JP2004017840A - シートストライカのブラケット構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートストライカを車体側面から離れた位置で強固に保持できるシートストライカのブラケット構造を提供する。
【解決手段】可倒式のシートバック１０の内部に、ピン１８ａを有するラッチ１８を設けるとともに、その背面１０ａにスロット部１０ｂを設けた。サイドパネル１３にブラケット１をボルト締めにて取り付けた。ブラケット１は、ブラケット本体２と、該ブラケット本体２に取り付けた、ラッチ１８に係合可能なシートストライカ３を備えている。ブラケット本体２は、シートバック１０の外側端部１０ｃよりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺な形状である。ブラケット本体２は、アッパブラケット２ａとロアブラケット２ｂとからなる。ブラケット本体２は、シートベルトガイド部５を有し、さらにブラケット本体２を覆うトリム４の取付部を有する。
【選択図】 図４
【解決手段】可倒式のシートバック１０の内部に、ピン１８ａを有するラッチ１８を設けるとともに、その背面１０ａにスロット部１０ｂを設けた。サイドパネル１３にブラケット１をボルト締めにて取り付けた。ブラケット１は、ブラケット本体２と、該ブラケット本体２に取り付けた、ラッチ１８に係合可能なシートストライカ３を備えている。ブラケット本体２は、シートバック１０の外側端部１０ｃよりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺な形状である。ブラケット本体２は、アッパブラケット２ａとロアブラケット２ｂとからなる。ブラケット本体２は、シートベルトガイド部５を有し、さらにブラケット本体２を覆うトリム４の取付部を有する。
【選択図】 図４
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体構造に関するもので、車体（室内側）に取り付けるシートストライカのブラケット構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の荷室を拡大させるなどの目的で座席の背もたれ（以下、シートバックという）を前方に折りたたむことができる仕組みの可倒式の場合、乗員が通常座る位置（基準位置）においてシートバックが動かないよう固定されなければならない。
そのために、図１１に示すように、通常シートバック側にラッチ（図示省略）、車体側にストライカ２１とよばれる噛合装置を備えており、ラッチとストライカ２１とを噛み合わせることによってシートバックを固定している。ストライカ２１は通常鋼製の丸棒などからなり、車体側面内側にボルト２２にて取り付けたりまたは溶接にて固定されたりする。しかし、車両の衝突などにより、座席の後方（荷室など）にある重量物が前方に移動してシートバックに強い力が加わった場合には、シートバックの側端部で噛み合っている丸棒のストライカでは変形しやすく、シートバックの移動量が大きくなる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
シートバックの保持を強化するために、強固なスティック状のストライカを採用することがあるが、シートバックの一部をストライカが突き刺す構造となるため、ラッチ構造がシートバックの側端部よりやや内側（車両中心方向）に位置することになる。したがって、車体側面から離れて位置するストライカを支持するための強固なブラケットを車体側面に設けることが困難であった。
【０００４】
一方、３点式シートベルト１５において、車体側面下部に設置されたベルト巻き取り装置（リトラクタ）２６と車体側面上部（ルーフ）の中継点（アンカー）との位置が車体幅方向（横方向）で大きくずれている。そのため、シートベルト１５の経路（ベルトライン）が内装部品や乗員に影響を及ぼす場合は、サイドパネル１３に、シートベルト１５の経路を規制するためのベルトガイド２３をスクリュ２４にて取り付ける必要があった。
【０００５】
