JP2004002358A - 眼科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】眼科用組成物において、水溶性物質とともに陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを併用することによって、水溶性物質の角膜透過性を向上し、安全性の高い眼科用組成物とすることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性物質の角膜透過性が向上する方法、及び該方法によって水溶性成分の角膜透過性が向上した眼科用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼の表面にある角膜は外界と接する最外層として存在しているので、内眼部を守るためのバリアー機能が発達している組織である。角膜は外側から角膜上皮、角膜実質、角膜内皮の三層からなるが、三層のなかでもバリアー機能の中心を担っているのは、最外層に存在しヒトでは5〜7層からなる非角化重層扁平上皮、厚みが約50μmの角膜上皮層である。角膜上皮層は基底膜側よりその形態の違いから、基底細胞、翼細胞、そして表層細胞から成り立っており、この角膜上皮層では組織構築を保持し各々の細胞同士を接着するためにタイトジャンクションが発達している。もともと、タイトジャンクションは腸管上皮や膵管上皮などの細胞極性を持った単層上皮の表層に存在する細胞接着装置として堅固な水分バリアー機能を有することが見出された。同じように角膜上皮層のタイトジャンクションも水溶性物質を遮断する主役を果たしている(Jpn J. Ophthalmol., 19:139−152 1975)。
【0003】
ところで、眼科領域においては緑内障治療薬等の眼圧降下薬、白内障治療薬等数多くの薬物が開発されている。眼科領域において用いられる物質は眼粘膜に直接投与されるため、ユーザーのコンプライアンス(使用性や差し心地)や薬物の安定性等の面から水溶性であることが多い。そして、点眼された薬物のうち眼内へ移行する薬物のほとんどが角膜を通して眼内に移行するとされているので、水溶性薬物の角膜透過性が眼科用組成物を開発する上で非常に重要である(点眼療法、新臨床眼科全書 11A金原出版 1983、Int. Ophthalmol. Clin., 20:7−201980)。そこで、眼科用組成物中に含有した水溶性物質の角膜上皮層バリアー透過性を向上する方法が求められてきた。
【0004】
上記した角膜上皮層のバリアー機能は角膜上皮細胞群の有する卓越した機能に起因するものであるから、細胞障害性を有する物質は角膜上皮層のバリアー機能を低下させ水溶性物質の透過性を亢進することが知られている。例えばイオン性界面活性剤やある種の薬物、眼科領域で汎用される防腐剤である塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、グルクロン酸クロルヘキシジン等の物質が角膜上皮に障害を与え、薬物の角膜透過性を亢進することが報告されている(Am. J. Ophthalmol.,72:896−905 1971、Acta. Ophthalmol .,53:335−346 1975)。
【0005】
但し、このような角膜上皮層の透過性の亢進は、一方で角膜上皮層の細胞障害を伴い使用時の刺激性の発現も懸念されるという欠点も有していた。したがって、これらの物質を角膜透過性向上剤として利用することは安全性面から問題があった。すなわち眼科用組成物においては、点眼剤などに含有する水溶性物質が角膜上皮層のバリアーを通過して眼内に移行するとともに、角膜障害が起こらず刺激性のない安全な方法を見出す必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、水溶性物質の角膜透過性を向上できる安全性の高い方法を提供すること、及び該方法によって水溶性物質の角膜透過性が向上し、安全性の高い眼科用組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、水溶性物質とともに、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有することによって水溶性物質の角膜透過性を向上すること、障害性や刺激性がなく安全な眼科用組成物とできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記(1)〜(9)に掲げる眼科用組成物である、
(1) 水溶性物質、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有する眼科用組成物、
(2) 陽イオン界面活性剤が塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩または塩化ベンゼトニウムである(1)に記載の眼科用組成物、
(3) 低級アルコールがエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールから選択される少なくとも1つである(1)乃至(2)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(4) 陽イオン界面活性剤の眼科用組成物中の濃度が0.0001〜0.1w/v%である(1)乃至(3)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(5) 低級アルコールの眼科用組成物中の濃度が0.001〜2w/v%である(1)乃至(4)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(6) さらにモノテルペン類を含有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(7) モノテルペン類がメントール、カンフル、ボルネオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノールまたはゲラニオールから選択される少なくとも1つである(1)乃至(6)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(8) モノテルペン類の眼科用組成物中の濃度が0.0001〜0.1w/v%である(1)乃至(7)のいずれかに記載の眼科用組成物、
