JP2004103141A - 光ディスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カバーシート全体をディスク基板に確実に貼り合わし、かつ貼合完了後におけるカバーシートとディスク基板との間のエアーの残留を防止する。
【解決手段】ローラ貼合装置では、初期待機位置にある加圧ローラ54をディスク積層体32上へ移動させ、加圧ローラ54をカバーシート24に圧縮荷重値L1で圧接させつつ、加圧ローラ54をカバーシート24の一端部から他端部へ向う往動方向M1へ転動させる。これにより、カバーシート24とディスク基板12の記録面14との間に介在するエアーを排出させる。次いで、ローラ貼合装置は、加圧ローラ54の移動方向を反転させ、加圧ローラ54をカバーシート24に圧縮荷重値L1よりも大きい圧縮荷重値L2で圧接させつつ、加圧ローラ54をカバーシート24の他端部から一端部へ向う復動方向M2へ転動させる。これにより、粘着膜28を介してカバーシート24がディスク基板12の記録面14に規定の接合力で貼り合わされる。
【選択図】 図4
【解決手段】ローラ貼合装置では、初期待機位置にある加圧ローラ54をディスク積層体32上へ移動させ、加圧ローラ54をカバーシート24に圧縮荷重値L1で圧接させつつ、加圧ローラ54をカバーシート24の一端部から他端部へ向う往動方向M1へ転動させる。これにより、カバーシート24とディスク基板12の記録面14との間に介在するエアーを排出させる。次いで、ローラ貼合装置は、加圧ローラ54の移動方向を反転させ、加圧ローラ54をカバーシート24に圧縮荷重値L1よりも大きい圧縮荷重値L2で圧接させつつ、加圧ローラ54をカバーシート24の他端部から一端部へ向う復動方向M2へ転動させる。これにより、粘着膜28を介してカバーシート24がディスク基板12の記録面14に規定の接合力で貼り合わされる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク基板の記録面上に薄膜状のカバーシートを貼り合わせて光ディスクを製造する光ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームスポットがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に適した従来の光ディスクでは、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−31337号公報(第9−10頁、図4)
【0004】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上に樹脂フィルムを基材とする薄膜状のカバーシートを貼り合せ、このカバーシートによりディスク基板上に透明なカバー層を形成して光ディスクを製造する。ここで、カバーシートは、樹脂フィルム及びこの樹脂フィルムの片側の面に形成された粘着膜から構成されている。このカバーシートをディスク基板に貼り合わせる際には、例えば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されない。このため、光ディスクの製造ラインでは、加圧貼合装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、カバーシート全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合わされて、製品素材として光ディスクが製造される。
【0005】
上記のような貼合装置では、例えば、加圧ローラをディスク積層体におけるカバーシートに圧接させつつ、この加圧ローラをカバーシートの一端部から他端部へ向って転動させることで、カバーシートとディスク基板の記録面との間のエアーを排出させると共に、カバーシートの粘着膜をディスク基板の記録面に所定の圧力で圧接させる。ここで、加圧ローラは、通常、そのローラ面に沿った表層部が弾性材料により形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本出願の発明者等が行った実験によると、上記のような貼合装置では、カバーシートとディスク基板との間のエアーを排出させる時と、カバーシートをディスク基板に貼り合わせる時とでは、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重の適正値がそれぞれ異なることが判明した。すなわち、カバーシートをディスク基板に貼り合わせる時には、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重を十分に大きくしなければ、加圧完了後に粘着膜と記録面との間に生じる接合力を十分に大きくできず、カバーシートとディスク基板の貼合状態が不安定になるおそれがある。しかし、粘着膜と記録面との間の接合力を十分に大きくするため、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重を十分に大きくした場合には、粘着膜と記録面との間のエアーが排出される前にカバーシートが加圧ローラから大きな圧縮荷重を受け、粘着膜と記録面との間にエアーが残留したままでカバーシートがディスク基板に貼り合わされる現象が生じ易くなる。このような現象が生じると、カバーシートとディスク基板との密着性がエアーの残留部分で低下して光ディスクの品質不良の原因となる。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、カバーシート全体をディスク基板に確実に貼り合わすことができ、かつ貼合完了後におけるカバーシートとディスク基板との間のエアーの残留を防止できる光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに円筒状の第1加圧ローラを所定の一次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第1加圧ローラを前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシートと記録面との間からエアーを排出する排気処理を行った後に、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに円筒状の第2加圧ローラを前記一次圧縮荷重値よりも大きい二次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第2加圧ローラを前記カバーシート上で転動させ、粘着膜を介してカバーシート全体を記録面に貼り合わせる加圧処理を行う貼合工程を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ディスクの製造方法では、先ず、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに第1加圧ローラを一次圧縮荷重値で圧接させつつ、この第1加圧ローラをカバーシートの表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシートと記録面との間からエアーを排出する排気処理を行うことにより、一次圧縮荷重値でカバーシートに圧接する第1加圧ローラのカバーシートの一端部から他端部への転動に従ってカバーシートと記録面との間に介在するエアーを確実に一端部側から他端部側へ移動させることができるので、第1加圧ローラがカバーシート上の他端部に達した時点で、カバーシートと記録面との間に実質的にエアーを残留させることなく、粘着膜を介してカバーシート全体をディスク基板の記録面に密着させることができる。
【0010】
すなわち、貼合工程における排気処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシートとディスク基板との間からのエアーの排出とカバーシートとディスク基板との貼り合せを同時に行う場合と比較し、カバーシートの粘着膜とディスク基板の記録面との接合力の増大させるために、加圧ローラの圧縮荷重として大きな値を設定する必要がないことから、第1加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重値(一次圧縮荷重値)をカバーシートと記録面との間からエアーを確実に排出するために適した大きさに設定できるので、カバーシート上を転動する第1加圧ローラによりカバーシートとディスク基板との間からエアーを確実に排出できるようになる。
【0011】
