JP2013189369A - 酸化亜鉛系粉末、酸化亜鉛系焼結体の製造方法およびそれらを用いたターゲット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の酸化亜鉛系粉末は、タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm3以上である酸化亜鉛系粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合して得られた、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上である粉末である。
【選択図】 なし
Description
他方、酸化物ターゲットを用いると、膜に供給される酸素の一部は、ターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、これまで、酸化物ターゲットが工業的に用いられている。
そのため、低原子価酸化チタンドープ酸化亜鉛系焼結体を無加圧焼結により作製するには、予め焼結体の目的組成に対して、原料酸化亜鉛粉末の仕込み量を増やしておく必要がある。
さらに、亜鉛が揮散するために当然、揮散する部分は空孔が生じやすく、焼結体の密度低下に繋がり、このような低密度の焼結体を用いてスパッタリングにて成膜すると、異常放電が発生しやすくなり安定に成膜できないという問題があった。
また、ガス圧縮法による通常のカプセルフリーHIP(熱間等方加圧焼結)法では、バルク焼結体をさらに高密度化させることができるが、HIPするには、処理品がある程度の高密度化(相対密度:90%〜95%)されている焼結体(欠陥が外観と遮断されている閉気孔しか存在しない)でなければ、さらに閉気孔をつぶして緻密化して、処理品を高密度の焼結体とすることができない。そのため、ある程度の高密度化(相対密度:90%〜95%)の焼結体を作製する必要があるが、その焼結体を作製する段階にて、亜鉛が揮散してしまう。
なお、ここでいう高密度の焼結体とは、相対密度が98%以上である焼結体をいう。
このカプセルHIP法は、焼結体の原料粉末を金属製容器内に気密封止するので、亜鉛の揮散を抑えることができる方法であるが、金属製容器ごと加圧されるので、加圧による金属製容器の収縮率が大きいと、金属製容器が破裂してしまい、焼結体の原料粉末が揮散し、加えた圧力をかけることができない。そのため、一般に、金属製容器の収縮率を体積レベルで少なくとも50%以下とすればよいことが知られており、そのためには、金属製容器に充填した焼結体の原料粉末の充填率を少なくとも50%以上にすればよいことが知られている。
しかし、市販の酸化亜鉛粉末の充填率は20%弱であるため、このような市販の酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末の充填率は50%未満となり、さらに、これまで酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末の充填率を50%以上にする方法は存在しなかった。
したがって、これまで充填率が50%以上の混合粉末は出願人が知り得る限り存在しなかった。ここでいう充填率とは、カプセルHIP後に焼結体が理論密度に到達したとし、得られた焼結体の理論密度に対する、焼結体の原料である原料粉末のタップ密度の割合であり、下記式で表される。
充填率=100×{(焼結体の原料粉末のタップ密度/焼結体の理論密度)}
(1)タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(2)低原子価酸化チタン粉末を混合した前記(1)に記載の酸化亜鉛系粉末であってチタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(3)低原子価酸化チタン粉末並びにガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末を混合した前記(1)に記載の酸化亜鉛系粉末であって、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(4)タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(5)タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
(6)前記原料酸化亜鉛粉末のタップ密度が、0.5〜1.2g/cm3である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
(7)前記低原子酸化チタンは、一般式TiO2―X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする前記(2)〜(6)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填し、カプセル熱間等方加圧焼結を行うことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(9)前記カプセル熱間等方加圧焼結における焼結温度は900〜1400℃であり、焼結体の相対密度を98%以上とすることを特徴とする前記(8)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(10)前記カプセル熱間等方加圧焼結における雰囲気は不活性ガスであることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(11)前記カプセル熱間等方加圧焼結における圧力は50MPa以上であることを特徴とする前記(8)〜(10)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(12)スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられるターゲットであって、前記(8)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなることを特徴とするターゲット。
本発明の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末を所定条件で焼成した、タップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(A)という)である。
原料酸化亜鉛粉末は、タップ密度が2.8g/cm3未満であり、好ましくは0.5〜1.2g/cm3である。なお、酸化亜鉛の粒子サイズ、粒度分布より異なるが、市販の酸化亜鉛粉末は1.12g/cm3以下であることが多い。また、原料酸化亜鉛粉末は、タップ密度が2.8g/cm3未満であれば、焼成履歴があってもよい。なお、酸化亜鉛の理論密度(タップ密度の上限)は、5.6g/cm3である。
なお、原料酸化亜鉛粉末の純度が99重量%以上であるのがよい。
原料酸化亜鉛粉末の平均粒径は、0.02μm以上5μm以下であることが好ましい。また、そのBET比表面積は、特に限定されない。
焼成条件については、焼成温度が900〜1400℃であり、好ましくは1000〜1300℃である。焼成時間は8時間以上24時間以内であり、好ましくは10時間以上15時間以下であることが好ましい。焼成時間が8時間未満であると、タップ密度が向上しない。24時間を超えても、タップ密度は向上せず、製造コストの観点から好ましくない。
