JP2004027445A - ゴム手袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】2層構造からなるゴム手袋であって、内層と外層との接着性がよく、アレルギー誘発が抑制されており、しかも内層面への植毛が良好に施されたゴム手袋を提供する。
【解決手段】内層と外層を有する2層構造のゴム手袋であって、外層が天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムからなり、内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムからなるゴム手袋。前記アクリル系モノマーとしてはビニル基を2個以上有するモノマーが好ましい。上記構造にしたことにより、内層面への植毛の付き具合が著しく改善される。
【選択図】なし
【解決手段】内層と外層を有する2層構造のゴム手袋であって、外層が天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムからなり、内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムからなるゴム手袋。前記アクリル系モノマーとしてはビニル基を2個以上有するモノマーが好ましい。上記構造にしたことにより、内層面への植毛の付き具合が著しく改善される。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2層構造からなるゴム手袋に関し、さらに詳しくは内層と外層の接着性がよく、アレルギー誘発が抑制されており、内層面に良好な植毛が施されたゴム手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム製あるいは樹脂製手袋は、その使用目的により多種のものが存在し、機能改善が図られている。例えば、実開平6−42915号公報は、天然ゴム(NR)編布で構成した手袋基体の外表面天然ゴム(NR)層を設け、その外表面に変性ウレタン層あるいは変性NR層を介してアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)皮膜を設けた作業用手袋を開示し、強度、柔軟性、耐油性の向上を図っている。
【0003】
特表平7−506642号公報には、シーケンシャルコポリマーから構成された打粉不含のクリーン用、実験用あるいは手術用手袋が提案されている。また、特開2002−20915号公報には、樹脂エマルジョンから一体形成された手袋であって、手首よりも袖口側の引張応力が手首より指先側の引張応力よりも大きい手袋を提案し、これによって着脱感を向上させている。
一方、ゴム製あるいは樹脂製手袋の中には、例えば炊事用手袋にみられるように、その内面に植毛を施すことにより、装脱着性を良くし、保温性を持たせる工夫がなされている。ゴム手袋は、塩化ビニル製手袋に比べて植毛の着き具合が悪い傾向が見られる。従来の天然ゴム製手袋は、植毛の接着層となる内面側には外面と同じく天然ゴムが用いられている。また、塩化ビニル製手袋は、植毛の接着層として接着力の大きいアクリル系ポリマーで内面層を形成している。しかし、塩化ビニルはダイオキシン問題やフタル酸等による環境ホルモン影響物質との関係から廃棄処理には慎重な取り扱いが必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ゴム手袋の装脱着性や保温性を向上させるには、内層面に植毛することが有効な手段になり得るが、内層面をゴム製にするとき植毛性が悪いという問題がある。これに対して、塩化ビニル製手袋は、内面をアクリル系ポリマーからなる層にすれば、植毛にレーヨンなどのアクリルとの接着性が良いものを用いることにより植毛性がよくなる。
【0005】
ゴム手袋では内面ゴム層と植毛とのコットンパイルの接着性があまりよくないことに起因して着毛性を悪くなるものと考えられる。しかしながら、天然ゴムと通常のアクリル系ポリマーの接着性が非常に悪いことから、ゴム手袋の内面層としてアクリル系ポリマーを使用することはできない。
一方において、近年、天然ゴム製手袋を使用すると、数時間後に呼吸困難やアナフィラキシー様症状を示す即時型(I型)アレルギーと、接触後1〜2日で紅斑、乾燥、亀裂といった湿疹の症状を呈する遅延型(II型)アレルギーを起こす恐れのあることが報告されている。このうち、即時型アレルギーは、天然ゴムに含まれている蛋白質が抗原となって誘発すると推測され、製造工程でのリーチング(洗浄)や脱蛋白された天然ゴムラテックスを用いることにより、手袋から溶出される蛋白質量を減らすことが検討されている。また遅延型アレルギーは、ゴム手袋製造時に硫黄加硫において使用する加硫促進剤が原因であると考えられている。しかしながら、手袋のような強度を必要とするフィルム製品を天然ゴムで作製する場合、加硫用薬剤の添加は不可欠である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、2層構造からなるゴム手袋であって、内層と外層の接着性がよく、アレルギー誘発が抑制されており、内層面に良好な植毛が施されたゴム手袋を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らはゴム手袋の内層を形成するためのゴム材料について種々検討していたところ、天然ゴムラテックスにアクリル系モノマーをグラフト反応させて得られる改質天然ゴムラテックスを用いると外層を形成するゴム層との接着がよく、しかも植毛の付き具合が著しく改善するとの知見を得たものである。