JP2004009826A - 車両用灯具装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光素子を用いた車両用灯具において、断線発生を早期に発見するとともに、灯具として必要な光量が維持される限り、未断線の発光素子を活用する。
【解決手段】車両用灯具装置1は、複数の発光素子9a、9a、…を組にした発光ユニット9を、並列に接続して構成される灯具を備えている。第一の断線検出手段10Aにより、発光ユニットの断線が検出された場合には当該発光ユニットに係る断線の発生を表示手段11で表示する。そして、第二の断線検出手段10Bによって、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したことが検出された場合には、断線が検出されない発光ユニット又は当該発光ユニットのみを含む灯具について、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させて警告を発する。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子群を用いた車両用灯具装置において、発光素子の断線検出及び給電制御の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の周期をもって点滅を繰り返す車両用灯具として、ターンシグナルランプが挙げられ、法規上、その作動状態を車両運転者が容易に把握できるように、断線検出が必要とされる。例えば、白熱電球に係る断線検出の機能がリレーフラッシャー回路(点滅回路)に含まれており、白熱電球に流れる電流値の減少を検知して断線の有無を判断している。
【0003】
ところで、白熱電球以外の光源として、LED(発光ダイオード)等の発光素子を用いた灯具が、薄型化や省電力化等の観点から、あるいはデザイン上のニーズとして求められている。そして、発光素子を使用する場合には、複数の発光素子を1組にまとめた発光ユニットを互いに並列に接続した構成形態を採ることが多い。よって、白熱電球の場合のように、1つのランプにつき1つの電球の断線検出を行う訳にはいかず、複数の発光ユニットに係る断線検出を必要とし、例えば、下記に示す方法が挙げられる。
【0004】
(1)発光ユニット毎に該ユニットに流れる電流を検出して断線が発生したか否かを判断する方法
(2)各発光ユニットに流れる電流の総計値が、予め決められた基準値を下回ったことを検出したときに、ランプ全体について断線が発生したと判断する方法。
【0005】
上記(1)の方法では、各発光ユニットについて断線検出を行えるので、例えば、発光ユニットのうち1つでも断線が検出された場合において、断線の発生を車両運転者に対して、点滅回路による高速点滅で知らせることが可能である。
【0006】
また、上記(2)の方法では、発光ユニットを構成する発光素子について断線した素子数が多いため、ランプとして必要な明るさ(法規で定められた規定光量)に満たない場合において、断線の発生を車両運転者に対して、点滅回路による高速点滅で知らせることが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成では、断線検出の精度や時期に関して以下に示す問題がある。
【0008】
先ず、上記(1)の方法では、ある発光ユニットについて断線が検出された場合に、直ちに断線異常の警告を行えるという観点からは精度が良いが、その反面、断線検出回路が過敏な反応を示す虞がある(誤動作等の発生を誘発する。)。また、ランプ全体の光量が、法規上の規定光量を充分に満たしているにも関わらず、少数の発光ユニットについて断線が検出されたことをもってランプ全体の断線が発生したものと判断されてしまう。
【0009】
これに対して、上記(2)の方法では、ランプ全体の光量が規定光量未満となった場合において、断線が発生したと判断されるので(1)の方法との比較では検出の感度が低い。よって、多数の発光ユニットが断線により機能しなくなるまでの間、個々の発光ユニットに係る断線の発生が車両運転者に知らされないままとなり、その結果、修理等の対処が遅れてしまう虞がある。
【0010】
そこで、本発明は、複数の発光素子を用いた車両用灯具装置において、断線発生を早期に検出するとともに、灯具として必要な光量が維持される限り、未断線の発光素子を活用することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の発光素子を組にして発光ユニットを構成するとともに、各発光ユニットを並列に接続して構成される灯具を備えた車両用灯具装置において、下記に示す構成を備えたものである。
