JP6837509B2 - 車体後部構造 - Google Patents
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Description
しかしながら、リトラクタをリアルーフレールに直接取り付けると、リアルーフレールの剛性及び強度が十分に確保されないおそれがある。
本実施形態に係る車体後部構造は、このようなブラケットの車幅方向の端部とリアルーフレールとを繋ぐエクステンションを備えることを主な特徴とする。
以下では、まず車体後部構造を有する車体について説明した後に、車体後部構造について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車体後部構造Cを有する車体1の後部斜視図である。
図1に示すように、車体後部構造Cを有する車体1は、リアゲート(図示を省略)で閉じられる後部開口7の左右両側にリアピラー2を備えている。
これらリアピラー2の下端部は、後部開口7の下辺を形成するリアパネル3の両端部に接続されている。
また、リアピラー2の下端部は、左右両側に配置されるリアホイールハウス6(図1中、左側のみ図示)に対してもリアエンドパネル(図示を省略)を介して接続されている。
これらリアピラー2の上端部のそれぞれは、後部開口7の上辺を形成するリアルーフレール5の両端部に接続されている。
本実施形態でのリアピラー2は、図示を省略するが、アウタパネルと、ピラーアウタと、ピラーインナとによって略矩形の閉断面を形成している。
なお、図1中、符号8は、後記するリアゲートのヒンジ取付部4(図2参照)の補強部材である。符号9は、リアルーフレール5に取り付けられたリトラクタである。
次に、本実施形態の車体後部構造C(図1参照)について説明する。
図2は、図1における矢示II部である車体後部構造Cの拡大斜視図である。図3は、図2に示す車体後部構造Cの分解斜視図である。なお、図3中、リトラクタ9(図1参照)と補強部材8(図1参照)の図示は省略している。
図2に示すリアルーフレール5は、前記のように、後部開口7(図1参照)の上辺を形成するともに、車幅方向の端部がリアピラー2(図1参照)の上端部に接続されている。
このようなリアルーフレール5は、図1に示すように、後記するリトラクタ9をリアルーフレール5の右側端部に取り付けている。
具体的には、上下方向に板面が向く底壁52と、底壁52の前縁から上方に向けて延びる前壁53と、を有している。そして、この前壁53の上縁には、リアルーフレール5の後記する突出部51に対応する位置で、前壁53の上端が前方に向けて屈曲して形成されたフランジ53aが形成されている。
このフランジ53aには、後記するブラケット10が溶接などにより接続されることとなる。
また、底壁52には、下部開口54を車幅方向に挟むようにリトラクタ9(図2参照)を底壁52に取り付けるマウント52aが形成されている。
リトラクタ9は、このようなマウント52aを介してリアルーフレール5の突出部51に取り付けられる。
図4に示すように、リアルーフレール5の突出部51は、車幅方向に延びるリアルーフレール5のリアピラー2側の端部が、車体前側に部分的に突出するように形成されている。
具体的には、底壁52の前縁が、車体前部に部分的に膨出している。
このような突出部51における底壁52にリトラクタ9が取り付けられている。
図4に示すように、ブラケット10は、リアルーフレール5の突出部51との間に、リトラクタ9を配置している。
本実施形態でのブラケット10は、図3に示すように、車幅方向に交差する断面視で、L字形状を呈している。
このフランジ12aは、リアルーフレール5の底壁52に溶接などで接続されることとなる。
また、このようなブラケット10とリアルーフレール5とが接続されることによって、図3中、仮想線(二点鎖線)で示すように、ブラケット10は、車幅方向の両端部に、略矩形の開口部30をそれぞれ形成する。
ちなみに、本実施形態での開口部30は、突出部51にブラケット10が合わせて配置されるために形成される。
また、ブラケット10は、次に説明するエクステンション20が取り付けられる側に対して車幅方向の反対側でリアピラー2と接続される。
これによりブラケット10とリアルーフレール5との間で形成される矩形の閉断面は、図1に示すリアピラー2の上端部の閉断面からリアピラー2の下端部の閉断面へと連続するように形成される。図3中、符号2aは、リアピラー2の上端部での閉断面を表している。符号20は、次に説明するエクステンションである。
次に、エクステンション20(図3参照)について説明する。
図3に示すように、エクステンション20は、屈曲した板体で構成されている。
このエクステンション20は、図2に示すように、ブラケット10の後壁12(後面)における車幅方向内側の端部と、リアルーフレール5の前壁53とを接続している。
