JP5878045B2 - 酸化亜鉛系焼結体およびその製造方法 - Google Patents
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他方、酸化物ターゲットを用いると、膜に供給される酸素の一部は、ターゲット自体から供給され、不足分のみが雰囲気中の酸素ガスから供給されることになるので、雰囲気中の酸素ガス量の変動は、合金ターゲットを用いる場合に比べ抑えることができ、その結果、一定の膜厚を有し一定の膜特性を有する透明導電膜を容易に製造することが可能となる。
したがって、工業的に用いるターゲットとしては、酸化物ターゲット(すなわち酸化物焼結体または酸化物混合体)が用いられている。
一方、酸化亜鉛系透明導電膜を製膜する際には、酸化物ターゲットを用いるのが好ましく、酸素量を少なくした方が低抵抗となることが知られている。このため、一般にはスパッタリングガスに酸素は添加されない。これに加えて、ターゲット中に金属亜鉛を分散させ、スパッタ成膜を行うと、透明導電膜中の酸素量を減少させ、低抵抗の透明導電膜を得ることができることが知られている。(特許文献1、特許文献2)
このようなターゲットには、空孔が存在し、かつ金属亜鉛が偏析しているため、スパッタリングなどにより成膜する際、放電中で系のインピーダンスが不安定となり、異常放電が発生しやすい。すなわち、特許文献2に記載された製造方法では、ZnOを主成分とする緻密な焼結体中に金属成分を分散させることは困難であり、たとえ金属亜鉛を焼結体中に分散できたとしても、これによって得られる透明導電膜の比抵抗は充分低いものとはならなかった。
(1)実質的に亜鉛、ドーパントおよび酸素からなる酸化亜鉛系焼結体であって、金属亜鉛が偏析することなく焼結体中に均一に分散していることを特徴とする、酸化亜鉛系焼結体。
(2)ドーパントが、亜鉛よりイオン化傾向の高い卑金属であることを特徴とする、前記(1)に記載の酸化亜鉛系焼結体。
(3)ドーパントがチタンであることを特徴とする、前記(2)に記載の酸化亜鉛系焼結体。
(4)ドーパントが、主原子価でない低原子価金属であることを特徴とする、前記(2)に記載の酸化亜鉛系焼結体。
(5)酸化亜鉛系透明導電膜形成材料として用いられる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体を製造する方法であって、ドーパント粉と酸化亜鉛粉を含む原料粉末を成形した後、得られた成形体を非酸化性雰囲気中600℃〜1500℃で焼結することを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(7)前記非酸化性雰囲気が、窒素、アルゴン、ヘリウムおよび二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種の雰囲気である、前記(6)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(8)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体を製造する方法であって、ドーパント粉と酸化亜鉛粉を含む原料粉末を、加圧焼結することを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(9)前記加圧焼結は、原料粉末を黒鉛製の型材に入れ、真空雰囲気下で行う前記(8)に記載の酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
(10)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体を加工して得られた、ターゲット。
(11)スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられる、前記(8)に記載のターゲット。
(12)前記(8)または(9)に記載のターゲットを、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法に供して、酸化亜鉛系透明導電膜を形成する工程を含む、酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
(13)透明基材と、この透明基材上に、前記(10)に記載の形成方法によって形成された酸化亜鉛系透明導電膜とを少なくとも備える、透明導電性基板。
本発明の酸化亜鉛系焼結体は、実質的に亜鉛、ドーパント元素および酸素からなり、金属亜鉛が偏析することなく焼結体中に均一に分散している。ここで、「実質的」とは、酸化亜鉛系焼結体を構成する全原子の99%以上が亜鉛、ドーパント元素および酸素からなることを意味する。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
