JP2004002718A - ジエン系共重合体ラテックス、紙塗工用組成物及びその製造方法 - Google Patents
ジエン系共重合体ラテックス、紙塗工用組成物及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】塗工紙のドライピック強度、ウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に代表される塗工紙製造時の耐バッキングロール汚れ特性に優れ、かつ高速塗工時のストリーク、スクラッチの原因となる微細凝集物の発生を抑制できるジエン系共重合ラテックスの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】特定範囲にある共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびその他共重合可能な単量体を乳化重合するにあたり、開始剤添加前に特定量以上の単量体を反応容器に仕込み、その際の最大攪拌所要動力と単量体反応中の平均攪拌所要動力を特定範囲にする。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】特定範囲にある共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびその他共重合可能な単量体を乳化重合するにあたり、開始剤添加前に特定量以上の単量体を反応容器に仕込み、その際の最大攪拌所要動力と単量体反応中の平均攪拌所要動力を特定範囲にする。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共重合体ラテックスの製造方法に関し、さらに詳しくは、オフセット印刷、グラビア印刷に供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗工用のバインダーとして、塗工紙のピック強度と耐ブリスター性のバランスに優れ、かつ塗工操業性に関わる、塗工層の耐湿潤ベタツキ性、塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性を有するジエン系共重合体ラテックスの製造方法、該共重合体ラテックス、ならびに該共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成共重合体ラテックスは、例えば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バインダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用いられている。そして、共重合体ラテックスがこのような用途に用いられる場合、共重合体ラテックスは、接着強度が強く、耐水性、加熱乾燥による耐ブリスター性などに優れていることが要求される。
【0003】
塗工紙とは、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学的特性の向上を目的として抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるいは補助バインダーとしてスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されたものである。
【0004】
ここで、バインダーとしての共重合体ラテックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、耐ブリスター性の向上が強く求められている。
【0005】
また、塗工紙の製造そのものも高速化しており、これに伴い塗工操業性の改良、特に主な障害であるバッキングロール汚れ発生防止と塗工紙表面のストリークやスクラッチの発生防止が強く要求されている。バッキングロール汚れ発生防止には塗工層の耐湿潤ベタツキ性と洗浄性の向上が、塗工紙表面のストリークやスクラッチの発生防止に対しては塗工液の機械的安定性の向上が有効である。
共重合体ラテックスに対する前記の性質の改良として、例えばピック強度を改良するために共重合体のゲル含有量や共重合体組成を調整するなどの方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような逆バランスを解消すべく、連鎖移動剤の添加方法について検討がなされている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、重合温度の面からも検討がなされており、単量体混合物の特定量を比較的低温で重合を開始し、次いで残りの単量体を高温で重合する特定の二段重合法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら得られる共重合体ラテックスについて近年、より高度な物性バランスの達成が要求されており、これらいずれの方法も塗工層の耐湿潤ベタツキ性や塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性、および塗工紙におけるピック強度、耐ブリスター性バランスを向上させる方法として十分とは言い難かった。
【0007】
加えて比較的低温で重合を開始する場合、乳化重合時の安定性が充分でなく反応器内部で多量の残渣を発生する場合がある。残渣の性状は2種類あり、そのひとつは粘着性の高い残渣で、重合反応中に反応器内部の攪拌機、バッフル、天板等に付着するため、安定に製造を行うために定期的に反応器内部を開放クリーニングする必要がある。もうひとつの残渣は、反応液中に分散している残渣で、目的とする共重合体ラテックスよりはるかに粒子径が大きく、この共重合体ラテックスを使用した際に、例えばストリークやスクラッチの発生といった塗工紙物性悪影響を及ぼさないよう反応終了後にろ過分離を必要がある。いずれも、分離除去には多大な労力を必要とし、可能なかぎり低減する必要がある。乳化重合時の安定性を向上させる目的で、乳化剤の増量、あるいは、組成面でエチレン系カルボン酸単量体やヒドロキシ基を含有する単量体を共重合させる他に重合装置上の観点からラテックス中の凝集物の発生を低減する方法も提案されており複数段のパドル翼を組み合わせた撹拌装置による製造方法が開示されている(例えば、特許文献6、7参照)。また重合する際の撹拌所要動力を0.05〜1.0kW/m3とすることにより140メッシュろ過でメッシュ上に残る凝集物の発生を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。これらの方法では先述した2種類の残渣を同時に発生防止させるには充分でなかった。
【0008】
このように、従来の技術では印刷と塗工紙製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高めかつ高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現ならびにこのものを安定に製造し供給する技術が強く求められているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特公昭59−3598号公報
【特許文献2】
特公昭60−17879号公報
【特許文献3】
特公平3−42360号公報
【特許文献4】
特開平6−179772公報
【特許文献5】
特開平10−1504号公報
【特許文献6】
特開平6−16708号公報
【特許文献7】
特開平7−292002号公報
【特許文献8】
特開2000−327726号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗工紙におけるドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性といった塗工紙物性に優れ、かつ塗工層の耐湿潤ベタツキ性や洗浄性、塗工液の機械的安定性といった塗工操業性に優れた高性能のジエン系共重合ラテックスを安定に製造することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定範囲にある共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびその他共重合可能な単量体を反応開始剤投入時の温度を特定の温度以下で乳化重合するにあたり、開始剤添加前に特定量以上の単量体を反応容器に仕込み攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力と単量体反応中の平均攪拌所要動力が特定範囲にあるジエン系共重合体ラテックスの製造方法が課題を達成することを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち発明の第1は、(a)共役ジエン系単量体20〜80重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部、(c)これらと共重合可能なその他単量体10〜79.5重量部((a)+(b)+(c)=100重量部)からなる単量体混合物を反応開始剤投入時の重合温度を75℃以下で乳化重合するにあたり、反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を反応容器に仕込み攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3であり、反応開始剤添加後の反応中の平均攪拌所要動力が0.001〜0.1kW/m3であることを特徴とするジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0013】
発明の第2は、単相型の共重合体ラテックスの乳化重合において、重合温度の昇温を反応開始剤添加後の重合開始時から全単量体に対する重合転化率が20重量%に至るまでに開始し、全単量体に対する重合転化率が50重量%以上になるまでに継続的に行い、かつその上昇速度が0.5〜10℃/hrの範囲であることを特徴とする請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第3は、コアシェル型のラテックスの乳化重合において、重合を多段重合により行い、第一工程で添加する単量体混合物(A)から得られる共重合体部分(PA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)から得られる共重合体部分(PB)の重量比が下記式(1)を満たし、かつ第一工程で添加する単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ(SPB)とが下記式(2)を満たすことを特徴する請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0014】
0.25<(PA)/(PB)<4 (1)
0.2<(SPB)−(SPA)<2.0 (2)
ここで、(A)+(B)=(a)+(b)+(c)=100(重量部)
(PA)+(PB)=100(重量部) である
発明の第4は、コアシェル型のラテックスの該乳化重合を行うにあたり、全単量体に対する重合転化率が少なくとも80重量%に達するまで重合温度75℃以下で重合することを特徴とする請求項3記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0015】
発明の第5は、反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を予備攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3で10〜120分間攪拌することを特徴とする請求項1〜4記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第6は、該乳化重合を行うにあたり、ガラス転移温度(Tg)30℃以下のラテックス粒子をシードとして用いることを特徴とする請求項1〜5記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第7は、請求項1〜6の製造方法によって得られる共重合体ラテックスである。
発明の第8は、請求項7記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物である。
【0016】
本発明について、以下に具体的に説明する。なお以下の説明において、全単量体単位の合計は100重量%とする。
