JP2004031166A - 燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池金属セパレーターに使用する電着塗料組成物を提供する。
【解決手段】金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池において、該金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいずれか一方に電着塗膜を形成する、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有することを特徴とする燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物。
【選択図】なし
【解決手段】金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池において、該金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいずれか一方に電着塗膜を形成する、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有することを特徴とする燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池金属セパレーター用に適した電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及】従来、ガソリン、灯油、重油などの石油燃料を燃焼させ動力や熱などのエネルギーに変換して、そのエネルギーを自動車、暖房などに利用されている。しかしながら、近年、石油燃料を燃焼させた際に発生するガスが地球環境に悪影響を与えることから問題となっている。この様なガスを全く発生しないで、且つ動力、熱などのエネルギーを得る手段として燃料電池を利用することが考えられている。
【0003】
この様な燃料電池として、例えば、セパレーター、燃料極、固体電解質、ガス拡散電極及びセパレーターを設けてなる固体電解質型燃料電池が、コンパクトで軽量な電源であることから、多方面に利用が考えられている。該セパレーターとしては、電力を取出すために導電性材料で製造されており、更に、電極の表面に反応性ガス(酸素、水素など)を効率よく通すために、通常凹凸の溝が形成されている。この様な機能を有するセパレーターとして、従来、黒鉛が用いられているがこのもの自身が高価であることと、その切削加工のためのコストアップや、物理的強度に問題がある。
【0004】
上記した黒鉛で構成されたセパレーターにおける問題解決として、平板状の導電性金属材料の表面もしくは凹凸に成型された導電性金属材料(リブ付セパレーターとも呼ぶ。)の表面を導電性塗料を塗装する方法が考えられているが、金属材料表面に導電性塗料を均一に塗膜形成することが困難であり、特にリブ付セパレーターにおいては、均一に塗膜を形成させることが困難である。また、導電性塗料を塗装する目的の一つとして、反応性ガスによる導電性金属の腐食を防止することが挙げられるが、従来の導電性塗料では、十分な防食性を発揮することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属セパレーター、特にリブ付セパレーターの表面に均一塗膜を形成し、且つ防食性などに優れた塗膜を形成する導電性塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した問題点を解消するために、従来の固体電解質型燃料電池において、金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいすれか一方に塗膜を形成する塗料として、特定の電着塗料を使用することにより、上記した問題点を全て解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池において、該金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいずれか一方に電着塗膜を形成する、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有することを特徴とする燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における固体電解質型燃料電池は、セパレータ部以外は、従来から公知のものであって、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池である。
【0009】
該金属セパレーターとしては、片面及び/又は両面が凹凸の溝を有するものを使用することができる。凹凸面を有する金属レパレーターを使用した前者における単セルの固体電解質型燃料電池の概念図を図1に示す。
【0010】
また、単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池は、例えば、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極、金属セパレーター(単セル)、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極、金属セパレーター……………と順次積層してなるものである。該複数積層してなる固体電解質型燃料電池は、上記した如く、通常、200〜500個の単セルが積層された複数積層固体電解質型燃料電池(スタック)である。
【0011】
金属セパレーターの材質としては、電着塗装が可能な材料であれば特に制限なしに従来から公知のものを使用することができ、例えば、ステンレス、鉄、鋼、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、アルマイトなどの金属類、これらの金属合金、該金属メッキシート、該金属積層シートなどが挙げられる。また、該材質表面には必要応じて表面処理、プライマーなどを施すことができる。
【0012】
金属セパレーターの形状としては、通常、シート状、板状であり、その片面もしくは両面に凹凸の溝を形成させたもの(図1参照)を使用することができる。通常、溝の深さは50μm〜500μmであり、溝の幅は50μm〜500μmである。
【0013】
上記した金属セパレーターの表面に塗膜を形成する塗料は、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有する電着塗料組成物である。
【0014】
イオン性樹脂として、アニオン性基含有樹脂を使用したものはアニオン性電着塗料組成物が製造される。一方、カチオン性基含有樹脂を使用したものはカチオン性電着塗料組成物が製造される。
【0015】
まず、アニオン性電着塗料組成物について以下に述べる。
【0016】
アニオン性電着塗料組成物:
アニオン性樹脂:
アニオン性基としてはカルボキシル基が代表的なものとして挙げられ、該カルボキシル基の含有量としては樹脂の酸価で約10mgKOH/g〜200mgKOH/g、特に約20mgKOH/g〜100mgKOH/gの範囲のものが好ましい。 酸価が約10mgKOH/gを下回ると塗料安定性が低下し、また金属セパレーターに対する付着性が劣るといった欠点があり、一方酸価が約200mgKOH/gを上回ると耐食性が劣るといった欠点があるので好ましくない。
【0017】
樹脂の分子量としては、重量平均分子量1000〜100000、特に2000〜50000が好ましい。重量平均分子量が1000未満になると耐食性が低下し、一方、100000を越えると塗膜の平滑性が悪くなる。
アニオン性樹脂としては、例えば、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂などを挙げることができる。
【0018】
これらの樹脂は、樹脂中に水酸基を含有させておくことにより下記ブロックポリイソシアネート、アミノ樹脂などの硬化剤で硬化塗膜を形成することができる。
【0019】
上記したビニル系共重合体としては、従来公知のものが使用でき、例えばカルボキシル基含有モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等)と下記水酸基含有モノマー、及び下記その他のビニルモノマーとを共重合してなるものが挙げられる。
【0020】
水酸基含有モノマーは、1分子中に水酸基とビニル系重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜8個のヒドロキシアルキルエステルなどがあげられる。
【0021】
その他のビニルモノマーは、水酸基含有ビニルモノマーとラジカル共重合可能な、1分子中にビニル結合を有する化合物であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜24個のアルキル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の官能性(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体;スチレン、ビニルトルエン等のビニル系単量体などがあげられる。
【0022】