車体側面に取り付ける内装トリム部品が車室内側に大きく張り出し、さらにラゲッジボード（パーセルシェルフ）などの重量物を支える構造の場合、内装トリムを保持するためのブラケット類２５を車体側に設ける必要があった。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、シートストライカを車体側面から離れた位置で強固に保持できるシートストライカのブラケット構造を提供することを目的とする。また、別の目的は、各種部品の省略が可能なシートストライカのブラケット構造を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車室の車体側部に取り付けるブラケット本体と、該ブラケット本体に取り付けた、可倒式のシートバックに着脱可能に連結して該シートバックを固定するためのシートストライカとを備えたシートストライカのブラケット構造において、上記ブラケット本体が、シートバックの外側端部よりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺である。上記ブラケット本体は、上部部材と下部部材を結合して構成されている。
上記ブラケット本体がシートベルトガイド部を有する。シートベルトガイド部は、シートベルトの長手方向に互いに離間する上部ガイドと下部ガイドを有し、これらのガイドがシートベルトと当接可能である。上記上部ガイドと上記下部ガイドは共に、端部がシートベルトから離れる方向に円弧状に曲がったフランジ形状である。上記ブラケット本体に、ブラケット本体を覆うトリムの取付部を設けた。
【０００７】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るシートストライカのブラケット構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。図１に示すように、このブラケット１は、後部座席１１の後方に位置するリアラゲッジ部１４に取り付けるものであり、図２に示すように、このリアラゲッジ部１４は、フロアパネル１２とサイドパネル（車体側部）１３で画成される。ブラケット１は、ブラケット本体２とシートストライカ３を備えており、ボルト６にてサイドパネル１３に取り付けられる。図３に示すように、ブラケット本体２とシートストライカ３の一部がトリム４に覆われ、シートストライカ３の先端部分３ａがトリム４から突出している（図９も参照）。図２に示すように、シートベルト１５は、後部中央席用のものであり、車体上部に固定されたアンカレッジ１６を経由してブラケット１を通過している。同図ではシートベルト１５を１つ図示しているが、図７ないし図９に示すように、後部中央席用のシートベルト１５のほかに、後部窓側席用のシートベルト１７も設けられている。
【０００８】
図２に示すように、ブラケット本体２は、従来（図１１参照）よりも大きくて車両前後方向Ａに長尺であり、上下方向Ｂに延びるシートベルト１５をまたぐように設けられている。シートストライカ３は、その先端部分３ａが車両前方に向かうようにブラケット本体２にボルト７にて取り付けられている。後部座席１１のシートバック１０は可倒式であり、シートストライカ３がシートバック１０に対し着脱可能に連結できるようになっている。このシートストライカ３にて可倒式のシートバック１０を固定することができる。すなわち、図４に示すように、シートバック１０の背面１０ａには、シートストライカ３を受入れるスロット部１０ｂが設けられている。シートバック１０内にはラッチ１８が備わっており、このラッチ１８に組み込まれたピン１８ａが、シートストライカ３の先端部分３ａの穴３ｂに挿入することでロックされる。
【０００９】
図５ないし図６に示すように、ブラケット本体２は、室内側に大きく張り出した形状であり、より具体的には、図４に示すように、シートバック１０の外側端部１０ｃよりも車両内側に張り出している。図５ないし図６に示すように、このブラケット本体２は、アッパブラケット（上部部材）２ａとロアブラケット（下部部材）２ｂの２つの部材で構成されており、組付け時には、両者２ａ、２ｂをスポット溶接にて結合して一体化する。この構造を採用しているため、ブラケット本体２は、比較的大きい形状であって高い強度があるにもかかわらず、プレス成形加工時の成形性を低下させず、しかもプレス型の型費を削減できる。
図５に示すように、ブラケット本体２の裏面側には、シートストライカ３の取付に用いるナット２ｃが固着されている。また、ナット取付け場所に対応してトリム４に取外し可能なキャップ４ａが設けられている。トリム４を装着した後でもキャップ４ａを外すだけでボルト７を締め直すことができ、シートストライカ３の位置を微調整することができる。