(a)共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
共役ジエン系単量体の使用割合は、20〜80重量%、好ましくは25〜60重量%である。この使用量が20重量%以上で十分に高いピック強度を得ることが、80重量%以下で必要なバッキングロール汚れ適性を得ることが可能になり、本発明の目的を達することができる。
【0017】
(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせても良い。
その使用割合は0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%である。この成分が10重量%以下でラテックスや塗工液を取り扱い可能な粘度に保つことができ、0.5重量%以上で、ラテックスや塗工液の機械的安定性を確保することが可能になる。
【0018】
(c)共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
その他単量体の使用割合は、10〜79.5重量%になる。これが79.5重量%以下で共重合体は適正なピック強度が得られる。
【0019】
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよい。シアン化ビニル系単量体の使用量は、その他単量体100重量部に対し、好ましくは30〜63重量部である。その使用量が30重量部以上で、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる湿潤ベタツキ性の向上とウェットピック強度の十分な発現がされ、また63重量部以下でラテックスの好ましい重合安定性が得られる。
【0020】
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
【0021】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、その好ましい使用量は全単量体100重量部に対し、10重量部以下、さらに好ましくは7重量部以下である。10重量部以下で使用すると、ラテックスおよび紙塗工組成物の低せん断粘度を取り扱い上好ましい範囲に維持できる。
【0023】
本発明では反応開始剤添加前に、全単量体の10重量%以上の単量体(以下、初期単量体と呼ぶ。)を反応容器に仕込むことが必須である。20重量%以上の初期単量体を反応開始剤添加前に仕込むことがより好ましく、30重量%以上の初期単量体を反応開始剤添加前に反応容器に仕込むことがさらに好ましい。この仕込み量が10重量%以上の場合、十分に高いドライピック強度、ウェットピック強度を発現させることができ、本発明の目的を達することができる。
【0024】
単量体組成物の添加方法としては、単量体組成物の一部を添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは連続的に添加する方法等のいずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に添加する場合の添加速度にも特に制限はない。
本発明で使用される単量体を乳化重合するに際しては、従来公知の方法である水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジカル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本構成成分とする分散系において単量体を重合させる方法などが用いられる。
【0025】
反応開始剤添加前に仕込んだ初期水および初期単量体を予備攪拌乳化することが必須である。初期単量体を仕込んだ直後の時点での攪拌所要動力(以下、最大攪拌動力とする。)の範囲は0.01〜1kW/m3であり、好ましくは0.05〜1kW/m3、より好ましくは0.1〜0.5kW/m3である。予備攪拌乳化時間の範囲は10〜120分であり、好ましくは30〜90分であり、さらに好ましくは30〜60分である。最大攪拌所要動力が0.01kW/m3以上で、かつ予備攪拌乳化時間が10分間以上の場合、仕込んだ初期単量体に充分な分散が得られるため、粘着性残渣の発生を防止することが可能となる。最大攪拌所要動力が1kW/m3以下で、かつ予備攪拌乳化時間が120分以下の場合、重合終了時の反応液中に分散している重合残渣の発生量の著しい増加を防止が可能である。
【0026】
開始時における反応系温度は75℃以下であり、好ましくは40℃〜60℃、より好ましくは50〜60℃とする必要がある。75℃以下で目標とする塗工操業性とピック強度の物性バランスが得られる。
開始剤投入後の最大攪拌所要動力と最小攪拌所要動力を平均した攪拌所要動力(以下、平均攪拌所要動力とする。)の範囲は、0.001〜0.1kW/m3であり、好ましくは0.005〜0.08kW/m3であり、さらに好ましくは0.01〜0.08kW/m3である。平均攪拌動力が0.001kW/m3以上の場合、反応容器内容物の均一な混合や重合反応に伴う反応熱の除去が可能となり、反応温度が急上昇するといった品質上および安全上の問題を未然に防止することができる。一方、平均攪拌動力が0.1kW/m3以下の場合、微細凝集物の急激な増加の抑制が可能である。
【0027】
ここで、攪拌所要動力とは、単位時間における反応容器内の内容物が攪拌により受けた正味の単位体積当たりのエネルギーである。反応容器内に内容物が存在している重合中の状態から反応容器が空の状態の変速機、減速機および攪拌機自体の回転駆動による負荷の差から求められる。
攪拌所要動力を制御する方法として、各種形状の攪拌装置について攪拌系のレイノズル数Reと動力数Npの関係を表す実験式や線図を利用するか、またはある一定の攪拌条件下での動力を実測することにより装置定数として動力数Npを実験的に求め、攪拌翼の回転数を変更することによって動力を任意に調整することができる(例えば、非特許文献1参照)。単位体積当りの正味の攪拌所要動力は以下の式により算出される。
【0028】
Pv=Np×d5×n3×ρ/V (3)
ここで、Pv:単位体積当りの攪拌所要動力(kW/m3)、V:液容量(m3)、Np:動力数、d:攪拌翼径(m)、n:回転数(1/sec)、ρ:液密度(kg/m3)である。
攪拌翼の種類はパドル翼、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、リボン翼等が使用可能である。また、反応器内の攪拌効率を向上させる目的で、反応器内にバッフルを備えることは好ましい。また、反応容器内の内壁面、攪拌翼、バッフルなどの反応液に接する表面には、重合体の付着防止のために、グラスライニングやテフロン(登録商標)コーティング等の表面処理をすることは好ましい。
【0029】
初期水中に使用する乳化剤については、特に制限はなく、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0030】
ラジカル開始剤については、公知の方法を用いることができる。ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いるいわゆるレドックス重合法を用いることもできる。これらの中で特に過硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対し、通常0.1〜5.0重量部の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量部の範囲から選ばれる。重合時間は、通常3〜30時間である。
【0032】
単相型の共重合体ラテックスを乳化重合する場合、昇温を開始する単量体混合物の重合転化率は20重量%以下が好ましい。終了時における単量体混合物の重合転化率は50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。この昇温期間の重合転化率が上記の範囲にて、塗工操業性とピック強度のバランスを保つことが可能となる。また、その上昇速度が0.5〜10℃/hrの範囲で、良好な塗工操業性を得ることができる。
【0033】
コアシェル型の共重合体ラテックスを多段重合する場合、第一工程で添加される単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)と最終工程で添加される単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の重量比(PA)/(PB)は0.25<(PA)/(PB)<4であり、より好ましくは0.41<(PA)/(PB)<2.4の範囲である。また、第一工程で添加する単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ(SPB)とが、0.2<(SPB)−(SPA)<2であり、好ましくは0.4<(SPB)−(SPA)<1.5であり、さらに好ましくは0.5<(SPB)−(SPA)<1.3である。なお、各共重合体部分の溶解性パラメータ(SPA)および(SPB)は、Robert F.Fedorsが規定する方法により、各々の単量体化合物構造と単
量体組成から算出することができる。(
【非特許文献2】参照)
【0034】
多段重合の場合、(a)共役ジエン系単量体の第一工程における使用量は、ドライピック強度またはウェットピック強度の点から第一工程で添加する単量体混合物(A)に対し、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは25〜75重量%である。また(a)共役ジエン系単量体の最終段における使用量は、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる湿潤ベタツキ性かつウェットピック強度の点から最終工程で添加する単量体混合物(B)に対し、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
【0035】
多段重合の場合、シアン化ビニル単量体の最終工程における使用量は、湿潤ベタツキ性かつウェットピック強度の点から最終工程で添加する単量体混合物(B)に対し、好ましくは2〜60重量%、さらに好ましくは8〜50重量%である。
また、最終工程での単量体混合物(B)を添加する際の、重合転化率は30〜90重量%であることが好ましい。
【0036】
多段重合の場合、ジエン系共重合体ラテックスを製造方法での重合温度は、ドライピック強度またはウェットピック強度の点から、全単量体に対する重合転化率が80重量%に達するまで重合温度が75℃以下であることが好ましく、より好ましくは重合転化率が90重量%に達するまで重合温度が75℃以下であること、または重合転化率が80重量%に達するまで重合温度が70℃以下であること、さらに好ましくは重合転化率が90重量%に達するまで重合温度が70℃以下であることである。
【0037】
本発明のジエン系共重合ラテックスの重合方法では、シードラテックスを用いて重合を実施するシード重合法とシードラテックスを用いずに重合を実施するインターナルシード重合法のどちらも使用できるが、粒径コントロール性と重合安定性の点から、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のシードラテックスを用いて重合を実施するシード重合法が好適である。その作用は明らかでないが、シードラテックスを用いると、より効率的に目標とする粒子径の共重合体ラテックスを重合残渣の少ない反応状態で得ることができる。
【0038】
シードラテックスのガラス転移温度と重合温度の関係は、重合温度からシードラテックスのガラス転移温度を引いた温度差が+10℃以上あることが好ましく、温度差が+20℃以上あることはさらに好ましい。
シードラテックスの重量平均分子量(Mw)は、粒径コントロール性と重合安定性の点から、ポリスチレン換算で、2万<Mw<100万であることが好ましい。
【0039】
共重合体ラテックスの粒子径は、シードラテックスの使用量、シードラテックスの平均粒子径等によって調整することができ、一般にその使用割合を高くするほど生成するジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなる。理想的には最終製品である共重合体ラテックスはシードラテックスと同じ個数になる。つまりシードラテックス量:全単量体量比が1:7ならば粒子径2倍の最終製品である共重合体ラテックスが得られ、1:124ならば粒子径5倍の共重合体ラテックスが得られる。通常シードラテックス量は全単量体量の0.5重量%以上2重量%以下で使用されるので、シードラテックスの粒子径は最終製品である共重合体ラテックスの粒子径の1/3〜1/10前後に設計されるのが好ましい。