また、ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、プロピレンングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチロールブタン酸、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜6,000なる範囲内のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAまたはハイドロキノン、あるいはそれらのアルキレンオキシド付加体などのような、各種のグリコール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸または1,2−ビス(フェノキシ)エタンーp,p’−ジカルボン酸、あるいはそれらの各種ジカルボン酸の無水物類またはエステル形成性誘導体類;p−ヒドロキシ安息香酸またはp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはそれらの各種ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などのような、各種の酸成分とからの脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほかに、ε−カプロラクトンの如き、各種の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、あるいはそれらの共重合ポリエステル類などが特に代表的なものである。
【0023】
該ポリエステル樹脂の製造は従来から公知の方法により製造することができる。樹脂のカルボキシル基や水酸基は上記した原料の配合割合や、樹脂の反応率を制御することにより含有させることができる。
【0024】
アルキド樹脂は、上記したポリエステル樹脂の酸原料の一部として、従来から公知の不飽和脂肪酸(ヤシ油脂肪酸など)、(半)乾性油脂肪酸(ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸など)及びこれらの油を使用したものが挙げられる。
【0025】
フッ素樹脂は、ラジカル重合性モノマー成分として、一般式CX2 = CX2 (式中、X は同一もしくは異なってH 、Cl、Br、F 、アルキル基又はハロアルキル基を示す。ただし、式中に少なくとも1個のFを含有する。)で表わされるフルオロオレフィン、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート:例えばパーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレ−ト、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の弗素含有モノマー、上記カルボキシル基含有モノマーと下記水酸基含有ビニル系モノマー、及び必要に応じて上記その他のビニル系モノマーとをラジカル共重合反応をさせることによって得られたものが挙げられる。
【0026】
シリコ−ン樹脂は、ラジカル重合性モノマー成分として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、上記カルボキシル基含有モノマーと下記水酸基含有モノマー、及び必要に応じて下記その他のビニルモノマーとをラジカル共重合反応をさせることによって得られたものが挙げられる。
【0027】
上記アミノ硬化剤としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂が使用できる。また、アミノ樹脂をメチロール化したメチロールアミノ樹脂や該樹脂のメチロール基の一部もしくは全部がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、2ーエチルヘキシルアルコール等の1種もしくは2種以上の1価アルコールで変性されたものを使用することができる。メラミン樹脂は1核体〜多(約2〜5)核体のものが50重量%以上を占めるものが好ましい。また、アミノ樹脂中にはイミノ基等のその他の官能基を含んでも良い。
【0028】
また、ブロックポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の「脂肪族や脂環族のポリイソシアネート化合物にε−カプロラクトン等のラクトン類やメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類やメチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム類でブロック化したものを使用することができる。
【0029】
硬化剤の配合割合は、上記したアニオン性樹脂100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部の範囲である。
上記した以外にポリアミック酸系樹脂を使用することができる。該樹脂は、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック酸を得ることができる。
【0030】
上記したアニオン性樹脂は、アニオン性電着塗料組成物の樹脂成分として使用される。
【0031】
本発明におけるアニオン性電着樹脂塗料組成物は、上記したアニオン性樹脂を中和剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミンなどの有機塩基性化合物)で中和させた中和樹脂と、下記導電性粉末及び上記した硬化剤の混合物を水に分散させることにより製造できる。該導電性粉末は予め中和樹脂又は顔料分散剤などにより分散させておくこともできる。
【0032】
アニオン性電着樹脂塗料組成物の固形分は、5重量%〜30重量%、好ましくは10重量%〜20重量%である。また、該塗料組成物のPHは6〜9、好ましくは6.5〜8の範囲である。
【0033】
導電性粉末としては、ニッケル、銀などの金属粉末、酸化ニッケル、酸化チタンなどの酸化金属粉末、珪化ジルコニウム、珪化チタンなどの珪化金属、窒化ジルコニウム、窒化チタンなどの窒化金属、硼素化ジルコニウム、硼素化チタン、硼素化タングステンなどの硼化金属、炭化ジルコニウム、炭化チタン(平均粒子径1〜10μm)、炭化タングステン(平均粒子径1〜10μm)などの炭化金属、チタン酸カリウムなどのアルカリ金属などの粉末が挙げられる。
【0034】
導電性粉末として、平均粒子径が0.001μm〜100μm、特に0.01μm〜80μmの範囲のものが塗料貯蔵安定性に優れ、且つ効率よく塗膜に導電性を付与することができるのでこの範囲のものを使用することが好ましい。
【0035】
また、導電性粉末として、 比表面積(m2/g)は0.1〜1300、特に0.5〜500の範囲のものが塗料貯蔵安定性に優れ、且つ効率よく塗膜に導電性を付与することができるのでこの範囲のものを使用することが好ましい。
【0036】
上記した導電性粉末の具体例としては、例えば、ナノテック酸化アルミニウム(平均粒子径0.033μm、球状)、ナノテック酸化亜鉛(平均粒子径0.031μm、多面体)、ナノテック酸化セリウム(平均粒子径0.011μm、角状と球状混合物)、ナノテック酸化チタン(平均粒子径0.03μm、球状、以上、シーアイ化成株式会社製、商品名)、ニッケル微粉末 タイプ110(平均粒子径0.8〜1.5μm)、ニッケル微粉末 タイプ210(平均粒子径0.5〜1.0μm)、ニッケル微粉末 タイプ210H(平均粒子径0.2〜0.5μm)、フィラメント状ニッケルパウダー タイプ255(平均粒子径2.2〜2.8μm)、フィラメント状ニッケルパウダー タイプ287(平均粒子径2.6〜3.3μm)、ニッケル被覆カーボンファイバー、ニッケル被覆グラファイト(粒子径55〜95μm)、ステンレススチールフレークパウダー、亜鉛フレークパウダー(以上、インコ・リミテッド社製、商品名)、ET−500W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.2〜0.3μm)、ET−600W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.2〜0.3μm)、ET−300W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.03〜0.06μm)、FT−1000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.13μm)、FT−2000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.21μm)、FT−3000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.27μm、以上、石原産業株式会社社製、商品名)、アルブリッド AG035FN(銀被覆フレーム状粉末、平均粒子径35μm)、アルブリッド AG016SN(銀被覆球状粉末、平均粒子径16μm)、ニッケルフレークNI−100(平均粒子径60μm)、ニッケルフレークNI−A(平均粒子径39μm)、ニッケルフレークNI−400(平均粒子径28μm)、カッパフレーク(平均粒子径10μm、以上 東洋アルミニウム株式会社製、商品名)、23−K(平均粒子径0.1〜0.25μm、導電性酸化亜鉛、白水化学工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0037】
