JPH05230117A - 共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

共重合体ラテックスの製造方法

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JPH05230117A
JPH05230117A JP17384791A JP17384791A JPH05230117A JP H05230117 A JPH05230117 A JP H05230117A JP 17384791 A JP17384791 A JP 17384791A JP 17384791 A JP17384791 A JP 17384791A JP H05230117 A JPH05230117 A JP H05230117A
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latex
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俊正 室井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バインダーとして高性能な共役ジエン系共重
合体ラテックスを提供する。 【構成】 共役ジエン(イ)、エチレン性不飽和カルボ
ン酸(ロ)およびその他の単量体(ハ)の乳化共重合に
あたって、連鎖移動剤(ニ)として核置換α−メチルス
チレンの二量体(A)および他の連鎖移動剤(B)を併
用し、またこれらの連鎖移動剤を単量体の重合収率が8
5%を越える時点まで連続的に添加することを特徴とす
る共重合体ラテックスの製造方法。 【効果】 顔料塗工紙用のバインダーとして使用した際
に該塗工紙の耐ブリスター性とべた付き性とのバランス
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフセット輪転印刷、
オフセット枚葉印刷、グラビア印刷および板紙その他の
印刷用塗工紙の塗工用、カーペットバッキング用、繊維
結合用あるいはその他一般の粘接着剤用に供される新規
共重合体ラテックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成共重合体ラテックスは、例え
ば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイシング用
バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイン
ダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用い
られている。そして、共重合体ラテックスがこのような
用途に用いられる場合、該共重合体ラテックスは接着強
度が高く、かつ耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性
などに優れていることが要求される。
【0003】たとえば、塗工紙は、紙の印刷適性の向上
および光沢などの光学的特性の向上を目的として、抄造
された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、
サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それ
らのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水
剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶
性高分子を主構成成分とする塗料が塗工されたものであ
って、従来からスチレンとブタジエンを主要単量体成分
とし、これらを乳化重合して得られたスチレン-ブタジ
エン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックス
が汎用的に用いられている。
【0004】ところで、近年、カラー印刷された雑誌類
やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って塗工紙の
生産が著しく増大している。特に、オフセット輪転印刷
の高速印刷化傾向に伴い、塗工紙および顔料バインダー
の品質に対する要求水準もますます高度化しており、中
でも特に塗工紙の表面強度すなわちウェットピックとド
ライピック、印刷時の耐ブリスター性および平滑性など
の向上が要求されている。また一方塗工紙そのものの製
造も高速化しており、その主な障害であるロール汚れ性
の改良即ちべたつき性の減少もまた要求されている。こ
