JP2013189369A - 酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびそれらを用いたターゲット - Google Patents

酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびそれらを用いたターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】 亜鉛の揮散が抑制され、高密度の焼結体を作製することが可能なカプセル熱間等方加圧焼結を実現可能とする酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびターゲットを提供することにある。
【解決手段】 本発明の酸化亜鉛系粉末は、タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm以上である酸化亜鉛系粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合して得られた、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上である粉末である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法などにより酸化亜鉛系透明導電膜を安定して形成することができるターゲット等の原料として有用な酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法、およびそれらを用いたターゲットに関する。
導電性と光透過性とを兼ね備えた透明導電膜は、これまでから、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子における電極などとして利用されているほか、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等における防曇用透明発熱体など、幅広い用途に利用されている。特に、低抵抗で導電性に優れた透明導電膜は、太陽電池や、液晶、有機エレクトロルミネッセンス、無機エレクトロルミネッセンスなどの液晶表示素子や、タッチパネルなどに好適であることが知られている。
従来、透明導電膜としては、例えば、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)膜、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜などの酸化スズ(SnO)系の薄膜;アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)膜、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)膜などの酸化亜鉛(ZnO)系の薄膜;スズドープ酸化インジウム(ITO;Indium Tin Oxide)膜などの酸化インジウム(In)系の薄膜が知られている。中でも、最も工業的に利用されているのは酸化インジウム系の透明導電膜であり、とりわけITO膜は、低抵抗で導電性に優れることから、幅広く実用化されている。
このような透明導電膜を形成する際には、従来から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法、EB蒸着法などが工業的に汎用されている。これらの成膜方法において膜原料として用いられるターゲットは、成膜しようとする膜を構成する金属元素を含む固体からなり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの焼結体や混合体、場合によっては単結晶で形成される。
例えば、ITOのような酸化物の膜をスパッタリング法で形成する際には、ターゲットとしては、一般に、膜を構成する金属元素からなる合金ターゲット(ITO膜を形成する場合にはIn‐Sn合金)、または膜を構成する金属元素を含む酸化物を焼結もしくは混合してなる酸化物ターゲット(ITO膜を形成する場合にはIn‐Sn‐Oからなる焼結体や混合体)が用いられる。
合金ターゲットを用いると、形成される膜中の酸素は全て雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量が変動しやすくなり、その結果、雰囲気中の酸素ガス量に依存する成膜速度や得られる膜の特性(比抵抗、透過率)を一定に保つことが困難になる場合がある。
他方、酸化物ターゲットを用いると、膜に供給される酸素の一部は、ターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、これまで、酸化物ターゲットが工業的に用いられている。
ところで、ITO膜などの酸化インジウム系の透明導電膜は、その必須原料であるIn(インジウム)が、希少金属であるため高価で且つ資源枯渇のおそれがあり、しかも毒性を有し環境や人体に対して悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、近年、ITO膜に代替し得る工業的に汎用可能な透明導電膜が要望されている。そのような中、スパッタリング法による工業的製造も可能である酸化亜鉛系透明導電膜が注目されており、その導電性能を高めるべく研究が進められている。
具体的には、非特許文献1では、導電性を高めるべくZnOに種々のドーパントをドープさせる試みが報告されている。その中で、現在、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)膜、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)膜が優れた導電性を示すため実用的に使用されている。しかし、AZO膜やGZO膜は、化学的耐久性が乏しく、特に近赤外領域の透過性が低い為、例えば、CIS/CIGS太陽電池の透明電極としての用途など太陽電池用途に適していない。
また、本発明者らは、亜鉛に比べ化学的耐久性に優れ、ドーパントであるチタン源として4価の酸化チタン(TiO(IV))でなく、低原子価酸化チタンを含有し、この低原子価酸化チタンの含有量を従来最適とされていた含有量よりもさらに増やした酸化物ターゲットを用いれば、優れた導電性と化学的耐久性とを兼ね備えた酸化亜鉛系透明導電膜とすることができることを見出している(特許文献1参照)。
上述した酸化物ターゲット、すなわち低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛系焼結体を無加圧焼結により作製するのに、低原子価酸化チタンが酸化されて4価の酸化チタン(TiO(IV))となるのを抑制するため、不活性雰囲気や還元雰囲気などの非酸化性雰囲気中にて焼結する必要があるが、亜鉛の揮散のしやすさは、焼結する際の雰囲気によって異なり、例えば、焼結体の原料に酸化亜鉛粉末(以下、原料酸化亜鉛粉末という場合がある)を含む混合粉末を用いた場合、大気雰囲気や酸化雰囲気などの酸化性雰囲気では焼結体の製造過程で原料酸化亜鉛粉末自体の揮散しか起こらないが、非酸化性雰囲気で焼結すると、酸化亜鉛が還元されて、酸化亜鉛よりもさらに揮散しやすい金属亜鉛となるので、非酸化性雰囲気下で焼結体を製造する場合は、酸化性雰囲気下で製造する場合よりも、亜鉛の消失量が増すことになる。
そのため、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛系焼結体を無加圧焼結により作製するには、予め焼結体の目的組成に対して、原料酸化亜鉛粉末の仕込み量を増やしておく必要がある。
しかし、亜鉛の揮散量を正確に計算するのは極めて困難であったため、目的の組成である焼結体が得られにくいという問題があった。
さらに、亜鉛が揮散するために当然、揮散する部分は空孔が生じやすく、焼結体の密度低下に繋がり、このような低密度の焼結体を用いてスパッタリングにて成膜すると、異常放電が発生しやすくなり安定に成膜できないという問題があった。
すなわち、亜鉛の揮散を抑制することは無加圧焼結にて物理的に実現できない。一方、加圧焼結法であれば、亜鉛の揮散を抑制できる可能性はあるが、固体圧縮法による一般的なホットプレス法では、焼結体を得るための原料粉末(以下、焼結体の原料粉末という場合がある)を成型加圧して焼結させるが、黒鉛からなるダイスとパンチ間にクリアランス(隙間)があるため、亜鉛の揮散を避けることができない。
また、ガス圧縮法による通常のカプセルフリーHIP(熱間等方加圧焼結)法では、バルク焼結体をさらに高密度化させることができるが、HIPするには、処理品がある程度の高密度化(相対密度:90%〜95%)されている焼結体(欠陥が外観と遮断されている閉気孔しか存在しない)でなければ、さらに閉気孔をつぶして緻密化して、処理品を高密度の焼結体とすることができない。そのため、ある程度の高密度化(相対密度:90%〜95%)の焼結体を作製する必要があるが、その焼結体を作製する段階にて、亜鉛が揮散してしまう。
なお、ここでいう高密度の焼結体とは、相対密度が98%以上である焼結体をいう。
そこで、低製造コストにて亜鉛の揮散を抑制して高密度の焼結体とすることができる焼結方法として、焼結体の原料粉末を金属製の容器(カプセル)に充填し、気密封止して加圧焼結する、カプセル熱間等方加圧焼結(カプセルHIP)法がある。
このカプセルHIP法は、焼結体の原料粉末を金属製容器内に気密封止するので、亜鉛の揮散を抑えることができる方法であるが、金属製容器ごと加圧されるので、加圧による金属製容器の収縮率が大きいと、金属製容器が破裂してしまい、焼結体の原料粉末が揮散し、加えた圧力をかけることができない。そのため、一般に、金属製容器の収縮率を体積レベルで少なくとも50%以下とすればよいことが知られており、そのためには、金属製容器に充填した焼結体の原料粉末の充填率を少なくとも50%以上にすればよいことが知られている。
しかし、市販の酸化亜鉛粉末の充填率は20%弱であるため、このような市販の酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末の充填率は50%未満となり、さらに、これまで酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末の充填率を50%以上にする方法は存在しなかった。
したがって、これまで充填率が50%以上の混合粉末は出願人が知り得る限り存在しなかった。ここでいう充填率とは、カプセルHIP後に焼結体が理論密度に到達したとし、得られた焼結体の理論密度に対する、焼結体の原料である原料粉末のタップ密度の割合であり、下記式で表される。
充填率=100×{(焼結体の原料粉末のタップ密度/焼結体の理論密度)}
特開2011‐190528号公報
月刊ディスプレイ、1999年9月号、p10〜「ZnO系透明導電膜の動向」