次いで、上記のような排気処理を行った後に、ディスク基板の記録面上に密着されたカバーシートに第2加圧ローラを一次圧縮荷重値よりも大きい二次圧縮荷重値で圧接させつつ、この第2加圧ローラをカバーシート上で転動させ、粘着膜を介してカバーシート全体をディスク基板の記録面に貼り合わせる加圧処理を行うことにより、第2加圧ローラからの圧縮荷重を受けているのカバーシートの被加圧領域とディスク基板の記録面との面間に二次圧縮荷重値に対応する圧力(接触圧)を発生させ、被加圧領域における粘着膜と記録面との接合力を十分に増大できるので、第2加圧ローラからの圧縮荷重がカバーシート全体に加えられるように、第2加圧ローラをカバーシート上で転動させれば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に安定的に貼り合わすことができる。
【0012】
すなわち、貼合工程における加圧処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシートとディスク基板との間からのエアーの排出とカバーシートとディスク基板との貼り合せを同時に行う場合と比較し、カバーシートの粘着膜とディスク基板の記録面との間からのエアーの排出を確実に行うために、加圧ローラの圧縮荷重値を制限する必要がなくなることから、第2加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重値(二次圧縮荷重値)を十分に大きな値に設定できるので、カバーシートの第2加圧ローラからの圧縮荷重を受けている領域(被加圧領域)と記録面との面間の圧力を十分に大きくし、加圧後のカバーシートの粘着膜と記録面との接合力を十分に増大できるようになる。
【0013】
ここで、排気処理を行うための第1加圧ローラは、加圧処理を行うための第2加圧ローラとはローラ径、ローラ面の硬度等が互いに異なるものを用いても良く、また排気処理及び加圧処理を同一の加圧ローラを用いて行うようにしても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、ディスク駆動装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0016】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0017】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。またカバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂フィルム26及び、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28からなる。粘着膜28は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤が望ましい。またカバーシート24における樹脂フィルム26及び粘着膜28のそれぞれの厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、樹脂フィルム26の厚さが80μmに設定され、粘着膜28の厚さが20μmに設定される。
【0018】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール29が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール29と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール29の内径よりも大くしても良い。
【0019】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、モールド成形等により成形されたディスク基板12に記録層16を形成した後、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12に貼り合せる貼合工程が行われる。この貼合工程では、先ず、ディスク基板12の記録面14上にカバーシート24を重ね合わせつつ、カバーシート24の粘着膜28と記録面14との間に介在するエアーを排出してカバーシート24の粘着膜28を記録面14に密着させる排気処理が行われた後、次いで、ディスク基板12の記録面14に密着したカバーシート24を加圧ローラ54(図2参照)により加圧し、粘着膜28を介してカバーシート24全体を記録面14に貼り合わせる加圧処理が行われる。
【0020】
次に、上記のようなカバーシート24の貼合工程に用いられるローラ貼合装置40について説明する。図2に示されるように、ローラ貼合装置40には、支持テーブル42が設けられると共に、この支持テーブル42の上側に円筒状の加圧ローラ54が回転可能に支持されている。支持テーブル42の上面は、ディスク基板12上にカバーシート24が重ね合わされたディスク積層体32が載置される載置面44とされており、載置面44の中央部には円柱状のセンターピン46が突出している。このセンターピン46は、ディスク基板12の厚さよりも短くなっているか、伸縮可能とされて突出長が調整可能になっている。ディスク基板12は、そのセンターホール29内へセンターピン46が挿入されるように載置面44上へ載置され、センターピン46により載置面44の中央部へ位置決めされる。
【0021】
図2に示されるように、支持テーブル42内には、載置面44の下側に周方向へ延在する負圧室48が設けられており、この負圧室48には配管50を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が接続されている。また支持テーブル42には、載置面44と負圧室48の上面部との間を貫通する複数の吸引穴52が周方向及び径方向に沿って一定ピッチで穿設されている。ローラ貼合装置40では、載置面44上へディスク積層体32が載置されると、真空発生装置を作動させて負圧室48内を減圧し、吸引穴52を通して載置面44上のディスク積層体32の下面へ負圧を作用させる。これにより、ディスク積層体32の下面が載置面44上へ吸着される。
【0022】
図3に示されるように、加圧ローラ54は、そのローラ軸方向(矢印W方向)に沿ってディスク積層体32よりも幅広とされている。加圧ローラ54の両端面にはそれぞれ軸心SRに沿って突出するローラ軸58が設けられている。また加圧ローラ54のローラ面56に沿った表層部はシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されている。ここで、加圧ローラ54は、図BBに示されるように、下方へ開いた略コ字状に形成されたローラフレーム60により支持されており、このローラフレーム60の両端部には、それぞれ加圧ローラ54におけるローラ軸58を軸支する軸受62が設けられている。加圧ローラ54は、ローラフレーム60によりローラ軸SRが載置面44と平行になるように支持されている。またローラフレーム60には、一対のローラ軸58に作用するディスク厚方向(矢印T方向)に沿った圧縮荷重の大きさ(圧縮荷重値)をそれぞれ検出するロードセル等の一対の荷重センサ64が設けられている。
【0023】
図2に示されるように、ローラフレーム60には、その上面部に、直流サーボシリンダ、油圧サーボシリンダ等からなる昇降シリンダ66の駆動ロッド68が連結されている。またローラフレーム60は、支持テーブル42に対して固定された装置のメインフレーム(図示省略)によりディスク厚方向に沿って昇降可能に支持され、昇降シリンダ66の本体部67はメインフレーム側に連結固定されている。これにより、昇降シリンダ66が駆動ロッド68をディスク厚方向に沿って伸縮させると、ローラフレーム60が駆動ロッド68の伸縮に対応して昇降する。
【0024】
ローラ貼合装置40には、昇降シリンダ66に接続されたシリンダドライバ70が設けられると共に、荷重センサ64に接続された増幅器72が設けられており、これらのシリンダドライバ70及び増幅器72は、それぞれ装置全体を制御するためのコントローラ74に接続されている。シリンダドライバ70は、コントローラ74からのシリンダ制御信号に従って昇降シリンダ66を制御する。これにより、昇降シリンダ66の駆動ロッド68がシリンダ制御信号に対応する位置へ位置調整されると共に、昇降シリンダ66が発生する駆動力(押圧力)がシリンダ制御信号に対応する大きさに制御される。また荷重センサ64から出力された検出信号は、増幅器72により所定の信号形式(例えば、4mA〜20mA)に変換されてコントローラ74へ出力される。
【0025】