ここで、焼結体中に金属亜鉛が偏析することなく均一に分散しているとは、X線回折により焼結体中に金属亜鉛の存在が確認でき、かつ焼結体の表面をデジタルマイクロスコープにて倍率100倍で観察した際に、金属亜鉛が均一に分散しているときは、金属亜鉛の粒子(白く見える)が小さすぎて100倍では殆んど観察されないことをいう(図3を参照)。これに対して、金属亜鉛が均一に分散せず、偏析していると、デジタルマイクロスコープで倍率100倍に拡大して観察したとき、大きな粒子(白く見える)が観察され、金属亜鉛が不均一に分散していることが観察される(図4を参照)。
主原子価でない低原子価金属としては、例えば、後述する低原子価酸化チタン粉、低原子価酸化マンガン粉、低原子価酸化クロム粉、低原子価酸化バナジウム粉などの低原子価金属酸化物の粉末由来の金属をいう。
チタン酸亜鉛化合物相とは、具体的には、ZnTiO3、Zn2TiO4のほか、これらの亜鉛サイトにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が生じているものや、Zn/Ti比がこれらの化合物から僅かにずれた非化学量論組成のものも含む。
酸化亜鉛相とは、具体的には、ZnOのほか、これにチタン元素が固溶されたものや、酸素欠損が生じているものや、亜鉛欠損により非化学量論組成となったものも含む。なお、酸化亜鉛相は、通常ウルツ鉱型構造を有する。
本発明に係る焼結体の製造方法(以下、単に「本発明の第1の製造方法」と記載する場合がある)は、以下の(A)または(B)を含む原料粉末を成形する工程、および得られた成形体を、非酸化性雰囲気中にて600〜1500℃で焼結する工程を含む。
(A)酸化チタン粉と酸化亜鉛粉との混合粉、
(B)酸化チタン粉と水酸化亜鉛粉との混合粉。
また、水酸化亜鉛粉としては、アモルファスでもよく、結晶構造を有するものであってもよい。
主原子価でない低原子価金属酸化物を原料粉末に用いれば、原料粉末の段階で金属亜鉛が存在していなくても、焼結過程にて(i)低原子化金属酸化物が酸化亜鉛の一部を還元し、金属亜鉛を生成させ、(ii)ドーパントである金属酸化物が酸化亜鉛に固溶したり、酸化亜鉛と複合金属酸化物を生成させやすくなる。この両者の反応を同時に進行するため、金属亜鉛が偏析することなく、均一に焼結体中に分散した状態で、高密度の焼結体が得られる。
具体的に、低原子価酸化チタンは、TiO(II)およびTi2O3(III)のような整数の原子価を有する酸化チタンだけでなく、Ti3O5、Ti4O7、Ti6O11、Ti5O9、Ti8O15なども含み、これらの混合物であってもよい。
このような低原子価酸化チタンは、通常、二酸化チタン(TiO2)を水素雰囲気などの還元雰囲気にて、還元剤としてカーボンなどを用いて、加熱することによって得られる。水素濃度、還元剤の量、加熱温度などを調節することにより、低原子価酸化チタンの混合物の割合を制御することができる。
この低原子価酸化チタンの構造は、X線回折装置(X‐Ray Diffraction、XRD)、X線光電子分光装置(X‐ray Photoelectron Spectroscopy、XPS)などの機器分析によって確認することができる。
また、少量で酸化亜鉛を金属亜鉛に還元する効果が高いのは、最も低原子価であるMnO(II)である。マンガンは酸化亜鉛に導電性を付与するドーパントとしての効果は弱いので、酸化マンガン粉の添加量は、酸化亜鉛に対して0.5mol%以下が好ましい。0.5mol%以下であれば、導電性の低下に悪影響を及ぼさない。0.5mol%以上であると、キャリア電子の不純物散乱要因となり導電性の低下を及ぼすので好ましくない。
酸化クロム粉の添加量は、酸化亜鉛に対して0.5mol%以下が好ましい。
酸化バナジウム粉の添加量は、酸化亜鉛に対して0.5mol%以下が好ましい。
導電性を付与するドーパント粉としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ガリウム等の粉末が挙げられる。
酸化ガリウムの粉末としては、例えば、Ga2O3などの粉末が挙げられる。
導電性を付与するドーパント粉の添加量は、酸化亜鉛に対して2mol%以上4mol%以下が好ましい。
なお、不活性雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、真空、二酸化炭素などが挙げられる。
還元性雰囲気としては、例えば、水素、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄などが挙げられる。
