JP2004023620A - 機器内収納型アンテナおよびこれを組み入れた携帯端末 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2つの角部C、Dを間にして隣接する3辺a、b、cを有した平面部2と、それぞれ3辺a、b、cより下方に延長して形成されるとともに、相互間に第2の傾斜面4、5を有して形成された第1の傾斜面3a、3b、3cとを上面形状に有する保持体1上に、これと合致する形状となるように銅板より曲げ加工された金属導体6を装着し、さらに、金属導体6の、辺bに位置する部分に第1のスリット部7を形成するとともに、一方の角部Cの側より下方に延長する位置に第1のスリット部7と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部11を形成する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器内収納型アンテナおよびこれを組み入れた携帯端末に関し、特に、金属板より曲げ加工された金属導体を、隙間なく保持体上に装着させた多面体構成による良質の機器内収納型アンテナと、これを内部に組み入れた広帯域性の携帯端末に関する。
【0002】
従来、移動体通信における携帯機器用のアンテナとしては、ロッドアンテナあるいはヘリカルアンテナのように携帯端末の筐体外に取り付けられる外部型アンテナが多く使用されてきたが、突出したアンテナが取扱上邪魔になったり、あるいは壊れやすい等の欠点を有していること、さらには、デザイン的に好ましくないことから、これを、筐体内に収納するタイプに切り替える動きが強まっている。
【0003】
図4は、内部にアンテナを収納した携帯電話の一般的な構成を示したもので、その内部は、プリント回路基板101、液晶102、基板101の背面でシールドケース103内に収納されたRF回路104、アンテナ105およびバッテリー106の組み合わせにより基本的に構成されており、これらの各部品は、筐体107内にコンパクトに納められている。
【0004】
この構成において、アンテナ105は、通話時の筐体107が下方を手で持たれる関係から、上方位置に組み込まれるのが普通であり、これによって良好な通話が確保されるように構成されている。以上の構成は、前述した外部型アンテナの欠点を総べて解消する特質を有しており、従って、機能およびデザイン性に優れる携帯電話の提供を可能にしている。
【0005】
図5は、アンテナ105の一般的な構成を示したものである。上面を立体的に形成した絶縁性の保持体108と、この保持体108の上面に隙間なく装着できる形状を有し、銅板等にプレス加工と曲げ加工を施すことによって作成された金属導体109とより構成され、これらは、接着剤等によって一体化されている。なお、110は共振周波数調整のために金属導体109に形成された切欠部、111は給電用端子、112はグランド用端子を示す。
【0006】
ところで、機器内収納型アンテナが有する特有の欠点のひとつに、外部型アンテナに比べて帯域性が狭いという問題がある。このため、金属導体109としては、広帯域性確保のためにできるだけ大きな体積を有していることが好ましく、従って、その形態は、平板ではなく、図示されるような立体形状とすることが有利となる。
【0007】
即ち、図5における保持体108の上面形状は、平面部113と、これより下方に延長させた傾斜面114および115との組み合わせによって構成されているとともに、金属導体109には、曲げ加工によってこれに合致する形状が与えられており、従って、この構成における金属導体109の体積は、平板のものに比べて大きくなり、その分、アンテナの帯域性は広がることとなる。
【0008】
図6は、帯域性をさらに広げる構想のアンテナを示したものである。
図5の構成の保持体108および金属導体109を2点鎖線のように延長させたもので、保持体108の平面部113と金属導体109に面(116)〜(118)が追加される結果、金属導体109の体積とそれによる帯域性は、より向上することとなる。なお、給電用端子111とグランド用端子112は、当然、面(117)の側に形成される。
【0009】