本発明の課題は、亜鉛の揮散が抑制され、高密度の焼結体を作製することが可能なカプセル熱間等方加圧焼結を実現可能とする酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびターゲットを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、原料酸化亜鉛粉末、原料酸化亜鉛粉末とドーパントである低原子価酸化チタン粉末とからなる混合粉末、または原料酸化亜鉛粉末とドーパントである低原子価酸化チタン粉末と酸化ガリウムもしくは酸化アルミニウムとからなる混合粉末を粉末状態で焼成することにより、タップ密度が高くなることを見出した。そして、タップ密度が2.8g/cm以上である酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填し、真空封止した金属製容器をHIP装置に配置してHIP処理を行うことにより、亜鉛の揮散が抑制され、焼結体の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と焼結体の目的組成とほとんどずれがなく、相対密度98%以上の酸化亜鉛系焼結体を作製することが可能であることを初めて見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(2)低原子価酸化チタン粉末を混合した前記(1)に記載の酸化亜鉛系粉末であってチタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(3)低原子価酸化チタン粉末並びにガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末を混合した前記(1)に記載の酸化亜鉛系粉末であって、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(4)タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(5)タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(6)前記原料酸化亜鉛粉末のタップ密度が、0.5〜1.2g/cmである前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
(7)前記低原子酸化チタンは、一般式TiO2―X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする前記(2)〜(6)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填し、カプセル熱間等方加圧焼結を行うことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(9)前記カプセル熱間等方加圧焼結における焼結温度は900〜1400℃であり、焼結体の相対密度を98%以上とすることを特徴とする前記(8)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(10)前記カプセル熱間等方加圧焼結における雰囲気は不活性ガスであることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(11)前記カプセル熱間等方加圧焼結における圧力は50MPa以上であることを特徴とする前記(8)〜(10)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(12)スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられるターゲットであって、前記(8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなることを特徴とするターゲット。
本発明によれば、酸化亜鉛系粉末のタップ密度が2.8g/cm以上であるので、この酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填して、酸化亜鉛系粉末の充填率を50%以上とすることができ、カプセルHIPを行っても、金属製容器の破裂もなく、亜鉛の揮散も抑制され、焼結体の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と焼結体の目的組成とがほとんどずれることなく、高密度の酸化亜鉛系焼結体を作製できる。この酸化亜鉛系焼結体を用いることにより、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法によって、成膜中にほとんど異常放電が発生することなく、安定的に再現性よく優れた導電性を発現する酸化亜鉛系透明導電膜を形成することができる。しかも、このようにして形成された透明導電膜は、希少金属であり毒性を有するインジウムを必須としないという利点も有するので、工業的に極めて有用である。
(a)は実施例5における焼成後の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真(倍率:10倍)であり、(b)は(a)の倍率を変えたSEM写真(倍率:5000倍)である。 (a)は実施例5における焼成前の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真(倍率:5000倍)であり、(b)は(a)の倍率を変えたSEM写真(倍率:30000倍)である。
(酸化亜鉛系粉末)
本発明の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末を所定条件で焼成した、タップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(A)という)である。
(原料酸化亜鉛粉末)
原料酸化亜鉛粉末は、タップ密度が2.8g/cm未満であり、好ましくは0.5〜1.2g/cmである。なお、酸化亜鉛の粒子サイズ、粒度分布より異なるが、市販の酸化亜鉛粉末は1.12g/cm以下であることが多い。また、原料酸化亜鉛粉末は、タップ密度が2.8g/cm未満であれば、焼成履歴があってもよい。なお、酸化亜鉛の理論密度(タップ密度の上限)は、5.6g/cmである。
本発明におけるタップ密度とは、JIS K5101に基づき、一定容積の容器に粉末を自然落下により目一杯充填した後、さらに該容器に一定の振動(タッピング)による衝撃を加え、粉末の体積変化がなくなったときの単位体積当たりの粉末の質量と定義する。なお、一定容積の容器に粉末を自然落下により目一杯充填し、その内容積を体積としたときの単位体積当たりの粉末の質量をかさ密度といい、一般的にタップ密度は、かさ密度の1.1〜1.3倍程度の値となる。
原料酸化亜鉛粉末の結晶構造は、通常、ウルツ鉱構造であり、ウルツ鉱構造の原料酸化亜鉛粉末を予め還元雰囲気で焼成して酸素欠損させた構造であってもよい。
なお、原料酸化亜鉛粉末の純度が99重量%以上であるのがよい。
原料酸化亜鉛粉末の平均粒径は、0.02μm以上5μm以下であることが好ましい。また、そのBET比表面積は、特に限定されない。
酸化亜鉛系粉末(A)は、上述した原料酸化亜鉛粉末を焼成したものである。焼成後、ジョージクラッシャー、ロールクラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、乳鉢等の公知の方法にて解砕を行い、粉末とすることができる。
焼成条件については、焼成温度が900〜1400℃であり、好ましくは1000〜1300℃である。焼成時間は8時間以上24時間以内であり、好ましくは10時間以上15時間以下であることが好ましい。焼成時間が8時間未満であると、タップ密度が向上しない。24時間を超えても、タップ密度は向上せず、製造コストの観点から好ましくない。
焼成温度及び焼成時間が上記範囲内であれば、酸化亜鉛が熱分解を起こして揮散するのを抑制し、粒成長を十分に進行させることができ、タップ密度が2.8g/cm以上、通常3.3〜5.6g/cmである酸化亜鉛系粉末とすることができる。特に焼成温度は上記範囲内であれば高いほど好ましく、粒子間で固相焼結が進行し、粒成長が生じ、粒子サイズが平均的に大きくなり、粒子サイズの分布が広くなり、大きな粒子の隙間に小さな粒子が入ることにより、粒子を充填した際に、単位体積当たりの粒子間の隙間が減少し、タップ密度の向上に繋がる。
また、焼成する際の雰囲気は、特に限定されず、大気雰囲気、酸化雰囲気などの酸化性雰囲気;不活性雰囲気、還元性雰囲気などの非酸化性雰囲気のいずれであってもよいが、大気雰囲気中で焼成するのが好ましい。
なお、酸化雰囲気としては、例えば、大気よりも酸素濃度が高い雰囲気などが挙げられる。
不活性雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、真空、二酸化炭素などが挙げられる。
還元性雰囲気としては、例えば、水素、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄などが挙げられる。
このようにして得られた酸化亜鉛系粉末(A)のタップ密度は、2.8g/cm以上であり、金属製容器に多くの酸化亜鉛系粉末(A)を充填でき、かつHIP焼結後の金属製容器が対称に収縮するため加工し易くなることから、好ましくは3.3〜5.6g/cmである。酸化亜鉛系粉末(A)のタップ密度が上記範囲内であれば、金属製容器に充填した際に、充填率が50%以上である酸化亜鉛系粉末(A)とすることができ、カプセルHIP法による金属製容器の収縮率を50%以下にすることができるので、金属製容器を破壊することなく酸化亜鉛系粉末(A)を加圧焼結でき、原料酸化亜鉛粉末由来の亜鉛の揮発を抑制した高密度の酸化亜鉛系焼結体とすることができる。
ここで、充填率とは、理論的にカプセルHIP後に焼結体が理論密度に到達したとし、得られた焼結体の理論密度に対する、焼結体の原料である酸化亜鉛系粉末のタップ密度の割合である。
また、金属製容器の収縮率とは、下記式で表される。
金属製容器の収縮率(%)=[1−(カプセルHIP後の金属製容器の内容積/カプセルHIP前の金属製容器の内容積)]×100
酸化亜鉛系粉末(A)には、低原子価酸化チタン粉末が混合されていてもよい。すなわち、あらかじめ焼成することによりタップ密度が2.8g/cm以上となった焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合することにより、タップ密度2.8g/cm以上である酸化亜鉛系粉末としてもよい。以下、低原子価酸化チタン粉末が混合された酸化亜鉛系粉末(A)を酸化亜鉛系粉末(A−1)という場合がある。
低原子価酸化チタンとは、TiO(II)、Ti(III)という整数の原子価を有するものばかりでなく、Ti、Ti、Ti11、Ti、Ti15等も含む、一般式:TiO2―x(X=0.1〜1)で表され、なかでも、TiO(II)またはTi(III)が好ましい。これは、Tiの結晶構造は三方晶であり、これと混合するタップ密度が2.8g/cm以上となった酸化亜鉛の結晶構造は通常六方晶のウルツ鉱であるため、結晶構造の対称性が一致し、固相焼結する際に置換固溶しやすいからである。