【0040】
本発明のジエン系共重合体ラテックスの製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径は、本発明の効果を十分に発現させるためには、40〜400nmの範囲にあることが望ましく、50〜300nmの範囲にあることがより好ましく、100〜200nmの範囲にあることがさらに好ましい。シードラテックスの平均粒子径は、5〜70nmであることが好ましく、より好ましくは5〜50nmであり、5〜30nmであることはさらに好ましい。
シードラテックスの重合は、本発明のラテックスの重合に先立って同一反応容器でおこなっても、異なる反応容器で重合したシードラテックスを用いても良い。
【0041】
シードラテックスの重合に使用する共重合性単量体は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体0.5〜10重量部、およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部、およびその他の共重合可能な単量体80〜99重量部の範囲にあることが好ましい。さらに、これらの共重合性単量体は、粒径コントロール性の点から不飽和結合を1つのみ有し、シードラテックスは直鎖構造を主体とする高分子であることが好ましい。
【0042】
シードラテックスを構成する単量体で水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピルエチル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。シードラテックスを構成するエチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、ジエン系共重合体ラテックスに用いるエチレン性不飽和カルボン酸単量体と同様なものが使用できる。
【0043】
シードラテックスを構成するその他共重合可能な単量体で、シードラテックスに比較低いガラス転移温度を与えるモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートなどが使用できる。
【0044】
シードラテックスは乳化安定性が高いことが好ましく、静置発生残渣率として測定して1%以下であることが好ましい。ここで静置発生残渣率とは、水で希釈して重量固形分25%に調整したシードラテックス100グラムを目開き75μmのふるいでろ過し20日間23℃で静置した後に再び目開き75μmのふるいでろ過してその際にふるい上に残った残渣を乾燥秤量して25グラムで除した値である。静置発生残渣率が1%以下のシードラテックスを使用した場合、重合中にラテックス粒子の合一凝集の発生を防止することが可能となる。
さらにシードラテックスは最終製品である共重合体ラテックスの製造に用いる単量体に膨潤ないし溶解することが好ましい。具体的にはシードラテックスを乾燥して得られる共重合体がスチレンに溶解または1倍以上膨潤することが好ましい。
【0045】
本発明のジエン系共重合体ラテックスの製造方法には、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、α−メチルスチレンダイマーなどの核置換α−メチルスチレンの二量体類、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレンなどを挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。連鎖移動剤としては特にα−メチルスチレンダイマ−、t−ドデシルメルカプタン、ターピノーレンが好ましい。
【0046】
連鎖移動剤は単量体100重量部あたり0.1〜10重量部の範囲内で使用することが好ましい。この範囲でドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性のバランスを維持し本発明の効果を出現させることが可能となる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が80重量%以上である。
【0047】
ラジカル開始剤および連鎖移動剤の添加方法には特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
本発明では、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
【0048】
また、ラテックスの分散安定性を高める目的で、各種分散剤を加えても良い。分散剤は単独で用いても、2種類以上を用いても良い。分散剤を加える場合、分散剤の使用量は単量体100重量部あたり0.1〜5重量部が好ましい。分散剤の使用量が0.1重量部以上でラテックスの再分散性が良くなり、また5重量部以下でドライピック強度、ウェットピック強度、湿潤ベタツキ性の低下が抑制可能となる。
【0049】
分散剤としては、アルキルアミンリン酸塩、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルポリエーテルサルフェート、アルキルアリルスルホネート,アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノールポリエチレンエーテル、アリルスルホン酸縮合物、高級アルコールスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホサクシネート、ジアルキルサクシネート、脂肪酸アミド誘導体硫酸エステル、親油性ポリエステル、繊維素グリコールソルビタンモノステアレート、セチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ソルビタンアルキレート、ソルビタンエステル、第4級アンモニウム、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド、ナフタレンホルマリン縮合物ジナフチルメタスルホネート、
ひまし油硫酸化油、ビスナフタレンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールエクテル、ポリエチレングリコールアルキルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。再分散性の点では、ピロリン酸およびその塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸カリウム、ポリアクリル酸およびその塩であるポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸カリウム、ヘキサメタリン酸およびその塩であるヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸カリウムが好ましく、より好ましくは分散剤中のピロリン酸およびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、ヘキサメタリン酸およびその塩の割合が80重量%以上ものである。
【0050】
本発明の共重合体ラテックスの固形分については特に制限はなく、通常固形分は30〜60重量%の範囲に調製される。必要に応じて各種添加剤を添加することあるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
【0051】
本発明の製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。顔料と本発明の製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスの使用割合は組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、好ましくは顔料100重量部に対してラテックス3〜30重量部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、各特性は次のように求めた。
(i)重合転化率の測定方法
重合中にサンプリングしたラテックスを2g秤量後、130℃で30分乾燥後、固形分を測定し、リアクター内に添加される単量体量から重合転化率を求めた。
(ii)粒径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定した。
【0053】
(iii)反応器内部の残渣付着量
残渣付着量として、重合終了後に、開放した反応機内部に付着した粘着性残渣の乾燥残渣量を求め、その総重量を仕込み液量に対する重量百分率であらわした。
残渣付着量0.002重量%未満 :○
残渣付着量0.002重量%以上から0.02重量%未満:△
残渣付着量0.02%重量以上 :×
【0054】
(iv)重合反応液のろ過残渣量
ろ過残渣量として、重合終了後にサンプリングしたラテックス250gを目開き75μmのふるいにてろ過し、ふるい上に残った乾燥残渣重量の総重量を求め、試料固形分量に対する重量百分率であらわした。
ろ過残渣量0.01重量%未満 :◎
ろ過残渣量0.01重量%以上〜0.05重量%未満 :○
ろ過残渣量0.05重量%以上〜0.5重量%未満 :△
ろ過残渣量0.5重量%以上 :×
【0055】
(v)ドライピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18のもの)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は5点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0056】
(vi)ウェットピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のもの)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で1回刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は5点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0057】
(vii)耐ブリスター性
塗工紙を4cm×5cmの大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調節したシリコンオイルバスに浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観察した。オイルバスの温度を変化させながら同様に試験を行い、各塗工紙についてブリスターの発生する温度を測定した。発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0058】
(viii)耐湿潤ベタツキ性
得られた塗工紙サンプルに、片側表面を水に浸漬させた黒ラシャ紙とはり合わせ、カレンダーを用いて温度80℃の条件で圧着させる。両者を引き剥がして、黒ラシャ紙の塗工紙サンプルへの転写の程度を目視にて10点評価法を用いて行った。転写の少ないものほど高得点とした。
(ix)塗工層洗浄性
得られた塗工液をゴム板上にワイヤーバーNo.5で塗布し、50℃、3秒間乾燥させ後、塗工層を水で濡らしブレードで掻き落とした。ゴム板上に残った塗工層の量を目視で評価した。ゴム板上に残った量が少ないものほど高得点とした。
【0059】
(x)機械的安定性
塗工液の機械的安定性をマロン式試験機により測定した。
試験方法は塗料100gを荷重30kgw、時間20分間の条件でマロン式試験機にかけ、発生した凝集物を目開き75μmのふるいにて採取し、凝集物の乾燥重量の試料固形分量に対する重量百分率(残渣発生率)で求めた。
残渣発生率0.02%未満 :◎
残渣発生率0.02%以上〜0.05%未満:○
残渣発生率0.05%以上〜0.2%未満 :△
残渣発生率0.2%以上 :×
【0060】
【実施例1】
実施例中または比較例中の攪拌所要動力は、各反応容器、攪拌装置について、ある攪拌条件下で動力を実測することにより、装置定数として実験的に求めた動力数Npの値を式(3)に代入することにより、攪拌所要動力を求めた。