この多面体構成は、アンテナ性能の向上だけでなく、デザイン上の要求より図4のように先細り形状を与えられることの多い筐体107の上部内に、アンテナを無理なく納めるうえでも好ましく、従って、この構成のアンテナは、携帯電話をはじめとする多くの携帯端末において有用性が高いものとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術に基づく図6の機器内収納型アンテナによると、たとえば、平面部113の角部Aの側において、金属導体109の4面(117)、(118)、119および120を歪みなく曲げ加工することは困難であり、このため、曲げ加工によって生じた銅板の余剰分が、保持体108上への金属導体109の装着時に、面(117)、(118)、119および120間の特に曲げ部においてダブツキの形となって現れることとなる。
【0011】
従って、この結果、金属導体109を保持体108上に隙間なく装着することは難しくなり、良質のアンテナ構成は困難となる。ダブツキの発生は、反対側の角部Bの側においても起こり得る現象であり、この問題は、曲げ加工によって金属導体109に多面体構成を与える限り、避けられないこととなる。
なお、金属板に曲げ加工のみによって多面体構成を与えた金属導体は、加工が簡便なだけにコスト的に有利であり、従って、これを踏襲して図6のアンテナを構成することは、工業的に極めて有意義なこととなる。
【0012】
従って、本発明の目的は、金属板から曲げ加工された金属導体を、隙間なく保持体上に装着させた多面体構成による良質の機器内収納型アンテナと、これを内部に組み入れた広帯域性の携帯端末を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、2つの角部を間にして隣接する3辺を有した平面部と前記3辺よりそれぞれ下方に延長されて相互間に他の面を有して形成された傾斜面とを上面形状に有する保持体と、金属板からの曲げ加工により前記保持体の上面に合致する形状を与えられて前記保持体上に装着された金属導体より構成され、
前記金属導体は、前記3辺のうちの中間の辺に位置する部分に第1のスリット部を有するとともに、前記2つの角部のうちの一方の側より下方に延長される位置に前記第1のスリット部と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部を有することを特徴とする機器内収納型アンテナを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、保持体上に所定の形状の金属導体を装着した構成のアンテナを内部に収納した携帯端末において、
前記アンテナは、2つの角部を間にして隣接する3辺を有した平面部と前記3辺よりそれぞれ下方に延長されて相互間に他の面を有して形成された傾斜面とを上面形状に有する保持体と、金属板からの曲げ加工により前記保持体の上面に合致する形状を与えられて前記保持体上に装着された金属導体より構成され、
前記金属導体は、前記3辺のうちの中間の辺に位置する部分に第1のスリット部を有するとともに、前記2つの角部のうちの一方の側より下方に延長される位置に前記第1のスリット部と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部を有することを特徴とする携帯端末を提供するものである。
【0015】
上記した機器内収納型アンテナにおいては、保持体の上面と金属導体とが以下の構成を有していることが好ましい。
即ち、4角形の平面部と、この平面部の3辺の位置より下方に延長するようにそれぞれ形成された第1の傾斜面と、3辺の間の2つの角部にそれぞれ位置して第1の傾斜面間をつなぐ2つの第2の傾斜面を有していることで互いに形状を合致させていること、そして、金属導体は、平面部の3辺のうちの中間の辺より下方に延長する第1の傾斜面の一端と第2の傾斜面の一方との間に第2のスリット部を有していることが好ましく、この構成は、図6のアンテナを本発明によって構成するときの最適構成となる。
【0016】
また、上記の第1および第2のスリット部は、その幅を、第1のスリット部の基部より第2のスリット部の開放端に向けて漸増するようにプレス加工することが好ましく、このような加工を施すときには、曲げ加工時に開放端に向けて狭くなり勝ちなスリット部の幅寸法を一定にすることができる。
なお、金属導体を構成する金属板としては、銅板あるいはリン青銅板等が使用され、保持体の構成材としては、ABS樹脂あるいはカーボネート樹脂等の各種プラスティックス類が使用される。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