れら物性は互いに負の相関関係にあるため、高水準にバ
ランス化させる改良が一段と要求されている。
【0005】塗工紙のこれらの性質は、顔料バインダー
として用いられるSB系ラテックスの設計に特に強く依
存することから、これまで該SBラテックスの性能につ
いて種々の検討が加えられてきた。たとえば、共重合体
ラテックス皮膜のベンゼン、トルエン、テトラヒドロフ
ランなどの溶剤に対する不溶解部分の割合がピック強度
と耐ブリスター性の支配因子であることが確認されてい
ることから、この面より種々の検討がなされており、具
体的にはラテックス中の共重合体の組成およびゲル分率
を特定の範囲に調整することにより、優れた性能を発揮
させることが提案されている(特公昭59−3598
号、特公昭60−17879号、特開昭58−4894
号公報)。このラテックスのゲル分率は単量体組成、重
合温度をはじめとした様々な重合因子によって変化する
が、これを所望の水準に調整する方法は連鎖移動剤の添
加が一般的かつ簡便である。連鎖移動剤として、従来か
ら四塩化炭素に代表されるハロゲン化炭化水素、t−あ
るいはn−ドデシルメルカプタンに代表されるアルキル
メルカプタン、スルフィドなどが使用されてきた。また
特定の連鎖移動剤としてターピノーレン、α−メチルス
チレンダイマーなどを使用することも提案されている
(米国特許2922781、特開平3−109451号
公報)。
【0006】しかしながら、一般的には塗工紙のべた付
き性はSB系ラテックスにおいてそのゲル分率が高い物
ほど良好になるのに対して、耐ブリスター性はゲル分率
の低いものほど良好となることが認められており、ピッ
ク強度、べた付き性、耐ブリスター性および平滑性など
を同時に高い水準にまで向上させるには、前記技術はい
ずれも十分に満足しうるものではない。
【0007】また耐べた付き性の改良についてもさまざ
まな検討が加えられてきたが、やはり充分に満足できる
ものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では塗工紙の印刷のより一層の高速化に対応することが
できず、高品質の塗工紙の製造を可能にする耐ブリスタ
ー性、及びべたつき性の改良されたバインダーとしての
共重合体ラテックスの出現が強く求められているのが現
状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような事
情のもとで、印刷用塗工紙における耐ブリスター性とべ
たつき性とののバランスや、カーペットバックサイジン
グおよび粘接着剤における接着力をより向上させるため
の高性能の共重合体ラテックスを提供することを目的と
して種々検討を行った結果、共役ジエン、エチレン性不
飽和カルボン酸およびこれらと共重合可能なその他の単
量体の乳化重合にあたって、特定の連鎖移動剤の組合せ
と特定の連鎖移動剤の添加法を用いることにより、得ら
れた共重合体ラテックスが、意外にも前記の目的が達せ
られたものであることを見いだしてなされたものであ
る。
【0010】すなわち、本発明は、共役ジエン、エチレ
ン性不飽和カルボン酸およびこれらと共重合可能なその
他の単量体の合計100重量部を乳化共重合するにあた
って、連鎖移動剤として0.05ないし2.0重量部の
下記(1)式で示される核置換α−メチルスチレンの二
量体(A)および0.05ないし3重量部の他の連鎖移
動剤(B)を組合せて用い、かつまたこの連鎖移動剤
(A)およびまたは(B)を単量体の重合収率が85%
を越える時点まで連続的に添加を続けることを特徴とす
る共重合体ラテックスの製造方法であり、また、単量体
の重合収率が85%を越える時点まで連続的に添加を続
ける連鎖移動剤が(B)であって、この(B)の添加量
が、重合収率が70%となる時点までにx部、70%と
なった時点以降にy部であって、xとyとの関係が下記
(a)式で示される上記の共重合体ラテックスの製造方
法であり、さらには上記共重合体ラテックスと無機顔料
からなる紙塗工様あるいはカーペットバックサイジング
用組成物である。
【0011】
【化2】
【0012】
【数2】
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。ラテック
スのゲル分率を所望の水準に調整する方法は連鎖移動剤
の添加が一般的かつ簡便であるが本発明の共重合体ラテ
ックスを調製する乳化重合においては、特定の量の前記
(1)式で示される核置換α-メチルスチレンの二量体
(A)および特定の量のその他の連鎖移動剤(B)を用
いることが必須である。
【0014】ここで前記(1)式で示される核置換α−
メチルスチレンの二量体(A)の具体例としては、o−
イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエ
ン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン 、2,4
−ジメチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−
α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルス
チレン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−α
−メチルスチレン、o−クロル−α−メチルスチレン、
m−クロル−α−メチルスチレン、p−クロル−α−メ
チルスチレン、2,5−ジクロル−α−メチルスチレ
ン、3,4−4−ジクロル−α−メチルスチレン、3,
5−ジクロル−α−メチルスチレン、3−クロル−2−
メチル−α−メチルスチレン、4−クロル−3−メチル
−α−メチルスチレン、3−ブロム−2−メチル−α−
メチルスチレン、3−ブロム−4−メチル−α−メチル
スチレン、3−フルオル−4−メチル−α−メチルスチ
レン、p−クロルメチル−α−メチルスチレン、2,6
−ジメトキシ−α−メチルスチレン、p−(2−クロロ
エトキシ)−α−メチルスチレン、4−メチル−2−ヒ
ドロキシ−α−メチルスチレン、p−グリシジル−α−
メチルスチレン、4−アセチル−α−メチルスチレン、
p−メチルメルカプト−α−メチルスチレン、p−エチ
ルメルカプト−α−メチルスチレンなどの二量体を挙げ
ることができる。本発明においては、上記の核置換α−
メチルスチレンの二量体はすべて用いることができる
が、好ましい具体例としては、2,4−ジフェニル−4
−メチル−1−ペンテン、およびこれと2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−2−ペンテンとの混合物などを挙げ
ることができる。
【0015】その他の連鎖移動剤(B)の例としては、
t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン
などのアルカンチオール:メルカプトエタノール、メル
カプトプロパノールなどのチオアルキルアルコール:チ
オグリコール酸、チオプロピオン酸などのチオアルキル
カルボン酸:チオグリコール酸オクチルエステル、チオ
プロピオン酸オクチルエステルなどのチオカルボン酸ア
ルキルエステル:ジメチルスルフィド、ジエチルスルフ
ィドなどのスルフィドなどがあげられる。上記の連鎖移
動剤(B)の好ましい例としてはチオアルキルカルボン
酸アルキルエステルがあげられる。
【0016】上記核置換α−メチルスチレンの二量体
(A)とその他の連鎖移動剤(B)の使用量は単量体の
合成100重量部に対し、それぞれ0.05ないし2重
量部、0.05ないし3重量部の範囲にあることが必要
である。この範囲を外れると本発明の効果が良好に発揮
されない。また、連鎖移動剤の添加方法については特定
の手法が必要である。すなわち、単量体の重合収率が8
5%を越える時点まで連鎖移動剤の添加を連続的に続け
ることが必須であり、さらには連鎖移動剤(B)の添加
量を、単量体の重合収率が70%となる時点までにx部
(これをB−1とする)、70%となった時点から85
%を越える時点までにy部(これをB−2とする)とし
たとき、xとyが下記(a)式で示される関係にあるこ
とが必須である。これらの方法以外の添加方法によって
は耐べたつき性などの本発明の効果が発揮されない。ま
た連鎖移動剤(B)の添加終了のより好ましい時期は単
量体の重合収率が90%を越える時点でありまた最も好
ましくは単量体の重合収率が95%を越える時点であ
る。この条件を満たすために、単量体混合物添加終了後
もひきつづき連鎖移動剤(B)の添加を続けることもあ
りえるが、これは連鎖移動剤(B)の好ましい添加方法
のひとつである。
【0017】
【数3】
【0018】ラテックス重合体は共役ジエン、エチレン
性不飽和カルボン酸、およびこれらと共重合可能なその
他の単量体から構成される単量体を乳化共重合させて得
られる。共役ジエン(イ)としては、ブタジエン、イソ
プレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどがある。
その使用量は全単量体基準で20〜90重量%の範囲で
あることが望ましい。さらに塗工紙用共重合体ラテック
スの場合、この共役ジエンの一層好ましい量の範囲は2
0〜70重量%である。
【0019】エチレン性不飽和カルボン酸(ロ)は0.
