JP2004004209A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像ギャップGpをある程度広めに設定し、低温定着トナーを用いた場合でも常に安定した画像を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像スリーブ109と感光体101とが対向する現像領域で両者の間隔である現像ギャップGpを常に0.35[mm]以上とする。Gpを0.35[mm]以上にすると、トナーを現像スリーブ側に引っ張る電界効果をある程度抑えることが可能となる。尚、Gpを広くしすぎると現像電界の電界効果が弱まりすぎ、画像部へトナーを転移させにくくなる。そこで、Gpを広くしすぎて現像不良が生じないよう、2.0[mm]以下とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に係り、詳しくは、トナーと磁性粒子とからなる二成分現像剤を用いて静電潜像を顕像化する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、二成分現像剤を用いて像担持体上の静電潜像を現像する画像形成装置が広く用いられている。この画像形成装置は、トナーと磁性粒子とからなる二成分現像剤を現像剤担持体表面に磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、磁気ブラシ中のトナーを現像電界によって潜像に転移させることによって潜像を現像するものである。
また、二成分現像剤を用いる画像形成装置に限らず一般的な画像形成装置では、転写紙上に画像を転写し、転写紙上の画像を加熱して溶融した後、画像に圧力を加えて定着させる加熱定着が行われている。そして、この画像形成物質は少なくともトナーと呼ばれる黒色等の粉体から構成されている。
【0003】
上記加熱定着を行う定着装置が画像を加熱して溶融するときに使用する電力が画像形成装置の必要電力の大半を占めている。近年、省エネの観点から画像形成装置の低電力化が要求されるようになってきているが、そのためには、この画像を溶融するための温度を引き下げ、低温定着を可能にする必要がある。
上記観点に鑑み、近年低温で溶融される低温定着トナーの開発が行われつつある。従来の加熱定着は一般的に定着下限温度が150〜170[℃]程度で行われていた。これに対して低温定着は、定着下限温度を150[℃]以下で行うというものである。そして、低電力化を実現するためにも、低温定着トナーの使用が求められるところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、低温定着トナーには、一般に付着力が強い傾向があり、その結果、次に述べるような不具合があることがわかった。すなわち、現像装置の現像スリーブにトナーがしだいにこびりつき、現像を阻害するようになってしまうのである。
現像スリーブへのトナー固着は、現像ニップで像担持体の非画像部に対向していた領域に多く見られる。図8(a)(b)は、既に述べた二成分現像剤を用いた画像形成装置における現像スリーブ表面へのトナーの付着メカニズムを示した図である。図8(a)は、現像スリーブ109と感光体画像部とが対向している位置、図8(b)は、現像スリーブ109と感光体非画像部とが対向している位置を示している。この画像形成装置においては、現像スリーブ109と像担持体としての感光体101との間の電位差によりトナーの移動を行っている。例えば、トナーがマイナス帯電トナーの場合、感光体101の電位は−950[V]にされ、現像スリーブ109にもトナーと同極性の電圧が印加される(例えば、−600[V])。そして、感光体101の表面に露光装置103によりレーザ光が照射されると、感光体101の画像部の電位が変化してほぼ−100[V]となる。一方、感光体101の地肌部の電位は−950[V]に維持される。このため、図8(a)に示すように、現像スリーブ109と感光体画像部との間の電界は−100[V]の画像部から−600[V]の現像スリーブ109へ向かうので、マイナス帯電トナーは画像部に付着する。一方、図8(b)に示すように、現像スリーブ109と感光体非画像部との間の電界は−600[V]の現像スリーブ109から−950[V]の地肌部に向かうので、マイナス帯電トナーは現像スリーブ側に移動し付着する。このようにして現像スリーブ表面へのトナーの付着は、現像ニップで感光体非画像部に対向していた領域の方が多く、感光体画像部に対向していた領域の方が少なくなる。従来のトナーでは、一度現像スリーブ表面に付着しても現像剤がこすれたりする事により容易に現像スリーブから離れていた。しかし、現像スリーブ表面に付着したトナーが低温定着トナーの場合では、現像スリーブから離れることなく、経時で溶着し、それがスリーブへの固着となりやすいのである。