表1記載の反応容器・装置イに表2記載のシードラテックスA0.1kg(固形分10重量%)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05kg、ジアルキルアリールエーテルジスルホン酸ソーダ(花王株式会社製、ペレックスSS−L)0.0133kg、イオン交換水2.6kg、表3に示した全単量体の30重量%の単量体および連鎖移動剤の混合物を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、反応容器内を真空にしたのち窒素で置換する操作を2回繰り返した。
【0061】
攪拌機を起動し攪拌はねの回転数を4.667s−1に調整し予備攪拌乳化を開始すると同時に反応液温度を40℃に調節した。攪拌機起動60分後、攪拌はねの回転数を2.500s−1に調整後、過硫酸ナトリウム0.133kgを添加し重合を開始した。重合開始と同時に重合温度すなわち反応液温度の昇温を、上昇速度3℃/hrで行った。残りの単量体および連鎖移動剤はその後6時間かけて反応器に添加した。重合開始から10時間後に昇温を完了。その時点の単量体の重合転化率は83重量%であった。さらに重合温度を80℃に昇温し、1時間継続した。最終重合転化率は98重量%であった。
【0062】
生成したラテックスは、目開き75μmのふるいでろ過した。次に水酸化カリウム水溶液を添加し、pH7に調整後、水蒸気蒸留をすることで未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ラテックス温度40℃で、殺菌剤500ppm(ソマーサイドA3710、ソマール社製)、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液0.25kg(固形分濃度40重量%)、水酸化カリウム水溶液を加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50重量%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスa1とする。
得られた共重合体ラテックスを用いて、下記の配合で紙塗工用組成物を調整した(配合量は固形分換算で水は除く)。
【0063】
(配合処方)
カオリンクレー 60 重量部
炭酸カルシウム 40 重量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部
水酸化ナトリウム 0.1重量部
酸化デンプン 2 重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(全固形分濃度が64重量%になるように添加)
【0064】
なお、カオリンクレーはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムはカービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ナトリウムはアロンT−40(東亞合成社製)を、酸化デンプンは王子エースA(王子コーンスターチ社製)をそれぞれ使用した。得られたジエン系共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物を枚葉式ブレードコーター(SMT社製)を用い、ラテック坪量74g/m2の塗工原紙に、ブレード厚み3mm、塗工速度100m/分、塗工量片面14g/m2になるようにブレード圧を調整し、ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度50%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロール温度50℃、線圧147000N/mの条件で1塗工面につき2回通紙する事により塗工紙を得た。この塗工紙を用いておこなった評価結果を表3に示した。
【0065】
【実施例2、3、4】
表3に示すように重合スタート温度、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスb1〜d1を得た。
【0066】
【実施例5、6、7,8】
表3に示すような重合温度制御、すなわち昇温速度を途中で変化させるパターンにて実施した。また、表1に示す反応容器・装置で、表3に示す重合スタート温度、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスe1〜h1を得た。
【0067】
【実施例9】
表1記載の反応容器・装置イに表2記載のシードラテックスA1kg(固形分10重量%)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4kg、イオン交換水30kg、表4記載の第一工程の単量体と連鎖移動剤を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、反応容器内を真空にしたのち窒素で置換する操作を4回繰り返した。攪拌機を起動し攪拌はねの回転数を1.833s−1に調整し予備攪拌乳化を開始すると同時に反応液温度を45℃に調節した。攪拌機起動60分後、攪拌はねの回転数を1.083s−1に調整後、過硫酸ナトリウム1.33kgを添加し重合を開始した。
【0068】
開始剤添加開始3.5時間後、表2中の第二工程の単量体と連鎖移動剤を60℃で7時間に渡って追添した。第二工程の単量体添加終了後、内温を65℃にして6時間反応させた。最終重合転化率は98重量%であった。生成したラテックスは、目開き75μmのふるいでろ過した。次に、水酸化カリウムを添加し、pH7に調整後、未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ポリアクリル酸ナトリウム0.5重量部、水酸化ナトリウムを加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50重量%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスa2とする。
【0069】
【実施例10〜18】
表4に示すように、表1記載の反応容器・装置、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例9と同様に重合し、共重合体ラテックスb2〜j2を得た。
【0070】
【比較例1〜18】
実施例1と同様な方法により、表5に示す最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、重合温度制御パターン、単量体、連鎖移動剤、及び表2に示すシードを用いて共重合体ラテックスi1〜z1を得た。
比較例1,2は、共役ジエン系単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、比較例1はドライピック強度、ウェットピック強度に劣り、比較例2はウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に劣った。比較例3は、エチレン系不飽和カルボン酸単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライピック強度、ウェットピック強度に劣った。比較例4は、乳化重合に使用したシードが本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライ強度、機械的安定性に劣った。比較例5は、初期単量体仕込み量が本発明の請求項の範囲外であり、耐湿潤ベタツキ性に劣った。
【0071】
比較例6、7は、最大攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であ比較例6は残渣付着量に劣り、比較例7はろ過残渣量に劣った。比較例8、9は、予備攪拌乳化時間が本発明の請求項の範囲外であり、比較例8は残渣付着量に劣り、比較例9はろ過残渣量に劣った。比較例10、11は平均攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であり、比較例10は残渣付着量に劣り、比較11はろ過残渣量、機械的安定性に劣った。
【0072】
比較例12は昇温スタート時重合転化率が、比較例13は昇温スタート時の重合転化率と昇温速度が本発明の範囲外であり、ドライピック強度、耐湿潤ベタツキ性に劣った。比較例14は昇温速度が本発明の範囲外であり、ウェット強度、機械的安定性に劣った。比較例15、16は、重合温度制御方法が本発明と異なり重合温度を一定時間、一定に制御し、かつ重合温度を階段状に変化させる重合温度制御方法であり、比較例15は機械的安定性、比較例16は塗工層洗浄性に劣った。
比較例17、18は、重合温度制御方法が本発明と異なり重合温度を一定時間、一定とする重合温度制御方法であり、比較例17は耐ブリスター性に、比較例18は耐湿潤ベタツキ性に劣った。
【0073】
【比較例19〜34】
実施例9と同様な方法により、表6に示す最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、単量体、連鎖移動剤、重合転化率、及び表2に示すシードを用いて共重合体ラテックスk2〜z2を得た。
比較例19,20は、共役ジエン系単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、比較例19はドライピック強度、ウェットピック強度に劣り、比較例20はウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に劣った。比較例21は、エチレン系不飽和カルボン酸単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライピック強度、ウェットピック強度に劣った。
【0074】
比較例22は、乳化重合に使用したシードが本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライ強度、機械的安定性に劣った。比較例23は、初期単量体仕込み量が本発明の請求項の範囲外であり、ドライ強度、耐湿潤ベタツキ性に劣った。比較例24、25は、最大攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であ比較例24は残渣付着量に劣り、比較例25はろ過残渣量に劣った。
比較例26、27は、予備攪拌乳化時間が本発明の請求項の範囲外であり、比較例26は残渣付着量に劣り、比較例27はろ過残渣量に劣った。比較例28、29は平均攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であり、比較例28は残渣付着量に劣り、比較29はろ過残渣量、機械的安定性に劣った。比較例30、31は(PA)/(PB)が本発明の範囲外であり、ドライピック強度、ウェットピック強度が劣った。
【0075】
比較例32、33は(SPA)−(SPB)が発明の範囲外であり、ドライピック強度、ウェットピック強度、機械的安定性が劣った。比較例34は、特定の重合温度以下での重合転化率が本発明と異なり、ドライピック強度、ウェットピック強度、機械的安定性が劣った。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、塗工紙におけるドライピック強度、ウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に代表される塗工紙製造時の耐バッキングロール汚れ特性に優れ、かつ高速塗工時のストリーク、スクラッチの原因となる微細凝集物の発生を抑制できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共重合体ラテックスの製造方法に関し、さらに詳しくは、オフセット印刷、グラビア印刷に供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗工用のバインダーとして、塗工紙のピック強度と耐ブリスター性のバランスに優れ、かつ塗工操業性に関わる、塗工層の耐湿潤ベタツキ性、塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性を有するジエン系共重合体ラテックスの製造方法、該共重合体ラテックス、ならびに該共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成共重合体ラテックスは、例えば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バインダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用いられている。そして、共重合体ラテックスがこのような用途に用いられる場合、共重合体ラテックスは、接着強度が強く、耐水性、加熱乾燥による耐ブリスター性などに優れていることが要求される。
