JP4578003B2 - 共重合体ラテックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗工紙用顔料バインダー、カーペットバッキングサイジング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共重合体ラテックスに関る。これらの中でも特に紙塗工用に好適であり、更に好ましくはオフセット印刷用塗工紙用途に好適である、ピック強度と耐ブリスター性との高度なバランスを有し、白紙光沢に優れ、さらに耐ベタツキ性およびラテックス再分散性に優れた特性を付与する共役ジエン系共重合ラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、共重合体ラテックスは塗工紙用の顔料バインダー、カーペットバッキングサイジング剤、不織布および人工皮革などの繊維結合剤、あるいは各種粘接着剤として広範な用途に用いられてきた。
塗工紙とは、印刷適性および光沢などの光学適性の向上を目的として原紙表面にカオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタン、プラスチックピグメントなどの顔料、それらの主バインダーとして共重合体ラテックス、補助バインダーとしてスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースからなる塗工液が塗布されたものである。主バインダーの共重合体ラテックスとしては、共役ジエン系共重合体ラテックスいわゆるSBラテックスが汎用的に用いられている。
【0003】
近年、雑誌類、パンフレット、広告等の印刷物の需要は増大の一途にあり、これに伴う印刷速度の高速化、印刷物の高級化が進み、塗工紙の表面強度、印刷適性に大きな影響を及ぼす共重合体ラテックスへの要求は厳しくなる一方である。
印刷の高速化においては、インクのタックによる塗工紙表面の破壊に対する抵抗性(いわゆるピック強度)や乾燥時の印刷面の火ぶくれ発生に対する抵抗性(いわゆる耐ブリスター性)の向上が以前にも増して要求されるようになった。ピック強度の向上と耐ブリスター性の向上は、一般に相反する特性であり、一方が向上すると他方が低下する関係にあるため、これらの物性を高度にバランスさせせることが求められている。また印刷物の高級化では、塗工紙の白紙光沢、印刷光沢を向上させよりビジュアルな印刷物が好まれる。
【0004】
一方、塗工紙の生産においても、生産能力および生産性の向上のため塗工速度の高速化が進められ、ここでも塗工操業性に影響を与える共重合体ラテックスへの品質要求は高まっている。塗工紙の製造は、先に述べた共重合体ラテックスを主バインダーとする塗工液が、原紙にフラッデドニップロールやジェットファウンテン方式によってアプリケートされ、ブレード等によって余分な塗工液が掻き取られ、塗工液の所定量を塗布し、乾燥するのが一般的な方法である。塗工紙は表裏両面に印刷されることが多く、このため塗工紙の生産では、原紙の片面(おもて面)に塗布乾燥後、もう一方の面(裏面)に同様な方法で処理が行われる。
【0005】
このブレードによる計量の際に塗工紙はブレードとバッキングロールとの間で高いシェアーと圧力を受け、特に裏面塗工時におもて面の塗工層表層部分がバッキングロールに転移する、いわゆるバッキングロール汚れを発生することがあり、汚れの発生が著しくなると原紙の紙切れや頻繁な研磨によるロール洗浄の必要が生じ、生産性が低下する。この塗工操業性の改良には、ロールへの転移を少なくするためには共重合体ラテックスの粘着性を低減(耐ベタツキ性)させたり、ロールに転移した塗工層カスを洗浄するフロークリン部でのラテックスの洗浄性(ラテックス再分散性)を向上させることが有用である。
【0006】
以上のような塗工紙の品質向上や塗工紙生産の操業上の問題解決のため、共重合体ラテックスについては様々な改良がなされてきた。
例えば、ピック強度を改良する目的で共役ジエン系単量体の組成比率を上げて共重合体のガラス転移温度を低くする方法がある。しかし、この方法では白紙光沢の低下および耐ベタツキ性が低下する問題点が残る。また、白紙光沢、印刷光沢改良の方法としてはガラス転移温度(Tg)の異なる二種の共重合体ラテックスを混合する方法(特開平8−101112号公報)が提案されてはいるが、Tgの低い成分による耐ベタツキ性の低下が大きく、ピック強度と耐ブリスター性を高いレベルにバランスすることは難しい。更に、操業性改良の目的で特定の不飽和炭化水素の共存下にジエン系ラテックスを重合する方法(特開平5−250005号公報)も開示されているが、ラテックスの再分散性が不充分であり結果的に塗工操業性を十分に高めているとは言い難い。これら従来技術は共重合体(各)ラテックスを一段で重合した例であり、印刷適性、光学適性および操業性改良を同時に満足するには至っていない。
【0007】
これらの諸物性を高いレベルでバランス化することを目的とし、共重合体ラテックスを二段もしくは多段で重合する方法が多数提案されている。例えば、一段目に不飽和カルボン酸の共存下共役ジエン系ラテックスを重合し、その後に残りの単量体を重合する方法(特開昭63−113008号公報)があるが、各重合段の単量体組成に差異があるにも関わらず得られた共重合体にTg差が見られず、また本方法では十分な耐ブリスター性、耐ベタツキ性およびラテックスの再分散性が得られない。また類似例として、一段目の共重合体Tgを0℃以下、好ましくは−10〜−60℃の範囲に規定した二段重合に関する方法(特開平7−324113号公報)も提案されている。しかしながら本方法では、まだ満足の良く白紙光沢の発現、洗浄性が得られるに至ってはいない。
