JP3705063B2 - 車両用シートベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用シートベルトに関し、特に、自動車等の車両に装備される車両用シートベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両に装備される車両用シートベルトとしては、その一例が特開平11−170973号公報に記載されている。
【0003】
図5に示される如く、この車両用シートベルトにおいては、シートベルト巻取装置70がルーフトリム72内に配設しており、シートベルト巻取装置70の下部に回転自在に設けられたアーム74の一端74Aは、ルーフトリム72に形成された開口部76からシートベルト78に沿って車室内80側に突出している。また、アーム74の一端74Aには、引き出されたシートベルト82が挿通可能で、且つ、タングプレート84が挿通不能とされた保持部86が形成されており、アーム74の一端74Aが、シートベルト82の巻き取り時には上昇回転して図5に二点鎖線で示すようにルーフトリム72付近に位置し、且つ、引き出し時には、下降回転して図5に実線で示すように乗員88側へ向くようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この車両用シートベルトでは、車幅方向に延設されたルーフレール90の下面に、シートベルト巻取装置70が配設されている。この結果、ルーフトリム72の後部に、シートベルト巻取装置70を覆う膨出部72Aが車室内下方に向けて突出することになる。このため、意匠上見栄えが悪く、車室天井部の外観品質が低下する。これを改善する従来の技術としては、シートベルト巻取装置をシートに配設する技術が知られているが、この場合には、シートフレーム等の補強が必要となり、重量増加及びコストアップを招くことになる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、重量増加及びコストアップを招くこと無く、車室天井部の外観品質を向上できる車両用シートベルトを提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の車両用シートベルトは、アッパパネルとロアパネルとの2部材から成り、車室天井部に配設され実質的に閉断面構造とされた骨格部材と、
該骨格部材内に配設されたシートベルト巻取装置と、
前記骨格部材に形成され、前記シートベルト巻取装置を挿入するための開口部と、
前記アッパパネルとロアパネルとの接合部に固定され、前記開口部を閉塞する共に、前記シートベルト巻取装置を支持する取付ブラケットと、
を有し、前記骨格部材は車幅方向に延設されており、前記骨格部材と、前記骨格部材の車幅方向両端部に位置するピラーリインフォースメントと、の重合部に、前記取付ブラケットが固定されていると共に前記ピラーリインフォースメントは前記シートベルト巻取装置の車両後方側へ回り込むように延設されており、前記取付ブラケットの車幅方向外側が前記骨格部材と前記ピラーリインフォースメントの重合部に前記シートベルト巻取装置の車両後方で固定されていることを特徴とする。
【0007】
従って、シートベルト巻取装置を実質的に閉断面構造とされた骨格部材内に配設することで、シートベルト巻取装置を配設した部位の天井部が車室内に突出することが無い。この結果、車室天井部の外観品質を向上できる。また、シートベルト巻取装置を、高剛性とされた骨格部材内に配設することで、別途、補強部材を配設する必要がないため、重量増加及びコストアップを招くことも無い。
また、骨格部材に形成された開口部から、取付ブラケットに支持されたシートベルト巻取装置を骨格部材を挿入し、取付ブラケットにより開口部を閉塞することで、骨格部材内にシートベルト巻取装置を配設することができる。このため、シートベルト巻取装置の組付作業性が向上すると共に、骨格部材に形成した開口部を取付ブラケットで閉塞することで、骨格部材における開口部を形成した部位の剛性低下を防止できる。
また、骨格部材を構成するアッパパネルとロアパネルとの接合部にシートベルト巻取装置を支持する取付ブラケットを固定することで、シートベルト巻取装置の支持剛性が向上する。
