JP2777620B2 - ジエン系重合体ラテックス - Google Patents

ジエン系重合体ラテックス

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JP2777620B2
JP2777620B2 JP3173846A JP17384691A JP2777620B2 JP 2777620 B2 JP2777620 B2 JP 2777620B2 JP 3173846 A JP3173846 A JP 3173846A JP 17384691 A JP17384691 A JP 17384691A JP 2777620 B2 JP2777620 B2 JP 2777620B2
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俊正 室井
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Asahi Kasei Kogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフセット輪転印刷、
オフセット枚葉印刷、グラビア印刷および板紙その他の
印刷用塗工紙の塗工用、カーペットバッキング用、繊維
結合用あるいはその他一般の粘接着剤用に供される新規
共重合体ラテックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成共重合体ラテックスは、例え
ば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイシング用
バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイン
ダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用い
られている。そして、共重合体ラテックスがこのような
用途に用いられる場合、該共重合体ラテックスは接着強
度が高く、かつ耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性
などに優れていることが要求される。
【0003】たとえば、塗工紙は、紙の印刷適性の向上
および光沢などの光学的特性の向上を目的として、抄造
された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、
サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それ
らのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水
剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶
性高分子を主構成成分とする塗料が塗工されたものであ
って、従来からスチレンとブタジエンを主要単量体成分
とし、これらを乳化重合して得られたスチレン-ブタジ
エン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックス
が汎用的に用いられている。
【0004】ところで、近年、カラー印刷された雑誌類
やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って塗工紙の
生産が著しく増大している。特に、オフセット輪転印刷
の高速印刷化傾向に伴い、塗工紙および顔料バインダー
の品質に対する要求水準もますます高度化しており、中
でも特に塗工紙の表面強度すなわちドライピックとウェ
ットピック、印刷時の耐ブリスター性、および平滑性な
どの向上が要求されている。また一方塗工紙そのものの
製造も高速化しており、その主な障害であるロール汚れ
性の改良即ちべたつき性の減少もまた要求されている。
これらの物性は互いに負の相関関係にあるものが多く、
高水準にバランス化させる改良が一段と要求されてい
る。
【0005】塗工紙のこれらの性質は、顔料バインダー
として用いられるSB系ラテックスの設計に特に強く依
存することから、これまで該SBラテックスの性能につ
いて種々の検討が加えられてきた。たとえば、共重合体
ラテックス皮膜のベンゼン、トルエン、テトラヒドロフ
ランなどの溶剤に対する不溶解部分の割合がピック強度
と耐ブリスター性の支配因子であることが確認されてい
ることから、この面より種々の検討がなされており、具
体的にはラテックス中の共重合体の組成およびゲル分率
を特定の範囲に調整することにより、優れた性能を発揮
させることが提案されている(特公昭59−3598
号、特公昭60−17879号、特開昭58−4894
号公報)。このラテックスのゲル分率は単量体組成、重
合温度をはじめとした様々な重合因子によって変化する
が、これを所望の水準に調整する方法は連鎖移動剤の添
加が一般的かつ簡便である。連鎖移動剤として、従来か
ら四塩化炭素に代表されるハロゲン化炭化水素、t−あ
るいはn−ドデシルメルカプタンに代表されるアルキル
メルカプタン、スルフィドなどが使用されてきた。また
特定の連鎖移動剤としてターピノーレン、α−メチルス
チレンダイマーなどを使用することも提案されている
(米国特許2922781、特開平3−109451号
公報)。