このように、これら何れの方法も、何れかの物性の向上が認められたとしても、全ての物性に対する要求を充足することはできず、一層厳しくなる印刷適性、光学適性ならびに操業性の要求を満たすことができないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような状況から、塗工紙のピック強度と耐ブリスター性との高度なバランスを有し、白紙光沢に優れ、さらに耐ベタツキ性およびラテックス再分散性に優れるジエン系共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ね、特定組成の単量体を二段階以上に分割して乳化重合し、それぞれの工程における単量体の組成から得られる共重合体のガラス転移温度に特定の関係を持たせるジエン系共重合体ラテックスが、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、1.(イ)共役ジエン系単量体10〜70重量%、(ロ)エチレン系モノカルボン酸単量体0〜5重量%、(ハ)エチレン系ジカルボン酸単量体0.5〜7重量%および(ニ)共重合可能な他の単量体18〜89.5重量%からなる単量体の合計100重量部を(A)(イ)および(ニ)の一部からなる単量体を重合する第一工程と(B)(イ)および(ニ)の残り、ならびに(ロ)、(ハ)を重合する工程との少なくとも二段階以上に分割して乳化重合することによって得られた共重合体ラテックスであって、第一工程に用いられた単量体の組成から得られる共重合体のガラス転移温度(TgA)が0~20℃の範囲であり、且つ(B)工程の一部または全部に用いられた単量体の組成からなる得られる共重合体のガラス転移温度(TgB)がTgA< TgBを満足することを特徴とする共重合体ラテックス、および
2.上記1に記載の共重合体ラテックスを含有することを特徴とする紙塗工用組成物、に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明における(イ)共役ジエン系単量体は、共重合体に柔軟性を与え、接着力、衝撃吸収性を与えるために必須の成分であり、全単量体の重量に基づき10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%の割合で用いられる。この使用量が10重量%未満では、共重合体が硬く脆くなって接着力が低下し、70重量%を超えると共重合体が柔らかくなりすぎ、接着力および耐ベタツキ性が低下する。
共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどが挙げらる。これら単量体は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明における(ロ)エチレン系モノカルボン酸単量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え、ピック強度(すなわち顔料との接着力、ラテックス凝集力)を高めるための成分であり、(B)工程のみに用いられる。該単量体は、全単量体の重量に基づき0〜5重量%、好ましくは0.3〜4重量%の割合で用いられる。この使用量が5重量%を超えると共重合体の粘度が高くなりすぎたり、分子間イオン架橋が増加し耐ブリスター性が低下する。エチレン系モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明における(ハ)エチレン系ジカルボン酸単量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性、機械的安定性およびピック強度を向上させるほか、ラテックスの洗浄性を高めるための成分であり、(B)工程のみに用いられる必須成分である。該単量体は、全単量体の重量に基づき0.5〜7重量%、好ましくは1〜6重量%の割合で、更に好ましくは1.5〜5重量%の範囲で用いられる。この使用量が0.5重量%未満では共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与えることが困難となり顔料混和時に問題が発生する他、ラテックスの再分散性も低下する。この使用量が7重量%を超えると共重合体の粘度が高くなりすぎたり、耐ブリスター性が低下する。エチレン系不飽和ジカルボン酸単量体としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