(9) 点眼剤、洗眼剤である(1)乃至(8)のいずれかに記載の眼科用組成物。
また、本発明は下記(10)〜(11)に掲げる方法である、
(10) 水溶性物質を含有する眼科用組成物において、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールとを併用することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法、
(11) 水溶性物質、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有した眼科用組成物をpHを3〜9に調製することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法。
【0009】
なお、本明細書中、特に言及しない限り、%はw/v%を意味するものとする。また、コンタクトレンズという語句は、特記しない限り、ハード、酸素透過性ハード、ソフト等のあらゆるタイプのコンタクトレンズを包含する意味で用いる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の陽イオン界面活性剤は、眼科領域で用いられるものであればよく、例えば、ポリドロニウム(ポリクォーテリウム−1)、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド]、ポリヘキサメチレンビグアニド、ベンザルコニウム、セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、ベンゼトニウム又はこれらの塩等が挙げられる。これらの陽イオン界面活性剤は市販のものを利用することができ、Glokill PQ(商品名、ローディア社製)、ユニセンスCP(商品名、ポリ (ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、センカ社製)、WSCP(商品名、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレンー(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド]を約60重量%含有、バックマン・ラボラトリーズ社製)、クロクォートL(商品名、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド基を有する、コラーゲン加水分解物由来の第四級アンモニウム置換ポリペプチドを約50重量%含有、クローダ社製)、コスモシルCQ(商品名、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を約20重量%含有、ICIアメリカズ社製)などが例示できる。
本発明において好ましい陽イオン界面活性剤としては、ベンザルコニウムまたはその塩(塩化ベンザルコニウムや臭化ベンザルコニウム等)やベンゼトニウムまたはその塩(塩化ベンゼトニウム等)、セチルピリジウムまたはその塩(塩化セチルピリジニウム等)、クロルヘキシジン又はその塩(グルコン酸クロルヘキシジン等)、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩(ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩等)が挙げられる。特に好ましくは、ベンザルコニウムまたはその塩(塩化ベンザルコニウムや臭化ベンザルコニウム等)である。また、本発明の眼科用組成物にはこれらの陽イオン界面活性剤を1種類又は2種類以上組合わせて用いてもよい。
【0011】
ここで塩としては、例えば、有機酸塩(例えば、乳酸塩、酢酸塩、酪酸、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、パルミチン酸、ステアリン酸、グルコン酸塩など)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、アミノ酸、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの金属との塩など)などが例示できる。
【0012】
陽イオン界面活性剤の眼科用組成物中の濃度としては、本発明の眼科用組成物が本発明の効果を有することを限度として特に制限されるものではないが、0.0001〜0.1%が好適であり、0.0005〜0.05%がより好適であり、特に0.0005〜0.02%が好適である。0.0001%未満では、十分な角膜透過性向上効果が得られず、また、0.1%を超えると粘膜適用時に刺激性を生じやすい。
【0013】
本発明の低級アルコールとしては、炭素数が2〜5の低級アルコールであれば特に限定されないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等が例示でき、これらの低級アルコールを1種又は2種以上組合わせて用いることもできる。なかでもエタノールが好適である。
低級アルコールの眼科用組成物中の濃度としては、本発明の眼科用組成物が本発明の効果を有することを限度として特に制限されるものではないが0.001〜2%が好適であり、0.01〜2%がより好適であり、特に0.05〜1%が好適である。0.01%未満では、角膜透過性の向上効果が得にくく2%を超えると粘膜への適用時に刺激性を生じやすくなる。
