JP2004019303A - アンカーボルト固定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎の捨てコンクリート上に固定配置する底部プレート12と、この底部プレート12上に立設した複数本のレベル調整ボルト13と、このレベル調整ボルト13で高さの調整が可能となるよう支持された調整プレート14と、この調整プレート14上に下端を固定した複数本のアンカーボルト15と、上記アンカーボルト15群の上端部に着脱可能に取り付けられ、アンカーボルト15群の上端部を結合する保持枠16とで形成され、上記保持枠16の取り外し後にアンカーボルト15群の上端部に固定するためのベースプレートを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の建築物の基礎に埋設され、基礎上に立設される鉄骨柱を基礎に固定化するためのアンカーボルトを、基礎のベースコンクリート上に精度よく配置するための固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート基礎上に立設される鉄骨柱を基礎に固定化するためのアンカーボルトを、基礎内に埋設するには、アンカーボルトの高さや垂直度と軸心等の精度が要求されることになり、このため、基礎コンクリートの打設前にアンカーボルト固定装置により、アンカーボルトの高さや垂直度等を調整して基礎のベースコンクリート上に配置している。
【0003】
従来のアンカーボルト固定装置(柱脚)としては、例えば、図6と図7に示すような構造のものが提案されている。
【0004】
図6に示すアンカーボルト固定装置は、アングル材を用いた下枠1の周囲に多数本の支柱2を立設し、この支柱2群の途中及び上端をそれぞれ中枠3と上枠4で結合し、下枠1と中枠3及び上枠4に設けたアンカーボルト固定板5に複数本のアンカーボルト6を上下に挿通し、アンカーボルト6に螺合したナット7を上枠4の上に載せ、ナット7の回動でアンカーボルト6の高さを調節するようになっている。
【0005】
このようなアンカーボルト固定装置は、基礎のベースコンクリート(捨てコンクリート)上に設置して下枠1を固定し、ナット7を回動させてアンカーボルト6の上端を所定の高さに設定し、配筋後にコンクリートを打設して基礎を構築し、基礎上においてアンカーボルト6の上端にベースプレートを締結するものである。
【0006】
また、図7に示す他の例のアンカーボルト固定装置は、アングル材を用いた矩形状の下枠1aの四隅に立設した縦柱2aの上端にホルダー8を設け、この各ホルダー8に挿通したアンカーボルト6aをホルダー8に螺装したロックねじ9で固定し、各アンカーボルト6aの上端を上枠4aで結合した構造になっている。
【0007】
このアンカーボルト固定装置は、基礎のベースコンクリートA上に設置して下枠1aを固定し、ロックねじ9の調整でアンカーボルト6aの上端を所定の高さに設定し、配筋後にコンクリートを打設して基礎を構築し、基礎上において上枠4aを取り外したアンカーボルト6aの上端にベースプレートを締結するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アンカーボルト固定装置を設置する基礎のベースコンクリートの上面は、水平の精度が必ずしも正確ではなく、上記のような従来のアンカーボルト固定装置では、何れの構造でも、ベースコンクリートの上面が傾斜している場合の対応が困難であり、アンカーボルトを垂直に配置することができない場合がある。
【0009】
また、アンカーボルトのレベル出しは、何れの構造でも、個々のアンカーボルトごとに行なわなければならないので、レベル出しの作業に手間がかかるという問題があり、図7で示したアンカーボルト固定装置では、アンカーボルト6aの下端がホルダー8で支持された構造になっているので、アンカーボルト6aの直立精度が悪く、基礎コンクリートの打設時に側圧を受けるとアンカーボルト6aがホルダー8への固定部分を支点に傾斜するため、アンカーボルト6aの配置に誤差が発生するという問題がある。
【0010】
更に、基礎用の鉄筋は、アンカーボルト固定装置の内部にわたって配筋する必要があるが、図6で示したアンカーボルト固定装置は、多数本の支柱2とアンカーボルト6が林立する構造になっており、また、図7で示したアンカーボルト固定装置では、縦柱2aとホルダー8及びアンカーボルト6aの組み合わせが嵩張り、何れにしても周囲や内部の隙間が少なく、これらが、上記固定装置内への配筋の邪魔になり、配筋作業が行いにくいという問題がある。
【0011】
そこで、この発明の課題は、アンカーボルトの垂直や芯出し、レベル出しの作業が簡単に精度よく行なえると共に、基礎用鉄筋の配筋作業が容易なアンカーボルト固定装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、この発明は、底部プレート上に立設した複数本のレベル調整ボルトで調整プレートを高さの調整が可能となるよう支持し、この調整プレート上に下端を固定した複数本のアンカーボルトを立設し、上記アンカーボルト群の配置を保持するためアンカーボルト群の上端部に着脱可能に取り付けられる保持枠を備えている構成を採用したものである。
【0013】
上記アンカーボルト群の上端部に対して、保持枠の取り外し後に固定するベースプレートを備えている構造とすることができる。
【0014】