この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X−Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析の結果によって確認することができる。
低原子価酸化チタン粉末のタップ密度は、特に限定されず、通常2.7〜3.2g/cmである。なお、低原子価酸化チタン粉末のタップ密度は、低原子価酸化チタン粉末の混合割合が後述する範囲内となるので、酸化亜鉛系粉末(A−1)のタップ密度にあまり影響を及ぼさない。したがって、酸化亜鉛系粉末(A−1)の充填率は50%以上となる。
低原子価酸化チタンの純度は、99重量%以上であるのが好ましい。
低原子価酸化チタンの平均粒径は、5μm以下であるのが好ましい。
低原子価酸化チタン粉末の混合割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)におけるチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、好ましくは0.5〜9%であり、より好ましくは0.8〜8%である。
酸化亜鉛系粉末(A−1)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内となるように低原子価酸化チタン粉末が混合されると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。
この酸化亜鉛系焼結体におけるチタンの含有量が上述の範囲で上限に近い場合(すなわち、10%に近い場合)、得られる酸化亜鉛系透明導電膜は、優れた化学的耐久性を有するが、チタンの含有量が上述の範囲で下限に近い場合(すなわち、0.2%に近い場合)よりも、屈折率が若干高くなり、近赤外域の高透過性は維持できるものの近紫外域および可視光域の透過性が若干低下する傾向にある。用途によっては全く問題ないが、例えば、化学的耐久性よりも透過率が要求されるCIS/CIGS太陽電池における透明電極などの太陽電池の部材に用いる場合、太陽電池の変換効率がチタンの含有量が下限に近い場合に比べて少し低下する傾向にある。一方、チタンの含有量が下限に近い場合、チタンの含有量が上限に近い場合よりも、化学的耐久性が問題のない範囲で若干低下するものの、得られる酸化亜鉛系透明導電膜の屈折率が若干低くなり、近赤外域の高透過性を維持しながら、近紫外域および可視光域の透過性も向上させることができる。
このように、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
酸化亜鉛系粉末(A)には、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、上述した低原子価酸化チタン粉末とが混合されていてもよい。すなわち、あらかじめ焼成することによりタップ密度が2.8g/cm以上となった焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、上述した低原子価酸化チタン粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末とを混合することにより、タップ密度2.8g/cm以上である酸化亜鉛系粉末としてもよい。以下、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、上述した低原子価酸化チタン粉末とが混合された酸化亜鉛系粉末(A)を酸化亜鉛系粉末(A−2)という場合がある。
酸化アルミニウムのタップ密度は、通常1.1〜1.3g/cmであり、酸化ガリウムのタップ密度は、通常1.6〜1.8g/cmである。
なお、低原子価酸化チタン粉末、ガリウムまたはアルミニウムの酸化物粉末のそれぞれのタップ密度は、低原子価酸化チタン粉末、ガリウムまたはアルミニウムの酸化物粉末のそれぞれの混合割合が後述する範囲内となるので、酸化亜鉛系粉末(A−2)のタップ密度にあまり影響を及ぼさない。したがって、酸化亜鉛系粉末(A−2)の充填率は50%以上となる。
酸化亜鉛系粉末(A−2)におけるチタン原子数の割合は、全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、好ましくは0.5〜9%であり、より好ましくは0.8〜8%である。 酸化亜鉛系粉末(A−2)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内であると、後述する本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
また、酸化亜鉛系粉末(A−2)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合は、全金属原子数に対して0.1%以上6%以下である。ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が0.1%未満であると、導電性の向上効果が不十分となる。一方、6%を超えると、ガリウムまたはアルミニウムが亜鉛サイトに置換固溶しきれなくなり、結晶粒界に析出し、導電性の低下、透過率の低下を招くこととなる。
なお、AlとGaは、両方を用いても構わない。その場合、トータル量で前記した0.1%以上6%以下の条件を満たせばよい。
(他の酸化亜鉛系粉末)
本発明の他の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合した混合粉末を、所定条件で焼成した、チタンの原子数の割合およびタップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(B)という場合がある)である。
原料酸化亜鉛粉末および低原子価酸化チタン粉末としては、酸化亜鉛系粉末(A)で例示した原料酸化亜鉛粉末および低原子価酸化チタン粉末と同様のものを用いることができる。
原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末との混合方法は、特に限定されず、湿式混合、乾式混合問わず、例えば、パウミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサー、一軸攪拌機、二軸攪拌機などが挙げられる。
低原子価酸化チタン粉末の混合割合は、酸化亜鉛系粉末(B)におけるチタン原子数の割合が後述する範囲となるように適宜設定すればよい。
酸化亜鉛系粉末(B)は、原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末を予め混合した混合粉末を焼成したものである。焼成後、ジョージクラッシャー、ロールクラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、乳鉢等の公知の方法にて解砕を行い、粉末とすることができる。
焼成条件については、非酸化性雰囲気中で、焼成温度が900〜1300℃、好ましくは920〜1200℃である。本発明において、焼成に用いる装置としては特に制限されないが、縦型電気炉、管状炉、マッフル炉、チューブ炉、炉床昇降式電気炉、ボックス型電気炉等が挙げられる。
焼成温度が上記範囲内であれば、酸化チタンにより酸化亜鉛が還元されて金属亜鉛が析出したり、亜鉛が揮発することなく、粒成長を十分に進行させることができ、所望するタップ密度の酸化亜鉛系粉末が得られる。
このようにして得られた酸化亜鉛系粉末(B)のタップ密度は2.8g/cm以上であり、金属製容器に多くの酸化亜鉛系粉末(B)を充填できることから、好ましくは3.3〜5.6g/cmである。酸化亜鉛系粉末(B)のタップ密度が上記範囲内であれば、金属製容器に充填した際に、充填率が50%以上である酸化亜鉛系粉末(B)とすることができ、カプセルHIP法による金属製容器の収縮率を50%以下にすることができるので、金属製容器を破壊することなく酸化亜鉛系粉末(B)を加圧焼結でき、原料酸化亜鉛粉末由来の亜鉛の揮発を抑制した高密度の酸化亜鉛系焼結体を得ることができる。
酸化亜鉛系粉末(B)におけるチタン原子数の割合は、全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、好ましくは0.5〜9%であり、より好ましくは0.8〜8%である。
酸化亜鉛系粉末(B)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内であると、後述する本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
(さらに他の酸化亜鉛系粉末)
本発明のさらに他の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末(以下、単に酸化物粉末という場合がある)と、低原子価酸化チタン粉末とを混合した混合粉末を、所定条件で焼成した、チタンの原子数の割合、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合およびタップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(C)という場合がある)である。
原料酸化亜鉛粉末および低原子価酸化チタン粉末としては、酸化亜鉛系粉末(A)で例示した原料酸化亜鉛粉末および低原子価酸化チタン粉末と同様のものを用いることができる。
酸化物粉末は、酸化ガリウム(Ga)および酸化アルミニウム(Al)から選ばれる少なくとも1つの粉末である。
酸化ガリウム(Ga)および酸化アルミニウム(Al)の平均粒径は、それぞれ5μm以下であるのが好ましい。
酸化物粉末のタップ密度は、酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度が後述する範囲内となれば、特に限定されない。なお、酸化物粉末のタップ密度は、酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が後述する範囲内となるので、酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度にほとんど影響を及ぼさない。
原料酸化亜鉛粉末と、酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末との混合方法は、特に限定されず、酸化亜鉛系粉末(B)で例示した混合方法と同等の方法で行うことができる。
酸化物粉末および低原子価酸化チタン粉末の混合割合は、酸化亜鉛系粉末(C)におけるチタン原子数の割合、および酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が後述する範囲となるように適宜設定すればよい。
酸化亜鉛系粉末(C)は、原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを予め混合した混合粉末を
焼成したものである。焼成後、ジョージクラッシャー、ロールクラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、乳鉢等の公知の方法にて解砕を行い、粉末とすることができる。