ローラ貼合装置40には、ローラフレーム60及び加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向と平行なローラ転動方向(図3の矢印M方向)に沿って直線的に移動させるローラ移動機構(図示省略)が設けられている。このローラ移動機構はサーボモータ77(図2参照)を駆動源としており、このサーボモータ77はモータドライバ76を介してコントローラ74に接続されている。モータドライバ76は、コントローラ74からのモータ制御信号に従ってサーボモータ77に駆動信号及び駆動パルスを出力する。これにより、サーボモータ77が駆動信号に対応する方向へ駆動パルスの入力数に比例する回転量だけ回転する。このサーボモータ77からの駆動力によりローラ駆動機構は、ローラ転動方向に沿って加圧ローラ54を移動及び位置調整すると共に、加圧ローラ54の移動速度を制御する。
【0026】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたローラ貼合装置40を用いてカバーシート24をディスク基板12に貼り合わせて光ディスク10を製造する貼合工程について説明する。
【0027】
ローラ貼合装置40では、先ず、図4(A)に示されるように、カバーシート24の他端部側を吸着等により支持テーブル42の上方へ支持しつつ、カバーシート24の一端部をディスク基板12の一端部と一致するようにディスク基板上に重ね合わす。このとき、カバーシート24とディスク基板12とがなす角度θは、3°〜10°程度になるようにカバーシート24の傾きが調整される。このとき、ディスク基板12は、吸引穴52から負圧の作用により支持テーブル42の載置面44上に吸着されている。
【0028】
カバーシート24の一端部がディスク基板12上に重ね合わされると、ローラ貼合装置40のコントローラ74は、図4(B)で実線により示されるように、ローラ駆動機構により加圧ローラ54をローラ転動方向に沿ってディスク積層体32の外側の初期待機位置に保持すると共に、昇降シリンダ66によりディスク厚方向に沿って加圧ローラ54を載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも僅かに狭くなるように位置調整する。
【0029】
次いで、コントローラ74は、ローラ駆動機構を作動させて、初期待機位置にある加圧ローラ54をローラフレーム60と共にディスク積層体32上へ移動させる。このとき、加圧ローラ54は、載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも狭くなっていることから、ローラ面56をディスク積層体32の上面部33に圧接させる。これにより、荷重センサ64には、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧縮荷重と大きさが略等しい反力が作用し、荷重センサ64は、増幅器33を介して加圧ローラ54の圧接力に対応する検出信号をコントローラ74へ出力する。
【0030】
この後、コントローラ74は、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をディスク積層体32におけるカバーシート24に圧接させつつ、ローラ駆動機構により加圧ローラ54をカバーシート24の一端部から他端部へ向う往動方向(図4(B)の矢印M1方向)へ一定速度で移動させる。このとき、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ディスク積層体32との摩擦力により往動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。
【0031】
なお、カバーシート24が皺等の発生しやすいものである場合には、加圧ローラ54のローラ軸58にモータの出力軸を連結して、このモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させても良い。この場合、加圧ローラ54を従動回転させるよりも、加圧ローラ54からカバーシート24に作用する摩擦力が抑制される。
【0032】
ローラ貼合装置40では、加圧ローラ54がカバーシート24の一端部から往動方向へ移動(転動)するに従って、カバーシート24の他端部を徐々にディスク基板12側へ下降させて行く。これにより、これにより、カバーシート24を、その一端部から他端部へ向ってディスク基板12の記録面14に密着させつつ、このカバーシートの粘着膜28とディスク基板12との間に介在するエアーを外部へ排出できる。
【0033】
コントローラ76は、加圧ローラ54の往動方向へ転動時に、加圧ローラ54のローラ面56からカバーシート24に加えられる圧縮荷重が所定の圧縮荷重値L1になるように昇降シリンダ66を制御する。この圧縮荷重値L1は、カバーシート24の撓み方向に沿った変形抵抗に抗し、このカバーシート24を確実にディスク基板12の記録面14に密着させることができる範囲で可能な限り小さい値に設定することが好ましく、本実施形態では、圧縮荷重値L1が0.5N〜5Nの範囲内になるように設定されている。
【0034】
なお、圧縮荷重値L1は、必ずしも常に一定の値に保つ必要は無く、例えば、加圧ローラ54のカバーシート24との接触面積が小さいカバーシート24の両端部では小さくし、加圧ローラ54がカバーシート24との接触面積が増加する軸心SD側に位置する程、増加させるようにしても良い。
【0035】
貼合工程における排気処理は、往動方向へ転動する加圧ローラ54がカバーシート24の他端部上に達した後、ディスク積層体32上から離脱すると完了する。この排気工程が完了することにより、図4(D)に示されるように、カバーシート24とディスク基板12の記録面14との間にはエアーが残留しない状態となり、カバーシート24全体がディスク基板12の記録面14に密着する。
【0036】
排気処理の完了後、コントローラ76は、ローラ移動機構により加圧ローラ54をディスク積層体32の外周側の中間待機位置(図4(D)の二点鎖線で示される位置)に一旦停止させた後、貼合工程における加圧処理を開始する。このとき、コントローラ74は、ローラ駆動機構を作動させて、中間待機位置にある加圧ローラ54を往動方向とは反対の復動方向(図4(D)の矢印M2方向)へ移動させ、加圧ローラ54のローラ面56をディスク積層体32におけるカバーシート24の他端部に圧接させる。このとき、荷重センサ64は、排出処理時と同様に、増幅器33を介して加圧ローラ54の圧接力に対応する検出信号をコントローラ74へ出力する。
【0037】
コントローラ74は、加圧ローラ54がカバーシート24の他端部に圧接した後には、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をディスク積層体32におけるカバーシート24に所定の圧縮荷重値L2で圧接させつつ、ローラ駆動機構により加圧ローラ54を復動方向へ一定速度で移動させる。このとき、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ディスク積層体32との摩擦力により復動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。なお、このときも、加圧ローラ54をモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させるようにしても良い。
【0038】
ここで、圧縮荷重値L2は、排気処理時の圧縮荷重値L1よりも大きい値になっており、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているのカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間に生じる圧力値が所定の基準圧力値になるように設定されている。この基準圧力値は、粘着膜28の粘着特性に応じて予め設定されており、この基準圧力値の圧力をカバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との面間に生じさせることにより、粘着膜28と記録面14との接合力が規定の大きさまで増大し、カバーシート24がディスク基板12に安定的に貼り合わされた状態になる。具体的には、本実施形態では、加圧処理時の圧縮荷重値L2が、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間の圧力値が0.03N/mm2〜0.3N/mm2の範囲内になるように設定されている。
【0039】
なお、圧縮荷重値L2も、圧縮荷重値L1と同様に、必ずしも常に一定の値に保つ必要は無く、例えば、加圧ローラ54のカバーシート24との接触面積が小さいカバーシート24の両端部では小さくし、加圧ローラ54がカバーシート24との接触面積が増加する軸心SD側に位置する程、増加させるようにしても良い。
【0040】