図５に示すように、サイドパネル１３の裏面には、補強プレート１９およびナット１９ａが設けられている。ブラケット本体２は、補強プレート１９で補強された箇所に取り付けられるので、車体に対してブラケットを強固に保持できる。図６に示すように、ブラケット本体２には、トリム４の取付に用いるナット２ｄが裏面側に固着されており、スクリュ８にてトリム４をブラケット本体２に直接固定することができる。シェルフ２０などのボード類を棚部４ｂで支えることができる構造となっている。
【００１０】
図６に示すように、ブラケット本体２には、シートベルトガイド部５が設けられている。すなわち、ブラケット本体２自体でシートベルト１５をガイドする構造になっている。このシートベルトガイド部５は、上部ガイド５ａと下部ガイド５ｂからなり、シートベルト１５に引張力が作用して室内側に移動しないようにシートベルト１５を支持するものである。図７に示すように、シートベルトガイド部１５の両側には、ボルト締めした箇所が位置するので、より強い衝撃に耐え得る構造になる。
図６に示すように、上部ガイド５ａと下部ガイド５ｂは、各先端がシートベルト１５から離れる方向でかつ各先端同士が互いに離れる方向に曲がったフランジ形状に形成されている。シートベルト１５が当接する場所は円弧状すなわちＲ形状の曲面になっており、シートベルト１５を損傷させることなくスムーズな摺動が可能である。
【００１１】
次に、組付け工程について図７ないし図９を用いて説明する。図７に示すように、まず、ブラケット本体２をボルト６にてサイドパネル１３に取り付ける。また、シートストライカ３をボルト７にてブラケット本体２に取り付ける。図８に示すように、トリム４の取付穴４ｄにスクリュ８を挿入してトリム４をブラケット本体２に取り付ける。トリム４にはスロット部４ｃが設けられており、図９に示すように、組付け完了時には、トリム４のスロット部４ｃからシートストライカ３の先端部分３ａが突出する。また、ブラケット本体２をボルト６にてサイドパネル１３に取付け、トリム４を取付穴４ｄにスクリュ８を挿入してブラケット本体２に取付け、トリム４のスロット部４ｃからシートストライカ３を挿入し、キャップ４ａの取付穴よりボルト７にてシートストライカ３をブラケット本体２に取付け、最後にキャップ４ａを組付ける工程でもよい。
【００１２】
本発明は、後部座席に限らず、すべての座席に適用でき、また他のシートベルトにも適用できる。また、上述した実施形態では、ストライカの形状はスティック（プレート）状であるが、これに限られず、例えば図１０に示すように、ブラケット９においてコの字等に曲げ加工した鋼製丸棒のストライカ９ａを用いてもよい。シートストライカとブラケット本体との結合、及びブラケット本体とサイドパネルとの結合は、ボルト締めの代わりに、溶接部９ｂを形成してもよい。
【００１３】
【発明の効果】
本発明は、車室の車体側部に取り付けるブラケット本体と、該ブラケット本体に取り付けた、可倒式のシートバックに着脱可能に連結して該シートバックを固定するためのシートストライカとを備えたシートストライカのブラケット構造において、上記ブラケット本体が、シートバックの外側端部よりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺であるので、シートストライカを車体側部から離れた位置で保持することができ、さらに後方に延長したことにより、シートバックを強固に保持することができる。したがって、車体に入力があったときにもシートバックがそれに耐えることができる。
上記ブラケット本体を、上部部材と下部部材を結合して構成すると、加工性を向上させることができる。
上記ブラケット本体がシートベルトガイド部を有するように構成すると、追加部品なしにシートベルトガイド機能を付加することができる。
上記シートベルトガイド部は、シートベルトの長手方向に互いに離間する上部ガイドと下部ガイドを有し、これらのガイドがシートベルトと当接可能に構成すると、ブラケットの上下でシートベルトをガイドすることができ、シートベルトをスムーズに摺動させることができる。
上記上部ガイドと上記下部ガイドは共に、端部がシートベルトから離れる方向に円弧状に曲がったフランジ形状であるように構成すると、シートベルトの当接部が面当たりになり、シートベルトの損傷を防止できる。