この知見に基づいて、さらに検討を進めたところ、ゴムラテックスをグラフト化するアクリル系モノマー、とりわけビニル基を2個以上有するモノマー、を使用すると、得られる改質天然ゴムラテックスは硫黄加硫しなくても、外層によく接着されること、また外層のゴム材料として天然ゴムのみならず、合成ゴムあるいは天然ゴムと合成ゴムとのブレンドゴムであっても使用可能であることなどの結果を得、本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のゴム手袋に関するものである。
1)内層と外層を有する2層構造のゴム手袋であって、外層が天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムからなり、内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムからなることを特徴とするゴム手袋。
2)前記アクリル系モノマーがビニル基を2個以上有するモノマーであることを特徴とする上記1)項記載のゴム手袋。
【0009】
3)前記内層に植毛を施したことを特徴とする上記1)項または2)項記載のゴム手袋。
本発明のゴム手袋は、家庭用、作業用、検査用あるいは手術用などゴム手袋全般を包含する。
本発明のゴム手袋は、その外層は通常どおり天然ゴムまたは/および合成ゴムで形成されたものであるが、内層に前記の改質天然ゴムラテックスを用いていることによりその中に加硫剤である硫黄や加硫促進剤などを添加しなくても、外層面に強く接着することができる。従って、遅延型(II型)アレルギー誘発の防止に有効であり、脱蛋白された改質天然ゴムラテックスを内層とすれば、即時型(I型)および遅延型(IV型)のいずれのアレルギーも引き起こす恐れのないゴム手袋となり得る。また、前記内層面は、植毛を施したときの付き具合が極めて良好である。
【0010】
本発明において、天然ゴムおよび天然ゴムラテックスは、脱蛋白処理の有無を問わず、いずれも包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の2層構造を有するゴム手袋について、その構成と製造方法を以下に説明する。
<外層ゴム>
本発明のゴム手袋の外層は、天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムより構成される。天然ゴムは脱蛋白処理されたもの、脱蛋白処理されていないもののいずれであってもよい。合成ゴムとしては、通常、手袋の製造に用いられているものであればよいが、例えばアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。また、前記ブレンドゴムにおける天然ゴムと合成ゴムの配合割合は、相溶性を有する限り、任意に選択される。外層の厚みは、通常、ゴム層全体の厚み(植毛を含まない)の約50〜80%とする。
【0012】
<内層ゴム>
本発明の2層よりなるゴム手袋の大きな特徴は、前述したとおり、その内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムで形成されていることにある。すなわち、天然ゴムラテックスに、アクリル系モノマーを反応させてゴム分子間に架橋構造を形成させてなる改質天然ゴムを内層とする。前記天然ゴムラテックスは、ゴム分子中に二重結合を有するものであって、脱蛋白処理の有無は問わない。
【0013】
これらのアクリル系モノマーの中でも、分子中にビニル基を2個以上有する反応性モノマーが望ましく、その例としては、メタクリル酸アリル、1,3−ブタンジオールジメタアクリレート(1,3−Butanediol dimethacrylate)、エチレングリコールジメタアクリレ−ト(Ethylene glycol dimethacrylate)などの2官能性アクリル系モノマーや、トリエチレングリコールメタアクリレート (Triethylene glycol dimethacrylate)あるいはテトラエチレングリコールジアクリレート(Tetraethylene glycol diacrylate)などの多官能性のアクリル系モノマーが挙げられる。また、ビニル基を2個有するジビニルベンゼンのようなアクリル系以外のモノマーであってもよい。ビニル基の数は、分子中に2個以上を有するものであればよいが、通常は5個程度が上限の個数である。
【0014】
天然ゴムラテックスに、前記反応性モノマーを反応させてゴム分子間に架橋構造を形成(グラフト化)することによって改質する。このときの改質条件は、浸漬法によりゴム手袋を作製するとき、所望の機械的特性と、製膜性などの機能が付与されるように、諸条件を選択する。この改質は、例えば次のようにして実施できる。