このようにして現像スリーブ表面に固着したトナーは、現像スリーブ表面で絶縁層を作る。そして現像電界の形成に支障を来たして現像を阻害してしまうという不具合が生じるようになった。
【0005】
本出願人は先に、特開2001−228706号公報において、低温定着トナーの現像スリーブへの固着に起因する現像の阻害を防止できるようにしたものを提案している。この特開2001−228706号においては、ドクターを接地またはトナーの電荷極性と逆極性の電圧印加をし、キャリアの平均粒径を50[μm]以下、かつトナーとの攪拌後の帯電量を15[μC/g]以上としている。そして、この構成を採用することによって、低温定着トナーが現像スリーブに固着することを防止でき、現像スリーブへのトナー固着に起因する現像阻害の発生を回避できるものである。
ここで、上記公報に記載の発明においては、現像スリーブへのトナー固着を防止するために、ドクターを接地又はトナーと逆極性に印加している。しかしながら、この発明では、経時使用でドクターへのトナー固着が発生してしまい、ドクターと現像スリーブ間の規制ギャップ(Gd)が経時で維持できなくなってしまう。そして、現像剤の汲み上げ不良が発生し、画像濃度の維持ができなくなったりトナー飛散が発生したりする等の問題が発生する恐れがある。従って、経時使用で画像濃度維持が不能となったりトナー飛散が発生したりする不具合を発生させることなく、低温定着トナーを用いた場合でも現像スリーブへのトナー固着を防止できるようにすることが望まれるところである。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、低温定着トナーを用いた場合でも常に安定した画像を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の画像形成装置は、静電潜像を表面に担持する潜像担持体と、トナーと磁性粒子とからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体と該潜像担持体とが対向する現像領域で該潜像担持体上の静電潜像を現像するための現像電界を形成する電界形成手段とを有し、該現像領域で該現像剤担持体表面に現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシ中のトナーを該潜像に転移させることによって該潜像を現像する画像形成装置において、上記現像領域における上記現像剤担持体と上記潜像担持体との間隔である現像ギャップGpを、該潜像担持体上の非画像部に対向する該現像剤担持体表面に上記磁気ブラシ中のトナーが固着するほど押し付けられない程度に広く設定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置において、上記トナーとして、結着樹脂、着色剤、離型剤を少なくとも含有し、該トナーのTHF可溶分により求められたGPC(ゲルパミエーションクロマトグラフィー)による分子量分布の値が1000〜10,000の間に少なくとも一つのピークを有し、かつ該分布の半値幅が分子量15,000以下であるものを用い、上記現像ギャップGpを、0.35[mm]≦Gp≦2.0[mm]としたことを特徴とするものである。
請求項3の画像形成装置は、請求項2の画像形成装置において、上記現像ギャップGpと上記規制ギャップGdとの関係が、Gp−Gd>−0.1[mm]を満たすことを特徴とするものである。
請求項1乃至3の画像形成装置においては、現像ギャップGpが狭くなりすぎないよう、ある程度広めに設定する。現像ギャップGpが狭くなると、現像ギャップGpが広い場合に比して現像剤が現像電界の作用を強く受ける。これによって、潜像担持体上の潜像には現像剤担持体上の磁気ブラシ中のトナーが確実に転移し、良好な画像を形成することができる。しかし、潜像担持体上の非画像部には、対向する位置に搬送されてくる磁気ブラシ中のトナーが転移せず現像剤担持体表面側に移動するような現像電界がはたらく。このような現像電界の電界効果は、現像ギャップGpが狭くなるほど強く効くようになり、現像剤担持体表面へのトナー付着も発生しやすくなる。現像ギャップGpが狭くなりすぎないように設定すると、潜像担持体上の非画像部に対向する現像剤担持体表面(以下、非画像部対向領域という)にトナーを転移させる電界効果をある程度抑えることが可能となる。また、電界効果によってトナーが現像剤担持体表面に押し付けられることも回避することができる。よって、トナーが現像剤担持体表面に付着したり、付着したトナーが固着したりすることが起きにくくなる。