本発明における(ニ)共重合可能な他の単量体は必須の成分である。この共重合可能な他の単量体の使用量は、全単量体の重量に基づき18〜89.5重量%である。該単量体の種類および好ましい使用量は、重合の各工程で得られる共重合体のガラス転移温度の設定、および光学適性をはじめとする様々な特性の付与のために適宜選択できる。その使用量が18重量%未満では本発明の特徴である耐ベタツキ性の付与が十分ではなく、また89.5重量%を超えると強度が発現しない。共重合可能な他の単量体の好ましい例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明では、これらの単量体単量体の合計100重量部を(A)(イ)および(ニ)の一部からなる単量体を重合する第一工程と(B)(イ)および(ニ)の残り、ならびに(ロ)、(ハ)を重合する工程との少なくとも二段階以上に分割して乳化重合し、第一工程に用いられた単量体の組成から得られる共重合体のガラス転移温度(TgA)が0〜20℃の範囲であり、且つ(B)工程の一部または全部に用いられた単量体の組成からなる得られる共重合体のガラス転移温度(TgB)がTgA< TgBを満足することが必要である。(A)第一工程で用いる好ましい単量体の量は10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部であり、(B)工程で用いる好ましい単量体の量は10〜90重量部、さらに好ましくは20〜80重量部である。
【0015】
本発明の効果が発現する理由は全てが明確になっているわけではないが、(A)第一工程に(ロ)および/または(ハ)のエチレン系カルボン酸が含まれると、発明の効果である耐ベタツキ性および耐ブリスター性の改善が発現しない。これは第一工程で得られたカルボン酸を含む低Tg共重合体が(B)工程で重合された高Tg共重合体によって十分には被覆されないためと考えられる。このために、発明の効果である耐ベタツキ性および耐ブリスター性の改善が発現しない。
さらに(A)第一工程で得られる共重合体のTg(TgA)は0〜20℃が好ましく、さらに好ましくは5〜20℃の範囲である。 TgAが0℃未満では共重合体が柔らかくなりすぎ、耐ベタツキ性が低下すると同時に、塗工紙に供された場合十分な白紙光沢を発現しない。またTgAが20℃よりも高くなると共重合体全体が脆くなり、高速印刷における変形速度の大きく衝撃的な力に対する抵抗性が失われる。
【0016】
一方(B)工程では、(ハ)エチレン系ジカルボン酸を必須単量体として、残りの(イ)および(ニ)、そして所望に応じ(ロ)エチレン系モノカルボン酸を重合する。この必須単量体(ハ)の使用量が全単量体の重量に基づき0.5重量%未満では共重合体ラテックスの重合安定性が低下する他、顔料との分散安定性を与えることが困難となり、顔料混和時に問題が発生したり、ラテックスの再分散性も低下し、好ましくない。また、(B)工程の(ニ)共重合可能な他の単量体のうちヒドロキシアルキルエステル類、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチルは効果の一つであるラテックス再分散を一段と向上させる。好ましいヒドロキシアルキルエステル類の使用量は全単量体の重量に基づき0〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2.5重量%、最も好ましくは0.2〜2重量%である。
【0017】
(B)工程で得られる共重合体のTg(TgB)はTgAよりも高いことが好ましい。 TgA>TgBの場合、共重合体が柔らかくなりすぎ、耐ベタツキ性が低下すると同時に、塗工紙に十分な白紙光沢を付与できなくなる。
本発明における乳化重合の方法については特に制限はなく、水性媒体中で界面活性剤の存在下、ラジカル開始剤により重合を行なうなど公知の方法を用いることができる。
【0018】
使用する乳化剤についても特に制限はなく、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いるいわゆるレドックス重合法を用いることもできる。
【0020】
本発明では、ラジカル重合において通常用いられる公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好ましい例としては核置換α−メチルスチレンのニ量体のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の添加方法にも特に制限はなく、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
【0021】
本発明では、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の製造方法による共重合体ラテックスの固形分、粒子径についても特に制限はなく、通常固形分は30〜60重量%、粒子径は40〜400nm、好ましくは50〜250nm、さらに好ましくは70〜200nmの範囲に調製される。粒子径の調整のため公知のシード重合法を用いることも可能であり、シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法を適宜選択して用いることができる。
【0022】
本発明の重合温度は、30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。
本発明の製造方法による共重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加すること、あるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0023】
【実施例1】
