JP2004016114A - 法面緑化基盤材用土質材料の製造方法及び装置、法面緑化基盤材の製造方法、吹き付け方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、土20、泥水又は脱水ケーキに、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末22又は短繊維23(略5cm以下、好ましくは1cm程度)のうち何れか一方若しくは両方を添加し、必要に応じて水24を添加して混合することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設発生土、浚渫土など不要となった各種の土や、泥水、脱水ケーキなどをリサイクルするのに好適な法面緑化基盤材用土質材料の製造方法及び装置、法面緑化基盤材の製造方法、吹き付け方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の法面緑化工法においては、生育基盤材と肥料のみを法面に吹き付けるのが一般的であったが、植物の長期的な生育性能や降雨に対する流亡耐久性能を向上させるためには、土質材料を一定量以上含有することが望ましいと考えられる。
【0003】
しかし、従来の既存技術では、吹き付け施工に容易な乾燥砂を用いており、これ以外の粘性土や泥状土などの土質材料を混合して吹き付けることは困難であった。
【0004】
一方、建設現場などにおいては、粘性土や泥状土が多量に発生するが、これらの粘性土や泥状土は有効利用するのが困難であり、多くの場合は現場外に搬出され、処分地などへ捨て土されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年は建設発生土などの処分地における処分能力が逼迫しており、建設現場から発生した粘性土や泥状土などの有効利用が求められている。
【0006】
そこで、従来は捨て土処理されていた建設現場などから発生した粘性土や泥状土などの土質材料を緑化基盤材として、吹き付け工法によって法面などに吹き付けることが考えられるが、この場合には次のような問題が発生する。
【0007】
すなわち、これらの土質材料は、その粘性により圧送管内で閉塞状態を起こし易く、効率的な吹き付け施工が困難となる。また、仮に吹き付け施工を行うことができたとしても、これらの土質材料が吹き付け後に密実に締まって硬くなり、植物の根が張りにくい土壌となる上、保水性や保肥性に乏しく、植生には不適である。更に、土質材料の種類や性状が大きくばらつくため、一定の品質を有する植生基盤土壌を確保できないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、このような問題点を解決するためになされたものであり、建設現場や浚渫現場などから発生した不要な土、泥水、脱水ケーキなどを緑化基盤材としてリサイクルすることができると共に、植生に適した特性に改良することが可能な緑化基盤材用土質材料の製造方法及び装置、法面緑化基盤材の製造方法、吹き付け方法及び装置を提供することを技術的課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は法面緑化基盤材用土質材料の製造方法及び装置、法面緑化基盤材の製造方法、吹き付け方法及び装置であり、上記技術的課題を解決するため、以下のように構成されている。
【0010】
すなわち、本発明の緑化基盤材用土質材料の製造方法は、土、泥水又は脱水ケーキに、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末又は短繊維のうち何れか一方若しくは両方を添加し、必要に応じて水を添加して混合することを特徴とする。
【0011】
土としては、建設発生土、浚渫土など各種の土を使用できる。また、サトウキビ、麻については、その本来の製品を製造した後に発生する残滓を使用することができる。なお、ケナフ、サトウキビ、麻以外にも各種の植物性繊維や動物性繊維(ウール、絹など)、合成繊維の粉末、短繊維及びパルプなどを使用できる。
【0012】
また、短繊維はその長さが5cm以下とするのがよく、より好ましくは1cm程度とするのがよい。
【0013】
この発明によれば、土、泥水、又は脱水ケーキがケナフ、サトウキビ、麻などを混合することによってその粘性などを調整し、土粒子同士が結合して大きな土塊となることを防ぐため、空気圧送吹き付けに適した適度な団粒状態が維持された土質材料に改質することができる。