焼成は、酸化亜鉛系粉末(B)で例示した焼成条件と同様にして焼成することができる。
このようにして得られた酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度は2.8g/cm以上であり、金属製容器に多くの酸化亜鉛系粉末(C)を充填できることから、好ましくは3.3〜5.6g/cmである。酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度が上記範囲内であれば、金属製容器に充填した際に、充填率が50%以上である酸化亜鉛系粉末(C)とすることができ、カプセルHIP法による金属製容器の収縮率を50%以下にすることができるので、金属製容器を破壊することなく酸化亜鉛系粉末(C)を加圧焼結でき、原料酸化亜鉛粉末由来の亜鉛の揮発を抑制した高密度の酸化亜鉛系焼結体を得ることができる。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるチタン原子数の割合は、全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、好ましくは0.5〜9%であり、より好ましくは0.8〜8%である。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内であると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合は、全金属原子数に対して0.1%以上6%以下、好ましくは0.5以上6%以下であり、好ましくは0.3〜3.0%であり、より好ましくは0.5〜2.0%である。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が上記範囲内であれば、後述する本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法により、亜鉛を揮発することなく、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができるため、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、導電性、透明性などに優れた膜を形成することができる。
(酸化亜鉛系焼結体の製造方法)
本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法は、上述した酸化亜鉛系粉末(A)〜(C)のいずれか(以下、単に酸化亜鉛系粉末という場合がある)を金属製容器に充填した後、カプセル熱間等方加圧焼結(カプセルHIP)を行うことで、酸化亜鉛系焼結体を製造する方法である。この方法により、酸化亜鉛系粉末は、金属製容器内に真空封止にて閉じこめられている閉鎖空間内に充填されてHIPされるので、亜鉛の揮散が抑制され、得られる酸化亜鉛系焼結体と仕込んだ酸化亜鉛系粉末とで組成ずれが生じにくい高密度の酸化亜鉛系焼結体が得られる。
金属製容器としては、酸化亜鉛系粉末を充分真空封止ができて、HIP焼結温度にて充分変形するが破裂するおそれがない材料であればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス等が用いられる。
HIP用金属製容器の壁厚は、1.5mm〜4mmが好ましい。この範囲内であれば、金属製容器が容易に軟化し、変形することができ、焼結反応が進むに従い、焼結体に追随して収縮することができる。
金属製容器の形状や寸法は、特に限定されず、例えば、HIP焼結の際に等方的に加圧しやすい形状であればよい。例えば、円柱、直方体などであればよい。
酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填する前に、酸化亜鉛系粉末を混合するのが好ましい。
混合方法は、特に制限されるものではないが、例えば、酸化亜鉛系粉末と水系溶媒とを混合し、得られたスラリーを充分に湿式混合により混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、得られた造粒物を成形すればよい。
湿式混合は、例えば、硬質ZrOボール等を用いた湿式ボールミルや振動ミルにより行なえばよく、湿式ボールミルや振動ミルを用いた場合の混合時間は、12〜78時間程度が好ましい。なお、酸化亜鉛系粉末をそのまま乾式混合してもよいが、湿式混合の方がより好ましい。
固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
HIPを行う際に、タップ密度が2.8g/cm以上の酸化亜鉛系粉末を金属製容器内に充填した後、金属製容器を加熱しながら、金属製容器内の圧力を1.33×10−2Pa以下に真空引きを行う。これにより、酸化亜鉛系粉末に付着しているガス、吸着水分を除去することができる。
真空引きする際の金属製容器の加熱温度は100℃以上600℃以下であることが好ましい。
この真空引きにより金属製容器内の圧力を1.33×10−2Pa以下にする。金属製容器内の圧力が1.33×10−2Paを超えたままであると、酸化亜鉛粉に付着しているガス、吸着水分の除去が充分に行われないため、高密度の焼結体が得られないおそれがある。
カプセルHIPを行う際は、金属製容器に排気管を接続し、上記のようにして、加熱、真空引きを実施し、1.33×10−2Pa以下になれば、金属製容器に接続された排気管を閉じ、金属製容器を封止する。
HIP処理は、金属製容器をHIP処理装置に配置して行う。
HIP処理は高温高圧下のガスを圧力媒体として金属製容器内部の酸化亜鉛系粉末の焼結を行うものである。
HIP処理条件は、HIPにおける焼結温度が900〜1400℃であり、より好ましくは1000℃〜1300℃であり、焼結体の相対密度を98%以上とする条件が好ましい。HIPにおける焼結温度が上記範囲内であれば、金属製容器の材料が軟化、変形する温度領域であり、HIP処理に際して、負荷する圧力は金属カプセルが抵抗となることなく、焼結体に圧力を100%かけることができる。相対密度が98%以上である焼結体であれば、例えば、該焼結体を用いてスパッタリングにて成膜する際、異常放電が発生しにくく安定に成膜することができる。
ここで、相対密度とは、焼結体の原料である各金属酸化物の単体密度に各金属酸化物粉末の混合重量比をかけ、和をとった理論密度に対する、実際に得られた焼結体の密度の割合であり、例えば、焼結体が酸化亜鉛および酸化チタンからなる場合は、下記式から求められる。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例に記載の評価方法によって測定することができる。
焼結体の相対密度を98%以上とするには、例えば、後述するHIP処理条件で行えばよい。
圧力媒体としてのガスとしては、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いるのが好ましい。
HIPにおける圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、HIPは、焼結温度が800℃〜1400℃で、圧力50MPa以上の条件で1時間以上行うことが好ましい。HIP処理条件で温度が800℃未満、圧力50MPa未満では相対密度が90%未満と低くなる。
(酸化亜鉛系焼結体)
このようにして得られた酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛系粉末(A−1)または(B)を用いて得られた場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、酸素とからなる焼結体であり、酸化亜鉛系粉末(A−2)または(C)を用いて得られた場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、アルミニウムおよびガリウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなる焼結体である。ここで、「実質的」とは、前者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、酸素とからなることを意味し、後者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなることを意味する。
酸化亜鉛系焼結体は、上述した焼結体であれば、錫、シリコン、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下、これらを「添加元素」と称することもある)をも含有しているのが好ましい。酸化亜鉛系焼結体がこのような添加元素を含有していると、この酸化亜鉛系焼結体をターゲットとして形成される膜の比抵抗に加え、酸化亜鉛系焼結体自体の比抵抗も低下させることができる。例えば直流スパッタリング時の成膜速度は、スパッタリングターゲットとする酸化亜鉛系焼結体の比抵抗に依存し、酸化亜鉛系焼結体自体の比抵抗を下げることにより、成膜時の生産性を向上させることができる。添加元素が含有されている場合、その全含有量は、原子数比で、酸化亜鉛系焼結体を構成する全金属元素の総量に対して0.05%以下であることが好ましい。添加元素の含有量が前記範囲よりも多いと、酸化亜鉛系焼結体をターゲットとして形成される膜の比抵抗が増大するおそれがある。
酸化亜鉛系焼結体に添加元素を含有させるには、例えば、上述した酸化亜鉛系粉末または混合粉末に添加元素の酸化物の粉末を混合させるなどすればよい。
添加元素は、酸化物の形態で酸化亜鉛系焼結体中に存在していてもよいし、酸化亜鉛相の亜鉛サイトに置換した(固溶した)形態で存在していてもよいし、チタン酸亜鉛化合物相のチタンサイトおよび亜鉛サイトから選ばれる少なくとも一方に置換した(固溶した)形態で存在していてもよい。
なお、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
また、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO、ZnTiOのほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛系焼結体は、例えば、インジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムなどの他の元素を、不純物として含有していてもよい。不純物として含有される元素の合計含有量は、原子数比で、酸化亜鉛系焼結体を構成する全金属元素の総量に対して0.1%以下であることが好ましい。
酸化亜鉛系焼結体に不純物を含有させるには、例えば、上述した酸化亜鉛系粉末に不純物の粉末を混合させるなどすればよい。
酸化亜鉛系焼結体は、上述したカプセルHIPにより得られるため、酸化亜鉛系粉末(A)〜(C)におけるチタン原子数の割合と同様に、チタンが原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.002以上0.1以下となる。