【0012】
・発光ユニットを構成する発光素子の断線を発光ユニット毎に検出する第一の断線検出手段が設けられていること。
【0013】
・発光ユニットのうち、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したか否かを検出する第二の断線検出手段が設けられていること。
【0014】
・第一の断線検出手段によって、発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合には当該発光ユニットに係る断線の発生が表示されること。そして、第二の断線検出手段によって、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したことが検出された場合には、断線が検出されない発光ユニット又は当該発光ユニットのみを含む灯具について、制御手段が、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させること。
【0015】
従って、本発明によれば、ある発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合には当該断線の発生を表示することで、当該断線の発生を車両運転者に対して早期に知らせることができる。そして、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線の発生が検出された場合には、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させることで、当該発光ユニットを含む灯具全体として異常が発生したこと(規定光量未満の光量低下を含む。)の警告が可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、光源として発光素子群を用いた車両用灯具装置に関するものであり、複数の発光素子を1組にした発光ユニットを有し、各発光ユニットを並列に接続して構成された灯具を備えている。例えば、自動車用ターンシグナルランプへの適用が挙げられる。
【0017】
図1は本発明に係る回路の基本構成例を示すものであり、フラッシャー機能及び断線検出機能を備えた電子制御ユニット(ECU)への適用が可能である。
【0018】
本例では、ターンシグナルランプと、テールアンドストップランプを含めて点滅や点灯の制御を行う場合の構成を示しており、車両用灯具装置1は、下記に示す構成要素を備えている(括弧内の数字は符号を示す。)。
【0019】
・ターンシグナルランプ部(2)
・テールアンドストップランプ部(3)
・点滅回路部(4)
・断線検出部(5)
・制御部(6)
・電源回路部(7)
・電圧変換及び電圧検出部(8)。
【0020】
尚、図中に示す各記号の意味は以下の通りである。
【0021】
・「+B」=バッテリー電圧(常時12Vが入力され、ハザードスイッチのオン時に回路を動作させるための入力電圧)
・「IG」=イグニッション電圧(キー操作によるオン時に回路を動作させるための入力電圧)
・「HZD」=ハザード入力信号(Loレベル電圧(例:6V)以下でオン)
・「STP」=ストップランプ入力信号(Loレベル電圧(例:6V)以上でオン)
・「TLL」=テールランプ入力信号(6V以上でオン)
・「TURN」=ターンシグナル入力信号(6V以下でオン)
・「Sout」=断線通知用出力信号。
【0022】
先ず、ターンシグナルランプ部2については、車両前後の左右両端寄りの位置にそれぞれ付設されるターンシグナルランプ(全4灯)から構成される。各ランプの光源部については、複数の発光素子を用いた発光ユニットを並列に接続した構成を有し、点滅回路部4からの信号に応じて発光素子が点滅制御される。
【0023】
また、テールアンドストップランプ部3については、車両後部に設けられる複数のテールアンドストップランプから構成され、制御部6からの信号に応じて点消灯の制御が行われる。尚、ランプの光源部については、発光素子を用いた構成形態と、白熱電球を用いた構成形態、あるいは、発光素子と白熱電球を併用した構成形態が挙げられる。
【0024】
断線検出部5は、ターンシグナルランプ部2を構成する発光素子群についての断線状態を検出するために設けられており、検出結果は制御部6に送出される。
【0025】
電源回路部7は、上記した「+B」や「IG」を受けて、各回路部に必要な電圧を供給するために設けられており、点滅回路部4、断線検出部5、制御部6等への電源供給を行うものである。
【0026】
