JP2004034524A - 金属樹脂複合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属の表面に金属めっき層を形成しその表面を粗化して凹凸をつくり、アンカー構造により樹脂との接着性を向上できる金属樹脂複合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属(1)の表面に金属めっき層(2)を形成し、その表面をエッチング液で粗化し、その後、粗化された金属めっき層(2)と樹脂(3)とを接着して一体化する。金属めっき層(2)の表面平均粗さRaは、0.1μm以上、さらに好ましくは、0.2〜0.8μmの範囲である。金属めっき層(2)は、銅またはニッケルであることが好ましい。また、金属めっき層(2)の表面粗化は、エッチングにより形成されていることが好ましい。このようにすると、前記の範囲の粗面化処理を効率よく、安価でかつ正確に得ることができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプリント配線板、リードフレームなどに有用な金属樹脂複合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な多層プリント配線板などは、金属配線層と樹脂絶縁層との積層体である。また、半導体部品の多くは、半導体チップが金属製のリードフレーム上にのせられエポキシ樹脂で封止されている。このような金属樹脂複合体では、金属と樹脂との接着性を上げるため、金属表面をエッチング法、めっき法などにより粗すことが知られている。
【0003】
前記エッチング法は、金属表面に凹凸が形成されるようにエッチング液により金属表面を溶解する方法である。しかし、金属はその種類によりエッチング特性が異なるため、所望の粗化形状(表面形状)を得ることのできる適切なエッチング液とエッチング条件を見出すのが困難である。
【0004】
めっき法は、金属表面にこぶをつくる特殊な銅めっきをする方法である。この方法は、金属の種類(物性)に影響されずに実施できるが、こぶをつくる特殊な銅めっきはコスト高である。また、金属樹脂複合体が金属配線層と絶縁樹脂層とからなるプリント配線板の場合、こぶの一つ一つが大きすぎるので、この金属層では微細な配線を形成することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、金属の表面に金属めっき層を形成しその表面を粗化して凹凸をつくり、アンカー構造により樹脂との接着性を向上できる金属樹脂複合体およびその製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の金属樹脂複合体は、金属と樹脂とが一体化された金属樹脂複合体であって、前記金属の樹脂側表面には金属めっき層を備え、前記金属めっき層の樹脂との接着面が粗化されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の金属と樹脂が一体化された金属樹脂複合体の製造方法であって、前記金属の表面に金属めっき層を形成し、前記金属めっき層の表面をエッチング液で粗化し、その後、粗化された前記金属めっき層と樹脂とを接着して一体化することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、金属の樹脂側表面に金属めっき層を形成するので、粗化の状態を精密に制御できる金属めっき層を選択できる。そして所望の粗面化処理をした後に金属めっき層と樹脂とを一体化することにより、アンカー構造により樹脂との接着性を向上できる。一体化する場合は、加熱して樹脂を軟化または溶融しても良いし、接着剤を使用しても良い。また、液状の樹脂を塗布し、加熱および/または紫外線照射などにより硬化させてもよい。
【0009】
また本発明方法によれば、粗化の状態を精密に制御できる金属めっき層を形成し、エッチング液で粗化して所望の粗面を形成した後、金属めっき層と樹脂とを接着して一体化することにより、アンカー構造により樹脂との接着性を向上できる。
【0010】
本発明においては、前記金属めっき層の表面平均粗さRaは、好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは、0.2〜0.8μmの範囲である。表面平均粗さRaが0.1μm未満では、前記アンカー構造は得にくい傾向となる。
【0011】
前記金属めっき層は、銅またはニッケルであることが好ましい。エッチングにより容易に粗面化処理し得るからである。金属製樹脂複合体が回路部品の場合には、電気特性の点から銅がとくに好ましい。
【0012】
前記金属めっき層の表面粗化が、エッチングにより形成されていることが好ましい。前記の範囲の粗面化処理を効率よく、安価でかつ正確に得ることができるからである。
【0013】
本発明の金属樹脂複合体は、例えばプリント配線板、リードフレームなどに有用である。
【0014】
プリント配線板のうち、例えば放熱性、強度、電磁波シールド性などが要求される用途には、金属ベースプリント配線板が使用されている。金属ベースプリント配線板は、例えばアルミニウム板などのベース金属の表面に樹脂からなる絶縁層が形成され、その上に銅の回路が形成されている。本実施形態によれば、アルミニウム板の表面に電気的絶縁層を形成する前に、金属めっき層を形成し、その表面をエッチング液で粗化することにより、アルミニウム板と電気的絶縁層との接着性を向上させることができる。また、アルミニウム仮と電気的絶縁層間の熱伝導性も良好であり、放熱性にも優れている。
【0015】
また、最近検討されている金属ベースビルドアップ配線板にも有用である。
【0016】
リードフレームの場合、その金属材料の硬さ、曲げ加工性、熱膨張率などの物性が、材料を選択する際の重要な指標になるが、本発明においては、めっきとエッチングという化学的処理で表面を粗化しているので、その金属が有する物性を変化させることなく、封止樹脂との接着性を向上させることができる。
【0017】
本発明において、金属としては、例えば下記を挙げることができる。
(1)アルミニウム、アルミニウムに銅、マグネシウム、ケイ素などを含有させたアルミニウム系合金
(2)銅、銅にスズ、クロム、亜鉛、ケイ素、ニッケル、リン、鉄などを含有させた銅系合金