すなわち、原料天然ゴムラテックスを、固形分濃度10〜60重量%、好ましくは30〜50重量%に調整し、そこに安定化剤として界面活性剤を0.05〜0.5phr、好ましくは0.05〜0.1phrを添加する。次いで、反応開始剤、前記したビニル基を2個以上有する反応性モノマーの順に滴下して、30℃付近で、約1〜10時間、好ましくは約3〜5時間、反応を行ってゴム分子間に架橋構造を形成させて、改質する。
【0015】
前記界面活性剤としては、脂肪酸やアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステルなどの金属塩やアンモニウム塩などの陰イオン系界面活性剤、もしくはアルキルアミン塩や四級アンモニウム塩などの両性界面活性剤などが挙げられる。
前記反応の反応開始剤としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、もしくはベンゾイルパーオキサイドやt−ブチルヒドロキシパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイドのような過酸化物、さらには過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや過酸化物とアミンとの組み合わせなどのようなレドックス系開始剤が挙げられる。
【0016】
反応開始剤の添加量は、原料ゴムラテックスの固形分濃度や反応性モノマーの添加量によって異なるが、一般的に反応系全量に対して約1×10−3〜9×10−3mol/Lであり、好ましくは3×10−3〜5×10−3mol/Lである。
本発明のゴム手袋において、内面層の厚みは、通常、ゴム層全体(植毛を含まない)の約20〜50%とする。
<2層よりなるゴム手袋の製造>
本発明のゴム手袋は、浸漬法を採用し、例えば次の順序により作製できる。
【0017】
▲1▼ 外層ゴム材を30〜50重量%含むラテックスに、加硫剤、加硫促進剤と、必要により安定化剤や老化防止剤を添加し、室温(30℃付近)で24〜48時間加硫を行ない、前加硫ラテックスを調製する。この前加硫ラテックス用いて、浸漬法により手袋の型表面に第1層(外層)を形成させ、比較的に低温短時間(温度50〜70℃、乾燥時間0.5〜2分)で乾燥する。
▲2▼ 前記の乾燥のあと、続けて前記改質天然ゴムラテックスに浸漬し、第2層目(内層)を積層する。
【0018】
▲3▼ その第2層目に所望により植毛を施した後、積層体を比較的に高温長時間(温度100〜120℃、乾燥時間20〜45分)で乾燥し、得られた積層体を反転脱型し、第1層を外側に、第2層を内側にすることによって、本発明で目的とするゴム手袋を作製できる。
上記の製造工程において、第1層目形成の浸漬法自体は、常法により凝固液を付着した所望の型をゴムラテックス中に浸漬することにより製膜し、引き上げてから、脱型して成形する一般的方法に準じて実施すればよい。例えば、凝固液、浸漬温度、浸漬時間、乾燥温度、乾燥時間や、ゴム製品を形成するための型、などは基本的に従来と同様である。また、第2層目形成は、改質天然ゴムラテックスに加硫用薬剤を添加しなくてもよいこと以外は、従来の浸漬法に準じて、第1層目上に積層すればよい。
【0019】
本発明の2層構造のゴム手袋において、内面層への植毛は、従来公知の方法によりパイルを植毛することができる。例えば、アクリル系接着剤に浸漬後、70℃程度で約2分間乾燥し、次いで3万ボルト程度の高電圧をかける静電植毛法でパイルを植毛することにより、高密度で植毛されたゴム手袋が得られる。植毛に用いられるパイルとしては、太さ0.5〜1.5デニール、長さ0.3〜1mm程度の、レーヨン、コットンなどの繊維が用いられる。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例の記載において、単に「天然ゴム」および「天然ゴムラテックス」と記載するときは脱蛋白処理をしていないものを意味し、脱蛋白処理したものについてはその旨記載する。
実施例1
(改質天然ゴムラテックスの調製)
天然ゴムラテックスを固形分濃度50重量%に調整した後、ゴム分100部(乾物ベース)に対し界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを0.05phrの割合となるように添加し、その後窒素ガス置換を行った。次に、攪拌しながら反応開始剤としてt−ブチルヒドロペルオキシド[70%溶液、和光純薬工業(株)製]およびテトラエチレンペンタミン[東京化成工業(株)製]をそれぞれ反応系全量に対して7.8×10−3mol/Lとなるように添加し、さらにモノマーとしてメチルメタアクリレート(Methylmethacrylate )10phrを約24時間かけて滴下した。滴下後、30℃で3時間グラフト反応を行って、架橋構造を形成させて、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを固形分濃度40%に調整し、2層構造のゴム手袋の内面層(第2層目)形成に用いた
(2層ゴム手袋の製造)
天然ゴムラテックス100重量部(乾燥ベース)に対して硫黄1重量部、亜鉛華1重量部、加硫促進剤(BZ: ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1重量部と、老化防止剤(p−クレゾ−ルとジクロロペンタジエンのブチル化生成物)の適量を添加し、30℃で24〜48時間前加硫を行った。この前加硫天然ゴムラテックスを、2層構造のゴム手袋の外面層(第1層目)形成に用いた。
