JP2004010814A - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縮重合反応促進剤をさらに含有させる。これにより、インクが記録媒体上に付着した後、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質が記録媒体上で速やかに縮重合反応を完結して、色材を速やかにかつ確実に取り囲むことができる。この結果、記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すことが防止されて、画像の耐水性を飛躍的に向上させることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に好適なインクジェット記録用インクに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット記録に用いられるインクとしては、色材としての染料と、保湿剤と、水とを含有したものはよく知られている。ところが、上記染料を含有したインクにより記録紙等の記録媒体上に画像を形成すると、その画像の耐水性が問題となる。特に普通紙(広範な市販の紙で、とりわけ電子写真方式の複写機に用いられる紙であって、インクジェット記録用として最適な構造、組成、特性等を有するように意図して製造されてはいない紙)に記録した場合には、耐水性が非常に悪くなる。
【0003】
そこで、従来、例えば特開平10−212439号公報、特開平11−293167号公報及び特開平11−315231号公報に示されているように、加水分解性アミノシラン化合物(有機ケイ素化合物)を含有させることにより、記録媒体上の画像の耐水性を向上させるようにすることが提案されている。すなわち、インク滴が記録媒体上に付着してそのインク滴中の水が蒸発したり記録媒体内に浸透したりしたときに、上記アミノシラン化合物が縮重合反応し、この縮重合反応したアミノシラン化合物が染料を取り囲むため、記録媒体上の画像が水に濡れても、染料がその水中に染み出すことはなく、その画像の耐水性が向上する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例で提案されているインクを用いて、記録媒体上に画像の記録を実際に行うと、記録画像は必ずしも十分な耐水性を示さないことがあることがわかった。すなわち、記録画像を水に浸漬させると、記録画像から染料が水に溶解したり、記録画像が水でにじんだりする。
【0005】
また、色材によっては、アミノシラン化合物の効果が現れず、ほとんど耐水性を示さないことがある。この傾向は、マジェンタ染料において顕著に見られる。
【0006】
そこで、本願発明者が、種々の検討を行った結果、記録画像の耐水性が不十分なのは、上記アミノシラン化合物の縮重合反応が完結していないためであることがわかった。アミノシラン化合物の縮重合反応が完結していない場合には、アミノシラン縮重合物は色材を十分取り囲むことができなくなる。その結果、記録画像を水と接触させると、アミノシラン縮重合物に取り囲まれなかった色材が水に溶解するので、記録画像ににじみがみられるようになる。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記アミノシラン化合物のような、水がない状態で縮重合反応する水溶性物質をインクに含有させて画像に耐水性を付与する場合に、縮重合反応を完結させて、画像の耐水性を飛躍的に向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、縮重合反応促進剤を含有させることにより、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質が、インク滴が記録媒体上に付着した後速やかに縮重合反応できるようにした。
【0009】
具体的に、請求項1記載の発明は、色材と保湿剤と、水と、前記水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクを対象とし、上記水溶性物質の縮重合反応を促進する縮重合反応促進剤を含有させることを特定事項とするものである。
【0010】
このように、上記インクに縮重合反応促進剤を含有することで、インクが記録媒体(例えば紙)上に付着した後には、縮重合反応促進剤の作用により、水溶性物質の縮重合反応が速やかに行われて色材(染料又は顔料)を確実に取り囲む。こうして、記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れても、上記色材は縮重合反応した水溶性物質に取り囲まれているため、色材がその水中に染み出すことはなく、よって画像の耐水性が飛躍的に向上する。
【0011】
また、上記インクにおける水溶性物質は、色材と相互作用しやすいという観点から、加水分解性シラン化合物であることが好ましく、さらにアミノシランを含有していることが望ましい。
【0012】
また、縮重合反応促進剤は、無機もしくは有機のアンモニウム塩であることが好ましい。ここでいうアンモニウム塩は、アンモニウムイオンNH4+およびその水素を各種の置換基Rで置換したものを含む(R:アルキル、アリ−ルなど)。こうすることで、アンモニウム塩が記録媒体上で解離してアンモニアもしくはアミンを放出し、残った無機もしくは有機酸の作用で水溶性物質の縮重合反応が促進されるからである。
【0013】
また、アンモニウム塩は、弱酸のアンモニウム塩であることが好ましい。各種酸のアンモニウム塩を検討した結果、弱酸のアンモニウム塩は、耐水性を向上させる効果が大きいことがわかったからである。
【0014】
また、アンモニウム塩は、強酸のアンモニウム塩であることが好ましい。各種酸のアンモニウム塩を検討した結果、強酸のアンモニウム塩はインクのpHを安定に低下させる効果が大きいことがわかったからである。
【0015】
また、インクには、浸透剤をさらに含有させることが好ましい。こうすることで、保湿剤と浸透剤と水とからなるインクの溶媒は、インクが記録媒体(例えば紙)上に付着した後、速やかに該記録媒体内に浸透するようになる。これにより、水溶性物質の縮重合反応が速やかに行われて色材(染料又は顔料)を確実に取り囲む。その結果、画像の耐水性がより一層向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを用いたインクジェット式記録装置Aを概略的に示し、この記録装置Aは、上面に上記インクを有するインクカートリッジ35が装着されかつ該インクを後述の如く記録媒体としての記録紙41に吐出するインクジェットヘッド1を備えている。このインクジェットヘッド1はキャリッジ31に支持固定され、このキャリッジ31には、図示を省略するキャリッジモータが設けられ、このキャリッジモータにより上記インクジェットヘッド1及びキャリッジ31が主走査方向(図1及び図2に示すX方向)に延びるキャリッジ軸32にガイドされてその方向に往復動するようになっている。このキャリッジ31、キャリッジ軸32及びキャリッジモータにより、インクジェットヘッド1と記録紙41とを主走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