図1において、1は保持体を示し、4角形の平面部2と、この平面部2が角部C、Dを間にして有する3辺a、b、cの位置より下方に傾斜するようにそれぞれ形成された第1の傾斜面3a、3b、3cと、第1の傾斜面3a、3b間および3b、3c間をそれぞれつなぐ第2の傾斜面4と5を上面形状に有している。
【0018】
6は銅板にプレス加工と曲げ加工を施すことによって製作された金属導体を示し、保持体1の上面形状と合致する形状を与えられることによって、保持体1の上面に密接し、かつ、一体に接着した状態で装着させられている。
【0019】
この金属導体6は、保持体1が有する平面部2の3辺a、b、cのうちの中間の辺bの位置する部分に第1のスリット部7を有し、さらに、第1の傾斜面3b上に位置する自身の傾斜面8を第2の傾斜面5上に位置する自身の傾斜面10に接続させているとともに、角部Cより下方に延長する位置、即ち、自身の傾斜面8と第2の傾斜面4上に位置する自身の傾斜面9との間に、第1のスリット部7に連通され、端末に開放端を有した第2のスリット部11を形成した構成を有する。
【0020】
なお、12は共振周波数調整のために形成された切欠部を示し、この実施の形態においては、一部を第1および第2のスリット部7および11と兼用する構成が採られている。13は第1の傾斜面3b上に位置する金属導体6の傾斜部8の下端に形成された給電用端子、14はグランド用端子を示す。
【0021】
以上のように構成されるこの実施の形態の機器内収納型アンテナによれば、金属導体6に形成された第1のスリット部7と第2のスリット部11が、曲げ加工によって生ずる余剰分による銅板のダブツキを効果的に逃す(吸収する)存在となり、従って、この結果、多面体構成であるにも拘わらず、金属導体6を保持体1上に隙間なく装着させた良質のアンテナを構成することができる。
【0022】
また、このアンテナを内部に組み入れた携帯端末は、当然、多面体構成のアンテナに基づく優れた広帯域性を示すこととなり、さらに、内蔵アンテナが図1の構成となる結果、当該アンテナを図4の筐体107の先細りの上部内に無理なく収納することができるようになり、従って、このことによる優れたデザイン性の確保も可能となる。
【0023】
なお、この実施の形態においては、第1の傾斜面3a、3b、3cと第2の傾斜面4、5を保持体1の片側にのみ形成した例について述べたが、必要であれば、さらに反対側にもこれらを追加する構成は可能であり、さらには、平面部2を4角形以外の角数にするとともに、第1および第2の傾斜面をそれに対応した数にするなどの変更は可能である。
【0024】
図2は、図1のアンテナにおける金属導体6の製造プロセスを示したものである。工程1は、曲げ加工前の銅板の構成を示し、第1のスリット部7と第2のスリット部11を含む切欠部12、給電用端子13、およびグランド用端子14を有する所定の形状にプレス加工されている。
【0025】
次に、この銅板は、工程2において、折り目EとFから矢印GおよびHの方向に所定の角度曲げられ、さらに、工程3において、折り目EおよびFと直交して第2のスリット部7を通る折り目Iから、矢印Jの方向に所定の角度曲げられた後、工程4において、折り目Kより端子13、14が矢印Lの方向に所定の角度曲げられる。
【0026】
以上のようにして曲げ加工を施された金属導体6は、次に、工程5において、所定の処理のもとに保持体1の上面に装着一体化され、これによって、図の[完成](または図1)に示されるような所定の多面体構成を有する機器内収納型アンテナとされる。
【0027】
以上述べた図2のプロセスによれば、プレス加工後の銅板は、総べて曲げ加工のみによって金属導体6に仕上げられるものであり、従って、コスト的に有利な多面体構成のアンテナを提供することができる。これは、平面部2の角部CとDの側に傾斜面3a、4、3bおよび傾斜面3b、5、3cをそれぞれ有して構成される保持体1の上面形状に対応させるため、金属導体6に、第1のスリット部7と第2のスリット部11を形成したことに起因するものである。
【0028】
図3は、図2の製造プロセスにおいて、プレス加工した後の銅板の他の形態を示したものである。図2との違いは、第1のスリット部7と第2のスリット部11の幅を、第1のスリット部7の基部の側から第2のスリット部11の開放端の側に向けて漸増するように構成した点にある。
【0029】