【0014】
また、吸水材、凝集剤などの高分子ポリマを添加することができる。
【0015】
この場合には、上記製造方法で得られた土質材料を植物の生育に適した土壌構造(空気や水を蓄えるために適度な隙間を有する構造)とし、更に降雨に対しても流亡しない耐久性を兼ね備えた構造にできる。
【0016】
また、土、又は脱水ケーキは、嵩計量の方法によって所定量を計測して混合することができる。
【0017】
この場合には、土、脱水ケーキなどをバックホーのバケットなどで取り出すことにより、計量器などを使用することなく目測で略一定量の体積を即座に取り出すことができるので、計量器及びコンベヤを削減できる。
【0018】
また、前記土、泥水、又は脱水ケーキが粘性土の場合には、その吹き付け施工における吹付最適含水比を算出し、この吹付最適含水比となるように加水処理を行うことができる。
【0019】
この場合には、法面緑化基盤材の品質を一定に保持できると共に、吹付手段が閉塞するのを防止できる。
【0020】
また、前記土、泥水、又は脱水ケーキが砂質土の場合には、その締め固め特性を表す締固最適含水比を測定し、この締固最適含水比から外れた範囲を吹付最適含水比とし、この吹付最適含水比となるように加水処理することができる。
【0021】
この場合にも、法面緑化基盤材が吹付手段に詰まるのを防止できる。
【0022】
また、前記締固最適含水比における乾燥密度の略95%の乾燥密度となるように、前記吹付最適含水比を設定することができる。
【0023】
この場合には、法面緑化基盤材の含水比が異常に高く又は低くなるのを防止でき、これにより、効率よく吹き付け施工を行うことができると共に、法面に吹き付けた後の仕上がり状態を良好にできる。
【0024】
また、本発明の法面緑化基盤材用土質材料の製造装置は、土、泥水又は脱水ケーキを嵩計量によって一定量の体積だけ取り出して搬送する搬送手段と、前記搬送手段から供給された前記土、泥水又は脱水ケーキと、前記ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末又は短繊維のうち何れか一方若しくは両方と、必要に応じて供給された水とを混合する混合手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
搬送手段としては、バックホー等を例示できる。また、混合手段としては、通常の混練ミキサーを例示できる。また、短繊維はその長さを5cm以下、好ましくは1cm程度にするのがよい。
【0026】
この発明によれば、計量器及びベルトコンベヤを削減できるので、装置の構成を簡略化でき、これによって、コストダウンが可能になる。
【0027】
また、本発明の法面緑化基盤材の製造方法は、上記法面緑化基盤材用土質材料の製造方法によって製造された法面緑化基盤材用土質材料に、種子、生育基盤材、肥料、及び接合剤を混合することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、建設発生土や浚渫土など各種の土、泥水、脱水ケーキを用いて、空気圧送吹き付けに適した法面緑化基盤材を製造できる。
【0029】
また、本発明の法面緑化基盤材の吹き付け方法は、上記法面緑化基盤材の製造方法によって製造された前記法面緑化基盤材を篩にかけて、一定以上の大きさ、すなわち20cm〜25cm程度の粒径以上の成分を除去した後、前記法面緑化基盤材を緑化すべき法面に吹き付けることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、礫混り粘性土のような中間土であっても吹き付け材料として用いることが可能になる。
【0031】
また、本発明の法面緑化基盤材の吹き付け装置は、上記法面緑化基盤材の製造方法によって製造された緑化基盤材から一定以上の大きさ、すなわち、20cm〜25cm程度の粒径以上の成分を除去する篩手段と、この篩手段から供給された前記法面緑化基盤材を緑化すべき法面に吹き付ける吹き付け手段と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
吹き付け手段としては、通常の空気圧送式の吹付機を使用できる。
【0033】
この発明によれば、篩手段によって一定以上の大きさの成分を除去するので、中間土などの礫混り粘性土を緑化基盤材の土質材料として使用した場合でも、吹き付け手段が閉塞するのを防止できる。