上記ブラケット本体に、ブラケット本体を覆うトリムの取付部を設けると、追加部品なしにトリム支持機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係るシートストライカのブラケット構造を取り付ける自動車におけるその取付位置と座席との位置関係を概略的に表す側面図である。
【図２】図１のＩＩ部を、トリムの図示を省略して概略的に拡大した、座席とブラケットとシートベルトとの位置関係を示す側面図である。
【図３】図２において座席およびトリムを図示するとともに座席等の図示を省略した状態の部分的な斜視図である。
【図４】図２において座席のシートバックとブラケットとの関係を示す斜視図である。
【図５】図２の線Ｖ−Ｖによる断面図である。
【図６】図２の線ＶＩ−ＶＩによる、サイドパネルとブラケットとシートベルトとの位置関係を示す断面図である。
【図７】本発明のブラケットの組付け工程を示す、図３の斜視図に対応する分解斜視図である。
【図８】図７の次の組付け工程を示す分解斜視図である。
【図９】本発明のブラケットの組付け完了の状態を示す斜視図である。
【図１０】図２のブラケットの一変形例を示す、ブラケット単体の斜視図である。
【図１１】従来のブラケット等の組付け工程を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
１ ブラケット
２ ブラケット本体
２ａ アッパブラケット
２ｂ ロアブラケット
２ｃ、２ｄ ナット
３ シートストライカ
３ａ 先端部分
３ｂ 穴
４ トリム
４ａ キャップ
４ｂ 棚部
４ｃ スロット部
４ｄ 取付穴
５ シートベルトガイド部
５ａ 上部ガイド
５ｂ 下部ガイド
６ ボルト
７ ボルト
８ スクリュ
９ ブラケット
９ａ ストライカ
９ｂ 溶接部
１０ シートバック
１０ａ 背面
１０ｂ スロット部
１０ｃ 外側端部
１１ 後部座席
１２ フロアパネル
１３ サイドパネル
１４ リアラゲッジ部
１５ シートベルト（後部中央用）
１６ アンカレッジ
１７ シートベルト（後部窓側席用）
１８ ラッチ
１８ａ ピン
１９ 補強プレート
１９ａ ナット
２０ シェルフ
Ａ 車両前後方向
Ｂ 上下方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体構造に関するもので、車体（室内側）に取り付けるシートストライカのブラケット構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の荷室を拡大させるなどの目的で座席の背もたれ（以下、シートバックという）を前方に折りたたむことができる仕組みの可倒式の場合、乗員が通常座る位置（基準位置）においてシートバックが動かないよう固定されなければならない。
そのために、図１１に示すように、通常シートバック側にラッチ（図示省略）、車体側にストライカ２１とよばれる噛合装置を備えており、ラッチとストライカ２１とを噛み合わせることによってシートバックを固定している。ストライカ２１は通常鋼製の丸棒などからなり、車体側面内側にボルト２２にて取り付けたりまたは溶接にて固定されたりする。しかし、車両の衝突などにより、座席の後方（荷室など）にある重量物が前方に移動してシートバックに強い力が加わった場合には、シートバックの側端部で噛み合っている丸棒のストライカでは変形しやすく、シートバックの移動量が大きくなる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
シートバックの保持を強化するために、強固なスティック状のストライカを採用することがあるが、シートバックの一部をストライカが突き刺す構造となるため、ラッチ構造がシートバックの側端部よりやや内側（車両中心方向）に位置することになる。したがって、車体側面から離れて位置するストライカを支持するための強固なブラケットを車体側面に設けることが困難であった。
【０００４】
一方、３点式シートベルト１５において、車体側面下部に設置されたベルト巻き取り装置（リトラクタ）２６と車体側面上部（ルーフ）の中継点（アンカー）との位置が車体幅方向（横方向）で大きくずれている。そのため、シートベルト１５の経路（ベルトライン）が内装部品や乗員に影響を及ぼす場合は、サイドパネル１３に、シートベルト１５の経路を規制するためのベルトガイド２３をスクリュ２４にて取り付ける必要があった。