導電性粉末として、炭素粉末、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。具体的には、例えば、#3030B(粒子径55nm)、#3040B(粒子径50nm)、#3050B(粒子径50nm)、#3230B(粒子径23nm)、#3350B(粒子径24nm、以上、導電性カーボンブラック、三菱化学株式会社製、商品名)、プリンテックスL(粒子径23mμ)、プリンテックスL6(粒子径18mμ)、プリンテックスXE−2(粒子径30mμ、以上、デグサ・ヒュルス社製、商品名)、ケッチェンブラックEC(粒子径30mμ)、ケッチェンブラックEC600JD(粒子径30mμ、以上、アクゾー ノーベル社製、商品名)などが挙げられる。
【0038】
導電性粉末の配合割合は、アニオン性樹脂100重量部に対して、5重量部〜200重量部、好ましくは10重量部〜100重量部である。配合割合が5重量部未満では、良好な導電性を発現することができず、200重量部を超えると、電着塗料中での安定性が悪く、導電性粉末が沈降し、塗料の貯蔵安定性が悪い。
【0039】
カチオン性電着塗料組成物:
カチオン性樹脂:
カチオン性基としてはアミノ基が代表的なものとして挙げられ、該アミノ基の含有量としては、樹脂のアミン価で約20〜650、特に約30〜600の範囲のものが好ましい。アミン価が約20を下回ると上記と同様に、塗料安定性や金属レパレーターに対する付着性が劣るといった欠点があり、一方、アミン価が約650を上回ると耐食性が劣るといった欠点があるので好ましくない。
【0040】
また、カチオン性樹脂の分子量は、通常重量平均分子量約5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000の範囲が適当である。重量平均分子量が約5,000未満になると耐食性が低下し、一方、100,000を越えると塗膜の平滑性が悪くなる。
【0041】
カチオン性樹脂としては、例えば、下記したエポキシ樹脂、ビニル系共重合体を挙げることができる。
【0042】
これらの樹脂は、樹脂中に水酸基を含有させておくことにより上記ブロックポリイソシアネート、上記アミノ樹脂などの硬化剤で硬化塗膜を形成することができる。
【0043】
該水酸基の含有量としては、水酸基価として、通常30mgKOH/g〜200mgKOH/g、好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gの範囲が適当である。該水酸基価が30mgKOH/g未満では、塗料安定性や得られる塗膜の硬化性が劣り、また200mgKOH/gを越えると耐食性が劣る。硬化剤の配合割合は、カチオン性樹脂100重量部に対して、10重量部〜200重量部、好ましくは20重量部〜150重量部の範囲である。
【0044】
カチオン性エポキシ樹脂としては、アミン付加エポキシ樹脂が挙げられ、該アミン付加エポキシ樹脂は、カチオン性電着塗料組成物において通常使用されているポリアミン樹脂、例えば、(i)ポリエポキシド化合物と1級モノ−及びポリアミン、2級モノ−及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミンとの付加物(例えば米国特許第3,984,299号明細書参照);(ii)ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有する2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば米国特許第4,017,438号明細書参照);(iii) ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物(例えば特開昭59−43013号公報参照)などがある。
【0045】
上記、ポリアミン樹脂の製造に使用されるポリエポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物であり、一般に少なくとも200、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,000の範囲内の数平均分子量を有するものが適しており、特にポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。該ポリエポキシド化合物の形成のために用いうるポリフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナブチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0046】
該、ポリエポキシド化合物はポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアシドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物などと一部反応させたものであってもよく、さらにまた、ε−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものであってもよい。
例えば、ビニル系共重合体を主成分とするカチオン電着塗料組成物において、ビニル系共重合体としては、従来公知のものが使用でき、例えばアミノ基含有モノマーと水酸基含有モノマー、及びその他のビニルモノマーとを共重合してなるものが挙げられる。
【0047】
アミノ基含有モノマーとしては、アミノ基含有アクリル系モノマーが好ましく、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミノアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミド類が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。かかるアミノ基含有モノマーは全モノマー量の3〜20重量%、好ましくは5〜18重量%の範囲で使用されるのが適当である。
【0048】
上記、水酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC1 〜C8 のヒドロキシアルキルエステルが好ましく使用できる。
【0049】
上記、その他のビニルモノマーとしては、アミノ基含有モノマーや水酸基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、 iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC1 〜C24のアルキル又はシクロアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルプロピオネート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ベオバモノマー(シェル化学製品)などのビニルモノマーが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。これらのモノマーは目的とするカチオン電着塗料組成物の性状、及びそれにより形成される塗膜の要求性能に応じて適宜選択できる。
【0050】
以上のようなモノマー類からなる共重合体の製造は、従来公知の方法で行うことができ、一般には溶液重合法に従って行われる。
【0051】
また、ビニル系共重合体としては、グリシジル基含有モノマーと水酸基含有モノマー、及びこれらと共重合可能でグリシジル基と反応しないその他のビニルモノマーとの共重合体にアミンを付加してなるものも挙げられる。
【0052】
上記、グリシジル基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、N−グリシジルアクリルアミド、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。かかるグリシジル基含有モノマーは、全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲で使用されるのが適当である。水酸基含有モノマー及びこれらと共重合可能でグリシジル基と反応しないその他のビニルモノマーは、前述のものが同様に使用できる。またかかるモノマー類からなる共重合体の製造も、従来公知の方法で行うことができる。
【0053】
上記のようにして得られるグリシジル基含有共重合体とアミンとの付加反応は、従来公知の方法に従って行うことができ、例えば該共重合体溶液に第2級アミンを加え約50〜120℃の温度で約1〜20時間反応せしめる方法などが挙げられる。使用されるアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどのアルキルアミン類;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジンなどが挙げられる。かかるアミンの使用量は通常グリシジル基1モル当たり約0.1〜1モルの範囲が適当である。
【0054】