5〜10重量%の範囲であることが好ましい。0.5重
量%未満ではラテックスの分散安定性を高い水準で保つ
ことができず、塗料調製や塗工時に種々問題を発生して
しまう。また、ピック強度も劣る。10重量%を越えて
含ませるとラテックスや塗料の粘度が高くなり過ぎ、ま
た耐水性も損なわれることになる。エチレン性不飽和カ
ルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸などの一塩基性カルボン酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマール酸などの二塩基性カルボン酸およびそ
のモノエステルなどを挙げることができる。
【0020】さらに、これらと共重合可能なその他の単
量体(ハ)の例のなかでもっとも代表的かつ有効にもち
いられるのは芳香族(ジ)ビニル化合物であり、ついで
(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物、
エチレン性アミドモノマーなどである。芳香族(ジ)ビ
ニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、
クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン
などがあげられる。
【0021】(メタ)アクリル酸エステルとしては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートさらには、
グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0022】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。エチ
レン性アミドモノマーとしては、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどがあげ
られる。そのほかに、酢酸ビニルのごときビニルエステ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのごときハロゲン化ビ
ニル、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートなどのエチレン性アミンモノマ
ー、スチレンスルホン酸ソーダなどを例示することがで
きる。
【0023】次に製造法について述べる。本発明の製造
法は、水、界面活性剤、単量体、ラジカル重合開始剤、
および必要ならばその他の原料を基本構成成分とする分
散系において、これらの原料をラジカル乳化重合によっ
て共重合体粒子の水分散液とする製造法である。一般的
に共重合体濃度は40〜60重量%の範囲である。共重
合体ラテックスの粒子径は界面活性剤およびまたはシー
ドラテックスの使用割合によって調整することができ、
概ねその使用割合を高くするほど生成共重合体ラテック
スの粒子径は小さくなる。ここで、粒子径の好ましい範
囲は0.05〜1μmでありさらに好ましくは0.07
〜0.5μmである。
【0024】界面活性剤としては、脂肪酸せっけん、ロ
ジン酸せっけん、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルア
リールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレ
ンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤、カ
チオン性界面活性剤がある。これら界面活性剤の他の例
としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小
池、小林:工学図書、1972)」に記載されているも
のなどがあげられる。界面活性剤は通常、アニオン性界
面活性剤単独またはアニオン性/ノニオン性の混合系で
用いられ、単量体に対する使用割合としては0.05〜
2重量%の範囲が好ましく用いられる。
【0025】重合開始剤としては、熱または還元性物質
の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始さ
せる化合物であって、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、
アゾビス化合物などが一般的に用いられる。その具体例
としてはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸
ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水
素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾ
イル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、クメンハ
イドロパーオキサイドなどがあり、また他に、「POL
YMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.B
randrup,E.H.Immergut:John
Willy & Sons,1989)」に記載され
ている化合物があげられる。このなかでも特にペルオキ
ソ二硫酸塩が本発明の効果を良好に発揮し、最も好まし
く用いられる。重合開始剤の使用割合は単量体に対して
通常0.2〜2.0重量%である。なお、重合温度は通
常60〜90℃の範囲が一般的であるが、重合速度の促