【0021】
前記の第1層目用の前加硫天然ゴムラテックスに、凝固液(硝酸カルシウム30%水溶液)を均一に付着し50℃に加温した手袋型を浸漬し、直ちに引き上げ、70℃で1分間乾燥し製膜した。続いて、この製膜した手袋型を前記第2層目用の改質天然ゴムラテックスに浸漬し、直ちに引き上げた。その後、レーヨンパイルによる植毛を施し、次いで100℃のオーブン中で30分間放置して加硫をおこなった。得られた積層体を反転脱型し、第1層目を外側に、第2層目を内側にすることによって、2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0022】
実施例2
実施例1における改質天然ゴムラテックスの調製において、モノマーとしてメチルメタアクリレート(Methylmethacrylate )20phrを添加したこと以外は同様にしてグラフト反応を実施して、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを第1層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0023】
実施例3
実施例1における改質天然ゴムラテックスの調製において、モノマーとしてメタアクリル酸アリルエステル(Methacrylic acid allyl ester)10phrを添加したこと以外は同様にしてグラフト反応を実施して、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを第1層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0024】
実施例4
実施例2において、天然ゴムラテックスに代えて、脱蛋白天然ゴムラテックスを用いたほかは同様に処理して改質脱蛋白天然ゴムラテックスを調製した。この改質脱蛋白天然ゴムラテックスを第2層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
実施例5
NBRラテックス(日本ゼオン製「LX550L」)を第1層形成に用い、実施例2で得た改質天然ゴムラテックスを第1層形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0025】
比較例1
実施例1において、第2層目の形成に天然ゴムラテックスを用いたこと以外は同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
比較例2
実施例1において、第2層目の形成用にアクリル系エマルジジョン(LX854E)を用いて同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0026】
比較例3
市販のポリ塩化ビニル製手袋(ダンロップホームプロダクツ社製「さわやかビニル薄手」)を評価比較に用いた。
〔評価試験〕
上記の実施例および比較例で得た2層手袋について、以下の評価試験を行った結果を表1に示す。
【0027】
・2層(内面/外面)の接着性
上記の実施例および比較例で得た2層手袋について、手で引っ張ったとき2層間が簡単に剥離するものを×、剥離できないものを○、で表わした
・植毛の付き具合
上記の実施例および比較例で得た2層手袋から、10cm×10cmのシートを切り取り、その重量を測定する。次いで、そのシ−ト上の植毛を削ぎ取り、再度、シート重量を測定する。このときの重量差(植毛の重量)が150mg以上のものを◎、100〜149mgのものを○、99mg以下のものを×としてそれぞれ植毛の付き具合を評価した。
【0028】
植毛の重量(mg)= シート重量(mg)− そぎ取り後のシート重量(mg)
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すとおり、実施例1〜5において内層をグラフト化による改質天然ゴムまたは改質脱蛋白天然ゴムで形成したゴム手袋は、外層との接着性がよく、また植毛の付き具合もポリ塩化ビニル製手袋と同程度もしくはそれ以上であった。これに対して、比較例1において内層を通常の天然ゴムで形成したゴム手袋は、植毛の付き具合が悪いものであった。すなわち、本発明のゴム手袋は、植毛性が著しく改善されていることを示している。また、比較例2の結果から、ポリ塩化ビニル製手袋と同様にアクリル系エマルジョンを用いて内層を形成したゴム手袋は、内層と外層の接着性が悪く、手袋として使用できないものであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の2層構造よりなるゴム手袋は、その内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムラテックスを用いて形成されていることから、加硫用添加剤すなわち硫黄や亜鉛華、加硫促進剤などを添加しなくても、外層(天然ゴムまたは/合成ゴム)に対して極めて良好に接着することができる。このような内層ゴムで形成されていることから、本発明のゴム手袋は装着したときのアレルギー誘発防止に極めて有効である。