【0034】
以上の各構成要素は、可能な限り互いに組み合わせることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る法面緑化基盤材用土質材料の製造方法及び装置、法面緑化基盤材の製造方法及び装置、吹き付け方法及び装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1に示すように、本発明に係る法面緑化基盤材の製造及び吹付装置1は、法面緑化基盤材用土質材料10を製造する製造装置11と、この製造装置11で製造された法面緑化基盤材10を緑化すべき法面12に吹き付ける吹付機13とを有している。
【0037】
このうち、法面緑化基盤材10の製造装置11は、建設発生土や浚渫土などの各種の土20、泥水又は脱水ケーキなどを、嵩計量によって一定量の体積だけ取り出して搬送するバックホー(計量及び搬送手段)21と、このバックホー21で取り出された土20に、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末22又は短繊維23のうち何れか一方若しくは両方を混合する強制練りミキサ(混合手段)25とを備えている。短繊維23の長さは、約5cm以下とするのがよく、より好ましくは1cm程度とするのがよい。
【0038】
強制練りミキサ25には、種子、生育基盤材、肥料及び接合剤33、吸水剤や凝集剤などの高分子ポリマ35、必要に応じて水24も投入される。
【0039】
また、この製造装置11は、前記水24を貯める水槽26と、水槽26内の水24を強制練りミキサ25に供給するポンプ27と、各装置に電源を供給する発電機28と、強制練りミキサ25から送出された法面緑化基盤材10を搬送するベルトコンベヤ29,30と、強制練りミキサ25で製造された緑化基盤材10を一定量ずつ吹付機13に供給するホッパ31とを備えている。
【0040】
更に、この製造装置11は、強制練りミキサ25で製造された法面緑化基盤材10から、一定以上の大きさ、すなわち、20cm〜25cm程度の粒径以上のの成分を取り除くため、ホッパ31の入口側に振動方式の篩32を有している。
【0041】
上記吹付機13は通常の空気圧送式を使用でき、これに圧縮空気を供給するために空気コンプレッサ34が接続されている。
【0042】
次に、上述の法面緑化基盤材の製造装置11による法面緑化基盤材用土質材料及び法面緑化基盤材の製造方法を説明する。
【0043】
法面緑化基盤材用土質材料は、法面緑化基盤材10の原材料となるものであり、本実施形態では法面緑化基盤材用土質材料と法面緑化基盤材10を同時に製造するようになっているが、別個に製造することもでき、説明を分かりやすくするために、ここでは別個に製造する場合について説明する。
【0044】
法面緑化基盤材用土質材料を製造する場合は、図2に示すように、堆積されている例えば建設発生土20(図1)から、バックホー21による嵩計量、すなわち、バックホー21のバケットに目測で一定量だけ建設発生土20を積み込むなどの軽量方法によって、一定量の体積の建設発生土20を取り出し、これを強制練りミキサ25に投入する(ステップ41)。
【0045】
次に、後述の品質管理方法によって、必要があると判断された場合には、強制練りミキサ25に水24を供給する(ステップ42)。次に、吸水剤や凝集剤などの高分子ポリマ35を強制練りミキサ25に投入する(ステップ43)。
【0046】
次に、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類の粉末22又は短繊維23の一方若しくは両方を改良材として、その所定量を強制練りミキサ25に投入する(ステップ44)。短繊維23は、その長さを略5cm以下とするのが良く、好ましくは1cm程度とするのがよい。なお、サトウキビ及び麻は、その本来の製品を製造した後に発生する残滓を利用できる。
【0047】
次に、強制練りミキサ25を駆動し、その中に投入された建設発生土20、改良材である粉末22及び短繊維23、高分子ポリマ35を攪拌して混合する。これによって、法面緑化基盤材用土質材料が製造される。
【0048】
次に、この法面緑化基盤材用土質材料を用いて法面緑化基盤材10を製造する方法について説明する。この場合には、図3に示すように、上記で製造した法面緑化基盤材用土質材料を強制練りミキサ25に投入するか、又は緑化基盤材用土質材料の製造を連続して行う(ステップ51)。