このTi/(Zn+Ti)の値が0.002より小さいと、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の耐薬品性など化学的耐久性が不充分となり、比抵抗も高くなる。しかも、酸化亜鉛系焼結体中にチタン酸亜鉛化合物相が形成されにくくなるため焼結体の強度が低下し、ターゲットへの加工が困難になるおそれがある。一方、Ti/(Zn+Ti)の値が0.1を超えると、後述するように酸化亜鉛系焼結体中に含まれないことが望まれる酸化チタン結晶相の形成が避けられなくなり、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の導電性や透明性が低下するおそれがある。好ましくは、チタンの含有量は、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.005〜0.09となる量であり、より好ましくは、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.008〜0.08となる量である。
特にTi/(Zn+Ti)=0.002以上0.02以下では、形成された膜の化学的耐久性はTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下の場合よりも低下する傾向にあるが、少なくとも現在使用されているAZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)膜やGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)膜よりはるかに化学的耐久性は優れ、チタンの含有量が少なくなることにより、形成された膜の屈折率が小さくなり、特に可視域から近紫外域の透過率が高くなる傾向にある。膜の近紫外域〜可視域の透過性が向上すると、この透明導電膜を例えば、CIS/CIGS太陽電池における透明電極などの太陽電池の部材に用いた場合、太陽電池の変換効率を高くすることができる。さらに、形成された膜の低抵抗化は、チタンだけでは十分に達成しにくいため、アルミニウムおよびガリウムの少なくとも1つを含むことが好ましい。
一方、チタンが原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下では、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の化学的耐久性に極めて優れ、チタンのみでも低抵抗化することは可能であるが、さらなる低抵抗化するために、ガリウムおよびアルミニウムの少なくとも1つを含むことは好ましい。
本発明の製造方法によって製造された酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された透明導電膜はいずれもAZO膜,GZO膜より化学的耐久性、近赤外高透過性に優れているが、上述したようにチタンの含有量により近紫外域領域〜可視域領域の高透過性重視、すなわち太陽電池の変換効率向上重視か、極めて高い化学的耐久性重視か、自由に特性を調整することができる。
酸化亜鉛系焼結体は、実質的に酸化チタンの結晶相を含有しないことが好ましい。酸化亜鉛系焼結体に酸化チタンの結晶相が含まれていると、得られる膜が、比抵抗などの物性にムラがあり均一性に欠けるものとなるおそれがある。酸化亜鉛系焼結体は、上述したTi/(Zn+Ti)の値が0.1以下であるので、通常、チタンが酸化亜鉛に完全に反応し、酸化亜鉛系焼結体中に酸化チタン結晶相は生成されにくい。
なお、酸化チタンの結晶相とは、具体的には、Ti、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。なかでも、酸化チタンの結晶相は、Ti、TiOを含むのが好ましい。
酸化亜鉛系粉末(A−1)または(B)を用いて得られた酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛相とチタン酸亜鉛化合物相とから構成される焼結体から構成される焼結体であるのが好ましい。このように酸化亜鉛系焼結体中にチタン酸亜鉛化合物相が含まれていると、焼結体自体の強度が増すので、例えば、該焼結体を用いて膜を形成する際、過酷な条件(高電力など)で成膜してもクラックを生じることがない。
なお、チタン酸亜鉛化合物相および酸化亜鉛相は、上述したとおりである。
酸化亜鉛系粉末(A−2)または(C)を用いて得られた酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛相と、チタン酸亜鉛化合物相と、ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方の酸化物相とから構成される焼結体;酸化亜鉛相と、チタン酸亜鉛化合物相とから構成される焼結体から構成される焼結体であるのが好ましい。
ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方の酸化物相とは、AlおよびGaから選ばれる少なくとも一方である。
なお、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO、ZnTiOのほか、これらの亜鉛サイトおよびチタンサイトから選ばれる少なくとも一方に、チタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これの亜鉛サイトにチタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
酸化亜鉛系焼結体の比抵抗は、5kΩ・cm以下であることが好ましい。例えば直流スパッタリング時の成膜速度は、スパッタリングターゲットとする酸化亜鉛系焼結体の比抵抗に依存するので、酸化亜鉛系焼結体の比抵抗が5kΩ・cmを超えると、直流スパッタで安定的な成膜を行えないおそれがある。成膜時の生産性を考慮すると、酸化亜鉛系焼結体の比抵抗は低いほど好ましく、具体的には100Ω・cm以下であるのがよい。
以上のような酸化亜鉛系焼結体は、前述した本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法によって好ましく得られるが、該製造方法により得られたものに限定されるわけではない。通常、酸化亜鉛系焼結体を還元雰囲気にて焼結した場合は、酸素欠損の導入により、酸化亜鉛系焼結体の比抵抗は低くなり、酸化雰囲気にて焼結した場合は、比抵抗は高くなる。
(ターゲット)
本発明のターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられ、本発明の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなる。このため、本発明のターゲットは高密度であり、例えば、スパッタリングにて成膜する際、異常放電が発生しにくく、安定に成膜することができる。
なお、このような成膜の際に用いる固形材料のことを「タブレット」と称する場合もあるが、本発明においてはこれらを含め「ターゲット」と称することとする。
本発明のターゲットは、上述した酸化亜鉛系焼結体を所定の形状および所定の寸法に加工してなる。
加工方法は、特に制限されず、適宜公知の方法を採用すればよい。例えば、酸化亜鉛系焼結体に平面研削等を施した後、所定の寸法に切断してから、支持台に貼着することにより、本発明のターゲットを得ることができる。また、必要に応じて、複数枚の酸化亜鉛系焼結体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲット)としてもよい。
酸化亜鉛系焼結体または本発明のターゲットを用いて形成された透明導電膜は、再現性よく安定に優れた導電性と化学的耐久性(耐熱性、耐湿性など)とを兼ね備えたものであるので、例えば、液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイ・無機EL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ・有機ELディスプレイ・電子ペーパーなどの透明電極、太陽電池の光電変換素子の窓電極、透明タッチパネル等の入力装置の電極、電磁シールドの電磁遮蔽膜等の用途に好適に用いられる。さらに、酸化亜鉛系焼結体または本発明のターゲットを用いて形成された透明導電膜は、透明電波吸収体、紫外線吸収体、さらには透明半導体デバイスとして、他の金属膜や金属酸化膜と組み合わせて活用することもできる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を、大気中において昇温速度10℃/分で室温から900℃まで昇温した後、900℃で10時間焼成((株)北浜製作所製の高温電気炉)を行い、乳鉢にて軽く手粉砕し、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度をJIS K5101に基づいて、所定のサイズのメスシリンダーに原料酸化亜鉛粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら原料酸化亜鉛粉末を充填し、評価を行った。焼成前後のタップ密度は、焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は2.83g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が2.83g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素との原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更にこの容器に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これを卓上型ボールミル回転架台に載置し、回転混合して、酸化亜鉛系スラリーを得た。
混合操作後、酸化亜鉛系スラリーからボールを篩いにより、エタノールをエバポレーターにより除去して得られた酸化亜鉛系粉末を、ステンレス(SUS304)でできた金属製容器(外径:83mm、内径:80mm、高さ:78mm)に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.81g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率は約50%となった。
なお、理論密度は、下記式より求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