【0006】しかしながら、一般的には塗工紙のドライ
ピックやべた付き性はSB系ラテックスにおいてそのゲ
ル分率が高い物ほど良好になるのに対して、耐ブリスタ
ー性はゲル分率の低いものほど良好となることが認めら
れており、またウェットピックに最適なゲル分率も別に
存在する。ピック強度、べたつき性、耐ブリスター性お
よび平滑性などをすべて同時に高い水準にまで向上させ
るには、前記技術はいずれも十分に満足しうるものでは
なかった。
【0007】一方、カーペットバックサイジング用接着
剤は、一般に共重合体ラテックスに炭酸カルシウムまた
は水酸化アルミニウム等の充填剤および増粘剤などの他
の添加剤を配合した組成物である。この接着剤組成物
は、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット
などの製造において、主にパイル(ふさ糸)の脱落防止
ならびにジュートなどの二次基布との接着のために用い
られる。したがって、この場合カーペットの最重要物性
である接着強度の向上が当業界での最大の技術課題の一
つであり、そのため、共重合体ラテックスおよび組成物
の配合面からの改良検討がなされているが、これまで満
足できる水準のものが得られていないのが実状である。
【0008】他方、粘着剤は従来天然ゴムや合成ゴムな
どを有機溶剤に溶解し、基材に塗工して該有機溶剤を蒸
発させることにより、製造されていたが、近年、火災の
危険性や労働衛生上の問題から、水を分散媒とするポリ
マー水分散液(ラテックス)を利用する機運が高まり、
ゴム−粘着付与樹脂の組合せの水分散液が開発されつつ
ある(特公昭57−28545号、特開昭55−482
70号、特開昭58−160378号、特開昭58−1
83771号公報)。この合成ゴムラテックスと粘着付
与樹脂とを含有する水分散液は、ラテックスの固形分1
00重量部に対し、粘着付与樹脂50〜100重量部を
加えた組成が一般的であって、20〜23℃の測定温度
においては良好な粘着物性を示すが、0℃の温度におけ
る粘着力については満足できる値が得られていない。ま
た、粘着付与樹脂が存在しなくともゴムラテックスのポ
リマーのみで粘着物性を得ることができるものも提案さ
れている(特開昭56−145909号、特開昭57−
57707号公報)。しかしながら、このものはポリエ
チレンに対する接着力が極めて低いという欠点を有して
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では塗工紙の印刷のより一層の高速化に対応することが
できず、高品質の塗工紙の製造を可能にするピック強
度、べたつき性、耐ブリスター性および平滑性の改良さ
れたバインダーとしての共重合体ラテックスの出現が強
く求められているのが現状である。また、カーペットな
らびに粘接着剤においても同様に高接着力を有する共重
合体ラテックスの出現が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような事
情のもとで、印刷用塗工紙におけるピック強度、耐ブリ
スター性とべたつき性とのバランスや、カーペットバッ
クサイジングおよび粘接着剤における接着力をより向上
させるための高性能の共重合体ラテックスを提供するこ
とを目的として種々検討を行った結果、共役ジエン、エ
チレン性不飽和カルボン酸およびこれらと共重合可能な
その他の単量体の乳化重合にあたって、特定の連鎖移動
剤の組合せと特定のアルカリを用いることにより、得ら
れた共重合体ラテックスが、意外にも前記の目的が達せ
られたものであることを見いだしてなされたものであ
る。
【0011】すなわち、本発明は、水性媒体中におい
て、共役ジエン化合物とエチレン性不飽和カルボン酸お
よびこれらと共重合可能なその他の単量体の少なくとも
3種の単量体を乳化重合させて得られる共重合体ラテッ
クスであって、連鎖移動剤として、単量体の合計100
重量部に対し、0.05ないし2.0重量部の下記
(1)式で示される核置換α−メチルスチレンの二量体
(A)および0.05ないし3.0重量部の硫黄元素を
含む連鎖移動剤(B)を組合せて用いて乳化重合し、か
重合後に0.1ないし2.0重量部の水酸化カリウム
含むアルカリを添加して得られる共重合体ラテックス
であり、および、この共重合体ラテックスおよび無機顔
料を主成分とする紙塗工用またはカーペットバッキング
用組成物である。
【0012】
【化2】 (ただし、Phはベンゼン環、X、Yは水素、ハロゲ
ン、炭素数1ないし4を有するアルキル基あるいは、メ
トキシ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、アセチル
基、アルキルメルカプト基である。)
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。ラテック
スのゲル分率を所望の水準に調整する方法は連鎖移動剤
の添加が一般的かつ簡便であるが本発明の共重合体ラテ
ックスを調製する乳化重合においては、それぞれ特定の
量の前記(1)式で示される核置換α-メチルスチレン
の二量体(A)および硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)
を用いることが必須である。
【0014】ここで前記(1)で示される核置換α−メ