貼合工程における加圧処理は、復動方向へ転動する加圧ローラ54がカバーシート24の一端部上に達した後、ディスク積層体32上から離脱すると完了する。この加圧処理が完了することにより、粘着膜28を介してカバーシート24全体がディスク基板12の記録面14に規定の接合力で貼り合わされ、製品素材としての光ディスク10の製造が完了する。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る光ディスクの製造方法によれば、先ず、ディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ54を圧縮荷重値L1で圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシート24と記録面14との間からエアーを排出する排気処理を行うことにより、圧縮荷重値L1でカバーシート24に圧接する加圧ローラ54のカバーシートの一端部から他端部への転動に従ってカバーシート24と記録面14との間に介在するエアーを確実に一端部側から他端部側へ移動させることができるので、加圧ローラ54がカバーシート24上の他端部に達した時点で、カバーシート24と記録面14との間に実質的にエアーを残留させることなく、粘着膜28を介してカバーシート24全体をディスク基板12の記録面14に密着させることができる。
【0042】
すなわち、貼合工程における排気処理によれば、1回の加圧ローラ54による加圧でカバーシート24とディスク基板12との間からのエアーの排出とカバーシート24とディスク基板12との貼り合わせを同時に行う従来の貼合工程と比較し、カバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との接合力の増大させるために、加圧ローラ54の圧縮荷重値として大きな値を設定する必要がないことから、加圧ローラ54のカバーシート24に対する圧縮荷重値L1をカバーシート24と記録面14との間からエアーを確実に排出するために適した大きさに設定できるので、カバーシート24上を転動する加圧ローラ54によりカバーシート24とディスク基板12との間からエアーを確実に排出できるようになる。
【0043】
次いで、上記のような排気処理を行った後に、ディスク基板12の記録面上に密着されたカバーシートに第2加圧ローラを圧縮荷重値L1よりも大きい圧縮荷重値L2で圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24の表面部における他端部から一端部へ転動させ、粘着膜28を介してカバーシート24全体をディスク基板12の記録面14に貼り合わせる加圧処理を行うことにより、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているのカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間に圧縮荷重値L2に対応する圧力(接触圧)を発生させ、カバーシート24の被加圧領域における粘着膜28と記録面14との接合力を規定の大きさまで確実に増大できるので、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に安定的に貼り合わすことができる。
【0044】
すなわち、貼合工程における加圧処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシート24とディスク基板12との間からのエアーの排出とカバーシート24とディスク基板12との貼り合せを同時に行う従来の貼合工程と比較し、カバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との間からのエアーの排出を確実に行うために、加圧ローラ54の圧縮荷重値を制限する必要がなくなることから、加圧ローラ54のカバーシート24に対する圧縮荷重値L2を、粘着膜28の特性等に応じて十分に大きな値に設定できるので、カバーシート24の加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けている領域(被加圧領域)と記録面14との面間の圧力を十分に大きくし、加圧後のカバーシート24の粘着膜28と記録面14との接合力を十分に増大できるようになる。
【0045】
なお、本実施形態に係るローラ貼合装置40では、貼合工程における排気処理及び加圧処理を同一の加圧ローラ54を用いておこなったが、排気処理及び加圧処理をそれぞれ異なる第1加圧ローラ及び第2加圧ローラにより行うようにしても良い。この場合、排気処理を行うための第1加圧ローラのローラ面は、加圧処理を行うための第2加圧ローラのローラ面よりも、弾性的に硬いものを用いるほうがカバーシート24とディスク基板12との間からのエアー排出を、より低い圧縮荷重値L1で確実に行えるようになり好ましい。
【0046】
また貼合工程における加圧処理は、加圧ローラ54をカバーシート24の他端部から一端部へ1回転動させるだけで完了させる必要は無く、加圧ローラ54を複数回に亘りカバーシート24上を転動させるようにしても良い。この場合、カバーシート24の粘着膜28に残留する歪み(圧縮歪み及び剪断歪み)の影響によるカバーシート24(光入射面)の変形を防止するため、加圧ローラ54をそれぞれ異なる方向に沿ってカバーシート24を転動させるようにしても良い。
【0047】
また本実施形態に係る貼合工程における加圧処理は、加圧ローラ54によりディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24を加圧することに代えて、ディスク基板12及びこのディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に対する排気処理を加圧ローラ54により行った後、このディスク基板12及びカバーシート24を加圧容器内へ搬入した後、コンプレッサ等の気体圧縮装置により加圧容器内を大気圧よりも十分に高い気圧まで加圧することにより行っても良い。このとき、加圧容器内は、カバーシート24と記録面14との面間の圧力値が0.03N/mm2〜0.3N/mm2の範囲内になるような気圧まで加圧される。このように気体圧力を用いてカバーシート24を加圧することにより、カバーシート24全体を均一な圧力で記録面14側へ加圧できるので、加圧ローラ54を用いてカバーシート24を加圧した場合と比較し、カバーシート24と粘着膜28と記録面14との接合力を均一化できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、カバーシート全体をディスク基板に確実に貼り合わすことができ、かつ貼合完了後におけるカバーシートとディスク基板との間のエアーの残留を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法に用いられるローラ貼合装置の構成を示す正面図である。
【図3】図2に示されるローラ貼合装置の加圧ローラ及び支持テーブルの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法の貼合工程を行う際の加圧ローラの動作を示す側面図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板
14 記録面
16 記録層(情報記録層)
22 カバー層(カバーシート)
24 カバーシート
26 樹脂フィルム
28 粘着膜
32 ディスク積層体
40 ローラ貼合装置
42 支持テーブル
54 加圧ローラ
L1 圧縮荷重値(一次圧縮荷重値)
L2 圧縮荷重値(二次圧縮荷重値)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク基板の記録面上に薄膜状のカバーシートを貼り合わせて光ディスクを製造する光ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を用いて情報を記録し、又は再生する光ディスクとしては、例えば、CD−R(Compact Disc−recordable)、CD(Compact Disc)、DVD(digitalversatile disc)、DVD−R(digital versatile disc−recordable)等が既に普及しているが、近年、光ディスクに対しては、映像情報等の情報を更に大量に格納したいという要望があり、高密度化の検討が進んでいる。このような光ディスクに対する記録密度は、おおむねディスク上の光ビームのスポットサイズで決まり、このスポットサイズは、レーザ波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例する。このため、光ディスクに対する記録密度を高めるためには、レーザ光の短波長化と対物レンズの高NA化が必要となる。しかし、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差はNAの3乗に比例して大きくなるため、高NA化によってディスクの傾きに対するマージンが極めて小さくなり、わずかな傾きでもビームスポットがぼやけ、高密度での記録及び再生が実現できなくなる。従って、高密度化に適した従来の光ディスクでは、レーザ光の透過層であるカバー層を十分薄いもの(例えば、0.1mm程度のもの)とし、高NAに伴うディスクの傾きによるコマ収差の増加を抑制する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−31337号公報(第9−10頁、図4)