また、骨格部材とピラーリインフォースメントとの重合部に、シートベルト巻取装置を固定すると共に、ピラーリインフォースメントはシートベルト巻取装置の車両後方側へ回り込むように延設されており、取付ブラケットの車幅方向外側が骨格部材とピラーリインフォースメントの重合部にシートベルト巻取装置の車両後方で固定されているため、シートベルト巻取装置の支持剛性が更に向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る車両用シートベルトの一実施形態を図1〜図4を用いて説明する。
【0015】
図4に示される如く、本実施形態では、リヤシート10が3人用のベンチシートとなっており、リヤシート10の車幅方向中央部に着座する乗員12が装着するシートベルト14が車室内天井部16から引き出されるようになっている。
【0016】
図1に示される如く、シートベルト14の巻き込み及び引出しを行うシートベルト巻取装置としてのリトラクタ18は、車室天井部16における骨格部材としてのリヤルーフヘッダ20内に配設されており、リヤルーフヘッダ20は車室天井部16の後端部に車幅方向に沿って配設されている。
【0017】
リヤルーフヘッダ20は、リヤルーフヘッダ20の上部を構成するリヤルーフヘッダアッパ22と、リヤルーフヘッダ20の下部を構成するリヤルーフヘッダロア24とで構成されており、リヤルーフヘッダアッパ22の車幅方向から見た断面形状は、開口部を下方へ向けた略ハット状となっている。リヤルーフヘッダアッパ22の前側開口縁部には、車体前方へ向けて接合フランジ22Aが形成されており、リヤルーフヘッダアッパ22の後側開口縁部には、車体後方へ向けて接合フランジ22Bが形成されている。一方、リヤルーフヘッダロア24の車幅方向から見た断面形状は、L字状となっている。リヤルーフヘッダロア24の前壁部24Aの上端縁部には、車体前方へ向けて接合フランジ24Bが形成されており、この接合フランジ24Bがリヤルーフヘッダアッパ22の接合フランジ22Aに溶着されている。また、リヤルーフヘッダロア24の下壁部24Cの後部には、リヤルーフヘッダアッパ22の接合フランジ22Bが溶着されており、リヤルーフヘッダアッパ22とリヤルーフヘッダロア24とで車幅方向に延びる閉断面部26が形成されている。
【0018】
リヤルーフヘッダロア24の下壁部24Cは車体後方へ延設されており、後端縁部には接合フランジ24Dが車体斜め後方下側へ向けて形成されている。また、リヤルーフヘッダロア24の接合フランジ24Dには、ルーフパネル28の後端縁部近傍28Aが溶着されており、ルーフパネル28の後端縁部には、接合フランジ28Bが車体斜め後方上側へ向けて形成されている。
【0019】
図3に示される如く、リヤルーフヘッダ20の車幅方向左端部20Aは、左側のリヤピラー29の上部に配設されたピラーリインフォースメント30に連結されており、リヤルーフヘッダ20の車幅方向右端部20Bは、右側のリヤピラー29の上部に配設されたピラーリインフォースメント32に連結されている。なお、ピラーリインフォースメント30における車幅内方への延設部30Aは、ピラーリインフォースメント32における車幅内方への延設部32Aより長く延設されており、リトラクタ18の配設部位に達している。
【0020】
図1に示される如く、ピラーリインフォースメント30の後端縁部近傍には、接合フランジ30Bが車体斜め後方下側へ向けて形成されており、この接合フランジ30Bは、リヤルーフヘッダロア24の接合フランジ24Dに溶着されている。また、ピラーリインフォースメント30の後端縁部には、接合フランジ30Cが車体斜め後方上側へ向けて形成されており、この接合フランジ30Cは、ルーフパネル28の接合フランジ28Bに溶着されている。なお、図示を書略したが、ピラーリインフォースメント30の前端縁部に形成された接合フランジがリヤルーフヘッダロア24の接合フランジ24Bに溶着されている。
【0021】
また、リヤルーフヘッダロア24におけるリトラクタ18の配設部位には、開口部34が形成されており、リトラクタ18はこの開口部34を通して閉断面部26内に挿入されている。
【0022】