【０００５】
車体側面に取り付ける内装トリム部品が車室内側に大きく張り出し、さらにラゲッジボード（パーセルシェルフ）などの重量物を支える構造の場合、内装トリムを保持するためのブラケット類２５を車体側に設ける必要があった。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、シートストライカを車体側面から離れた位置で強固に保持できるシートストライカのブラケット構造を提供することを目的とする。また、別の目的は、各種部品の省略が可能なシートストライカのブラケット構造を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車室の車体側部に取り付けるブラケット本体と、該ブラケット本体に取り付けた、可倒式のシートバックに着脱可能に連結して該シートバックを固定するためのシートストライカとを備えたシートストライカのブラケット構造において、上記ブラケット本体が、シートバックの外側端部よりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺である。上記ブラケット本体は、上部部材と下部部材を結合して構成されている。
上記ブラケット本体がシートベルトガイド部を有する。シートベルトガイド部は、シートベルトの長手方向に互いに離間する上部ガイドと下部ガイドを有し、これらのガイドがシートベルトと当接可能である。上記上部ガイドと上記下部ガイドは共に、端部がシートベルトから離れる方向に円弧状に曲がったフランジ形状である。上記ブラケット本体に、ブラケット本体を覆うトリムの取付部を設けた。
【０００７】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るシートストライカのブラケット構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。図１に示すように、このブラケット１は、後部座席１１の後方に位置するリアラゲッジ部１４に取り付けるものであり、図２に示すように、このリアラゲッジ部１４は、フロアパネル１２とサイドパネル（車体側部）１３で画成される。ブラケット１は、ブラケット本体２とシートストライカ３を備えており、ボルト６にてサイドパネル１３に取り付けられる。図３に示すように、ブラケット本体２とシートストライカ３の一部がトリム４に覆われ、シートストライカ３の先端部分３ａがトリム４から突出している（図９も参照）。図２に示すように、シートベルト１５は、後部中央席用のものであり、車体上部に固定されたアンカレッジ１６を経由してブラケット１を通過している。同図ではシートベルト１５を１つ図示しているが、図７ないし図９に示すように、後部中央席用のシートベルト１５のほかに、後部窓側席用のシートベルト１７も設けられている。
【０００８】
図２に示すように、ブラケット本体２は、従来（図１１参照）よりも大きくて車両前後方向Ａに長尺であり、上下方向Ｂに延びるシートベルト１５をまたぐように設けられている。シートストライカ３は、その先端部分３ａが車両前方に向かうようにブラケット本体２にボルト７にて取り付けられている。後部座席１１のシートバック１０は可倒式であり、シートストライカ３がシートバック１０に対し着脱可能に連結できるようになっている。このシートストライカ３にて可倒式のシートバック１０を固定することができる。すなわち、図４に示すように、シートバック１０の背面１０ａには、シートストライカ３を受入れるスロット部１０ｂが設けられている。シートバック１０内にはラッチ１８が備わっており、このラッチ１８に組み込まれたピン１８ａが、シートストライカ３の先端部分３ａの穴３ｂに挿入することでロックされる。
【０００９】
図５ないし図６に示すように、ブラケット本体２は、室内側に大きく張り出した形状であり、より具体的には、図４に示すように、シートバック１０の外側端部１０ｃよりも車両内側に張り出している。図５ないし図６に示すように、このブラケット本体２は、アッパブラケット（上部部材）２ａとロアブラケット（下部部材）２ｂの２つの部材で構成されており、組付け時には、両者２ａ、２ｂをスポット溶接にて結合して一体化する。この構造を採用しているため、ブラケット本体２は、比較的大きい形状であって高い強度があるにもかかわらず、プレス成形加工時の成形性を低下させず、しかもプレス型の型費を削減できる。
