JP2004000002A - 湯通し塩蔵わかめ及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課 題】常温、冷蔵、もしくは冷凍下で長期間流通可能な湯通し塩蔵わかめおよびそれを製造する方法を提供すること。
【解決手段】塩化カリウムを含有する湯通し塩蔵わかめ。わかめを湯通しし、次いで塩化カリウムを含有する組成物で処理することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】塩化カリウムを含有する湯通し塩蔵わかめ。わかめを湯通しし、次いで塩化カリウムを含有する組成物で処理することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湯通し塩蔵わかめの製造法、より詳しくは塩化カリウムを使用して湯通し塩蔵わかめを製造する方法、及びこのような方法により得られる湯通し塩蔵わかめに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
湯通し塩蔵わかめは、わかめを湯通しし、速やかに水(海水を含む。)で冷却したものに食塩を加えて脱水したもの、及びこのようにして脱水した湯通しわかめに食塩を加えたものである。ここで加えられる食塩の量は製造業者により異なるが、JASマークの付いている製品の食塩分は25〜40重量%、一方JASマークの付いていない製品では、食塩が通常40重量%以上含まれている。そのため、大腸菌等普通の細菌の増殖は抑制されるが、逆に高濃度の食塩を好む高度好塩細菌が増殖し、極端に細菌数の増えた製品は色が褪せ、褐変し、むれ臭がするようになる。ある調査によると、市場に流通している湯通し塩蔵わかめの賞味期間は、10℃以下の保存条件でも60〜90日が限度であった。
そこで湯通し塩蔵わかめを常温もしくは冷蔵で長期間流通可能とするため、例えば、特開昭58−201965号公報、特開昭58−201966号公報、特開昭58−201967号公報、特開昭61−259972号公報では、脱酸素剤を使用し、非通気性の容器に密閉する方法が開示されている。しかしこの方法は、未開封の場合は効果が認められるものの、一度開封した後は、効果は全く得られないという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来方法では比較的短期間で腐敗し、商品価値がなくなるという欠点を克服し、常温もしくは冷蔵で長期間流通可能とする湯通し塩蔵わかめを製造する方法、及びこの方法により得られる湯通し塩蔵わかめを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、塩化カリウムを使用して湯通し塩蔵わかめを製造することにより、湯通し塩蔵わかめの保存性が著しく向上することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明の骨子は、次の1および2からなっている。
1.塩化カリウムを使用することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造法。
2.塩化カリウムを0.50重量%以上含有する、湯通し塩蔵わかめ。
【0005】
さらに詳しくは、本発明は、
(1) 塩化カリウムを0.50重量%以上含有することを特徴とする湯通し塩蔵わかめ、
(2) わかめを湯通しし、湯通ししたわかめをさらに冷却し、水切りし、水切りしたわかめと塩化カリウムとを接触させ、塩化カリウム処理したわかめをさらに塩漬し、脱水することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造方法、
(3) 塩化カリウムが食塩との混合物であることを特徴とする上記(2)に記載の製造方法、
(4) 湯通し塩蔵わかめを製造するための、塩化カリウムの使用、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
わかめは分類学的にはコンブ科アイヌワカメ亜科ワカメ属に属し、その種類にはわかめ(Undaria pinatifida)、ヒロメ(U.undarioides)、アオワカメ(U.peterseniana)等があるが、味わいの点から、本発明においてはわかめが好ましく用いられる。
本発明で用いられる原料わかめは、海から採補あるいは養殖場等で生産されたわかめであれば、国産品、輸入品の別を問わない。国産品としては、例えば鳴門や三陸海岸で採取される鳴門わかめや宮城産わかめ等が挙げられ、輸入品としては、主に韓国産や中国産のわかめが挙げられる。
【0007】
本発明における湯通し塩蔵わかめの製法は特に制限されないが、例えば本発明において用いられる原料わかめは、第1工程としてまず湯通しされる。これは、原料わかめを採取後すみやかに海水または塩を添加した水中に、好ましくは約80℃以上で約30〜60秒程度湯通しすることにより行われる。
もっとも、海もしくは養殖場から採取したわかめの色が湯通しによって褐色から緑色に変化する温度と時間であれば上記の条件に限定されない。
湯通しを行った後、速やかに水または海水で冷却し、水切りを行う。冷却は例えば湯通ししたわかめを水または海水に投入し、できるだけ短時間に用水の温度まで冷やすことによって行われ、水切りは例えば冷却したわかめに軽圧を加えることにより行われる。