焼成温度及び焼成時間が上記範囲内であれば、酸化亜鉛が熱分解を起こして揮散するのを抑制し、粒成長を十分に進行させることができ、タップ密度が2.8g/cm3以上、通常3.3〜5.6g/cm3である酸化亜鉛系粉末とすることができる。特に焼成温度は上記範囲内であれば高いほど好ましく、粒子間で固相焼結が進行し、粒成長が生じ、粒子サイズが平均的に大きくなり、粒子サイズの分布が広くなり、大きな粒子の隙間に小さな粒子が入ることにより、粒子を充填した際に、単位体積当たりの粒子間の隙間が減少し、タップ密度の向上に繋がる。
また、焼成する際の雰囲気は、特に限定されず、大気雰囲気、酸化雰囲気などの酸化性雰囲気;不活性雰囲気、還元性雰囲気などの非酸化性雰囲気のいずれであってもよいが、大気雰囲気中で焼成するのが好ましい。
なお、酸化雰囲気としては、例えば、大気よりも酸素濃度が高い雰囲気などが挙げられる。
不活性雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、真空、二酸化炭素などが挙げられる。
還元性雰囲気としては、例えば、水素、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄などが挙げられる。
ここで、充填率とは、理論的にカプセルHIP後に焼結体が理論密度に到達したとし、得られた焼結体の理論密度に対する、焼結体の原料である酸化亜鉛系粉末のタップ密度の割合である。
また、金属製容器の収縮率とは、下記式で表される。
金属製容器の収縮率(%)=[1−(カプセルHIP後の金属製容器の内容積/カプセルHIP前の金属製容器の内容積)]×100
この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X−Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析の結果によって確認することができる。
低原子価酸化チタンの純度は、99重量%以上であるのが好ましい。
低原子価酸化チタンの平均粒径は、5μm以下であるのが好ましい。
酸化亜鉛系粉末(A−1)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内となるように低原子価酸化チタン粉末が混合されると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。
この酸化亜鉛系焼結体におけるチタンの含有量が上述の範囲で上限に近い場合(すなわち、10%に近い場合)、得られる酸化亜鉛系透明導電膜は、優れた化学的耐久性を有するが、チタンの含有量が上述の範囲で下限に近い場合(すなわち、0.2%に近い場合)よりも、屈折率が若干高くなり、近赤外域の高透過性は維持できるものの近紫外域および可視光域の透過性が若干低下する傾向にある。用途によっては全く問題ないが、例えば、化学的耐久性よりも透過率が要求されるCIS/CIGS太陽電池における透明電極などの太陽電池の部材に用いる場合、太陽電池の変換効率がチタンの含有量が下限に近い場合に比べて少し低下する傾向にある。一方、チタンの含有量が下限に近い場合、チタンの含有量が上限に近い場合よりも、化学的耐久性が問題のない範囲で若干低下するものの、得られる酸化亜鉛系透明導電膜の屈折率が若干低くなり、近赤外域の高透過性を維持しながら、近紫外域および可視光域の透過性も向上させることができる。
このように、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
なお、低原子価酸化チタン粉末、ガリウムまたはアルミニウムの酸化物粉末のそれぞれのタップ密度は、低原子価酸化チタン粉末、ガリウムまたはアルミニウムの酸化物粉末のそれぞれの混合割合が後述する範囲内となるので、酸化亜鉛系粉末(A−2)のタップ密度にあまり影響を及ぼさない。したがって、酸化亜鉛系粉末(A−2)の充填率は50%以上となる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
なお、AlとGaは、両方を用いても構わない。その場合、トータル量で前記した0.1%以上6%以下の条件を満たせばよい。
本発明の他の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合した混合粉末を、所定条件で焼成した、チタンの原子数の割合およびタップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(B)という場合がある)である。
原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末との混合方法は、特に限定されず、湿式混合、乾式混合問わず、例えば、パウミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、リボンミキサー、一軸攪拌機、二軸攪拌機などが挙げられる。
焼成条件については、非酸化性雰囲気中で、焼成温度が900〜1300℃、好ましくは920〜1200℃である。本発明において、焼成に用いる装置としては特に制限されないが、縦型電気炉、管状炉、マッフル炉、チューブ炉、炉床昇降式電気炉、ボックス型電気炉等が挙げられる。
焼成温度が上記範囲内であれば、酸化チタンにより酸化亜鉛が還元されて金属亜鉛が析出したり、亜鉛が揮発することなく、粒成長を十分に進行させることができ、所望するタップ密度の酸化亜鉛系粉末が得られる。
酸化亜鉛系粉末(B)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内であると、後述する本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
本発明のさらに他の酸化亜鉛系粉末は、所定の原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末(以下、単に酸化物粉末という場合がある)と、低原子価酸化チタン粉末とを混合した混合粉末を、所定条件で焼成した、チタンの原子数の割合、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合およびタップ密度が所定範囲内である酸化亜鉛系粉末(以下、酸化亜鉛系粉末(C)という場合がある)である。
酸化物粉末は、酸化ガリウム(Ga2O3)および酸化アルミニウム(Al2O3)から選ばれる少なくとも1つの粉末である。
酸化ガリウム(Ga2O3)および酸化アルミニウム(Al2O3)の平均粒径は、それぞれ5μm以下であるのが好ましい。
酸化物粉末のタップ密度は、酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度が後述する範囲内となれば、特に限定されない。なお、酸化物粉末のタップ密度は、酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が後述する範囲内となるので、酸化亜鉛系粉末(C)のタップ密度にほとんど影響を及ぼさない。
焼成したものである。焼成後、ジョージクラッシャー、ロールクラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル、乳鉢等の公知の方法にて解砕を行い、粉末とすることができる。