原料粉末を造粒物とする方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、原料粉末と水系溶媒とを混合し、得られたスラリーを十分に湿式混合によって混合した後、固液分離し、乾燥し、造粒する湿式造粒;原料粉末に強制的に外力や熱を加えて顆粒化する乾式造粒などが挙げられる。
固液分離、乾燥および造粒については、それぞれ公知の方法を採用すればよい。
なお、造粒物を得る際には、乾燥後、公知の方法で造粒すればよいのであるが、その場合、原料粉末とともにバインダーも混合することが好ましい。バインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、エチルセルロースなどを用いることができる。
焼結温度が600℃未満であると、焼結が十分に進行しないので、得られるターゲットの密度が低くなり、一方、1500℃を超えると、酸化亜鉛自体が分解して消失してしまうこととなる。上記いずれの雰囲気においても、より好ましくは1000〜1300℃で焼結が行われる。なお、成形体を上記焼結温度まで昇温する際には、昇温速度を、600℃までは5〜10℃/分とし、600℃を超え1500℃までは1〜4℃/分とすることが、焼結密度を均一にするうえで好ましい。
非酸化性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性雰囲気;真空、二酸化炭素、水素、アンモニアなどの還元性雰囲気などが挙げられ、なかでも窒素、アルゴン、ヘリウムおよび二酸化炭素からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
加圧焼結を金型(ダイス)やパンチなどの型材を用いて行う場合は、その型材の材質は、黒鉛であるのが好ましい。
加圧焼結する際の雰囲気は、例えば、加圧焼結する方法によって適宜調整すればよく、真空(好ましくは、2Pa以下)、不活性雰囲気(窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン)などが挙げられ、ホットプレス法の場合は、真空が好ましい。
加圧焼結する際、原料粉末にかける圧力は、20〜150MPaが好ましく、30〜100MPaがより好ましい。
加圧焼結する際の焼成温度は、900〜1400℃が好ましく、1000〜1200℃がより好ましい。
焼成時間は、焼成温度や原料粉末の量などによって適宜調整すればよく、通常30分〜4時間、より好ましくは1時間〜2時間程度であるのがよい。
アニール処理を施す方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、二酸化炭素、水素、アンモニアなどの非酸化性ガスを導入しながら常圧で酸化亜鉛系焼結体を加熱する方法や、真空下(好ましくは、2Pa以下)で酸化亜鉛系焼結体を加熱する方法などが挙げられる。製造コストの観点から、非酸化性ガスを導入しながら常圧で行う方法が好ましい。
本発明のターゲットは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法などの各種成膜方法で好適に用いられるターゲットであり、特にスパッタリング法(好ましくは、量産性に優れているDCスパッタリング法)による成膜に用いられるターゲットである。
本発明のターゲットは、上述した本発明の酸化亜鉛系焼結体を、所定の形状および所定の寸法に加工して得られる。
スパッタリング法、イオンプレーティング法、PLD法またはEB蒸着法の成膜する際の条件設定は、従来公知の条件で行えばよい。
透明基材としては、例えば、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリカーボネート(PC)基板、ポリイミド基板等の透明樹脂基板などが挙げられる。
なお、実施例および比較例において、焼結体における密度、金属原子の原子数比、焼結体のモルフォロジー観察、焼結体の結晶構造および焼結体や透明導電膜の比抵抗は、以下の方法により求めた。
焼結体の焼結密度は、アルキメデス法により測定した。
<原子数比>
焼結体を構成する金属原子の原子数比は、エネルギー分散型蛍光X線装置((株)島津製作所製「EDX−700L」)を用いて分析した。
<モルフォロジー観察>
金属亜鉛の偏析の有無は、デジタルマイクロスコープ((株)ハイロックス製)により、焼結体の表面を拡大した画像(倍率100倍)を用いて目視により判断した。白く見える大きな粒子が観測されなかった場合は、焼結体に金属亜鉛の偏析が無く、均一に分散していると判断し、白く見える大きな粒子が観測された場合は、焼結体に金属亜鉛の偏析があると判断した。
<結晶構造>