【0008】
本発明における湯通し塩蔵わかめの製法の第2工程として、上記のように、好ましくは軽く水切りを行った湯通しわかめと塩化カリウムとを接触させることにより行われる。塩化カリウムは塩化カリウム自体であってもよく、塩化カリウムを含む混合物であってもよい。これらは固体であってもよく、これらを溶解した例えば水溶液等液体であってもよい。混合物は塩化カリウム以外に食塩を含むものが好ましい。好ましくは塩化カリウムと食塩からなる混合物を湯通ししたわかめにまぶして塩もみする。
塩もみは、例えばミキサー等によって上記塩化カリウムを添加した湯通しわかめを混合することにより行われる。
【0009】
ここで、本発明の第2工程で用いる塩化カリウムとしては、食品添加物として商業的に流通しているものが適している。
食塩としては天然塩や精製塩等が挙げられるが、天然塩は通常塩化ナトリウムの他にカリウム、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを含んでおり、本明細書中での、『塩化カリウムと食塩を含む混合物』とは、例えば塩化カリウムおよび、上記塩化マグネシウム等を含んだ並塩あるいは天然塩からなる組成物を意味し、『塩化カリウムと食塩からなる混合物』とは、塩化カリウムおよび、塩化ナトリウムあるいは精製塩からなる組成物を意味することとする。
ここで天然塩としては、商品名で伯方の塩(粗塩)などが挙げられる。
しかしながら、本発明における組成物は塩化カリウムを含めばよく、本発明の目的を阻害しない限り、塩化カリウム以外にどのような成分を含んでいてもよい。
【0010】
塩化カリウムを含有する組成物を添加して塩もみした後、好ましくは半日以上重しをかけて塩漬し、更に圧力をかけて脱水を行うことによって湯通し塩蔵わかめが製造される。
【0011】
このようにして製造された湯通し塩蔵わかめは、湯通しわかめ全体に対して塩分(塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)を約25〜30重量%程度含み、出荷まで通常、冷凍庫で保管される。
【0012】
さらに、本発明にかかる湯通し塩蔵わかめには、塩分(塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)を湯通し塩蔵わかめ全体に対して約25〜30重量%程度含有した上記湯通し塩蔵わかめに、更に塩化カリウムを含む組成物、好ましくは塩化カリウムと食塩を含む混合物、更に好ましくは塩化カリウムと食塩とからなる混合物を添加し、塩分含量を湯通し塩蔵わかめ全体の約40〜70重量%程度としたものも含まれる。
【0013】
本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、湯通し塩蔵わかめ全体に対して塩化カリウムの含量が好ましくは約0.50重量%以上、更に好ましくは約1.0重量%以上、最も好ましくは2.0重量%以上となるように加えることにより、容易に製造することができる。湯通し塩蔵わかめの保存性は塩化カリウムの含量が多いほど向上するので上限について格別の限定はないが、塩化カリウムは食塩に比べて高価なため、その使用量については経済性も考慮して決められる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0015】
〔実施例1〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。このものの塩分は約28重量%、塩化カリウムの含量は約1.6重量%であった。
【0016】
〔実施例2〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに塩化カリウムと食塩からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約2.5重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0017】
〔実施例3〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、食塩400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=20:80)400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約5.3重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0018】
〔比較例1〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、並塩400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに並塩400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約0.2重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0019】
〔試験例1〕