金属製容器に酸化亜鉛系粉末を充填した後に、排気管を上蓋に溶接し、その後上蓋と金属製容器を溶接した。金属製容器の溶接部の健全性を確認するため、Heリーク検査を行った。この時の漏れ量を1×10−9Pa・m/sec以下とした。その後、550℃で7時間、金属製容器内の真空引きを行った後、金属製容器内が1.33×10−2Pa以下になったことを確認し、排気管を閉じ、金属製容器の封止を行った。封止した金属製容器をHIP処理装置((株)神戸製鋼所製)内に設置し、HIP処理を行った。HIP処理条件は、温度1100℃、圧力100MPaのArガス(純度99.9%)を圧力媒体とし、1時間の処理を行った。HIP処理後、金属製容器を取り外し、円柱型の酸化亜鉛系焼結体(1)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(1)の相対密度は98.7%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(1)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
酸化亜鉛系焼結体(1)に研削、ついで表面研磨を施し、径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(1)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。この酸化亜鉛系焼結体(1)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(1)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(1)を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。これを用いてスパッタリング法により透明基材(石英ガラス基板)上に透明導電膜を成膜して、透明導電基板を得た。すなわち、スパッタリング装置(キャノンアネルバエンジニアリング(株)製「E−200」)内に、上記ターゲットと透明基材(石英ガラス基板)とをそれぞれ設置し、Arガス(純度99.9995%以上、Ar純ガス=5N)を12sccmで導入して、圧力0.5Pa、電力75W、基板温度250℃の条件下でスパッタリングを行い、基板上に膜厚500nmの透明導電膜を形成した。
成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(1)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(1)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(1)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例2)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
酸化亜鉛(ZnO、キシダ化学(株)製)粉末および一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で乾式混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を不活性雰囲気(Ar)中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、酸化亜鉛系粉末を得た。混合物および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(酸化亜鉛と一酸化チタンからなる)が1.00g/cmであり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は3.06g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.06g/cmである酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.06g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約55%となった。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(2)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(2)の相対密度は、実施例1と同様にして求めたところ、98.4%であった。
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(2)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
酸化亜鉛系焼結体(2)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(2)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比は、Zn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。酸化亜鉛系焼結体(2)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(2)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
酸化亜鉛系焼結体(2)を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして、透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(2)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(2)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(2)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例3)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)、酸化ガリウム粉末(Ga、住友化学(株)製)および一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)をZn:Ga:Tiの原子数比が94.5:0.5:5.0となる割合で混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を用いて、実施例2と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。混合粉末および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(原料酸化亜鉛粉末、酸化ガリウム粉末および一酸化チタン粉末からなる)が1.00g/cmであり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は2.98g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が2.98g/cmである酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.98g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約53%となった。
なお、理論密度は、下記式から求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(3)を得た。
この焼結体の相対密度は98.2%であった。また、電子顕微鏡にて焼結体を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化ガリウムおよび一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(3)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(3)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとGaとTiの原子数比はZn:Ga:Ti=94.5:0.5:5.0であった。酸化亜鉛系焼結体(3)のZnとGaとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ga:Ti=94.5:0.5:5.0とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(3)の結晶構造は酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化ガリウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(3)を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(3)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(3)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(3)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例4)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1400℃まで昇温した後、1400℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.95g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.95g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.88g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例1と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(4)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(4)の相対密度は実施例1と同様にして求めたところ、98.7%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(4)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(4)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(4)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。酸化亜鉛系焼結体(4)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(4)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
