JP2004029833A - 感光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】a−Si感光体の円筒体両端部に精度良くかつ確実にフランジを装着し、その後、電子写真装置に取り付けて回転させても、円筒体に回転振れが生じないようにして高品質画像が得られるようにすること。
【解決手段】外周面にアモルファスシリコン感光層1を形成したアルミニウムからなる円筒体2の両端内面に、内径が円筒体2の中央よりも大きなインロー部7を設けてなる感光体において、前記インロー部7の内径を円筒体2の最外端に向かって小さく設定するとともに、該最外端におけるインロー部7の内径Aと、該インロー部7に挿入される円盤状フランジ8の外径Bとを0≦B−A≦0.12mmの関係を満足するように設定する。
【選択図】図3
【解決手段】外周面にアモルファスシリコン感光層1を形成したアルミニウムからなる円筒体2の両端内面に、内径が円筒体2の中央よりも大きなインロー部7を設けてなる感光体において、前記インロー部7の内径を円筒体2の最外端に向かって小さく設定するとともに、該最外端におけるインロー部7の内径Aと、該インロー部7に挿入される円盤状フランジ8の外径Bとを0≦B−A≦0.12mmの関係を満足するように設定する。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアモルファスシリコン感光層を成膜形成した感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)を感光層とした感光体が、すでに製品化されているが、このa−Si感光体はアルミニウム金属からなる円筒体の外周面にa−Si感光層をプラズマCVD法により成膜形成している。
【0003】
そして、上記円筒体の両端にフランジを装着し、これでもってa−Si感光体を電子写真装置に装着するが、円筒体端部の内面にインロー部と呼ばれる削り込み部を設けて、このインロー部にフランジを装着することで装着固定している。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−297500号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平8−146632号公報
【0006】
【特許文献3】
特開昭60−21053号公報
【0007】
【特許文献4】
特開平6−230707号公報
【0008】
【特許文献5】
特開平8−339135号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インロー部を形成したことで、厚みが薄くなり、他の領域と比べ機械的強度が低下し、そのために円筒体を約200〜300℃にまで加熱し、端部の外表面にまでa−Si感光層を延在させて成膜し、ついで冷却すると、円筒体とa−Si感光層との線膨張係数の差により膜内部に大きな応力が発生し、a−Si感光層は円筒体を圧縮させ、その結果、円筒体端部が収縮したり、変形していた。
【0010】
そのため、インロー部にフランジが装着できなくなったり、あるいは円筒体端部の内径がばらついていた。そこで、フランジをインロー部に容易に装着できるように、フランジの外径を円筒体の両端部(インロー部)の内径に比べて小さくしていた。
【0011】
しかしながら、このように径を小さく設定し、フランジをインロー部に装着しても、a−Si感光体を電子写真装置に取り付け、回転させた場合、円筒体端部の収縮、変形によって真円度が低下して、円筒体に回転振れが生じ、その結果、画像の品質が低下していた。
【0012】
そこで、特許文献2には、成膜形成した感光体の内面をテーパー加工するなどして変形を修正し、内径精度を高める技術が提案されているが、このような精密加工をおこなうと、生産コストが大幅に高くなっていた。
【0013】
したがって本発明の目的はa−Si感光体の円筒体両端部に精度良くかつ確実にフランジを装着し、その後、電子写真装置に取り付けて回転させても、円筒体に回転振れが生じないようにして高品質画像が得られるようにしたことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の感光体は、外周面にアモルファスシリコン感光層を形成したアルミニウムからなる円筒体の両端内面に、内径が円筒体の中央よりも大きなインロー部を設けてなる感光体において、前記インロー部の内径を円筒体の最外端に向かって小さく設定するとともに、該最外端におけるインロー部の内径Aと、該インロー部に挿入される円盤状フランジの外径Bとが0≦B−A≦0.12mmの関係を満足することを特徴とする。
