JP2003504053A - 相同的組換えを用いた位置指定クローニングおよびサブクローニングのための方法ならびに組成物 - Google Patents

相同的組換えを用いた位置指定クローニングおよびサブクローニングのための方法ならびに組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細菌性リコンビナーゼによって媒介される相同的組換えを用いたDNAサブクローニングのための方法および組成物に関する。本発明は、クローニング方法、クローニングベクターとして有用なポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリヌクレオチド組成物を含む細胞、ならびにRecE/TやRedα/βなどの細菌性リコンビナーゼにより媒介されるクローニングに有用なキットを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1.序 本発明は、細菌性リコンビナーゼによって媒介される相同的組換えを用いたDN
Aクローニングおよびサブクローニングのための方法ならびに組成物に関する。
特定の実施形態においては、RecE/TもしくはRedα/βリコンビナーゼ、または細
菌の相同的組換えを開始させるための機能的に均等な系(例えば、ファージP22
由来のerf)が使用される。特に、本発明はクローニング方法、診断方法、クロ
ーニングベクターとして有用なポリヌクレオチドを含む組成物、そのようなポリ
ヌクレオチド組成物を含む細胞、ならびにRecE/TおよびRedα/β媒介クローニン
グに有用なキットに関する。
【0002】2.発明の背景 大腸菌におけるDNAのクローニングおよびサブクローニングは分子生物学の土
台をなすものである。DNAクローニングとは、複製起点を二本鎖DNA断片に作動可
能に連結して、大腸菌または他の適当な宿主内で増やすプロセスをいう。DNAサ
ブクローニングとは、例えばPCRによってin vitroで、または大腸菌や他の適当
な宿主内での増殖によりin vivoで、すでに増幅されているDNA分子から二本鎖DN
A断片を取得し、次にその二本鎖DNA断片を作動可能な複製起点に連結するプロセ
スをいう。大腸菌でのクローニングおよびサブクローニングは、典型的には、DN
A断片の末端を、大腸菌の複製起点と選択マーカーを含む線状化ベクターの末端
にライゲートすることにより行なわれる。選択マーカーをベクター中に含めるの
は、大腸菌宿主細胞に導入したとき、新たにクローン化された産物(その挿入物
を含むプラスミド)が保持され増幅されることを確実にするためである。
【0003】 従来のクローニング法にはいくつかの制限がある。例えば、通常のクローニン
グは制限酵素の使用を必要とするので、DNA断片の選択は、関心のあるDNA領域中
の制限酵素認識部位の利用可能性によって制限される。所望のDNA断片の内部で
はなく境界を切断する制限部位が存在しなければならない。最も有用な制限酵素
はかなり頻繁に切断するので、作製される線状DNA断片のサイズも制限される。
【0004】 DNA断片を生成するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用が増えるにつれて
、従来のサブクローニングには第2の大きな欠点が提起された。PCR産物の末端
は、熱安定性ポリメラーゼにより増幅PCR産物の3'末端に付加された非鋳型ヌク
レオチドのために、ライゲーション反応において非効率的である。さらに、PCR
の使用は高リスクの突然変異を伴う。したがって、分子生物学者らは、DNAの断
片を、特に制限酵素またはPCRの方法論によって都合よく利用できるものよりも
長い断片を、クローニングするための新規で、より効率的な方法を探し求めてき
た。
【0005】 相同的組換えはDNA断片をクローニングおよびサブクローニングするための代
替法である。宿主の相同的組換え系を利用する、大腸菌でのPCR産物のサブクロ
ーニング法はすでに開示されている(Olinerら, 1993, Nucleic Acids Res. 21:5
192-97; Bubeckら, 1993, Nucl. Acids. Res. 21:3601-3602)。そのような方法
では、関心のあるDNA断片を増幅するために、線状化ベクターの両末端の配列に
相同な末端配列を含むように設計されたPCRプライマーを使用する。次いで、PCR
産物と線状化ベクターを大腸菌に導入する。大腸菌宿主細胞内での相同的組換え
がプラスミドベクターへのPCR産物配列の挿入をもたらす。こうした方法はPCR断
片をサブクローニングするには有用であると分かったが、長いDNA断片のサブク
ローニング、または任意のサイズのDNA断片のクローニングには応用されていな
い。
【0006】 もう一つの方法として、末端に長い相同性領域をもつ2つの線状DNA分子(一
方が複製起点を有する)を用いて大腸菌sbcBC宿主細胞を形質転換するin vivoサ
ブクローニング法が開示されている。相同的組換えがin vivoで起こり、新たに
形成されたプラスミドの環化と増幅をもたらす(Degryse, 1996, Gene 170:45)。
その後、相同的組換えを媒介する大腸菌sbcBC宿主細胞の能力は、アデノウイル
スおよびヘルペスウイルスのゲノムDNA由来の大きなDNA断片をサブクローニング
するために応用された(Chartierら, 1996, J. Virol. 70:4805; Messerleら, 19
97, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 14759-14763; He, 1998, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 95:2509-2514)。記載されるように、大腸菌sbcBC宿主細胞におけ
る相同的組換えによるそれぞれのサブクローニングは、大腸菌の複製起点の両側
に長い相同性領域を位置づけるために、少なくとも2つの調製的サブクローニン
グ工程を必要とする。さらに、大腸菌sbcBC株におけるDNAクローニングは記載さ
れていない。
【0007】 最近、RecE/RecT(RecE/T)またはRedα/Redβ(Redα/β)のいずれかにより媒介
される相同的組換えは、大腸菌においてDNA分子を操作するのに有用であること
が見いだされた(Zhangら, 1998, Nature Genetics, 20, 123-128; Muyrersら, 1
999, Nucleic Acids Res. 27: 1555-1557)。これらの論文は、大腸菌において、
インタクトで自律複製性の環状DNA分子はどれも、該環状分子中に存在する領域
と同一のDNA配列の短い領域によって挟まれた線状DNA断片とのRecE/TまたはRed
α/β媒介相同的組換えにより、改変され得ることを示している。相同的組換え
による環状分子への線状DNA断片の組込みは、その隣接(フランキング)配列間
の配列と環状DNA分子中の対応する配列を置き換える。
【0008】 本明細書中での文献の引用は、それが本発明の先行技術であることを容認する
ものとして解釈されるべきでない。
【0009】3.発明の概要 本発明は、細菌性リコンビナーゼによって媒介される相同的組換えを用いたDN
Aのクローニングおよびサブクローニングのための方法ならびに組成物に関する
。細菌性リコンビナーゼは好ましくはRecE/Tおよび/またはRedα/βである。こ
うした方法は、指定された標的DNA配列に隣接する配列と相同な短いDNA領域およ
び複製起点を含むベクターを用いて、関心のあるポリヌクレオチドまたはポリヌ
クレオチドの混合物をクローニング、サブクローニング、増殖または増幅するた
めに使用することができる。
【0010】 一つの実施形態において、本発明は、機能性リコンビナーゼを発現する細菌細
胞を培養することを含んでなる、二本鎖標的DNAをベクターに導入する方法であ
って、該細菌細胞は、(a) 第1の二本鎖末端および第2の二本鎖末端を含む標的
DNAと、(b) ベクターDNA鎖に沿って次の順序で、(i) 第1の二本鎖相同性アーム
、(ii) 複製起点、(iii) 第2の二本鎖相同性アームを含むベクターDNAと、を含
有し、そして、ベクターDNA鎖の第1の相同性アームの配列が、標的DNA鎖の第1
の末端の配列に相同であり、かつベクターDNA鎖の第2の相同性アームの配列が
、標的DNA鎖の第2の末端の配列に相同であり、その結果、標的DNAがベクターDN
Aの該相同性アーム間に挿入される、上記方法を提供する。
【0011】 別の実施形態においては、組換えDNA分子を作製する方法が提供され、該方法
は、a) 細胞に二本鎖ベクターを導入すること、ただし、該細胞は二本鎖標的DNA
を含みかつ細菌性リコンビナーゼを発現するものであり、該ベクターは複製起点
と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相
同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含むものであり、該標的DN
Aは標的DNA配列と2つの末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に、第1の
末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、そして、該ベクターD
NA鎖上の第1の相同性アームの配列が、該標的DNA鎖上の第1の末端の配列に相
同であり、かつ該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームの配列が、標的DNA鎖上
の第2の末端の配列に相同であること、および、b) 該細胞を、細胞内相同的組
換えを起こさせる条件にさらすこと、を含んでなる。
【0012】 別の実施形態においては、組換えDNA分子を作製する方法が提供され、該方法
は、a) 細胞に二本鎖ベクターと第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドを
導入すること、ただし、該細胞は二本鎖標的DNAを含みかつ細菌性リコンビナー
ゼを発現するものであり、該ベクターは複製起点と2つの二本鎖相同性アームを
、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、
第2の相同性アームの順序で含むものであり、該標的DNAは標的DNA配列と2つの
二本鎖末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に、第1の末端、標的DNA配列
、第2の末端の順序で含むものであり、該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から
5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配
列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド
配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であ
り、かつ該第2のヌクレオチド配列が該標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチ
ド配列に相同であり、該第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の
順序で、第3のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオ
リゴヌクレオチド鎖を含んでなり、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA
鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌク
レオチド配列が該標的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であるこ
と、および、b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと
、を含んでなる。
【0013】 別の実施形態においては、組換えDNA分子を作製する方法が提供され、該方法
は、a) 細胞に二本鎖標的DNA分子を導入すること、ただし、該細胞はベクターを
含みかつ細菌性リコンビナーゼを発現するものであり、該標的DNAは標的DNA配列
と2つの二本鎖末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に、第1の末端、標
的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、該ベクターは複製起点と2つ
の相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性ア
ーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含むものであり、そして、該ベク
ターDNA鎖上の第1の相同性アームの配列が、該標的DNA鎖上の第1の末端の配列
に相同であり、かつ該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームの配列が、標的DNA
鎖上の第2の末端の配列に相同であること、および、b) 該細胞を、細胞内相同
的組換えを起こさせる条件にさらすこと、を含んでなる。
【0014】 別の実施形態においては、組換えDNA分子を作製する方法が提供され、該方法
は、a) 細胞に二本鎖標的DNA分子と第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチド
を導入すること、ただし、該細胞はベクターを含みかつ細菌性リコンビナーゼを
発現するものであり、該標的DNAは標的DNA配列と2つの末端を、標的DNA鎖に沿
って3'から5'の方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むも
のであり、該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第
1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレ
オチドDNA鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第
1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレオチド
配列が該標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、該第2の
オリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレオチド配
列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖を含んでな
り、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームのヌ
クレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が該標的DNA鎖上
の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であり、そして、該ベクターは複製起点
と2つの二本鎖相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第
1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含むものであること
、および、b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、
を含んでなる。
【0015】 別の実施形態においては、組換えDNA分子を作製する方法が提供され、該方法
は、a) 細菌性リコンビナーゼを発現する細胞に二本鎖ベクターと二本鎖標的DNA
を導入すること、ただし、該ベクターは複製起点と2つの相同性アームを、ベク
ターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の
相同性アームの順序で含むものであり、該標的DNAは標的DNA配列と2つの末端を
、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端
の順序で含むものであり、そして、該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームの
ヌクレオチド配列が、該標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同で
あり、かつ該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、標
的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であること、および、b) 該細
胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、を含んでなる。
【0016】 この方法の特定の実施形態では、宿主細胞がプロモーターに機能的に連結され
た部位特異的リコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、該ベ
クターが部位特異的リコンビナーゼの第1および第2の認識部位をさらに含み、
第1の認識部位が第1および第2の相同性アームの外側に位置し、第2の部位特
異的リコンビナーゼ認識部位が第1および第2の相同性アームの内側に位置し、
そして、ステップb)の間に、またはステップb)の後で、部位特異的リコンビナー
ゼの発現を誘導する。
【0017】 この方法の別の特定の実施形態では、宿主細胞がプロモーターに機能的に連結
された部位特異的エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含
み、該ベクターが第1および第2の相同性アームの内側に位置する部位特異的エ
ンドヌクレアーゼの認識部位をさらに含み、そして、ステップb)の間に、または
ステップb)の後で、部位特異的エンドヌクレアーゼの発現を誘導する。
【0018】 別の実施形態において、本発明は、組換えDNA分子を作製する方法を提供し、
該方法は、a) 細菌性リコンビナーゼを発現する細胞に、二本鎖ベクターと二本
鎖標的DNA分子と第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドを導入すること、
ただし、該ベクターは複製起点と2つの二本鎖相同性アームを、ベクターDNA鎖
に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アー
ムの順序で含むものであり、該標的DNAは標的DNA配列と2つの二本鎖末端を、標
的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順
序で含むものであり、該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の
順序で、第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオ
リゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターD
NA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌ
クレオチド配列が該標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり
、該第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌク
レオチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖
を含んでなり、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性
アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が該標
的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であること、および、b) 該細
胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、を含んでなる。
【0019】 この方法の特定の実施形態では、宿主細胞がプロモーターに機能的に連結され
た部位特異的リコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、該ベ
クターが部位特異的リコンビナーゼの第1および第2の認識部位をさらに含み、
第1の認識部位が第1および第2の相同性アームの外側に位置し、第2の部位特
異的リコンビナーゼ認識部位が第1および第2の相同性アームの内側に位置し、
そして、ステップb)の間に、またはステップb)の後で、部位特異的リコンビナー
ゼの発現を誘導する。
【0020】 この方法の別の特定の実施形態では、宿主細胞がプロモーターに機能的に連結
された部位特異的エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含
み、該ベクターが第1および第2の相同性アームの内側に位置する部位特異的エ
ンドヌクレアーゼの認識部位をさらに含み、そして、ステップb)の間に、または
ステップb)の後で、部位特異的エンドヌクレアーゼの発現を誘導する。
【0021】 特定の実施形態において、該ベクターは相同性アームの外側に位置する選択マ
ーカーをさらに含み、そして、該ベクターがベクターDNA鎖に沿って5'から3'の
方向に、次の2つの順序のいずれかで、i) 第1の相同性アーム、選択マーカー
、複製起点、および第2の相同性アーム、またはii) 第1の相同性アーム、複製
起点、選択マーカー、および第2の相同性アームを含む。特定の実施形態におい
て、選択マーカーは該ベクターを含む細胞に抗生物質耐性を賦与する。
【0022】 種々の特定の実施形態では、細菌性リコンビナーゼはRecE/Tリコンビナーゼ、
Redα/βリコンビナーゼ、またはRecE/TリコンビナーゼとRedα/βリコンビナー
ゼの両方である。他の特定の実施形態では、前記細胞が細菌細胞である。他の特
定の実施形態では、前記細胞が大腸菌細胞である。他の特定の実施形態では、前
記細胞がRecE/Tおよび/またはRedα/βタンパク質を組換え的に発現する真核細
胞である。他の特定の実施形態では、前記方法が前記ベクターに挿入された標的
DNAを含む組換えDNA分子を単離することをさらに含む。
【0023】 別の実施形態において、本発明は、関心のある標的DNA分子の位置指定クロー
ニングまたはサブクローニングに有用な二本鎖DNAベクターを提供し、該ベクタ
ーは複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向
に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含んでなり、