攪はん装置と温度調節用のジャケットを備える耐圧反応容器にイオン交換水165重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.3重量部を仕込み、内温を45℃に上昇した。さらにスチレン25重量部、ブタジエン20重量部、メタクリル酸メチル5重量部およびアクリロニトリル5重量部と連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン(t−DDM)0.5重量部を仕込み、さらにペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部をイオン交換水5部に溶解したものを仕込んで、内温を45℃に保持したまま7時間反応を継続した。その後内温を60℃まで上昇し、スチレン8重量部、ブタジエン13.5重量部、メタクリル酸メチル6重量部、アクリロニトリル14重量部、ヒドロキシエチルアクリレート0.5重量部、イタコン酸3重量部、α−メチルスチレンダイマー(α−MSD)0.25重量部、t−DDM0.5重量部、およびイオン交換水30重量部を6時間かけて一定速度で反応容器内に添加した。内温を65℃に上昇して5時間反応を継続したのち、冷却して反応生成物を採取した。得られた反応性生物からスチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの1:1混合物でpHを8に調製し、固形分を50重量%になるまで濃縮した。以上のようにしてえられた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスaとする。
【0024】
得られた共重合体ラテックスaについて、粒子径、ガラス転移温度を以下の方法で求めた。その結果を表1に示す。
(1)ラテックス粒子径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により平均粒子径を求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
共重合体ラテックスを100℃で1時間乾燥を行いフィルムを作成した。このフィルムを示差走査熱量計(セイコー電子社製DSC−220C)を用いて、昇温速度15℃/minで測定した。ガラス転移温度は、DSC曲線を更に温度で微分した、DDSC曲線のピーク位置をもってガラス転移温度とした。
【0025】
【実施例2〜5】
実施例1と同様な方法により、表1に示す単量体および連鎖移動剤を用いて共重合体ラテックスb〜eを得た。結果を表1に示す。
【0026】
【実施例6】
実施例1と同様の装置にイオン交換水165重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.3重量部を仕込み、内温を60℃に上昇した。さらにスチレン24重量部、ブタジエン18重量部、メタクリル酸メチル4重量部およびアクリロニトリル6重量部と連鎖移動剤としてt−DDM0.5重量部を仕込み、さらにペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部をイオン交換水5部に溶解したものを仕込んで、内温を60℃に保持したまま5時間反応を継続した。その後内温を65℃まで上昇し、スチレン10重量部、ブタジエン10重量部、メタクリル酸メチル10重量部、アクリロニトリル14重量部、ヒドロキシエチルアクリレート0.6重量部、アクリル酸0.4重量部、イタコン酸3重量部、α−MSD0.4重量部、t−DDM0.6重量部、およびイオン交換水30重量部を5時間かけて一定速度で反応容器内に添加した。内温を80℃に上昇して3時間反応を継続したのち、冷却して反応生成物を採取した。得られた反応性生物からスチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの1:1混合物でpHを8に調製し、固形分を50重量%になるまで濃縮した。以上のようにしてえられた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスfとする。結果を表1に示す。
【0027】
【比較例1〜5】
実施例1と同様な方法により、表1に示す単量体および連鎖移動剤を用いて共重合体ラテックスg〜kを得た。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【実施例7〜12】
共重合体ラテックスa〜fを用いて下記の配合で紙塗工用の塗工液を調製した。
(塗工液配合処方)
カオリンクレー 70 重量部
重質炭酸カルシウム 30 重量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部
水酸化ナトリウム 0.1重量部
リン酸エステル化でんぷん 2.5重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(塗工液の全固形分が64重量%となるように添加)
【0030】
なお、カオリンクレーとしてはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)、炭酸カルシウムとしてはカービタル90(ECC社製)、ポリアクリル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。
得られた塗工液を坪量75g/m2の上質塗工原紙に塗工量が片面12g/m2となるように両面ブレード塗工し、23℃、65%RHの恒温恒湿室にて12時間調湿した。これをスーパーカレンダー装置により、ロール温度50℃、線圧147000N/mの条件で片面2回づつ通紙し、塗工紙のサンプルを得た。共重合体ラテックスおよびこの塗工紙のサンプルについて下記の方法により物性を評価した。結果を表2に示す。