陽イオン界面活性剤と低級アルコールとの割合は、化合物の種類等によって異なるが、通常、陽イオン界面活性剤1重量部に対して、低級アルコールは、0.1〜20000重量部、好ましくは0.5〜10000重量部、さらに好ましくは1〜5000重量部、特に好ましく2〜2000重量部の割合で用いることができる。
【0014】
本発明の水溶性物質は、pH3〜9程度の水に可溶な物質であり、その20℃における水への溶解性が0.001%以上であればよい。眼科用組成物においては物質を多量に含有するということが少ないためこの程度以上の水溶性があればよい。本発明の水溶性物質は、薬効を有する物質に限るものではないが、角膜を通過した後、前房に移行し前房内を拡散し、前房周辺の組織や虹彩、水晶体、さらには硝子体に至り作用することができるので角膜を通過して眼組織において作用する物質であれば眼科用組成物としての有用性が高まる。かかる有用性の高い物質としては、具体的には、
毛様体調節薬(アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害薬、例えば、メチル硫酸ネオスチグミン)。
ビタミン類:例えば、ビタミンB2(又はフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム)、ビタミンB6(又は塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(又はシアノコバラミン)、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、及びパントテン酸カルシウムなど
アミノ酸類:例えば、L−アスパラギン酸又はその塩(L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、及びL−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムなど)など
抗近視薬:例えば、トロピカミド、シクロペントレート、及びエンドセリンなど
白内障治療薬:例えば、グルタチオン、オキシグルタチオン又はその塩など
縮瞳薬としてカルバコール等、
緑内障治療薬として、酒石酸水素エピネフリン、メタゾラミド等、
副交感神経遮断薬として硫酸アトロピン,アトロピン等
眼圧降下薬:例えば、ピロカルピン又はその塩(塩酸ピロカルピンなど)、イソプロピルウノプロストン、臭化ジスチグミン、塩酸カルテオロール、塩酸ベフノロール、マレイン酸チモロール、塩酸ジピベフリン、ヨウ化エコチオパート、ジクロフェナミド、及びβ受容体遮断薬(塩酸カルテオロール、塩酸ジピベフリン、塩酸ベフノロール)など
糖類:例えば、単糖類(グルコースなど)、二糖類(トレハロース、ラクトース、フルクトースなど)、及び糖アルコール類(マンニトール、キシリトール、ソルビトールなど)など
抗炎症薬(消炎薬)又は収れん薬:例えば、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、消炎酵素薬(リゾチームなど)、サリチル酸メチル、アラントイン、亜鉛及びそれらの塩(塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化リゾチーム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛)、芳香族性カルボン酸誘導体、例えば、アリールカルボン酸類(イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、スプロフェン、インドメタシン、プラノプロフェン、メフェナム酸、ジクロフェナック、ブロムフェナック、2−ナフチル酢酸、2−ナフトキシ酢酸、サリチル酸など)、
抗菌薬:ピリドンカルボン酸類(ロメフロキサン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、シプロフロキサシン、トスフロキサシンなど)、サルファ剤(スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフィソキサゾール、スルフィソミジンナトリウムなど)など
抗ヒスタミン薬:例えば、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、ケトチフェン、エメダスチン、クレマスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロバタジン及びそれらの塩(塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イプロヘプチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチン、塩酸オロバタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、フマル酸エメダスチン、フマル酸クレマスチンなど)など
抗アレルギー薬:例えば、クロモグリク酸、アンレキサノクス、イブジラスト、スプラタスト、ペミロラスト、トラニラスト及びそれらの塩(クロモグリク酸ナトリウム、トシル酸スプラタストなど)など
血管収縮薬:α−アドレナリン作動薬、例えば、イミダゾリン誘導体(ナファゾリン、テトラヒドロゾリンなど)、β−フェニルエチルアミン誘導体(フェニレフリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリンなど)及びそれらの塩(例えば、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリンなど)など
などが例示でき、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