【0017】
上記記録紙41は、図示を省略する搬送モータによって回転駆動される2つの搬送ローラ42に挟まれていて、この搬送モータ及び各搬送ローラ42により、上記インクジェットヘッド1の下側において上記主走査方向と垂直な副走査方向(図1及び図2に示すY方向)に搬送されるようになっている。この搬送モータ及び各搬送ローラ42により、インクジェットヘッド1と記録紙41とを副走査方向に相対移動させる相対移動手段が構成されている。
【0018】
上記インクジェットヘッド1は、図2〜図4に示すように、インクを供給するための供給口3a及びインクを吐出するための吐出口3bを有する複数の圧力室用凹部3が形成されたヘッド本体2を備えている。このヘッド本体2の各凹部3は、該ヘッド本体2の上面に上記主走査方向に延びるように開口されていて、互いに上記副走査方向に略等間隔をあけた状態で並設されている。上記各凹部3開口の全長は約1250μmに、幅は約130μmにそれぞれ設定されている。尚、上記各凹部3の開口の両端部は、略半円形状をなしている。
【0019】
上記ヘッド本体2の各凹部3の側壁部は、約200μm厚の感光性ガラス製の圧力室部品6で構成され、各凹部3の底壁部は、この圧力室部品6の下面に接着固定されかつ6枚のステンレス鋼薄板を積層してなるインク流路部品7で構成されている。このインク流路部品7内には、上記各凹部3の供給口3aとそれぞれ接続された複数のオリフィス8と、この各オリフィス8と接続されかつ上記副走査方向に延びる1つの供給用インク流路11と、上記吐出口3bとそれぞれ接続された複数の吐出用インク流路12とが形成されている。
【0020】
上記各オリフィス8は、インク流路部品7において板厚が他よりも小さい上から2番目のステンレス鋼薄板に形成されており、その径は約38μmに設定されている。また、上記供給用インク流路11は上記インクカートリッジ35と接続されており、このインクカートリッジ35より供給用インク流路11内にインクが供給されるようになっている。
【0021】
上記インク流路部品7の下面には、インク滴を上記記録紙41に向けて吐出するための複数のノズル14が形成されたステンレス鋼製のノズル板9が接着固定されている。このノズル板9の下面は、撥水膜9aで被覆されている。上記各ノズル14は、上記吐出用インク流路12とそれぞれ接続されていて、この吐出用インク流路12を介して上記各凹部3の吐出口3bにそれぞれ連通されており、インクジェットヘッド1の下面において、上記副走査方向に列状に並ぶように設けられている。尚、上記各ノズル14は、ノズル径がノズル先端側に向かって小さくなるテーパ部と、該テーパ部のノズル先端側に設けられたストレート部とからなり、このストレート部のノズル径は約20μmに設定されている。
【0022】
上記ヘッド本体2の各凹部3の上側には、圧電アクチュエータ21がそれぞれ設けられている。この各圧電アクチュエータ21は、上記ヘッド本体2の上面に接着固定された状態で該ヘッド本体2の各凹部3を塞いで該凹部3と共に圧力室4を構成するCr製振動板22を有している。この振動板22は、全ての圧電アクチュエータ21に共通の1つのものからなっていて、後述の全圧電素子23に共通の共通電極としての役割をも果たしている。
【0023】
また、上記各圧電アクチュエータ21は、上記振動板22の上記圧力室4と反対側面(上面)において圧力室4に対応する部分(凹部3開口に対向する部分)にCu製の中間層25を介してそれぞれ設けられかつチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電素子23と、この各圧電素子23の上記振動板22と反対側面(上面)にそれぞれ設けられ、該振動板22と共に各圧電素子23に電圧(駆動電圧)をそれぞれ印加するためのPt製個別電極24とを有している。
【0024】
上記振動板22、各圧電素子23、各個別電極24及び各中間層25は、全て薄膜で形成されてなっており、振動板22の厚みは約6μmに、各圧電素子23の厚みは8μm以下(例えば約3μm)に、各個別電極24の厚みは約0.2μmに、各中間層25の厚みは約3μmにそれぞれ設定されている。
【0025】
上記各圧電アクチュエータ21は、その振動板22ないし各中間層25と各個別電極24とを介して各圧電素子23に駆動電圧を印加することにより該振動板22の圧力室4に対応する部分を変形させることで、該圧力室4内のインクを吐出口3bないしノズル14から吐出させるようになっている。すなわち、振動板22と個別電極24との間にパルス状の電圧を印加すると、そのパルス電圧の立ち上がりにより圧電素子23が圧電効果によりその厚み方向と垂直な幅方向に収縮するのに対し、振動板22、個別電極24及び中間層25は収縮しないので、いわゆるバイメタル効果により振動板22の圧力室4に対応する部分が圧力室4側へ凸状に撓んで変形する。この撓み変形により圧力室4内に圧力が生じ、この圧力で圧力室4内のインクが吐出口3b及び吐出用インク流路12を経由してノズル14よりインク滴として記録紙41へ吐出されて、該記録紙41上にドット状に付着することとなる。そして、上記パルス電圧の立ち下がりにより圧電素子23が伸長して振動板22の圧力室4に対応する部分が元の状態に復帰し、このとき、圧力室4内には上記インクカートリッジ35より供給用インク流路11及び供給口3aを介してインクが充填される。尚、各圧電素子23に印加するパルス電圧としては、上記のように押し引きタイプのものでなくても、第1の電圧から該第1の電圧よりも低い第2の電圧まで立ち下がった後に上記第1の電圧まで立ち上がる引き押しタイプのものであってもよい。
【0026】