更に、本発明においては、既に述べた特開2001−228706号公報に記載の構成のように、現像剤担持体体表面へのトナー固着を防止するために、層厚規制部材を接地又はトナーと逆極性に帯電させるものではない。従って、このような構成によって生じる層厚規制部材へのトナー固着を生じさせることなく上記作用を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真複写機に適用した実施形態について説明する。
図1は本発明の特徴部を示した現像ニップ部周辺の部分拡大図、図2は、本実施形態に係る複写機の概略構成図、図3は、図2の複写機における現像の仕組みを説明するための図である。図2に示すように、潜像担持体としてのドラム状の感光体101は矢印で示す反時計回り方向へ駆動装置(図示せず)によって回転される。感光体101の周囲には、帯電ローラ102と、露光装置103と、現像装置104と、転写装置105と、クリーニング装置106と、除電装置107とが配置されている。帯電ローラ102は、感光体101の表面を一様に帯電する。露光装置103は一様に帯電された感光体101の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像装置104は、トナーを感光体101の表面の静電潜像に与えてトナー画像を形成する。転写装置105は、感光体101の表面のトナー画像を転写紙に転写する。クリーニング装置106は、トナー画像の転写後に感光体101の表面に残留している残留トナーを除去する。除電装置107は、クリーニング装置106によりクリーニングされた感光体101の表面を除電する。このような帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程および除電工程が繰り返して実行される。現像装置104は、現像容器108と、現像剤担持体としての現像スリーブ109と、撹拌部材111と、ドクター112とを有している。現像容器108は、感光体101に対向する側が開口されている。この現像容器108の内部の感光体101に対向する側に現像スリーブ109が配置されている。現像容器108には現像剤110が収容され、撹拌部材111はこの現像剤110を撹拌して現像スリーブ109の表面に現像剤110を供給する。ドクター112は、現像スリーブ109の表面に積層(保持)されている現像剤110の層圧(高さ)を規制する。
【0009】
現像剤110は、磁性のキャリアと非磁性のトナーとを混合してなる二成分現像剤である。使用したトナーは、後に詳述する。
【0010】
現像剤110が撹拌部材111により撹拌されると、摩擦帯電によりトナーが帯電される。現像スリーブ109の内部には、マグネット(図示せず)が配置されている。マグネットの磁力により現像剤110が現像スリーブ109の表面に磁気吸着されて磁気ブラシ状に保持される。現像スリーブ109は矢印方向へ回転され、現像スリーブ109の表面に保持された現像剤110は層厚規制部材としてのドクター112により層圧を規制された後に感光体101との対向位置である現像ニップに搬送される。現像スリーブ109の表面に保持されたキャリアに付着したトナーは、現像スリーブ109と感光体101の静電潜像との間に形成される現像電界によって感光体101の静電潜像の方向に移動されこの静電潜像に付着される。
【0011】
近年、一般的なデジタル電子写真装置(レーザービームプリンタ、デジタル複写機)においては、感光体101はトナーと同極性に帯電される。トナーがマイナスの電荷を有する場合には、例えば感光体101の電位は−950[V]にされ、図3のような電界が形成される。現像スリーブ109にもトナーと同極性の電圧が印加される(例えば、−600[V])。この場合に、露光装置103によりレーザ光を帯電された感光体101の表面に照射した時に、感光体101の地肌部の電位は−950[V]に維持され、かつ、感光体101の画像部の電位は変化してほぼ−100[V]となる。このため、現像スリーブ109と画像部との間の電界は、−100[V]の画像部から−600[V]の現像スリーブ109へ向かうので、マイナスのトナーは画像部に付着する。一方、現像スリーブ109と地肌部との間の電界は、−600[V]の現像スリーブ109から−950[V]の地肌部に向かうので、マイナスのトナーは地肌部に付着しない。転写装置105は、感光体101の表面のトナー画像を転写紙に転写する。
このようにしてトナー画像を転写された転写紙は、定着装置120に送られる。この定着装置120は、転写紙を上下から定着ローラ121,122によって挾持搬送しながら転写紙の上のトナー画像を加熱し、溶融させた後にトナー画像に圧力を加えて転写紙に定着させる。この加熱定着に用いる定着ローラ121,122の加熱方式としては、ヒータによる加熱以外にもIS電磁波、電気による発熱等種々のものが知られている。但し、これらに限定されるものではない。