酸化亜鉛系焼結体(4)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(4)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(4)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(4)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例5)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
図1に焼成後の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真を示す。図2に焼成前の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真を示す。焼成前の原料酸化亜鉛粉末の形状は図2に示すように六角柱状等の角張った形状であり、粒径はサブミクロン〜1μm程度で割と揃っているのに対し、焼成後の原料酸化亜鉛粉末の形状は図1に示すように焼成することにより球状に近い形状であり、サブミクロン〜数百μmの巨大粒子まで存在しており、粒子形状の粒度分布が広くなる効果によりタップ密度は向上した。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と、酸化アルミニウム(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)とを、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.2:1.0:0.8となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.84g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、下記式より求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(5)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(5)の相対密度は、98.5%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(5)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、一酸化チタンおよび酸化アルミニウムの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(5)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(5)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。酸化亜鉛系焼結体(5)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(5)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(5)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(5)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(5)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(5)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例6)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)、一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)および酸化アルミニウム粉末(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)を、これらをZn:Ti:Alの原子数比が98.2:1.0:0.8となる割合で乾式混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を不活性雰囲気(Ar)中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、酸化亜鉛系粉末を得た。混合粉末および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(原料酸化亜鉛粉末と一酸化チタン粉末と酸化アルミニウム粉末からなる)が0.99g/cmであり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は2.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が2.92g/cmである酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.92g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約52%となった。なお、理論密度は実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(6)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(6)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.4%であった。
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(6)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
酸化亜鉛系焼結体(6)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(6)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比は、Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。酸化亜鉛系焼結体(6)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(6)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(6)を、銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして、透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(6)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(6)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(6)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例7)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が99.0:1.0となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.88g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例1と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(7)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(7)の相対密度は、実施例1と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(7)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(7)を実施例1と同様にして加工し、径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(7)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=99.0:1.0であった。酸化亜鉛系焼結体(7)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=99.0:1.0とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(7)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
酸化亜鉛系焼結体(7)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(7)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(7)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(7)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例8)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.7:1.0:0.3となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(8)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(8)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(8)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(8)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(8)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3であった。