焼結体の結晶構造は、X線回折装置(スペクトリス(株)製の「X‘Pert PRO」)を使って、CuKα線を用いて印加電圧45kV,印加電流40mAで、θ−2θ法により焼結体を分析し、特定した。
<比抵抗>
比抵抗は、抵抗率計(三菱化学(株)製「LORESTA‐GP、MCP‐T610」)を用いて、四端子四探針法により測定した。詳しくは、サンプルに4本の針状の電極を直線上に置き、外側の二探針間と内側の二探針間とに一定の電流を流し、内側の二探針間に生じる電位差を測定して抵抗を求めた。
酸化亜鉛粉末(ZnO、キシダ化学(株)製)および酸化チタン粉末(TiO(II)、(株)高純度化学研究所製)を、亜鉛元素とチタン元素の元素数比が97.0:3.0となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更にこの容器に2mmΦジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これを卓上型ボールミル回転架台に載置し、回転混合して、原料粉末スラリーを得た。
これを電気炉に入れ、Ar雰囲気下、1300℃で加熱処理を行い、酸化亜鉛系焼結体(1)を得た。この焼結体の相対密度を97.0%であった。また、電子顕微鏡にて酸化亜鉛系焼結体(1)を観察したところ、空孔もほとんどなく緻密な焼結体であった。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化チタンの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化チタンの単体密度×混合重量比)
焼結体(1)の結晶構造を分析した結果を図1および図2に示す。図1および図2のX線回折プロファイルから、金属亜鉛相が確認された。
この焼結体(1)のモルフォロジー観察を行ったところ、図3に示すように、特に金属亜鉛が偏析している状態は観察されなかった。
以上のことから金属亜鉛が焼結体(1)中に均一に分散しているといえる。
すなわち、スパッタリング装置(キャノンアネルバエンジニアリング(株)製「E−200」)内に、透明基材(石英ガラス基板)と得られたターゲットとを設置し、Arガス(純度99.9995%以上、Ar純ガス=5N)を12sccmで導入して、圧力0.5Pa、電力70Wおよび基板温度250℃の条件下でスパッタリングを約3時間行い、基板上に500nmの膜厚を有する透明導電膜を形成した。
得られた透明導電膜の比抵抗は4.2×10−4Ω・cmであり、低抵抗であった。また、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、1時間あたり1回以内であった。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および酸化チタン(II)粉末(TiO;(株)高純度化学研究所製、純度99.99%)を、原子数比でZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)となるように秤量し、ポリプロピレン製の容器に入れ、更にこの容器に2mmφジルコニア製ボールと混合溶媒としてエタノールを入れた。これを卓上型ボールミル回転架台に載置し、回転混合して、原料粉末スラリーを得た。混合操作後、ボールを篩いにより、エタノールをエバポレーターにより除去して得られた原料粉末を乾燥させた後、混合物を得た。
混合操作後、ボールとエタノールを除去して得られた原料粉末を黒鉛からなる金型(ダイス)に入れ、黒鉛からなるパンチにて40MPaの圧力で真空加圧し、1000℃、4時間、加熱処理を行い円盤型の酸化亜鉛系焼結体(2)を得た。(ホットプレス焼結)
このことから金属亜鉛が焼結体中に均一に分散しているといえる。
得られた透明導電膜の比抵抗は4.2×10−4Ω・cmであり、低抵抗であった。また、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、1時間あたり1回以内であった。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および金属亜鉛粉末(Zn;和光純薬工業(株)製、特級)をZnO:Zn=85:15となるように配合した亜鉛系粉末と、酸化チタン(IV)粉末(TiO2;(株)和光純薬工業(株)製、純度99.99%)とを、原子数比でZn:Ti=97:3(Ti/(Zn+Ti)=0.03)となるように配合し、実施例2と同様にして円盤型の酸化亜鉛系焼結体(C1)を得た(ホットプレス焼結)。
このことから金属亜鉛が焼結体中に不均一に偏析しているといえる。