また、電圧変換及び電圧検出部8は、上記のHZD、STP、TLL、TURNの各入力信号を受けて電圧変換を行った後に、当該信号を制御部6に送出したり、過電圧検出を行ってその検出結果を制御部6に送出する。
【0027】
制御部6は、点滅回路部4とともに制御手段を構成し、ターンシグナルランプ部2の点滅制御及び当該ランプ部を構成する発光素子群に係る断線状態に応じた制御処理を担当している。例えば、ある発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合に、断線通知用出力信号Soutを図示しない表示手段(インジケータや表示ランプ等)に送出することにより、当該発光ユニットに係る断線の発生について表示する。また、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したことが検出された場合には、未断線の発光ユニット又は未断線の発光ユニットのみを含む灯具について、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させるための制御信号を点滅回路部4に送出し、車両運転者への断線警告を行う。この他、制御部6はテールアンドストップランプ部3の制御、例えば、機能切替及びそれに伴う光量の制御等を担当する。
【0028】
尚、ターンシグナルランプ部2やテールアンドストップランプ部3以外の部分(図1に破線で示す四角枠内を参照。)については、ECU内に収められている。
【0029】
図2は、ターンシグナルランプ部2を構成する発光ユニットに係る断線検出の要部について説明するための図である。
【0030】
各発光ユニット9は、複数の発光素子9a、9a、…を直列に接続した構成を有しており、光源部については、複数の発光ユニットが互いに並列に接続された構成を備えている。例えば、図2の例では、2つの発光ダイオード(LED)を直列に接続するとともに、一方のLEDのアノードに「+B」電源電圧が供給され、他方のLEDのカソードに抵抗9bが接続されている。そして、各抵抗9bのうち、LEDに接続される端子とは反対側の端子が接地(GND)されている。このように、複数のLEDと抵抗を直列に接続した回路により1つの発光ユニットが構成されており、各発光ユニットが互いに並列に接続されている。
【0031】
各発光ユニットを構成する発光素子の断線検出については、下記に示す2つの検出手段が設けられている。
【0032】
(1)発光ユニット毎に当該発光ユニットを構成する発光素子の断線を検出する第一の断線検出手段
(2)発光ユニットのうち、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したか否かを検出する第二の断線検出手段。
【0033】
先ず、第一の断線検出手段10Aは、発光ユニット毎の断線検出を行うために必要とされ、発光ユニットを構成する発光素子9aに電流が流れないか又は電流値が減少したことを検出して断線の有無を検知する。例えば、発光素子9aと抵抗9bとの接続点の電位を検出して、検出電圧のレベルから断線の発生を知ることができる。そして、発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合には、当該発光ユニットに係る断線の発生を表示して車両運転者に通知する。例えば、断線発生が検知された場合には、上記Soutをインジケータ等の表示手段11に送出することで車両運転者に断線発生が通知される。尚、表示手段11における断線表示の形態については、少なくと1つの発光ユニットが断線したことをパイロットランプ等で表示する形態(例えば、上記検出電圧をH、Lの2値信号として、発光ユニット毎の検出電圧に係る入力信号についての論理和演算を行い、演算結果に基いて断線発生の有無を表示する等。)と、断線した発光素子を含む灯具の場所や発光ユニットの位置等を併せて表示する形態等が挙げられる。また警報音等を併用しても良い。
【0034】
第二の断線検出手段10Bは、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生した場合、灯具に必要な光量を確保することが困難となるので、そのような状況が発生したことを検知して、車両運転者に対して警告を発するために設けられる。
【0035】
LEDを使用したランプを例にすると、その光度低下の原因については、LEDの断線と経年変化(劣化)が挙げられるが、断線検出における「断線」について、「初期値の50%以下に光度が低下したこと」をもって定義する場合には、経年変化による光度低下を加味することが必要となる場合もある。
【0036】