【0004】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、例えば、情報記録層が形成されたディスク基板の記録面上に樹脂フィルムを基材とする薄膜状のカバーシートを貼り合せ、このカバーシートによりディスク基板上に透明なカバー層を形成して光ディスクを製造する。ここで、カバーシートは、樹脂フィルム及びこの樹脂フィルムの片側の面に形成された粘着膜から構成されている。このカバーシートをディスク基板に貼り合わせる際には、例えば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板上に重ね合せてディスク積層体を構成する。この状態では、粘着膜全体がディスク基板の記録面に均一に密着しておらず、カバーシートがディスク基板へ十分な接合力で接合されない。このため、光ディスクの製造ラインでは、加圧貼合装置によりディスク積層体におけるカバーシートをディスク基板側へ加圧して、カバーシート全体をディスク基板の記録面に均一に密着させる。これにより、ディスク積層体におけるカバーシートがディスク基板へ十分な接合力で貼り合わされて、製品素材として光ディスクが製造される。
【0005】
上記のような貼合装置では、例えば、加圧ローラをディスク積層体におけるカバーシートに圧接させつつ、この加圧ローラをカバーシートの一端部から他端部へ向って転動させることで、カバーシートとディスク基板の記録面との間のエアーを排出させると共に、カバーシートの粘着膜をディスク基板の記録面に所定の圧力で圧接させる。ここで、加圧ローラは、通常、そのローラ面に沿った表層部が弾性材料により形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本出願の発明者等が行った実験によると、上記のような貼合装置では、カバーシートとディスク基板との間のエアーを排出させる時と、カバーシートをディスク基板に貼り合わせる時とでは、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重の適正値がそれぞれ異なることが判明した。すなわち、カバーシートをディスク基板に貼り合わせる時には、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重を十分に大きくしなければ、加圧完了後に粘着膜と記録面との間に生じる接合力を十分に大きくできず、カバーシートとディスク基板の貼合状態が不安定になるおそれがある。しかし、粘着膜と記録面との間の接合力を十分に大きくするため、加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重を十分に大きくした場合には、粘着膜と記録面との間のエアーが排出される前にカバーシートが加圧ローラから大きな圧縮荷重を受け、粘着膜と記録面との間にエアーが残留したままでカバーシートがディスク基板に貼り合わされる現象が生じ易くなる。このような現象が生じると、カバーシートとディスク基板との密着性がエアーの残留部分で低下して光ディスクの品質不良の原因となる。
【0007】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、カバーシート全体をディスク基板に確実に貼り合わすことができ、かつ貼合完了後におけるカバーシートとディスク基板との間のエアーの残留を防止できる光ディスクの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ディスクの製造方法は、少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに円筒状の第1加圧ローラを所定の一次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第1加圧ローラを前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシートと記録面との間からエアーを排出する排気処理を行った後に、前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに円筒状の第2加圧ローラを前記一次圧縮荷重値よりも大きい二次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第2加圧ローラを前記カバーシート上で転動させ、粘着膜を介してカバーシート全体を記録面に貼り合わせる加圧処理を行う貼合工程を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ディスクの製造方法では、先ず、ディスク基板の記録面上に重ね合わされたカバーシートに第1加圧ローラを一次圧縮荷重値で圧接させつつ、この第1加圧ローラをカバーシートの表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシートと記録面との間からエアーを排出する排気処理を行うことにより、一次圧縮荷重値でカバーシートに圧接する第1加圧ローラのカバーシートの一端部から他端部への転動に従ってカバーシートと記録面との間に介在するエアーを確実に一端部側から他端部側へ移動させることができるので、第1加圧ローラがカバーシート上の他端部に達した時点で、カバーシートと記録面との間に実質的にエアーを残留させることなく、粘着膜を介してカバーシート全体をディスク基板の記録面に密着させることができる。
【0010】
すなわち、貼合工程における排気処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシートとディスク基板との間からのエアーの排出とカバーシートとディスク基板との貼り合せを同時に行う場合と比較し、カバーシートの粘着膜とディスク基板の記録面との接合力の増大させるために、加圧ローラの圧縮荷重として大きな値を設定する必要がないことから、第1加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重値(一次圧縮荷重値)をカバーシートと記録面との間からエアーを確実に排出するために適した大きさに設定できるので、カバーシート上を転動する第1加圧ローラによりカバーシートとディスク基板との間からエアーを確実に排出できるようになる。
【0011】
次いで、上記のような排気処理を行った後に、ディスク基板の記録面上に密着されたカバーシートに第2加圧ローラを一次圧縮荷重値よりも大きい二次圧縮荷重値で圧接させつつ、この第2加圧ローラをカバーシート上で転動させ、粘着膜を介してカバーシート全体をディスク基板の記録面に貼り合わせる加圧処理を行うことにより、第2加圧ローラからの圧縮荷重を受けているのカバーシートの被加圧領域とディスク基板の記録面との面間に二次圧縮荷重値に対応する圧力(接触圧)を発生させ、被加圧領域における粘着膜と記録面との接合力を十分に増大できるので、第2加圧ローラからの圧縮荷重がカバーシート全体に加えられるように、第2加圧ローラをカバーシート上で転動させれば、粘着膜を介してカバーシートをディスク基板の記録面に安定的に貼り合わすことができる。
【0012】
すなわち、貼合工程における加圧処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシートとディスク基板との間からのエアーの排出とカバーシートとディスク基板との貼り合せを同時に行う場合と比較し、カバーシートの粘着膜とディスク基板の記録面との間からのエアーの排出を確実に行うために、加圧ローラの圧縮荷重値を制限する必要がなくなることから、第2加圧ローラのカバーシートに対する圧縮荷重値(二次圧縮荷重値)を十分に大きな値に設定できるので、カバーシートの第2加圧ローラからの圧縮荷重を受けている領域(被加圧領域)と記録面との面間の圧力を十分に大きくし、加圧後のカバーシートの粘着膜と記録面との接合力を十分に増大できるようになる。