第1のベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標
的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、かつ第1のベクターD
NA鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第2
の末端のヌクレオチド配列に相同である。該ベクターの特定の実施形態では、複
製起点が細菌の複製起点である。別の特定の実施形態では、複製起点が大腸菌内
で機能する。別の特定の実施形態では、複製起点が哺乳動物細胞内で機能する。
【0024】 本発明はさらに、関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブ
クローニングに有用な二本鎖DNAベクターを含有する細胞を提供し、該ベクター
は複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に
、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含んでなり、第
1のベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標的D
NA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、かつ第1のベクターDNA
鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第2の
末端のヌクレオチド配列に相同である。特定の実施形態では、細胞が細菌細胞で
ある。
【0025】 本発明はさらに、標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブクローニン
グに有用なキットを提供し、該キットは、1つ以上の容器内に、a) 関心のある
標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブクローニングに有用な二本鎖DNA
ベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5
'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序
で含んでなり、第1のベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配
列が、第1の標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、かつ
第1のベクターDNA鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標
的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該ベクター、および
、b) 細菌性リコンビナーゼを含む細胞、を含んでなる。該キットの特定の実施
形態では、相同性アームがBAC、PAC、ラムダ、プラスミドまたはYACに基づくク
ローニングベクターに対する配列相同性を有する。該キットの別の特定の実施形
態では、第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドがBAC、PAC、ラムダ、プラ
スミドまたはYACに基づくクローニングベクターに対する配列相同性を有する。
【0026】 別の実施形態においては、標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブク
ローニングに有用なキットが提供され、該キットは、1つ以上の容器内に、a)
関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニングに有用
な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA
鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性ア
ームの順序で含む該ベクター、b) 3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌク
レオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDN
A鎖を含んでなる第1の二本鎖オリゴヌクレオチドであって、該第1のヌクレオ
チド配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同
であり、かつ該第2のヌクレオチド配列が標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオ
チド配列に相同である、該第1のオリゴヌクレオチド、c) 3'から5'の方向に、
次の順序で、第3のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2
のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第2の二本鎖オリゴヌクレオチドであ
って、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームの
ヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が標的DNA鎖上
の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第2のオリゴヌクレオチド、
および、d) 細菌性リコンビナーゼを含む細胞、を含んでなる。このキットの特
定の実施形態では、前記細胞が大腸菌細胞である。該キットの特定の実施形態で
は、前記細胞がDNAを取り込む能力のある凍結細胞である。
【0027】 別の実施形態において、本発明は標的DNA分子の位置指定クローニングまたは
サブクローニングに有用なキットを提供し、該キットは、1つ以上の容器内に、
a) 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニングに有
用な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクターD
NA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性
アームの順序で含む該ベクター、b) 3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌ
クレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチド
DNA鎖を含んでなる第1の二本鎖オリゴヌクレオチドであって、該第1のヌクレ
オチド配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相
同であり、かつ該第2のヌクレオチド配列が標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレ
オチド配列に相同である、該第1のオリゴヌクレオチド、および、c) 3'から5'
の方向に、次の順序で、第3のヌクレオチド配列および第4のヌクレオチド配列
を含む第2のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第2の二本鎖オリゴヌクレ
オチドであって、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同
性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が標
的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第2のオリゴヌク
レオチド、を含んでなる。該キットの特定の実施形態では、DNAベクターが精製
されている。該キットの特定の実施形態では、DNAベクター、第1の二本鎖オリ
ゴヌクレオチド、および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドが精製されている。
【0028】 本発明により提供されるキットの他の特定の実施形態では、標的DNA分子が細
菌、ウイルス、寄生生物、または原生動物のDNAを含む。他の特定の実施形態で
は、標的DNA分子が障害または疾患に関連することが知られたまたは予想された
遺伝的突然変異または多型を含む。他の特定の実施形態では、細菌性リコンビナ
ーゼがRecE/Tリコンビナーゼ、Redα/βリコンビナーゼ、またはRecE/Tリコンビ
ナーゼとRedα/βリコンビナーゼの両方である。
【0029】 本発明の方法は診断に使用することができる。例えば、プラスミドまたは線状
DNA断片は、特定のDNA標的を捕捉して被験者由来のサンプル中のその存在(例え
ば、患者のサンプル中に存在するウイルスDNA)を検出するように設計すること
ができる。一つの実施形態において、本発明は、遺伝的に突然変異を起こしたと
き、障害または疾患に関連することが知られたまたは予想された標的DNAの検出
方法を提供する。特定の実施形態では、標的DNAが細菌、ウイルス、寄生生物、
または原生動物のDNAである。特定の実施形態では、ベクターに挿入された標的D
NAを含む組換えDNA分子を検出することをさらに含む方法が提供される。別の実
施形態では、前記方法はベクターに挿入された標的DNAを含む組換えDNA分子を検
出することをさらに含む。
【0030】 別の実施形態において、本発明は病原体の存在の検出方法を提供し、その際、
標的DNAは感染症を有すると予想された患者に由来するものであり、第1および
第2の相同性アームの配列は該病原体のDNA中に存在する配列に相同である。特
定の実施形態では、標的DNAが感染症を有すると予想された患者に由来するもの
であり、第2および第4のヌクレオチド配列が該病原体のDNA中に存在する配列
に相同である。他の特定の実施形態では、病原体がウイルス、細菌、原生動物、
真菌、または寄生生物である。
【0031】 他の実施形態においては、遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的
形質の存在を検出する方法が提供され、その際、標的DNAは遺伝的状態、遺伝的
疾患、遺伝的障害または多型的形質を有すると予想された患者に由来するもので
あり、第1の相同性アームの配列は遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または
多型的形質に関連することが知られたまたは予想された部位の上流の配列に相同
であり、かつ第2の相同性アームの配列は遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害
または多型的形質に関連することが知られたまたは予想された部位の下流の配列
に相同である。特定の実施形態では、遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害また
は多型的形質の存在を検出する方法が提供され、その際、標的DNAは遺伝的状態
、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質を有すると予想された患者に由来す
るものであり、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドの配列は、遺伝的状態、遺伝的
疾患、遺伝的障害または多型的形質に関連することが知られたまたは予想された
部位の上流の配列に相同であり、かつ第2の二本鎖オリゴヌクレオチドの配列は
、遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質に関連することが知ら