そして、上記判断基準に基いて予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したことが検出された場合には、断線が検出されない発光ユニット又は当該発光ユニットのみを含む灯具について、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させることで、断線による異常の発生を車両運転者に知らせることができる。
【0037】
具体的な検出方法としては、各発光素子9aに流れる電流に基いて、断線した発光素子又は当該素子を含む発光ユニットの数を算定する方法(断線数検出方法)と、各発光素子に流れる電流の総計値を検出する方法(総電流検出方法)が挙げられる。
【0038】
前者の場合には、例えば、発光素子9aと抵抗9bとの接続点の電位を検出する。そして、検出電圧のレベルに基いて各発光ユニットに断線が発生したか否か及び断線した発光素子を含む発光ユニットの数を計数して、その数が予め決められた数(灯具の光量維持に必要な発光ユニット数)以上になったか否かについて判断する。例えば、全8個の発光ユニットに対して3ユニット)以上の断線を検知する場合には、8ユニットに対して少なくとも5ユニットが正常である場合が基準となる(つまり、光量換算では、62.5%=(5/8)×100である。)。
【0039】
また、上記の総電流検出方法では、例えば、図2において各抵抗9bの一端を直接接地することなく、電流検出用抵抗に接続した上で接地する。そして、該電流検出用抵抗によって電圧変換されて検出される検出信号のレベルを、予め決められた基準電圧(灯具に必要な規定光量に対応する基準値)と比較することで断線の発生について判断することができる。
【0040】
いずれの方法でも、断線が検出された発光ユニットの数が多く、灯具に必要な光量の維持が困難である場合には、点滅回路部4に信号を送出することで、断線していない発光ユニットを含む灯具やパイロットランプに対して、正常時(非断線時)よりも短い周期の点滅指示信号が送られ、高速点滅動作が行われる(断線警告)。
【0041】
このように、各発光ユニットが並列接続とされており、第一の断線検出手段10Aにより、ある発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合には当該断線の発生を表示することで、車両運転者に対して早めに注意を促すことができる。そして、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線の発生が第二の断線検出手段10Bにより検出された場合には、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させることで、当該発光ユニットを含む灯具全体として異常が発生して規定光量を維持することができなくなったことを車両運転者に警告することができる。
【0042】
尚、発光素子としてLEDを用いる場合には、LEDに直列接続される抵抗9bに現れる電圧について2値的な検出を行う(つまり、断線発生の有無をHレベル又はLレベルに応じて判断する)ことが好ましく、個々のLEDのVf(順方向電圧降下)に係るバラツキの影響を受けないように配慮することが望ましい。
【0043】
図3乃至図6は、本発明に係る回路構成の一例を示したものである。
【0044】
図3は電源回路部7の構成例を示すものである。
【0045】
イグニッション電圧IGは、バリスタ12の一端(接地されていない方の端子)及びダイオード13のアノードに供給される。IGから見て順方向のダイオード13を介して電圧IGが電圧レギュレータ14に入力され、また、バッテリー電圧「+B」については、ダイオード15や、PNPトランジスタ16、ダイオード17を介して電圧レギュレータ14に供給される。
【0046】
ダイオード15は、そのカソードが端子「TB」に接続されるとともに、トランジスタ16のエミッタに接続されており、該トランジスタ16のコレクタが、順方向のダイオード17を介して電圧レギュレータ14の入力端子に接続されている。
【0047】
トランジスタ16のベース−エミッタ間には抵抗18が介挿され、該トランジスタのベースが抵抗19を介してHZDの信号ラインに接続されている。
【0048】
よって、ダイオード15の導通時に、「+B」が端子TBに供給され、また、HZDのレベルが低くトランジスタ16がオン状態の場合に、ダイオード17を介して電圧レギュレータ14に「+B」が入力される。
【0049】
電圧レギュレータ14には、例えば、3端子レギュレータが用いられており、その入力端子にコンデンサ20が接続され、出力端子にコンデンサ21が接続されている。そして、コンデンサ21の端子電圧が電源電圧「Vcc」として得られる構成となっている。