進あるいはより低温での重合を望むときには重亜硫酸ナ
トリウム、アスコルビン酸あるいはその塩、エリソルビ
ン酸あるいはその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合
開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合
法を用いることができる。
【0026】また、所望によって種々の重合調整剤を添
加することもしばしばおこなわれる。たとえば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナト
リウムなどのpH調節剤やエチレンジアミン四酢酸ナトリ
ウムなどの各種キレート剤などである。本発明の共重合
体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる
においては通常の実施態様でおこなうことができる。す
なわち、分散剤を溶解させた水中に無機顔料およびある
いは有機顔料、水溶性高分子、各種添加剤とともに共重
合体ラテックスを混合し、均一分散液とする態様であ
る。そして、この塗料は各種ブレードコーター、ロール
コーターなど通常の方法によって原紙に塗工することが
できる。
【0027】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0028】
【実施例および比較例】直径0.035μmのシード粒
子の水性分散体(シード固形分濃度30重量%)を、か
くはん装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反
応容器に入れ、さらに水70重量部、ラウリル硫酸ナト
リウム1.2重量部、イタコン酸およびあるいはフマー
ル酸を仕込み、内温を80℃に昇温し、ついでモノマー
と連鎖移動剤(A)からなる混合液と、水15重量部、
ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、水酸化ナトリウ
ム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム0.1重量部からなる水溶液とをそれぞれ時刻0から
4時間および5時間をかけて添加した。また別に、連鎖
移動剤(B−1)を時刻0から時刻Zまで、(B−2)
を時刻Zから時刻Yまで添加した。そして80℃の温度
を水溶液添加終了から2時間保ったのち冷却し、次いで
生成した共重合体ラテックスをpHが8となるよう水酸
化カリウムと水酸化ナトリウムを添加してからスチーム
ストリッピング法により未反応かつ揮発性の単量体およ
び連鎖移動剤を除去し、網目75μmのろ布でろ過し
た。なお、すべての共重合体ラテックスは最終的に固形
分濃度が50重量%になるように調整した。
【0029】これらの共重合体ラテックスの原料の詳細
および使用量(重量部)を表1、2および3に示す。ま
た重合収率は下記(b)式により求めた。
【0030】
【数4】
【0031】
【応用例1】実施例および比較例で調製した共重合体ラ
テックスについて、紙塗工用バインダーとしての性能評
価をおこなった。その結果を表6に示す。なお、塗工塗
料は表4に示す配合で、不揮発分濃度が64重量%にな
る水量で高速かくはん機で調製した。塗料のpHはアンモ
ニア水で9.0に調整した。この塗料を用いての塗工紙の
調製条件を表5に示す。また、ラテックスおよび塗工紙
の性能評価は、以下の方法によりおこなった。
【0032】(イ)べたつき性 ラテックスをPETフィルム上にNo.15ロッドによ
り塗布し、50℃・1時間加熱して皮膜を作成する。こ
の皮膜と黒ラシャ紙を合わせベンチスーパーカレンダー
により200kg/m・70℃条件下で圧着させる。こ
れをひきはがして黒ラシャ紙のラテックス皮膜への転写
の程度を目視判定し五段階に評価する(点数の大きいの
が良い)。
【0033】(ロ)耐ブリスター性 RI印刷試験機(明製作所製)を用いて塗工紙の両面を
印刷インク(WebbZett黄、大日本インク社製)
0.3ccをべた刷りする。この印刷された塗工紙を適
当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調整し
たシリコンオイル恒温槽に浸してブリスターが発生する
か否かを観察する。恒温槽の温度を変化させてこの試験
をおこない、ブリスターの発生が認められる最低温度を
求める。この温度が高いものほど耐ブリスター性に優れ
る。
【0034】(ハ)ドライピック強度 RI印刷試験機を用いて、印刷インク(SDスーパーデ
ラックス50紅B;タック値18、東華色素社製)0.
4cc5回重ね刷りをおこない、ゴムロールに現れたピ
ッキング状態を別の台紙に裏取りし、その程度を観察す
る。評価は10点評価法でおこない、ピッキング現象の
少ないものほど高得点とした。
【0035】(ニ)湿潤ピック強度 RI印刷試験機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿
してから、印刷インク(SDスーパーデラックス50紅
B;タック値18、東華色素社製)0.4cc1回刷り
をおこない、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の
台紙に裏取りし、その程度を観察する。評価は10点評
価法でおこない、ピッキング現象の少ないものほど高得
点とした。
【0036】表6から、本発明の共重合体ラテックスを
バインダーとして用いた塗工紙は耐ブリスター性、べた
つき性及びピック強度とが高度にバランスされたもので