【0031】
(3)耐ベタツキ性
マイラーフィルムに共重合体ラテックスをNo.12のワイヤーバーで塗布し130℃で30秒乾燥した。このフィルムを黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度60℃、線圧19600N/mのスーパーカレンダーを通過させた後、黒ラシャ紙を剥離する。この黒ラシャ紙繊維のラテックスフィルムのベタツキによる転移状態を目視評価した。評価は10点評価法で行ない、転移の少ないものほど高得点とした。
【0032】
(4)ラテックス再分散性
マイラーフィルムに共重合体ラテックスをNo.18のワイヤーバーで塗布し90℃で30秒乾燥した。このフィルムを30℃の恒温水層中に30秒間静置後取出し、指で擦り、フィルムの分散度合いを目視評価した。ラテックスフィルムが乳白色に分散するものを○、指で擦る必要がなく分散性するものを◎とした。
これに対し分散しないものを×、その中間で乳白色に再分散はしないが、フィルム状に分散するものを△とした。
(5)白紙光沢
上記方法でスーパーカレンダー処理した塗工紙を23℃、65%RHの恒温恒湿室にて12時間調湿した後、村上式光沢計を用いて70度における光沢値を測定した。
【0033】
(6)ピック強度
RI印刷試験機(明製作所)を用い、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)を並べて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18)0.5mlを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現れたピックの発生状態を別の台紙に転写して目視評価した。評価は10点法で行ないピックの発生が少ないものほど高得点とした。
(7)耐ブリスター性
塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調節したシリコンオイルバスに浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観察した。オイルバスの温度を変化させながら同様に試験を行ない、各塗工紙についてブリスターの発生する温度を測定した。発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0034】
【比較例6〜10】
共重合体ラテックスg〜kについても実施例7〜12と同様な方法により塗工紙のサンプルを調製し、共重合体ラテックスおよび塗工紙の物性評価を行なった。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の共重合体ラテックスa〜fは操業性の因子である耐ベタツキ性、ラテックス再分散性が良好である。また、これらのラテックスを用いた塗工紙は白紙光沢が高いレベルにあり、且つピック強度と耐ブリスター性のバランスに優れている。これに比較して、共重合体ラテックスgは、TgAが本発明の範囲外にあり、耐ベタツキ性、再分散性、耐ブリスター性が悪く(比較例6)、共重合体ラテックスhは、(A)工程で、本発明の(ロ)および(ハ)を使用しており、耐ベタツキ性、再分散性性、耐ブリスター性が悪い(比較例7)。また、共重合体ラテックスiは、TgAが本発明の範囲外にあり、十分な強度を発現できない(比較例8)。共重合体ラテックスjは、(B)工程で本発明の必須成分である(ハ)を使用しておらず、再分散性が極めて悪い(比較例9)。そして共重合体ラテックスkは、TgAとTgBとの関係が本発明の範囲外であり、耐ベタツキ性、再分散性、白紙光沢、耐ブリスター性が悪い(比較例10)。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
本発明の共重合体ラテックスは、塗工紙に高レベルの白紙光沢、高いバランスのピック強度と耐ブリスター性を付与し、しかも塗工紙の製造工程における耐ロール汚れ適性にかかわる耐ベタツキ性、ラテックス再分散性においてもきわめて優れた性能を与えるという効果を有する。
Claims (2)
- (イ)共役ジエン系単量体10〜70重量%、(ロ)エチレン系モノカルボン酸単量体0〜5重量%、(ハ)エチレン系ジカルボン酸単量体0.5〜7重量%および(ニ)共重合可能な他の単量体18〜89.5重量%からなる単量体の合計100重量部を(A)(イ)および(ニ)の一部からなる単量体を重合する第一工程と(B)(イ)および(ニ)の残り、ならびに(ロ)、(ハ)を重合する工程との少なくとも二段階以上に分割して乳化重合することによって得られた共重合体ラテックスであって、第一工程に用いられた単量体の組成から得られる共重合体のガラス転移温度(TgA)が0〜20℃の範囲であり、且つ(B)工程の一部または全部に用いられた単量体の組成からなる得られる共重合体のガラス転移温度(TgB)がTgA< TgBを満足することを特徴とする共重合体ラテックス。
- 請求項1に記載の共重合体ラテックスを含有することを特徴とする紙塗工用組成物。
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