【0050】
図4はターンシグナルランプ部2、点滅回路部4、断線検出部5、制御部6についての構成例を示すものである。
【0051】
先ず、ターンシグナルランプ部2については、複数の発光ユニット9、9、…を並列に接続した構成を有する。つまり、複数の発光素子9a、9a、…(本例では2個のLED)を直列に接続した回路に対して、電流検出用抵抗9bを接続したものを単位構造とする。尚、各発光ユニット9については、最も下位のLEDのカソードに電流検出用抵抗9bが接続されて当該抵抗の一端が接地されているので、当該LEDに流れる電流が抵抗9bによって電圧変換されて検出される。また、各LEDのうち、高位側に位置する素子のアノードが、端子「TT2」に接続されている。
【0052】
断線検出部5については、発光ユニット毎に付設された検出回路として構成されており、各ユニットについてそれぞれに同じ回路構成を有する(よって、以下では、1つのユニットについてのみ説明する。)。
【0053】
コレクタ接地とされるPNPトランジスタ22のベースは、抵抗23を介して、発光素子9aと電流検出用抵抗9bとの接続点に接続されており、トランジスタ22のエミッタが抵抗24を介して上記電源電圧Vccの供給端子に接続されている。尚、トランジスタ22のベース−エミッタ間には、抵抗25が介挿されている。
【0054】
各トランジスタ22のエミッタは、上記制御部6を構成する制御用IC26に設けられた検出端子「D1」乃至「Dn」(「n」は発光ユニットの総数を示す。)にそれぞれ接続されており、ある発光ユニットを構成する発光素子に断線が発生した場合には、当該発光ユニットに対応するトランジスタ22がオン状態となって、トランジスタ22のエミッタに接続された検出端子には、L(ロー)レベル信号が入力される(非断線時には、H(ハイ)レベル信号が入力される。)。
【0055】
尚、本例において、制御用IC26には、CPLD(「Complexed Programmable Logic Device」の略)を用いており、内部回路の書き換えが可能である。つまり、基板に実装したままで内部回路についてのプログラミングあるいは再プログラミングを行うことができるので、開発期間の短縮化及び製造コストの削減にとって有効である。制御部6については、マイクロコンピュータ等を用いることも勿論可能であるが、CPLDを採用する構成形態では、開発設備に要する費用が少なく、また、内部クロックが必要でないことによる利点(ノイズ対策に要するコストを削減できる等。)が得られる。
【0056】
制御用IC26において、各出力端子に示す「O1」、「O2」、「O3」の意味は、下記の通りである。
【0057】
・「O1」=正常時(非断線検出時)において発光素子を所定の周期で点滅させるための制御出力信号(Hレベル又はLレベルを示す2値信号)
・「O2」=断線検出時(所定数以上の発光ユニットの断線状態が検出された時)に、発光素子(未断線)を高速に点滅させるための制御出力信号(Hレベル又はLレベルを示す2値信号)
・「O3」=1つ以上の発光ユニットが断線した場合に、その旨を図示しない表示部(車内のインナーパネル上の表示ランプ等)に送出するための出力信号(上記Soutに相当する信号)。
【0058】
上記のように、検出端子D1乃至Dnからの入力信号に基いて各発光ユニットに係る断線発生の有無を2値状態として検出することができるので、例えば、発光ユニットのうちの1つでも断線が検出された場合には、検出端子D1乃至DnのいずれかにLレベル信号が入力され、信号O3が表示部に送られて断線通知の表示が行われる(トランジスタ等で表示ランプを駆動すれば良い。)。
【0059】
また、例えば、灯具の規定光量を初期値の50%と定義した場合には、全発光ユニットの過半数について断線したことが制御用IC26において検出されたときに、制御出力信号O2の点滅周期が、制御出力信号O1による点滅周期よりも短い周期に規定される(高速フラッシャー)。
【0060】
図示のように、信号O1に係る出力端子は、順方向のダイオード27及び抵抗28を介してNPNトランジスタ29のベースに接続され、また、信号O2に係る出力端子が、順方向のダイオード30及び抵抗28を介してNPNトランジスタ29のベースに接続されている。尚、抵抗31の一端が、エミッタ接地とされたトランジスタ29のベースに接続され、該抵抗の他端が接地されている。
【0061】