本発明の眼科用組成物においては角膜透過性が向上しているので、これらの水溶性物質のなかでも特にその作用の発現のために角膜を透過する経路で眼内に移行することが求められる物質が好適であり、具体的には上記した毛様筋調節薬、抗近視薬、ビタミン類、アミノ酸類、白内障治療薬、縮瞳薬、緑内障治療薬、副交感神経遮断薬、眼圧降下薬、糖類、抗炎症薬(消炎薬)又は収れん薬、抗菌薬等が挙げられる。さらに具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、L−アスパラギン酸又はその塩(L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、及びL−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムなど)、グルコース、トレハロース、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、スルファメトキサゾールナトリウムが好適な水溶性物質として挙げられる。
【0016】
これらの水溶性物質の眼科用組成物中での濃度は、本発明の眼科用組成物が本発明の効果を有することを限度として特に制限されるものではなく、眼科用組成物の製剤の種類、水溶性物質の種類などに応じて選択でき、例えば、眼科用組成物全体に対して、0.0001〜30%、好ましくは0.0001〜10%、さらに好ましくは0.001〜10%程度の範囲から選択できる。より具体的は、本発明において好適な水溶性物質の眼科用組成物における各成分の濃度は、次の通りである。
毛様体調節薬:例えば、0.0001〜0.01%、好ましくは0.0002〜0.05%、さらに好ましくは0.0003〜0.01%程度
抗炎症薬(消炎薬)又は収れん薬:例えば、0.0001〜10%、好ましくは0.0005〜5%、さらに好ましくは0.001〜3%程度
ビタミン類:例えば、0.0001〜0.5%、好ましくは0.0001〜0.3%、さらに好ましくは0.0001〜0.1%程度
アミノ酸類:例えば、0.0001〜5%、好ましくは0.0005〜3%、さらに好ましくは0.001〜2%程度
抗近視薬:0.001〜5%、好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.001〜1%程度
眼圧降下薬:例えば、0.001〜10%、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.001〜3%程度
糖類:例えば、0.0001〜5%、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.01〜2%程度
抗菌薬:例えば、0.001〜20%、好ましくは0.001〜10%、さらに好ましくは0.001〜5%程度
【0017】
本発明の眼科用組成物においては、さらに粘稠化剤を配合することができる。かかる粘稠化剤としては、高分子糖類又はそれらの塩:コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等、セルロース又はその誘導体:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等、または合成高分子:ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が好ましく、これらは1種または2種以上配合してもよい。これらの粘稠化剤を配合すると、眼科用組成物に湿潤性や角膜保護作用を付与することができ、適用時において、眼科用組成物による眼刺激性を抑制し、安全性を高めることができる点で好ましい。
【0018】
かかる成分の眼科用組成物中の濃度としては、本発明の眼科用組成物が本発明の効果を有することを限度として特に制限されるものではないが、高分子糖類又はそれらの塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなど)であれば、通常0.0001〜2%、好ましくは0.001〜2%、さらに好ましくは0.01〜1%程度ある、セルロース又はその誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースなど)又はそれらの塩であれば、通常001〜5%、好ましくは0.001〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%程度である、合成高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)であれば、0.0001〜10%、好ましくは0.001〜5%、さらに好ましくは0.001〜3%程度である。
【0019】
本発明の眼科用組成物は、角膜透過性の向上と安全性の観点からpHは3〜9の範囲に調整することが好ましく、より好ましくは4〜9、さらに好ましくは4〜7、特に好ましくは4.5〜8.5である。pH3未満あるいはpH9を超えると、吸収促進効果は高いものの、粘膜への刺激性も高くなりやすい。
【0020】
本発明の眼科用組成物には、水溶性物質の角膜透過性を増強させるため、さらにモノテルペン類を含有することができる。モノテルペン類の具体例としては、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等が挙げられる。
これらのモノテルペン類は、d体、l体又はdl体のいずれでもよいが、水溶性物質の角膜透過性を増強できるとの面から、1−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール及びdl−ボルネオールが好ましい。ゲラニオール、1−メントール、d−カンフル及びd−ボルネオールが特に好ましい。また、前記モノテルペンは、精油に含有した状態で使用することもでき、好ましい精油は、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油等である。また、本発明の眼科用組成物にはこれらのモノテルペンを1種又は2種以上組合わせて用いることもできる。
【0021】