上記各圧電素子23への駆動電圧の印加は、インクジェットヘッド1及びキャリッジ31を主走査方向において記録紙41の一端から他端まで略一定速度で移動させているときに所定時間(例えば50μs程度:駆動周波数20kHz)毎に行われ(但し、インクジェットヘッド1が記録紙41においてインク滴を着弾させない箇所に達したときには電圧が印加されない)、このことで、記録紙41の所定位置にインク滴を着弾させる。そして、1走査分の記録が終了すると、搬送モータ及び各搬送ローラ42により記録紙41を副走査方向に所定量搬送し、再度、インクジェットヘッド1及びキャリッジ31を主走査方向に移動させながらインク滴を吐出させて、新たな1走査分の記録を行う。この動作を繰り返すことによって、記録紙41全体に所望の画像が形成される。
【0027】
上記記録装置Aに用いるインクは、色材と、上記インクジェットヘッド1のノズル14等での乾きを抑制する保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質(水がない状態で縮重合反応する水溶性物質)としての加水分解性シラン化合物とを含有している。
【0028】
上記加水分解性シラン化合物は、上記インクジェットヘッド1のノズル14から吐出されたインク滴が記録紙41上に付着してそのインク滴中の水(溶媒)が蒸発したり記録紙41内に浸透したりしたときに縮重合反応し、このときに色材を取り囲むことにより、記録紙41上の画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すのを防止して、その画像の耐水性を向上させる働きをするものであって、アミノ基を有する有機基を含有するアルコキシシランとアミノ基を含有しないアルコキシシランとの加水分解反応物、又は、アミノ基を含有する加水分解性シランに有機モノエポキシ化合物を反応させた加水分解性シランと窒素原子を含有しない加水分解性シランとを加水分解することにより得られる有機ケイ素化合物であることが望ましい。
【0029】
上記色材としての染料は、どのようなものであってもよいが、水溶性の酸性染料又は直接染料であることが好ましい。
【0030】
一方、色材としての顔料は、次のものが好ましい。つまり、黒顔料としては、カーボンブラック表面をジアゾニウム塩で処理したものや、ポリマーをグラフト重合して表面処理したものが好適である。
【0031】
また、カラー顔料としては、顔料を、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、又は脂肪酸エステル等の界面活性剤で処理したものが好ましい。具体的には、シアン顔料では、例えばピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、又はアルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。また、マゼンタ顔料では、例えばピグメントレッド122、又はピグメントバイオレット19等が挙げられる。さらに、イエロー顔料としては、例えばピグメントイエロー74、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、又はピグメントイエロー128等が挙げられる。
【0032】
上記保湿剤は、ジエチレングリコールやグリセリン等の多価アルコール、又は2−ピロリドンやN−メチル−2−ピロリドンのような水溶性の窒素複素環化合物であることが望ましい。
【0033】
そして、本実施形態に係るインクには、縮重合反応促進剤をさらに含有させている。
【0034】
上記縮重合反応促進剤は、有機もしくは無機のアンモニウム塩が望ましい。ここでいうアンモニウム塩は、アンモニウムイオンNH4+およびその水素を各種の置換基Rで置換したものを含む(R:アルキル、アリ−ルなど)。
【0035】
アンモニウム塩のうち弱酸の塩は、耐水性を向上させる効果が大きいことがわかっている。
【0036】
また、強酸のアンモニウム塩は解離して、水素イオンを放出しやすいので、インク自身のpHを下げる効果が大きいことがわかっている。
【0037】
無機の強酸のアンモニウム塩の例として、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。
【0038】
無機の弱酸のアンモニウム塩の例として、例えばリン酸二水素一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ジ亜リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硫化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム等が挙げられる。
【0039】
有機の強酸のアンモニウム塩の例として、例えばギ酸アンモニウム、モノフルオロ酢酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、トリクロロ酢酸アンモニウム等が挙げられる。
【0040】
有機の弱酸のアンモニウム塩の例として、例えば酢酸アンモニウム、シュウ酸二アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸一アンモニウム、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、乳酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸一アンモニウム、酒石酸二アンモニウム等が挙げられる。
【0041】
上記インクは、インクの記録紙41への浸透性を高める浸透剤をさらに含有していることが望ましい。この浸透剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のような、多価アルコールのモノアルキルエーテルであることが好ましく、その含有量は、インク全体に対して、質量百分率で1〜50%であることが好ましい。これは、1%よりも少ないと、後述の如くインクの25℃における表面張力が50mN/m以下にならずにインクを記録紙41へ浸透させる効果が十分に得られない一方、50%よりも多いと、色材及びシラン化合物の水に対する溶解性が悪化するからである。
【0042】
上記のように浸透剤を含有させる場合には、浸透剤の含有量の調整によって、インクの25℃における表面張力を20〜50mN/mに設定することが望ましい。これは、表面張力が20mN/mよりも小さいと、インクをノズル14から吐出する際に液滴状に形成し難くなる一方、50mN/mよりも大きいと、インクが記録紙41へ浸透し難くなるからである。尚、表面張力を20mN/m程度にするには、浸透剤を含有させることだけでは実現できない場合が考えられるが、この場合は、浸透剤の補助剤としてフッ素系界面活性剤を添加してもよい。このフッ素系界面活性剤は、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸のアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸のカリウム塩、又はパーフルオロアルキルカルボン酸のカリウム塩等とするのが好ましい。