【0003】
塗工紙とは、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学的特性の向上を目的として抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるいは補助バインダーとしてスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されたものである。
【0004】
ここで、バインダーとしての共重合体ラテックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、耐ブリスター性の向上が強く求められている。
【0005】
また、塗工紙の製造そのものも高速化しており、これに伴い塗工操業性の改良、特に主な障害であるバッキングロール汚れ発生防止と塗工紙表面のストリークやスクラッチの発生防止が強く要求されている。バッキングロール汚れ発生防止には塗工層の耐湿潤ベタツキ性と洗浄性の向上が、塗工紙表面のストリークやスクラッチの発生防止に対しては塗工液の機械的安定性の向上が有効である。
共重合体ラテックスに対する前記の性質の改良として、例えばピック強度を改良するために共重合体のゲル含有量や共重合体組成を調整するなどの方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような逆バランスを解消すべく、連鎖移動剤の添加方法について検討がなされている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、重合温度の面からも検討がなされており、単量体混合物の特定量を比較的低温で重合を開始し、次いで残りの単量体を高温で重合する特定の二段重合法が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら得られる共重合体ラテックスについて近年、より高度な物性バランスの達成が要求されており、これらいずれの方法も塗工層の耐湿潤ベタツキ性や塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性、および塗工紙におけるピック強度、耐ブリスター性バランスを向上させる方法として十分とは言い難かった。
【0007】
加えて比較的低温で重合を開始する場合、乳化重合時の安定性が充分でなく反応器内部で多量の残渣を発生する場合がある。残渣の性状は2種類あり、そのひとつは粘着性の高い残渣で、重合反応中に反応器内部の攪拌機、バッフル、天板等に付着するため、安定に製造を行うために定期的に反応器内部を開放クリーニングする必要がある。もうひとつの残渣は、反応液中に分散している残渣で、目的とする共重合体ラテックスよりはるかに粒子径が大きく、この共重合体ラテックスを使用した際に、例えばストリークやスクラッチの発生といった塗工紙物性悪影響を及ぼさないよう反応終了後にろ過分離を必要がある。いずれも、分離除去には多大な労力を必要とし、可能なかぎり低減する必要がある。乳化重合時の安定性を向上させる目的で、乳化剤の増量、あるいは、組成面でエチレン系カルボン酸単量体やヒドロキシ基を含有する単量体を共重合させる他に重合装置上の観点からラテックス中の凝集物の発生を低減する方法も提案されており複数段のパドル翼を組み合わせた撹拌装置による製造方法が開示されている(例えば、特許文献6、7参照)。また重合する際の撹拌所要動力を0.05〜1.0kW/m3とすることにより140メッシュろ過でメッシュ上に残る凝集物の発生を防止する方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。これらの方法では先述した2種類の残渣を同時に発生防止させるには充分でなかった。
【0008】
このように、従来の技術では印刷と塗工紙製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高めかつ高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現ならびにこのものを安定に製造し供給する技術が強く求められているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特公昭59−3598号公報
【特許文献2】
特公昭60−17879号公報
【特許文献3】
特公平3−42360号公報
【特許文献4】
特開平6−179772公報
【特許文献5】
特開平10−1504号公報
【特許文献6】
特開平6−16708号公報
【特許文献7】
特開平7−292002号公報
【特許文献8】
特開2000−327726号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗工紙におけるドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性といった塗工紙物性に優れ、かつ塗工層の耐湿潤ベタツキ性や洗浄性、塗工液の機械的安定性といった塗工操業性に優れた高性能のジエン系共重合ラテックスを安定に製造することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定範囲にある共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびその他共重合可能な単量体を反応開始剤投入時の温度を特定の温度以下で乳化重合するにあたり、開始剤添加前に特定量以上の単量体を反応容器に仕込み攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力と単量体反応中の平均攪拌所要動力が特定範囲にあるジエン系共重合体ラテックスの製造方法が課題を達成することを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち発明の第1は、(a)共役ジエン系単量体20〜80重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部、(c)これらと共重合可能なその他単量体10〜79.5重量部((a)+(b)+(c)=100重量部)からなる単量体混合物を反応開始剤投入時の重合温度を75℃以下で乳化重合するにあたり、反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を反応容器に仕込み攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3であり、反応開始剤添加後の反応中の平均攪拌所要動力が0.001〜0.1kW/m3であることを特徴とするジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0013】
発明の第2は、単相型の共重合体ラテックスの乳化重合において、重合温度の昇温を反応開始剤添加後の重合開始時から全単量体に対する重合転化率が20重量%に至るまでに開始し、全単量体に対する重合転化率が50重量%以上になるまでに継続的に行い、かつその上昇速度が0.5〜10℃/hrの範囲であることを特徴とする請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第3は、コアシェル型のラテックスの乳化重合において、重合を多段重合により行い、第一工程で添加する単量体混合物(A)から得られる共重合体部分(PA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)から得られる共重合体部分(PB)の重量比が下記式(1)を満たし、かつ第一工程で添加する単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ(SPB)とが下記式(2)を満たすことを特徴する請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0014】
0.25<(PA)/(PB)<4 (1)
0.2<(SPB)−(SPA)<2.0 (2)
ここで、(A)+(B)=(a)+(b)+(c)=100(重量部)
(PA)+(PB)=100(重量部) である
発明の第4は、コアシェル型のラテックスの該乳化重合を行うにあたり、全単量体に対する重合転化率が少なくとも80重量%に達するまで重合温度75℃以下で重合することを特徴とする請求項3記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
【0015】
発明の第5は、反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を予備攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3で10〜120分間攪拌することを特徴とする請求項1〜4記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第6は、該乳化重合を行うにあたり、ガラス転移温度(Tg)30℃以下のラテックス粒子をシードとして用いることを特徴とする請求項1〜5記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法である。
発明の第7は、請求項1〜6の製造方法によって得られる共重合体ラテックスである。
発明の第8は、請求項7記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物である。
【0016】
本発明について、以下に具体的に説明する。なお以下の説明において、全単量体単位の合計は100重量%とする。
(a)共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
共役ジエン系単量体の使用割合は、20〜80重量%、好ましくは25〜60重量%である。この使用量が20重量%以上で十分に高いピック強度を得ることが、80重量%以下で必要なバッキングロール汚れ適性を得ることが可能になり、本発明の目的を達することができる。
【0017】
(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせても良い。
その使用割合は0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%である。この成分が10重量%以下でラテックスや塗工液を取り扱い可能な粘度に保つことができ、0.5重量%以上で、ラテックスや塗工液の機械的安定性を確保することが可能になる。
【0018】
(c)共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
その他単量体の使用割合は、10〜79.5重量%になる。これが79.5重量%以下で共重合体は適正なピック強度が得られる。
【0019】
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよい。シアン化ビニル系単量体の使用量は、その他単量体100重量部に対し、好ましくは30〜63重量部である。その使用量が30重量部以上で、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる湿潤ベタツキ性の向上とウェットピック強度の十分な発現がされ、また63重量部以下でラテックスの好ましい重合安定性が得られる。
【0020】
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
【0021】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、その好ましい使用量は全単量体100重量部に対し、10重量部以下、さらに好ましくは7重量部以下である。10重量部以下で使用すると、ラテックスおよび紙塗工組成物の低せん断粘度を取り扱い上好ましい範囲に維持できる。