本発明の眼科用組成物中におけるモノテルペン類の濃度は化合物の種類等によって異なるが、角膜透過性の向上と安全性の観点から0.0001〜0.1%、好ましくは0.001〜0.1%、特に好ましくは0.001〜0.05%の範囲で適宜調整することができる。眼に対する強過ぎる刺激を避けるという観点から、0.1%以下であることが好ましく、十分な角膜透過性増強効果を得るという観点から、0.0001%以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の眼科用組成物中にさらにモノテルペン類を含有する場合、陽イオン界面活性剤との配合割合は、化合物の種類等によって異なるが、通常、陽イオン界面活性剤1重量部に対して、モノテルペン類は、0.001〜1000重量部、好ましくは0.005〜500重量部、さらに好ましくは0.01〜500重量部、特に好ましくは0.05〜100重量部の割合で含有することができる。
本発明の眼科用組成物中にさらにモノテルペン類を含有する場合、低級アルコールと、モノテルペン類との配合割合は、化合物の種類等によって異なるが、通常、低級アルコール1重量部に対して、モノテルペン類は、0.00005〜10重量部、好ましくは0.0001〜10重量部、さらに好ましくは0.001〜5重量部、特に好ましくは0.001〜1重量部の割合で用いることができる。
【0023】
本発明の眼科用組成物には、緩衝剤をさらに含有することによって眼刺激性や障害性を抑制することができるので、眼科用組成物の安全性が高められる。かかる緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸緩衝剤、トリス緩衝剤などが挙げられる。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、グッド緩衝剤及び炭酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、グッド緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウムなど)が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩などのリン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなど)が挙げられ、水和物であってもよい。グッド緩衝剤は、グッドらが考案した双性イオン構造をもつ緩衝能を持つ各種のアミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸誘導体の総称であり、MES、MOPS、PIPES、HEPES、BES、TES等が挙げられる。緩衝剤を含有する場合その眼科用組成物中の濃度は、好適には0.0001〜10%、0.001〜5%、0.01〜4%程度である。
【0024】
本発明の眼科用組成物は、水溶性物質の角膜透過性が向上し安全性が高い点で有用であり、この効果を利用するものであればその製剤形態や使用用途は特に限定されないが、例えば、点眼剤(コンタクトレンズを装用中にも使用することができる点眼剤を含む)、洗眼剤(コンタクトレンズを装用中にも使用することができる洗眼薬を含む)、眼軟膏剤(薬)などに利用できる。
【0025】
本発明では、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記した水溶性物質だけでなく通常医薬品において用いられている物質を使用してもよい。また、その用途や形態に応じて常法に従って様々な成分や添加物を任意に選択、または併用して使用することが可能である。例えば、液剤の調整に一般的に使用される担体(油性溶媒、水性溶媒など)、増粘剤、界面活性剤、無機塩類、保存剤又は防腐剤、安定化剤、清涼化剤、抗酸化剤、着色剤、等張化剤、香料などを含んでいてもよい。
【0026】
以下に本発明成物に使用することのできる代表的な成分を例示するが、これらの成分に限定されるものではない。
【0027】
増粘剤:例えば、多糖類又はその誘導体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸など)、セルロース誘導体(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースなど)など。
界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類などの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、イミダゾリン型などの両性界面活性剤;POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0028】
無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが例示できる。なお、これらの無機塩類は緩衝剤成分や等張化剤成分として使用される場合がある。
保存剤又は防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ソルビン酸又はその塩(カリウム塩など)、アルキルポリアミノエチルグリシン、チメロサール、デヒドロ酢酸ナトリウムなどが例示できる。
安定化剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩などが例示できる。
清涼化剤としては、例えば、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオールなどのテルペン化合物;ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ハッカ油、ローズ油、クールミントなどの精油成分などが例示できる。
【0029】
本発明の眼科用組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧に調節する必要がある。浸透圧は、100〜1200mOsm、好ましくは100〜600mOsm、特に好ましくは150〜400mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通常、0.3〜4.1、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4程度である。