具体的には、エクステンション20は、図4に示すように、ブラケット10の後壁12の延在方向に沿うように配置されて、リアルーフレール5とブラケット10とを接続している。
なお、エクステンション20は、前記のような、後壁12(後面)における車幅方向内側の端部と、リアルーフレール5の前壁53とを接続するものに限定されない。
すなわち、エクステンション20は、後壁12(後面)における車幅方向外側の端部と、リアルーフレール5の前壁53とを接続する構成とすることもできる。また、一対のエクステンション20が、車幅方向内側の端部と車幅方向外側の両方と、リアルーフレール5の前壁53とを接続する構成とすることもできる。
すなわち、本実施形態でのエクステンション20は、ブラケット10の上壁11(上面)又は後壁12(後面)の少なくとも一方と、リアルーフレール5の前壁53とを接続する構成となっている。
したがって、エクステンション20は、図示を省略するが、ブラケット10の上壁11(上面)とリアルーフレール5の前壁53の上縁とを接続するように配置することもできる。また、エクステンション20は、図示を省略するが、ブラケット10の上壁11(上面)と、後壁12(後面)との両方をリアルーフレール5の前壁53に接続することもできる。
図5に示すように、エクステンション20は、上下方向に延びる縦壁21と、縦壁21の下端から前後方向に延びてリアルーフレール5(図2参照)の底壁52(図2参照)に沿うように配置される底面22と、縦壁21の上縁によって延びる補強フランジ23と、を備えている。
ブラケット取付部21aは、ブラケット10(図2参照)の後壁12(図2参照)に重ね合わせられてこの後壁12とスポット溶接などで接続される。
このブラケット取付部21aに対応する位置での下方の底面22は、ブラケット10(図4参照)のフランジ12a(図4参照)と、リアルーフレール5の底壁52(図4参照)との三枚重ねにてスポット溶接される。
この縦壁本体部21bに対応する位置での下方の底面22は、リアルーフレール5(図4参照)の底壁52(図4参照)との二枚重ねにてスポット溶接される。
具体的には、ビード21dは、ブラケット取付部21aと、リアルーフレール取付部21cとのそれぞれに形成されている。
また、エクステンション20は、底面22から縦壁21にわたって形成されるビード22aを有している。
次に、ヒンジ取付部4(図2参照)の補強部材8(図2参照)について説明する。
補強部材8は、図2に示すように、ヒンジ取付部4と一体に形成されている。
ヒンジ取付部4には、図示を省略するが、リアゲートに取り付けられるゲート側ヒンジを枢支する車体側ヒンジがボルトなどによって締結される。
また、補強部材8は、前後方向において、ブラケット10と、リアピラー2の上端部とオーバーラップするように配置されている。
そして、補強部材8は、リアルーフレール5の底壁52とスポット溶接されているとともに、ブラケット10の後壁12におけるフランジ12aに対してもスポット溶接されている。
次に、本実施形態の車体後部構造Cの奏する作用効果について説明する。
本実施形態の車体後部構造Cは、リアルーフレール5の突出部51との間にリトラクタ9が配置されるように、このリアルーフレール5に対してブラケット10が接続されている。
このような車体後部構造Cによれば、リトラクタ9を配置するスペースをリアルーフレール5の前側に確保することができる。
このような車体後部構造Cにおいては、シートベルト(図示を省略)からリトラクタ9に入力される荷重が、突出部51に対して下方に向けて入力される。そして、この荷重は、ブラケット10及びエクステンション20を介してリアルーフレール5の前壁53へと伝達される。これにより車体後部構造Cは、シートベルトから入力される荷重に対するリアルーフレール5の捻じり剛性及び強度が高められる。
また、このような車体後部構造Cによれば、エクステンション20によって開口部30の変形を防止することができる。これにより車体後部構造Cは、リアルーフレール5におけるリトラクタ9の取付部の剛性及び強度を高めることができる。
このような車体後部構造Cによれば、シートベルト(図示を省略)からリトラクタ9に入力される荷重が、効率よくリアピラー2に伝達される。
これにより車体後部構造Cは、シートベルト(図示を省略)を介してリアルーフレール5に過大な負荷が集中することを抑制することができる。
また、ブラケット10がリアルーフレール5との間で形成する閉断面が、リアピラー2の閉断面に連続することによって、リアルーフレール5におけるリトラクタ9の取付部からリアピラー2の上端にかけての捻じり剛性が高まる。