実施例1〜3及び比較例1の湯通し塩蔵わかめをそれぞれ100gずつポリプロピレン樹脂包材に入れて密封し、検査検体とした。次に検体を20℃恒温器に入れ、以後定期的に検体を取り出し、下記の方法により高度好塩細菌の菌数を測定し、同時に品質特性について観察・評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0020】
〔菌数測定方法〕
SGC培地を加温溶解し10%NaOH溶液でpH7.2に調製し、121℃で15分間滅菌して平板培地を作製した。各試験検体10.0gをストマーカー用無菌包材に秤取し、希釈水90.0gを加えてストマーカー処理を行い検体の10倍希釈液を調整した。以下定法に基づき段階的に10段階の希釈液を調整してSGC平板培地に希釈液を0.1ml塗抹接種して45℃恒温器中で培養し、培養後培地上に生育したコロニー数を計測した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
〔試験例2〕
実施例1〜3及び比較例1の湯通し塩蔵わかめをそれぞれ100gずつポリプロピレン樹脂包材に入れて密封し、検査検体とした。検査検体を7℃冷蔵庫に入れ、試験例1と同様にして高度好塩細菌の菌数を測定し、同時に品質特性について観察・評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、従来の湯通し塩蔵わかめと比較して、遥かに高度好塩細菌の増殖を抑えることができ、また長期保存時の腐敗を防止することができる。
従って、本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、常温で約2〜3ヶ月程度、冷蔵では6ヶ月以上の長期保存が可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、湯通し塩蔵わかめの製造法、より詳しくは塩化カリウムを使用して湯通し塩蔵わかめを製造する方法、及びこのような方法により得られる湯通し塩蔵わかめに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
湯通し塩蔵わかめは、わかめを湯通しし、速やかに水(海水を含む。)で冷却したものに食塩を加えて脱水したもの、及びこのようにして脱水した湯通しわかめに食塩を加えたものである。ここで加えられる食塩の量は製造業者により異なるが、JASマークの付いている製品の食塩分は25〜40重量%、一方JASマークの付いていない製品では、食塩が通常40重量%以上含まれている。そのため、大腸菌等普通の細菌の増殖は抑制されるが、逆に高濃度の食塩を好む高度好塩細菌が増殖し、極端に細菌数の増えた製品は色が褪せ、褐変し、むれ臭がするようになる。ある調査によると、市場に流通している湯通し塩蔵わかめの賞味期間は、10℃以下の保存条件でも60〜90日が限度であった。
そこで湯通し塩蔵わかめを常温もしくは冷蔵で長期間流通可能とするため、例えば、特開昭58−201965号公報、特開昭58−201966号公報、特開昭58−201967号公報、特開昭61−259972号公報では、脱酸素剤を使用し、非通気性の容器に密閉する方法が開示されている。しかしこの方法は、未開封の場合は効果が認められるものの、一度開封した後は、効果は全く得られないという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来方法では比較的短期間で腐敗し、商品価値がなくなるという欠点を克服し、常温もしくは冷蔵で長期間流通可能とする湯通し塩蔵わかめを製造する方法、及びこの方法により得られる湯通し塩蔵わかめを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、塩化カリウムを使用して湯通し塩蔵わかめを製造することにより、湯通し塩蔵わかめの保存性が著しく向上することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明の骨子は、次の1および2からなっている。
1.塩化カリウムを使用することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造法。
2.塩化カリウムを0.50重量%以上含有する、湯通し塩蔵わかめ。
【0005】
さらに詳しくは、本発明は、
(1) 塩化カリウムを0.50重量%以上含有することを特徴とする湯通し塩蔵わかめ、
(2) わかめを湯通しし、湯通ししたわかめをさらに冷却し、水切りし、水切りしたわかめと塩化カリウムとを接触させ、塩化カリウム処理したわかめをさらに塩漬し、脱水することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造方法、
(3) 塩化カリウムが食塩との混合物であることを特徴とする上記(2)に記載の製造方法、
(4) 湯通し塩蔵わかめを製造するための、塩化カリウムの使用、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
わかめは分類学的にはコンブ科アイヌワカメ亜科ワカメ属に属し、その種類にはわかめ(Undaria pinatifida)、ヒロメ(U.undarioides)、アオワカメ(U.peterseniana)等があるが、味わいの点から、本発明においてはわかめが好ましく用いられる。