焼成は、酸化亜鉛系粉末(B)で例示した焼成条件と同様にして焼成することができる。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるチタン原子数の割合が上記範囲内であると、カプセルHIP法により、亜鉛を揮発することなく、チタン原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができる。チタン原子数の割合は、酸化亜鉛系粉末(A−1)と同様に、化学的耐久性が要求される用途や透過率が要求される用途によって、チタンの含有量を増減させることができる。
特にチタン原子数の割合が、全金属原子数に対して、2%超10%以下であれば、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、耐湿性、耐熱性など化学的耐久性、導電性などに優れた膜を形成することができる。
酸化亜鉛系粉末(C)におけるガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が上記範囲内であれば、後述する本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法により、亜鉛を揮発することなく、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合がこの範囲内である組成の酸化亜鉛系焼結体を製造することができるため、この酸化亜鉛系焼結体を用いて、導電性、透明性などに優れた膜を形成することができる。
本発明の酸化亜鉛系焼結体の製造方法は、上述した酸化亜鉛系粉末(A)〜(C)のいずれか(以下、単に酸化亜鉛系粉末という場合がある)を金属製容器に充填した後、カプセル熱間等方加圧焼結(カプセルHIP)を行うことで、酸化亜鉛系焼結体を製造する方法である。この方法により、酸化亜鉛系粉末は、金属製容器内に真空封止にて閉じこめられている閉鎖空間内に充填されてHIPされるので、亜鉛の揮散が抑制され、得られる酸化亜鉛系焼結体と仕込んだ酸化亜鉛系粉末とで組成ずれが生じにくい高密度の酸化亜鉛系焼結体が得られる。
HIP用金属製容器の壁厚は、1.5mm〜4mmが好ましい。この範囲内であれば、金属製容器が容易に軟化し、変形することができ、焼結反応が進むに従い、焼結体に追随して収縮することができる。
金属製容器の形状や寸法は、特に限定されず、例えば、HIP焼結の際に等方的に加圧しやすい形状であればよい。例えば、円柱、直方体などであればよい。
混合方法は、特に制限されるものではないが、例えば、酸化亜鉛系粉末と水系溶媒とを混合し、得られたスラリーを充分に湿式混合により混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、得られた造粒物を成形すればよい。
固液分離・乾燥・造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
この真空引きにより金属製容器内の圧力を1.33×10−2Pa以下にする。金属製容器内の圧力が1.33×10−2Paを超えたままであると、酸化亜鉛粉に付着しているガス、吸着水分の除去が充分に行われないため、高密度の焼結体が得られないおそれがある。
HIP処理は高温高圧下のガスを圧力媒体として金属製容器内部の酸化亜鉛系粉末の焼結を行うものである。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例に記載の評価方法によって測定することができる。
HIPにおける圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、HIPは、焼結温度が800℃〜1400℃で、圧力50MPa以上の条件で1時間以上行うことが好ましい。HIP処理条件で温度が800℃未満、圧力50MPa未満では相対密度が90%未満と低くなる。
このようにして得られた酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛系粉末(A−1)または(B)を用いて得られた場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、酸素とからなる焼結体であり、酸化亜鉛系粉末(A−2)または(C)を用いて得られた場合は、実質的に亜鉛と、チタンと、アルミニウムおよびガリウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなる焼結体である。ここで、「実質的」とは、前者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、酸素とからなることを意味し、後者の場合は、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛と、チタンと、ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方と、酸素とからなることを意味する。
酸化亜鉛系焼結体に添加元素を含有させるには、例えば、上述した酸化亜鉛系粉末または混合粉末に添加元素の酸化物の粉末を混合させるなどすればよい。
なお、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
また、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
酸化亜鉛系焼結体に不純物を含有させるには、例えば、上述した酸化亜鉛系粉末に不純物の粉末を混合させるなどすればよい。
このTi/(Zn+Ti)の値が0.002より小さいと、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の耐薬品性など化学的耐久性が不充分となり、比抵抗も高くなる。しかも、酸化亜鉛系焼結体中にチタン酸亜鉛化合物相が形成されにくくなるため焼結体の強度が低下し、ターゲットへの加工が困難になるおそれがある。一方、Ti/(Zn+Ti)の値が0.1を超えると、後述するように酸化亜鉛系焼結体中に含まれないことが望まれる酸化チタン結晶相の形成が避けられなくなり、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の導電性や透明性が低下するおそれがある。好ましくは、チタンの含有量は、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.005〜0.09となる量であり、より好ましくは、原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.008〜0.08となる量である。
一方、チタンが原子数比でTi/(Zn+Ti)=0.02超0.1以下では、この酸化亜鉛系焼結体を用いて形成された膜の化学的耐久性に極めて優れ、チタンのみでも低抵抗化することは可能であるが、さらなる低抵抗化するために、ガリウムおよびアルミニウムの少なくとも1つを含むことは好ましい。
なお、酸化チタンの結晶相とは、具体的には、Ti2O3、TiOのほか、これらの結晶にZnなど他の元素が固溶された物質も含むものとする。なかでも、酸化チタンの結晶相は、Ti2O3、TiOを含むのが好ましい。
なお、チタン酸亜鉛化合物相および酸化亜鉛相は、上述したとおりである。
ガリウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも一方の酸化物相とは、Al2O3およびGa2O3から選ばれる少なくとも一方である。
なお、チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトおよびチタンサイトから選ばれる少なくとも一方に、チタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含むものとする。
また、酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これの亜鉛サイトにチタン元素、ガリウム元素およびアルミニウム元素から選ばれる少なくとも1つが固溶されたものや、酸素欠損が導入されているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含むものとする。なお、酸化亜鉛相は、通常、ウルツ鉱型構造をとる。
本発明のターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法による成膜に用いられ、本発明の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなる。このため、本発明のターゲットは高密度であり、例えば、スパッタリングにて成膜する際、異常放電が発生しにくく、安定に成膜することができる。
なお、このような成膜の際に用いる固形材料のことを「タブレット」と称する場合もあるが、本発明においてはこれらを含め「ターゲット」と称することとする。
加工方法は、特に制限されず、適宜公知の方法を採用すればよい。例えば、酸化亜鉛系焼結体に平面研削等を施した後、所定の寸法に切断してから、支持台に貼着することにより、本発明のターゲットを得ることができる。また、必要に応じて、複数枚の酸化亜鉛系焼結体を分割形状にならべて、大面積のターゲット(複合ターゲット)としてもよい。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を、大気中において昇温速度10℃/分で室温から900℃まで昇温した後、900℃で10時間焼成((株)北浜製作所製の高温電気炉)を行い、乳鉢にて軽く手粉砕し、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度をJIS K5101に基づいて、所定のサイズのメスシリンダーに原料酸化亜鉛粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら原料酸化亜鉛粉末を充填し、評価を行った。焼成前後のタップ密度は、焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は2.83g/cm3であった。
上記のタップ密度が2.83g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素との原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更にこの容器に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これを卓上型ボールミル回転架台に載置し、回転混合して、酸化亜鉛系スラリーを得た。
混合操作後、酸化亜鉛系スラリーからボールを篩いにより、エタノールをエバポレーターにより除去して得られた酸化亜鉛系粉末を、ステンレス(SUS304)でできた金属製容器(外径:83mm、内径:80mm、高さ:78mm)に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.81g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率は約50%となった。
なお、理論密度は、下記式より求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
この酸化亜鉛系焼結体(1)の相対密度は98.7%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(1)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(1)をエネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)にて分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。この酸化亜鉛系焼結体(1)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
この酸化亜鉛系焼結体(1)の結晶構造をX線回折装置(理学電機(株)製「RINT2000」)により調べたところ、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
成膜中にほとんど異常放電は発生しなかった。具体的には、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、約1時間あたり3回以内であった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
酸化亜鉛(ZnO、キシダ化学(株)製)粉末および一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を、これらをZn:Tiの原子数比が97:3となる割合で乾式混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を不活性雰囲気(Ar)中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、酸化亜鉛系粉末を得た。混合物および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(酸化亜鉛と一酸化チタンからなる)が1.00g/cm3であり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は3.06g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.06g/cm3である酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.06g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約55%となった。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(2)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(2)の相対密度は、実施例1と同様にして求めたところ、98.4%であった。