端子「TB」と「TT2」とを繋ぐライン上には、PNPトランジスタ32及びダイオード33が設けられている。つまり、トランジスタ32のエミッタが端子TBに接続され、該トランジスタのコレクタがダイオード33のアノードに接続されており、ダイオード33のカソードが端子TT2に接続されている。
【0062】
そして、トランジスタ32のベースが、抵抗34を介してトランジスタ29のコレクタに接続されており、トランジスタ32のベース−エミッタ間には抵抗35が介挿されている。
【0063】
よって、信号O1又はO2のレベルに応じてトランジスタ29のオン/オフ状態が規定される。その結果、トランジスタ32のオン/オフ状態が規定され、トランジスタ32がオン状態の場合に端子TBからの電圧「+B」がダイオード33を介して端子TT2に供給される。
【0064】
尚、端子「TT1」はトランジスタ32のコレクタに接続されており、該端子は後述の電圧変換及び電圧検出部8において用いられる。
【0065】
図5は電圧変換及び電圧検出部8及びこれに関係する制御部6についての構成例を示すものである。
【0066】
先ず、HZDについては、分圧抵抗36、37を介して比較器38の正入力端子に供給される。尚、比較器38の負入力端子には、上記電源電圧Vccに基いて生成される所定の基準電圧「Eref」(図には定電圧源の記号で示す。)が供給される。また、比較器38の出力端子がダイオード39のカソードに接続され、ダイオード39のアノードが制御用IC26の入力端子「IN1」に接続されている。
【0067】
また、TURNについては、分圧抵抗40、41を介して比較器42の正入力端子に供給される。尚、比較器42の負入力端子には、基準電圧Erefが供給される。そして、比較器42の出力端子がダイオード43のカソードに接続され、ダイオード43のアノードが制御用IC26の入力端子「IN1」に接続されている。
【0068】
尚、HZD、TURNの各入力信号については、L(ロー)アクティブの仕様とされている(例えば、6V以下でオンとされる。)。
【0069】
端子TT1については、分圧抵抗44、45を介して比較器46の正入力端子に供給される。比較器46の負入力端子には、基準電圧Erefが供給され、比較器46の出力端子が制御用IC26の入力端子「IN2」に接続されている。よって、端子TT1にかかる電圧の抵抗分圧値がErefよりも大きい場合にHレベル信号が入力端子「IN2」に送られる。つまり、この信号は断線検出に係る有効性を示す信号である。当該信号がLレベルの場合には、上記の端子TT2から発光素子への電源電圧が行われないか、又は電源電圧値が必要レベル以下となっているので、断線検出を無効とする。これは、信号TURNがLレベルのとき(点滅指示における消灯期間)には、発光素子が断線していなくても、検出端子D1乃至DnにLレベルが入力されることになるので、誤った判断を下さないように防止する必要があることに依る。
【0070】
信号STPについては、バリスタ47が設けられるとともに、順方向のダイオード48及び分圧抵抗49、50を介して比較器51の正入力端子に供給される。比較器51の負入力端子には基準電圧Erefが供給され、比較器51の出力端子が制御用IC26の入力端子「IN4」に接続されている。
【0071】
また、信号TLLについては、バリスタ52が設けられるとともに、順方向のダイオード53及び分圧抵抗54、55を介して比較器56の正入力端子に供給される。比較器56の負入力端子には基準電圧Erefが供給され、比較器56の出力端子が制御用IC26の入力端子「IN5」に接続されている。
【0072】
尚、STP、TLLの各入力信号については、H(ハイ)アクティブの仕様とされている(例えば、6V以上でオンとされる。)。
【0073】
比較器57は、STPの過電圧入力について検出するために設けられており、上記ダイオード48から、そのカソードに接続された分圧抵抗58、59を介した検出電圧が比較器57の正入力端子に供給される。そして、比較器57の負入力端子には基準電圧Erefが供給され、比較器57の出力端子が制御用IC26の入力端子「IN3」に接続されている。よって、STPの入力電圧の抵抗分圧値がErefよりも大きい場合に比較器57からのHレベル信号が入力端子「IN3」に入力される。
【0074】
尚、各比較器への供給電圧(上記Vccに基く電源電圧)やプルアップ抵抗等については、図示を省略している。
【0075】
端子「TC」は、ダイオード60、61をそれぞれ介してSTP、TLLの各入力端子に接続されている。つまり、一方のダイオード60のアノードが上記ダイオード48のアノードに接続され、他方のダイオード61のアノードが上記ダイオード53のアノードに接続されており、両ダイオード60、61のカソード同士が接続されて端子「TC」に接続されている。尚、端子TCは、後述のテールアンドストップランプ部への電圧供給端子である。