【0043】
そして、インクジェット記録用インクが、色材と、保湿剤と、水と、その水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質とを含有するものである場合には、そのインク滴が、記録紙41上に付着してそのインク滴中の水が蒸発したり記録紙41内へ浸透したりすると、水溶性物質が縮重合反応して色材を取り囲む。このように水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質の含有により画像の耐水性は向上するが、この反応はすべての色材に有効ではなく、色材の種類に依存する。特に、色材が染料の場合には、染料に種類により耐水性が大きく変わる。この傾向は、マジェンタ染料に顕著で、染料の種類によっては、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質を含有させても、ほとんど耐水性が向上しないものがある。
【0044】
しかしながら、本実施形態に係るインクジェット記録用インクは、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質としての加水分解性シラン化合物を含有し、さらに縮重合反応促進剤を含有させている。このインクを用いてインクジェット記録装置Aにより記録紙41に画像を形成した場合には、インク滴が記録紙41上に付着したときに、保湿剤と水とからなる溶媒がこの記録紙41内に浸透する。これにより、記録紙41上には、色材とシラン化合物と縮重合反応促進剤が残る。こうしてシラン化合物が縮重合反応し色材を取り囲むが、このとき、記録紙41上では、縮重合反応促進剤が解離、もしくは分解し、生成した酸の作用でシラン化合物の縮重合反応が速やかにかつ完結する。その結果、このシラン化合物によって色材が速やかにかつ確実に取り囲まれる。こうして、画像の耐水性は、染料の種類に依存せず、飛躍的に向上する。また、画像形成直後においても高レベルな耐水性を示す。
【0045】
尚、上記実施形態では、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質として、加水分解性シラン化合物を含有させたが、インクジェットヘッドのノズルから吐出されたインク滴が記録紙上に付着して水分(溶媒)が蒸発したり記録紙内に浸透したりしたときに縮重合反応して色材を取り囲むものであれば、どのようなものであってもよい。
【0046】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0047】
先ず、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる66種類のインクジェット記録用インクを作製した(実施例1〜実施例66)。
【0048】
尚、上記実施例1〜実施例66の全てにおいて、保湿剤としてグリセリンを含有させた。また、水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質として有機ケイ素化合物をそれぞれ含有させた。この有機ケイ素化合物は、2種類の有機ケイ素化合物を用いた。つまり、有機ケイ素化合物(A)と称すものと、有機ケイ素化合物(B)と称すものである。上記有機ケイ素化合物(A)は以下の方法により作製した。
【0049】
すなわち、反応容器に入れた180g(1モル)の水に、100g(0.56モル)のH2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3と、166g(1.1モル)のSi(OCH3)4との混合物を室温で一滴一滴加えて、その全量滴下後に60℃で1時間攪拌することにより得たものが、有機ケイ素化合物(A)である。
【0050】
一方、有機ケイ素化合物(B)は以下の方法により作製した。すなわち、先ず、反応容器に入れた100g(0.56モル)のH2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3に、49g(0.66モル)の2,3−エポキシ−1−プロパノールを一滴一滴加えて、その全量滴下後に80℃で5時間攪拌することにより、アミノ基とエポキシ基とを反応させた加水分解性シランを得、次に、新たな反応容器に、120g(6.67モル)の水と、50.6g(0.2モル)の上記加水分解性シランと、30.4g(0.2モル)のSi(OCH3)4との混合物を一滴一滴加えて、その全量滴下後に60℃で1時間反応させることにより得たものが、有機ケイ素化合物(B)である。
【0051】
また、色材としては、実施例1〜28、実施例34〜61においては染料を含有させる一方、実施例29〜33、実施例62〜66においては顔料を含有させた。尚、染料としては、基本的にC.I.アシッドレッド289を含有させ、実施例26〜28、実施例59〜61においては異なる色の染料を含有させた。
【0052】
(実施例1)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
塩化アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0053】
(実施例2)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
硝酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0054】
(実施例3)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
硫酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0055】
(実施例4)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
臭化アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0056】
(実施例5)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0057】
(実施例6)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
炭酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0058】
