JP2004047036A - シート材のベース基板への貼合方法及び光ディスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な制御を行うことなく、加圧ローラにより加圧された積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさを均一化して、カバーシートに変形が生じることを効果的に防止する。
【解決手段】支持テーブル42の載置面44には、ディスク積層体32の外周側にダミープレート80が設置されており、このダミープレート80の厚さ及び剛性は、ディスク積層体32の厚さ及び剛性と略等しくなっている。加圧ローラ54は、ディスク積層体32及びダミープレート80上を転動しつつ、これらに一定の圧接力で圧接することで、ディスク積層体32におけるカバーシート24を、粘着膜を介してディスク基板に貼り合せる。このとき、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、ダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和は、ローラ移動方向に沿った任意の位置で常に略一定とになる。
【選択図】 図4
【解決手段】支持テーブル42の載置面44には、ディスク積層体32の外周側にダミープレート80が設置されており、このダミープレート80の厚さ及び剛性は、ディスク積層体32の厚さ及び剛性と略等しくなっている。加圧ローラ54は、ディスク積層体32及びダミープレート80上を転動しつつ、これらに一定の圧接力で圧接することで、ディスク積層体32におけるカバーシート24を、粘着膜を介してディスク基板に貼り合せる。このとき、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、ダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和は、ローラ移動方向に沿った任意の位置で常に略一定とになる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着膜を用いてシート材をベース部材に貼り合せるシート材のベース基板への貼合方法及び、ディスク基板上にカバーシートと粘着膜とより透明なカバー層が構成された光ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に対応した光ディスクでは、例えば、特開平11−31337号公報に開示されているように、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある。
【0003】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上にポリカーボネイト等の透明樹脂からなるシート材(カバーシート)を粘着膜により貼り合せ、このカバーシート及び粘着膜によりディスク基板上に透明なカバー層を構成する。このような光ディスクの製造時には、例えば、予めカバーシートの片側の面に透明な粘着膜を形成したものものを用意しておき、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されていない。このため、光ディスクの製造ラインでは、加圧装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、粘着膜全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合されてカバーシートがディスク基板に貼り合される。
【0004】
上記のようなディスク積層体を加圧する加圧装置としては、例えば、支持テーブル上に載置されたディスク積層体の表面部に円筒状の加圧ローラを所定の圧接力(荷重)で圧接させつつ、この加圧ローラをディスク径方向に沿ってディスク積層体の一端部から他端部へ回転移動(転動)させるものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような加圧装置では、ディスク積層体上を転動する加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力を一定の大きさに保ちつつ、この加圧ローラによりディスク積層体を加圧した場合、ローラ転動方向に沿ってディスク積層体の幅が変化することから、このディスク積層体の幅の変化に応じて加圧ローラからディスク積層体へ作用する圧力も変化する。従って、加圧ローラによる加圧完了後にディスク積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って変化する。このようにディスク積層体に不均一な歪みが残留すると、粘着膜が硬化するに従って内部応力が生じ、この内部応力の影響によりカバーシートに径方向(ローラ移動方向)に沿った反り等の変形が生じ易くなる。
【0006】
また、上記のような加圧装置では、加圧ローラのローラ面とディスク積層体のローラ移動方向に沿った一端部及び他端部付近との接触面積が極めて小さいものになる。このことから、ディスク積層体の一端部及び他端部付近の粘着膜は、加圧ローラから大きな圧力(圧縮応力及び剪断応力)を受ける。また粘着膜は、通常、硬化前には高粘度の粘性物質としての性質を有している。このため、ディスク積層体の一端部及び他端部付近では、加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力を十分小さくしないと、加圧ローラからの圧縮応力により粘着膜がディスク基板とカバーシートとの間から外周側にはみ出す現象が容易に生じる。これにより、光ディスクの一端部付近及び他端部付近の厚さが薄くなって、光ディスクの厚さ方向に沿った寸法精度が低下したり、このディスク基板とカバーシートとの間からはみ出した粘着膜が加圧ローラに付着して、光ディスクのカバーシート側の面(光入射面)に汚れを付着させる原因となる。
【0007】
そこで、上記のような加圧装置には、加圧ローラとディスク積層体との圧力が変化することを防止するため、加圧ローラのローラ面の圧力を検知する圧力センサが設けられ、この圧力センサからの検知信号に基づいて加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力をフィードバック制御するもの(例えば、特開平4−182949号公報参照)がある。しかし、このような加圧装置では、圧力センサが必要となると共に、この圧力センサからの信号により加圧ローラの圧接力を制御するための制御部の構造及びそのプログラムが複雑なり、装置コストが高いものになってしまう。
【0008】
本発明の一の目的は、上記事実を考慮し、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラからシート材へ作用する圧力をローラ移動方向に沿って精度良く適正値に制御できるシート材のベース基板への貼合方法を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的は、上記事実を考慮し、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラにより加圧された積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさを均一化して、カバーシートに変形が生じることを効果的に防止できる光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法は、ベース基板上に粘着膜を介して薄膜状のシート材を重ね合せて積層体を構成し、該積層体における前記シート材を加圧し、前記粘着膜を介して前記シート材を前記ベース基板に貼り合せるシート材のベース基板への貼合方法であって、円筒状の加圧ローラのローラ面を前記積層体における前記シート材に圧接させつつ、該加圧ローラを前記シート材の表面部上における一端部から他端部へ転動させて前記シート材を前記ベース基板側へ加圧すると共に、前記加圧ローラの前記シート材の表面部上における少なくとも一端部付近及び他端部付近との圧接時に、前記加圧ローラのローラ面の一部を前記積層体の外周側に配置された加圧分散部材に圧接させることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法では、加圧ローラのローラ面を積層体におけるシート材に圧接させつつ、この加圧ローラをシート材上の一端部から他端部へ転動させてシート材をベース基板側へ加圧すると共に、加圧ローラの前記シート材上の少なくとも一端部付近及び他端部付近との圧接時に、加圧ローラのローラ面の一部を積層体の外周側に配置された加圧分散部材に圧接させることにより、加圧ローラのローラ面が積層体の一端部付近及び他端部付近にそれぞれ圧接する時に、加圧ローラのローラ面からの圧接力を積層体及び加圧分散部材の双方に分散できるので、加圧ローラから積層体に作用する応力が積層体の一端部付近及び他端部付近で増大することを防止でき、かつ積層体に作用する応力の大きさをローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0012】