これに対して、車体後部構造Cにおいては、ブラケット10がリアルーフレール5との間で形成する閉断面と、リアピラー2の閉断面とが連続するように接続されるので、リアルーフレール5における剛性及び強度を高めつつ、リトラクタ9をリアピラー2に近接配置することができる。
また、このリアピラー2に追加のリインフォースメントが不要となることで、左右のリアピラー2が対称形状に近づく。これにより左右のリアピラー2が非対称形状となることで生じる車体1の振動や騒音を抑制することができる。
このような車体後部構造Cによれば、エクステンション20の車幅方向に対する剛性及び強度が向上する。これにより車体後部構造Cは、リアルーフレール5の車幅方向に入力される荷重が、ブラケット10とリアルーフレール5の前壁53の相互間で効率よく伝達される。よって、車体後部構造Cは、リアルーフレール5の車幅方向の剛性及び強度を高めることができる。
このような車体後部構造Cによれば、エクステンション20の車幅方向に対する剛性及び強度が高められる。これにより車体後部構造Cは、リアルーフレール5におけるリトラクタ9の取付部の剛性及び強度を高めることができる。そして、車体後部構造Cは、リアルーフレール5の車幅方向の剛性及び強度を高めることができる。
また、このような車体後部構造Cによれば、エクステンション20の車幅方向を軸とした捻じり剛性及び強度も高められる。これにより車体後部構造Cは、シートベルトから入力される荷重に対するリアルーフレール5の捻じり剛性及び強度が高められる。
このような車体後部構造Cによれば、リアルーフレール5におけるリトラクタ9の取付部と、ヒンジ取付部4の両方の剛性及び強度を高めることができる。
前記実施形態では、リアルーフレール5の右側端部にのみリトラクタ9を有するものを想定しているが、本発明はこれに限定されない。したがって、車体後部構造Cは、リアルーフレール5の左側端部にのみリトラクタ9を有する構成とすることもできるし、リアルーフレール5の左右両端部にリトラクタ9を有する構成とすることもできる。
ちなみに、リアルーフレール5の左側端部にリトラクタ9を有する車体後部構造Cは、車両の中心軸を挟んで前記実施形態での車体後部構造C(右側構造)の対称構造となる。
2 リアピラー
4 ヒンジ取付部
5 リアルーフレール
7 後部開口
8 ヒンジ取付部の補強部材
9 リトラクタ
10 ブラケット
11 ブラケットの上壁(上面)
12 ブラケット後壁(後面)
20 エクステンション
21 エクステンションの縦壁
21a エクステンションのブラケット取付部
21b エクステンションの縦壁本体部
21c エクステンションのリアルーフレール取付部
21d 縦壁のビード
22 エクステンションの底面
22a 底面のビード
23 エクステンションの補強フランジ
30 リアルーフレールとブラケットで形成される開口部
51 リアルーフレールの突出部
52 リアルーフレールの底壁
52a リトラクタ用のマウント
53 リアルーフレールの前壁
C 車体後部構造
Claims (5)
- 車幅方向に延びるリアルーフレールにシートベルトのリトラクタが取り付けられた車体後部構造において、
前記リアルーフレールは、
車体前方に突出して前記リトラクタを配置する突出部と、
車体前側で上下に延びる前壁と、
を有し、
前記リアルーフレールとの間に前記リトラクタが配置されるように前記リアルーフレールに接続されるとともに、前記リアルーフレールとの間で車幅方向端部に開口部を形成するブラケットと、
前記ブラケットの上面又は後面の少なくとも一方の車幅方向端部と前記リアルーフレールの前壁とを繋ぐエクステンションと、
を備えることを特徴とする車体後部構造。 - 車体後部で閉断面を形成して上下方向に延びるリアピラーをさらに備え、
前記ブラケットが前記リアルーフレールとの間で形成する閉断面は、前記エクステンションが取り付けられた側に対して車幅方向の反対側で、前記リアピラーの閉断面と連続していることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。 - 前記エクステンションは、
上下方向に延びる縦壁と、
前記縦壁において車幅方向に延びるビードと、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体後部構造。 - 前記エクステンションは、前記縦壁の下端から前後方向に延びる底面を有し、
前記底面は、前記リアルーフレールに接合されていることを特徴とする請求項3に記載の車体後部構造。 - リアゲートのヒンジ取付部の補強部材をさらに備え、
前記リアルーフレールと、前記ブラケットと、前記補強部材と、が相互に接合されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車体後部構造。
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