【0023】
本発明では反応開始剤添加前に、全単量体の10重量%以上の単量体(以下、初期単量体と呼ぶ。)を反応容器に仕込むことが必須である。20重量%以上の初期単量体を反応開始剤添加前に仕込むことがより好ましく、30重量%以上の初期単量体を反応開始剤添加前に反応容器に仕込むことがさらに好ましい。この仕込み量が10重量%以上の場合、十分に高いドライピック強度、ウェットピック強度を発現させることができ、本発明の目的を達することができる。
【0024】
単量体組成物の添加方法としては、単量体組成物の一部を添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは連続的に添加する方法等のいずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に添加する場合の添加速度にも特に制限はない。
本発明で使用される単量体を乳化重合するに際しては、従来公知の方法である水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジカル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本構成成分とする分散系において単量体を重合させる方法などが用いられる。
【0025】
反応開始剤添加前に仕込んだ初期水および初期単量体を予備攪拌乳化することが必須である。初期単量体を仕込んだ直後の時点での攪拌所要動力(以下、最大攪拌動力とする。)の範囲は0.01〜1kW/m3であり、好ましくは0.05〜1kW/m3、より好ましくは0.1〜0.5kW/m3である。予備攪拌乳化時間の範囲は10〜120分であり、好ましくは30〜90分であり、さらに好ましくは30〜60分である。最大攪拌所要動力が0.01kW/m3以上で、かつ予備攪拌乳化時間が10分間以上の場合、仕込んだ初期単量体に充分な分散が得られるため、粘着性残渣の発生を防止することが可能となる。最大攪拌所要動力が1kW/m3以下で、かつ予備攪拌乳化時間が120分以下の場合、重合終了時の反応液中に分散している重合残渣の発生量の著しい増加を防止が可能である。
【0026】
開始時における反応系温度は75℃以下であり、好ましくは40℃〜60℃、より好ましくは50〜60℃とする必要がある。75℃以下で目標とする塗工操業性とピック強度の物性バランスが得られる。
開始剤投入後の最大攪拌所要動力と最小攪拌所要動力を平均した攪拌所要動力(以下、平均攪拌所要動力とする。)の範囲は、0.001〜0.1kW/m3であり、好ましくは0.005〜0.08kW/m3であり、さらに好ましくは0.01〜0.08kW/m3である。平均攪拌動力が0.001kW/m3以上の場合、反応容器内容物の均一な混合や重合反応に伴う反応熱の除去が可能となり、反応温度が急上昇するといった品質上および安全上の問題を未然に防止することができる。一方、平均攪拌動力が0.1kW/m3以下の場合、微細凝集物の急激な増加の抑制が可能である。
【0027】
ここで、攪拌所要動力とは、単位時間における反応容器内の内容物が攪拌により受けた正味の単位体積当たりのエネルギーである。反応容器内に内容物が存在している重合中の状態から反応容器が空の状態の変速機、減速機および攪拌機自体の回転駆動による負荷の差から求められる。
攪拌所要動力を制御する方法として、各種形状の攪拌装置について攪拌系のレイノズル数Reと動力数Npの関係を表す実験式や線図を利用するか、またはある一定の攪拌条件下での動力を実測することにより装置定数として動力数Npを実験的に求め、攪拌翼の回転数を変更することによって動力を任意に調整することができる(例えば、非特許文献1参照)。単位体積当りの正味の攪拌所要動力は以下の式により算出される。
【0028】
Pv=Np×d5×n3×ρ/V (3)
ここで、Pv:単位体積当りの攪拌所要動力(kW/m3)、V:液容量(m3)、Np:動力数、d:攪拌翼径(m)、n:回転数(1/sec)、ρ:液密度(kg/m3)である。
攪拌翼の種類はパドル翼、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、リボン翼等が使用可能である。また、反応器内の攪拌効率を向上させる目的で、反応器内にバッフルを備えることは好ましい。また、反応容器内の内壁面、攪拌翼、バッフルなどの反応液に接する表面には、重合体の付着防止のために、グラスライニングやテフロン(登録商標)コーティング等の表面処理をすることは好ましい。
【0029】
初期水中に使用する乳化剤については、特に制限はなく、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0030】
ラジカル開始剤については、公知の方法を用いることができる。ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いるいわゆるレドックス重合法を用いることもできる。これらの中で特に過硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対し、通常0.1〜5.0重量部の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量部の範囲から選ばれる。重合時間は、通常3〜30時間である。
【0032】
単相型の共重合体ラテックスを乳化重合する場合、昇温を開始する単量体混合物の重合転化率は20重量%以下が好ましい。終了時における単量体混合物の重合転化率は50重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。この昇温期間の重合転化率が上記の範囲にて、塗工操業性とピック強度のバランスを保つことが可能となる。また、その上昇速度が0.5〜10℃/hrの範囲で、良好な塗工操業性を得ることができる。
【0033】
コアシェル型の共重合体ラテックスを多段重合する場合、第一工程で添加される単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)と最終工程で添加される単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の重量比(PA)/(PB)は0.25<(PA)/(PB)<4であり、より好ましくは0.41<(PA)/(PB)<2.4の範囲である。また、第一工程で添加する単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ(SPB)とが、0.2<(SPB)−(SPA)<2であり、好ましくは0.4<(SPB)−(SPA)<1.5であり、さらに好ましくは0.5<(SPB)−(SPA)<1.3である。なお、各共重合体部分の溶解性パラメータ(SPA)および(SPB)は、Robert F.Fedorsが規定する方法により、各々の単量体化合物構造と単
量体組成から算出することができる。(
【非特許文献2】参照)
【0034】
多段重合の場合、(a)共役ジエン系単量体の第一工程における使用量は、ドライピック強度またはウェットピック強度の点から第一工程で添加する単量体混合物(A)に対し、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは25〜75重量%である。また(a)共役ジエン系単量体の最終段における使用量は、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる湿潤ベタツキ性かつウェットピック強度の点から最終工程で添加する単量体混合物(B)に対し、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。
【0035】
多段重合の場合、シアン化ビニル単量体の最終工程における使用量は、湿潤ベタツキ性かつウェットピック強度の点から最終工程で添加する単量体混合物(B)に対し、好ましくは2〜60重量%、さらに好ましくは8〜50重量%である。
また、最終工程での単量体混合物(B)を添加する際の、重合転化率は30〜90重量%であることが好ましい。
【0036】
多段重合の場合、ジエン系共重合体ラテックスを製造方法での重合温度は、ドライピック強度またはウェットピック強度の点から、全単量体に対する重合転化率が80重量%に達するまで重合温度が75℃以下であることが好ましく、より好ましくは重合転化率が90重量%に達するまで重合温度が75℃以下であること、または重合転化率が80重量%に達するまで重合温度が70℃以下であること、さらに好ましくは重合転化率が90重量%に達するまで重合温度が70℃以下であることである。
【0037】
本発明のジエン系共重合ラテックスの重合方法では、シードラテックスを用いて重合を実施するシード重合法とシードラテックスを用いずに重合を実施するインターナルシード重合法のどちらも使用できるが、粒径コントロール性と重合安定性の点から、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下のシードラテックスを用いて重合を実施するシード重合法が好適である。その作用は明らかでないが、シードラテックスを用いると、より効率的に目標とする粒子径の共重合体ラテックスを重合残渣の少ない反応状態で得ることができる。
【0038】
シードラテックスのガラス転移温度と重合温度の関係は、重合温度からシードラテックスのガラス転移温度を引いた温度差が+10℃以上あることが好ましく、温度差が+20℃以上あることはさらに好ましい。
シードラテックスの重量平均分子量(Mw)は、粒径コントロール性と重合安定性の点から、ポリスチレン換算で、2万<Mw<100万であることが好ましい。
【0039】
共重合体ラテックスの粒子径は、シードラテックスの使用量、シードラテックスの平均粒子径等によって調整することができ、一般にその使用割合を高くするほど生成するジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなる。理想的には最終製品である共重合体ラテックスはシードラテックスと同じ個数になる。つまりシードラテックス量:全単量体量比が1:7ならば粒子径2倍の最終製品である共重合体ラテックスが得られ、1:124ならば粒子径5倍の共重合体ラテックスが得られる。通常シードラテックス量は全単量体量の0.5重量%以上2重量%以下で使用されるので、シードラテックスの粒子径は最終製品である共重合体ラテックスの粒子径の1/3〜1/10前後に設計されるのが好ましい。
【0040】
本発明のジエン系共重合体ラテックスの製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径は、本発明の効果を十分に発現させるためには、40〜400nmの範囲にあることが望ましく、50〜300nmの範囲にあることがより好ましく、100〜200nmの範囲にあることがさらに好ましい。シードラテックスの平均粒子径は、5〜70nmであることが好ましく、より好ましくは5〜50nmであり、5〜30nmであることはさらに好ましい。
シードラテックスの重合は、本発明のラテックスの重合に先立って同一反応容器でおこなっても、異なる反応容器で重合したシードラテックスを用いても良い。
【0041】
シードラテックスの重合に使用する共重合性単量体は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体0.5〜10重量部、およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部、およびその他の共重合可能な単量体80〜99重量部の範囲にあることが好ましい。さらに、これらの共重合性単量体は、粒径コントロール性の点から不飽和結合を1つのみ有し、シードラテックスは直鎖構造を主体とする高分子であることが好ましい。
【0042】
シードラテックスを構成する単量体で水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピルエチル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。シードラテックスを構成するエチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、ジエン系共重合体ラテックスに用いるエチレン性不飽和カルボン酸単量体と同様なものが使用できる。
【0043】