れたまたは予想された部位の下流の配列に相同である。特定の実施形態では、遺
伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質が癌、喘息、関節炎、薬剤
耐性、薬剤毒性、または神経的、神経精神的、代謝的、筋肉、心血管な、もしく
は皮膚の状態、疾患または障害であるか、あるいはこれらに罹りやすくする。
【0032】4.図面の説明 本明細書の最後を参照のこと。
【0033】5.発明の説明 本発明は、細菌性リコンビナーゼによって媒介される相同的組換えを用いたDN
Aのクローニングおよびサブクローニングのための方法ならびに組成物に関する
。本発明者は、高効率の標的クローニングおよびサブクローニングを達成するた
めに特定の方法で細菌性リコンビナーゼを利用できることを発見した。
【0034】 好ましくは、用いる細菌性リコンビナーゼはRecE/Tおよび/またはRedα/βで
ある。大腸菌におけるRecE/T経路は以前に記載されており、その構成成分は一部
が特徴づけられている(HallおよびKolodner, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. U.
S.A. 91: 3205-3209; Gillenら, 1981, J. Bacteriol. 145: 521-532)。RecE/T
経路を介した組換えは2個の遺伝子(すなわち、recEとrecT)の発現を必要とし
、これらのDNA配列はすでに発表されている(Hallら, 1993, J. Bacteriol. 175:
277-278)。RecEタンパク質はRedαとも呼ばれているλexoと機能的に類似して
おり、RecTタンパク質はRedβおよびファージP22のerfと機能的に類似している(
Gillenら, 1977, J. Mol. Biol. 113:27-41; Little, 1967, J. Biol. Chem. 24
2:679-686; RaddingおよびCarter, 1971, J. Biol. Chem. 246:2513-2518; Jose
phおよびKolodner, 1983, Biol. Chem. 258:10411-17; JosephおよびKolodner,
1983, Biol. Chem. 258:10418-24; MuniyappaおよびRadding, 1986, J. Biol. C
hem. 261:7472-7478; KmiecおよびHollomon, 1981, J. Biol. Chem. 256:12636-
12639; PoteeteおよびFenton, 1983, J. Mol. Biol. 163:257-275; Passyら, 19
99, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:4279-4284、ならびにそこに引用された文
献)。
【0035】 本明細書には、位置指定DNAクローニングおよびサブクローニングのための細
菌性リコンビナーゼの使用に関する方法および組成物が開示される。本明細書中
で用いる「DNAクローニング」という用語は、宿主細胞内で増やすことができる
ように、任意の源からのDNAを自律複製ベクター中に挿入するプロセスを意味す
る。「DNAサブクローニング」という用語は、自律複製ベクター中にすでに存在
するDNA断片を他の自律複製ベクター中に移すプロセス、または精製されたウイ
ルスゲノムのような高度に濃縮されたDNA分子に由来するDNA断片またはPCRで増
幅されたDNA断片を自律複製ベクター中に移すプロセスを意味する。「位置指定
」(directed)または「標的」(targeted)クローニングおよびサブクローニングと
いう用語は、標的DNAを選択するための、および、相同性アームの選択および方
向づけによって標的DNAの挿入方向を指定するための、相同性アームの使用、そ
して種々の実施形態ではアダプターオリゴヌクレオチドの使用を意味する。本発
明の方法は全て、DNAのクローニングとサブクローニングの両方法に適用される
ことに留意すべきである。
【0036】 本発明の組成物および方法の構築を、以下で詳細に説明する。特に、第5.1節
には、相同的組換えによりDNA断片を標的クローニングするための本発明の媒介
組換えクローニング法を記載する。以下の第5.2節には、関心のある標的DNA断片
をターゲッティングし、捕捉し、クローニングするように設計されたDNA構築物
をはじめとする本発明の組成物を記載する。また、RecE/Tおよび/またはRedα/
βタンパク質のような細菌性リコンビナーゼをコードする核酸分子、そのような
組成物を含む細胞、ならびにそのような核酸および細胞を構築するための方法も
開示する。以下の第5.3節には、遺伝子発現を検出し、疾病状態を診断するため
の細菌性リコンビナーゼ標的クローニングの方法およびキットの使用を開示する
【0037】5.1 相同的組換えによるクローニングおよびサブクローニングの方法 ここに記載する種々の方法は、細菌性リコンビナーゼ媒介相同的組換えにより
関心のある任意のDNAを効率よく標的クローニングするために使用することがで
きる。ここに記載する3つのアプローチは、共通の構成成分として、細菌性リコ
ンビナーゼ組換えタンパク質を発現する細胞、およびベクターを必要とする。ベ
クターの例は図1Aに示してある。このベクターは3つの必須エレメント、すなわ
ち、複製起点と2つの二本鎖DNAの短い領域(本明細書中では「相同性アーム」
と呼ぶ)を含んでいる。
【0038】 相同性アームは、ベクターが、相同的組換えによって相同性アーム間で標的DN
Aを捕捉できるように特異的に設計される。相同性アーム間に標的DNAを正しく挿
入するには、該アームの配列、位置および方向が重要となる。一つの実施形態に
おいて、相同性アームが標的DNAの末端に対する配列相同性を有する場合は、2
つの相同性アームの配列は標的DNAに隣接するDNAの配列に対応する。すなわち、
一方のアーム(図1ではAとして表示)は標的DNAの上流のDNA配列(図1ではC
として表示)に対応し、他方のアーム(図1ではBとして表示)は標的DNAの下
流に位置する配列(図1ではDとして表示)に対応する。所望の挿入物に対する
2つのアームの方向は、標的DNAに対する相同配列の方向と同じでなければなら
なず(図1参照)、こうして、相同性アームと標的DNAとの組換えにより、標的D
NAが2つの相同性アームの間、つまり「内側」(図1参照)、に挿入される。本
明細書中で用いるとき、位置が2つの相同性アームの間に位置づけられる場合、
位置は2つの相同性アームの「内側」であると定義され、こうして、第1の相同
性アームは一方向で複製起点とそれ自体の間に、そして第2の相同性アームは他
方向で複製起点とそれ自体の間に位置づけられる。一方、一方向で、どちらの相
同性アームもそれ自体を複製起点から隔離しない場合は、位置は2つの相同性ア
ームの「外側」であると定義される。したがって、定義によれば、複製起点と選
択マーカーはベクターの相同性アームの「外側」にあり(図1参照)、こうして
、標的配列の挿入はプラスミド上に複製起点と選択マーカーを保存することとな
る。他方、標的DNAは、定義によれば、相同性アームの「内側」に挿入される。
図1Aは、相同性アームの「内側」と「外側」の意味を模式的に示したものである
【0039】 別の実施形態において、相同性アームは1セットの二本鎖アダプターオリゴヌ
クレオチドに対する配列相同性を有する。そのようなアダプターオリゴヌクレオ
チドは図1Bに例示してある。各アダプターオリゴヌクレオチドの配列は、ベクタ
ーの相同性アームの一方の配列と、さらに、関心のある標的遺伝子に隣接する配
列に相同な配列とを含む(図1C参照)。こうして、一つのアダプターオリゴヌク
レオチドは、一方の相同性アームのDNA配列(図1にA'として表示)および標的D
NAの上流のヌクレオチド配列(図1にC'として表示)に対する相同性を含む。二
つ目のアダプターオリゴヌクレオチドは、他方の相同性アームのDNA配列(図1
にB'として表示)および標的DNAの下流に位置するヌクレオチド配列(図1にD'
として表示)に対する相同性を含む。この方法では、アダプターオリゴヌクレオ
チドの配列を変えることによって、関心のある特定の遺伝子配列をターゲッティ
ングするように一般的相同性クローニングベクターを適合させることができる(
図5参照)。本発明の各種実施形態を実行するために使用しうる方法ならびに組
成物をここで詳しく説明する。
【0040】 以下に記載する方法は、相同的組換えによる位置指定クローニングの3つのと
りうるアプローチを含む。以下で詳述するように、3つのアプローチは、それぞ
れ、特定のクローニング用途にそれを優先させるような独自の利点を有する。こ
れらの方法および用途を以下で詳しく説明する。図2に示すアプローチでは、標
的DNAを含む細胞にクローニングベヒクルを導入する。この第1のアプローチを
使用すると、煩雑な制限分析およびin vitro操作を必要とせずに、挿入物を1つ
のレプリコンから別のレプリコンに都合よく移すことができる。このアプローチ
は、標的DNAが大腸菌のレプリコン中にすでに存在し、それの更なる使用には選
ばれた部分のサブクローニングが必要となる場合に有用である。例えば、コスミ
ド、ファージまたはBACライブラリーから単離されたDNAクローンの使用は、挿入
物を配列決定するために、または遺伝子によりコードされるタンパク質を発現さ
せるために、選ばれた部分を新ベクターにサブクローニングすることによって促
進される。図3に示す第2のアプローチでは、クローニングベクターおよび標的
DNAを作製し、その後、一緒に細胞に導入する。あるいはまた、図4に示すよう
に、クローニングベクターをすでに含む細胞に、関心のあるDNAを添加してもよ
い。後者の2つのアプローチは、例えば癌細胞由来のDNAのように、標的DNAがな
んらかの外部源に由来するものである場合に有用である。
【0041】5.1.1 アプローチ1:標的DNAを含む宿主細胞へのベクターの導入 図2に示すように、一実施形態では、標的DNA配列は、細菌性リコンビナーゼ
を発現する宿主細胞内にすでに存在する。例えば、標的DNAは、独立して複製す
るDNA分子、例えば、限定するものではないが、プラスミド、ファージ、細菌人
工染色体(BAC)、または大腸菌宿主細胞中の大腸菌染色体上に常在しうる。Rec
E/TまたはRedα/βリコンビナーゼのような細菌性リコンビナーゼを発現する宿
主細胞を構築する方法については、第5.2.2節に詳しく説明する。
【0042】 複製起点と、この起点およびマーカーの両端に位置する2つの相同性アームを
含むベクターDNAを宿主細胞に導入する。好ましくは、このベクターは、線状分
子であり、上記相同性アームは、線状分子の各末端に位置するが、これらアーム
は、内側にあってもよい。細胞に入った後、ベクターDNAの相同性アームと、標
的DNA配列との間の相同的組換えにより、相同性アーム間に標的DNAが挿入され、
その結果、環状のエピソームが形成される。次に、細胞を選択培地上で培養する
ことにより、ベクターに存在する選択マーカーを選択する。環状化された分子だ
けが複製する能力があり、宿主細胞中で選択が可能であることから、選択培地で
成長した細胞の多くは、標的DNAを含む組換え分子を含有するだろう。
【0043】 一実施形態では、線状ベクターDNA断片の末端を、修飾ヌクレオチドで遮断す
ることにより、相同的組換え以外のあらゆる手段、すなわち、非正統的組換えで
、線状断片の末端の接合によって発生する事象の数を減少させることができる。
このような修飾ヌクレオチド、例えば、ホスホチオネートヌクレオチドを、相同