この場合、天然ゴムラテックスとして脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて改質したゴムラテッククスにより内層を形成すれば、アレルギー誘発の抑制効果が一層有利になる。これに加えて、本発明のゴム手袋は、上記の内層ゴムを形成したことにより植毛の付き具合が著しく改善されており、装脱着性および保温性に優れたものとすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2層構造からなるゴム手袋に関し、さらに詳しくは内層と外層の接着性がよく、アレルギー誘発が抑制されており、内層面に良好な植毛が施されたゴム手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム製あるいは樹脂製手袋は、その使用目的により多種のものが存在し、機能改善が図られている。例えば、実開平6−42915号公報は、天然ゴム(NR)編布で構成した手袋基体の外表面天然ゴム(NR)層を設け、その外表面に変性ウレタン層あるいは変性NR層を介してアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)皮膜を設けた作業用手袋を開示し、強度、柔軟性、耐油性の向上を図っている。
【0003】
特表平7−506642号公報には、シーケンシャルコポリマーから構成された打粉不含のクリーン用、実験用あるいは手術用手袋が提案されている。また、特開2002−20915号公報には、樹脂エマルジョンから一体形成された手袋であって、手首よりも袖口側の引張応力が手首より指先側の引張応力よりも大きい手袋を提案し、これによって着脱感を向上させている。
一方、ゴム製あるいは樹脂製手袋の中には、例えば炊事用手袋にみられるように、その内面に植毛を施すことにより、装脱着性を良くし、保温性を持たせる工夫がなされている。ゴム手袋は、塩化ビニル製手袋に比べて植毛の着き具合が悪い傾向が見られる。従来の天然ゴム製手袋は、植毛の接着層となる内面側には外面と同じく天然ゴムが用いられている。また、塩化ビニル製手袋は、植毛の接着層として接着力の大きいアクリル系ポリマーで内面層を形成している。しかし、塩化ビニルはダイオキシン問題やフタル酸等による環境ホルモン影響物質との関係から廃棄処理には慎重な取り扱いが必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ゴム手袋の装脱着性や保温性を向上させるには、内層面に植毛することが有効な手段になり得るが、内層面をゴム製にするとき植毛性が悪いという問題がある。これに対して、塩化ビニル製手袋は、内面をアクリル系ポリマーからなる層にすれば、植毛にレーヨンなどのアクリルとの接着性が良いものを用いることにより植毛性がよくなる。
【0005】
ゴム手袋では内面ゴム層と植毛とのコットンパイルの接着性があまりよくないことに起因して着毛性を悪くなるものと考えられる。しかしながら、天然ゴムと通常のアクリル系ポリマーの接着性が非常に悪いことから、ゴム手袋の内面層としてアクリル系ポリマーを使用することはできない。
一方において、近年、天然ゴム製手袋を使用すると、数時間後に呼吸困難やアナフィラキシー様症状を示す即時型(I型)アレルギーと、接触後1〜2日で紅斑、乾燥、亀裂といった湿疹の症状を呈する遅延型(II型)アレルギーを起こす恐れのあることが報告されている。このうち、即時型アレルギーは、天然ゴムに含まれている蛋白質が抗原となって誘発すると推測され、製造工程でのリーチング(洗浄)や脱蛋白された天然ゴムラテックスを用いることにより、手袋から溶出される蛋白質量を減らすことが検討されている。また遅延型アレルギーは、ゴム手袋製造時に硫黄加硫において使用する加硫促進剤が原因であると考えられている。しかしながら、手袋のような強度を必要とするフィルム製品を天然ゴムで作製する場合、加硫用薬剤の添加は不可欠である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、2層構造からなるゴム手袋であって、内層と外層の接着性がよく、アレルギー誘発が抑制されており、内層面に良好な植毛が施されたゴム手袋を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らはゴム手袋の内層を形成するためのゴム材料について種々検討していたところ、天然ゴムラテックスにアクリル系モノマーをグラフト反応させて得られる改質天然ゴムラテックスを用いると外層を形成するゴム層との接着がよく、しかも植毛の付き具合が著しく改善するとの知見を得たものである。この知見に基づいて、さらに検討を進めたところ、ゴムラテックスをグラフト化するアクリル系モノマー、とりわけビニル基を2個以上有するモノマー、を使用すると、得られる改質天然ゴムラテックスは硫黄加硫しなくても、外層によく接着されること、また外層のゴム材料として天然ゴムのみならず、合成ゴムあるいは天然ゴムと合成ゴムとのブレンドゴムであっても使用可能であることなどの結果を得、本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のゴム手袋に関するものである。