【0013】
ここで、排気処理を行うための第1加圧ローラは、加圧処理を行うための第2加圧ローラとはローラ径、ローラ面の硬度等が互いに異なるものを用いても良く、また排気処理及び加圧処理を同一の加圧ローラを用いて行うようにしても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法について図面を参照して説明する。
【0015】
(実施形態の構成)
先ず、本発明の実施形態に係る光ディスクの構成について説明する。図1には、本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法により製造された光ディスクが示されている。この光ディスク10は、従来のDVD−R等の光ディスクに対して高密度の情報記録が可能とされたものであり、例えば、従来の光ディスクと比較して、記録再生用のレーザ光として短波長の青紫レーザ光を用いると共に、ディスク駆動装置の対物レンズの開口数NAを0.85程度まで増大することで、12cm径の光ディスク10に対する片面記録容量が25Gバイト以上に高められている。
【0016】
光ディスク10には、円板状に形成されたディスク基板12が設けられており、このディスク基板12の片側の面は情報の記録面14とされている。このディスク基板12の記録面14側には、光反射層18及び光吸収層20が順に積層されており、これらの光反射層18及び光吸収層20により情報記録層(以下、単に「記録層」という。)16が構成されている。また光ディスク10には、記録層16を覆うようにディスク基板12上に透明なカバー層22が設けられている。このカバー層22は、透明樹脂を素材とするカバーシート24により構成され、その厚さが100μm程度とされている。
【0017】
ディスク基板12は、PC(ポリカーボネイト)等の樹脂を素材としてモールド成形されている。またカバー層22を構成するカバーシート24は、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂フィルム26及び、この樹脂フィルム26の片側の面に形成された粘着膜28からなる。粘着膜28は、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系等の粘着剤により形成されるが、透明性及び耐久性の観点からは、アクリル系粘着剤が望ましい。またカバーシート24における樹脂フィルム26及び粘着膜28のそれぞれの厚さは、カバー層22の設定値に応じて決められるが、例えば、カバー層22の厚さの設定値が100μmの場合には、樹脂フィルム26の厚さが80μmに設定され、粘着膜28の厚さが20μmに設定される。
【0018】
ディスク基板12の中心部には、光ディスク10の回転中心となる軸心SDに沿って円形のセンターホール29が穿設されている。またカバー層22の中心部にも、軸心SDを中心としてセンターホール29と略同一内径を有する円形の開口部30が形成されている。但し、カバー層22については、その内周端がディスク基板12の記録層16よりも内周側に位置していれば良いことから、この位置関係を満たす範囲で、開口部30の内径をセンターホール29の内径よりも大くしても良い。
【0019】
上記のような光ディスクの製造ラインでは、モールド成形等により成形されたディスク基板12に記録層16を形成した後、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12に貼り合せる貼合工程が行われる。この貼合工程では、先ず、ディスク基板12の記録面14上にカバーシート24を重ね合わせつつ、カバーシート24の粘着膜28と記録面14との間に介在するエアーを排出してカバーシート24の粘着膜28を記録面14に密着させる排気処理が行われた後、次いで、ディスク基板12の記録面14に密着したカバーシート24を加圧ローラ54(図2参照)により加圧し、粘着膜28を介してカバーシート24全体を記録面14に貼り合わせる加圧処理が行われる。
【0020】
次に、上記のようなカバーシート24の貼合工程に用いられるローラ貼合装置40について説明する。図2に示されるように、ローラ貼合装置40には、支持テーブル42が設けられると共に、この支持テーブル42の上側に円筒状の加圧ローラ54が回転可能に支持されている。支持テーブル42の上面は、ディスク基板12上にカバーシート24が重ね合わされたディスク積層体32が載置される載置面44とされており、載置面44の中央部には円柱状のセンターピン46が突出している。このセンターピン46は、ディスク基板12の厚さよりも短くなっているか、伸縮可能とされて突出長が調整可能になっている。ディスク基板12は、そのセンターホール29内へセンターピン46が挿入されるように載置面44上へ載置され、センターピン46により載置面44の中央部へ位置決めされる。
【0021】
図2に示されるように、支持テーブル42内には、載置面44の下側に周方向へ延在する負圧室48が設けられており、この負圧室48には配管50を通して真空ポンプ等の真空発生装置(図示省略)が接続されている。また支持テーブル42には、載置面44と負圧室48の上面部との間を貫通する複数の吸引穴52が周方向及び径方向に沿って一定ピッチで穿設されている。ローラ貼合装置40では、載置面44上へディスク積層体32が載置されると、真空発生装置を作動させて負圧室48内を減圧し、吸引穴52を通して載置面44上のディスク積層体32の下面へ負圧を作用させる。これにより、ディスク積層体32の下面が載置面44上へ吸着される。
【0022】
図3に示されるように、加圧ローラ54は、そのローラ軸方向(矢印W方向)に沿ってディスク積層体32よりも幅広とされている。加圧ローラ54の両端面にはそれぞれ軸心SRに沿って突出するローラ軸58が設けられている。また加圧ローラ54のローラ面56に沿った表層部はシリコンゴム、ウレタンゴム、バイトン等の弾性材料により形成されている。ここで、加圧ローラ54は、図BBに示されるように、下方へ開いた略コ字状に形成されたローラフレーム60により支持されており、このローラフレーム60の両端部には、それぞれ加圧ローラ54におけるローラ軸58を軸支する軸受62が設けられている。加圧ローラ54は、ローラフレーム60によりローラ軸SRが載置面44と平行になるように支持されている。またローラフレーム60には、一対のローラ軸58に作用するディスク厚方向(矢印T方向)に沿った圧縮荷重の大きさ(圧縮荷重値)をそれぞれ検出するロードセル等の一対の荷重センサ64が設けられている。
【0023】
図2に示されるように、ローラフレーム60には、その上面部に、直流サーボシリンダ、油圧サーボシリンダ等からなる昇降シリンダ66の駆動ロッド68が連結されている。またローラフレーム60は、支持テーブル42に対して固定された装置のメインフレーム(図示省略)によりディスク厚方向に沿って昇降可能に支持され、昇降シリンダ66の本体部67はメインフレーム側に連結固定されている。これにより、昇降シリンダ66が駆動ロッド68をディスク厚方向に沿って伸縮させると、ローラフレーム60が駆動ロッド68の伸縮に対応して昇降する。
【0024】
ローラ貼合装置40には、昇降シリンダ66に接続されたシリンダドライバ70が設けられると共に、荷重センサ64に接続された増幅器72が設けられており、これらのシリンダドライバ70及び増幅器72は、それぞれ装置全体を制御するためのコントローラ74に接続されている。シリンダドライバ70は、コントローラ74からのシリンダ制御信号に従って昇降シリンダ66を制御する。これにより、昇降シリンダ66の駆動ロッド68がシリンダ制御信号に対応する位置へ位置調整されると共に、昇降シリンダ66が発生する駆動力(押圧力)がシリンダ制御信号に対応する大きさに制御される。また荷重センサ64から出力された検出信号は、増幅器72により所定の信号形式(例えば、4mA〜20mA)に変換されてコントローラ74へ出力される。
【0025】
ローラ貼合装置40には、ローラフレーム60及び加圧ローラ54をディスク積層体32の径方向と平行なローラ転動方向(図3の矢印M方向)に沿って直線的に移動させるローラ移動機構(図示省略)が設けられている。このローラ移動機構はサーボモータ77(図2参照)を駆動源としており、このサーボモータ77はモータドライバ76を介してコントローラ74に接続されている。モータドライバ76は、コントローラ74からのモータ制御信号に従ってサーボモータ77に駆動信号及び駆動パルスを出力する。これにより、サーボモータ77が駆動信号に対応する方向へ駆動パルスの入力数に比例する回転量だけ回転する。このサーボモータ77からの駆動力によりローラ駆動機構は、ローラ転動方向に沿って加圧ローラ54を移動及び位置調整すると共に、加圧ローラ54の移動速度を制御する。