チルスチレンの二量体(A)の具体例としては、o−イ
ソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、
2、3−ジメチル−α−メチルスチレン 、2,4−ジ
メチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−
メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレ
ン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル-α-メチ
ルスチレン、o−クロル−α−メチルスチレン、m−ク
ロル−α−メチルスチレン、p−クロル−α−メチルス
チレン、2,5−ジクロル−α−メチルスチレン、3,
4−ジクロル−α−メチルスチレン、3,5−ジクロル
−α−メチルスチレン、3−クロル−2−メチル−α−
メチルスチレン、4−クロル−3−メチル−α−メチル
スチレン、3−ブロム−2−メチル−α−メチルスチレ
ン、3−ブロム−4−メチル−α−メチルスチレン、3
−フルオル−4−メチル−α−メチルスチレン、p−ク
ロルメチル−α−メチルスチレン、2,6−ジメトキシ
−α−メチルスチレン、p−(2−クロロエトキシ)−
α−メチルスチレン、4−メチル−2−ヒドロキシ−α
−メチルスチレン、p−グリシジル−α−メチルスチレ
ン、4−アセチル−α−メチルスチレン、p−メチルメ
ルカプト−α−メチルスチレン、p−エチルメルカプト
−α−メチルスチレンなどの二量体を挙げることができ
る。本発明においては、上記の核置換α−メチルスチレ
ンの二量体はすべて用いることができるが、好ましい具
体例としては,2,4−ジフェニル−4−メチル−1−
ペンテン、およびこれと2,4−ジフェニル−4−メチ
ル−2-ペンテンとの混合物などを挙げることができ
る。
【0015】硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)の例とし
ては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカ
プタンなどのアルカンチオール:メルカプトエタノー
ル、メルカプトプロパノールなどのチオアルキルアルコ
ール:チオグリコール酸、チオプロピオン酸などのチオ
アルキルカルボン酸:チオグリコール酸オクチルエステ
ル、チオプロピオン酸オクチルエステルなどのチオカル
ボン酸アルキルエステル:ジメチルスルフィド、ジエチ
ルスルフィドなどのスルフィドなどがあげられる。上記
の硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)の好ましい例として
はチオアルキルカルボン酸アルキルエステルがあげられ
る。
【0016】上記核置換α-メチルスチレンの二量体
(A)と硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)の使用量は、
単量体の合計100重量部に対し、それぞれ0.05な
いし2重量部、0.05ないし3重量部の範囲にあるこ
とが必要である。この範囲を外れると本発明の効果が良
好に発揮されない。その機構は明らかでないが、分子末
端基の相互作用に起因していると思われる。
【0017】また核置換α-メチルスチレンの二量体
(A)と硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)は他の周知の
連鎖移動剤と併用して使うこともできる。その他の連鎖
移動剤の例としては、ターピノーレン、ジペンテン、t
−テルピネンおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水
素を挙げることができる。また、連鎖移動剤の使用方法
については周知のいずれの方法も用いることができる。
すなわち一括前添加方法、連続追加添加方法、断続追加
添加方法あるいは添加速度を順次変化させた濃度勾配型
添加方法などである。
【0018】本発明の特徴は上記の連鎖移動剤の組合せ
を使用するにあたって、0.1ないし2.0重量部の水
酸化カリウムを含むアルカリを重合後に添加することに
ある。重合時あるいはまた重合後にアルカリを添加しp
Hを調整することは周知の手段であり、このアルカリと
して従来から水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム
どが使われてきている。本発明ではアルカリの少なくと
も一部に特定量の水酸化カリウムを使うことが上記の連
鎖移動剤を使用する重合系では特に必要であり、他のア
ルカリのみによっては耐べた付き性などの本発明の効果
が発揮されない。
【0019】ラテックス重合体は共役ジエン、エチレン
性不飽和カルボン酸、およびこれらと共重合可能なその
他の単量体から構成される単量体を乳化共重合させて得
られる。共役ジエン(イ)としては、ブタジエン、イソ
プレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどがある。
その使用量は全単量体基準で20〜90重量%の範囲で
あることが望ましい。さらに塗工紙用共重合体ラテック
スの場合、この共役ジエンの一層好ましい量の範囲は2
0〜70重量%である。
【0020】エチレン性不飽和カルボン酸(ロ)は0.