【0012】
ところで、上記のように画像の転写紙への定着に加熱定着方式を用いる場合、この定着装置がトナー画像を加熱して溶融するために消費する電力が複写機の必要電力の大半を占めている。近年、省エネルギーの観点から複写機の低電力化が要求されるようになってきている。そのためには、この定着装置がトナー画像を加熱して溶融する時の温度を引き下げる必要がある。それには、低温で転写紙に定着か可能となる低温定着トナーの使用が必要となる。ところが、低温定着トナーには、一般に付着力が強い傾向があり、その結果、現像スリーブにトナーがしだいに固着し、現像を阻害するようになってしまうのである。従来のトナーでは、一度現像スリーブ109表面に付着しても現像剤がこすれたりする事により容易に現像スリーブ109から離れていた。しかし、低温定着トナーの場合、現像スリーブ109から離れることなく、経時で溶着し、それがスリーブへの固着となりやすいのである。
そこで、本実施形態においては、低温定着トナーを用いた場合でも現像スリーブ109へのトナー固着が生じにくい構成を有している。以下に本実施形態の特徴について説明する。
【0013】
本実施形態においては低温定着トナーとして、次の構成のものを用いている。これは、先に本出願人が特開2002−82484号で提案した低温定着トナーである。このトナーは結着樹脂、着色剤、離型剤としてのワックスを少なくとも含有したものである。そして、トナーのTHF可溶分により求められたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量分布の値が1000〜10,000の間に少なくとも一つのピークを有している。そして更に、その分子量分布の半値幅が分子量15,000以下であるようにしている。ここで、THFとはテトラヒドロフラン(CO)からなる溶媒である。
また、GPCは次のようにして測定される。40[℃]のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流す。そして、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶媒を50〜100[μl]注入して測定する。試料(トナー)の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を,数種の単分散ポリスチレン試料により、作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10、のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
そして、以上のようなトナーを用いることによって、従来提案されていた低温定着トナーに比して更に20[℃]近く最低定着温度を下げても安定した低温定着性を得ることができる。このようなトナーの一例として、本実施形態においては、「Imagioトナータイプ18(商品名)」を用いた。
【0014】
本実施形態の複写機では、現像スリーブ109と感光体101とが対向する現像領域において、両者の間隔である現像ギャップGpの設定によって現像スリーブ109へのトナー固着を防いでいる。
そのため、本発明者は、現像ニップで感光体101の非画像部に対向していた現像スリーブ109の非画像部対向領域におけるトナー固着状態として現像スリーブ濃度(ID)を、現像ギャップGpを種々変化させて測定した。IDの測定は、マクベス濃度計RD918を用いて行ったものである。
図4は、現像剤初期(NEW剤)、図5は経時使用剤(150Kラン剤)を用いた結果で、それぞれ、ドクタギャップGdを0.34、0.42、0.45の3通りに変化させて測定したものである。図4のNEW剤では現像ギャップGpが0.35[mm]より小さくなると現像スリーブ上のIDが増加している。これは現像スリーブ109へのトナー固着が発生しているためである。尚、現像スリーブ上IDが0.3程度まではトナーで現像スリーブ表面が汚れてはいるが固着まではしていない。また、図5の150Kラン剤では現像ギャップGpが0.35でNEW剤よりIDが若干高くなっているが画像へ影響を与える程度には至っていない。経時使用された現像剤を使用した場合に、現像ギャップGpが0.35をきった時点からID上昇の速度が加速される。これはトナーがリサイクルされることでワックスのシミだしや添加剤の脱落により余裕度が低下した為である。
【0015】
図4、5の結果より、低温定着トナーを使用した複写機の場合、現像ギャップGpを0.35[mm]以上、好ましくは0.4[mm]以上にすることでトナーが現像スリーブ109へ固着することを防止できると言える。