性アームの5’末端ヌクレオチドに組み込むことができる。修飾ヌクレオチドは
、上記ベクターを構築するのに用いたプライマーのオリゴヌクレオチド合成中に
組み込んでもよいし(以下の第5.2.1節を参照)、あるいは、合成後に、オ
リゴヌクレオチドまたは線状ベクターDNAの酵素的もしくは化学的修飾により付
加してもよい。オリゴヌクレオチドおよび線状DNA断片のこのような修飾の方法
は、当業者には公知であり、以下の第5.2.2節に詳しく説明する。
【0044】5.1.2. アプローチ2:ベクターおよび標的DNAの宿主細胞への共導入 図3に示すように、別の実施形態では、ベクターDNAおよび標識DNAをin vitro
で混合した後、RecE/TまたはRedα/βリコンビナーゼを含む細胞に共導入する。
標的DNAは、いかなる供給源に由来するものでもよい。例えば、標的DNAは、限定
するものではないが、全血液、血漿、血清、皮膚、唾液、尿、リンパ液、生検吸
引液、組織培養細胞、培地等の生物学的サンプル、あるいは、食品、水もしくは
その他の材料等の非生物学的サンプルから取得することができる。このような供
給源からDNAを調製する方法は、当業者には公知である(例えば、Current Proto
cols in Molecular Biology series of laboratory technique manuals, 1987-1
994 Current Protocols, 1994-1997 John Wiley and Sons, Inc.を参照)。
【0045】 ベクターおよび標的DNAを用意し、in vitroで混合した後、好ましくは、共電
気穿孔による大腸菌中での形質転換により、細菌性リコンビナーゼタンパク質を
発現する細胞に共導入する。このベクターDNAは、線状DNAまたは環状プラスミド
DNAのいずれの形状をしていてもよい。好ましい実施形態では、該ベクターは、
線状DNA分子である。標的DNAの供給源は、ベクターDNAに対して過剰の重量で、
すなわち過多に、混合することにより、細胞に、目的とする標的DNA領域の可能
な限り多数のコピーを導入し、これによって、組換え産物の収率を最大限にする
。細胞を選択培地で成長させることにより、環状化した産物を選択する。好まし
い実施形態では、上記ベクターは、抗生物質耐性マーカーを含み、細胞を抗生物
質の存在下で成長させる。このような選択下で増殖可能なコロニーは、線状断片
の環状化した、組換え形態を含む。
【0046】 一実施形態では、線状ベクターDNA断片の末端は、以下の第5.2.1節で説
明するように、修飾ヌクレオチドで遮断することができる。オリゴヌクレオチド
のこのような修飾の方法は、当業者には公知であり、以下の第5.2.1節で説
明する。
【0047】 このアプローチは、標的DNAが、大腸菌以外の供給源、例えば、酵母または真
核細胞から得られる場合に特に有用である。一実施形態では、この方法を診断目
的に用いて、あらゆる生物サンプル中における特定のDNAの存在を検出すること
ができる。例えば、この方法を用いて、乳癌患者から採取した生検サンプル中の
特定のエストロゲン受容体またはBRCA 1対立遺伝子の存在を検出することができ
る。
【0048】 別の実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法による増幅に代わるもの
として、上記方法を用いることにより、DNAの領域を増幅することができる。大
腸菌中での相同的組換え、クローニングおよび増殖による増幅によって、PCRに
基づく方法に対比していくつかの利点が得られる。第1に、PCRのエラーは、多
くの目的にとって大きな欠点となり得る。PCRプライマー対の組合わせは、擬似
反応産物を産生する傾向がある。さらに、最終的反応産物におけるエラー数は、
エラーがDNAサンプルに導入された後、PCR増幅のラウンド毎に、指数関数的に増
加する。これに対し、相同的組換えクローニングによる増幅は、大腸菌中の細胞
プルーフリーディング機構という利点があるため、これより少なくとも1,000倍
忠実である。第2に、本方法を用いて増幅することのできるDNA領域のサイズに
対する制限が少ないことである。数キロベースより長い(5〜10kb以上の)DNA
領域の増幅は、PCR法を用いては困難である。本方法は、少なくとも約100キロベ
ースまでの、はるかに大きい領域のクローニングに適している。現在、ゲノムの
クローニングは、大きなランダムライブラリーを作製した後、個々のクローンを
選別および順序付けするという長々とした工程を必要とする。本方法を用いて、
相同性アームを設計し、そして大きく、非重複の、連続したクローン(「コンテ
ィグ」と呼ぶ)へのゲノムのクローニングを指令するためのベクターを構築する
ことができる。第3に、DNAをPCR法で生成した後でも、PCR産物は、さらに別の
処理工程でクローニングしなければならない。相同的組換えクローニング法では
、この追加のサブクローニング工程の必要がなくなる。増幅しようとするDNAの
領域を相同性アームの間に単に挿入し、大腸菌宿主中に、ベクターDNAで形質転
換するだけでよい。
【0049】 この実施形態における相同的組換えは、DNAを細胞に添加する前に、in vitro
で実施することができる。例えば、単離したRecEおよびRecT、または、RecE/Tを
含む細胞抽出物をDNAの混合物に添加してもよい。組換えをin vitroで行う場合
には、DNA分子の選択は、適当な宿主細胞中に組換え混合物を形質転換し、前述
したように、陽性クローンを選択することにより、達成される。
【0050】5.1.3 アプローチ3:ベクターDNAを含む宿主細胞への標的DNAの導入 別の実施形態では、ベクターDNAをすでに含む細胞に、標的DNAを導入する。標
的DNAは、前記5.1.2節に記載したように、どんな供給源に由来するもので
もよく、線状または環状のいずれの形態をしていてもよい。前述のように、いっ
たん標的DNAが細胞内に入ると、相同性アームと標的DNA間の相同的組換えにより
、相同性アーム間への標的DNAの挿入が起こる。しかし、この場合、所望の産物
および非組換えベクターの両方が選択マーカー遺伝子を発現するので、逆選択(
counter-selection)によって、非組換えベクターに対して選択する必要がある
。本明細書中では、この逆選択を達成するため、様々な実施形態について詳述す
る。例えば、一実施形態では、部位特異的組換えおよび切除反応を用いた方法を
使用することができる。このアプローチを図5に示す。別の実施形態では、非組
換えベクターを切断する誘導可能なヌクレアーゼを誘導する。これらいずれの実
施形態でも、組換え産物を含まないベクターは除去される。
【0051】 上記ベクターを、まずプラスミドとして構築し、次に、宿主細胞に導入し、そ
こで、増殖させることができる。図5に示すように、上記ベクターは、(i)複製
起点(任意の起点)と;(ii)選択マーカー(Sm)と;(iii)2つの相同性アーム
と;(iv)出発プラスミドベクターに対して選択するのに用いることができる逆選
択マーカー、例えば、限定するものではないが、部位特異的リコンビナーゼの1
対の認識部位(相同性アームの外側に位置する第1認識部位、および相同性アー
ムの内側に位置する第2認識部位)、もしくはエンドヌクレアーゼの認識部位等
を含む。本明細書で用いられるように、部位が2つの相同性アームの間に位置す
る場合、該部位は相同性アームの「内側」に位置するという。これによって、一
方向で、第1相同性アームが、複製起点とそれ自体との間にあり、反対方向で、
第2相同性アームが、複製起点とそれ自体との間に位置する。これに対し、一方
向で、相同性アームのいずれも、それ自体と複製起点とを隔てていない場合には
、位置は、相同性アームの「外側」であると定義する(相同性アームの「内側」
と「外側」の意味を図式的に説明した図1を参照のこと)。前記の第5.1節に
記載したように、複製起点と選択マーカーは、相同性アームの外側に配置し、こ
れによって、標的配列の挿入が、プラスミド上の複製起点と選択マーカーを保存
するようにしなければならない。好ましくは、逆選択マーカー、エンドヌクレア
ーゼ部位、もしくは、2つの部位特異的リコンビナーゼ標的部位の1つは、複製
起点および選択マーカーとは反対側で、相同性アームの「内側」に配置する(図
5参照)。
【0052】 非組換えベクターに対する逆選択を可能にする当業者には公知のあらゆる方法
を用いることができる。例えば、一実施形態では、逆選択は、誘導可能な部位特
異的リコンビナーゼ(SSR)により達成することができる。部位特異的リコンビ
ナーゼは、部位特異的リコンビナーゼ標的部位(SSRTs)と呼ばれる2つの標的
部位を認識する酵素であり、これら部位で、DNA鎖の交換および切除反応を媒介
する働きをする(Halletら、FEMS Microbiol. Rev., 1997, 21:157-78;Sauer,
1994, Curr. Opin. Biotechnol. 5:521-7:Starkら、1992, Trends Genet., 8:4
32-9)。部位特異的リコンビナーゼの例は、当業者には公知であり、限定するも
のではないが、Cre、Flp、KwまたはRリコンビナーゼを含む(Nunes-Dubyら、199
8, Nucleic Acids Res. 26:391-406;Ringroseら、1997, Eur. J. Biochem. 248
:903-912;Utatsuら、1987, J. Bacteriol. 169:5537-5545)。2つの直接反復
SSRTが環状プラスミドに常在する場合には、2つのSSRT間の部位特異的組換えに
より、2つの環状プラスミドが形成される。複製起点を含む産物だけが、細胞内
に維持される。従って、環状プラスミドにおける2つの直接反復SSRT間の部位特
異的組換えにより、複製起点を含まない側では、2つのSSRT間に位置するDNA配
列の欠失が起こる。
【0053】 2つのSSRTを含むDNAベクターが構築されるが、両者は、直接反復配列として
配向され、1つは、相同性アームの内側に位置し、他方は、該アームの外側で、
かつ、選択マーカー(SM)と複製起点との間に位置する。このように位置するSS
RT間の組換えにより、選択マーカーからの複製起点の分離が起こる(図5)。従
って、SSRは、2つのSSRTを含む非組換えDNAベクターに作用し、その結果、宿主
細胞からそのようなプラスミドが消失する。
【0054】 次に、標準的方法により、宿主細胞をベクターDNAで形質転換する。この実施
形態では、該宿主細胞は、1)RecE/Tおよび/またはRedα/β遺伝子と、2)SSRを
コード化する遺伝子を含んでいなければならない。好ましくは、RecE/Tおよび/
またはRedα/β遺伝子の発現は誘導性であるが、構成性発現も可能である。SSRT
を認識する部位特異的リコンビナーゼ(SSR)をコードする遺伝子は誘導性でな
ければならない。誘導性および構成性プロモーターは当業者には公知であり、組
換え遺伝子の構築および発現におけるそれらの使用方法は、以下の第5.2.3
節に記載する。RecE/Tおよび/またはRedα/β遺伝子が、発現のために誘導を必
要とする場合には、コンピテント細胞を作製する直前に、発現を誘導するような
条件下で、ベクターを含む細胞を成長させる。ベクターDNAを含む宿主細胞を選
択し、選択培地にプレートし、増殖させることにより維持する。
【0055】 次に、ベクターを含む宿主細胞から、コンピテント細胞を作製する。細胞を標
的DNAで形質転換する。その際、該標的DNAは、あらゆる供給源から作製すること
ができ、例えば、任意の細胞から作製した全ゲノムのDNAでもよい。細胞を短時
間培養して、相同的組換えを起こさせる。相同的組換えにより、1つのSSRTを含
む相同性アーム間の配列が欠失され、標的遺伝子配列が挿入される。次に、SSR