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(2)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(2)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比は、Zn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。酸化亜鉛系焼結体(2)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(2)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)、酸化ガリウム粉末(Ga2O3、住友化学(株)製)および一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)をZn:Ga:Tiの原子数比が94.5:0.5:5.0となる割合で混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を用いて、実施例2と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。混合粉末および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(原料酸化亜鉛粉末、酸化ガリウム粉末および一酸化チタン粉末からなる)が1.00g/cm3であり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は2.98g/cm3であった。
上記のタップ密度が2.98g/cm3である酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.98g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約53%となった。
なお、理論密度は、下記式から求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
この焼結体の相対密度は98.2%であった。また、電子顕微鏡にて焼結体を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化ガリウムおよび一酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化ガリウムの単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(3)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとGaとTiの原子数比はZn:Ga:Ti=94.5:0.5:5.0であった。酸化亜鉛系焼結体(3)のZnとGaとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ga:Ti=94.5:0.5:5.0とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(3)の結晶構造は酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化ガリウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1400℃まで昇温した後、1400℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.95g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.95g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.88g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例1と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(4)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(4)の相対密度は実施例1と同様にして求めたところ、98.7%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(4)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(4)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=97:3であった(Ti/(Zn+Ti)=0.03)。酸化亜鉛系焼結体(4)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=97:3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(4)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
図1に焼成後の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真を示す。図2に焼成前の原料酸化亜鉛粉末のSEM写真を示す。焼成前の原料酸化亜鉛粉末の形状は図2に示すように六角柱状等の角張った形状であり、粒径はサブミクロン〜1μm程度で割と揃っているのに対し、焼成後の原料酸化亜鉛粉末の形状は図1に示すように焼成することにより球状に近い形状であり、サブミクロン〜数百μmの巨大粒子まで存在しており、粒子形状の粒度分布が広くなる効果によりタップ密度は向上した。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と、酸化アルミニウム(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)とを、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.2:1.0:0.8となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.84g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、下記式より求めた。
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
この酸化亜鉛系焼結体(5)の相対密度は、98.5%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(5)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、一酸化チタンおよび酸化アルミニウムの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+一酸化チタンの単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、実施例1と同様にして測定した。