本発明で用いられる原料わかめは、海から採補あるいは養殖場等で生産されたわかめであれば、国産品、輸入品の別を問わない。国産品としては、例えば鳴門や三陸海岸で採取される鳴門わかめや宮城産わかめ等が挙げられ、輸入品としては、主に韓国産や中国産のわかめが挙げられる。
【0007】
本発明における湯通し塩蔵わかめの製法は特に制限されないが、例えば本発明において用いられる原料わかめは、第1工程としてまず湯通しされる。これは、原料わかめを採取後すみやかに海水または塩を添加した水中に、好ましくは約80℃以上で約30〜60秒程度湯通しすることにより行われる。
もっとも、海もしくは養殖場から採取したわかめの色が湯通しによって褐色から緑色に変化する温度と時間であれば上記の条件に限定されない。
湯通しを行った後、速やかに水または海水で冷却し、水切りを行う。冷却は例えば湯通ししたわかめを水または海水に投入し、できるだけ短時間に用水の温度まで冷やすことによって行われ、水切りは例えば冷却したわかめに軽圧を加えることにより行われる。
【0008】
本発明における湯通し塩蔵わかめの製法の第2工程として、上記のように、好ましくは軽く水切りを行った湯通しわかめと塩化カリウムとを接触させることにより行われる。塩化カリウムは塩化カリウム自体であってもよく、塩化カリウムを含む混合物であってもよい。これらは固体であってもよく、これらを溶解した例えば水溶液等液体であってもよい。混合物は塩化カリウム以外に食塩を含むものが好ましい。好ましくは塩化カリウムと食塩からなる混合物を湯通ししたわかめにまぶして塩もみする。
塩もみは、例えばミキサー等によって上記塩化カリウムを添加した湯通しわかめを混合することにより行われる。
【0009】
ここで、本発明の第2工程で用いる塩化カリウムとしては、食品添加物として商業的に流通しているものが適している。
食塩としては天然塩や精製塩等が挙げられるが、天然塩は通常塩化ナトリウムの他にカリウム、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを含んでおり、本明細書中での、『塩化カリウムと食塩を含む混合物』とは、例えば塩化カリウムおよび、上記塩化マグネシウム等を含んだ並塩あるいは天然塩からなる組成物を意味し、『塩化カリウムと食塩からなる混合物』とは、塩化カリウムおよび、塩化ナトリウムあるいは精製塩からなる組成物を意味することとする。
ここで天然塩としては、商品名で伯方の塩(粗塩)などが挙げられる。
しかしながら、本発明における組成物は塩化カリウムを含めばよく、本発明の目的を阻害しない限り、塩化カリウム以外にどのような成分を含んでいてもよい。
【0010】
塩化カリウムを含有する組成物を添加して塩もみした後、好ましくは半日以上重しをかけて塩漬し、更に圧力をかけて脱水を行うことによって湯通し塩蔵わかめが製造される。
【0011】
このようにして製造された湯通し塩蔵わかめは、湯通しわかめ全体に対して塩分(塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)を約25〜30重量%程度含み、出荷まで通常、冷凍庫で保管される。
【0012】
さらに、本発明にかかる湯通し塩蔵わかめには、塩分(塩化カリウムおよび塩化ナトリウム)を湯通し塩蔵わかめ全体に対して約25〜30重量%程度含有した上記湯通し塩蔵わかめに、更に塩化カリウムを含む組成物、好ましくは塩化カリウムと食塩を含む混合物、更に好ましくは塩化カリウムと食塩とからなる混合物を添加し、塩分含量を湯通し塩蔵わかめ全体の約40〜70重量%程度としたものも含まれる。
【0013】
本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、湯通し塩蔵わかめ全体に対して塩化カリウムの含量が好ましくは約0.50重量%以上、更に好ましくは約1.0重量%以上、最も好ましくは2.0重量%以上となるように加えることにより、容易に製造することができる。湯通し塩蔵わかめの保存性は塩化カリウムの含量が多いほど向上するので上限について格別の限定はないが、塩化カリウムは食塩に比べて高価なため、その使用量については経済性も考慮して決められる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0015】
〔実施例1〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。このものの塩分は約28重量%、塩化カリウムの含量は約1.6重量%であった。
【0016】
〔実施例2〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに塩化カリウムと食塩からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=5:95)400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約2.5重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0017】