の発現を誘導する。このSSRは、非組換えベクターにおける直接反復SSRTに作用
し、これによって、選択マーカーとプラスミドの複製起点を分離する。挿入標的
を含むプラスミドは、唯1つのSSRTを有し、インタクトのままである。この工程
全体を通じて、選択を維持しても、しなくてもよいが、SSRの誘導後間もなく、
すなわち、部位特異的組換えが起こって間もなく、選択を課する必要がある。こ
のようにして、SSRの誘導により、挿入標的遺伝子を含むプラスミドの選択が行
われる。
【0056】 別の実施形態では、エンドヌクレアーゼを用いて、相同的組換えの直前、その
最中、あるいは、その後のいずれかに、in vivoで相同性アーム間のベクターを
線状化することができる。線状プラスミドは、環状化されない限り、細胞中で生
存し得ないため、組換え前のベクターの線状化は、正しい組換え産物を選択する
だろう。組換え後、エンドヌクレアーゼの持続した活性が、挿入断片を含むプラ
スミドの選択を助ける。何故なら、相同的組換え中に、SSRは、エンドヌクレア
ーゼ認識部位を欠失し、その代わりに、標的DNAを挿入するからである。エンド
ヌクレアーゼは、非組換えベクターだけを切断し、挿入された標的配列を有する
プラスミドはインタクトのままにしておくため、組換え後のエンドヌクレアーゼ
の持続した活性が、非組換え産物を逆選択する。この実施形態では、非常に稀有
な認識部位を有するエンドヌクレアーゼを用いて、これ以外の部位が、宿主細胞
DNAに存在しないようにしなければならない。このような「レアカッター(rare-
cutter)」の例は、当業者には公知であり、限定するものではないが、λcos、
酵母HO、またはPI-Sce1等のイントロンコード化エンドヌクレアーゼが含まれる
。エンドヌクレアーゼの認識部位を2つの相同性アーム間にクローニングし、エ
ンドヌクレアーゼによる酵素消化によって、相同性アーム間でのベクターの線状
化が起こるようにする。エンドヌクレアーゼ遺伝子の発現は誘導性でなければな
らない。誘導性タンパク質発現のための構築物および方法については、以下の第
5.2.3節で述べる。
【0057】 別の実施形態では、エンドヌクレアーゼではなく、SSR、例えば、Creリコンビ
ナーゼを用いて、in vivoで非組換えベクターを線状化することができる(Mulli
nsら、1997, Nucleic Acids Res. 25:2539-40)。この場合には、相同性アーム
の内側に位置する唯1つのSSRT部位を有するベクターを構築する。オリゴヌクレ
オチド中に1コピーの同じSSRTを含む過剰量のオリゴヌクレオチドを標的DNAと
混合し、標的DNAと共に宿主中に共形質転換する。好ましくは、このオリゴヌク
レオチドは、短い二本鎖DNA分子である。組換え用分子の1つが短いオリゴヌク
レオチドに常在するSSRTを有する場合は、部位特異的リコンビナーゼが、そのSS
RTで、ベクターを線状化する(Mullinsら、1997、前掲)。
【0058】 別の実施形態では、前述した部位特異的組換えおよびエンドヌクレアーゼのア
プローチを組み合わせることができる。この場合、非組換えベクターが、相同性
アームの内側に、SSRTとエンドヌクレアーゼ部位の両方を含むようにする。この
アプローチの一実施形態では、SSRTおよびエンドヌクレアーゼは、単一の誘導プ
ロモーターの制御下で、共調節することができる。このようなタンパク質の共調
節された誘導性発現のための構築物および方法については、以下の第5.2.3
節に述べる。
【0059】 別の実施形態では、逆選択のために、これらの部位特異的組換えを組み合わせ
て用いることが可能である。この実施形態では、2対のSSR/SSRT、例えば、Cre/
loxとFlp/FRTを使用する。このベクターは、複製起点と選択マーカーとの間に、
第1のSSR、すなわち、SSR1に対する2つの部位を含み、その一方は相同性アー
ムの内側に位置し、他方は相同性アームの外側に位置する。さらに、該ベクター
は、第2のSSR、すなわち、SSR2に対する1つの部位を含み、これは相同性アー
ムの内側に位置している。SSR2に対するもう1つの部位は、短い二本鎖オリゴヌ
クレオチド上に位置し、標識DNAに対して過剰量が、細胞形質転換中、標的DNAと
一緒に添加される。特定の実施形態では、例えば、線状化工程のための1つのSS
R/SSRT対はCre/loxPであり、欠失工程のためのもう一方の対は、Flp/FRTである
【0060】 別の実施形態では、細胞に対する直接的逆選択を用いることができる。この場
合には、プラスミドの複製起点が、大腸菌内での単一コピー(または非常に低い
コピー)での維持を指令する。このクラスの複製起点は、ファージP1起点、なら
びに、大腸菌染色体起点oriCに基づくプラスミド等のイテロン(iteron)クラス
の起点を含む。適した複製起点については、Helinski, D.R, Toukdarian, A.E.,
Novick, R.P. “Escherichia coli and Salmonella, Cellular and Molecular
Biology” 第2版Frederick C. Niedhardt編、ASM press, Washington, 1996, I
SBN 1-55581-084-5の第122章、pp2295-2324を参照されたい。この場合、SSRTを
含まないベクターを構築してもよく、逆選択遺伝子は、相同性アームの間に含ま
れる。このような逆選択マーカー遺伝子は、当業者には公知であり、例えば、sa
cB、ccdB、もしくはテトラサイクリン耐性遺伝子を用いることができる(また、
適した逆選択遺伝子および方法の一覧については、Reyratら、1988、Infect. Im
mun. 66:4011-7も参照されたい)。意図する相同的組換え反応は、逆選択遺伝子
を欠失することにより、意図する組換え産物を保有する細胞が逆選択圧の下で生
存すると同時に、非組換えベクターを保有する細胞は死滅するようにする。
【0061】5.2 相同的組換えによるクローニングおよびサブクローニングのための組成物 様々な実施形態における相同的組換えによるクローニングのための組成物をこ
こに記載する。以下の第5.2節に記載するクローニング方法の各々については
、次の3つの成分が、単一細胞に共存する必要がある:第1に、標的配列に対し
て配列相同性を有するDNAの2つの短い領域(本明細書では「相同性アーム」と
呼ぶ)を保有するベクター;第2に、RecE/Tおよび/またはRedα/βタンパク質
対、もしくはその他の細菌性リコンビナーゼ;第3に、標的DNA配列。細菌性リ
コンビナーゼによって媒介される相同性アームに存在するこれら相同配列と、標
的遺伝子の隣接した領域との間の組換えによって、標的DNAが2つの相同性アー
ムの間に挿入もしくは「捕捉」される。これら組成物と、それらの構築方法につ
いては本明細書で詳しく説明する。
【0062】5.2.1 相同性クローニングベクター 相同性クローニングベクターは、複製起点と、選択マーカーと、目的とする標
的DNAを捕捉するように設計されたDNAの2つの短い領域とを含む線状または環状
DNAベクターでありうる。使用するアプローチもしくは方法に応じて、数種の形
態のクローニングベクターが考えられる。好ましい形態およびそれらの構築方法
は、図1〜5に示してあり、本明細書で詳しく説明する。
【0063】5.2.1.1 複製起点 ベクターは複製起点を必要とするが、これはプラスミドの複製および増殖のた
めに必要である。大腸菌でのクローニングおよび増殖のためには、あらゆる大腸
菌複製起点を用いることができ、その例は当業者には公知である(Miller, 1992
, A Short Course in Bacterial Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess, NY、ならびに、その中の参照文献を参照のこと)。容易に入手可能なプラ
スミド複製起点の非制限的例は、ColE1由来の複製起点(Bolivarら、1977, Gene
2:95-113;Sambrookら、1989、前掲)、pACYC184等のプラスミドに存在するp15
A起点(ChangおよびCohen, 1978, J. Bacteriol. 134:1141-56;Miller、1992,
p.10.4-10.11も参照)、ならびに、低コピープラスミド発現のために利用可能な
pSC101起点であり、これらはすべて、当業者にはよく知られている。
【0064】 例えば、一実施形態では、ColE1由来の複製起点を含むプラスミド等の高コピ
ープラスミドからの複製起点を用いるが、その例は、当業者には公知である(Sa
mbrookら、1989、前掲を参照;また、Miller, 1992, A Short Course in Bacter
ial Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY、ならびに、その中
の参照文献も参照のこと)。一例は、pUC19およびその誘導体からの起点である
(Yanisch-Perronら、1985, Gene 33:103-119)。pUCベクターは、1細胞当たり3
00〜500コピーのレベルで存在し、外来遺伝子の挿入には好都合のクローニング
部位を有する。非常に高度の発現のためには、λgt11(Huynhら、1984、“DNA C
loning Techniques:, Vol I: A Practical Approach”, D. Glover編、 pp 49-7
8, IRL Press, Oxford)等のλベクター、あるいは、T7およびSp6ポリメラーゼ
発現系(Studierら、1990, Methods Enzymol. 185:60-89)を含む細胞内のT7ま
たはSP6ファージプロモーターを用いることができる。
【0065】 これより低レベルの発現を所望する場合には、中または低コピープラスミドか
らの複製起点を用いることができる。中コピープラスミドは当業者には公知であ
り、例えば、ColE1由来の複製起点と、1細胞当たり20〜100コピーを有するpBR3
22(Bolivarら、1977, Gene 2:95-113;Sambrookら、1989、前掲を参照)、ある
いは、pACYC100シリーズのプラスミドの1つであり、p15A複製起点を有し、1細
胞当たり10〜12コピーで存在するpACYC184(ChangおよびCohen, 1978, J. Bacte
riol. 134:1141-56;また、Miller、1992, p.10.4-10.11も参照)がある。また
、低コピープラスミドも当業者には公知であり、例えば、pSC101起原と、1細胞
当たり約5コピーとを有するpSC101がある。pACYCおよびpSC101プラスミドベク
ターは両者とも、適合性の複製起点と、選択抗生物質マーカーを有するため、好
都合なクローニング部位を有し、pBRおよびpUCプラスミドと同じ細胞中に共存す
ることができる。他の適したプラスミド複製起点は、λまたはファージP1レプリ
コンに基づくプラスミド、例えば、ロリスト(Lorist)シリーズ(Gibsonら、19
87、Gene 53:283-286)を含む。
【0066】 さらに低い発現を所望する場合には、複製起点は、細菌染色体から得ることが
できる(Miller、1992、前掲;Nieldardt, F.C., ed., 1987, Escherichia coli
and Salmonella typhimurium, American Society for Microbiology, Washingt
on, D.C.;Yarmolinsky, M.B.およびStemberg, N., 1988, pp.291-438, in Vol.