得られた酸化亜鉛系焼結体(5)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。酸化亜鉛系焼結体(5)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(5)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)、一酸化チタン粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)および酸化アルミニウム粉末(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)を、これらをZn:Ti:Alの原子数比が98.2:1.0:0.8となる割合で乾式混合し、混合粉末を得た。次いで、得られた混合粉末を不活性雰囲気(Ar)中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で10時間焼成を行い、乳鉢にて軽く手粉砕を行い、酸化亜鉛系粉末を得た。混合粉末および酸化亜鉛系粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。
焼結前後のタップ密度は、焼成前の混合粉末(原料酸化亜鉛粉末と一酸化チタン粉末と酸化アルミニウム粉末からなる)が0.99g/cm3であり、焼成後の酸化亜鉛系粉末は2.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が2.92g/cm3である酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は2.92g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約52%となった。なお、理論密度は実施例5と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にして円柱型の酸化亜鉛系焼結体(6)を得た。
この酸化亜鉛系焼結体(6)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.4%であった。
また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(6)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(6)の組成と結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比は、Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8であった。酸化亜鉛系焼結体(6)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比(混合粉末の原子数比)Zn:Ti:Al=98.2:1.0:0.8とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(6)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)とを、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が99.0:1.0となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.88g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例1と同様にして求めた。
この酸化亜鉛系焼結体(7)の相対密度は、実施例1と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(7)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(7)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiの原子数比はZn:Ti=99.0:1.0であった。酸化亜鉛系焼結体(7)のZnとTiの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti=99.0:1.0とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(7)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.7:1.0:0.3となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
この酸化亜鉛系焼結体(8)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(8)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(8)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3であった。酸化亜鉛系焼結体(8)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.7:1.0:0.3とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(8)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が99.0:0.5:0.5となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
この酸化亜鉛系焼結体(9)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(9)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(9)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5であった。酸化亜鉛系焼結体(9)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.0:0.5:0.5とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(9)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が98.8:0.7:0.5となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
この酸化亜鉛系焼結体(10)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(10)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(10)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=98.8:0.7:0.5であった。酸化亜鉛系焼結体(10)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=98.8:0.7:0.5とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(10)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系粉末の製造>