【0049】
次に、強制練りミキサ25に種子、生育基盤材、肥料及び接合剤33を投入する(ステップ52)。次に、強制練りミキサ25によって、その中に投入された原料を攪拌して混合する(ステップ53)。これによって、法面緑化基盤材10が製造される。
【0050】
なお、本実施形態では、図1に示すように、法面緑化基盤材用土質材料と、法面緑化基盤材10の製造に必要な原料を強制練りミキサ25に一緒に投入し、法面緑化基盤材用土質材料と法面緑化基盤材10を同時に製造するようになっている。
【0051】
このようにして製造され法面緑化基盤材10は、図1に示すように、ホッパ31に投入され、その入口側に設置されている振動方式の篩32によって、一定以上の大きさ、すなわち、20cm〜25cm程度の粒径以上の成分が除去され、吹付機13に供給されて法面12に吹き付けられる。
【0052】
ところで、本発明は、建設発生土や浚渫土など様々な種類の土を法面緑化基盤材10としてリサイクル利用するものであり、ここでは幅広い種類や性状を有する土を用いて、均質な緑化基盤となるような品質管理を行う必要がある。
【0053】
そこで、本発明では、次に説明する方法で、原料となる土、泥水又は脱水ケーキの吹き付け施工における最適含水比ωnを求め、これらの含水比ωnに基づいて加水処理を行うようになっている。
【0054】
まず、土、泥水又は脱水ケーキが粘性土の場合について説明する。この場合は、図4に示すように、例えば原料となる土の液性限界ωL(%)、塑性限界ωP(%)を測定し、塑性指数IP(IP=ωL−ωP)を算出する(ステップ61)。
【0055】
図5は、各種の土A,C、泥水D、及び脱水ケーキB,Eの液性限界ωL(%)、塑性限界ωP(%)、及び塑性指数IPを示す。塑性指数IPは、ωn=ωLのときに1となり、ωn=ωPのときに0となる。
【0056】
次に、これらの土などを対象として、その任意の含水比ωnにおける液性指数IL(IL=ωn−ωP/IP)を算出する(ステップ62)。図6は、土A,Cなどの含水比ωnと液性指数ILを示す。
【0057】
次に、上記任意の含水比ωnから塑性限界ωPを差し引いた値(ωnーωP)と、液性指数ILとの関係を求め、これをグラフ化する(ステップ63)。図7は土A,Cなどについて、その(ωnーωP)と液性指数ILとの関係をを示し、図8はその関係をグラフにしたものである。
【0058】
次に、図8において、その原点(ωn=ωP)と、各土A,C、泥水D、脱水ケーキB,EがIL=1(ωn=ωL)となる点とを結んだ直線と、吹き付けに適した最適含水比領域Tとが交差する部分のうち、その略中心における横軸の値(ωnーωP)を読みとる(ステップ64)。例えば湖底泥Dの場合には、(ωn−ωP)=47%となる。なお、最適含水比領域Tは、実験によって求めたものである。
【0059】
次に、ステップ64で読みとった値(ωn−ωP)に、その土などの塑性限界ωPを加えて含水比ωnを算出する(ステップ65)。この含水比ωnが、吹き付け施工をする場合における吹付最適含水比ωnとなる。
【0060】
図8の湖底泥Dの場合を例にとると、上述のように(ωn−ωP)が47%であり、また、この湖底泥Dの塑性限界ωPは、102.3%(図5参照)であるから、吹き付け施工のための吹付最適含水比ωnはωn=47+102.3=149.3%となる。
【0061】
このようにして吹き付け施工における吹付最適含水比ωnを求めた後、その土などを用いて法面緑化基盤材10を製造する際に、求めた吹付最適含水比ωnとなるように加水処理を行う(ステップ66)。これにより、粘性土を用いた場合における法面緑化基盤材の品質を一定に保持できる。
【0062】
また、原料となる土が液・塑性限界が求まらない砂質土の場合には、図9に示すように、先ず原料となる砂質土の室内突き固め試験を実施し、締め固め曲線を作成する(ステップ71)。図10は砂質土A,Cなどの締め固め曲線の一例を示す。
【0063】
次に、この締め固め曲線から締め固めに最適な含水比である締固最適含水比ωOPTと、最大乾燥密度ρd・maxを求める(ステップ72)。そして、法面緑化基盤用土質材料10の製造時に、最大乾燥密度ρd・maxの略95%となる乾燥密度(D95)を目安として、この乾燥密度値(D95)を与えることが可能な、乾燥側すなわち低い方の含水比ωnを吹付最適含水比ωnとし、この吹付最適含水比ωnとなるように加水処理を行う(ステップ73)。