この結果、加圧ローラからの応力により積層体における一端部付近及び他端部付近の粘着膜が外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラにより積層体を加圧した後に粘着膜に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0013】
また、本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面に情報記録層が設けられたベース基板であるディスク基板と、前記ディスク基板における前記情報記録層側の面に粘着膜により貼り合され、該粘着膜と共に前記情報記録層を覆う透明なカバー層を構成するシート材であるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記ディスク基板上に前記粘着膜を介して前記カバーシートを積み重ねて積層体を構成した後、請求項1又は2記載のシート材のベース基板への貼合方法を用い、前記積層体における前記カバーシートを前記ディスク基板側へ加圧して、前記粘着膜を介して前記カバーシートを前記ディスク基板に貼り合せる貼合工程を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、ディスク基板上に粘着膜を介してカバーシートを積み重ねて積層体を構成した後、請求項1又は2記載のシート材のベース基板への貼合方法を用い、積層体における前記カバーシートを前記ディスク基板側へ加圧し、前記粘着膜を介して前記カバーシートを前記ディスク基板に貼り合せることにより、上記したように加圧ローラからの圧縮応力により積層体における一端部付近及び他端部の粘着膜が外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラにより積層体を加圧した後に粘着膜に残留する歪みの大きさも積層体のローラ移動方向に沿って均一化できるので、粘着膜のはみ出しを原因とする光ディスクの厚さ方向に沿った寸法精度の低下及び光ディスクの光入射面に汚れを防止でき、かつ粘着膜の硬化後にカバーシートに粘着膜の歪みの影響により変形が生じることを効果的に抑制でき、カバーシートの変形に起因する光ディスクの寸法精度の低下を効果的に抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、記録再生装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0017】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24及び粘着膜26により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0018】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。カバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明樹脂製の薄膜フィルムからなる。粘着膜26は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤により粘着膜26が望ましい。またカバーシート24及び粘着膜26の厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、例えば、カバーシート24の厚さが80μmに設定され、粘着膜26の厚さが20μmに設定される。
【0019】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール28が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール28と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール28の内径よりも大きくしても良い。
【0020】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、モールド成形等により成形されたディスク基板12の片側の面に記録層16を形成した後、カバーシート24をディスク基板12に貼り合せる貼合工程が行われる。この貼合工程では、先ず、図2(A)に示されるように、ディスク基板12上に粘着膜26を介してカバーシート24を積み重ね、ディスク積層体32(図2(B)参照)を構成する。このディスク積層体32では、未だ粘着膜26全体がディスク基板12の記録面14に均一に密着しておらず、粘着膜26を介してカバーシート24がディスク基板12へ十分な接合力で接合されていない。このため、貼合工程では、ディスク積層体32を構成した後、このディスク積層体32を真空下に保持しつつ、図3及び図4に示されるローラ加圧装置40によりディスク積層体32におけるカバーシート24をディスク基板12側へ加圧して、粘着膜26全体をディスク基板12の記録面14に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体32におけるカバーシート24がディスク基板12へ十分な接合力で貼り合される。この後、光ディスクの製造ラインでは、ディスク積層体32における粘着膜26の硬化等を行うことで、製品素材としての光ディスクを製造する。
【0021】
次に、ディスク積層体32の加圧方法に用いられるローラ加圧装置40について説明する。図3に示されるように、ローラ加圧装置には、支持テーブル42が設けられると共に、この支持テーブル42の上側に円筒状の加圧ローラ54が回転可能に支持されている。支持テーブル42の上面は、ディスク積層体32が載置される載置面44とされており、載置面44の中央部には円柱状のセンターピン46が突出している。このセンターピン46は、ディスク基板12の厚さよりも短くなっている。ディスク積層体32は、そのセンターホール28内へセンターピン46が挿入されるように載置面44上へ載置され、載置面44の中央部へ位置決めされる。
【0022】
図3に示されるように、支持テーブル42内には、載置面44の下側に周方向へ延在する負圧室48が設けられており、この負圧室48には配管50を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が接続されている。また支持テーブル42には、載置面44と負圧室48の上面部との間を貫通する複数の吸引穴52が周方向及び径方向に沿って一定ピッチで穿設されている。ローラ加圧装置40では、載置面44上へディスク積層体32が載置されると、真空発生装置を作動させて負圧室48内を減圧し、吸引穴52を通して載置面44上のディスク積層体32へ負圧を作用させる。これにより、ディスク積層体32の下面(レーベル面)全体が載置面44上へ吸着される。
【0023】
図3に示されるように、加圧ローラ54は、そのローラ軸方向(矢印W方向)に沿ってディスク積層体32よりも幅広とされ、その両端面にはそれぞれ軸心SRに沿って突出するローラ軸58が設けられている。また加圧ローラ54のローラ面56に沿った表層部はシリコンゴム等の弾性材料により形成されている。具体的には、例えば、ディスク基板12の厚さが1.1mm、粘着膜26を含むカバーシート24のの厚さが0.1mmの場合、ローラ面56の硬度は30°〜60°程度が好ましく、加圧ローラ54のローラ径は20mm〜60mm程度が好ましい。ここで、加圧ローラ54は、下方へ向って開いた略コ字状に形成されたローラフレーム60により支持されており、このローラフレーム60の両端部には、それぞれ加圧ローラ54における一対のローラ軸58を軸支する軸受62が設けられている。加圧ローラ54は、ローラフレーム60によりローラ軸SRが載置面44と平行になるように支持されている。
【0024】