酸化亜鉛系焼結体(8)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(8)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(8)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(8)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(8)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(8)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例9)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が99.0:0.5:0.5となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(9)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(9)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(9)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(9)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(9)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5であった。酸化亜鉛系焼結体(9)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(9)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(9)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(9)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(9)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(9)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例10)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.8:0.7:0.5となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(10)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(10)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(10)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(10)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(10)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.8:0.7:0.5であった。酸化亜鉛系焼結体(10)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.8:0.7:0.5とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(10)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(10)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(10)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(10)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(10)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(実施例11)
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cmであり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cmであった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
上記のタップ密度が3.92g/cmである焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が99.3:0.5:0.2となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(11)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(11)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(11)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(11)を実施例1と同様にして加工し、直径が50.8mmφ、厚さ3mmの焼結体とした。
得られた酸化亜鉛系焼結体(11)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2であった。酸化亜鉛系焼結体(11)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(11)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(ZnTiO)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
酸化亜鉛系焼結体(11)を、実施例1と同様にして銅板をバッキングプレートとして用い、インジウム半田を用いてボンディングし、スパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にして透明導電基板を得たところ、成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
以上より、亜鉛の揮散がない為、酸化亜鉛系焼結体(11)の原料である酸化亜鉛系粉末の組成と、得られた酸化亜鉛系焼結体(11)の組成とはまったくずれがなく、極めて高密度の酸化亜鉛系焼結体であり、その結果、酸化亜鉛系焼結体(11)を加工してなるターゲットを用いてスパッタリングしても異常放電がなく安定に成膜できた。
(比較例1)
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
タップ密度が1.02g/cmである原料酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)と一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)を、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これをボールミルにより混合し、混合粉末を得た。
得られた混合粉末を、実施例1で用いたのと同様の金属製容器に混合粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は1.01g/cmとなり、理論密度が約5.6g/cmであることから充填率が約18%となった。なお、理論密度は実施例1と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にしてHIP処理を行ったところ、HIP処理中に金属製容器が破裂し、混合粉末がHIP処理装置内に飛散し、酸化亜鉛系焼結体を作製することが出来なかった。
混合粉末の充填率が約18%と極めて低く、金属製容器の収縮率が82%となるため、混合粉末の収縮に金属製容器の収縮が追随できず、金属製容器が破裂してしまった。

Claims (12)

  1. タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
  2. 低原子価酸化チタン粉末を混合した請求項1に記載の酸化亜鉛系粉末であって、
    チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、
    タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
  3. 低原子価酸化チタン粉末並びにガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末を混合した請求項1に記載の酸化亜鉛系粉末であって、
    チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
  4. タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、
    チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、
    タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
  5. タップ密度が2.8g/cm未満である原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、
    チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
  6. 前記原料酸化亜鉛粉末のタップ密度が、0.5〜1.2g/cmである請求項1〜5のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
  7. 前記低原子酸化チタンは、一般式TiO2―X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填し、カプセル熱間等方加圧焼結を行うことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
  9. 前記カプセル熱間等方加圧焼結における焼結温度は900〜1400℃であり、焼結体の相対密度を98%以上とすることを特徴とする請求項8に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
  10. 前記カプセル熱間等方加圧焼結における雰囲気は不活性ガスであることを特徴とする請求項8または9に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
  11. 前記カプセル熱間等方加圧焼結における圧力は50MPa以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
  12. スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられるターゲットであって、
    請求項8〜11のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなることを特徴とするターゲット。
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