1)内層と外層を有する2層構造のゴム手袋であって、外層が天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムからなり、内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムからなることを特徴とするゴム手袋。
2)前記アクリル系モノマーがビニル基を2個以上有するモノマーであることを特徴とする上記1)項記載のゴム手袋。
【0009】
3)前記内層に植毛を施したことを特徴とする上記1)項または2)項記載のゴム手袋。
本発明のゴム手袋は、家庭用、作業用、検査用あるいは手術用などゴム手袋全般を包含する。
本発明のゴム手袋は、その外層は通常どおり天然ゴムまたは/および合成ゴムで形成されたものであるが、内層に前記の改質天然ゴムラテックスを用いていることによりその中に加硫剤である硫黄や加硫促進剤などを添加しなくても、外層面に強く接着することができる。従って、遅延型(II型)アレルギー誘発の防止に有効であり、脱蛋白された改質天然ゴムラテックスを内層とすれば、即時型(I型)および遅延型(IV型)のいずれのアレルギーも引き起こす恐れのないゴム手袋となり得る。また、前記内層面は、植毛を施したときの付き具合が極めて良好である。
【0010】
本発明において、天然ゴムおよび天然ゴムラテックスは、脱蛋白処理の有無を問わず、いずれも包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の2層構造を有するゴム手袋について、その構成と製造方法を以下に説明する。
<外層ゴム>
本発明のゴム手袋の外層は、天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムより構成される。天然ゴムは脱蛋白処理されたもの、脱蛋白処理されていないもののいずれであってもよい。合成ゴムとしては、通常、手袋の製造に用いられているものであればよいが、例えばアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。また、前記ブレンドゴムにおける天然ゴムと合成ゴムの配合割合は、相溶性を有する限り、任意に選択される。外層の厚みは、通常、ゴム層全体の厚み(植毛を含まない)の約50〜80%とする。
【0012】
<内層ゴム>
本発明の2層よりなるゴム手袋の大きな特徴は、前述したとおり、その内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムで形成されていることにある。すなわち、天然ゴムラテックスに、アクリル系モノマーを反応させてゴム分子間に架橋構造を形成させてなる改質天然ゴムを内層とする。前記天然ゴムラテックスは、ゴム分子中に二重結合を有するものであって、脱蛋白処理の有無は問わない。
【0013】
これらのアクリル系モノマーの中でも、分子中にビニル基を2個以上有する反応性モノマーが望ましく、その例としては、メタクリル酸アリル、1,3−ブタンジオールジメタアクリレート(1,3−Butanediol dimethacrylate)、エチレングリコールジメタアクリレ−ト(Ethylene glycol dimethacrylate)などの2官能性アクリル系モノマーや、トリエチレングリコールメタアクリレート (Triethylene glycol dimethacrylate)あるいはテトラエチレングリコールジアクリレート(Tetraethylene glycol diacrylate)などの多官能性のアクリル系モノマーが挙げられる。また、ビニル基を2個有するジビニルベンゼンのようなアクリル系以外のモノマーであってもよい。ビニル基の数は、分子中に2個以上を有するものであればよいが、通常は5個程度が上限の個数である。
【0014】
天然ゴムラテックスに、前記反応性モノマーを反応させてゴム分子間に架橋構造を形成(グラフト化)することによって改質する。このときの改質条件は、浸漬法によりゴム手袋を作製するとき、所望の機械的特性と、製膜性などの機能が付与されるように、諸条件を選択する。この改質は、例えば次のようにして実施できる。
すなわち、原料天然ゴムラテックスを、固形分濃度10〜60重量%、好ましくは30〜50重量%に調整し、そこに安定化剤として界面活性剤を0.05〜0.5phr、好ましくは0.05〜0.1phrを添加する。次いで、反応開始剤、前記したビニル基を2個以上有する反応性モノマーの順に滴下して、30℃付近で、約1〜10時間、好ましくは約3〜5時間、反応を行ってゴム分子間に架橋構造を形成させて、改質する。
【0015】
前記界面活性剤としては、脂肪酸やアルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステルなどの金属塩やアンモニウム塩などの陰イオン系界面活性剤、もしくはアルキルアミン塩や四級アンモニウム塩などの両性界面活性剤などが挙げられる。
前記反応の反応開始剤としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、もしくはベンゾイルパーオキサイドやt−ブチルヒドロキシパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイドのような過酸化物、さらには過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや過酸化物とアミンとの組み合わせなどのようなレドックス系開始剤が挙げられる。