【0064】
砂質土の場合には、締め固めに最適な含水比であるωOPT付近で吹き付け施工を行うと、配管内で閉塞するおそれがある。そこで、この締固最適含水比ωOOTにおける最大乾燥密度ρd・maxの略95%となる乾燥密度(D95)となる含水比を吹付最適含水比ωnとして加水処理を行うものである。
【0065】
このように、本発明によれば、建設発生土20や浚渫土など各種の土、泥水、又は脱水ケーキにケナフ、サトウキビ、又は麻の粉末22又は短繊維23(その長さが略5cm以下、好ましくは1cm程度)の一方若しくは両方を混合することによって調質し、空気圧送吹き付けに適した状態の土質材料に改質することができる。
【0066】
また、法面緑化基盤材用土質材料に吸水材、凝集剤などの高分子ポリマ35を添加することにより、植物の生育に適した土壌構造(空気や水を蓄えるために適度な隙間を有する構造)とし、更に降雨に対しても流亡しない耐久性を兼ね備えた構造にできる。
【0067】
また、土、又は脱水ケーキを使用する場合には、土、又は脱水ケーキをバックホー21などで取り出すことにより、計量器などを使用することなく略一定量の体積を即座に取り出すことができるので、計量器及びこの計量器と各機器を接続するコンベヤなどを削減でき、装置の構成を簡略化できる。
【0068】
また、原料となる土、泥水又は脱水ケーキの吹付最適含水比ωnとなるように、加水処理をするので、法面緑化基盤材10の品質を一定に保持できると共に、吹付機13及び配管に詰まるのを防止できる。
【0069】
また、製造された法面緑化基盤材10を篩32にかけてその中に含まれる一定以上の大きさ(20cm〜25cm程度の粒径以上)の成分を除去した後、吹付機13に供給するので、礫混り粘性土のような中間土であっても吹き付け材料として用いることが可能になると共に、吹付機13及び配管が詰まるのを防止できる。
(実施例)
図11に示すように、赤土、脱水ケーキ及びマサ土を原料として、図1に示した法面緑化基盤材製造装置及び吹付装置1で法面緑化基盤材10を製造し、これを法面12に吹き付ける実験を行い、良好な結果を得ることができた。
【0070】
図12及び図13は、それぞれ図11に示した砂質土としてのマサ土と、粘性土としての脱水ケーキの容積比率を示している。改良前の土壌構造は、固相と液相の占める割合が気相に比べて著しく多く、客土の理想値とはかけ離れている。
【0071】
本発明では、このような状態の土などに改良を加え、さらに生育基盤材を20%混合することにより、各相の配合が客土の理想値に近づいていることが分かる。これにより、空気圧送と植生に適した土壌構造となる。
【0072】
また、本発明による改良前の土と、改良後の法面緑化基盤材用土質材料の耐侵食性を観察した結果、改良後の法面緑化基盤材用土質材料の方が耐侵食性が向上していることを確認した。
【0073】
法面土壌が降雨によって流亡されていくメカニズムは、先ず表面の比重が小さくて粒径の細かな細粒材が洗い流され、祖粒材が露呈してくると土壌表面がポーラスな状態となって新たな侵入水を土壌の中に招き入れる結果、侵食が進行していくと考えられる。
【0074】
そこで、本発明では、最初のきっかけとなる細粒材の流出を抑える目的で凝集剤などの高分子ポリマー35を添加し、シルトや粘土分を薬剤の架橋効果によって団粒化させるものである。上記観察では、改良前の土に加水すると細粒分が流出して、浮遊した状態を呈しているが、改良後は細粒分の浮遊がおさえられていることが分かった。
【0075】
次に、保肥力の付与について検証した結果を図14に示す。植生土壌が具備すべき性能で保水性と並んで重要となるのが保肥性である。土壌に保肥力を付与するためには、保水性の源となる土壌構造の改良や凝集剤などの添加による土粒子の団粒化を施しても十分とは言えず、通常の厚層吹付に用いられるバーク堆肥、ピートモスなどから構成される有機質生育基盤材を肥料と共に添加、混合する必要性が確認されている。
【0076】
保肥力を表す指標としては陽イオン交換容量が広く用いられており、その目標値として乾燥資料±100g当たり15meq以上の値が必要といわれている。そこで、本発明で改良した土壌に有機質生育基盤材の混合率を変化させて添加した結果、土壌の20%程度を有機質生育基盤材で置き換えることにより、陽イオン交換容量の目標値をクリアできることが判明した。