図3に示されるように、ローラフレーム60には、その上面部に、直流サーボシリンダ、油圧サーボシリンダ等からなる昇降シリンダ66の駆動ロッド68が連結されている。またローラフレーム60は、支持テーブル42に対して固定された装置のメインフレーム(図示省略)によりディスク厚方向に沿って昇降可能に支持されている。昇降シリンダ66の本体部67はメインフレーム側に固定されている。これにより、昇降シリンダ66が駆動ロッド68をディスク厚方向に沿って伸縮させると、ローラフレーム60が駆動ロッド68の伸縮に対応して昇降する。
【0025】
図3に示されるように、ローラ加圧装置40には、昇降シリンダ66に接続されたシリンダドライバ70が設けられ、このシリンダドライバ70は装置全体を制御するためのコントローラ74に接続されている。シリンダドライバ70は、コントローラ74からのシリンダ制御信号に従って昇降シリンダ66を制御する。これにより、昇降シリンダ66の駆動ロッド68がシリンダ制御信号に対応する位置へ位置調整されると共に、昇降シリンダ66が発生する駆動力(押圧力)がシリンダ制御信号に対応する大きさに制御される。
【0026】
ローラ加圧装置40には、ローラフレーム60及び加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向と平行なローラ移動方向(図2の矢印M方向)に沿って直線的に移動させるローラ移動機構(図示省略)が設けられている。ローラ移動機構はサーボモータ77を駆動源としており、このサーボモータ77はモータドライバ76(図3参照)を介してコントローラ74に接続されている。モータドライバ76は、コントローラ74からのモータ制御信号に従ってサーボモータ77に駆動信号及び駆動パルスを出力する。これにより、サーボモータが駆動信号に対応する方向へ駆動パルスの入力数に比例する回転量だけ回転する。このサーボモータ77からの駆動力によりローラ移動機構は、ローラ移動方向に沿って加圧ローラ54を位置調整すると共に、加圧ローラ54の移動速度を制御する。
【0027】
図4及び図5に示されるように、支持テーブル42の載置面44上には、センターピン46の外周側にダミープレート80が設置されている。ダミープレート80には、センターピン46を中心とする円形の開口部82が形成されており、この開口部82の半径は、ディスク積層体32の半径よりも僅かに(例えば、0.2mm程度)大きくなっている。またダミープレート80の厚さは、ディスク積層体32の厚さよりも僅かに薄くなっており、例えば、ディスク積層体32の厚さが1.2mmである場合には、1.15mm〜1.20mmが好ましい。これにより、載置面44上に載置されたディスク積層体32はダミープレート80の開口部82内に保持される。このとき、ディスク積層体32の外周端とダミープレート80の内周端との間には、センターピン46を中心とする径方向に沿って幅一定の空隙部84が環状に形成される。この空隙部84の幅は、加圧ローラ54の圧接時にディスク積層体32とダミープレート80とが当接しないことを条件に、可能な限り狭いことが望ましい。
【0028】
ダミープレート80は、その厚さが非加圧状態ではディスク積層体32の厚さと略等しく、厚さ方向に沿った剛性がディスク積層体32の剛性と略等しくなるように形成されている。但し、ディスク積層体32では、硬化前の粘着膜26の剛性がディスク基板12及びカバーシート24と比較して著しく低いものになっている。このことから、ダミープレート80は、その剛性が硬化前の粘着膜26の剛性と略等しくなるか、僅かに高くなるように形成されている。またダミープレート80は、図5(A)に示されるように外周端に沿った外郭形状が略正方形とされており、その一辺の長さが加圧ローラ54のローラ面56のローラ軸方向に沿った長さよりも若干短くされている。
【0029】
(実施形態の作用)
上記のように構成されたローラ加圧装置40を用いてディスク積層体32を加圧し、このディスク積層体32におけるカバーシート24を粘着膜26によりディスク基板12に貼り合せる方法について説明する。
【0030】
コントローラ74は、加圧ローラ54によりディスク積層体32への加圧を開始する前には、図2(B)に示されるように、ローラ移動機構により加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向外側の待機位置に保持すると共に、昇降シリンダ66によりディスク厚方向に沿って加圧ローラ54を載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さ及びダミープレート80の厚さよりも僅かに狭くなるように位置調整する。
【0031】
コントローラ74は、支持テーブル42の載置面44上にディスク積層体32が載置され、負圧室48内への負圧の供給が完了すると、ローラ移動機構を作動させて、ローラフレーム60及び加圧ローラ54を待機位置からローラ移動方向に沿ってダミープレート80上へ移動させる。このとき、加圧ローラ54は、載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも狭くなっていることから、ダミープレート80上へ乗り上げてローラ面56によりダミープレート80の上面部81に圧接する。
【0032】
この後、コントローラ74は、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をダミープレート80又はダミープレート80及びディスク積層体32に所定の圧接力で圧接させつつ、ローラ移動機構により加圧ローラ54をローラ移動方向に沿って移動させる。このとき、コントローラ74は、加圧ローラ54のダミープレート80に対する圧接力が予め設定された目標値P(図5(B)参照)になるように昇降シリンダ66を制御する。コントローラ74は、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってダミープレート80上から離脱するまで、加圧ローラ54のダミープレート80及びディスク積層体32に対する圧接力を目標値Pに維持する。
【0033】
ここで、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ダミープレート80又はダミープレート80及びディスク積層体32との摩擦力によりローラ移動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。なお、カバーシート24が皺等の発生しやすいものである場合には、加圧ローラ54にモータを連結して、このモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させても良い。この場合、加圧ローラ54を従動回転させるよりも、加圧ローラ54からカバーシート24に作用する摩擦力が抑制される。
【0034】
加圧ローラ54は、ローラ移動方向に沿って待機位置からディスク積層体32のローラ移動方向に沿った一端部32A(図5参照)上まで移動すると、ダミープレート80の上面部81及びディスク積層体32の上面部33双方に圧接する。このように加圧ローラ54がダミープレート80及びディスク積層体32の双方に圧接している時には、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、ダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和は、ローラ移動方向に沿った任意の位置で常に略一定とになる。具体的には、例えば、加圧ローラ54がローラ移動方向へ移動するに従って、ディスク積層体32との接触長が増加する場合には、この増加分と略等しい長さだけ加圧ローラ54のダミープレート80との接触長が減少することになる。
【0035】
加圧ローラ54は、ディスク積層体32上のローラ移動方向に沿った他端部32B上から更に一定距離、ローラ移動方向へ移動すると、ディスク積層体32上から離脱し、ダミープレート80にのみ圧接した後にダミープレート80上からも離脱する。コントローラ74は、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってダミープレート80上から離脱すると、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をダミープレート80及びディスク積層体32の上方へ上昇させた後、昇降シリンダ66及びローラ移動機構により加圧ローラ54を待機位置(図2(B)参照)に復帰させる。
【0036】