【0026】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたローラ貼合装置40を用いてカバーシート24をディスク基板12に貼り合わせて光ディスク10を製造する貼合工程について説明する。
【0027】
ローラ貼合装置40では、先ず、図4(A)に示されるように、カバーシート24の他端部側を吸着等により支持テーブル42の上方へ支持しつつ、カバーシート24の一端部をディスク基板12の一端部と一致するようにディスク基板上に重ね合わす。このとき、カバーシート24とディスク基板12とがなす角度θは、3°〜10°程度になるようにカバーシート24の傾きが調整される。このとき、ディスク基板12は、吸引穴52から負圧の作用により支持テーブル42の載置面44上に吸着されている。
【0028】
カバーシート24の一端部がディスク基板12上に重ね合わされると、ローラ貼合装置40のコントローラ74は、図4(B)で実線により示されるように、ローラ駆動機構により加圧ローラ54をローラ転動方向に沿ってディスク積層体32の外側の初期待機位置に保持すると共に、昇降シリンダ66によりディスク厚方向に沿って加圧ローラ54を載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも僅かに狭くなるように位置調整する。
【0029】
次いで、コントローラ74は、ローラ駆動機構を作動させて、初期待機位置にある加圧ローラ54をローラフレーム60と共にディスク積層体32上へ移動させる。このとき、加圧ローラ54は、載置面44との間隔がディスク積層体32の厚さよりも狭くなっていることから、ローラ面56をディスク積層体32の上面部33に圧接させる。これにより、荷重センサ64には、加圧ローラ54のディスク積層体32に対する圧縮荷重と大きさが略等しい反力が作用し、荷重センサ64は、増幅器33を介して加圧ローラ54の圧接力に対応する検出信号をコントローラ74へ出力する。
【0030】
この後、コントローラ74は、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をディスク積層体32におけるカバーシート24に圧接させつつ、ローラ駆動機構により加圧ローラ54をカバーシート24の一端部から他端部へ向う往動方向(図4(B)の矢印M1方向)へ一定速度で移動させる。このとき、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ディスク積層体32との摩擦力により往動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。
【0031】
なお、カバーシート24が皺等の発生しやすいものである場合には、加圧ローラ54のローラ軸58にモータの出力軸を連結して、このモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させても良い。この場合、加圧ローラ54を従動回転させるよりも、加圧ローラ54からカバーシート24に作用する摩擦力が抑制される。
【0032】
ローラ貼合装置40では、加圧ローラ54がカバーシート24の一端部から往動方向へ移動(転動)するに従って、カバーシート24の他端部を徐々にディスク基板12側へ下降させて行く。これにより、これにより、カバーシート24を、その一端部から他端部へ向ってディスク基板12の記録面14に密着させつつ、このカバーシートの粘着膜28とディスク基板12との間に介在するエアーを外部へ排出できる。
【0033】
コントローラ76は、加圧ローラ54の往動方向へ転動時に、加圧ローラ54のローラ面56からカバーシート24に加えられる圧縮荷重が所定の圧縮荷重値L1になるように昇降シリンダ66を制御する。この圧縮荷重値L1は、カバーシート24の撓み方向に沿った変形抵抗に抗し、このカバーシート24を確実にディスク基板12の記録面14に密着させることができる範囲で可能な限り小さい値に設定することが好ましく、本実施形態では、圧縮荷重値L1が0.5N〜5Nの範囲内になるように設定されている。
【0034】
なお、圧縮荷重値L1は、必ずしも常に一定の値に保つ必要は無く、例えば、加圧ローラ54のカバーシート24との接触面積が小さいカバーシート24の両端部では小さくし、加圧ローラ54がカバーシート24との接触面積が増加する軸心SD側に位置する程、増加させるようにしても良い。
【0035】
貼合工程における排気処理は、往動方向へ転動する加圧ローラ54がカバーシート24の他端部上に達した後、ディスク積層体32上から離脱すると完了する。この排気工程が完了することにより、図4(D)に示されるように、カバーシート24とディスク基板12の記録面14との間にはエアーが残留しない状態となり、カバーシート24全体がディスク基板12の記録面14に密着する。
【0036】
排気処理の完了後、コントローラ76は、ローラ移動機構により加圧ローラ54をディスク積層体32の外周側の中間待機位置(図4(D)の二点鎖線で示される位置)に一旦停止させた後、貼合工程における加圧処理を開始する。このとき、コントローラ74は、ローラ駆動機構を作動させて、中間待機位置にある加圧ローラ54を往動方向とは反対の復動方向(図4(D)の矢印M2方向)へ移動させ、加圧ローラ54のローラ面56をディスク積層体32におけるカバーシート24の他端部に圧接させる。このとき、荷重センサ64は、排出処理時と同様に、増幅器33を介して加圧ローラ54の圧接力に対応する検出信号をコントローラ74へ出力する。
【0037】
コントローラ74は、加圧ローラ54がカバーシート24の他端部に圧接した後には、昇降シリンダ66により加圧ローラ54をディスク積層体32におけるカバーシート24に所定の圧縮荷重値L2で圧接させつつ、ローラ駆動機構により加圧ローラ54を復動方向へ一定速度で移動させる。このとき、加圧ローラ54は、軸受62により軸支されて十分に小さい抵抗で回転可能とされていることから、ディスク積層体32との摩擦力により復動方向への移動速度と等線速度でローラ面56が従動回転しつつ移動(転動)する。なお、このときも、加圧ローラ54をモータからのトルクにより加圧ローラ54をその移動速度と等線速度で回転させるようにしても良い。
【0038】
ここで、圧縮荷重値L2は、排気処理時の圧縮荷重値L1よりも大きい値になっており、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているのカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間に生じる圧力値が所定の基準圧力値になるように設定されている。この基準圧力値は、粘着膜28の粘着特性に応じて予め設定されており、この基準圧力値の圧力をカバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との面間に生じさせることにより、粘着膜28と記録面14との接合力が規定の大きさまで増大し、カバーシート24がディスク基板12に安定的に貼り合わされた状態になる。具体的には、本実施形態では、加圧処理時の圧縮荷重値L2が、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間の圧力値が0.03N/mm2〜0.3N/mm2の範囲内になるように設定されている。
【0039】
なお、圧縮荷重値L2も、圧縮荷重値L1と同様に、必ずしも常に一定の値に保つ必要は無く、例えば、加圧ローラ54のカバーシート24との接触面積が小さいカバーシート24の両端部では小さくし、加圧ローラ54がカバーシート24との接触面積が増加する軸心SD側に位置する程、増加させるようにしても良い。
【0040】
貼合工程における加圧処理は、復動方向へ転動する加圧ローラ54がカバーシート24の一端部上に達した後、ディスク積層体32上から離脱すると完了する。この加圧処理が完了することにより、粘着膜28を介してカバーシート24全体がディスク基板12の記録面14に規定の接合力で貼り合わされ、製品素材としての光ディスク10の製造が完了する。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る光ディスクの製造方法によれば、先ず、ディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に加圧ローラ54を圧縮荷重値L1で圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24の表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシート24と記録面14との間からエアーを排出する排気処理を行うことにより、圧縮荷重値L1でカバーシート24に圧接する加圧ローラ54のカバーシートの一端部から他端部への転動に従ってカバーシート24と記録面14との間に介在するエアーを確実に一端部側から他端部側へ移動させることができるので、加圧ローラ54がカバーシート24上の他端部に達した時点で、カバーシート24と記録面14との間に実質的にエアーを残留させることなく、粘着膜28を介してカバーシート24全体をディスク基板12の記録面14に密着させることができる。