1 of The Bacteriophages, R. Calendar, ed., Plenum Press, New Yorkを参照
)。さらに、合成の複製起点を用いてもよい。
【0067】5.2.1.2 選択マーカー プラスミドベクターを細胞内に維持するため、ベクターは、典型的には、選択
マーカーを含む。当業者には公知のあらゆる選択マーカーを使用することができ
る。大腸菌ベクターの構築のため、大腸菌中で有効な抗生物質に対する耐性を送
達するあらゆる遺伝子、あるいは、容易に識別可能または選択可能な表現型の変
化を送達するあらゆる遺伝子を用いることができる。好ましくは、抗生物質耐性
マーカーを用いるが、これらは、例えば、TN903からのカナマイシン耐性遺伝子
(FriedrichおよびSoriano, 1991, Gene. Dev. 5:1513-1523)、あるいは、他の
アミノグリコシド(限定するものではないが、ジヒドロストレプトマイシン、ゲ
ンタマイシン、ネオマイシン、パロマイシンおよびストレプトマイシンを含む)
に対する耐性を賦与する遺伝子、ペニシリン(限定するものではないが、アンピ
シリン、カルベニシリン、メチシリン、ペニシリンN、ペニシリンOおよびペニシ
リンVを含む)に対する耐性を賦与するβラクタマーゼ遺伝子等がある。他の選
択遺伝子配列として、限定するものではないが、ゼオシン耐性を賦与するポリペ
プチドをコードする遺伝子配列がある(Hegedusら、1998, Gene 207:241-249)
。使用することのできるその他の抗生物質は、クロラムフェニコール等のアンフ
ェニコールに対する耐性を賦与する遺伝子、例えば、クロラムフェニコールトラ
ンスアセチラーゼ(CAT)のコード配列を使用することができる(Eikmannsら、1
991, Gene 102:93-98)。当業者には理解されるように、プラスミドの維持を選
択するその他の非抗生物質的方法、例えば、多様な栄養要求性マーカーを使用し
てもよい(Sambrookら、1989、前掲;Ausbelら、前掲)。
【0068】5.2.1.3 相同性アーム ベクターの必要な成分は、二本鎖DNAの2つの短い領域であり、本明細書では
「相同性アーム」と呼ばれる。図1に示したように、一実施形態では、2つの相
同性アーム(AおよびBと呼ぶ)は、目的とする標的DNA(A’およびB’と呼ぶ)
に隣接するDNAの配列と相同であり、一方のアームは、標的DNAから上流のDNA配
列と相同で、第2のアームは、標的DNAから上流のDNA配列と相同である。本明細
書では、2つの二本鎖DNA分子が、共通の同一性領域(場合によっては、1つ以
上の塩基対の差異により中断されていてもよい)を共有しており、相同的組換え
のための基質として機能することができれば、両者は「相同」であるという。好
ましい実施形態では、相同性アームは、目的とする標的DNAに隣接する二本鎖領
域に対して、約22〜100以上の塩基対の連続的同一性を有する。相同性の領域は
、相同性アームが依然として相同的組換えのための効率的基質である限り、1つ
以上の非同一残基により中断されていてもよい。好ましい実施形態では、組換え
効率を最適にするために、相同性アームは、長さが約50ヌクレオチドであり、20
〜30(例えば、25)塩基対の連続して、中断されていない配列同一性を有する。
連続的同一性はさらに短い領域でも可能であるが(例えば、少なくとも6、8も
しくは10塩基対)、このような短い領域の連続的同一性を用いた場合、組換え効
率の低下が予想される。例えば、一実施形態では、連続的同一性の長さは、6bp
まで短くてもよい(KeimおよびLark, 1990, J, Structural Biology 104:97-106
)。相同性アームの長さ、あるいは、隣接する標的DNA配列に対する連続的同一
性の長さに上限はない。
【0069】 標的DNAに隣接するヌクレオチド配列は、本明細書では、標的DNAの「末端」と
呼ばれる。従って、標的DNAは、2つの末端、すなわち、第1末端と第2末端を
有することになる。所望の挿入断片に対する2つのアームの配向は、標的DNAに
対する相同配列の配向と同じにし(図1を参照)、これによって、相同性アーム
と、標的DNAの第1および第2末端との間の組換えにより、2つの相同性アーム
間に標的DNAが挿入されるようにしなければならない。
【0070】 2つの相同性アームの配列は、実験的設計に応じて選択する。相同性アームの
選択に対する制限は、それが標的DNA内に1回より多く見出される配列であって
はならないことと、相同的組換え反応の間、宿主細胞の他所で存在してはならな
いことだけである。この場合、目的とする相同的組換え産物はまだ得られるもの
の、代替の相同的組換え現象のバックグラウンドにおいてである。一実施形態で
は、相同性アームの配列は、BAC、PAC、YAC(酵母人工染色体)、λEMBLまたは
λGTシリーズ、ファージミド、コスミド、pBR322、pGEM、pGEX、pGEX、pET等の
ファージクローニングベクター、バキュロウイルスベクター、アデノウイルスベ
クターおよびアデノ関連ウイルスベクター等のウイルスベクター等の通常用いら
れるクローニングベヒクルのポリリンカーに隣接する2つの配列である。従って
、単一のベクターを用いて、これらベクター中にクローニングされたあらゆる挿
入断片をサブクローニングすることができる。このような相同性アームを含むベ
クターは、BAC、PAC、YAC、コスミドまたはλライブラリー等のDNAライブラリー
からの陽性クローンに由来する挿入断片をサブクローニングするのに特に有用で
ある。
【0071】 以下に説明するように、様々な実施形態において、相同性アームは、線状DNA
分子の末端に位置するか、あるいは、線状DNA分子または環状DNAプラスミドベク
ターの内部に位置する。
【0072】 相同性アームは、標的ヌクレオチド配列におけるそれらの方向に対して同じ方
向で配向される。言い換えれば、相同性アームは、組換えが起こった後、所望の
DNA配列が該アーム間に挿入されるように配向される。相同性アームが、線状DNA
の末端に位置する場合には、挿入されたDNA配列は、捕捉され、両アームの間に
挿入され、これによって、環状の複製可能なプラスミドを生成する。
【0073】5.2.1.4 アダプターオリゴヌクレオチド相同性アーム 別の実施形態では、相同性アームのヌクレオチド配列は、アダプターオリゴヌ
クレオチドに存在するヌクレオチド配列と相同的である。2つのアダプターオリ
ゴヌクレオチドの各々は、相同性アームの一方に存在するヌクレオチド配列と相
同的なヌクレオチド配列と、標的DNAの2つの末端の一方と相同的な第2相同性
領域とを含む。アダプターオリゴヌクレオチドは、図1に示す。ベクターの相同
性アームはAおよびBと呼び、これら配列と相同的なアダプターオリゴヌクレオチ
ドの領域は、A’およびB’と呼ぶ。標的DNAの2つの末端は、CおよびDと呼び、
アダプターオリゴヌクレオチドに存在する、対応する相同的配列は、C’およびD
’と呼ぶ。この実施形態では、ベクター相同性アームと、アダプターオリゴヌク
レオチドの相同性領域と、標的遺伝子の隣接末端との間で、RecE/TまたはRedα/
βにより媒介される組換えの結果、標的DNAが、ベクターの相同性アーム間に挿
入もしくは「捕捉」される。
【0074】5.2.1.5 ベクターの構築 上記の線状断片または環状ベクターは、当業者には公知の標準的方法を用いて
構築することができる(Sambrookら、1989、前掲;Ausubelら、前掲参照)。例
えば、合成または組換えDNA技術を用いてもよい。一実施形態では、線状断片がP
CR増幅により作製される。この方法では、オリゴヌクレオチドが、それらの5’
末端で相同性アーム配列を、また3’末端でPCRプライマー配列を有するように、
合成する。次に、これらオリゴヌクレオチドを、PCR増幅反応で、プライマーと
して用いることにより、複製起点と選択遺伝子マーカーを含むDNA領域を増幅す
る。別の実施形態では、標準的組換えDNA技術により、プラスミドが、複製起点
および選択遺伝子マーカーに隣接する、2つの適切に配向された相同性アームを
含むように構築することができる(例えば、Methods in Enzymology, 1987, Vol
ume 154, Academic Press;Sambrookら、1989, Molecular Cloning - A Laborat
ory manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Press, New York;Ausubelら、
Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and
Wiley Interscience, New Yorkを参照)。次に、例えば、制限エンドヌクレア
ーゼ消化により、このプラスミドを線状化する。
【0075】 別の実施形態では、例えば、次の方法を用いて、前記の第5.1.3節で使用
するベクターDNAを構築することができる。2つのオリゴヌクレオチドを合成す
るが、その1つは、5’から3’末端まで、該ベクターに固有の制限部位と、左相
同性アームと、PCRプライマーとを含む。他方のオリゴヌクレオチドは、5’から
3’末端まで、該ベクターに固有の同じ制限部位と、SSRTと、右相同性アームと
、PCRプライマーとを含む。これら2つの相同性アームは、標的DNAに隣接するよ
うに選択する。SSRTは、Cre、Flp、KwまたはRリコンビナーゼ等の部位特異的リ
コンビナーゼ(SSR)のいずれかにより認識される部位である。オリゴヌクレオ
チドの合成は、2つのSSRTが、ベクターにおいて、定方向反復配列として配向さ
れるように、設計しなければならない。2つのPCRプライマーを用いて、プラス
ミド起点と、選択遺伝子と、該起点および選択遺伝子間の同一SSRTとを含むDNA
鋳型を増幅する。次に、PCR反応の産物を、オリゴヌクレオチドの5’末端に含ま
れる部位を認識する制限酵素で切断することにより、連結反応による効率的な環
状化を可能にする。こうして得られた環状産物を増幅用の大腸菌中に形質転換す
ることによって、多量のベクターを生産する。
【0076】 別の実施形態では、選択マーカーと、起点と、2つのクローニング部位とを有
するプラスミドを用いて、オリゴヌクレオチド相同性アームを各クローニング部
位にクローニングすることにより、線状断片を構築する。次に、制限酵素を用い
て、プラスミドDNAを切断し、相同性アームにより結合された線状断片を生成す
る。この方法は、より複雑なプラスミド、例えば、真核発現エレメントを含ませ
るために真核エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含むプラスミドの構
築に好ましい。また、これ以外の配列をベクターにサブクローニングしてもよい
【0077】 該ベクターはまた、挿入された標的DNAのタンパク質発現、操作または維持の
ために、関心のある追加のヌクレオチド配列を含んでもよい。例えば、ベクター
内の適した位置に、プロモーター配列、エンハンサー配列、シャイン・ダルガル
ノ配列のような翻訳配列、転写因子認識部位、コザック共通配列、ならびに、終
結シグナルを含むことができる。細菌細胞以外の細胞、例えば、植物、昆虫、酵
母または哺乳動物細胞での組換えクローニングのためには、種特異的複製起点、
転写、処理および翻訳シグナル等を含むその他の配列エレメントが必要となる場
合もある。このようなエレメントは、限定するものではないが、真核複製起点、
エンハンサー、転写因子認識部位、CATボックス、またはプリブナウボックスを