【0077】
また、図15に示すように、この有機質生育基盤材の添加により、植物の生育に不可欠とされる窒素、リン酸、カリの3大養分も同時に付与されることを確認した。
【0078】
上述した様々な実験及び検証の結果、本発明による法面緑化基盤材の生育性能を観察した。図16は経過時間と生育密度との関係を示し、図17は経過期間と草丈との関係を示す。
【0079】
これらの図から分かるように、肥料として、高度化成肥料と遅効性肥料を各5kg/m3ずつ混合し、発芽期待本数200本/m2の条件でトールフェスク種子を播種した結果、120日の観察期間で十分な生育密度と草丈を有する植生をもたらすことを確認した。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、土、泥水、又は脱水ケーキがケナフ、サトウキビ、又は麻を混合することによってその粘性などを調整でき、これにより、空気圧送吹き付けに適した状態の土質材料に改質することができる。
【0081】
また、吸水材、凝集剤などの高分子ポリマを添加することにより、上記で得られた土質材料を植物の生育に適した土壌構造(空気や水を蓄えるために適度な隙間を有する構造)とし、更に降雨に対しても流亡しない耐久性を兼ね備えた構造にできる。
【0082】
また、土、泥水又は脱水ケーキの吹付最適含水比に基づいて加水処理するので、品質を一定に保持できると共に、法面緑化基盤材が吹付機及び配管に詰まるのを防止できる。
【0083】
また、土、泥水又は脱水ケーキを嵩計量によって一定量の体積だけ取り出して搬送するので、計量器及びコンベヤを削減でき、装置の構成を簡略化でき、これによって、コストダウンが可能になる。
【0084】
また、法面緑化基盤材を篩にかけて、一定以上の大きさの成分を除去するので礫混り粘性土のような中間土であっても吹き付け材料として用いることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る法面緑化基盤材の製造及び吹付装置を示す図である。
【図2】本発明に係る法面緑化基盤材用土質材料の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る法面緑化基盤材の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る法面緑化基盤材の品質管理方法を示すものであり、粘性土である場合の品質管理方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキの液性限界ωL、塑性限界ωP、塑性指数IPを示す図である。
【図6】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキの含水比ωn及び液性指数ILを示す図である。
【図7】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキの(ωn−ωP)及び液性指数ILを示す図である。
【図8】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキ(粘性土)の吹付最適含水比を求める図である。
【図9】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキ(砂質土)の品質管理方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である土、泥水及び脱水ケーキ(砂質土)の乾燥密度を求める図である。
【図11】本発明に係る法面緑化基盤材の原料である赤土、脱水ケーキ及びマサ土の改良後の特性を示す図である。
【図12】本発明に係る法面緑化基盤材にマサ土を使用した場合における改良前及び改良後の固相、液相、気相の容積比率を示す図である。
【図13】本発明に係る法面緑化基盤材に脱水ケーキを使用した場合におけ改良前及び改良後のる固相、液相、気相の容積比率を示す図である。
【図14】本発明に係る法面緑化基盤材の生育基板材料混合率と陽イオン交換容量との関係を示す図である。
【図15】本発明に係る法面緑化基盤材の生育基板材料混合率と各養分の含有量との関係を示す図である。
【図16】本発明に係る法面緑化基盤材の経過時間と生育密度との関係を示す図である。