上記したカチオン性樹脂以外にポリイミド系樹脂を使用することができる。該樹脂は上記したポリアミック酸を更に脱水閉環させることによりポリイミド系樹脂が製造できる。
【0055】
ポリイミド系樹脂は、樹脂中のアミド酸基と反応しうる基を有する硬化剤(例えば、ポリエポキシド「ビスフェノールAエピクロルヒドリン、ジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテルなど」、下記ブロックポリイソシアネート基、ポリオール化合物、カルボニル基含有化合物等)を挙げることができる。
【0056】
硬化剤の配合割合は、ポリイミド系樹脂100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部の範囲である。
【0057】
上記したカチオン性樹脂は、カチオン性電着塗料組成物の樹脂成分として使用される。
【0058】
本発明におけるカチオン性電着樹脂塗料組成物は、上記したカチオン性樹脂を中和剤(酢酸、ヒドロキシ酢酸などの酸性化合物)で中和させた中和樹脂と、上記導電性粉末及び上記した硬化剤(ブロックポリイソシアネートの場合はブロックポリイソシアネートの一部が樹脂に化学結合した内部ブロックタイプであっても構わない。)の混合物を水に分散させることにより製造できる。該導電性粉末は、アニオン性電着塗料組成物と同様に予め中和樹脂又は顔料分散剤などにより分散させておくこともできる。
【0059】
導電性粉末の配合割合は、カチオン性樹脂100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。配合割合が5重量部未満では、良好な導電性を発現することができず、200重量を超えると、電着塗料中での安定性が悪く、導電性粉末が沈降し、塗料の貯蔵安定性が悪い。
【0060】
カチオン性電着樹脂塗料組成物の固形分は、2重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜40重量%である。また、該塗料組成物のPHは4〜7、好ましくは5〜6.8の範囲である。
【0061】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、実施例に限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0062】
アニオン性電着塗料1の製造例
テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4g(100ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリモル)を有機溶剤中で60℃で6時間反応させて60%ポリアミック酸樹脂溶液を得た。ポリアミック酸樹脂100重量部に対して(注1)炭化タングステン20重量部になるように配合し、ペブルミルで分散を行い、次いでトリエチルアミンで水分散化物がPHが7になるように中和し、固形分20%のアニオン性電着塗料の製造例1を得た。
【0063】
アニオン性電着塗料2〜4の製造例
アニオン性電着塗料1において、炭化タングステンに代えて表1に記載のものと配合量を使用した以外はアニオン性電着塗料1と同様にして製造しアニオン性電着塗料2〜4を得た。
【0064】
表1に配合及びアニオン性電着塗料の貯蔵安定性の結果を示す。
表1
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1
SUS304に300μmの凹凸を形成した試験板を被塗物(参考図2)とし、上記アニオン電着塗料1を浴温28℃で膜厚20μmになるように塗装した。次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗物を水洗し、余分に付着したアニオン性電着塗料1を除去し、次いで、170℃−20分間電気熱風乾燥機にて硬化乾燥し、膜厚20μmの電着塗膜を得た。
【0067】
実施例2〜4
実施例1において、アニオン性電着塗料1に代えて表1に記載の塗料を使用した以外は実施例1と同様にして電着塗膜を得た。
【0068】
比較例1
実施例1の塗料をフォードカップ#4で20℃で30秒に希釈し、実施例1で使用した試験板の凸面の膜厚が20μmになるようにスプレー塗装した。
【0069】
表2に実施例1〜4の塗膜仕上がり性、及び塗膜性能の試験結果を示す。
表2
【0070】
【表2】
【0071】
カチオン性電着塗料1の製造例
エピコート828EL(油化シェル社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部、ビスフェノールA390部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次にε−カプロラクトン260部、テトラブトキシチタン0.03gを加え、170℃に昇温し、この温度を保ちながら経時でサンプリングを行い、赤外吸収スペクトル測定において未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時点で120℃に温度を下げた。次にジエタノールアミン160g、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン化物65gを加え、120℃で4時間反応させ、ブチルセロソルブ420gを加え、アミン価58、樹脂固形分80%のアミン付加エポキシ樹脂を得た。
【0072】
得られた樹脂固形分80%のアミン付加エポキシ樹脂(a)を更にブチルセロソルブで固形分30%に希釈し、このものの固形分100重量部に対して100重量部の(注1)炭化タングステン100重量部を配合してペブルミル分散を行って導電性粉末ペースト(1)を製造した。
【0073】
上記アミン付加エポキシ樹脂と導電性粉末ペースト(1)とを樹脂100重量部当たり20重量部になるように配合し、次いでブロック化ポリイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート1モルとメチルケトオキシム2モル)30重量部、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32%のカチオン性電着1を得た。
【0074】
カチオン性電着塗料2〜4の製造例
カチオン性電着塗料1において、炭化タングステンに代えて表3に記載のものを使用した以外はカチオン性電着塗料1と同様にして製造しカチオン性電着塗料2〜4を得た。
【0075】
表3に配合及びカチオン性電着塗料の貯蔵安定性の結果を示す。
表3
【0076】
【表3】
【0077】
実施例5
SUS304に300μmの凹凸を形成した試験板を被塗物(参考図2)とし、上記カチオン性電着塗料1を浴温28℃で膜厚20μmになるように塗装した。次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗物を水洗し、余分に付着したカチオン性電着塗料1を除去し、次いで、200℃−20分間電気熱風乾燥機にて硬化乾燥し、膜厚20μmの電着塗膜を得た。
【0078】
実施例6〜8
実施例5において、カチオン性電着塗料1に代えて表4に記載の塗料を使用した以外は実施例5と同様にして電着塗膜を得た。
【0079】
比較例2
実施例5の塗料をフォードカップ#4で20℃で30秒に希釈し、実施例1 で使用した試験板の凸面の膜厚が20μmになるようにスプレー塗装した。
【0080】
表5に実施例5〜8の塗膜仕上がり性、及び塗膜性能の試験結果を示す。
表4
【0081】
【表4】
【0082】
表1及び3に記載の注1〜6の導電性材料は次のとおりである。
注1:炭化タングステン(平均粒子径1〜10μm)
注2:炭化チタン(平均粒子径1〜10μm)
注3:フィラメント状ニッケルパウダータイプ255(インコ・リミテッド社製、商品名)
注4:ニッケル被覆グラファイト(平均粒子径1〜10μm)
注5:炭化タングステン/グラファイト(平均粒子径1〜10μm)
注6:ケッチェンブラックEC600JD (三菱化学株式会社製、商品名)
表2及び表4における試験方法及び評価基準は下記の通りである。
【0083】
電着塗料安定性:室温にて、24時間無攪拌放置後の、顔料沈降がないこと。
○は沈降が無く良好である。×は沈降あり不良である。
耐酸性:10%硫酸水溶液に120時間浸漬後の塗膜の外観を評価した。○は塗膜外観の変化が無く腐食なしで良好である。△はエッジ部が腐食して不良である。×は塗膜が白化し、また全面腐食して著しく悪かった。
【0084】
表面抵抗(mΩcm2):測定方法を記載する。JIS−C−2141に基づいて試験を行った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である単セルの固体電解質型燃料電池の概念図である。
【図2】本発明の実施例で使用した凹凸を形成した試験板の被塗物(セパレータ)の断面図である。
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池金属セパレーター用に適した電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及】従来、ガソリン、灯油、重油などの石油燃料を燃焼させ動力や熱などのエネルギーに変換して、そのエネルギーを自動車、暖房などに利用されている。しかしながら、近年、石油燃料を燃焼させた際に発生するガスが地球環境に悪影響を与えることから問題となっている。この様なガスを全く発生しないで、且つ動力、熱などのエネルギーを得る手段として燃料電池を利用することが考えられている。