【0016】
反応開始剤の添加量は、原料ゴムラテックスの固形分濃度や反応性モノマーの添加量によって異なるが、一般的に反応系全量に対して約1×10−3〜9×10−3mol/Lであり、好ましくは3×10−3〜5×10−3mol/Lである。
本発明のゴム手袋において、内面層の厚みは、通常、ゴム層全体(植毛を含まない)の約20〜50%とする。
<2層よりなるゴム手袋の製造>
本発明のゴム手袋は、浸漬法を採用し、例えば次の順序により作製できる。
【0017】
▲1▼ 外層ゴム材を30〜50重量%含むラテックスに、加硫剤、加硫促進剤と、必要により安定化剤や老化防止剤を添加し、室温(30℃付近)で24〜48時間加硫を行ない、前加硫ラテックスを調製する。この前加硫ラテックス用いて、浸漬法により手袋の型表面に第1層(外層)を形成させ、比較的に低温短時間(温度50〜70℃、乾燥時間0.5〜2分)で乾燥する。
▲2▼ 前記の乾燥のあと、続けて前記改質天然ゴムラテックスに浸漬し、第2層目(内層)を積層する。
【0018】
▲3▼ その第2層目に所望により植毛を施した後、積層体を比較的に高温長時間(温度100〜120℃、乾燥時間20〜45分)で乾燥し、得られた積層体を反転脱型し、第1層を外側に、第2層を内側にすることによって、本発明で目的とするゴム手袋を作製できる。
上記の製造工程において、第1層目形成の浸漬法自体は、常法により凝固液を付着した所望の型をゴムラテックス中に浸漬することにより製膜し、引き上げてから、脱型して成形する一般的方法に準じて実施すればよい。例えば、凝固液、浸漬温度、浸漬時間、乾燥温度、乾燥時間や、ゴム製品を形成するための型、などは基本的に従来と同様である。また、第2層目形成は、改質天然ゴムラテックスに加硫用薬剤を添加しなくてもよいこと以外は、従来の浸漬法に準じて、第1層目上に積層すればよい。
【0019】
本発明の2層構造のゴム手袋において、内面層への植毛は、従来公知の方法によりパイルを植毛することができる。例えば、アクリル系接着剤に浸漬後、70℃程度で約2分間乾燥し、次いで3万ボルト程度の高電圧をかける静電植毛法でパイルを植毛することにより、高密度で植毛されたゴム手袋が得られる。植毛に用いられるパイルとしては、太さ0.5〜1.5デニール、長さ0.3〜1mm程度の、レーヨン、コットンなどの繊維が用いられる。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例の記載において、単に「天然ゴム」および「天然ゴムラテックス」と記載するときは脱蛋白処理をしていないものを意味し、脱蛋白処理したものについてはその旨記載する。
実施例1
(改質天然ゴムラテックスの調製)
天然ゴムラテックスを固形分濃度50重量%に調整した後、ゴム分100部(乾物ベース)に対し界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを0.05phrの割合となるように添加し、その後窒素ガス置換を行った。次に、攪拌しながら反応開始剤としてt−ブチルヒドロペルオキシド[70%溶液、和光純薬工業(株)製]およびテトラエチレンペンタミン[東京化成工業(株)製]をそれぞれ反応系全量に対して7.8×10−3mol/Lとなるように添加し、さらにモノマーとしてメチルメタアクリレート(Methylmethacrylate )10phrを約24時間かけて滴下した。滴下後、30℃で3時間グラフト反応を行って、架橋構造を形成させて、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを固形分濃度40%に調整し、2層構造のゴム手袋の内面層(第2層目)形成に用いた
(2層ゴム手袋の製造)
天然ゴムラテックス100重量部(乾燥ベース)に対して硫黄1重量部、亜鉛華1重量部、加硫促進剤(BZ: ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)1重量部と、老化防止剤(p−クレゾ−ルとジクロロペンタジエンのブチル化生成物)の適量を添加し、30℃で24〜48時間前加硫を行った。この前加硫天然ゴムラテックスを、2層構造のゴム手袋の外面層(第1層目)形成に用いた。
【0021】
前記の第1層目用の前加硫天然ゴムラテックスに、凝固液(硝酸カルシウム30%水溶液)を均一に付着し50℃に加温した手袋型を浸漬し、直ちに引き上げ、70℃で1分間乾燥し製膜した。続いて、この製膜した手袋型を前記第2層目用の改質天然ゴムラテックスに浸漬し、直ちに引き上げた。その後、レーヨンパイルによる植毛を施し、次いで100℃のオーブン中で30分間放置して加硫をおこなった。得られた積層体を反転脱型し、第1層目を外側に、第2層目を内側にすることによって、2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0022】
実施例2