図2に示される如く、リトラクタ18は平面視台形状の取付ブラケット36にボルト38等によって固定されており、取付ブラケット36がリヤルーフヘッダロア24に複数のボルト40によって固定されている。また、リヤルーフヘッダロア24に形成された開口部34は、取付ブラケット36によって閉塞されている。なお、ボルト40は左右対称にそれぞれ3本配設されており、車幅方向外側となる3本のボルト40は、ピラーリインフォースメント30における車幅内側縁部30Dに共締めされている。更に、これら3本のボルト40のうち、最も車体後側に位置するボルト40は、図1に示される如く、取付ブラケット36に穿設した取付孔50、ピラーリインフォースメント30に穿設した取付孔52、リヤルーフヘッダロア24の下壁部24Cに穿設した取付孔54及びリヤルーフヘッダアッパ22の接合フランジ22Bに穿設した取付孔56を貫通し、リヤルーフヘッダアッパ22の接合フランジ22Bに配設されたウエルドナット44に螺合されている。
【0023】
また、リトラクタ18から延びるシートベルト14は、取付ブラケット36に形成されたスリット状の開口部60と、リヤルーフヘッダトリム62に形成された開口部64を通り、車室内66に導かれている。なお、リヤルーフヘッダトリム62は、リヤルーフヘッダ20の下部に沿って、車幅方向に延設された意匠部品となっており、リヤルーフヘッダトリム62の前端縁部62Aとリヤルーフヘッダ20との間には、成形天井68の後端部68Aが挿入されている。
【0024】
また、リヤルーフヘッダトリム62における、開口部64の後方には、タングプレート保持部62Bが形成されており、図1に二点鎖線で示される様に、シートベルト14に取り付けられたタングプレート69を保持できるようになっている。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0026】
本実施形態では、リトラクタ18を実質的に閉断面構造とされたリヤルーフヘッダ20の閉断面部26内に配設することで、車室天井部16が車室内66に突出することが無い。この結果、車室天井部16の外観品質を向上できると共に、後方視界も良くなる。
【0027】
また、本実施形態では、リトラクタ18を、高剛性とされた骨格部材としてのリヤルーフヘッダ20に固定することで、別途、補強部材を配設する必要がないため、重量増加及びコストアップを招くことも無い。
【0028】
また、本実施形態では、リトラクタ18を車体に組み付ける際に、リヤルーフヘッダロア24に形成された開口部34から予め取付ブラケット36に固定されたリトラクタ18をリヤルーフヘッダ20の閉断面部26内に挿入し、ボルト40によって、取付ブラケット36をリヤルーフヘッダ20に固定すると共に、開口部34を取付ブラケット36によって閉塞することで組付作業が完了する。
【0029】
このため、リトラクタ18の組付作業性が向上すると共に、リヤルーフヘッダロア24の開口部34を取付ブラケット36で閉塞することで、リヤルーフヘッダロア24における開口部34を形成した部位の剛性低下を防止できる。
【0030】
また、本実施形態では、リヤルーフヘッダロア24の下壁部24Cとリヤルーフヘッダアッパ22の接合フランジ22Bとの接合部に、リトラクタ18を支持する取付ブラケット36を固定したことで、リトラクタ18の支持剛性を向上できる。
【0031】
また、本実施形態では、リヤルーフヘッダ20と、ピラーリインフォースメント30の車幅内側縁部30Dとの重合部に、リトラクタ18を支持する取付ブラケット36を固定したことで、リトラクタ18の支持剛性を更に向上できる。
【0032】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態では、リヤシート10の車幅方向中央部に着座する乗員12が装着するシートベルト14に本発明の車両用シートベルトを適用したが、本発明の車両用シートベルトは、リヤシート10の車幅方向両端部に着座する乗員が装着するシートベルトにも適用可能であり、一本のリヤルーフヘッダ20内に複数個のリトラクタ18を配設した構成としても良い。
【0033】