【0003】
この様な燃料電池として、例えば、セパレーター、燃料極、固体電解質、ガス拡散電極及びセパレーターを設けてなる固体電解質型燃料電池が、コンパクトで軽量な電源であることから、多方面に利用が考えられている。該セパレーターとしては、電力を取出すために導電性材料で製造されており、更に、電極の表面に反応性ガス(酸素、水素など)を効率よく通すために、通常凹凸の溝が形成されている。この様な機能を有するセパレーターとして、従来、黒鉛が用いられているがこのもの自身が高価であることと、その切削加工のためのコストアップや、物理的強度に問題がある。
【0004】
上記した黒鉛で構成されたセパレーターにおける問題解決として、平板状の導電性金属材料の表面もしくは凹凸に成型された導電性金属材料(リブ付セパレーターとも呼ぶ。)の表面を導電性塗料を塗装する方法が考えられているが、金属材料表面に導電性塗料を均一に塗膜形成することが困難であり、特にリブ付セパレーターにおいては、均一に塗膜を形成させることが困難である。また、導電性塗料を塗装する目的の一つとして、反応性ガスによる導電性金属の腐食を防止することが挙げられるが、従来の導電性塗料では、十分な防食性を発揮することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属セパレーター、特にリブ付セパレーターの表面に均一塗膜を形成し、且つ防食性などに優れた塗膜を形成する導電性塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した問題点を解消するために、従来の固体電解質型燃料電池において、金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいすれか一方に塗膜を形成する塗料として、特定の電着塗料を使用することにより、上記した問題点を全て解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池において、該金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいずれか一方に電着塗膜を形成する、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有することを特徴とする燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における固体電解質型燃料電池は、セパレータ部以外は、従来から公知のものであって、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池である。
【0009】
該金属セパレーターとしては、片面及び/又は両面が凹凸の溝を有するものを使用することができる。凹凸面を有する金属レパレーターを使用した前者における単セルの固体電解質型燃料電池の概念図を図1に示す。
【0010】
また、単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池は、例えば、金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極、金属セパレーター(単セル)、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極、金属セパレーター……………と順次積層してなるものである。該複数積層してなる固体電解質型燃料電池は、上記した如く、通常、200〜500個の単セルが積層された複数積層固体電解質型燃料電池(スタック)である。
【0011】
金属セパレーターの材質としては、電着塗装が可能な材料であれば特に制限なしに従来から公知のものを使用することができ、例えば、ステンレス、鉄、鋼、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、アルマイトなどの金属類、これらの金属合金、該金属メッキシート、該金属積層シートなどが挙げられる。また、該材質表面には必要応じて表面処理、プライマーなどを施すことができる。
【0012】
金属セパレーターの形状としては、通常、シート状、板状であり、その片面もしくは両面に凹凸の溝を形成させたもの(図1参照)を使用することができる。通常、溝の深さは50μm〜500μmであり、溝の幅は50μm〜500μmである。
【0013】
上記した金属セパレーターの表面に塗膜を形成する塗料は、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有する電着塗料組成物である。
【0014】
イオン性樹脂として、アニオン性基含有樹脂を使用したものはアニオン性電着塗料組成物が製造される。一方、カチオン性基含有樹脂を使用したものはカチオン性電着塗料組成物が製造される。
【0015】
まず、アニオン性電着塗料組成物について以下に述べる。
【0016】
アニオン性電着塗料組成物:
アニオン性樹脂:
アニオン性基としてはカルボキシル基が代表的なものとして挙げられ、該カルボキシル基の含有量としては樹脂の酸価で約10mgKOH/g〜200mgKOH/g、特に約20mgKOH/g〜100mgKOH/gの範囲のものが好ましい。 酸価が約10mgKOH/gを下回ると塗料安定性が低下し、また金属セパレーターに対する付着性が劣るといった欠点があり、一方酸価が約200mgKOH/gを上回ると耐食性が劣るといった欠点があるので好ましくない。
【0017】
樹脂の分子量としては、重量平均分子量1000〜100000、特に2000〜50000が好ましい。重量平均分子量が1000未満になると耐食性が低下し、一方、100000を越えると塗膜の平滑性が悪くなる。
アニオン性樹脂としては、例えば、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂などを挙げることができる。
【0018】
これらの樹脂は、樹脂中に水酸基を含有させておくことにより下記ブロックポリイソシアネート、アミノ樹脂などの硬化剤で硬化塗膜を形成することができる。
【0019】
上記したビニル系共重合体としては、従来公知のものが使用でき、例えばカルボキシル基含有モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等)と下記水酸基含有モノマー、及び下記その他のビニルモノマーとを共重合してなるものが挙げられる。
【0020】
水酸基含有モノマーは、1分子中に水酸基とビニル系重合性不飽和結合を有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜8個のヒドロキシアルキルエステルなどがあげられる。
【0021】
その他のビニルモノマーは、水酸基含有ビニルモノマーとラジカル共重合可能な、1分子中にビニル結合を有する化合物であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜24個のアルキル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の官能性(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル単量体;スチレン、ビニルトルエン等のビニル系単量体などがあげられる。
【0022】
また、ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、プロピレンングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチロールブタン酸、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量が300〜6,000なる範囲内のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAまたはハイドロキノン、あるいはそれらのアルキレンオキシド付加体などのような、各種のグリコール成分と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸または1,2−ビス(フェノキシ)エタンーp,p’−ジカルボン酸、あるいはそれらの各種ジカルボン酸の無水物類またはエステル形成性誘導体類;p−ヒドロキシ安息香酸またはp−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはそれらの各種ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などのような、各種の酸成分とからの脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほかに、ε−カプロラクトンの如き、各種の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル類、あるいはそれらの共重合ポリエステル類などが特に代表的なものである。
【0023】