【0076】
図6はテールアンドストップランプ部3及びこれに関係する制御部6についての構成例を示すものである。
【0077】
テールアンドストップランプ部3は、複数の発光素子62、62、…(本例では2個のLED)と電流制限抵抗63を直列に接続した発光ユニットを単位構造として、複数のユニットを並列に接続した構成を備えている。つまり、本例では、2つのLEDを直列に接続するとともに、高位側のLEDに電流制限抵抗63を接続した回路構成を有する。
【0078】
抵抗63の一端が端子TCに接続され、抵抗63の他端がLEDに接続されており、当該LEDの他端が別のLEDを介してNPNトラジスタ64のコレクタに接続されている。
【0079】
各トランジスタ64、64、…は、発光ユニット毎に付設されたLEDの駆動用回路を構成しており、当該回路は各発光ユニットについてそれぞれに同じ構成を有する。
【0080】
エミッタ接地とされるNPNトランジスタ64のコレクタは、発光ユニットを構成する低位側のLEDのカソードに接続されており、該トランジスタのベース−エミッタ間には、抵抗65が介挿されている。
【0081】
各トランジスタ64のベースは、抵抗66をそれぞれ介して制御用IC26に設けられた制御出力端子「SL1」乃至「SLm」(「m」は上記発光ユニットの総数を示す。)にそれぞれ接続されており、各出力端子からそれぞれのトランジスタ64に送られる制御信号によって各トランジスタのオン/オフ状態が規定される。
【0082】
つまり、各発光ユニットを構成する2つのLEDについては、トランジスタ駆動とされる。制御出力端子SL1乃至SLmから各別に出力される制御信号のデューティーサイクルについては、例えば、ストップランプの点灯時に100%とし、テールランプの点灯時に10〜15%とすることで、両ランプの切替をデューティーサイクルの変更で行えるよう、チョッパー制御方式を採用している。また、LEDに流す電流が小さいと、LEDの光束−電流特性に係るバラツキが大きくなり、テールランプ点灯時における光量の不均一(ムラ)が発生する虞を生じるが、チョッパー制御を採用することにより、そのような問題を解消することができる。
【0083】
尚、上記STPについての過電圧入力(例えば、16V以上)が比較器57によって検出された場合には、ストップランプ点灯時における制御信号のデューティーサイクルを50%程度に落とすことで対処している。
【0084】
しかして、上記した構成における、断線検出に係るアルゴリズムについて、箇条書きにしてまとめると以下のようになる(制御用IC26の検出端子D1乃至Dnに係る入力信号については、断線時にLレベルを示すことに注意を要する。)。
【0085】
(i)制御用IC26の入力端子「IN2」に係る入力信号がLレベルの場合には、ターンシグナルランプ部2の発光ユニットを構成する各発光素子には電圧が供給されないので、制御用IC26の検出端子D1乃至Dnに係る入力信号がLレベルであっても、断線の検出を行わない(誤動作防止のため)。
【0086】
(ii)制御用IC26の入力端子「IN2」に係る入力信号がHレベルであって、かつ、検出端子D1乃至Dnに係る入力信号が全てHレベルである場合には、断線していない(正常状態)と判断する。
【0087】
(iii)制御用IC26の入力端子「IN2」に係る入力信号がHレベルであって、かつ、検出端子D1乃至Dnに係る入力信号のいずれかがLレベルである場合には、以下の規準に従って判断する。
【0088】
(iii−1)断線した発光ユニットの数が予め決められた数よりも少ない場合には、上記信号O3による断線発生の表示を行う。
【0089】
(iii−2)断線した発光ユニットの数が予め決められた数以上である場合には、上記信号O2による高速点滅で警告を行う。
【0090】
例えば、発光ユニットの数を8とし、CPLD又はPLD(「Programmable Logic Device」の略)に所定のクロック信号を入力し、16ステートからなるステートマシン(制御用IC26)を想定した場合において、検出端子D1乃至D8への入力信号がHレベルであるかLレベルであるかを、1ステート毎に記憶させていく。そして、ある発光ユニットの構成素子が断線して、当該発光ユニットに対応する検出端子への入力信号がLレベルになった場合には、1回路(1発光ユニット)の断線が検出される。よって、上記(iii−1)の場合には、単に断線の表示が行われるが、上記(iii−2)の場合、例えば、8ユニット中の5ユニット以上が断線した場合には、高速フラッシャーでの警告を行う(点滅周波数を2倍にする等。)。