上記底部プレートと調整プレート及び保持枠は、金属プレートを用いてそれぞれ矩形の枠状に形成され、レベル調整ボルトは、底部プレートの上面に起立するよう溶接で固定され、調整プレートにはこのレベル調整ボルトの貫通孔が設けられ、調整プレートの上下においてレベル調整ボルトに螺合したナットで調整プレートを挟むことにより、この調整プレートを支持すると共に、上下ナットの回動で高さの調整が行なえることになる。
【0015】
また、アンカーボルトは、下端に形成した雄ねじを調整プレートの取り付け孔に挿入し、調整プレートの上下において雄ねじに螺合したナットで調整プレートを挟むことにより、調整プレート上に直立するよう固定されている。
【0016】
上記保持枠は、アンカーボルトの上端に形成した雄ねじの挿通孔を有し、この保持枠の上下において雄ねじに螺合したナットで保持枠を挟むことにより、アンカーボルトの上端と固定化され、アンカーボルト群の芯出しを行なっている。
【0017】
この保持枠は、基礎の構築後にアンカーボルト群から取り外し、基礎上に突出するアンカーボルト群の上端の雄ねじにベースプレートの取り付け孔を嵌め、雄ねじに螺合したナットの締め付けで、基礎上にベースプレートが固定化される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0019】
図示のように、アンカーボルト固定装置11は、底部プレート12と、この底部プレート12上に立設した複数本のレベル調整ボルト13と、このレベル調整ボルト13で高さの調整が可能となるよう支持された調整プレート14と、この調整プレート14上に下端を固定した複数本のアンカーボルト15と、上記アンカーボルト15群の配置を保持するためアンカーボルト15群の上端部に着脱可能に取り付けられる保持枠16とで形成され、この保持枠16の取り外し後に上記アンカーボルト15群の上端部に固定するベースプレート17とを別途備えている。
【0020】
上記底部プレート12と調整プレート14及び保持枠16は、金属プレートを用いてそれぞれ同じ大きさの矩形枠状に形成され、底部プレート12の適宜位置には捨てコンクリートへの打ち込み固定具の挿通孔12aが設けてあり、レベル調整ボルト13は、底部プレート12の上面で平行する一組の二辺の上面で両端部寄りの位置に、合計四本が垂直に起立するよう溶接により固定されている。
【0021】
また、調整プレート14には、上記レベル調整ボルト13と対応する位置に、レベル調整ボルト13の貫通孔と、四隅と各辺の中間位置に、アンカーボルト15の取り付け孔が設けられ、貫通孔をレベル調整ボルト13に挿通した状態で、調整プレート14の上下においてレベル調整ボルト13に螺合したナット18で調整プレート14を挟むことにより、この調整プレート14を支持すると共に、上下ナット18の回動で高さの調整が行なえることになる。
【0022】
また、アンカーボルト15は、上下端にそれぞれ雄ねじ15a、15bが形成され、下端の雄ねじ15aを調整プレート14の取り付け孔に上から挿入し、調整プレート14の上下において下端の雄ねじ15aに螺合したナット20で調整プレート14を挟むことにより、調整プレート14上に直立するよう固定されている。このアンカーボルト15の調整プレート14への固定は、溶接によって行なうようにしてもよい。
【0023】
上記保持枠16は、アンカーボルト15の上端に形成した雄ねじ15bの挿痛孔が、アンカーボルト15群に適応する配置で形成され、この保持枠16の上下において雄ねじ15bに螺合したナット21で保持枠16を挟むことにより、アンカーボルト15の上端と固定化され、アンカーボルト15群の芯出しを行なっている。
【0024】
この保持枠16は、基礎の構築後にアンカーボルト15群から取り外し、基礎上に突出するアンカーボルト15群の上端雄ねじ15bにベースプレート17の取り付け孔を嵌め、雄ねじ15bに螺合したナットの締め付けで、基礎上にベースプレート17が固定化されることになり、このベースプレート17上には鉄骨柱22が予め溶接される。
【0025】
この発明のアンカーボルト固定装置は、上記のような構成であり、底部プレート12上に立設した複数本のレベル調整ボルト13に調整プレート14を取り付け、この調整プレート14上に固定した複数本のアンカーボルト15群の上端を保持枠16で固定化してアンカーボルト固定装置(柱脚)11を組み立てる。
【0026】
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の建築物の基礎の構築時において、図4のように、建築物の鉄骨柱を立設する位置のベースコンクリートA上に上記した組み立て状態のアンカーボルト固定装置11を設置する。
【0027】
ベースコンクリートA上に設置したアンカーボルト固定装置11は、底部プレート12の挿通孔18から捨てコンクリートAに固定具を打ち込むことで固定する。このとき、ベースコンクリートAの水平度に対してアンカーボルト15の垂直芯出しは、底部プレート12とベースコンクリートAの間にワッシャ等をかますことによって調整することができる。
【0028】
次に、レベル調整ボルト13に螺合した上下のナット18を回動させることにより、調整プレート14を上下させることで、この調整プレート14に固定したアンカーボルト15のレベル出しを行なう。この調整時に、各レベル調整ボルト15における調整プレート14の上下を調整することで、アンカーボルト15の垂直芯出しの微調整を行なうことができる。