シードラテックスを構成するその他共重合可能な単量体で、シードラテックスに比較低いガラス転移温度を与えるモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートなどが使用できる。
【0044】
シードラテックスは乳化安定性が高いことが好ましく、静置発生残渣率として測定して1%以下であることが好ましい。ここで静置発生残渣率とは、水で希釈して重量固形分25%に調整したシードラテックス100グラムを目開き75μmのふるいでろ過し20日間23℃で静置した後に再び目開き75μmのふるいでろ過してその際にふるい上に残った残渣を乾燥秤量して25グラムで除した値である。静置発生残渣率が1%以下のシードラテックスを使用した場合、重合中にラテックス粒子の合一凝集の発生を防止することが可能となる。
さらにシードラテックスは最終製品である共重合体ラテックスの製造に用いる単量体に膨潤ないし溶解することが好ましい。具体的にはシードラテックスを乾燥して得られる共重合体がスチレンに溶解または1倍以上膨潤することが好ましい。
【0045】
本発明のジエン系共重合体ラテックスの製造方法には、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、α−メチルスチレンダイマーなどの核置換α−メチルスチレンの二量体類、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレンなどを挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。連鎖移動剤としては特にα−メチルスチレンダイマ−、t−ドデシルメルカプタン、ターピノーレンが好ましい。
【0046】
連鎖移動剤は単量体100重量部あたり0.1〜10重量部の範囲内で使用することが好ましい。この範囲でドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性のバランスを維持し本発明の効果を出現させることが可能となる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が80重量%以上である。
【0047】
ラジカル開始剤および連鎖移動剤の添加方法には特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
本発明では、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
【0048】
また、ラテックスの分散安定性を高める目的で、各種分散剤を加えても良い。分散剤は単独で用いても、2種類以上を用いても良い。分散剤を加える場合、分散剤の使用量は単量体100重量部あたり0.1〜5重量部が好ましい。分散剤の使用量が0.1重量部以上でラテックスの再分散性が良くなり、また5重量部以下でドライピック強度、ウェットピック強度、湿潤ベタツキ性の低下が抑制可能となる。
【0049】
分散剤としては、アルキルアミンリン酸塩、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルポリエーテルサルフェート、アルキルアリルスルホネート,アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノールポリエチレンエーテル、アリルスルホン酸縮合物、高級アルコールスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホサクシネート、ジアルキルサクシネート、脂肪酸アミド誘導体硫酸エステル、親油性ポリエステル、繊維素グリコールソルビタンモノステアレート、セチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ソルビタンアルキレート、ソルビタンエステル、第4級アンモニウム、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド、ナフタレンホルマリン縮合物ジナフチルメタスルホネート、
ひまし油硫酸化油、ビスナフタレンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールエクテル、ポリエチレングリコールアルキルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。再分散性の点では、ピロリン酸およびその塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸カリウム、ポリアクリル酸およびその塩であるポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸カリウム、ヘキサメタリン酸およびその塩であるヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸カリウムが好ましく、より好ましくは分散剤中のピロリン酸およびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、ヘキサメタリン酸およびその塩の割合が80重量%以上ものである。
【0050】
本発明の共重合体ラテックスの固形分については特に制限はなく、通常固形分は30〜60重量%の範囲に調製される。必要に応じて各種添加剤を添加することあるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
【0051】
本発明の製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。顔料と本発明の製造方法で得られるジエン系共重合体ラテックスの使用割合は組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、好ましくは顔料100重量部に対してラテックス3〜30重量部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、各特性は次のように求めた。
(i)重合転化率の測定方法
重合中にサンプリングしたラテックスを2g秤量後、130℃で30分乾燥後、固形分を測定し、リアクター内に添加される単量体量から重合転化率を求めた。
(ii)粒径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定した。
【0053】
(iii)反応器内部の残渣付着量
残渣付着量として、重合終了後に、開放した反応機内部に付着した粘着性残渣の乾燥残渣量を求め、その総重量を仕込み液量に対する重量百分率であらわした。
残渣付着量0.002重量%未満 :○
残渣付着量0.002重量%以上から0.02重量%未満:△
残渣付着量0.02%重量以上 :×
【0054】
(iv)重合反応液のろ過残渣量
ろ過残渣量として、重合終了後にサンプリングしたラテックス250gを目開き75μmのふるいにてろ過し、ふるい上に残った乾燥残渣重量の総重量を求め、試料固形分量に対する重量百分率であらわした。
ろ過残渣量0.01重量%未満 :◎
ろ過残渣量0.01重量%以上〜0.05重量%未満 :○
ろ過残渣量0.05重量%以上〜0.5重量%未満 :△
ろ過残渣量0.5重量%以上 :×
【0055】
(v)ドライピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18のもの)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は5点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0056】
(vi)ウェットピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のもの)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で1回刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は5点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0057】
(vii)耐ブリスター性
塗工紙を4cm×5cmの大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調節したシリコンオイルバスに浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観察した。オイルバスの温度を変化させながら同様に試験を行い、各塗工紙についてブリスターの発生する温度を測定した。発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0058】
(viii)耐湿潤ベタツキ性
得られた塗工紙サンプルに、片側表面を水に浸漬させた黒ラシャ紙とはり合わせ、カレンダーを用いて温度80℃の条件で圧着させる。両者を引き剥がして、黒ラシャ紙の塗工紙サンプルへの転写の程度を目視にて10点評価法を用いて行った。転写の少ないものほど高得点とした。
(ix)塗工層洗浄性
得られた塗工液をゴム板上にワイヤーバーNo.5で塗布し、50℃、3秒間乾燥させ後、塗工層を水で濡らしブレードで掻き落とした。ゴム板上に残った塗工層の量を目視で評価した。ゴム板上に残った量が少ないものほど高得点とした。
【0059】
(x)機械的安定性
塗工液の機械的安定性をマロン式試験機により測定した。
試験方法は塗料100gを荷重30kgw、時間20分間の条件でマロン式試験機にかけ、発生した凝集物を目開き75μmのふるいにて採取し、凝集物の乾燥重量の試料固形分量に対する重量百分率(残渣発生率)で求めた。
残渣発生率0.02%未満 :◎
残渣発生率0.02%以上〜0.05%未満:○
残渣発生率0.05%以上〜0.2%未満 :△
残渣発生率0.2%以上 :×
【0060】
【実施例1】
実施例中または比較例中の攪拌所要動力は、各反応容器、攪拌装置について、ある攪拌条件下で動力を実測することにより、装置定数として実験的に求めた動力数Npの値を式(3)に代入することにより、攪拌所要動力を求めた。
表1記載の反応容器・装置イに表2記載のシードラテックスA0.1kg(固形分10重量%)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05kg、ジアルキルアリールエーテルジスルホン酸ソーダ(花王株式会社製、ペレックスSS−L)0.0133kg、イオン交換水2.6kg、表3に示した全単量体の30重量%の単量体および連鎖移動剤の混合物を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、反応容器内を真空にしたのち窒素で置換する操作を2回繰り返した。
【0061】
攪拌機を起動し攪拌はねの回転数を4.667s−1に調整し予備攪拌乳化を開始すると同時に反応液温度を40℃に調節した。攪拌機起動60分後、攪拌はねの回転数を2.500s−1に調整後、過硫酸ナトリウム0.133kgを添加し重合を開始した。重合開始と同時に重合温度すなわち反応液温度の昇温を、上昇速度3℃/hrで行った。残りの単量体および連鎖移動剤はその後6時間かけて反応器に添加した。重合開始から10時間後に昇温を完了。その時点の単量体の重合転化率は83重量%であった。さらに重合温度を80℃に昇温し、1時間継続した。最終重合転化率は98重量%であった。
【0062】
生成したラテックスは、目開き75μmのふるいでろ過した。次に水酸化カリウム水溶液を添加し、pH7に調整後、水蒸気蒸留をすることで未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ラテックス温度40℃で、殺菌剤500ppm(ソマーサイドA3710、ソマール社製)、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液0.25kg(固形分濃度40重量%)、水酸化カリウム水溶液を加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50重量%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスa1とする。
得られた共重合体ラテックスを用いて、下記の配合で紙塗工用組成物を調整した(配合量は固形分換算で水は除く)。
【0063】
(配合処方)