【0091】
尚、ノイズ等に起因する誤検出を低減するには、上記検出端子D1〜Dnのうち、どれか1つ以上がLレベルである状態が、所定のステート数以上に亘って連続して検出された場合(例えば、5ステート)に、次のステートに進んで断線の判定を開始するように設計すれば良く、これにより検出の確実性を高めることができる。
【0092】
1つの灯具において、予め決められた数以上の上記発光ユニットについて断線したことが検出された場合には、断線が検出された発光ユニットを含む灯具への電力供給を停止させることも可能である。例えば、図4に示す各発光ユニットによって1つの灯具を構成していると考えた場合に、信号O1及びO2のレベルをともにLレベルに規定し、トランジスタ29、32をオフ状態にして各発光ユニットへの給電を遮断すれば良い(断線が検出されない灯具については、上記(iii−2)に従って処理する。)。
【0093】
尚、LED等の発光素子を用いた灯具の制御回路(ECU等)については、マイクロコンピュータを用いる方法が一般的であるが、上記したCPLDやPLDを使用した構成形態においては、発光素子に係る点灯又は点滅パターンの制御や変更、点灯順序の制御等が容易である。また、電源回路を付設するだけでシステムを簡易に構成することができ、システム全体としての回路規模を小さくして、灯具装置の小型化及び低コスト化を図るのに有効である。
【0094】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、断線した発光ユニットについて車両運転者に対して早期に注意を促すとともに、予め決められた数以上の発光ユニットが発生した場合においてランプ全体として異常発生について警告することができる。従って、断線の早期発見と、未断線の発光素子の利用したランプ機能の維持について、両立化を実現できる。
【0095】
請求項2に係る発明によれば、発光ユニットについて断線が起きても、その数が少ないために、必要な規定光量(法規を満たす光量等)を維持できる場合には、ランプ全体としての断線発生の判断を下さないことにより、極力発光ユニットの点灯又は点滅を続行させることができる。また、誤検出等の発生頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成について一例を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る断線検出について説明するための図である。
【図3】図4乃至図6とともに、回路構成例を示すものであり、本図は電源回路部の構成例を示す回路図である。
【図4】要部の構成を示す回路図である。
【図5】電圧変換及び電圧検出部に関する構成例を示す回路図である。
【図6】テールアンドストップランプ部に関する構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
1…車両用灯具装置、4、6…制御手段、9…発光ユニット、9a…発光素子、10A…第一の断線検出手段、10B…第二の断線検出手段

Claims (2)

  1. 複数の発光素子を組にして発光ユニットを構成するとともに、各発光ユニットを並列に接続して構成される灯具を有する車両用灯具装置において、
    上記発光ユニットを構成する発光素子の断線を発光ユニット毎に検出する第一の断線検出手段と、
    上記発光ユニットのうち、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したか否かを検出する第二の断線検出手段と、
    上記第一の断線検出手段によって、上記発光ユニットを構成する発光素子の断線が検出された場合に当該発光ユニットに係る断線の発生を表示し、上記第二の断線検出手段によって、予め決められた数以上の発光ユニットについて断線が発生したことが検出された場合に、断線が検出されない発光ユニット又は当該発光ユニットのみを含む灯具について、断線検出前の点滅周期よりも短い点滅周期をもって点滅させる制御手段を設けた
    ことを特徴とする車両用灯具装置。
  2. 請求項1に記載の車両用灯具装置において、
    予め決められた数以上の発光ユニットについて断線したことが、上記第二の断線検出手段によって検出された場合に、断線が検出された発光ユニットを含む灯具への電力供給が上記制御手段により停止される
    ことを特徴とする車両用灯具装置。
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