【0030】
本発明の眼科用組成物は、公知の方法により製造できる。さらに、必要により、ろ過滅菌処理工程や、容器への充填工程等を加えることができる。
【0031】
また本発明は、水溶性物質を含有する眼科用組成物において、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールとを併用することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法に関する。ここで、併用とは同じ組成物系内で共存状態にあればよい。また本発明は、水溶性物質、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有した眼科用組成物をpHを3〜9に調製することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法に関する。なお、本発明の方法は、前述する本発明の眼科用組成物に関する記載がそのまま準用して使用できる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、水溶性物質の角膜透過性が向上し眼内への水溶性物質吸収性が改善され、刺激がなく安全性の高い眼科用組成物である。本発明では、水溶性物質とともに陽イオン界面活性剤と低級アルコールを併用することによって水溶性物質の角膜透過性が向上し、角膜上皮層の障害性や刺激性を有することなく安全な眼科用組成物を提供することができる。また、眼科用組成物にさらにモノテルペン類を含有することによって角膜透過性を増強することができる。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0034】
表1及び表2に記載の処方に従い、各成分を精製水に溶解し浸透圧並びにpHを調整後、全量を100mlとし、滅菌濾過して容器に充填し点眼剤を調製した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
表3に記載の処方に従い、各成分を精製水に溶解し浸透圧並びにpHを調整後、全量を100mlとし、滅菌濾過して容器に充填し洗眼剤を調製した。
【0038】
【表3】
【0039】
フルオレセインの角膜透過性試験
水溶性の蛍光物質であるフルオレセインを用いて角膜透過性試験を行った。
ブタから角膜を摘出し、図1に示した球面膜透過実験装置KH−5SS(株式会社 ビードレックス社製)のドナー及びレセプターセルの間の所定箇所に摘出したブタ角膜を挟み込み、ブタ角膜を実験装置に装着した。球面膜透過実験装置のレセプターセルとドナーセル内は循環恒温水により37℃に保持しておき、ブタ角膜を装置に装着した後、あらかじめ37℃に保温しておいた眼内灌流液(ブドウ糖150mg、塩化ナトリウム660mg、塩化カリウム36mg、塩化カルシウム18mg、硫酸マグネシウム30mg、炭酸水素ナトリウム210mg、pH7.5、浸透圧比1.0。)をレセプターセルに、一方のドナーセルには表1に示す処方の各被験例をそれぞれ4.6mlずつ加えた。
各試験例をドナーセルに添加後、3時間後のレセプターセル内の眼内灌流液を回収し、回収した眼内灌流液中のフルオレセイン量を蛍光光度計(FC6500、日本分光)にて定量し、レセプターセル内のフルオレセインの移行総量を求め、これを角膜透過量とした。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
表4からわかるように、フルオレセインは、塩化ベンザルコニウム、エタノールまたはメントールと共に配合した試験例1〜3において、レセプターセル内へほとんど移行せず角膜透過量は少ない。それに対して塩化ベンザルコニウムとともにエタノールを共に配合した本発明の試験例4〜6においては、レセプターセル内へのフルオレセインの移行総量が増加し、角膜透過性が向上していることが確認された。また、塩化ベンザルコニウム、エタノールに加えて更にメントールを配合した試験例7においては、フルオレセインの移行量がさらに増加しており、角膜透過性の向上作用が増強していることが確認された。
【0042】
メチル硫酸ネオスチグミンの角膜透過性試験
フルオレセインの角膜透過性試験と同様にして、図1に示した球面膜透過実験装置KH−5SS(株式会社 ビードレックス社製)により、ドナーセルに表4に示す組成の各試験例を4.6mlずつ加え、メチル硫酸ネオスチグミンの角膜透過性を試験した。フルオレセインの角膜透過性試験と同様に、3時間後のレセプターセル内の眼内灌流液を回収しメチル硫酸ネオスチグミンをHPLCを用いて定量して、レセパターセル内のメチル硫酸ネオスチグミンの移行総量を求め、これを角膜透過量とした。なお、HPLCの検出能力により角膜透過量100ng未満の場合には定量ができないため、検出限界を超えた場合には角膜透過量は100ng未満であると判定した。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
表5からわかるように、メチル硫酸ネオスチグミンは、塩化ベンザルコニウム、エタノールまたはメントールと共に配合した試験例8〜10において、レセプターセル内へメチル硫酸ネオスチグミンがほとんど移行せず、角膜透過量は少ない。それに対して塩化ベンザルコニウムとともにエタノールを共に配合した本発明の試験例11においては、レセプターセル内へのメチル硫酸ネオスチグミンの移行総量が増加し角膜透過性が向上していることが確認された。また、塩化ベンザルコニウム、エタノールに加えて更にl−メントールを配合した試験例12においては、メチル硫酸ネオスチグミンの移行総量が更に増加しており、角膜透過性が顕著に向上していることが確認された。