原料酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)を大気中において昇温速度10℃/分で室温から1200℃まで昇温した後、1200℃で12時間焼成を行い、ハンマーミルにて粉砕、解砕を行い、焼成後の原料酸化亜鉛粉末を得た。
焼成前の原料酸化亜鉛粉末および焼成後の原料酸化亜鉛粉末のタップ密度を実施例1と同様にして評価を行った。焼結前後のタップ密度は焼成前の原料酸化亜鉛粉末が1.02g/cm3であり、焼成後の原料酸化亜鉛粉末は3.92g/cm3であった。
上記のタップ密度が3.92g/cm3である焼成後の原料酸化亜鉛粉末と、一酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)と酸化アルミニウム粉末(Al2O3、住友化学(株)製、AKP-3000)を、亜鉛元素とチタン元素とアルミニウム元素の原子数比が99.3:0.5:0.2となるように秤量し、実施例1と同様にして酸化亜鉛系粉末を得た。
得られた酸化亜鉛系粉末を実施例1で用いたのと同様の金属製容器に酸化亜鉛系粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は3.87g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約69%となった。なお、理論密度は、実施例5と同様にして求めた。
この酸化亜鉛系焼結体(11)の相対密度は、実施例5と同様にして求めたところ、98.6%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(11)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
得られた酸化亜鉛系焼結体(11)の組成および結晶構造を実施例1と同様にして分析したところ、ZnとTiとAlの原子数比はZn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2であった。酸化亜鉛系焼結体(11)のZnとTiとAlの原子数比は、仕込み組成である、酸化亜鉛系粉末の原子数比Zn:Ti:Al=99.3:0.5:0.2とまったくずれていないことから、亜鉛の揮散はなかった。
また、酸化亜鉛系焼結体(11)の結晶構造は、酸化亜鉛(ZnO)とチタン酸亜鉛(Zn2TiO4)の結晶相の混合物であり、酸化チタンの結晶相は全く存在していなかった。また、酸化アルミニウムの結晶相は確認できなかった。
<酸化亜鉛系焼結体の製造>
タップ密度が1.02g/cm3である原料酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)と一酸化チタン(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)を、亜鉛元素とチタン元素の原子数比が97.0:3.0となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これをボールミルにより混合し、混合粉末を得た。
得られた混合粉末を、実施例1で用いたのと同様の金属製容器に混合粉末の体積変化がなくなるまで振動を付与しながら充填したところ、タップ密度は1.01g/cm3となり、理論密度が約5.6g/cm3であることから充填率が約18%となった。なお、理論密度は実施例1と同様にして求めた。
その後、実施例1と同様にしてHIP処理を行ったところ、HIP処理中に金属製容器が破裂し、混合粉末がHIP処理装置内に飛散し、酸化亜鉛系焼結体を作製することが出来なかった。
混合粉末の充填率が約18%と極めて低く、金属製容器の収縮率が82%となるため、混合粉末の収縮に金属製容器の収縮が追随できず、金属製容器が破裂してしまった。
Claims (12)
- タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末を、大気中にて900〜1400℃で焼成した、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。
- 低原子価酸化チタン粉末を混合した請求項1に記載の酸化亜鉛系粉末であって、
チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、
タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。 - 低原子価酸化チタン粉末並びにガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末を混合した請求項1に記載の酸化亜鉛系粉末であって、
チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。 - タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末と低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、
チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、
タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。 - タップ密度が2.8g/cm3未満である原料酸化亜鉛粉末と、ガリウムおよびアルミニウムのうち少なくとも一方の酸化物粉末と、低原子価酸化チタン粉末とを混合し、非酸化性雰囲気中にて900〜1300℃で焼成した酸化亜鉛系粉末であり、
チタンの原子数の割合が全金属原子数に対して0.2%以上10%以下であり、ガリウムまたはアルミニウムの原子数の割合が全金属原子数に対して0.1%以上6%以下であり、タップ密度が2.8g/cm3以上であることを特徴とする酸化亜鉛系粉末。 - 前記原料酸化亜鉛粉末のタップ密度が、0.5〜1.2g/cm3である請求項1〜5のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
- 前記低原子酸化チタンは、一般式TiO2―X(X=0.1〜1)で表される低原子価酸化チタンであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の酸化亜鉛系粉末を金属製容器に充填し、カプセル熱間等方加圧焼結を行うことを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記カプセル熱間等方加圧焼結における焼結温度は900〜1400℃であり、焼結体の相対密度を98%以上とすることを特徴とする請求項8に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記カプセル熱間等方加圧焼結における雰囲気は不活性ガスであることを特徴とする請求項8または9に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 前記カプセル熱間等方加圧焼結における圧力は50MPa以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられるターゲットであって、
請求項8〜11のいずれかに記載の製造方法により得られた酸化亜鉛系焼結体を加工してなることを特徴とするターゲット。
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