5〜10重量%の範囲であることが好ましい。0.5重
量%未満ではラテックスの分散安定性を高い水準で保つ
ことができず、塗料調製や塗工時に種々問題を発生して
しまう。また、ピック強度も劣る。10重量%を越えて
含ませるとラテックスや塗料の粘度が高くなり過ぎ、ま
た耐水性も損なわれることになる。エチレン性不飽和カ
ルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸などの一塩基性カルボン酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマール酸などの二塩基性カルボン酸およびそ
のモノエステルなどを挙げることができる。
【0021】さらに、これらと共重合可能なその他の単
量体(ハ)の例のなかでもっとも代表的かつ有効にもち
いられるのは芳香族(ジ)ビニル化合物であり、ついで
(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物、
エチレン性アミドモノマーなどである。芳香族(ジ)ビ
ニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、
クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン
などがあげられる。
【0022】(メタ)アクリル酸エステルとしては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートさらには、
グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0023】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。エチ
レン性アミドモノマーとしては、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどがあげ
られる。そのほかに、酢酸ビニルのごときビニルエステ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのごときハロゲン化ビ
ニル、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートなどのエチレン性アミンモノマ
ー、スチレンスルホン酸ソーダなどを例示することがで
きる。
【0024】次に製造法について述べる。本発明の製造
法は、水、界面活性剤、単量体、ラジカル重合開始剤、
および必要ならばその他の原料を基本構成とする分散系
において、単量体を重合体粒子の水分散液とする製造法
であり、一般的に重合体濃度は40〜60重量%の範囲
である。共重合体ラテックスの粒子径は界面活性剤およ
びまたはシードラテックスの使用割合によって調整する
ことができ、概ねその使用割合を高くするほど生成共重
合体ラテックスの粒子径は小さくなる。
【0025】ここで、粒子径の好ましい範囲は0.05
〜1μmでありさらに好ましくは0.07〜0.5μm
である。界面活性剤としては、脂肪酸せっけん、ロジン
酸せっけん、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリー
ルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブ
ロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤、カチオ
ン性界面活性剤がある。これら界面活性剤の他の例とし
ては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、
小林:工学図書、1972)」に記載されているものな
どがあげられる。界面活性剤は通常、アニオン性界面活
性剤単独またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用い
られ、単量体に対する使用割合としては0.05〜2重
量%の範囲が好ましく用いられる。
【0026】重合開始剤としては、熱または還元性物質
の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始さ
せるもので、水溶性または油溶性のペルオキソ二硫酸
塩、過酸化物、アゾビス化合物などが一般的に用いられ
る。その例としてはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオ
キソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスイソブチロニトリ
ル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他
に、「POLYMER HANDBOOK 3rd E