〔実施例3〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、食塩400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに塩化カリウムと食塩(塩化ナトリウム)からなる塩混合物(塩化カリウム:塩化ナトリウム=20:80)400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約5.3重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0018】
〔比較例1〕
収穫された三陸、大船渡産養殖わかめ1kgを90℃以上の海水に45秒間湯通しし、速やかに水で冷却し、軽く水切りを行った。次に、並塩400gをまぶして塩もみした後、1昼夜重しをかけて塩漬し、更に軽く加圧して脱水を行い湯通し塩蔵わかめ1.2kgを得た。更に、このものに並塩400gをまぶし、塩分約46重量%、塩化カリウム含量約0.2重量%の湯通し塩蔵わかめ1.6kgを得た。
【0019】
〔試験例1〕
実施例1〜3及び比較例1の湯通し塩蔵わかめをそれぞれ100gずつポリプロピレン樹脂包材に入れて密封し、検査検体とした。次に検体を20℃恒温器に入れ、以後定期的に検体を取り出し、下記の方法により高度好塩細菌の菌数を測定し、同時に品質特性について観察・評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0020】
〔菌数測定方法〕
SGC培地を加温溶解し10%NaOH溶液でpH7.2に調製し、121℃で15分間滅菌して平板培地を作製した。各試験検体10.0gをストマーカー用無菌包材に秤取し、希釈水90.0gを加えてストマーカー処理を行い検体の10倍希釈液を調整した。以下定法に基づき段階的に10段階の希釈液を調整してSGC平板培地に希釈液を0.1ml塗抹接種して45℃恒温器中で培養し、培養後培地上に生育したコロニー数を計測した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
〔試験例2〕
実施例1〜3及び比較例1の湯通し塩蔵わかめをそれぞれ100gずつポリプロピレン樹脂包材に入れて密封し、検査検体とした。検査検体を7℃冷蔵庫に入れ、試験例1と同様にして高度好塩細菌の菌数を測定し、同時に品質特性について観察・評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、従来の湯通し塩蔵わかめと比較して、遥かに高度好塩細菌の増殖を抑えることができ、また長期保存時の腐敗を防止することができる。
従って、本発明の製造法により得られる湯通し塩蔵わかめは、常温で約2〜3ヶ月程度、冷蔵では6ヶ月以上の長期保存が可能である。
Claims (4)
- 塩化カリウムを0.50重量%以上含有することを特徴とする湯通し塩蔵わかめ。
- わかめを湯通しし、湯通ししたわかめをさらに冷却し、水切りし、水切りしたわかめと塩化カリウムとを接触させ、塩化カリウム処理したわかめをさらに塩漬し、脱水することを特徴とする湯通し塩蔵わかめの製造方法。
- 塩化カリウムが食塩との混合物であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- 湯通し塩蔵わかめを製造するための、塩化カリウムの使用。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002112512A JP2004000002A (ja) | 2002-04-01 | 2002-04-15 | 湯通し塩蔵わかめ及びその製造法 |
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JP2002099260 | 2002-04-01 | ||
JP2002112512A JP2004000002A (ja) | 2002-04-01 | 2002-04-15 | 湯通し塩蔵わかめ及びその製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004000002A true JP2004000002A (ja) | 2004-01-08 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7566158B2 (en) | 2004-12-24 | 2009-07-28 | Lg Display Co., Ltd. | Display device and backlight unit for the same |
JP2011010639A (ja) * | 2009-07-06 | 2011-01-20 | Sato Unso:Kk | 乾燥された海藻の加工方法 |
JP2013141414A (ja) * | 2012-01-06 | 2013-07-22 | S & B Foods Inc | 容器入りワカメご飯およびその製法 |
-
2002
- 2002-04-15 JP JP2002112512A patent/JP2004000002A/ja active Pending
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