該ポリエステル樹脂の製造は従来から公知の方法により製造することができる。樹脂のカルボキシル基や水酸基は上記した原料の配合割合や、樹脂の反応率を制御することにより含有させることができる。
【0024】
アルキド樹脂は、上記したポリエステル樹脂の酸原料の一部として、従来から公知の不飽和脂肪酸(ヤシ油脂肪酸など)、(半)乾性油脂肪酸(ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸など)及びこれらの油を使用したものが挙げられる。
【0025】
フッ素樹脂は、ラジカル重合性モノマー成分として、一般式CX2 = CX2 (式中、X は同一もしくは異なってH 、Cl、Br、F 、アルキル基又はハロアルキル基を示す。ただし、式中に少なくとも1個のFを含有する。)で表わされるフルオロオレフィン、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート:例えばパーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレ−ト、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の弗素含有モノマー、上記カルボキシル基含有モノマーと下記水酸基含有ビニル系モノマー、及び必要に応じて上記その他のビニル系モノマーとをラジカル共重合反応をさせることによって得られたものが挙げられる。
【0026】
シリコ−ン樹脂は、ラジカル重合性モノマー成分として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、上記カルボキシル基含有モノマーと下記水酸基含有モノマー、及び必要に応じて下記その他のビニルモノマーとをラジカル共重合反応をさせることによって得られたものが挙げられる。
【0027】
上記アミノ硬化剤としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂が使用できる。また、アミノ樹脂をメチロール化したメチロールアミノ樹脂や該樹脂のメチロール基の一部もしくは全部がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコール、2ーエチルヘキシルアルコール等の1種もしくは2種以上の1価アルコールで変性されたものを使用することができる。メラミン樹脂は1核体〜多(約2〜5)核体のものが50重量%以上を占めるものが好ましい。また、アミノ樹脂中にはイミノ基等のその他の官能基を含んでも良い。
【0028】
また、ブロックポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の「脂肪族や脂環族のポリイソシアネート化合物にε−カプロラクトン等のラクトン類やメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類やメチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム類でブロック化したものを使用することができる。
【0029】
硬化剤の配合割合は、上記したアニオン性樹脂100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部の範囲である。
上記した以外にポリアミック酸系樹脂を使用することができる。該樹脂は、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック酸を得ることができる。
【0030】
上記したアニオン性樹脂は、アニオン性電着塗料組成物の樹脂成分として使用される。
【0031】
本発明におけるアニオン性電着樹脂塗料組成物は、上記したアニオン性樹脂を中和剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミンなどの有機塩基性化合物)で中和させた中和樹脂と、下記導電性粉末及び上記した硬化剤の混合物を水に分散させることにより製造できる。該導電性粉末は予め中和樹脂又は顔料分散剤などにより分散させておくこともできる。
【0032】
アニオン性電着樹脂塗料組成物の固形分は、5重量%〜30重量%、好ましくは10重量%〜20重量%である。また、該塗料組成物のPHは6〜9、好ましくは6.5〜8の範囲である。
【0033】
導電性粉末としては、ニッケル、銀などの金属粉末、酸化ニッケル、酸化チタンなどの酸化金属粉末、珪化ジルコニウム、珪化チタンなどの珪化金属、窒化ジルコニウム、窒化チタンなどの窒化金属、硼素化ジルコニウム、硼素化チタン、硼素化タングステンなどの硼化金属、炭化ジルコニウム、炭化チタン(平均粒子径1〜10μm)、炭化タングステン(平均粒子径1〜10μm)などの炭化金属、チタン酸カリウムなどのアルカリ金属などの粉末が挙げられる。
【0034】
導電性粉末として、平均粒子径が0.001μm〜100μm、特に0.01μm〜80μmの範囲のものが塗料貯蔵安定性に優れ、且つ効率よく塗膜に導電性を付与することができるのでこの範囲のものを使用することが好ましい。
【0035】
また、導電性粉末として、 比表面積(m2/g)は0.1〜1300、特に0.5〜500の範囲のものが塗料貯蔵安定性に優れ、且つ効率よく塗膜に導電性を付与することができるのでこの範囲のものを使用することが好ましい。
【0036】
上記した導電性粉末の具体例としては、例えば、ナノテック酸化アルミニウム(平均粒子径0.033μm、球状)、ナノテック酸化亜鉛(平均粒子径0.031μm、多面体)、ナノテック酸化セリウム(平均粒子径0.011μm、角状と球状混合物)、ナノテック酸化チタン(平均粒子径0.03μm、球状、以上、シーアイ化成株式会社製、商品名)、ニッケル微粉末 タイプ110(平均粒子径0.8〜1.5μm)、ニッケル微粉末 タイプ210(平均粒子径0.5〜1.0μm)、ニッケル微粉末 タイプ210H(平均粒子径0.2〜0.5μm)、フィラメント状ニッケルパウダー タイプ255(平均粒子径2.2〜2.8μm)、フィラメント状ニッケルパウダー タイプ287(平均粒子径2.6〜3.3μm)、ニッケル被覆カーボンファイバー、ニッケル被覆グラファイト(粒子径55〜95μm)、ステンレススチールフレークパウダー、亜鉛フレークパウダー(以上、インコ・リミテッド社製、商品名)、ET−500W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.2〜0.3μm)、ET−600W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.2〜0.3μm)、ET−300W(球状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.03〜0.06μm)、FT−1000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.13μm)、FT−2000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.21μm)、FT−3000(針状酸化チタン表面に酸化錫、アンチモン層を被覆、粒子径0.27μm、以上、石原産業株式会社社製、商品名)、アルブリッド AG035FN(銀被覆フレーム状粉末、平均粒子径35μm)、アルブリッド AG016SN(銀被覆球状粉末、平均粒子径16μm)、ニッケルフレークNI−100(平均粒子径60μm)、ニッケルフレークNI−A(平均粒子径39μm)、ニッケルフレークNI−400(平均粒子径28μm)、カッパフレーク(平均粒子径10μm、以上 東洋アルミニウム株式会社製、商品名)、23−K(平均粒子径0.1〜0.25μm、導電性酸化亜鉛、白水化学工業株式会社製、商品名)などが挙げられる。
【0037】
導電性粉末として、炭素粉末、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。具体的には、例えば、#3030B(粒子径55nm)、#3040B(粒子径50nm)、#3050B(粒子径50nm)、#3230B(粒子径23nm)、#3350B(粒子径24nm、以上、導電性カーボンブラック、三菱化学株式会社製、商品名)、プリンテックスL(粒子径23mμ)、プリンテックスL6(粒子径18mμ)、プリンテックスXE−2(粒子径30mμ、以上、デグサ・ヒュルス社製、商品名)、ケッチェンブラックEC(粒子径30mμ)、ケッチェンブラックEC600JD(粒子径30mμ、以上、アクゾー ノーベル社製、商品名)などが挙げられる。
【0038】
導電性粉末の配合割合は、アニオン性樹脂100重量部に対して、5重量部〜200重量部、好ましくは10重量部〜100重量部である。配合割合が5重量部未満では、良好な導電性を発現することができず、200重量部を超えると、電着塗料中での安定性が悪く、導電性粉末が沈降し、塗料の貯蔵安定性が悪い。
【0039】
カチオン性電着塗料組成物:
カチオン性樹脂:
カチオン性基としてはアミノ基が代表的なものとして挙げられ、該アミノ基の含有量としては、樹脂のアミン価で約20〜650、特に約30〜600の範囲のものが好ましい。アミン価が約20を下回ると上記と同様に、塗料安定性や金属レパレーターに対する付着性が劣るといった欠点があり、一方、アミン価が約650を上回ると耐食性が劣るといった欠点があるので好ましくない。