(実施例7)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
重炭酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0059】
(実施例8)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
ホウ酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0060】
(実施例9)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
ギ酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0061】
(実施例10)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
トリフルオロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0062】
(実施例11)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
モノクロロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0063】
(実施例12)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
トリクロロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0064】
(実施例13)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0065】
(実施例14)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
シュウ酸二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0066】
(実施例15)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
クエン酸二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0067】
(実施例16)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酒石酸二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0068】
(実施例17)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …2.5%
リン酸水素二アンモニウム …2.5%
純水 …73%。
【0069】
(実施例18)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …2.5%
硝酸アンモニウム …2.5%
純水 …73%。
【0070】
(実施例19)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0071】
(実施例20)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
酢酸アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0072】
(実施例21)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …0.1%
純水 …77.9%。
【0073】
(実施例22)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …0.5%
純水 …77.5%。
【0074】
(実施例23)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …1%
純水 …77%。
【0075】
(実施例24)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …2%
純水 …76%。
【0076】
(実施例25)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …10%
純水 …68%。
【0077】
(実施例26)
C.I.ダイレクトブラック154 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …0.5%
純水 …73%。
【0078】
(実施例27)
C.I.ダイレクトイエロー132 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%
(実施例28)
C.I.ダイレクトブルー199 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0079】
(実施例29)
カーボンブラック(商品名「CAB−O−JETTM−200」:キャボット社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0080】
(実施例30)
カーボンブラック(商品名「CAB−O−JETTM−300」:キャボット社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0081】
(実施例31)
イエロー顔料(商品名「FUJI SP YELLOW 4223」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0082】
(実施例32)
マジェンタ顔料(商品名「FUJI SP MAGENTA 9338」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0083】
(実施例33)
シアン顔料(商品名「FUJI SP BULE 6403」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …73%。
【0084】
実施例34〜66は実施例1〜33のインクに、浸透剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを5%添加し、純水を5%減少させてインクを調合した。以下に、インクの組成を示す。
【0085】