図５に示すように、ブラケット本体２の裏面側には、シートストライカ３の取付に用いるナット２ｃが固着されている。また、ナット取付け場所に対応してトリム４に取外し可能なキャップ４ａが設けられている。トリム４を装着した後でもキャップ４ａを外すだけでボルト７を締め直すことができ、シートストライカ３の位置を微調整することができる。
図５に示すように、サイドパネル１３の裏面には、補強プレート１９およびナット１９ａが設けられている。ブラケット本体２は、補強プレート１９で補強された箇所に取り付けられるので、車体に対してブラケットを強固に保持できる。図６に示すように、ブラケット本体２には、トリム４の取付に用いるナット２ｄが裏面側に固着されており、スクリュ８にてトリム４をブラケット本体２に直接固定することができる。シェルフ２０などのボード類を棚部４ｂで支えることができる構造となっている。
【００１０】
図６に示すように、ブラケット本体２には、シートベルトガイド部５が設けられている。すなわち、ブラケット本体２自体でシートベルト１５をガイドする構造になっている。このシートベルトガイド部５は、上部ガイド５ａと下部ガイド５ｂからなり、シートベルト１５に引張力が作用して室内側に移動しないようにシートベルト１５を支持するものである。図７に示すように、シートベルトガイド部１５の両側には、ボルト締めした箇所が位置するので、より強い衝撃に耐え得る構造になる。
図６に示すように、上部ガイド５ａと下部ガイド５ｂは、各先端がシートベルト１５から離れる方向でかつ各先端同士が互いに離れる方向に曲がったフランジ形状に形成されている。シートベルト１５が当接する場所は円弧状すなわちＲ形状の曲面になっており、シートベルト１５を損傷させることなくスムーズな摺動が可能である。
【００１１】
次に、組付け工程について図７ないし図９を用いて説明する。図７に示すように、まず、ブラケット本体２をボルト６にてサイドパネル１３に取り付ける。また、シートストライカ３をボルト７にてブラケット本体２に取り付ける。図８に示すように、トリム４の取付穴４ｄにスクリュ８を挿入してトリム４をブラケット本体２に取り付ける。トリム４にはスロット部４ｃが設けられており、図９に示すように、組付け完了時には、トリム４のスロット部４ｃからシートストライカ３の先端部分３ａが突出する。また、ブラケット本体２をボルト６にてサイドパネル１３に取付け、トリム４を取付穴４ｄにスクリュ８を挿入してブラケット本体２に取付け、トリム４のスロット部４ｃからシートストライカ３を挿入し、キャップ４ａの取付穴よりボルト７にてシートストライカ３をブラケット本体２に取付け、最後にキャップ４ａを組付ける工程でもよい。
【００１２】
本発明は、後部座席に限らず、すべての座席に適用でき、また他のシートベルトにも適用できる。また、上述した実施形態では、ストライカの形状はスティック（プレート）状であるが、これに限られず、例えば図１０に示すように、ブラケット９においてコの字等に曲げ加工した鋼製丸棒のストライカ９ａを用いてもよい。シートストライカとブラケット本体との結合、及びブラケット本体とサイドパネルとの結合は、ボルト締めの代わりに、溶接部９ｂを形成してもよい。
【００１３】
【発明の効果】
本発明は、車室の車体側部に取り付けるブラケット本体と、該ブラケット本体に取り付けた、可倒式のシートバックに着脱可能に連結して該シートバックを固定するためのシートストライカとを備えたシートストライカのブラケット構造において、上記ブラケット本体が、シートバックの外側端部よりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺であるので、シートストライカを車体側部から離れた位置で保持することができ、さらに後方に延長したことにより、シートバックを強固に保持することができる。したがって、車体に入力があったときにもシートバックがそれに耐えることができる。
上記ブラケット本体を、上部部材と下部部材を結合して構成すると、加工性を向上させることができる。
上記ブラケット本体がシートベルトガイド部を有するように構成すると、追加部品なしにシートベルトガイド機能を付加することができる。