以上説明した本実施形態に係るカバーシート24のディスク基板12への貼合方法によれば、加圧ローラ54のローラ面56をディスク積層体32におけるカバーシート24に圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24上の一端部から他端部へ転動させてカバーシート24をディスク基板12側へ加圧すると共に、加圧ローラ54のカバーシート24との圧接時に、加圧ローラ54のローラ面56の一部をディスク積層体32の外周側に配置されたダミープレート80に圧接させることにより、加圧ローラ54のローラ面56がディスク積層体32の上面部81におけるローラ移動方向に沿った一端部32A付近及び他端部32B付近にそれぞれ圧接する時に、加圧ローラ54のローラ面56からの圧接力をディスク積層体32及びダミープレート80の双方に分散できるので、加圧ローラ54の圧接力を一定値(=P)に維持しても、加圧ローラ54からディスク積層体32に作用する応力(圧縮応力及び剪断応力)がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近で増大することを防止できる。
【0037】
また、本実施形態に係るカバーシート24のディスク基板12への貼合方法にでは、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってディスク積層体32上における一端部32Aから他端部32Bまで移動する際に、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、加圧ローラ54のローラ面56のダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和がローラ移動方向に沿った任意の位置で略一定となることにより、加圧ローラ54の圧接力を一定値(=P)に維持しても、加圧ローラ54からディスク積層体32に作用する応力の大きさをローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0038】
この結果、加圧ローラ54からの応力によりディスク積層体32における一端部32A付近及び他端部32B付近の粘着膜26がディスク基板12とカバーシート24との間から外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラ54によりディスク積層体32を加圧した後に粘着膜26に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って均一化できるので、粘着膜26のはみ出しを原因とする光ディスク10の厚さ方向に沿った寸法精度の低下及び光ディスク10の光入射面に汚れを防止でき、かつ粘着膜26の硬化後にカバーシート24に粘着膜26の歪みの影響により変形が生じることを効果的に抑制でき、カバーシート24の変形に起因する光ディスク10の寸法精度の低下を効果的に抑制できる。
【0039】
なお、本実施形態では、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧接時には加圧ローラ54が常にダミープレート80にも圧接するようにしたが、加圧ローラ54がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近に圧接する時にのみ加圧ローラ54がダミープレート80に圧接するように、ダミープレート80をディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近の外周側にのみ設置するようにして良い。この場合には、加圧ローラ54からの応力によりディスク積層体32における一端部32A付近及び他端部32B付近の粘着膜26がディスク基板12とカバーシート24との間から外周側にはみ出すことを効果的に防止できるという効果のみが得られる。
【0040】
また、ダミープレート80をディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近の外周側にのみ設置するようにした場合には、加圧ローラ54がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近に圧接する時に、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧接力をロードセル等のセンサにより検出し、このセンサからの信号に基づいて加圧ローラ54からディスク積層体32へ作用する応力が適正値になるようにフィードバック制御しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、ダミープレート80の厚さ及び剛性をそれぞれディスク積層体32と略等しくしたが、例えば、ダミープレート80の厚さをディスク積層体32の厚さよりも僅かに薄くすると共に、ダミープレート80の剛性をディスク積層体32の剛性よりも高くするか、ダミープレート80の厚さをディスク積層体32の厚さよりも僅かに厚くすると共に、ダミープレート80の剛性をディスク積層体32の剛性よりも低くすることによっても、本実施形態の場合と同様の作用効果を得られる。
【0042】
また、ローラ加圧装置40によりディスク積層体32を加圧してカバーシート26をディスク基板12に貼り合せる際に、加圧ローラ54による加圧時に、カバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気が十分抜けるようすれば、ディスク積層体32を必ずしも真空下に保持する必要はない。
【0043】
次に、加圧ローラ54による加圧時にカバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気を効果的に抜く方法の一例を具体的に説明する。先ず、図6(A)に示されるように、カバーシート24の他端部を吸着等により支持テーブル42の上方へ支持しつつ、カバーシート24の一端部をディスク基板12の一端部に一致するように載置する。
【0044】
次いで、図6(B)及び(C)に示されるように、待機位置にあった加圧ローラ54をディスク基板12上にカバーシート24が載置されたディスク積層体32の一端部上へ移動させ、この加圧ローラ54をディスク積層体32の上面部33に圧接させつつ、ディスク積層体32上の一端部から他端部へ向って転動させる。このとき、加圧ローラ54の移動に従ってカバーシート24の他端部をディスク基板12側へ下降させて行く。これにより、カバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気を抜きつつ、カバーシート24をディスク基板12に密着状態として貼り合すことができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法によれば、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラからシート材へ作用する圧力をローラ移動方向に沿って精度良く適正値に制御できる。
【0046】
また本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラにより加圧された積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさを均一化して、カバーシートに変形が生じることを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びダミープレートをローラ軸方向から見た側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びローラ加圧装置を軸直角方向から見た正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びローラ加圧装置の斜視図である。
【図5】図4に示されるディスク積層体及びローラ加圧装置の平面図及び側面断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る加圧ローラによる加圧時にカバーシートとディスク基板との間の空気を抜く方法の一例を説明するためのディスク積層体及びローラ加圧装置の側面図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板(ベース基板)
24 カバーシート(シート部材)
26 粘着膜
32 ディスク積層体
32A 一端部(ディスク積層体)
32B 他端部(ディスク積層体)