【0015】
また本発明の感光体は、前記円盤状フランジの外径Bが、該フランジの端部において略一定であることを特徴とするものである。
【0016】
更に本発明の感光体は、前記円盤状フランジの外径Bが、該フランジの先端部における外径であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の感光体1の工程順を示し、図1はa−Si感光層を成膜形成する前の円筒体の端部断面図、図2はa−Si感光層を成膜形成した円筒体の端部断面図、図3はフランジを圧入した本発明の感光体の端部断面図である。また、図4はa−Si感光層の層構成を示す破断面図である。
【0018】
図1に示す円筒体2はアルミニウム金属からなり、押し出し加工や引き抜き加工などによって円筒状に成形したものであって、a−Si感光層の成膜前に旋盤による切削加工や研削加工などによる粗加工、仕上げ加工を経て、所望の円筒形状や寸法精度にする。
【0019】
上記のように円筒状に成形した場合、内面の精度が劣っていることから、その後の成膜に際し内面でもって固定保持しても外周との間で同軸度がわるくなるという欠点がある。そこで、円筒体2の両端内面を削り込んでインロー部7を設けることで内面精度を高める。
【0020】
つぎに円筒体2の外周面に図4に示すようにa−Si感光層3を成膜形成する。このa−Si感光層3はたとえばキャリア注入阻止層4、光導電層5、表面保護層6とを順次成膜してなり、真空蒸着法、活性反応蒸着法、イオンプレーテイング法、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、熱CVD法、プラズマCVD法などで成膜形成する。
【0021】
ところが、このような成膜工程を経ると成膜工程時に加熱されることによって、膜に圧縮応力が生じ、図2に示すようにインロー部7の内径が小さくなり、変形する場合がある。そこで、本発明においては、インロー部7にアルミニウム金属、樹脂、SUS、セラミックスなどの材質からなる円盤状にしたフランジ8を圧入する。このようなフランジ8については、ほぼ中央部には貫通穴8aが形成されており、この貫通穴8aに軸を通し、この軸を電子写真装置内に固定して感光体1を回転させている。
【0022】
また、上記圧入に当たってフランジ8の外径Bをインロー部7の内径Aに比べてわずかに大きくしてあると、圧入により収縮、変形したインロー部7のアルミニウム部分を押し広げることになり、これによってフランジ8が円筒体2に確実に固定される。なお、インロー部7の内径Aとはa−Si感光層3を成膜形成した後の最外端を測定した値である。
【0023】
この場合、インロー部7の内径Aとフランジ8の外径Bの関係は、0≦B−A≦0.12mm、好適には0.02≦B−A≦0.08mmを満たすよう設定するとよく、B−Aが0.12mmを越えるとフランジの外径Bが大きくなりすぎて、インロー部7が押し広げ、そのためにa−Si感光層3が剥がれる。また、円筒体2のサイズについては、外径を30〜400mmに、長手寸法は100〜1000mmにするとよい。さらにインロー部7形成前の基板厚みは1〜8mm、好適には3〜6mmにすると、加工精度および材料コスト面の双方を満足し得る。
【0024】
さらにまた、フランジ8の圧入部分の幅は圧入した効果を奏するために下限を決定したり、あるいは成膜領域との関係で上限を決定してもよいが、たとえば5〜20mm、好適には7〜15mmの幅にするのが望ましい。
【0025】
かくして本発明の感光体1によれば、0≦B−A≦0.12mmの関係を満たすようにインロー部7の内径Aとフランジ8の外径Bを設定することで、円筒体2の両端にそれぞれフランジ8を圧入させた場合に精度良くかつ確実に装着され、電子写真装置に装着した場合、真円度に優れることで回転振れが生じなくなり、その結果、高品質な画像が得られた。
【0026】