(3)鉄、鉄にクロム、ニッケル、マンガン、などを含有させた鉄系合金など。
【0018】
本発明において、樹脂としては、例えば下記を挙げることができる。
【0019】
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、耐熱エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、フッ素樹脂、イソシアネート樹脂、ポリフェニレンエーテルなど。これらの樹脂は、ガラス繊維、アラミド繊維などで強化されていてもよい。
【0020】
金属めっき層としては、前記のごとく銅めっき層、ニッケルめっき層などがあげられるが、銅めっき層が好ましい。金属めっき層は、電解めっき法で形成されていてもよく、無電解めっき法で形成されていてもよい。金属めっき層の厚さは、粗化処理を行なうことのできる厚さであればよく、通常5〜10μm程度が好ましい。
【0021】
金属めっき層は、樹脂層との接着面が粗化されている。
【0022】
粗化は、エッチング液による粗化がコスト、生産性などの点から好ましい。エッチング液としては、硫酸・過酸化水素タイプのエッチング液、過硫酸塩タイプのエッチング液、塩化銅タイプのエッチング液、塩化鉄タイプのエッチング液、アルカリ性のエッチング液、有機酸タイプのエッチング液などがあげられる。例えばメック社製の「メックエッチボンドシリーズ」(商品名)や「メックブライトシリーズ」(商品名)などの市販品を用いてもよい。金属めっき層は、時間の経過に伴なってその物性が変化し、エッチング特性が変わる場合もあるが、その場合は、エッチングをする前に熱処理することにより物性を安定化させることができる。例えば銅めっき層の場合、熱処理は、80〜130℃で30〜600秒間加熱するのが好ましい。
【0023】
さらに樹脂と接着性を向上させるために、金属めっき層の粗化表面が、樹脂との接着促進剤で処理されていてもよい。接着促進剤としては、例えばシランカップリング剤(特開平6−6035号公報)やアゾール類の水溶液(特開平11−43778号公報)などがあげられる。
【0024】
次に図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態における金属箔1と樹脂3の一体化構造複合体の概略断面図である。金属箔1の表面には金属めっき層2が形成され、その表面はエッチングにより表面が粗化されている。金属めっき層2の粗化により、樹脂3がアンカー構造となって一体化されている。
【0025】
【実施例】
[実施例1〜5]
表1に示される厚さ0.15mmの金属箔に、硫酸銅めっき浴(メルテックス社製の「カパーグリーム125」(商品名)を使用)を用いた電解銅めっきを行ない、厚さ10μmの銅めっき層を形成したのち、水洗し、乾燥した。ついで、130℃で10分間加熱し、めっき層の物性を安定させた。
【0026】
次にメック社製の表面粗化用銅エッチング液「メックエッチボンドCZ−8100」(商品名)をスプレーして、銅めっき層を2μm(重量法により計算したエッチング深さ)エッチングし、銅めっき層表面を粗化した。粗化された表面の平均粗さRaを表1に示す。表面の平均粗さは、オリンパス光学工業社製のレーザ顕微鏡OLS−1100にて、ステップ量0.02μmの条件で測定した。
【0027】
得られた表面にFR−4グレードの厚さ0.1mmのガラスエポキシプリプレグ(日立化成工業社製のGEA−67N)2枚を重ね、これを130〜180℃、成形圧力0.5〜3MPaの条件で加熱圧着して積層板を作成した。この際、プリプレグの温度が170℃以上で40分間以上となるように加熱時問を設定した。
【0028】
JIS C 6481に準拠して積層体から銅合金箔を引き剥がし、引き剥がし強さを調べた。結果を下記の表1に示す。
【0029】
[比較例1〜5]
比較例1〜5は、めっき層を形成しない場合の金属と樹脂の接着強度を試験したものである。すなわち、表1に示される厚さ0.15mmの金属箔に、実施例1〜5と同様にガラスエポキシプリプレグ加熱圧着して積層板を作成し、銅合金箔の引き剥がし強さを調べた。結果を下記の表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004034524
【0031】
[実施例6〜9]
実施例1〜5と同様に銅めっき層を形成し、その表面をエッチングにより粗化した。粗化された表面の平均粗さRaを表2に示すように変えた。次に、実施例1〜5と同様にガラスエポキシプリプレグ加熱圧着して積層板を作成し、銅合金箔の引き剥がし強さを調べた。結果を下記の表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 2004034524
【0033】
以上の結果、金属の表面に金属めっき層を形成し、前記金属めっき層の表面をエッチング液で粗化し、粗化された前記金属めっき層と樹脂とを一体化することにより、アンカー構造により樹脂との接着力の向上が確認できた。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したとおり本発明は、金属の樹脂側表面に金属めっき層を形成するので、粗化の状態を精密に制御できる金属めっき層を選択でき、所望の粗面化処理をした後に金属めっき層と樹脂とを一体化して、アンカー構造とすることにより樹脂との接着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における金属と樹脂の一体化構造複合体の概略断面図。
【符号の説明】
1 金属箔
2 表面が粗化された金属めっき層
3 樹脂

Claims (2)

  1. 金属と樹脂とが一体化された金属樹脂複合体であって、前記金属の樹脂側表面には金属めっき層を備え、前記金属めっき層の樹脂との接着面が粗化されていることを特徴とする金属樹脂複合体。
  2. 金属と樹脂とが一体化された金属樹脂複合体の製造方法であって、
    前記金属の表面に金属めっき層を形成し、前記金属めっき層の表面をエッチング液で粗化し、
    その後、粗化された前記金属めっき層と樹脂とを接着して一体化することを特徴とする金属樹脂複合体の製造方法。
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