40 ローラ加圧装置
80 ダミープレート(加圧分散部材)
81 上面部(ダミープレート)
82 開口部(ダミープレート)
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着膜を用いてシート材をベース部材に貼り合せるシート材のベース基板への貼合方法及び、ディスク基板上にカバーシートと粘着膜とより透明なカバー層が構成された光ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に対応した光ディスクでは、例えば、特開平11−31337号公報に開示されているように、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある。
【0003】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上にポリカーボネイト等の透明樹脂からなるシート材(カバーシート)を粘着膜により貼り合せ、このカバーシート及び粘着膜によりディスク基板上に透明なカバー層を構成する。このような光ディスクの製造時には、例えば、予めカバーシートの片側の面に透明な粘着膜を形成したものものを用意しておき、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されていない。このため、光ディスクの製造ラインでは、加圧装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、粘着膜全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合されてカバーシートがディスク基板に貼り合される。
【0004】
上記のようなディスク積層体を加圧する加圧装置としては、例えば、支持テーブル上に載置されたディスク積層体の表面部に円筒状の加圧ローラを所定の圧接力(荷重)で圧接させつつ、この加圧ローラをディスク径方向に沿ってディスク積層体の一端部から他端部へ回転移動(転動)させるものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような加圧装置では、ディスク積層体上を転動する加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力を一定の大きさに保ちつつ、この加圧ローラによりディスク積層体を加圧した場合、ローラ転動方向に沿ってディスク積層体の幅が変化することから、このディスク積層体の幅の変化に応じて加圧ローラからディスク積層体へ作用する圧力も変化する。従って、加圧ローラによる加圧完了後にディスク積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って変化する。このようにディスク積層体に不均一な歪みが残留すると、粘着膜が硬化するに従って内部応力が生じ、この内部応力の影響によりカバーシートに径方向(ローラ移動方向)に沿った反り等の変形が生じ易くなる。
【0006】
また、上記のような加圧装置では、加圧ローラのローラ面とディスク積層体のローラ移動方向に沿った一端部及び他端部付近との接触面積が極めて小さいものになる。このことから、ディスク積層体の一端部及び他端部付近の粘着膜は、加圧ローラから大きな圧力(圧縮応力及び剪断応力)を受ける。また粘着膜は、通常、硬化前には高粘度の粘性物質としての性質を有している。このため、ディスク積層体の一端部及び他端部付近では、加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力を十分小さくしないと、加圧ローラからの圧縮応力により粘着膜がディスク基板とカバーシートとの間から外周側にはみ出す現象が容易に生じる。これにより、光ディスクの一端部付近及び他端部付近の厚さが薄くなって、光ディスクの厚さ方向に沿った寸法精度が低下したり、このディスク基板とカバーシートとの間からはみ出した粘着膜が加圧ローラに付着して、光ディスクのカバーシート側の面(光入射面)に汚れを付着させる原因となる。
【0007】
そこで、上記のような加圧装置には、加圧ローラとディスク積層体との圧力が変化することを防止するため、加圧ローラのローラ面の圧力を検知する圧力センサが設けられ、この圧力センサからの検知信号に基づいて加圧ローラのディスク積層体に対する圧接力をフィードバック制御するもの(例えば、特開平4−182949号公報参照)がある。しかし、このような加圧装置では、圧力センサが必要となると共に、この圧力センサからの信号により加圧ローラの圧接力を制御するための制御部の構造及びそのプログラムが複雑なり、装置コストが高いものになってしまう。
【0008】
本発明の一の目的は、上記事実を考慮し、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラからシート材へ作用する圧力をローラ移動方向に沿って精度良く適正値に制御できるシート材のベース基板への貼合方法を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的は、上記事実を考慮し、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラにより加圧された積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさを均一化して、カバーシートに変形が生じることを効果的に防止できる光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法は、ベース基板上に粘着膜を介して薄膜状のシート材を重ね合せて積層体を構成し、該積層体における前記シート材を加圧し、前記粘着膜を介して前記シート材を前記ベース基板に貼り合せるシート材のベース基板への貼合方法であって、円筒状の加圧ローラのローラ面を前記積層体における前記シート材に圧接させつつ、該加圧ローラを前記シート材の表面部上における一端部から他端部へ転動させて前記シート材を前記ベース基板側へ加圧すると共に、前記加圧ローラの前記シート材の表面部上における少なくとも一端部付近及び他端部付近との圧接時に、前記加圧ローラのローラ面の一部を前記積層体の外周側に配置された加圧分散部材に圧接させることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法では、加圧ローラのローラ面を積層体におけるシート材に圧接させつつ、この加圧ローラをシート材上の一端部から他端部へ転動させてシート材をベース基板側へ加圧すると共に、加圧ローラの前記シート材上の少なくとも一端部付近及び他端部付近との圧接時に、加圧ローラのローラ面の一部を積層体の外周側に配置された加圧分散部材に圧接させることにより、加圧ローラのローラ面が積層体の一端部付近及び他端部付近にそれぞれ圧接する時に、加圧ローラのローラ面からの圧接力を積層体及び加圧分散部材の双方に分散できるので、加圧ローラから積層体に作用する応力が積層体の一端部付近及び他端部付近で増大することを防止でき、かつ積層体に作用する応力の大きさをローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0012】
この結果、加圧ローラからの応力により積層体における一端部付近及び他端部付近の粘着膜が外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラにより積層体を加圧した後に粘着膜に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0013】