また、本発明においては、インロー部7の端面角部aに対しC面もしくはR面に処理したり、あるいはフランジ8の挿入先角部bに対しC面もしくはR面に処理することで、フランジ8をインロー部7に容易に圧入させることができる。
【0027】
【実施例】
純度99.9%のアルミニウムからなる円筒体に対し、切削加工や研削加工などによる粗加工、仕上げ加工をおこない、これによって外径100mm、長手寸法350mm、厚み3mmの円筒体2を作製した。ついでこの円筒体2の両端部にインロー部7を形成する。このインロー部7は円筒体の内面中央付近を保持した状態で、L型の切削工具を用いて削り込んで形成する。双方のインロー部7は円筒体2の端から6mmの幅でもって形成し、さらに削り込み量によってインロー部の内径を幾とおりにも変えた各種試料を作製した。
【0028】
つぎに各試料の円筒体外周面にプラズマCVD法によってa−Si感光層3を成膜形成した。このa−Si感光層3は表1に示す条件で厚み2μmのキャリア注入阻止層4、厚み70μmの光導電層5、厚み1μmの表面保護層6とを順次成膜した。
【0029】
【表1】
【0030】
このように成膜形成した各試料(試料No.1〜試料No.10)の感光体について、それぞれのインロー部7の内径Aを測定したところ、表2に示すような結果が得られた。各試料の内径Aは各円筒体の回転軸に対し45°ずつ角度を変えた4方向でもって測定し、その平均値で表す。
【0031】
【表2】
【0032】
つぎに各試料のインロー部7に対し、外径Aが95.000mmであるフランジ8を圧入し、膜の剥がれ状態を調べたところ、表2に示すような結果が得られた。○印はまったく剥がれなかった場合であり、△印は円筒体端部が幅2mm以下で膜剥がれが生じた場合である。
【0033】
また、各試料を電子写真装置に装着し、外周での回転振れを図5に示す測定装置Sで測定した。
【0034】
この測定装置Sは定盤9上に一対のVブロック10を対向配設したものであって、さらに各試料の感光体12に軸11を貫通させ、軸11の両端を一対のVブロック10に固定している。そして、ダイヤルゲージ16を感光体12の外周面に当接させ、感光体12の1周分の回転振れをダイヤルゲージ16の振れでもって測定した。測定部位は感光体12の中央部(部位14)ならびに両端部から50mmの部位13、15にした。
【0035】
この測定結果は表2に示すとおりであるが、回転振れが50μm未満であれば、画像濃度にムラが生じなくなり、50μm以上になると感光体12の周方向に電位変動が発生し、画像濃度にムラが生じる。
【0036】
そして、これら膜剥がれおよび回転振れの双方でもって評価した。○印は膜剥がれおよび回転振れがともに発生せず、実用上まったく支障がない場合であり、△印は膜剥がれおよび回転振れのうちいずれかに若干問題がある場合であり、×印は大きな回転振れが生じて実用に供しえない場合である。
【0037】
かくして本発明の試料No.2〜試料No.8においては、膜剥がれが発生せず、さらに回転振れも著しく小さくて画像濃度にムラが生じなかった。しかるに試料No.1ではインロー部7の内径Aが小さいことで円筒体端部に膜剥がれが発生し、試料No.9ではインロー部7の内径Aが大きくなって、わずかに回転振れが生じて、画像濃度に若干ムラが生じた。さらに試料No.10では大きな回転振れが生じて、画像濃度ムラが顕著に発生し、実用に供しえなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の感光体によれば、精度良くかつ確実にフランジが感光体に装着され、これによって電子写真装置に装着した場合、円筒体に回転振れが生じなくなり、その結果、画像濃度ムラのない高品質の画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】アモルファスシリコン感光層を成膜形成する前の円筒体の端部断面図である。
【図2】アモルファスシリコン感光層を成膜形成した円筒体の端部断面図である。
【図3】フランジを圧入した本発明の感光体の端部断面図である。
【図4】アモルファスシリコン感光層の層構成を示す破断面図である。
【図5】感光体の回転振れをはかる測定装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 基板(円筒体)
3 アモルファスシリコン感光層
4 キャリア注入阻止層
5 光導電層
6 表面保護層