d.(J.Brandrup、E.H.Immergu
t:John Willy & Sons、198
9)」に記載されている化合物があげられる。この中で
も特にペルオキソ二硫酸塩が本発明の効果を良好に発揮
し、最も好ましくもちいられる。重合開始剤の使用割合
は単量体に対して通常0.2〜2.0重量%である。な
お、重合温度は通常60〜90℃の範囲が一般的である
が、重合速度の促進あるいはより低温での重合を望むと
きには重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸あるいはそ
の塩、エリソルビン酸あるいはその塩、ロンガリットな
どの還元剤を重合開始剤に組み合わせてもちいる、いわ
ゆるレドックス重合法を用いることができる。
【0027】また、所望によって種々の重合調整剤を添
加することもしばしばおこなわれる。たとえば、炭酸水
素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ムなどのpH調節剤やエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
などの各種キレート剤などである。本発明の共重合体ラ
テックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いるにお
いては通常の実施態様でおこなうことができる。すなわ
ち、分散剤を溶解させた水中に無機顔料およびあるいは
有機顔料、水溶性高分子、各種添加剤とともに共重合体
ラテックスを混合し、均一分散液とする態様である。そ
して、この塗料は各種ブレードコーター、ロールコータ
ーなど通常の方法によって原紙に塗工することができ
る。
【0028】
【実施例】次に、実施例および応用例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってな
んら限定されるものではない。
【0029】
【実施例および比較例】直径0.035μm のシード粒
子の水性分散体(シード固形分濃度30重量%)3重量
部を、かくはん装置と温度調節用ジャケットを取り付け
た耐圧反応容器に入れ、さらに水70重量部、ラウリル
硫酸ナトリウム0.2重量部、イタコン酸2.5重量部
を仕込み、内温を80℃に昇温し、ついでモノマーおよ
び連鎖移動剤からなる油性混合液と、水15重量部、ペ
ルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、水酸化ナトリウム
0.2重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部か
らなる水溶液とをそれぞれ4時間および5時間をかけて
一定の流速で添加した。そして80℃の温度をそのまま
1時間保ったのち冷却し、次いで生成した共重合体ラテ
ックスのpHが8になるよう水酸化ナトリウムおよび水
酸化カリウムを添加した。これをスチームストリッピン
グ法により未反応の単量体等を除去し、網目75μmの
ろ布でろ過した。なお、すべての共重合体ラテックスは
最終的に固形分濃度が50重量%になるように調整し
た。原料の詳細および、使用量(重量部)を表1,2お
よび3に示す。
【0030】
【応用例1】実施例および比較例で調製した共重合体ラ
テックスについて、紙塗工用バインダーとしての性能評
価をおこなった。その結果を表6に示す。なお、塗工塗
料は表4に示す配合で、不揮発分濃度が64重量%にな
る水量で高速かくはん機で調製した。塗料のpHはアン
モニア水で9.0に調整した。この塗料を用いての塗工
紙の調製条件を表5に示す。また、ラテックスおよび塗
工紙の性能評価は、以下の方法によりおこなった。
【0031】(イ)べたつき性 ラテックスをPETフィルム上にNo.15ロッドによ
り塗布し、50℃・1時間加熱して皮膜を作成する。こ
の皮膜と黒ラシャ紙を合わせベンチスーパーカレンダー
により200kg/m・70℃条件下で圧着させる。こ
れをひきはがして黒ラシャ紙のラテックス皮膜への転写
の程度を目視判定し10段階に評価する(点数が大きい
のがよい)。
【0032】(ロ)耐ブリスター性 RI印刷試験機(明製作所製)を用いて塗工紙の両面を
印刷インク(WebbZett黄、大日本インク社製)
0.3ccをべた刷りする。この印刷された塗工紙を適
当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調整し
たシリコンオイル恒温槽に浸してブリスターが発生する
か否かを観察する。恒温槽の温度を変化させてこの試験
をおこない、ブリスターの発生が認められる最低温度を
求める。この温度が高いものほど耐ブリスター性に優れ
る。
【0033】(ハ)ドライピック強度 RI印刷試験機を用いて、印刷インク(SDスーパーデ
ラックス50紅B;タック値18、東華色素社製)0.