また、房水内薬物濃度を測定することによって点眼薬の眼内移行の良否、如いては薬効発現を判断する指標とすることが一般的に行われていることからすれば、本試験の結果メチル硫酸ネオスチグミンの眼内移行総量の増大が確認されたことからメチル硫酸ネオスチグミンの薬効発現の増大が予想できる。
【0045】
角膜障害性試験及び刺激性試験
各試験例を直接眼に点眼した場合の角膜障害性の程度をDraize法を基にした角膜障害性試験によって判定した。試験の24時間前に眼の検査を行い異常のない健康な眼を持つ雄の成熟白色家兎を用い、家兎は各試験例毎に9羽として3匹ずつ3群に分けた。
表6に示す処方に従って調製した各試験例は、下眼瞼を穏やかに引き結膜嚢内に片眼に試験溶液、もう一方の片眼には対照として生理食塩水を50μl点眼して試験溶液の流出を防ぐために2秒間閉瞼させる。1群はそのまま洗眼せず(A群)、残る2群(B群及びC群)はそれぞれ点眼後3秒後、10秒後に20mlの微温湯で洗眼する。そして、各試験例を点眼して24時間後の角膜の状態を肉眼または細隙灯顕微鏡にて観察した。
また、そのまま洗眼しなかった1群(A群)については試験第一日目の初回点眼後2時間の間隔をあけて更に4回同じ点眼を繰り返し、翌日からも同様にして合計5日間に亘り1日5回の点眼を2時間の間隔をあけて繰り返した。最終日の5日目の最終点眼時の24時間後に角膜の状態を肉眼または細隙灯顕微鏡にて観察した。
試験判定は下記のDraize法の基準に従い、混濁の程度及びその面積について行った。結果は表6に示すが、各試験溶液毎に、各白色家兎の混濁の程度の点数と角膜混濁部の面積の点数を乗じた数の3群9羽の合計点を示した。
【0046】
Dsaize法の眼反応評価基準(医薬品の開発 第20巻 医薬品の安全性試験 84−97 廣川書店 1990)
1. 混濁の程度(最も濃い領域を判定する)
透明であれば混濁無し 0点
散在性、びまん性の混濁、虹彩ははっきり認める 1点
半透明で容易に識別が可能、虹彩はやや不明瞭 2点
乳濁、虹彩紋理認めず、瞳孔の大きさをやっと認める 3点
白濁、虹彩は認めない 4点
2. 角膜混濁部の面積
0〜1/4 1点
4/1〜1/2 2点
1/2〜3/4 3点
3/4〜4/4 4点
【0047】
さらに、上記した試験において各試験例を点眼した後、そのまま洗眼しなかった1群(A群)3羽については、初回点眼の際に1、5、10分後の前眼部症状を目視観察し本発明の眼科用組成物の刺激性をも試験した。結果は充血が観察された例数として表し、表6に示す。
また、先の実施例1、2、6、7についても同様にして角膜障害性試験及び刺激性試験を行った。結果は表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】
表6に示すように本発明の眼科用組成物はいずれの試験例または実施例においても、初日第一回目及び第5日目第5回目の点眼24時間後の角膜観察において混濁が認められず角膜は透明性を維持していた。従って、本発明の眼科用組成物は角膜障害性が認められず安全性が高いことが示された。さらに、本発明を点眼した直後における目視観察において充血が認めらなかったことから刺激性が無く安全性が高い組成物であることも確認できた。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】角膜透過性試験において用いた球面膜透過実験装置の断面図を示す図である。
Claims (11)
- 水溶性物質、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有する眼科用組成物。
- 陽イオン界面活性剤が塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩または塩化ベンゼトニウムから選択される少なくとも1つである請求項1に記載の眼科用組成物。
- 低級アルコールがエタノール、プロパノール、ブタノール又はペンタノールから選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載の眼科用組成物。
- 陽イオン界面活性剤の眼科用組成物中の濃度が0.0001〜0.1w/v%である請求項1乃至3のいずれかに記載の眼科用組成物。
- 低級アルコールの眼科用組成物中の濃度が0.001〜2w/v%である請求項1乃至4のいずれかに記載の眼科用組成物。
- さらにモノテルペン類を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の眼科用組成物。
- モノテルペン類がメントール、カンフル、ボルネオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノールまたはゲラニオールから選択される少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれかに記載の眼科用組成物。
- モノテルペン類の眼科用組成物中の濃度が0.0001〜0.1w/v%である請求項1乃至7のいずれかに記載の眼科用組成物。
- 点眼剤、洗眼剤である請求項1乃至8のいずれかに記載の眼科用組成物。
- 水溶性物質を含有する眼科用組成物において、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールとを併用することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法。
- 水溶性物質、陽イオン界面活性剤及び低級アルコールを含有した眼科用組成物をpHを3〜9に調製することによって水溶性物質の角膜透過性を向上する方法。
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GUPTA | STUDIES ON IN SITU GELLING SYSTEM FOR BETTER OCULAR DRUG THERAPY |
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