また、本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面に情報記録層が設けられたベース基板であるディスク基板と、前記ディスク基板における前記情報記録層側の面に粘着膜により貼り合され、該粘着膜と共に前記情報記録層を覆う透明なカバー層を構成するシート材であるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記ディスク基板上に前記粘着膜を介して前記カバーシートを積み重ねて積層体を構成した後、請求項1又は2記載のシート材のベース基板への貼合方法を用い、前記積層体における前記カバーシートを前記ディスク基板側へ加圧して、前記粘着膜を介して前記カバーシートを前記ディスク基板に貼り合せる貼合工程を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、ディスク基板上に粘着膜を介してカバーシートを積み重ねて積層体を構成した後、請求項1又は2記載のシート材のベース基板への貼合方法を用い、積層体における前記カバーシートを前記ディスク基板側へ加圧し、前記粘着膜を介して前記カバーシートを前記ディスク基板に貼り合せることにより、上記したように加圧ローラからの圧縮応力により積層体における一端部付近及び他端部の粘着膜が外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラにより積層体を加圧した後に粘着膜に残留する歪みの大きさも積層体のローラ移動方向に沿って均一化できるので、粘着膜のはみ出しを原因とする光ディスクの厚さ方向に沿った寸法精度の低下及び光ディスクの光入射面に汚れを防止でき、かつ粘着膜の硬化後にカバーシートに粘着膜の歪みの影響により変形が生じることを効果的に抑制でき、カバーシートの変形に起因する光ディスクの寸法精度の低下を効果的に抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、記録再生装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0017】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24及び粘着膜26により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0018】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。カバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明樹脂製の薄膜フィルムからなる。粘着膜26は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤により粘着膜26が望ましい。またカバーシート24及び粘着膜26の厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、例えば、カバーシート24の厚さが80μmに設定され、粘着膜26の厚さが20μmに設定される。
【0019】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール28が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール28と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール28の内径よりも大きくしても良い。
【0020】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、モールド成形等により成形されたディスク基板12の片側の面に記録層16を形成した後、カバーシート24をディスク基板12に貼り合せる貼合工程が行われる。この貼合工程では、先ず、図2(A)に示されるように、ディスク基板12上に粘着膜26を介してカバーシート24を積み重ね、ディスク積層体32(図2(B)参照)を構成する。このディスク積層体32では、未だ粘着膜26全体がディスク基板12の記録面14に均一に密着しておらず、粘着膜26を介してカバーシート24がディスク基板12へ十分な接合力で接合されていない。このため、貼合工程では、ディスク積層体32を構成した後、このディスク積層体32を真空下に保持しつつ、図3及び図4に示されるローラ加圧装置40によりディスク積層体32におけるカバーシート24をディスク基板12側へ加圧して、粘着膜26全体をディスク基板12の記録面14に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体32におけるカバーシート24がディスク基板12へ十分な接合力で貼り合される。この後、光ディスクの製造ラインでは、ディスク積層体32における粘着膜26の硬化等を行うことで、製品素材としての光ディスクを製造する。
【0021】
次に、ディスク積層体32の加圧方法に用いられるローラ加圧装置40について説明する。図3に示されるように、ローラ加圧装置には、支持テーブル42が設けられると共に、この支持テーブル42の上側に円筒状の加圧ローラ54が回転可能に支持されている。支持テーブル42の上面は、ディスク積層体32が載置される載置面44とされており、載置面44の中央部には円柱状のセンターピン46が突出している。このセンターピン46は、ディスク基板12の厚さよりも短くなっている。ディスク積層体32は、そのセンターホール28内へセンターピン46が挿入されるように載置面44上へ載置され、載置面44の中央部へ位置決めされる。
【0022】
図3に示されるように、支持テーブル42内には、載置面44の下側に周方向へ延在する負圧室48が設けられており、この負圧室48には配管50を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が接続されている。また支持テーブル42には、載置面44と負圧室48の上面部との間を貫通する複数の吸引穴52が周方向及び径方向に沿って一定ピッチで穿設されている。ローラ加圧装置40では、載置面44上へディスク積層体32が載置されると、真空発生装置を作動させて負圧室48内を減圧し、吸引穴52を通して載置面44上のディスク積層体32へ負圧を作用させる。これにより、ディスク積層体32の下面(レーベル面)全体が載置面44上へ吸着される。
【0023】
図3に示されるように、加圧ローラ54は、そのローラ軸方向(矢印W方向)に沿ってディスク積層体32よりも幅広とされ、その両端面にはそれぞれ軸心SRに沿って突出するローラ軸58が設けられている。また加圧ローラ54のローラ面56に沿った表層部はシリコンゴム等の弾性材料により形成されている。具体的には、例えば、ディスク基板12の厚さが1.1mm、粘着膜26を含むカバーシート24のの厚さが0.1mmの場合、ローラ面56の硬度は30°〜60°程度が好ましく、加圧ローラ54のローラ径は20mm〜60mm程度が好ましい。ここで、加圧ローラ54は、下方へ向って開いた略コ字状に形成されたローラフレーム60により支持されており、このローラフレーム60の両端部には、それぞれ加圧ローラ54における一対のローラ軸58を軸支する軸受62が設けられている。加圧ローラ54は、ローラフレーム60によりローラ軸SRが載置面44と平行になるように支持されている。
【0024】
図3に示されるように、ローラフレーム60には、その上面部に、直流サーボシリンダ、油圧サーボシリンダ等からなる昇降シリンダ66の駆動ロッド68が連結されている。またローラフレーム60は、支持テーブル42に対して固定された装置のメインフレーム(図示省略)によりディスク厚方向に沿って昇降可能に支持されている。昇降シリンダ66の本体部67はメインフレーム側に固定されている。これにより、昇降シリンダ66が駆動ロッド68をディスク厚方向に沿って伸縮させると、ローラフレーム60が駆動ロッド68の伸縮に対応して昇降する。
【0025】
図3に示されるように、ローラ加圧装置40には、昇降シリンダ66に接続されたシリンダドライバ70が設けられ、このシリンダドライバ70は装置全体を制御するためのコントローラ74に接続されている。シリンダドライバ70は、コントローラ74からのシリンダ制御信号に従って昇降シリンダ66を制御する。これにより、昇降シリンダ66の駆動ロッド68がシリンダ制御信号に対応する位置へ位置調整されると共に、昇降シリンダ66が発生する駆動力(押圧力)がシリンダ制御信号に対応する大きさに制御される。
【0026】
ローラ加圧装置40には、ローラフレーム60及び加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向と平行なローラ移動方向(図2の矢印M方向)に沿って直線的に移動させるローラ移動機構(図示省略)が設けられている。ローラ移動機構はサーボモータ77を駆動源としており、このサーボモータ77はモータドライバ76(図3参照)を介してコントローラ74に接続されている。モータドライバ76は、コントローラ74からのモータ制御信号に従ってサーボモータ77に駆動信号及び駆動パルスを出力する。これにより、サーボモータが駆動信号に対応する方向へ駆動パルスの入力数に比例する回転量だけ回転する。このサーボモータ77からの駆動力によりローラ移動機構は、ローラ移動方向に沿って加圧ローラ54を位置調整すると共に、加圧ローラ54の移動速度を制御する。