実施例1における改質天然ゴムラテックスの調製において、モノマーとしてメチルメタアクリレート(Methylmethacrylate )20phrを添加したこと以外は同様にしてグラフト反応を実施して、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを第1層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0023】
実施例3
実施例1における改質天然ゴムラテックスの調製において、モノマーとしてメタアクリル酸アリルエステル(Methacrylic acid allyl ester)10phrを添加したこと以外は同様にしてグラフト反応を実施して、改質天然ゴムラテックスを得た。この改質天然ゴムラテックスを第1層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0024】
実施例4
実施例2において、天然ゴムラテックスに代えて、脱蛋白天然ゴムラテックスを用いたほかは同様に処理して改質脱蛋白天然ゴムラテックスを調製した。この改質脱蛋白天然ゴムラテックスを第2層目形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
実施例5
NBRラテックス(日本ゼオン製「LX550L」)を第1層形成に用い、実施例2で得た改質天然ゴムラテックスを第1層形成に用いて、それ以外は実施例1と同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0025】
比較例1
実施例1において、第2層目の形成に天然ゴムラテックスを用いたこと以外は同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
比較例2
実施例1において、第2層目の形成用にアクリル系エマルジジョン(LX854E)を用いて同様に処理して2層構造を有するゴム手袋を得た。
【0026】
比較例3
市販のポリ塩化ビニル製手袋(ダンロップホームプロダクツ社製「さわやかビニル薄手」)を評価比較に用いた。
〔評価試験〕
上記の実施例および比較例で得た2層手袋について、以下の評価試験を行った結果を表1に示す。
【0027】
・2層(内面/外面)の接着性
上記の実施例および比較例で得た2層手袋について、手で引っ張ったとき2層間が簡単に剥離するものを×、剥離できないものを○、で表わした
・植毛の付き具合
上記の実施例および比較例で得た2層手袋から、10cm×10cmのシートを切り取り、その重量を測定する。次いで、そのシ−ト上の植毛を削ぎ取り、再度、シート重量を測定する。このときの重量差(植毛の重量)が150mg以上のものを◎、100〜149mgのものを○、99mg以下のものを×としてそれぞれ植毛の付き具合を評価した。
【0028】
植毛の重量(mg)= シート重量(mg)− そぎ取り後のシート重量(mg)
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すとおり、実施例1〜5において内層をグラフト化による改質天然ゴムまたは改質脱蛋白天然ゴムで形成したゴム手袋は、外層との接着性がよく、また植毛の付き具合もポリ塩化ビニル製手袋と同程度もしくはそれ以上であった。これに対して、比較例1において内層を通常の天然ゴムで形成したゴム手袋は、植毛の付き具合が悪いものであった。すなわち、本発明のゴム手袋は、植毛性が著しく改善されていることを示している。また、比較例2の結果から、ポリ塩化ビニル製手袋と同様にアクリル系エマルジョンを用いて内層を形成したゴム手袋は、内層と外層の接着性が悪く、手袋として使用できないものであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の2層構造よりなるゴム手袋は、その内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムラテックスを用いて形成されていることから、加硫用添加剤すなわち硫黄や亜鉛華、加硫促進剤などを添加しなくても、外層(天然ゴムまたは/合成ゴム)に対して極めて良好に接着することができる。このような内層ゴムで形成されていることから、本発明のゴム手袋は装着したときのアレルギー誘発防止に極めて有効である。この場合、天然ゴムラテックスとして脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて改質したゴムラテッククスにより内層を形成すれば、アレルギー誘発の抑制効果が一層有利になる。これに加えて、本発明のゴム手袋は、上記の内層ゴムを形成したことにより植毛の付き具合が著しく改善されており、装脱着性および保温性に優れたものとすることができる。
Claims (3)
- 内層と外層を有する2層構造のゴム手袋であって、外層が天然ゴム、合成ゴムまたはそれらのブレンドゴムからなり、内層がアクリル系モノマーでグラフト化した改質天然ゴムからなることを特徴とするゴム手袋。
- 前記アクリル系モノマーがビニル基を2個以上有するモノマーであることを特徴とする請求項1記載のゴム手袋。
- 前記内層面に植毛を施したことを特徴とする請求項1または2記載のゴム手袋。
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