これは、次のような理由からと考えられる。上記構成の複写機においては、現像スリーブ109と感光体101との間の電位差により、帯電したトナーが感光体101の非画像部には行かないようにしている。これは現像ニップで感光体101の非画像部に対向する現像スリーブ109上の領域に担持されているトナーが、逆に現像スリーブ109の側に引っ張られるようになることである。このため、現像スリーブ109の側に向かう電界により、トナーが現像スリーブ109に付着する。現像ギャップGpを0.35[mm]以上、好ましくは0.4[mm]以上にすると、トナーを現像スリーブ109側に引っ張る電界効果をある程度抑えることが可能となる。何故なら、現像電界が同じ場合、現像ギャップGpの大きさが大きくなるほど電界効果は小さくなるからである。そして、図4及び5の結果より、現像スリーブ109表面にトナーが固着するほど押し付けられない程度の現像ギャップGpの下限が0.35[mm]なのである。
以上より、本実施形態において、現像ギャップGpは常に0.35[mm]以上とした。但し、現像ギャップGpを広くしすぎると現像電界の電界効果が弱まりすぎ、画像部へトナーを転移させにくくなる。そこで、現像ギャップGpを広くしすぎて現像不良が生じないよう、2.0[mm]以下とした。
【0016】
更に、ドクタ112と現像スリーブ109とのギャップである規制ギャップをGdとするとき、現像ギャップGpに対する規制ギャップGdの上限を規制することによっても、更にトナ固着防止が確実となることが分かった。
本発明者は、図4、5で行った現像スリーブ上IDの結果を、それぞれ現像ギャップGpに対する規制ギャップGdの差(Gp−Gd)に置き換えて現像スリーブ上IDを示した。これによって、Gp−Gdを種々変化させたときの現像スリーブ109表面のIDを得ることができた。図6は、現像剤初期(NEW剤)、図7は経時使用剤(150Kラン剤)を用いた結果である。
図6と図7において、現像ギャップGpや規制ギャップGdが変化しても、Gp−Gdと現像スリーブ109表面のIDの間には、1つの傾向があることが分かった。図6と図7において、NEW剤と150Kラン剤とのどちらでもGp−Gdが−0.1[mm]より小さくなるとスリーブ上IDが急に上昇する。この関係も図4及び5の場合と同じように、150Kラン剤ではGp−Gdが−0.1[mm]のときNEW剤に比べ若干レベルが悪くなっている。そして、Gp−Gd>−0.1[mm]を満足すれば、NEW剤と150Kラン剤のどちらにおいても低温定着トナー使用時のスリーブ固着防止に優れた効果が得られる。
【0017】
これは、次のような理由からと考えられる。上記構成の複写機においては、現像ギャップGpに対して規制ギャップが大きくなりすぎないようにしている。ここで、現像ギャップGpに対して規制ギャップGdが大きくなりすぎた場合について考えてみる。規制ギャップGdが大きくなり過ぎると現像ギャップに供給される現像剤が多くなり、現像ニップに入りきれない現像剤が現像ニップ上流側で滞留する。そして、滞留中に帯電現像剤がストレスを受けたり電界効果によって帯電量が所望の値から変化したりする。このような現像剤が現像ニップに進入すると、予期せぬ現像スリーブ109への付着が生じ、トナー固着の原因になりやすい。
規制ギャップの上限を、現像ニップより0.1[mm]広いところまでとすると、現像ニップ入り口への現像剤の供給過剰を回避できる。これによって、現像スリーブ109へのトナー固着をより確実に防止することができる。
以上より、本実施形態においては、規制ギャップGdの大きさを現像ギャップGp+0.1[mm]より小さくなるように規制ギャップGdと現像ギャップGpを設定した。尚、規制ギャップGdの下限は、一例として、現像ギャップGp×0.7程度に設定する方法がある。規制ギャップGdをこれ以上狭くすると、現像ニップへの現像剤供給量が不足して、画像濃度が低下してしまうためである。
【0018】
以上のように、本実施形態の複写機においては、現像ギャップGpを0.35[mm]以上にしている。これによって、低温定着トナーを用いてもトナーが現像スリーブ109へ固着することを防止でき、現像スリーブ109へのトナー固着に起因する現像の阻害を防止して常に安定した画像を得ることができる。なぜなら、現像ギャップGpが常に0.35[mm]以上を維持することによって、現像スリーブ109表面にトナーが固着するほど押し付けられないよう、電界効果の影響を小さく抑えているからである。但し、電界効果が小さくなりすぎて現像不良が生じないよう、現像ギャップGpの上限を2.0[mm]としている。また、ドクタ112を接地又はトナーと逆極性に帯電させるものではないので、このような構成によって生じるドクタ112へのトナー固着を生じさせることなく上記効果を得ることができる。