得られた透明導電膜の比抵抗は7.8×10−4Ω・cmであり、高抵抗であった。また、成膜中に発生した異常放電に起因して、10分以内に1回、スパッタリング装置の運転が停止した。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)、酸化アルミニウム粉末(Al2O3;住友化学(株)製、純度99.99%)および酸化クロム粉末(Cr2O3;和光純薬工業(株)製)を、原子数比でZn:Al:Cr=96.7:3.0:0.3となるように配合し、実施例2と同様にして円盤型の酸化亜鉛系焼結体(3)を得た(ホットプレス焼結)。
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロムの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化クロムの単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
このことから金属亜鉛が焼結体中に均一に分散しているといえる。
得られた透明導電膜の比抵抗は3.1×10−4Ω・cmであり、低抵抗であった。また、成膜中に発生した異常放電に起因してスパッタリング装置の運転が停止した回数は、1時間あたり1回以内であった。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および金属亜鉛粉末(Zn;和光純薬工業(株)製、特級)をZnO:Zn=85:15となるように配合した亜鉛系粉末と、酸化アルミニウム粉末(Al2O3;住友化学(株)製、純度99.99%)とを、原子数比でZn:Al=97.0:3.0となるように配合し、実施例2と同様にして円盤型の酸化亜鉛系焼結体(C2)を得た。(ホットプレス焼結)
なお、相対密度は、下式に示すように、酸化亜鉛、金属亜鉛、酸化アルミニウムの単体密度に混合の重量比をかけ、和をとったものを100%として求めた。
相対密度=100×[(焼結体の密度)/(理論密度)]
理論密度=(酸化亜鉛の単体密度×混合重量比+金属亜鉛の単体密度×混合重量比+酸化アルミニウムの単体密度×混合重量比)
なお、焼結体の密度は、アルキメデス法により測定した。
このことから金属亜鉛が焼結体中に不均一に偏析しているといえる。
得られた透明導電膜の比抵抗は5.7×10−4Ω・cmであり、高抵抗であった。また、成膜中に発生した異常放電に起因して、10分以内に1回、スパッタリング装置の運転が停止した。
酸化亜鉛粉末(ZnO;和光純薬工業(株)製、特級)および金属亜鉛粉末(Zn;和光純薬工業(株)製、特級)をZnO:Zn=85:15となるように配合した亜鉛系粉末と、酸化アルミニウム粉末(Al2O3;住友化学(株)製、純度99.99%)とを、原子数比でZn:Al=97.0:3.0となるように配合し、実施例1と同様にして円盤型の成形体を得た。
これを電気炉に入れ、Ar雰囲気下、1300℃で加熱処理を行ったところ、焼結中に金属亜鉛が溶融して流動し、円盤型の焼結体とならず、焼結体の体をなさなかった。
Claims (7)
- 実質的に亜鉛、ドーパントおよび酸素からなる酸化亜鉛系焼結体であって、金属亜鉛が偏析することなく焼結体中に均一に分散し、
ドーパントがチタンであることを特徴とする、酸化亜鉛系焼結体。 - 実質的に亜鉛、ドーパントおよび酸素からなる酸化亜鉛系焼結体であって、金属亜鉛が偏析することなく焼結体中に均一に分散し、
ドーパントが、亜鉛よりイオン化傾向の高い卑金属であり、かつ主原子価でない低原子価金属であることを特徴とする、酸化亜鉛系焼結体。 - 酸化亜鉛系透明導電膜形成材料として用いられる、請求項1または2に記載の酸化亜鉛系焼結体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体を製造する方法であって、ドーパント粉と酸化亜鉛粉を含む原料粉末を黒鉛製の型材に入れ、真空雰囲気下で加圧焼結することを特徴とする酸化亜鉛系焼結体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化亜鉛系焼結体を加工した、ターゲット。
- スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法による成膜に用いられる、請求項5に記載のターゲット。
- 請求項5または6に記載のターゲットを、スパッタリング法、イオンプレーティング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法またはエレクトロンビーム(EB)蒸着法に供して、酸化亜鉛系透明導電膜を形成する工程を含む、酸化亜鉛系透明導電膜の形成方法。
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