(実施例34)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
塩化アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0086】
(実施例35)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
硝酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0087】
(実施例36)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
硫酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0088】
(実施例37)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
臭化アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0089】
(実施例38)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0090】
(実施例39)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
炭酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0091】
(実施例40)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
重炭酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0092】
(実施例41)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
ホウ酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0093】
(実施例42)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
ギ酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0094】
(実施例43)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
トリフルオロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0095】
(実施例44)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
モノクロロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0096】
(実施例45)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
トリクロロ酢酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0097】
(実施例46)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0098】
(実施例47)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
シュウ酸二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0099】
(実施例48)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
クエン酸二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0100】
(実施例49)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酒石酸二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0101】
(実施例50)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …2.5%
リン酸水素二アンモニウム …2.5%
純水 …68%。
【0102】
(実施例51)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
酢酸アンモニウム …2.5%
硝酸アンモニウム …2.5%
純水 …68%。
【0103】
(実施例52)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0104】
(実施例53)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
酢酸アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0105】
(実施例54)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …0.1%
純水 …72.9%。
【0106】
(実施例55)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …0.5%
純水 …72.5%。
【0107】
(実施例56)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …1%
純水 …72%。
【0108】
(実施例57)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …2%
純水 …71%。
【0109】
(実施例58)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
リン酸水素二アンモニウム …10%
純水 …63%。
【0110】
(実施例59)
C.I.ダイレクトブラック154 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0111】
(実施例60)
C.I.ダイレクトイエロー132 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0112】
(実施例61)
C.I.ダイレクトブルー199 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0113】