【0040】
また、カチオン性樹脂の分子量は、通常重量平均分子量約5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000の範囲が適当である。重量平均分子量が約5,000未満になると耐食性が低下し、一方、100,000を越えると塗膜の平滑性が悪くなる。
【0041】
カチオン性樹脂としては、例えば、下記したエポキシ樹脂、ビニル系共重合体を挙げることができる。
【0042】
これらの樹脂は、樹脂中に水酸基を含有させておくことにより上記ブロックポリイソシアネート、上記アミノ樹脂などの硬化剤で硬化塗膜を形成することができる。
【0043】
該水酸基の含有量としては、水酸基価として、通常30mgKOH/g〜200mgKOH/g、好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gの範囲が適当である。該水酸基価が30mgKOH/g未満では、塗料安定性や得られる塗膜の硬化性が劣り、また200mgKOH/gを越えると耐食性が劣る。硬化剤の配合割合は、カチオン性樹脂100重量部に対して、10重量部〜200重量部、好ましくは20重量部〜150重量部の範囲である。
【0044】
カチオン性エポキシ樹脂としては、アミン付加エポキシ樹脂が挙げられ、該アミン付加エポキシ樹脂は、カチオン性電着塗料組成物において通常使用されているポリアミン樹脂、例えば、(i)ポリエポキシド化合物と1級モノ−及びポリアミン、2級モノ−及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミンとの付加物(例えば米国特許第3,984,299号明細書参照);(ii)ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有する2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば米国特許第4,017,438号明細書参照);(iii) ポリエポキシド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物(例えば特開昭59−43013号公報参照)などがある。
【0045】
上記、ポリアミン樹脂の製造に使用されるポリエポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物であり、一般に少なくとも200、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,000の範囲内の数平均分子量を有するものが適しており、特にポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。該ポリエポキシド化合物の形成のために用いうるポリフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナブチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0046】
該、ポリエポキシド化合物はポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアシドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物などと一部反応させたものであってもよく、さらにまた、ε−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものであってもよい。
例えば、ビニル系共重合体を主成分とするカチオン電着塗料組成物において、ビニル系共重合体としては、従来公知のものが使用でき、例えばアミノ基含有モノマーと水酸基含有モノマー、及びその他のビニルモノマーとを共重合してなるものが挙げられる。
【0047】
アミノ基含有モノマーとしては、アミノ基含有アクリル系モノマーが好ましく、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミノアルキルアクリルアミド又はメタクリルアミド類が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。かかるアミノ基含有モノマーは全モノマー量の3〜20重量%、好ましくは5〜18重量%の範囲で使用されるのが適当である。
【0048】
上記、水酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC1 〜C8 のヒドロキシアルキルエステルが好ましく使用できる。
【0049】
上記、その他のビニルモノマーとしては、アミノ基含有モノマーや水酸基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、 iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のC1 〜C24のアルキル又はシクロアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルプロピオネート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ベオバモノマー(シェル化学製品)などのビニルモノマーが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上組合せて使用することができる。これらのモノマーは目的とするカチオン電着塗料組成物の性状、及びそれにより形成される塗膜の要求性能に応じて適宜選択できる。
【0050】
以上のようなモノマー類からなる共重合体の製造は、従来公知の方法で行うことができ、一般には溶液重合法に従って行われる。
【0051】
また、ビニル系共重合体としては、グリシジル基含有モノマーと水酸基含有モノマー、及びこれらと共重合可能でグリシジル基と反応しないその他のビニルモノマーとの共重合体にアミンを付加してなるものも挙げられる。
【0052】
上記、グリシジル基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、N−グリシジルアクリルアミド、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。かかるグリシジル基含有モノマーは、全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲で使用されるのが適当である。水酸基含有モノマー及びこれらと共重合可能でグリシジル基と反応しないその他のビニルモノマーは、前述のものが同様に使用できる。またかかるモノマー類からなる共重合体の製造も、従来公知の方法で行うことができる。
【0053】
上記のようにして得られるグリシジル基含有共重合体とアミンとの付加反応は、従来公知の方法に従って行うことができ、例えば該共重合体溶液に第2級アミンを加え約50〜120℃の温度で約1〜20時間反応せしめる方法などが挙げられる。使用されるアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどのアルキルアミン類;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジンなどが挙げられる。かかるアミンの使用量は通常グリシジル基1モル当たり約0.1〜1モルの範囲が適当である。
【0054】
上記したカチオン性樹脂以外にポリイミド系樹脂を使用することができる。該樹脂は上記したポリアミック酸を更に脱水閉環させることによりポリイミド系樹脂が製造できる。
【0055】
ポリイミド系樹脂は、樹脂中のアミド酸基と反応しうる基を有する硬化剤(例えば、ポリエポキシド「ビスフェノールAエピクロルヒドリン、ジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテルなど」、下記ブロックポリイソシアネート基、ポリオール化合物、カルボニル基含有化合物等)を挙げることができる。
【0056】
硬化剤の配合割合は、ポリイミド系樹脂100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部の範囲である。
【0057】
上記したカチオン性樹脂は、カチオン性電着塗料組成物の樹脂成分として使用される。
【0058】
本発明におけるカチオン性電着樹脂塗料組成物は、上記したカチオン性樹脂を中和剤(酢酸、ヒドロキシ酢酸などの酸性化合物)で中和させた中和樹脂と、上記導電性粉末及び上記した硬化剤(ブロックポリイソシアネートの場合はブロックポリイソシアネートの一部が樹脂に化学結合した内部ブロックタイプであっても構わない。)の混合物を水に分散させることにより製造できる。該導電性粉末は、アニオン性電着塗料組成物と同様に予め中和樹脂又は顔料分散剤などにより分散させておくこともできる。
【0059】
導電性粉末の配合割合は、カチオン性樹脂100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。配合割合が5重量部未満では、良好な導電性を発現することができず、200重量を超えると、電着塗料中での安定性が悪く、導電性粉末が沈降し、塗料の貯蔵安定性が悪い。