4cc5回重ね刷りをおこない、ゴムロールに現れたピ
ッキング状態を別の台紙に裏取りし、その程度を観察す
る。評価は5点評価でおこない、ピッキング現象の少な
いものほど高得点とした。
【0034】(ニ)湿潤ピック強度 RI印刷試験機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿
してから、印刷インク(SDスーパーデラックス50紅
B;タック値18、東華色素社製)0.4cc1回刷り
をおこない、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の
台紙に裏取りし、その程度を観察する。評価は5点評価
でおこない、ピッキング現象の少ないものほど高得点と
した。
【0035】表6から、本発明の共重合体ラテックスを
バインダーとして用いた塗工紙は耐ブリスター性、べた
つき性及びピック強度とが高度にバランスされたもので
あることが理解される。
【0036】
【応用例2】実施例および参考例で調製した共重合体ラ
テックスについて、カーペットバックサイジング用バイ
ンダーとしての性能評価をおこなった。その結果を表9
に示す。なお、接着塗料は表7に示す配合で、不揮発分
濃度が70重量%になる水量で高速かくはん機で調製し
た。この塗料を用いてのカーペットの調製条件を表8に
示した。また、カーペットバックサイジング性能である
剥離強度および抜糸強度の測定は、JIS L−102
1に準拠した。平均値の高いものほど優れる。
【0037】表9から、本発明の共重合体ラテックスを
バインダーとして用いたカーペットは剥離強度と抜糸強
度が高度に向上したものであることがわかる。
【0038】
【応用例3】実施例および比較例で調製した共重合体ラ
テックスについて、粘着剤としての性能を評価した。そ
の結果を表10に示す。粘着試料は、以下に示す方法に
より作成した。得られた共重合体ラテックスに、ポリア
クリル酸ナトリウム約0.5重量部を添加して粘度を約
10,000cpsに調整し、剥離紙上に約45ドライ
g/m2の塗工量で均一に塗工後、120℃の熱風で
2.5分乾燥した。得られた剥離紙上の乾燥塗膜を延伸
したポリプロピレンフィルム(厚さ約80μm)のコロ
ナ放電処理面に圧着させ、乾燥塗膜を該ポリプロピレン
フィルムに転写したものを粘着試料とした。粘着試料は
温度23℃、相対温度65%の条件下で1週間養生後、
粘着物性について測定した。また、粘着剤性能は以下の
方法により測定した。
【0039】(ホ)高温凝集力 ステンレス板に、粘着試料を25mm×25mmの大き
さで2kgのローラーを1往復させて貼りつけ、接着面
を引張試験機の引張方向と平行にセットし、40℃の雰
囲気下、2mm/分の速度でセン断力を測定した。 (ヘ)低温粘着力 幅25mm、長さ250mmの粘着試料の粘着層を表に
して輪(ループ)をつくり、0℃の雰囲気下、500m
m/minの速度で段ボール表面にほとんど圧力無しの
状態で接触させる。接触してから3秒後、同じく500
mm/minの速度で引きはがす時の剥離接着強度を測
定した。
【0040】(ト)PE接着力 23℃の雰囲気下において、添加剤を含有していない低
密度ポリエチレン(PE)板に幅25mmの粘着試料を
2kgのローラーで1往復して貼り合わせ、貼り付けて
から20分経過後、500mm/minの速度で180
°ピール強度を測定した。
【0041】表10から、本発明の共重合体ラテックス
を用いた粘着剤試料は高温凝集力、低温粘着力とPE接
着力が高度に向上したものであることがわかる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
【表9】
【0051】
【表10】
【0052】
【発明の効果】本発明によると、印刷塗工紙におけるピ
ック強度と他の性能とのバランスを向上させ、あるいは
またカーペットバックサイジングおよび粘接着剤におけ
る接着力をより向上させうる高性能の共重合体ラテック
スを容易に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 19/44 D21H 1/28 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/00 - 2/60 C08F 236/00 - 236/22 C08F 220/00 - 222/40 C08F 8/00 - 8/50 D06M 15/19 - 15/693 D21H 19/00 - 19/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中において、共役ジエン化合物
    エチレン性不飽和カルボン酸およびこれらと共重合可
    能なその他の単量体の少なくとも3種の単量体を乳化重
    合させて得られる共重合体ラテックスであって、連鎖移
    動剤として、単量体の合計100重量部に対し、0.0
    5ないし2.0重量部の下記(1)式で示される核置換
    α−メチルスチレンの二量体(A)および0.05ない
    3.0重量部の硫黄元素を含む連鎖移動剤(B)を組
    合せて用いて乳化重合し、かつ重合後に0.1ないし
    2.0重量部の水酸化カリウムを含むアルカリを添加
    て得られる共重合体ラテックス。 【化1】 (ただし、Phはベンゼン環、X、Yは水素、ハロゲ
    ン、炭素数1ないし4を有するアルキル基あるいは、メ
    トキシ基、ヒドロキシル基、グリシジル基、アセチル
    基、アルキルメルカプト基である。)
  2. 【請求項2】 請求項1の共重合ラテックスおよび無
    機顔料を主成分とする紙塗工用またはカーペットバック
    サイジング用組成物。
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