7 インロー部
8 フランジ
8a 貫通穴
A インロー部の内径
B フランジの外径
S 回転振れ測定装置
【発明の属する技術分野】
本発明はアモルファスシリコン感光層を成膜形成した感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)を感光層とした感光体が、すでに製品化されているが、このa−Si感光体はアルミニウム金属からなる円筒体の外周面にa−Si感光層をプラズマCVD法により成膜形成している。
【0003】
そして、上記円筒体の両端にフランジを装着し、これでもってa−Si感光体を電子写真装置に装着するが、円筒体端部の内面にインロー部と呼ばれる削り込み部を設けて、このインロー部にフランジを装着することで装着固定している。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−297500号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平8−146632号公報
【0006】
【特許文献3】
特開昭60−21053号公報
【0007】
【特許文献4】
特開平6−230707号公報
【0008】
【特許文献5】
特開平8−339135号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インロー部を形成したことで、厚みが薄くなり、他の領域と比べ機械的強度が低下し、そのために円筒体を約200〜300℃にまで加熱し、端部の外表面にまでa−Si感光層を延在させて成膜し、ついで冷却すると、円筒体とa−Si感光層との線膨張係数の差により膜内部に大きな応力が発生し、a−Si感光層は円筒体を圧縮させ、その結果、円筒体端部が収縮したり、変形していた。
【0010】
そのため、インロー部にフランジが装着できなくなったり、あるいは円筒体端部の内径がばらついていた。そこで、フランジをインロー部に容易に装着できるように、フランジの外径を円筒体の両端部(インロー部)の内径に比べて小さくしていた。
【0011】
しかしながら、このように径を小さく設定し、フランジをインロー部に装着しても、a−Si感光体を電子写真装置に取り付け、回転させた場合、円筒体端部の収縮、変形によって真円度が低下して、円筒体に回転振れが生じ、その結果、画像の品質が低下していた。
【0012】
そこで、特許文献2には、成膜形成した感光体の内面をテーパー加工するなどして変形を修正し、内径精度を高める技術が提案されているが、このような精密加工をおこなうと、生産コストが大幅に高くなっていた。
【0013】
したがって本発明の目的はa−Si感光体の円筒体両端部に精度良くかつ確実にフランジを装着し、その後、電子写真装置に取り付けて回転させても、円筒体に回転振れが生じないようにして高品質画像が得られるようにしたことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の感光体は、外周面にアモルファスシリコン感光層を形成したアルミニウムからなる円筒体の両端内面に、内径が円筒体の中央よりも大きなインロー部を設けてなる感光体において、前記インロー部の内径を円筒体の最外端に向かって小さく設定するとともに、該最外端におけるインロー部の内径Aと、該インロー部に挿入される円盤状フランジの外径Bとが0≦B−A≦0.12mmの関係を満足することを特徴とする。
【0015】
また本発明の感光体は、前記円盤状フランジの外径Bが、該フランジの端部において略一定であることを特徴とするものである。
【0016】
更に本発明の感光体は、前記円盤状フランジの外径Bが、該フランジの先端部における外径であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の感光体1の工程順を示し、図1はa−Si感光層を成膜形成する前の円筒体の端部断面図、図2はa−Si感光層を成膜形成した円筒体の端部断面図、図3はフランジを圧入した本発明の感光体の端部断面図である。また、図4はa−Si感光層の層構成を示す破断面図である。
【0018】
図1に示す円筒体2はアルミニウム金属からなり、押し出し加工や引き抜き加工などによって円筒状に成形したものであって、a−Si感光層の成膜前に旋盤による切削加工や研削加工などによる粗加工、仕上げ加工を経て、所望の円筒形状や寸法精度にする。