【0060】
カチオン性電着樹脂塗料組成物の固形分は、2重量%〜50重量%、好ましくは15重量%〜40重量%である。また、該塗料組成物のPHは4〜7、好ましくは5〜6.8の範囲である。
【0061】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、実施例に限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0062】
アニオン性電着塗料1の製造例
テトラカルボン酸二無水物として、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4g(100ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリモル)を有機溶剤中で60℃で6時間反応させて60%ポリアミック酸樹脂溶液を得た。ポリアミック酸樹脂100重量部に対して(注1)炭化タングステン20重量部になるように配合し、ペブルミルで分散を行い、次いでトリエチルアミンで水分散化物がPHが7になるように中和し、固形分20%のアニオン性電着塗料の製造例1を得た。
【0063】
アニオン性電着塗料2〜4の製造例
アニオン性電着塗料1において、炭化タングステンに代えて表1に記載のものと配合量を使用した以外はアニオン性電着塗料1と同様にして製造しアニオン性電着塗料2〜4を得た。
【0064】
表1に配合及びアニオン性電着塗料の貯蔵安定性の結果を示す。
表1
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1
SUS304に300μmの凹凸を形成した試験板を被塗物(参考図2)とし、上記アニオン電着塗料1を浴温28℃で膜厚20μmになるように塗装した。次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗物を水洗し、余分に付着したアニオン性電着塗料1を除去し、次いで、170℃−20分間電気熱風乾燥機にて硬化乾燥し、膜厚20μmの電着塗膜を得た。
【0067】
実施例2〜4
実施例1において、アニオン性電着塗料1に代えて表1に記載の塗料を使用した以外は実施例1と同様にして電着塗膜を得た。
【0068】
比較例1
実施例1の塗料をフォードカップ#4で20℃で30秒に希釈し、実施例1で使用した試験板の凸面の膜厚が20μmになるようにスプレー塗装した。
【0069】
表2に実施例1〜4の塗膜仕上がり性、及び塗膜性能の試験結果を示す。
表2
【0070】
【表2】
【0071】
カチオン性電着塗料1の製造例
エピコート828EL(油化シェル社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部、ビスフェノールA390部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次にε−カプロラクトン260部、テトラブトキシチタン0.03gを加え、170℃に昇温し、この温度を保ちながら経時でサンプリングを行い、赤外吸収スペクトル測定において未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時点で120℃に温度を下げた。次にジエタノールアミン160g、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン化物65gを加え、120℃で4時間反応させ、ブチルセロソルブ420gを加え、アミン価58、樹脂固形分80%のアミン付加エポキシ樹脂を得た。
【0072】
得られた樹脂固形分80%のアミン付加エポキシ樹脂(a)を更にブチルセロソルブで固形分30%に希釈し、このものの固形分100重量部に対して100重量部の(注1)炭化タングステン100重量部を配合してペブルミル分散を行って導電性粉末ペースト(1)を製造した。
【0073】
上記アミン付加エポキシ樹脂と導電性粉末ペースト(1)とを樹脂100重量部当たり20重量部になるように配合し、次いでブロック化ポリイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート1モルとメチルケトオキシム2モル)30重量部、10%ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、固形分32%のカチオン性電着1を得た。
【0074】
カチオン性電着塗料2〜4の製造例
カチオン性電着塗料1において、炭化タングステンに代えて表3に記載のものを使用した以外はカチオン性電着塗料1と同様にして製造しカチオン性電着塗料2〜4を得た。
【0075】
表3に配合及びカチオン性電着塗料の貯蔵安定性の結果を示す。
表3
【0076】
【表3】
【0077】
実施例5
SUS304に300μmの凹凸を形成した試験板を被塗物(参考図2)とし、上記カチオン性電着塗料1を浴温28℃で膜厚20μmになるように塗装した。次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗物を水洗し、余分に付着したカチオン性電着塗料1を除去し、次いで、200℃−20分間電気熱風乾燥機にて硬化乾燥し、膜厚20μmの電着塗膜を得た。
【0078】
実施例6〜8
実施例5において、カチオン性電着塗料1に代えて表4に記載の塗料を使用した以外は実施例5と同様にして電着塗膜を得た。
【0079】
比較例2
実施例5の塗料をフォードカップ#4で20℃で30秒に希釈し、実施例1 で使用した試験板の凸面の膜厚が20μmになるようにスプレー塗装した。
【0080】
表5に実施例5〜8の塗膜仕上がり性、及び塗膜性能の試験結果を示す。
表4
【0081】
【表4】
【0082】
表1及び3に記載の注1〜6の導電性材料は次のとおりである。
注1:炭化タングステン(平均粒子径1〜10μm)
注2:炭化チタン(平均粒子径1〜10μm)
注3:フィラメント状ニッケルパウダータイプ255(インコ・リミテッド社製、商品名)
注4:ニッケル被覆グラファイト(平均粒子径1〜10μm)
注5:炭化タングステン/グラファイト(平均粒子径1〜10μm)
注6:ケッチェンブラックEC600JD (三菱化学株式会社製、商品名)
表2及び表4における試験方法及び評価基準は下記の通りである。
【0083】
電着塗料安定性:室温にて、24時間無攪拌放置後の、顔料沈降がないこと。
○は沈降が無く良好である。×は沈降あり不良である。
耐酸性:10%硫酸水溶液に120時間浸漬後の塗膜の外観を評価した。○は塗膜外観の変化が無く腐食なしで良好である。△はエッジ部が腐食して不良である。×は塗膜が白化し、また全面腐食して著しく悪かった。
【0084】
表面抵抗(mΩcm2):測定方法を記載する。JIS−C−2141に基づいて試験を行った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である単セルの固体電解質型燃料電池の概念図である。
【図2】本発明の実施例で使用した凹凸を形成した試験板の被塗物(セパレータ)の断面図である。
Claims (8)
- 金属セパレーター、燃料極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池又は金属セパレーター、ガス拡散電極、固体電解質膜、ガス拡散電極及び金属セパレーターを設けてなる単セルもしくはその単セルが複数積層してなる固体電解質型燃料電池において、該金属セパレーターの少なくとも1個の片面又は両面のいずれか一方に電着塗膜を形成する、イオン性樹脂及び導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有することを特徴とする燃料電池金属セパレーター用電着塗料組成物。
- 電着塗膜が形成される金属セパレーターにおいて、金属セパレーター面が凹凸面を有することを特徴とする請求項1に記載の電着塗料組成物。
- 導電性粉末として、金属系粉末、金属が表面に被覆された粉末、及び炭素系粉末から選ばれる少なくとも1種の導電性粉末であることを特徴とする請求項1に記載の電着塗料組成物。
- 導電性粉末として、金属系粉末、金属が表面に被覆された粉末、及び炭素系粉末から選ばれる少なくとも1種の導電性粉末であることを特徴とする請求項1に記載の電着塗料組成物。
- 金属系粉末として、金属酸化物、金属珪化物、金属窒化物、及び金属硼化物から選ばれる少なくとも1種の金属系粉末であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電着塗料組成物。
- 導電性粉末の配合割合が、イオン性樹脂100重量部に対して5〜100重量部の範囲であることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
- 電着塗膜の膜厚が、1〜60μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電着塗料組成物。
- 電着塗料組成物が、電気伝導度10mΩ/cm2〜100mΩ/cm2 、固形分2重量%〜30重量%の範囲であることを特徴とする請求項1、2〜7のいずれか1項に記載の電着塗料組成物。
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