カオリンクレー 60 重量部
炭酸カルシウム 40 重量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部
水酸化ナトリウム 0.1重量部
酸化デンプン 2 重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(全固形分濃度が64重量%になるように添加)
【0064】
なお、カオリンクレーはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムはカービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ナトリウムはアロンT−40(東亞合成社製)を、酸化デンプンは王子エースA(王子コーンスターチ社製)をそれぞれ使用した。得られたジエン系共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物を枚葉式ブレードコーター(SMT社製)を用い、ラテック坪量74g/m2の塗工原紙に、ブレード厚み3mm、塗工速度100m/分、塗工量片面14g/m2になるようにブレード圧を調整し、ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度50%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロール温度50℃、線圧147000N/mの条件で1塗工面につき2回通紙する事により塗工紙を得た。この塗工紙を用いておこなった評価結果を表3に示した。
【0065】
【実施例2、3、4】
表3に示すように重合スタート温度、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスb1〜d1を得た。
【0066】
【実施例5、6、7,8】
表3に示すような重合温度制御、すなわち昇温速度を途中で変化させるパターンにて実施した。また、表1に示す反応容器・装置で、表3に示す重合スタート温度、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスe1〜h1を得た。
【0067】
【実施例9】
表1記載の反応容器・装置イに表2記載のシードラテックスA1kg(固形分10重量%)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4kg、イオン交換水30kg、表4記載の第一工程の単量体と連鎖移動剤を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、反応容器内を真空にしたのち窒素で置換する操作を4回繰り返した。攪拌機を起動し攪拌はねの回転数を1.833s−1に調整し予備攪拌乳化を開始すると同時に反応液温度を45℃に調節した。攪拌機起動60分後、攪拌はねの回転数を1.083s−1に調整後、過硫酸ナトリウム1.33kgを添加し重合を開始した。
【0068】
開始剤添加開始3.5時間後、表2中の第二工程の単量体と連鎖移動剤を60℃で7時間に渡って追添した。第二工程の単量体添加終了後、内温を65℃にして6時間反応させた。最終重合転化率は98重量%であった。生成したラテックスは、目開き75μmのふるいでろ過した。次に、水酸化カリウムを添加し、pH7に調整後、未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ポリアクリル酸ナトリウム0.5重量部、水酸化ナトリウムを加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50重量%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスa2とする。
【0069】
【実施例10〜18】
表4に示すように、表1記載の反応容器・装置、最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例9と同様に重合し、共重合体ラテックスb2〜j2を得た。
【0070】
【比較例1〜18】
実施例1と同様な方法により、表5に示す最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、昇温速度、昇温スタート時間、昇温スタート時重合転化率、重合温度制御パターン、単量体、連鎖移動剤、及び表2に示すシードを用いて共重合体ラテックスi1〜z1を得た。
比較例1,2は、共役ジエン系単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、比較例1はドライピック強度、ウェットピック強度に劣り、比較例2はウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に劣った。比較例3は、エチレン系不飽和カルボン酸単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライピック強度、ウェットピック強度に劣った。比較例4は、乳化重合に使用したシードが本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライ強度、機械的安定性に劣った。比較例5は、初期単量体仕込み量が本発明の請求項の範囲外であり、耐湿潤ベタツキ性に劣った。
【0071】
比較例6、7は、最大攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であ比較例6は残渣付着量に劣り、比較例7はろ過残渣量に劣った。比較例8、9は、予備攪拌乳化時間が本発明の請求項の範囲外であり、比較例8は残渣付着量に劣り、比較例9はろ過残渣量に劣った。比較例10、11は平均攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であり、比較例10は残渣付着量に劣り、比較11はろ過残渣量、機械的安定性に劣った。
【0072】
比較例12は昇温スタート時重合転化率が、比較例13は昇温スタート時の重合転化率と昇温速度が本発明の範囲外であり、ドライピック強度、耐湿潤ベタツキ性に劣った。比較例14は昇温速度が本発明の範囲外であり、ウェット強度、機械的安定性に劣った。比較例15、16は、重合温度制御方法が本発明と異なり重合温度を一定時間、一定に制御し、かつ重合温度を階段状に変化させる重合温度制御方法であり、比較例15は機械的安定性、比較例16は塗工層洗浄性に劣った。
比較例17、18は、重合温度制御方法が本発明と異なり重合温度を一定時間、一定とする重合温度制御方法であり、比較例17は耐ブリスター性に、比較例18は耐湿潤ベタツキ性に劣った。
【0073】
【比較例19〜34】
実施例9と同様な方法により、表6に示す最大攪拌所要動力、予備攪拌乳化時間、平均攪拌所要動力、単量体、連鎖移動剤、重合転化率、及び表2に示すシードを用いて共重合体ラテックスk2〜z2を得た。
比較例19,20は、共役ジエン系単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、比較例19はドライピック強度、ウェットピック強度に劣り、比較例20はウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に劣った。比較例21は、エチレン系不飽和カルボン酸単量体量が本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライピック強度、ウェットピック強度に劣った。
【0074】
比較例22は、乳化重合に使用したシードが本発明の請求項の範囲外であり、ろ過残渣量、ドライ強度、機械的安定性に劣った。比較例23は、初期単量体仕込み量が本発明の請求項の範囲外であり、ドライ強度、耐湿潤ベタツキ性に劣った。比較例24、25は、最大攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であ比較例24は残渣付着量に劣り、比較例25はろ過残渣量に劣った。
比較例26、27は、予備攪拌乳化時間が本発明の請求項の範囲外であり、比較例26は残渣付着量に劣り、比較例27はろ過残渣量に劣った。比較例28、29は平均攪拌所要動力が本発明の請求項の範囲外であり、比較例28は残渣付着量に劣り、比較29はろ過残渣量、機械的安定性に劣った。比較例30、31は(PA)/(PB)が本発明の範囲外であり、ドライピック強度、ウェットピック強度が劣った。
【0075】
比較例32、33は(SPA)−(SPB)が発明の範囲外であり、ドライピック強度、ウェットピック強度、機械的安定性が劣った。比較例34は、特定の重合温度以下での重合転化率が本発明と異なり、ドライピック強度、ウェットピック強度、機械的安定性が劣った。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、塗工紙におけるドライピック強度、ウェットピック強度と湿潤ベタツキ性に代表される塗工紙製造時の耐バッキングロール汚れ特性に優れ、かつ高速塗工時のストリーク、スクラッチの原因となる微細凝集物の発生を抑制できる。
Claims (8)
- (a)共役ジエン系単量体20〜80重量部、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量部、(c)これらと共重合可能なその他単量体10〜79.5重量部((a)+(b)+(c)=100重量部)からなる単量体混合物を反応開始剤投入時の重合温度を75℃以下で乳化重合するにあたり、反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を反応容器に仕込み攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3であり、反応開始剤添加後の反応中の平均攪拌所要動力が0.001〜0.1kW/m3であることを特徴とするジエン系共重合体ラテックスの製造方法。
- 単相型の共重合体ラテックスの乳化重合において、重合温度の昇温を反応開始剤添加後の重合開始時から全単量体に対する重合転化率が20重量%に至るまでに開始し、全単量体に対する重合転化率が50重量%以上になるまでに継続的に行い、かつその上昇速度が0.5〜10℃/hrの範囲であることを特徴とする請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法。
- コアシェル型のラテックスの乳化重合において、重合を多段重合により行い、第一工程で添加する単量体混合物(A)から得られる共重合体部分(PA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)から得られる共重合体部分(PB)の重量比が下記式(1)を満たし、かつ第一工程で添加する単量体混合物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ(SPB)とが下記式(2)を満たすことを特徴する請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法。
0.25<(PA)/(PB)<4 (1)
0.2<(SPB)−(SPA)<2.0 (2)
ここで、(PA)+(PB)=100(重量部) である。 - コアシェル型のラテックスの該乳化重合を行うにあたり、全単量体に対する重合転化率が少なくとも80重量%に達するまで重合温度75℃以下で重合することを特徴とする請求項3記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法。
- 反応開始剤添加前に全単量体の10重量%以上の単量体混合物を予備攪拌乳化する際の最大攪拌所要動力が0.01〜1kw/m3で10〜120分間攪拌することを特徴とする請求項1〜4記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法。
- 該乳化重合を行うにあたり、ガラス転移温度(Tg)30℃以下のラテックス粒子をシードとして用いることを特徴とする請求項1〜5記載のジエン系共重合体ラテックスの製造方法。
- 請求項1〜6の製造方法によって得られる共重合体ラテックス。
- 請求項7記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
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