また、本実施形態の複写機においては、規制ギャップGdの大きさを現像ギャップGp+0.1[mm]より小さくなるように規制ギャップGdと現像ギャップGpを設定している。これによって、現像スリーブ109へのトナー固着をより確実に防止することができる。なぜなら、規制ギャップの上限を、現像ニップより0.1[mm]広いところまでとすると、現像ニップ入り口への現像剤の供給過剰を回避できるからである。もし、現像ニップ入り口への現像剤の供給過剰が生じると、その位置で滞留中にストレスを受け帯電量が変化した現像剤が現像ニップに進入した場合、現像スリーブ109への付着及び固着の原因となるからである。
【0019】
更に、上述した実施形態においては、モノクロの複写機を用いて本発明を説明したが、カラー複写機にも適用できるものである。また、低温定着トナーは、本実施形態に記載した構成以外にも、低温での定着が可能なトナーであれば適用可能である。
【0020】
【発明の効果】
請求項1乃至3の画像形成装置によれば、現像ギャップGpをある程度広く設定しているので、電界効果によってトナーが現像剤担持体表面に付着したり押し付けられたりすることを防止することができる。また、層厚規制部材へのトナー固着を生じさせることもない。これらのことから、経時使用で画像濃度維持が不能となったりトナー飛散が発生したりする不具合を発生させることなく、低温定着トナーを用いた場合でも現像スリーブへのトナー固着を防止することが可能となる。よって、低温定着トナーを用いた場合でも常に安定した画像を得ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴部を示した現像ニップ部周辺の部分拡大図。
【図2】実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図3】実施形態に係る複写機の現像の仕組みの説明図。
【図4】現像剤初期(NEW剤)を用い、現像ギャップGpを種々変化させたときの現像スリーブ上IDの測定値。
【図5】経時使用剤(150Kラン剤)を用い、現像ギャップGpを種々変化させたときの現像スリーブ上IDの測定値。
【図6】現像剤初期(NEW剤)を用い、Gp−Gdを種々変化させたときの現像スリーブ上IDの測定値。
【図7】経時使用剤(150Kラン剤)を用い、Gp−Gdを種々変化させたときの現像スリーブ上IDの測定値。
【図8】(a)(b)は、二成分現像剤を用いた画像形成装置における現像スリーブ表面へのトナーの付着メカニズム。
【符号の説明】
101   感光体
104   現像装置
105   転写装置
106   クリーニング装置
107   除電装置
109   現像スリーブ
112   ドクタ
120   定着装置
Gp    現像ギャップ
Gd    規制ギャップ

Claims (3)

  1. 静電潜像を表面に担持する潜像担持体と、
    トナーと磁性粒子とからなる二成分現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
    該現像剤担持体と該潜像担持体とが対向する現像領域で該潜像担持体上の静電潜像を現像するための現像電界を形成する電界形成手段とを有し、
    該現像領域で該現像剤担持体表面に現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシ中のトナーを該潜像に転移させることによって該潜像を現像する画像形成装置において、
    上記現像領域における上記現像剤担持体と上記潜像担持体との間隔である現像ギャップGpを、該潜像担持体上の非画像部に対向する該現像剤担持体表面に上記磁気ブラシ中のトナーが固着するほど押し付けられない程度に広く設定したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    上記トナーとして、結着樹脂、着色剤、離型剤を少なくとも含有し、該トナーのTHF可溶分により求められたGPC(ゲルパミエーションクロマトグラフィー)による分子量分布の値が1000〜10,000の間に少なくとも一つのピークを有し、かつ該分布の半値幅が分子量15,000以下であるものを用い、上記現像ギャップGpを、
    0.35[mm]≦Gp≦2.0[mm]
    としたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2の画像形成装置において、
    上記現像ギャップGpと上記規制ギャップGdとの関係が、
    Gp−Gd>−0.1[mm]
    を満たすことを特徴とする画像形成装置。
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