【0019】
上記のように円筒状に成形した場合、内面の精度が劣っていることから、その後の成膜に際し内面でもって固定保持しても外周との間で同軸度がわるくなるという欠点がある。そこで、円筒体2の両端内面を削り込んでインロー部7を設けることで内面精度を高める。
【0020】
つぎに円筒体2の外周面に図4に示すようにa−Si感光層3を成膜形成する。このa−Si感光層3はたとえばキャリア注入阻止層4、光導電層5、表面保護層6とを順次成膜してなり、真空蒸着法、活性反応蒸着法、イオンプレーテイング法、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、熱CVD法、プラズマCVD法などで成膜形成する。
【0021】
ところが、このような成膜工程を経ると成膜工程時に加熱されることによって、膜に圧縮応力が生じ、図2に示すようにインロー部7の内径が小さくなり、変形する場合がある。そこで、本発明においては、インロー部7にアルミニウム金属、樹脂、SUS、セラミックスなどの材質からなる円盤状にしたフランジ8を圧入する。このようなフランジ8については、ほぼ中央部には貫通穴8aが形成されており、この貫通穴8aに軸を通し、この軸を電子写真装置内に固定して感光体1を回転させている。
【0022】
また、上記圧入に当たってフランジ8の外径Bをインロー部7の内径Aに比べてわずかに大きくしてあると、圧入により収縮、変形したインロー部7のアルミニウム部分を押し広げることになり、これによってフランジ8が円筒体2に確実に固定される。なお、インロー部7の内径Aとはa−Si感光層3を成膜形成した後の最外端を測定した値である。
【0023】
この場合、インロー部7の内径Aとフランジ8の外径Bの関係は、0≦B−A≦0.12mm、好適には0.02≦B−A≦0.08mmを満たすよう設定するとよく、B−Aが0.12mmを越えるとフランジの外径Bが大きくなりすぎて、インロー部7が押し広げ、そのためにa−Si感光層3が剥がれる。また、円筒体2のサイズについては、外径を30〜400mmに、長手寸法は100〜1000mmにするとよい。さらにインロー部7形成前の基板厚みは1〜8mm、好適には3〜6mmにすると、加工精度および材料コスト面の双方を満足し得る。
【0024】
さらにまた、フランジ8の圧入部分の幅は圧入した効果を奏するために下限を決定したり、あるいは成膜領域との関係で上限を決定してもよいが、たとえば5〜20mm、好適には7〜15mmの幅にするのが望ましい。
【0025】
かくして本発明の感光体1によれば、0≦B−A≦0.12mmの関係を満たすようにインロー部7の内径Aとフランジ8の外径Bを設定することで、円筒体2の両端にそれぞれフランジ8を圧入させた場合に精度良くかつ確実に装着され、電子写真装置に装着した場合、真円度に優れることで回転振れが生じなくなり、その結果、高品質な画像が得られた。
【0026】
また、本発明においては、インロー部7の端面角部aに対しC面もしくはR面に処理したり、あるいはフランジ8の挿入先角部bに対しC面もしくはR面に処理することで、フランジ8をインロー部7に容易に圧入させることができる。
【0027】
【実施例】
純度99.9%のアルミニウムからなる円筒体に対し、切削加工や研削加工などによる粗加工、仕上げ加工をおこない、これによって外径100mm、長手寸法350mm、厚み3mmの円筒体2を作製した。ついでこの円筒体2の両端部にインロー部7を形成する。このインロー部7は円筒体の内面中央付近を保持した状態で、L型の切削工具を用いて削り込んで形成する。双方のインロー部7は円筒体2の端から6mmの幅でもって形成し、さらに削り込み量によってインロー部の内径を幾とおりにも変えた各種試料を作製した。
【0028】
つぎに各試料の円筒体外周面にプラズマCVD法によってa−Si感光層3を成膜形成した。このa−Si感光層3は表1に示す条件で厚み2μmのキャリア注入阻止層4、厚み70μmの光導電層5、厚み1μmの表面保護層6とを順次成膜した。
【0029】
【表1】
【0030】
このように成膜形成した各試料(試料No.1〜試料No.10)の感光体について、それぞれのインロー部7の内径Aを測定したところ、表2に示すような結果が得られた。各試料の内径Aは各円筒体の回転軸に対し45°ずつ角度を変えた4方向でもって測定し、その平均値で表す。