【0029】
このように、調整プレート14にアンカーボルト15が固定してあるので、アンカーボルト15の垂直芯出しとレベル出しが簡単に能率よく行なうことができ、しかも、全アンカーボルト15は、下端が調整プレート14に固定され、上端が保持枠16で結合化されているので、アンカーボルト15の配置ピッチに狂いが生じないだけでなく、全アンカーボルト15の垂直芯出しとレベル出しが一度に行なえることになる。
【0030】
なお、レベル調整ボルト13は、長くすることにより上下の調整範囲が大きくなり、構築せんとする基礎の高さに対して広範な対応が可能になり、上記のようなアンカーボルト15のレベル出し後に、レベル調整ボルト13の余剰部分を切断除去するようにしてもよい。
【0031】
また、アンカーボルト固定装置11は、調整プレート14と保持枠16の間にアンカーボルト15が起立するだけの構造になっているので、周囲は隙間が多いと共に内部も空間になり、従って、基礎用鉄筋のアンカーボルト固定装置11内への配筋作業が簡単に行なえることになる。
【0032】
この発明のアンカーボルト固定装置11は、上記のような構成であり、図4のように、上述した組み立て状態で、基礎構築部分のベースコンクリートA上に設置固定し、全アンカーボルト15の垂直芯出しとレベル出しを行ない、上記のように、基礎用鉄筋の配筋と基礎用型枠の組み立て後に、この型枠内にコンクリートを打設して基礎Bを構築する。このとき、基礎Bの上端面は保持枠16とその下面側のナット21が露出するように設定される。
【0033】
調整プレート14上に立設した各アンカーボルト15は、その上端が保持枠16で結合されているので、各アンカーボルト15の配置における剛性が高まり、基礎用型枠内に打設したコンクリートの衝撃を受けても、各アンカーボルト15に変形や曲がりの発生がなく、各アンカーボルト15に芯振れが生じないことになる。
【0034】
図5のように、コンクリートの凝固後に型枠を解体すると共に、雄ねじ15bに対してナット21を緩めることでアンカーボルト15の上端から保持枠16を取り外し、基礎B上に突出したアンカーボルト15群の上端雄ねじ15bに、予め鉄骨柱22が溶接されたベースプレート17の取り付け孔を嵌め、このベースプレート17を基礎B上に重ね、雄ねじ15bにねじ込んだナット21の締め付けて基礎B上にベースプレート17を固定化すれば、基礎B上に鉄骨柱22が建て込まれることになる。
【0035】
このように、基礎B内に埋設されたアンカーボルト固定装置11のアンカーボルト15にベースプレート17を締結することにより、建て込まれた鉄骨柱22の基礎Bに対する固定強度が保たれることになる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、底部プレート上に複数本のレベル調整ボルトで高さの調整が可能となるよう支持した調整プレート上に複数本のアンカーボルトを立設し、上記アンカーボルト群の上端部を着脱可能に取り付けられる保持枠で結合するようにしたので、全アンカーボルトは、下端が調整プレートに固定され、上端が保持枠で結合化されているので、アンカーボルトの配置ピッチに狂いが生じないだけでなく、全アンカーボルトの垂直芯出しとレベル出しが一度に行なえることになり、上記垂直芯出しとレベル出し作業の能率と精度を向上させることができる。
【0037】
また、調整プレートと保持枠の間にアンカーボルトが起立するだけの構造になっているので、周囲は隙間が多いと共に内部も空間になり、従って、基礎用鉄筋のアンカーボルト固定装置内への配筋作業が簡単に行なえる。
【0038】
更に、各アンカーボルトは、その下端を調整プレート上に固定し、上端を保持枠で結合したので、各アンカーボルトの配置における剛性が高まり、基礎用型枠内に打設したコンクリートの衝撃を受けても、各アンカーボルトに変形や曲がりの発生がなく、各アンカーボルトに芯振れが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアンカーボルト固定装置の組み立て状態を示す斜視図
【図2】この発明に係るアンカーボルト固定装置の組み立て状態を示す縦断面図
【図3】この発明に係るアンカーボルト固定装置のベースプレート取り付け状態を示す斜視図
【図4】上記アンカーボルト固定装置を基礎捨てコンクリート上に設置した状態を示す縦断正面図
【図5】基礎内に上記アンカーボルト固定装置を埋設した状態を示す縦断正面図
【図6】従来のアンカーボルト固定装置を示す斜視図
【図7】従来のアンカーボルト固定装置の他の例を示す正面図
【符号の説明】
11 アンカーボルト固定装置
12 底部プレート
13 レベル調整ボルト
14 調整プレート
15 アンカーボルト
16 保持枠
17 ベースプレート
18、21 ナット
Claims (2)
- 底部プレート上に立設した複数本のレベル調整ボルトで調整プレートを高さの調整が可能となるよう支持し、この調整プレート上に下端を固定した複数本のアンカーボルトを立設し、上記アンカーボルト群の配置を保持するためアンカーボルト群の上端部に着脱可能に取り付けられる保持枠を備えているアンカーボルト固定装置。
- 上記アンカーボルト群の上端部に対して、保持枠の取り外し後に固定するベースプレートを備えている請求項1に記載のアンカーボルト固定装置。
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