ラムダ・フィジクス(株)製「Comex205型」)を用いて、下記の成膜条件下、成膜時間120分間で、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。
<成膜条件>
Laser:ArF Excimer Laser(波長=193nm)
Laser Energy:18mJ
Repetition Frequency:5Hz
Target to substrate Distance:40nm
Substrate:Corning#1737
Substrate Temperature(℃):200℃
Base Pressure:7.2×10-4Pa
Gas Pressure(酸素):0.25Pa
Gas Flow Rate:8.6sccm
Film thickness:300nm
形成した透明導電膜中の組成(Zn:Ti)について、波長分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「XRF−1700WS」)を用い蛍光X線法により検量線を用いて定量分析を行ったところ、Zn:Ti(原子数比)=88:12であった。また、この透明導電膜について、X線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)を用い薄膜測定用のアタッチメントを使用したX線回折を行うとともに、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(TEM−EDX)を用いて亜鉛へのチタンのドープ状態を調べ、さらに電界放射型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて結晶構造を調べたところ、C軸配向したウルツ鉱型の単相であり、チタンが亜鉛に置換固溶していることがわかった。
得られた透明導電性基板上の透明導電膜の比抵抗は2.4×10-2Ω・cmであり、表面抵抗は800.0Ω/□であった。なお、透明基板上の比抵抗の分布は面内均一であった。
得られた透明導電性基板の透過率は、可視領域(380nm〜780nm)で平均90%、赤外領域(780nm〜2700nm)で平均75%であった。なお、成膜前の石英ガラス基板の可視領域(380nm〜780nm)における透過率は平均94%であり、赤外領域(780nm〜2700nm)における透過率は平均94%であった。
得られた透明導電性基板の耐湿性を評価したところ、耐湿試験後の表面抵抗は、耐湿試験前の表面抵抗の1.1倍であり、耐湿性に優れることがわかった。また、得られた透明導電性基板の耐熱性を評価したところ、耐熱試験後の表面抵抗は、耐熱試験前の表面抵抗の1.1倍であり、耐熱性に優れることがわかった。
以上のことから、得られた透明導電性基板上の膜は、透明であるとともに、化学的耐久性(耐熱性、耐湿性、耐アルカリ性、耐酸性)をも兼ね備えた透明導電膜であるが高抵抗であることが明らかである。

Claims (6)

  1. パルスレーザ堆積法により酸化亜鉛系透明導電膜を形成する方法であって、実質的に亜鉛、チタンおよび酸素からなる酸化物焼結体または酸化物混合体を加工してなるターゲットを膜形成材料とし、該膜形成材料中に含まれるチタンと亜鉛との原子数比がTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下であることを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
  2. 前記膜形成材料は、一般式:TiO2-X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンをチタン源として得られたものである、請求項1に記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
  3. 前記低原子価酸化チタンは、2価のチタンからなる酸化チタン(TiO)あるいは3価のチタンからなる酸化チタン(Ti23)である、請求項2に記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法により成膜された透明導電膜であって、膜中に含まれるチタンと亜鉛の原子数比がTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下である、ことを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
  5. 透明基材上に、請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電膜の形成方法により成膜された酸化亜鉛系透明導電膜を備える、ことを特徴とする透明導電性基板。
  6. 前記透明基材が、ガラス板、樹脂フィルムおよび樹脂シートのいずれかである、請求項5に記載の透明導電性基板。
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