(実施例62)
カーボンブラック(商品名「CAB−O−JETTM−200」:キャボット社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0114】
(実施例63)
カーボンブラック(商品名「CAB−O−JETTM−300」:キャボット社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0115】
(実施例64)
イエロー顔料(商品名「FUJI SP YELLOW 4223」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0116】
(実施例65)
マジェンタ顔料(商品名「FUJI SP MAGENTA 9338」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0117】
(実施例66)
シアン顔料(商品名「FUJI SP BULE 6403」:富士色素社製)…5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
リン酸水素二アンモニウム …5%
純水 …68%。
【0118】
続いて比較のために、以下の組成(各組成物の含有量は質量百分率である)からなる4種類のインクジェット記録用インクを作製した(比較例1〜4)。
【0119】
(比較例1)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …78%。
【0120】
(比較例2)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(A) …5%
純水 …73%。
【0121】
(比較例3)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …78%。
【0122】
(比較例4)
C.I.アシッドレッド289 …5%
グリセリン …7%
ジエチレングリコール …5%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル …5%
有機ケイ素化合物(B) …5%
純水 …73%。
【0123】
次に、上記各実施例1〜66及び各比較例1〜4のインクの耐水性およびpHを表1及び表2に示す。ここで、耐水性は印字サンプルの耐水試験前のOD値に対する耐水試験後のOD値の比(%)から求めた。印字サンプルはインクを記録装置Aに搭載し、普通紙(商品名「Xerox4024」:ゼロックス社製)に15mm角のベタ印字して作製した。耐水試験は、印字物の印字面を下にして、蒸留水に5分間浸漬して行った。浸漬後、30分間自然乾燥させた後、OD値を測定した。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
表1及び表2によると、実施例1〜66のインクは全て耐水性が90%以上であった。また、強酸のアンモニウム塩では、pHが9.0以下であった。
【0127】
これに対し、比較例1〜4のインクは、耐水性が90%以下で、pHも10以上と高かった。
【0128】
実施例1〜66および比較例1〜4のインクで、市販プリンター(商品名「EM−930C」:セイコーエプソン社製)で普通紙(商品名「Xerox4024」:ゼロックス社製)に画像を形成し、この画像を形成した直後の用紙を純水に浸漬した後、室温で放置して乾燥させ、画像のにじみが生じるが否かを調べた。
【0129】
この結果、比較例1〜4の各インクで形成した画像では、この画像のエッジ部分でにじみが見られたのに対し、実施例の各インクで形成した画像では、にじみはほとんど見られなかった。従って、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、縮重合反応促進剤を含有させることにより、画像の耐水性を飛躍的に向上することができることが判る。
【0130】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明におけるインクジェット記録用インクによれば、色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質とを含有するインクに、縮重合反応促進剤を含有させることにより、インクが記録媒体上に付着した後、水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質が記録媒体上で速やかに縮重合反応を完結して、色材を速やかにかつ確実に取り囲むことができる。このことにより、上記記録媒体上に画像を形成した直後にこの画像が水に濡れても、色材がその水中に染み出すことが防止されて、画像の耐水性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インクを用いたインクジェット式記録装置を示す概略斜視図である。
【図2】インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドの部分底面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
A インクジェット式記録装置
1 インクジェットヘッド
14 ノズル
21 圧電アクチュエータ
23 圧電素子
35 インクカートリッジ
41 記録紙(記録媒体)
Claims (6)
- 色材と、保湿剤と、水と、この水が蒸発するに伴い縮重合反応を開始する水溶性物質とを含有するインクジェット記録用インクであって、
上記水溶性物質の縮重合反応を促進する縮重合反応促進剤を含有していることを特徴とするインクジェット記録用インク。 - 水溶性物質が、加水分解性シラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 縮重合反応促進剤が、無機もしくは有機のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- アンモニウム塩が、弱酸の塩であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
- アンモニウム塩が、強酸の塩であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
- 浸透剤をさらに含有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
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