【0027】
図4及び図5に示されるように、支持テーブル42の載置面44上には、センターピン46の外周側にダミープレート80が設置されている。ダミープレート80には、センターピン46を中心とする円形の開口部82が形成されており、この開口部82の半径は、ディスク積層体32の半径よりも僅かに(例えば、0.2mm程度)大きくなっている。またダミープレート80の厚さは、ディスク積層体32の厚さよりも僅かに薄くなっており、例えば、ディスク積層体32の厚さが1.2mmである場合には、1.15mm〜1.20mmが好ましい。これにより、載置面44上に載置されたディスク積層体32はダミープレート80の開口部82内に保持される。このとき、ディスク積層体32の外周端とダミープレート80の内周端との間には、センターピン46を中心とする径方向に沿って幅一定の空隙部84が環状に形成される。この空隙部84の幅は、加圧ローラ54の圧接時にディスク積層体32とダミープレート80とが当接しないことを条件に、可能な限り狭いことが望ましい。
【0028】
ダミープレート80は、その厚さが非加圧状態ではディスク積層体32の厚さと略等しく、厚さ方向に沿った剛性がディスク積層体32の剛性と略等しくなるように形成されている。但し、ディスク積層体32では、硬化前の粘着膜26の剛性がディスク基板12及びカバーシート24と比較して著しく低いものになっている。このことから、ダミープレート80は、その剛性が硬化前の粘着膜26の剛性と略等しくなるか、僅かに高くなるように形成されている。またダミープレート80は、図5(A)に示されるように外周端に沿った外郭形状が略正方形とされており、その一辺の長さが加圧ローラ54のローラ面56のローラ軸方向に沿った長さよりも若干短くされている。
【0029】
(実施形態の作用)
上記のように構成されたローラ加圧装置40を用いてディスク積層体32を加圧し、このディスク積層体32におけるカバーシート24を粘着膜26によりディスク基板12に貼り合せる方法について説明する。
【0030】
コントローラ74は、加圧ローラ54によりディスク積層体32への加圧を開始する前には、図2(B)に示されるように、ローラ移動機構により加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向外側の待機位置に保持すると共に、昇降シリンダ66によりディスク厚方向に沿って加圧ローラ54を載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さ及びダミープレート80の厚さよりも僅かに狭くなるように位置調整する。
【0031】
コントローラ74は、支持テーブル42の載置面44上にディスク積層体32が載置され、負圧室48内への負圧の供給が完了すると、ローラ移動機構を作動させて、ローラフレーム60及び加圧ローラ54を待機位置からローラ移動方向に沿ってダミープレート80上へ移動させる。このとき、加圧ローラ54は、載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも狭くなっていることから、ダミープレート80上へ乗り上げてローラ面56によりダミープレート80の上面部81に圧接する。
【0032】
この後、コントローラ74は、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をダミープレート80又はダミープレート80及びディスク積層体32に所定の圧接力で圧接させつつ、ローラ移動機構により加圧ローラ54をローラ移動方向に沿って移動させる。このとき、コントローラ74は、加圧ローラ54のダミープレート80に対する圧接力が予め設定された目標値P(図5(B)参照)になるように昇降シリンダ66を制御する。コントローラ74は、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってダミープレート80上から離脱するまで、加圧ローラ54のダミープレート80及びディスク積層体32に対する圧接力を目標値Pに維持する。
【0033】
ここで、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ダミープレート80又はダミープレート80及びディスク積層体32との摩擦力によりローラ移動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。なお、カバーシート24が皺等の発生しやすいものである場合には、加圧ローラ54にモータを連結して、このモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させても良い。この場合、加圧ローラ54を従動回転させるよりも、加圧ローラ54からカバーシート24に作用する摩擦力が抑制される。
【0034】
加圧ローラ54は、ローラ移動方向に沿って待機位置からディスク積層体32のローラ移動方向に沿った一端部32A(図5参照)上まで移動すると、ダミープレート80の上面部81及びディスク積層体32の上面部33双方に圧接する。このように加圧ローラ54がダミープレート80及びディスク積層体32の双方に圧接している時には、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、ダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和は、ローラ移動方向に沿った任意の位置で常に略一定とになる。具体的には、例えば、加圧ローラ54がローラ移動方向へ移動するに従って、ディスク積層体32との接触長が増加する場合には、この増加分と略等しい長さだけ加圧ローラ54のダミープレート80との接触長が減少することになる。
【0035】
加圧ローラ54は、ディスク積層体32上のローラ移動方向に沿った他端部32B上から更に一定距離、ローラ移動方向へ移動すると、ディスク積層体32上から離脱し、ダミープレート80にのみ圧接した後にダミープレート80上からも離脱する。コントローラ74は、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってダミープレート80上から離脱すると、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をダミープレート80及びディスク積層体32の上方へ上昇させた後、昇降シリンダ66及びローラ移動機構により加圧ローラ54を待機位置(図2(B)参照)に復帰させる。
【0036】
以上説明した本実施形態に係るカバーシート24のディスク基板12への貼合方法によれば、加圧ローラ54のローラ面56をディスク積層体32におけるカバーシート24に圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24上の一端部から他端部へ転動させてカバーシート24をディスク基板12側へ加圧すると共に、加圧ローラ54のカバーシート24との圧接時に、加圧ローラ54のローラ面56の一部をディスク積層体32の外周側に配置されたダミープレート80に圧接させることにより、加圧ローラ54のローラ面56がディスク積層体32の上面部81におけるローラ移動方向に沿った一端部32A付近及び他端部32B付近にそれぞれ圧接する時に、加圧ローラ54のローラ面56からの圧接力をディスク積層体32及びダミープレート80の双方に分散できるので、加圧ローラ54の圧接力を一定値(=P)に維持しても、加圧ローラ54からディスク積層体32に作用する応力(圧縮応力及び剪断応力)がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近で増大することを防止できる。
【0037】
また、本実施形態に係るカバーシート24のディスク基板12への貼合方法にでは、加圧ローラ54がローラ移動方向に沿ってディスク積層体32上における一端部32Aから他端部32Bまで移動する際に、加圧ローラ54のローラ面56のカバーシート24とのローラ軸方向に沿った接触長と、加圧ローラ54のローラ面56のダミープレート80とのローラ軸方向に沿った接触長との和がローラ移動方向に沿った任意の位置で略一定となることにより、加圧ローラ54の圧接力を一定値(=P)に維持しても、加圧ローラ54からディスク積層体32に作用する応力の大きさをローラ移動方向に沿って均一化できる。
【0038】