また、本実施形態では、車室天井部の後端部に車幅方向に沿って配設された骨格部材としてのリヤルーフヘッダ20内にリトラクタ18を配設したが、リトラクタ18を配設する骨格部材はリヤルーフヘッダ20に限定されず、3列シートの車両の場合には、2列目のシートに対向するセンタルーフヘッダ等の骨格部材内にリトラクタ18を配設した構成としても良い。また、車室天井部の車幅方向両端部に車体前後方向に沿った配設されたルーフサイドレール等の他の骨格部材内にリトラクタ18を配設した構成としても良い。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の車両用シートベルトは、アッパパネルとロアパネルとの2部材から成り、車室天井部に配設され実質的に閉断面構造とされた骨格部材と、骨格部材内に配設されたシートベルト巻取装置と、骨格部材に形成され、シートベルト巻取装置を挿入するための開口部と、アッパパネルとロアパネルとの接合部に固定され、開口部を閉塞する共に、シートベルト巻取装置を支持する取付ブラケットと、を有し、骨格部材は車幅方向に延設されており、骨格部材と、骨格部材の車幅方向両端部に位置するピラーリインフォースメントと、の重合部に、取付ブラケットが固定されていると共にピラーリインフォースメントはシートベルト巻取装置の車両後方側へ回り込むように延設されており、取付ブラケットの車幅方向外側が骨格部材とピラーリインフォースメントの重合部にシートベルト巻取装置の車両後方で固定されているため、重量増加及びコストアップを招くこと無く、且つ車室天井部の外観品質を向上させることができるという優れた効果を有する。また、組付作業性が向上すると共に、骨格部材における開口部を形成した部位の剛性低下を防止できるという優れた効果を有する。また、シートベルト巻取装置の支持剛性が向上するという優れた効果を有する。また、シートベルト巻取装置の支持剛性が更に向上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の1−1線に沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用シートベルトを示す概略平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用シートベルトが適用された車体を示す車体斜め後方から見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用シートベルトが適用された車室内部を示す車体斜め前方から見た斜視図である。
【図5】従来の車両用シートベルトを示す側断面図である。
【符号の説明】
10 リヤシート
14 シートベルト
16 車室内天井部
18 リトラクタ(シートベルト巻取装置)
20 リヤルーフヘッダ(車室天井部における骨格部材)
22 リヤルーフヘッダアッパ
22A リヤルーフヘッダアッパの接合フランジ
22B リヤルーフヘッダアッパの接合フランジ
24 リヤルーフヘッダロア
24B リヤルーフヘッダロアの接合フランジ
24C リヤルーフヘッダロアの下壁部
26 リヤルーフヘッダの閉断面部
30 ピラーリインフォースメント
30A ピラーリインフォースメントの延設部
30D ピラーリインフォースメントの車幅内側縁部
34 開口部
36 取付ブラケット
62 リヤルーフヘッダトリム
Claims (1)
- アッパパネルとロアパネルとの2部材から成り、車室天井部に配設され実質的に閉断面構造とされた骨格部材と、
該骨格部材内に配設されたシートベルト巻取装置と、
前記骨格部材に形成され、前記シートベルト巻取装置を挿入するための開口部と、
前記アッパパネルとロアパネルとの接合部に固定され、前記開口部を閉塞する共に、前記シートベルト巻取装置を支持する取付ブラケットと、
を有し、前記骨格部材は車幅方向に延設されており、前記骨格部材と、前記骨格部材の車幅方向両端部に位置するピラーリインフォースメントと、の重合部に、前記取付ブラケットが固定されていると共に前記ピラーリインフォースメントは前記シートベルト巻取装置の車両後方側へ回り込むように延設されており、前記取付ブラケットの車幅方向外側が前記骨格部材と前記ピラーリインフォースメントの重合部に前記シートベルト巻取装置の車両後方で固定されていることを特徴とする車両用シートベルト。
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