あることが理解される。
【0037】
【応用例2】実施例および比較例で調製した共重合体ラ
テックスについて、カーペットバックサイジング用バイ
ンダーとしての性能評価をおこなった。その結果を表9
に示す。なお、接着塗料は表7に示す配合で、不揮発分
濃度が70重量%になる水量で高速かくはん機で調製し
た。この塗料を用いてのカーペットの調製条件を表8に
示した。また、カーペットバックサイジング性能である
剥離強度および抜糸強度の測定は、JIS L−102
1に準拠した。平均値の高いものほど優れる。
【0038】表9から、本発明の共重合体ラテックスを
バインダーとして用いたカーペットは剥離強度と抜糸強
度が高度に向上したものであることがわかる。
【0039】
【応用例3】実施例および比較例で調製した共重合体ラ
テックスについて、粘着剤としての性能を評価した。そ
の結果を表10に示す。粘着試料は、以下に示す方法に
より作成した。得られた共重合体ラテックスに、ポリア
クリル酸ナトリウム約0.5重量部を添加して粘度を約
10,000cpsに調整し、剥離紙上に約45ドライ
g/m2の塗工量で均一に塗工後、120℃の熱風で
2.5分乾燥した。得られた剥離紙上の乾燥塗膜を延伸
したポリプロピレンフィルム(厚さ約80μm)のコロ
ナ放電処理面に圧着させ、乾燥塗膜を該ポリプロピレン
フィルムに転写したものを粘着試料とした。粘着試料は
温度23℃、相対温度65%の条件下で1週間養生後、
粘着物性について測定した。また、粘着剤性能は以下の
方法により測定した。
【0040】(ホ)高温凝集力 ステンレス板に、粘着試料を25mm×25mmの大き
さで2kgのローラーを1往復させて貼りつけ、接着面
を引張試験機の引張方向と平行にセットし、40℃の雰
囲気下、2mm/分の速度でセン断力を測定した。 (ヘ)低温粘着力 幅25mm、長さ250mmの粘着試料の粘着層を表に
して輪(ループ)をつくり、0℃の雰囲気下、500m
m/minの速度で段ボール表面にほとんど圧力無しの
状態で接触させる。接触してから3秒後、同じく500
mm/minの速度で引きはがす時の剥離接着強度を測
定した。
【0041】(ト)PE接着力 23℃の雰囲気下において、添加剤を含有していない低
密度ポリエチレン(PE)板に幅25mmの粘着試料を
2kgのローラーで1往復して貼り合わせ、貼り付けて
から20分経過後、500mm/minの速度で180
°ピール強度を測定した。
【0042】表10から、本発明の共重合体ラテックス
を用いた粘着剤試料は高温凝集力、低温粘着力とPE接
着力が高度に向上したものであることがわかる。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【発明の効果】本発明によると、印刷塗工紙におけるピ
ック強度と他の性能とのバランスを向上させ、あるいは
またカーペットバックサイジングおよび粘接着剤におけ
る接着力をより向上させうる高性能の共重合体ラテック
スを容易に得ることができる。
【手続補正書】
【提出日】平成3年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【化2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 109/08 JDN 8218−4J D06M 15/356 D21H 19/56 19/44 19/20 7199−3B D21H 1/34 E D06M 15/21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン、エチレン性不飽和カルボン
    酸およびこれらと共重合可能なその他の単量体の合計1
    00重量部を乳化共重合するにあたって、連鎖移動剤と
    して0.05ないし2.0重量部の下記(1)式で示さ
    れる核置換α−メチルスチレンの二量体(A)および
    0.05ないし3重量部の他の連鎖移動剤(B)を組合
    せて用い、かつまたこの連鎖移動剤(A)およびまたは
    (B)を単量体の重合収率が85%を越える時点まで連
    続的に添加を続けることを特徴とする共重合体ラテック
    スの製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 単量体の重合収率が85%を越える時点
    まで連続的に添加を続ける連鎖移動剤が(B)であっ
    て、この(B)の添加量が、重合収率が70%となる時
    点までにx部、70%となった時点以降にy部であっ
    て、xとyとの関係が下記(a)式で示される請求項1
    の共重合体ラテックスの製造方法。 【数1】
  3. 【請求項3】 請求項1および2の共重合体ラテックス
    と無機顔料からなる紙塗工用あるいはカーペットバック
    サイジング用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH05171096A (ja) * 1991-12-20 1993-07-09 Asahi Chem Ind Co Ltd 顔料組成物
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WO2015147050A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 日本ゼオン株式会社 高飽和ニトリルゴムのラテックスおよび接着剤組成物

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