この結果、加圧ローラ54からの応力によりディスク積層体32における一端部32A付近及び他端部32B付近の粘着膜26がディスク基板12とカバーシート24との間から外周側にはみ出すことを効果的に防止でき、かつ加圧ローラ54によりディスク積層体32を加圧した後に粘着膜26に残留する歪みの大きさもローラ移動方向に沿って均一化できるので、粘着膜26のはみ出しを原因とする光ディスク10の厚さ方向に沿った寸法精度の低下及び光ディスク10の光入射面に汚れを防止でき、かつ粘着膜26の硬化後にカバーシート24に粘着膜26の歪みの影響により変形が生じることを効果的に抑制でき、カバーシート24の変形に起因する光ディスク10の寸法精度の低下を効果的に抑制できる。
【0039】
なお、本実施形態では、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧接時には加圧ローラ54が常にダミープレート80にも圧接するようにしたが、加圧ローラ54がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近に圧接する時にのみ加圧ローラ54がダミープレート80に圧接するように、ダミープレート80をディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近の外周側にのみ設置するようにして良い。この場合には、加圧ローラ54からの応力によりディスク積層体32における一端部32A付近及び他端部32B付近の粘着膜26がディスク基板12とカバーシート24との間から外周側にはみ出すことを効果的に防止できるという効果のみが得られる。
【0040】
また、ダミープレート80をディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近の外周側にのみ設置するようにした場合には、加圧ローラ54がディスク積層体32の一端部32A付近及び他端部32B付近に圧接する時に、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧接力をロードセル等のセンサにより検出し、このセンサからの信号に基づいて加圧ローラ54からディスク積層体32へ作用する応力が適正値になるようにフィードバック制御しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、ダミープレート80の厚さ及び剛性をそれぞれディスク積層体32と略等しくしたが、例えば、ダミープレート80の厚さをディスク積層体32の厚さよりも僅かに薄くすると共に、ダミープレート80の剛性をディスク積層体32の剛性よりも高くするか、ダミープレート80の厚さをディスク積層体32の厚さよりも僅かに厚くすると共に、ダミープレート80の剛性をディスク積層体32の剛性よりも低くすることによっても、本実施形態の場合と同様の作用効果を得られる。
【0042】
また、ローラ加圧装置40によりディスク積層体32を加圧してカバーシート26をディスク基板12に貼り合せる際に、加圧ローラ54による加圧時に、カバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気が十分抜けるようすれば、ディスク積層体32を必ずしも真空下に保持する必要はない。
【0043】
次に、加圧ローラ54による加圧時にカバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気を効果的に抜く方法の一例を具体的に説明する。先ず、図6(A)に示されるように、カバーシート24の他端部を吸着等により支持テーブル42の上方へ支持しつつ、カバーシート24の一端部をディスク基板12の一端部に一致するように載置する。
【0044】
次いで、図6(B)及び(C)に示されるように、待機位置にあった加圧ローラ54をディスク基板12上にカバーシート24が載置されたディスク積層体32の一端部上へ移動させ、この加圧ローラ54をディスク積層体32の上面部33に圧接させつつ、ディスク積層体32上の一端部から他端部へ向って転動させる。このとき、加圧ローラ54の移動に従ってカバーシート24の他端部をディスク基板12側へ下降させて行く。これにより、カバーシート24の粘着膜26とディスク基板12との間の空気を抜きつつ、カバーシート24をディスク基板12に密着状態として貼り合すことができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るシート材のベース基板への貼合方法によれば、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラからシート材へ作用する圧力をローラ移動方向に沿って精度良く適正値に制御できる。
【0046】
また本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、複雑な制御を行うことなく、加圧ローラにより加圧された積層体の粘着膜に残留する歪みの大きさを均一化して、カバーシートに変形が生じることを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びダミープレートをローラ軸方向から見た側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びローラ加圧装置を軸直角方向から見た正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るディスク積層体及びローラ加圧装置の斜視図である。
【図5】図4に示されるディスク積層体及びローラ加圧装置の平面図及び側面断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る加圧ローラによる加圧時にカバーシートとディスク基板との間の空気を抜く方法の一例を説明するためのディスク積層体及びローラ加圧装置の側面図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板(ベース基板)
24 カバーシート(シート部材)
26 粘着膜
32 ディスク積層体
32A 一端部(ディスク積層体)
32B 他端部(ディスク積層体)
40 ローラ加圧装置
80 ダミープレート(加圧分散部材)
81 上面部(ダミープレート)
82 開口部(ダミープレート)
Claims (3)
- ベース基板上に粘着膜を介して薄膜状のシート材を重ね合せて積層体を構成し、該積層体における前記シート材を加圧し、前記粘着膜を介して前記シート材を前記ベース基板に貼り合せるシート材のベース基板への貼合方法であって、
円筒状の加圧ローラのローラ面を前記積層体における前記シート材に圧接させつつ、該加圧ローラを前記シート材の表面部上における一端部から他端部へ転動させて前記シート材を前記ベース基板側へ加圧すると共に、
前記加圧ローラの前記シート材の表面部上における少なくとも一端部付近及び他端部付近との圧接時に、前記加圧ローラのローラ面の一部を前記積層体の外周側に配置された加圧分散部材に圧接させることを特徴とするシート材のベース基板への貼合方法。 - 前記加圧ローラが所定のローラ移動方向に沿って前記積層体上における一端部から他端部まで転動する際に、
前記加圧ローラのローラ面の前記シート部材とのローラ軸方向に沿った接触長と、前記加圧ローラのローラ面の前記加圧分散部材との前記ローラ軸方向に沿った接触長との和を、前記ローラ移動方向に沿った任意の位置で略一定とすることを特徴とする請求項1記載のシート材のベース基板への貼合方法。 - 少なくとも片側の面に情報記録層が設けられたベース基板であるディスク基板と、前記ディスク基板における前記情報記録層側の面に粘着膜により貼り合され、該粘着膜と共に前記情報記録層を覆う透明なカバー層を構成するシート材であるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、
前記ディスク基板上に前記粘着膜を介して前記カバーシートを積み重ねて積層体を構成した後、請求項1又は2記載のシート材のベース基板への貼合方法を用い、前記積層体における前記カバーシートを前記ディスク基板側へ加圧して、前記粘着膜を介して前記カバーシートを前記ディスク基板に貼り合せる貼合工程を含むことを特徴とする光ディスクの製造方法。
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- 2002-07-16 JP JP2002206428A patent/JP2004047036A/ja active Pending
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