【0031】
【表2】
【0032】
つぎに各試料のインロー部7に対し、外径Aが95.000mmであるフランジ8を圧入し、膜の剥がれ状態を調べたところ、表2に示すような結果が得られた。○印はまったく剥がれなかった場合であり、△印は円筒体端部が幅2mm以下で膜剥がれが生じた場合である。
【0033】
また、各試料を電子写真装置に装着し、外周での回転振れを図5に示す測定装置Sで測定した。
【0034】
この測定装置Sは定盤9上に一対のVブロック10を対向配設したものであって、さらに各試料の感光体12に軸11を貫通させ、軸11の両端を一対のVブロック10に固定している。そして、ダイヤルゲージ16を感光体12の外周面に当接させ、感光体12の1周分の回転振れをダイヤルゲージ16の振れでもって測定した。測定部位は感光体12の中央部(部位14)ならびに両端部から50mmの部位13、15にした。
【0035】
この測定結果は表2に示すとおりであるが、回転振れが50μm未満であれば、画像濃度にムラが生じなくなり、50μm以上になると感光体12の周方向に電位変動が発生し、画像濃度にムラが生じる。
【0036】
そして、これら膜剥がれおよび回転振れの双方でもって評価した。○印は膜剥がれおよび回転振れがともに発生せず、実用上まったく支障がない場合であり、△印は膜剥がれおよび回転振れのうちいずれかに若干問題がある場合であり、×印は大きな回転振れが生じて実用に供しえない場合である。
【0037】
かくして本発明の試料No.2〜試料No.8においては、膜剥がれが発生せず、さらに回転振れも著しく小さくて画像濃度にムラが生じなかった。しかるに試料No.1ではインロー部7の内径Aが小さいことで円筒体端部に膜剥がれが発生し、試料No.9ではインロー部7の内径Aが大きくなって、わずかに回転振れが生じて、画像濃度に若干ムラが生じた。さらに試料No.10では大きな回転振れが生じて、画像濃度ムラが顕著に発生し、実用に供しえなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の感光体によれば、精度良くかつ確実にフランジが感光体に装着され、これによって電子写真装置に装着した場合、円筒体に回転振れが生じなくなり、その結果、画像濃度ムラのない高品質の画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】アモルファスシリコン感光層を成膜形成する前の円筒体の端部断面図である。
【図2】アモルファスシリコン感光層を成膜形成した円筒体の端部断面図である。
【図3】フランジを圧入した本発明の感光体の端部断面図である。
【図4】アモルファスシリコン感光層の層構成を示す破断面図である。
【図5】感光体の回転振れをはかる測定装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 基板(円筒体)
3 アモルファスシリコン感光層
4 キャリア注入阻止層
5 光導電層
6 表面保護層
7 インロー部
8 フランジ
8a 貫通穴
A インロー部の内径
B フランジの外径
S 回転振れ測定装置
Claims (3)
- 外周面にアモルファスシリコン感光層を形成したアルミニウムからなる円筒体の両端内面に、内径が円筒体の中央よりも大きなインロー部を設けてなる感光体において、
前記インロー部の内径を円筒体の最外端に向かって小さく設定するとともに、該最外端におけるインロー部の内径Aと、該インロー部に挿入される円盤状フランジの外径Bとが0≦B−A≦0.12mmの関係を満足することを特徴とする感光体。 - 前記円盤状フランジの外径Bは、該フランジの端部において略一定であることを特徴とする請求項1に記載の感光体。
- 前記円盤状フランジの外径Bは、該フランジの先端部における外径であることを特徴とする請求項1に記載の感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003204158A JP2004029833A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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