上記シートベルトガイド部は、シートベルトの長手方向に互いに離間する上部ガイドと下部ガイドを有し、これらのガイドがシートベルトと当接可能に構成すると、ブラケットの上下でシートベルトをガイドすることができ、シートベルトをスムーズに摺動させることができる。
上記上部ガイドと上記下部ガイドは共に、端部がシートベルトから離れる方向に円弧状に曲がったフランジ形状であるように構成すると、シートベルトの当接部が面当たりになり、シートベルトの損傷を防止できる。
上記ブラケット本体に、ブラケット本体を覆うトリムの取付部を設けると、追加部品なしにトリム支持機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係るシートストライカのブラケット構造を取り付ける自動車におけるその取付位置と座席との位置関係を概略的に表す側面図である。
【図２】図１のＩＩ部を、トリムの図示を省略して概略的に拡大した、座席とブラケットとシートベルトとの位置関係を示す側面図である。
【図３】図２において座席およびトリムを図示するとともに座席等の図示を省略した状態の部分的な斜視図である。
【図４】図２において座席のシートバックとブラケットとの関係を示す斜視図である。
【図５】図２の線Ｖ−Ｖによる断面図である。
【図６】図２の線ＶＩ−ＶＩによる、サイドパネルとブラケットとシートベルトとの位置関係を示す断面図である。
【図７】本発明のブラケットの組付け工程を示す、図３の斜視図に対応する分解斜視図である。
【図８】図７の次の組付け工程を示す分解斜視図である。
【図９】本発明のブラケットの組付け完了の状態を示す斜視図である。
【図１０】図２のブラケットの一変形例を示す、ブラケット単体の斜視図である。
【図１１】従来のブラケット等の組付け工程を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
１ ブラケット
２ ブラケット本体
２ａ アッパブラケット
２ｂ ロアブラケット
２ｃ、２ｄ ナット
３ シートストライカ
３ａ 先端部分
３ｂ 穴
４ トリム
４ａ キャップ
４ｂ 棚部
４ｃ スロット部
４ｄ 取付穴
５ シートベルトガイド部
５ａ 上部ガイド
５ｂ 下部ガイド
６ ボルト
７ ボルト
８ スクリュ
９ ブラケット
９ａ ストライカ
９ｂ 溶接部
１０ シートバック
１０ａ 背面
１０ｂ スロット部
１０ｃ 外側端部
１１ 後部座席
１２ フロアパネル
１３ サイドパネル
１４ リアラゲッジ部
１５ シートベルト（後部中央用）
１６ アンカレッジ
１７ シートベルト（後部窓側席用）
１８ ラッチ
１８ａ ピン
１９ 補強プレート
１９ａ ナット
２０ シェルフ
Ａ 車両前後方向
Ｂ 上下方向
Claims (6)
- 車室の車体側部に取り付けるブラケット本体と、該ブラケット本体に取り付けた、可倒式のシートバックに着脱可能に連結して該シートバックを固定するためのシートストライカとを備えたシートストライカのブラケット構造において、上記ブラケット本体が、シートバックの外側端部よりも車両内側に張り出すとともに、車両前後方向に長尺であることを特徴とするシートストライカのブラケット構造。
- 上記ブラケット本体は、上部部材と下部部材を結合して構成されたことを特徴とする請求項１に記載のシートストライカのブラケット構造。
- 上記ブラケット本体がシートベルトガイド部を有することを特徴とする請求項１または２に記載のシートストライカのブラケット構造。
- 上記シートベルトガイド部は、シートベルトの長手方向に互いに離間する上部ガイドと下部ガイドを有し、これらのガイドがシートベルトと当接可能であることを特徴とする請求項３に記載のシートストライカのブラケット構造。
- 上記上部ガイドと上記下部ガイドは共に、端部がシートベルトから離れる方向に円弧状に曲がったフランジ形状であることを特徴とする請求項４に記載のシートストライカのブラケット構造。
- 上記ブラケット本体に、ブラケット本体を覆うトリムの取付部を設けたことを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項に記載のシートストライカのブラケット構造。
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