スリット部7および11の幅をこのように加工するときには、曲げ加工のために第2のスリット部11の開放端に行くにしたがって狭くなり勝ちなスリット部7および11の幅を一定にすることが可能となる。このようなプレス加工は、実際的であり、多くの場合に採用される。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、2つの角部を間にして隣接する3辺を有した平面部と、この3辺より下方に延長されて相互間に他の面を有して形成された傾斜面とを上面形状に有する保持体上に、これと合致する形状を金属板からの曲げ加工によって与えられた金属導体を装着し、さらに、この金属導体の、前記3辺のうちの中間の辺に位置する部分に第1のスリット部を形成するとともに、この金属導体の、前記2つの角部のうちの一方の側より下方に延長する位置に、第1のスリット部と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部を形成しているため、これら第1及び第2のスリット部が、曲げ加工によって生ずる金属板の余剰分を逃すように作用することとなり、従って、金属導体を保持体上に装着したとき、両者間に隙間のない多面体構成による良質の機器内収納型アンテナを構成することができ、さらに、これを内部に組み入れた広帯域性の携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による機器内収納型アンテナの実施の形態を示す説明図。
【図2】図1の金属導体の製造プロセスを示す説明図。
【図3】図2の製造プロセスの他の形態を示す説明図。
【図4】携帯電話の構成を示す説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面から見た内部構成、(c)は背面図を示す。
【図5】従来の機器内収納型アンテナの構成を示す説明図。
【図6】多面体構成の機器内収納型アンテナの構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 保持体
2 切欠部
3a、3b、3c 第1の傾斜面
4、5 第2の傾斜面
6 金属導体
7 第1のスリット部
8、9、10 金属導体の傾斜面
11 第2のスリット部
12 切欠部
13 給電用端子
14 グランド用端子
C、D 角部
E、F、I、K 折り目
G、H、J、L 曲げ方向
Claims (4)
- 2つの角部を間にして隣接する3辺を有した平面部と前記3辺よりそれぞれ下方に延長されて相互間に他の面を有して形成された傾斜面とを上面形状に有する保持体と、金属板からの曲げ加工により前記保持体の上面に合致する形状を与えられて前記保持体上に装着された金属導体より構成され、
前記金属導体は、前記3辺のうちの中間の辺に位置する部分に第1のスリット部を有するとともに、前記2つの角部のうちの一方の側より下方へ延長される位置に前記第1のスリット部と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部を有することを特徴とする機器内収納型アンテナ。 - 前記保持体の上面と前記金属導体は、4角形の前記平面部、前記3辺の位置より下方に延長するようにそれぞれ形成された第1の傾斜面、および前記2つの角部にそれぞれ位置して前記第1の傾斜面間をつなぐ2つの第2の傾斜面を有していることで互いに形状を合致させており、
前記金属導体は、前記3辺のうちの中間の辺より下方に延長する前記第1の傾斜面の一端と前記第2の傾斜面の一方との間に前記第2のスリット部を有することを特徴とする請求項1項記載の機器内収納型アンテナ。 - 前記金属導体は、前記第1および第2のスリット部の幅を前記第1のスリット部の基部より前記第2のスリット部の前記開放端に向けて漸増させるようにプレス加工された金属板からの曲げ加工によって構成されていることを特徴とする請求項1項記載の機器内収納型アンテナ。
- 保持体上に所定の形状の金属導体を装着したアンテナを内部に収納した構成の携帯端末において、
前記アンテナは、2つの角部を間にして隣接する3辺を有した平面部と前記3辺よりそれぞれ下方に延長されて相互間に他の面を有して形成された傾斜面とを上面形状に有する保持体と、金属板からの曲げ加工により前記保持体の上面に合致する形状を与えられて前記保持体上に装着された金属導体より構成され、
前記金属導体は、前記3辺のうちの中間の辺に位置する部分に第1のスリット部を有するとともに、前記2つの角部のうちの一方の側より下方に延長される位置に前記第1のスリット部と連通されて端末に開放端を有した第2のスリット部を有することを特徴とする携帯端末。
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