【図17】本発明に係る法面緑化基盤材の経過時間と草丈との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 法面緑化基盤材の製造及び吹付装置
10 法面緑化基盤材
11 法面緑化基盤材の製造装置
12 法面
13 吹付機
21 バックホー(計量及び搬送手段)
25 強制練りミキサ(混合手段)
22 ケナフ、サトウキビ又は麻の粉末
23 ケナフ、サトウキビ又は麻の短繊維
32 篩
35 高分子ポリマ
A,C 土
B,E 脱水ケーキ
D 泥水
Claims (14)
- 土、泥水又は脱水ケーキに、ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末又は短繊維のうち何れか一方若しくは両方を添加し、必要に応じて水を添加して混合することを特徴とする法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 吸水剤、凝集剤などの高分子ポリマを添加することを特徴とする請求項1に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記土、又は脱水ケーキは、嵩計量の方法によって所定量を計測して混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記土、泥水又は脱水ケーキが粘性土の場合には、その吹き付け施工における吹付最適含水比を算出し、この吹付最適含水比となるように加水処理することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記土、泥水又は脱水ケーキが砂質土の場合には、その締め固め特性を表す締固最適含水比を測定し、この締固最適含水比から外れた範囲の含水比を吹付最適含水比とし、この吹付最適含水比となるように加水処理することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記締固最適含水比における乾燥密度の略95%の乾燥密度となるように、前記吹付最適含水比を設定することを特徴とする請求項5に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記短繊維はその長さが5cm以下であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 前記短繊維はその長さが1cm程度であることを特徴とする請求項7に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法。
- 土、泥水又は脱水ケーキを嵩計量によって一定量の体積だけ取り出して搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で取り出した前記土、泥水又は脱水ケーキと、前記ケナフ、サトウキビ、麻のうち少なくとも1種類から生成された粉末又は短繊維のうち何れか一方若しくは両方と、必要に応じて供給された水とを混合する混合手段と、
を備えたことを特徴とする法面緑化基盤材用土質材料の製造装置。 - 前記短繊維はその長さが5cm以下であることを特徴とする請求項9に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造装置。
- 前記短繊維はその長さが1cm程度であることを特徴とする請求項10に記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の法面緑化基盤材用土質材料の製造方法によって製造された法面緑化基盤材用土質材料に、種子、生育基盤材、肥料、及び接合剤を混合することを特徴とする法面緑化基盤材の製造方法。
- 請求項12に記載の法面緑化基盤材の製造方法によって製造された前記法面緑化基盤材を篩にかけて、一定以上の大きさの成分を除去した後、前記法面緑化基盤材を緑化すべき法面に吹き付けることを特徴とする法面緑化基盤材の吹き付け方法。
- 請求項12に記載の法面緑化基盤材の製造方法によって製造された法面緑化基盤材から一定以上の大きさの成分を除去する篩手段と、
この篩手段から供給された前記法面緑化基盤材を緑化すべき法面に吹き付ける吹き付け手段と、
を備えたことを特徴とする法面緑化基盤材の吹き付け装置。
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