【0042】
すなわち、貼合工程における排気処理によれば、1回の加圧ローラ54による加圧でカバーシート24とディスク基板12との間からのエアーの排出とカバーシート24とディスク基板12との貼り合わせを同時に行う従来の貼合工程と比較し、カバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との接合力の増大させるために、加圧ローラ54の圧縮荷重値として大きな値を設定する必要がないことから、加圧ローラ54のカバーシート24に対する圧縮荷重値L1をカバーシート24と記録面14との間からエアーを確実に排出するために適した大きさに設定できるので、カバーシート24上を転動する加圧ローラ54によりカバーシート24とディスク基板12との間からエアーを確実に排出できるようになる。
【0043】
次いで、上記のような排気処理を行った後に、ディスク基板12の記録面上に密着されたカバーシートに第2加圧ローラを圧縮荷重値L1よりも大きい圧縮荷重値L2で圧接させつつ、この加圧ローラ54をカバーシート24の表面部における他端部から一端部へ転動させ、粘着膜28を介してカバーシート24全体をディスク基板12の記録面14に貼り合わせる加圧処理を行うことにより、加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けているのカバーシート24の被加圧領域とディスク基板12の記録面14との面間に圧縮荷重値L2に対応する圧力(接触圧)を発生させ、カバーシート24の被加圧領域における粘着膜28と記録面14との接合力を規定の大きさまで確実に増大できるので、粘着膜28を介してカバーシート24をディスク基板12の記録面14に安定的に貼り合わすことができる。
【0044】
すなわち、貼合工程における加圧処理によれば、1回の加圧ローラによる加圧でカバーシート24とディスク基板12との間からのエアーの排出とカバーシート24とディスク基板12との貼り合せを同時に行う従来の貼合工程と比較し、カバーシート24の粘着膜28とディスク基板12の記録面14との間からのエアーの排出を確実に行うために、加圧ローラ54の圧縮荷重値を制限する必要がなくなることから、加圧ローラ54のカバーシート24に対する圧縮荷重値L2を、粘着膜28の特性等に応じて十分に大きな値に設定できるので、カバーシート24の加圧ローラ54からの圧縮荷重を受けている領域(被加圧領域)と記録面14との面間の圧力を十分に大きくし、加圧後のカバーシート24の粘着膜28と記録面14との接合力を十分に増大できるようになる。
【0045】
なお、本実施形態に係るローラ貼合装置40では、貼合工程における排気処理及び加圧処理を同一の加圧ローラ54を用いておこなったが、排気処理及び加圧処理をそれぞれ異なる第1加圧ローラ及び第2加圧ローラにより行うようにしても良い。この場合、排気処理を行うための第1加圧ローラのローラ面は、加圧処理を行うための第2加圧ローラのローラ面よりも、弾性的に硬いものを用いるほうがカバーシート24とディスク基板12との間からのエアー排出を、より低い圧縮荷重値L1で確実に行えるようになり好ましい。
【0046】
また貼合工程における加圧処理は、加圧ローラ54をカバーシート24の他端部から一端部へ1回転動させるだけで完了させる必要は無く、加圧ローラ54を複数回に亘りカバーシート24上を転動させるようにしても良い。この場合、カバーシート24の粘着膜28に残留する歪み(圧縮歪み及び剪断歪み)の影響によるカバーシート24(光入射面)の変形を防止するため、加圧ローラ54をそれぞれ異なる方向に沿ってカバーシート24を転動させるようにしても良い。
【0047】
また本実施形態に係る貼合工程における加圧処理は、加圧ローラ54によりディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24を加圧することに代えて、ディスク基板12及びこのディスク基板12の記録面14上に重ね合わされたカバーシート24に対する排気処理を加圧ローラ54により行った後、このディスク基板12及びカバーシート24を加圧容器内へ搬入した後、コンプレッサ等の気体圧縮装置により加圧容器内を大気圧よりも十分に高い気圧まで加圧することにより行っても良い。このとき、加圧容器内は、カバーシート24と記録面14との面間の圧力値が0.03N/mm2〜0.3N/mm2の範囲内になるような気圧まで加圧される。このように気体圧力を用いてカバーシート24を加圧することにより、カバーシート24全体を均一な圧力で記録面14側へ加圧できるので、加圧ローラ54を用いてカバーシート24を加圧した場合と比較し、カバーシート24と粘着膜28と記録面14との接合力を均一化できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る光ディスクの製造方法によれば、カバーシート全体をディスク基板に確実に貼り合わすことができ、かつ貼合完了後におけるカバーシートとディスク基板との間のエアーの残留を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法に用いられるローラ貼合装置の構成を示す正面図である。
【図3】図2に示されるローラ貼合装置の加圧ローラ及び支持テーブルの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ディスクの製造方法の貼合工程を行う際の加圧ローラの動作を示す側面図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
12 ディスク基板
14 記録面
16 記録層(情報記録層)
22 カバー層(カバーシート)
24 カバーシート
26 樹脂フィルム
28 粘着膜
32 ディスク積層体
40 ローラ貼合装置
42 支持テーブル
54 加圧ローラ
L1 圧縮荷重値(一次圧縮荷重値)
L2 圧縮荷重値(二次圧縮荷重値)
Claims (3)
- 少なくとも片側の面が記録面とされ、該記録面に情報記録層が形成されたディスク基板と、樹脂フィルムの片側の面に粘着膜が成膜されて構成され、該粘着膜を介して前記情報記録層を覆うように前記記録面に貼り合わされるカバーシートと、を有する光ディスクの製造方法であって、
前記記録面上に重ね合わされた前記カバーシートに円筒状の第1加圧ローラを所定の一次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第1加圧ローラを前記カバーシートの表面部における一端部から他端部へ転動させてカバーシートと記録面との間からエアーを排出する排気処理を行った後に、
前記記録面上に密着された前記カバーシートに円筒状の第2加圧ローラを前記一次圧縮荷重値よりも大きい二次圧縮荷重値で圧接させつつ、該第2加圧ローラを前記カバーシート上で転動させ、粘着膜を介してカバーシート全体を記録面に貼り合わせる加圧処理を行う貼合工程を有することを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 前記一次圧縮荷重値を0.5N〜5Nの範囲内に設定すると共に、
前記二次圧縮荷重値を、前記二次加圧ローラからの圧縮荷重を受けている前記カバーシートの被加圧領域と前記記録面との面間の圧力値が0.03N/mm2〜0.3N/mm2の範囲内になるように設定したことを特徴とする請求項1記載の光ディスクの製造方法。 - 前記加圧処理を、前記第2加圧ローラにより前記ディスク基板の記録面上に重ね合わされた前記カバーシートを加圧することに代えて、前記ディスク基板及び該ディスク基板の記録面上に重ね合わされた前記カバーシートを大気圧よりも高圧の加圧環境下に保持して行うことを特徴とする請求項1記載の光ディスクの製造方法。
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2002
- 2002-09-11 JP JP2002264995A patent/JP2004103141A/ja active Pending
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