含むことができる。
【0078】 RecE/Tおよび/もしくはRedα/βまたはその他の細菌性リコンビナーゼが、細
胞中で、発現プラスミドから組換えにより生成される実施形態においては、選択
されるベクターは、以下の第5.2.3節に記載した細菌性リコンビナーゼ発現
プラスミドと適合性でなければならない。当業者であれば、1細胞に多数のプラ
スミドを発現させるのに必要な適合性要件について容易に理解されるであろう。
原核細胞における2つ以上の構築物の増殖方法は、当業者には公知である。例え
ば、多数のレプリコンを含む細胞を通常の手順で選択した後、適切に適合性の複
製起点と、独立した選択系とを含むベクターを用いて、これらを維持する(Mill
erら、1992、前掲;Sambrookら、1989、前掲参照)。
【0079】5.2.2 細菌性リコンビナーゼ 本明細書中に記載する発明を、主に、RecE/Tおよび/またはRedα/βの使用に
関して説明する。しかし、当業者には明らかなように、本発明は、基質として1
対の相同的二本鎖DNA分子を用いて相同的組換えを媒介する能力があるその他の
細菌性リコンビナーゼの使用にも、同様に適用可能である。本明細書では、細菌
性リコンビナーゼとは、ファージまたは細菌のいずれに由来するかに拘わらず、
細菌において内在的に発現されて、相同的組換えを媒介することができる、リコ
ンビナーゼを意味する。様々な実施形態において、細菌性リコンビナーゼは、Re
cE/Tおよび/またはRedα/βリコンビナーゼである。別の具体的実施形態では、
相同的組換えを開始するための機能的に同等の系は、ファージP22からのerfタン
パク質を含む。さらに、細菌性リコンビナーゼの個々のタンパク質成分に代わり
、本発明で使用するその他の機能的成分を用いてもよい。
【0080】 本明細書で用いる「RecE」および「RecT」は、まず、大腸菌(例えば、大腸菌
K12)のRecEまたはRecTを意味する。大腸菌RecEおよびRecTのヌクレオチドおよ
びアミノ酸配列は、よく知られている(RecE、GenBank受託番号M24905およびSWI
SS-PROT受託番号P15033;RecT、GenBank受託番号L23927およびSWISS-PROT受託番
号P33228)。また、「Redα」および「Redβ」は、ファージλコード化タンパク
質を意味する。Redαは、RecEの5’〜3’エキソヌクレアーゼに類似した5’〜3
’エキソヌクレアーゼ活性を有し、Redβは、RecTに類似したDNAアニーリング活
性を有する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、これら両方のラムダタンパク
質についてよく知られている(GenBank受託番号J02459;M17233を参照)。
【0081】 当業者には明らかなように、本明細書中でRecE/Tおよび/またはRedα/βと言
及するとき、特に明瞭に、または文脈によって、指示されない限り、RecE/Tおよ
びRedα/βの組合わせも含むものとする。特定の実施形態では、2つの酵素複合
体の組合わせは、組換えの効率に共働作用をもたらす。
【0082】 使用することのできる細菌性リコンビナーゼはまた、該リコンビナーゼの成分
の対立遺伝子変異体も含む。例えば、本発明のRecE/TおよびRedα/β組換え系に
おいて使用するアミノ酸配列は、RecE、RecT、Redα、またはRedβのいずれかの
対立遺伝子変異体が、機能的変異体であって、少なくとも、これら変異体が相同
的組換え活性を示す限り、これら変異体によってコード化されたアミノ酸配列を
含んでいてもよい。対立遺伝子変異体は、標準的組換えDNA技術(例えば、Metho
ds in Enzymology, 1987, volume 154, Academic Press;Sambrookら、1989, Mo
lecular Cloning - A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor P
ress, New York;およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,
Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New York)、または
、タンパク質進化手法(Jermutusら、1998, Curr. Opin. Biotechnol. 9:534-5
48)を用いて、通常の手順で同定および取得することができる。
【0083】 一般に、このような対立遺伝子変異体をコード化する核酸は、中程度にストリ
ンジェントな条件(例えば、標準的サザンブロッティングハイブリダイゼーショ
ン条件を用いて、最終的洗浄を0.2 x SSC/0.1% SDSで、42℃にて行う;Ausubel
ら、編、1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publ
ishing Associates, Inc.およびJohn Wiley & sons, Inc., New York, p. 2.10.
3)、もしくは、高度にストリンジェントな条件(例えば、標準的サザンブロッ
ティングハイブリダイゼーション条件を用いて、最終的洗浄を0.1 x SSC/0.1% S
DSで、68℃にて行う;Ausubelら、前掲)下で、RecE、RecT、Redα、またはRed
βのコード配列の相補体にハイブリダイズすることが可能なものでなければなら
ない。
【0084】 また、本発明で用いられるRecE、RecT、RedαおよびRedβは、腸内菌(Entero
bacteriaceae)科の原核細胞を宿主とするファージ、あるいは、これらの細胞に
由来するRecE、RecT、RedαおよびRedβも含む。腸内菌科のメンバーは、限定す
るものではないが、各種のエシェリキア属、サルモネラ属、シトロバクター属、
クレブシエラ属、ならびに、プロテオス属を含む。このようなRecE、RecT、Red
α、またはRedβ相同体は、一般に、ファージゲノムに存在する遺伝子によって
コード化され、その産物は、λファージの生活環におけるRedαおよびRedβのよ
うなファージ生活環での組換え媒介段階に参加する。
【0085】 RecE/T相同体は、標準的な原核遺伝子技術および組換えDNA技術(例えば、Sam
brookら、前掲およびSusubelら、前掲参照)を用いて、通常の手順で同定および
取得することができる。組換えDNAは、クローン化ゲノムまたはcDNAライブラリ
ーから取得するか、もしくは、PCR増幅により得られる。例えば、ゲノムライブ
ラリーは、標準的分子生物学的方法により作製するか、あるいは、市販されてい
る、または市販されていない供給源から取得することができる。ゲノムライブラ
リーまたはcDNAライブラリーは、標識大腸菌recEまたはrecTプローブとの核酸ハ
イブリダイゼーション(GrunsteinおよびHogness, 1975, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 72:3961)によりスクリーニングし、陽性クローンを単離して、配列決定
することができる。
【0086】 特定の実施形態では、RecEまたはRecT相同体は、ネズミチフス菌において、通
常の手順で同定することができる。recEおよびrecT遺伝子は、大腸菌K-12におい
て、よく特性付けされており;RecE(GenBank受託番号M24905およびSWISS-PROT
受託番号P15033)およびRecT (GenBank受託番号L23927およびSWISS-PROT受託番
号P33228)両者のヌクレオチド配列およびタンパク質配列が知られている;(Bac
hmann, 1990, Microbiol. Rev. 54:130-197;Rudd, 192, in Miller, 1992, 前
掲、pp.2.3-2.43も参照されたい)。完全なネズミチフス菌ゲノムコスミドまた
はλライブラリーを用いてもよい。次に、前述したようなハイブリダイゼーショ
ン条件を用いて、大腸菌RecTまたはRecTプローブとのハイブリダイゼーションに
より、上記ネズミチフス菌ライブラリーをスクリーニングすることができる。例
えば、2つの遺伝子は高度に相同的であると予想されることから、標準的な中程
度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が好ましい。
【0087】 一実施形態では、このような条件は以下を含むことができる:6X SSC, 5Xデン
ハーツ溶液と、0.5%SDSと、100μg/mlの変性サケ精子DNAとを含む溶液において
、DNA含有フィルターを55℃で6時間前処理する。ハイブリダイゼーションは、同
じ溶液中で実施し、5〜20 X 106 cpm 32P-標識プローブを用いる。フィルターを
ハイブリダイゼーション混合物中で18〜20時間55℃でインキュベートした後、1X
SSCおよび0.1%SDSを含む溶液において、30分60℃で2回洗浄する。次に、フィ
ルターの水分を吸い取り乾燥させて、X線フィルムに暴露してオートラジオグラ
フィーを実施する。用いることのできる中程度ストリンジェンシーの他の条件は
当業者には公知である。フィルターの洗浄は、2X SSC、0.1%SDSを含む溶液にお
いて、1時間37℃で実施する。後のネズミチフス菌を含むクローンの単離、精製
および特性決定は、当業者には公知の手順(Ausubelら、前掲参照)により実施
することができる。このような配列を用いて、本発明のネズミチフス菌Rec/Tを
構築することができる。
【0088】 あるいは、ネズミチフス菌遺伝子をネズミチフス菌mRNAから単離することがで
きる。mRNAは、RecEまたはRecTタンパク質を発現する細胞から単離することがで
きる。cDNAライブラリーは、mRNAの逆転写により作製し、ゲノムライブラリーを
スクリーニングする前記の方法(Ausubelら、前掲参照)等、当業者には公知の
方法によりスクリーニングすることができる。これ以外にも、RACE(cDNA 末端
の高速増幅:Rapid Amplification of cDNA Ends;Ausubelら、前掲)等のPCR技
術により、recEまたはrecT cDNAを同定することができる。その際、大腸菌recE
またはrecT配列から設計した2つのプライマー: 大腸菌recEまたはrecT mRNAの
5’末端と同じ配列を有する「前進(forward)」プライマーと、その3’末端に相
補的な「逆進(reverse)」プライマーとを用いる。PCR産物は、配列決定により確
認し、サブクローン化した後、本発明のRecE/Tを構築するのに用いることができ
る。また、このようなcDNA配列を用いることにより、当業者には公知の方法(Sa
mbrookら、1989、前掲;Ausubelら、前掲参照)を用いて、ネズミチフス菌recE
またはrecT配列を単離することも可能である。
【0089】 本発明のRecE/T組換え酵素をコード化する核酸分子は、さらに、当業者には公
知の組換えおよび合成手段(Sambrookら、1989、前掲;Ausubelら、前掲)に従
い、合成および/または構築することができる。
【0090】 以下に述べるように、発現が調節可能(例えば、誘導可能)であり、広い範囲
の発現レベルが達成できるように、配列の発現を制御する能力が、本発明の方法
の実施に有利である。
【0091】 核酸分子は、例えば、染色体外(例えば、プラスミド、コスミドまたはバクテ
リオファージ上)で維持することができる。あるいは、例えば、ファージ形質導
入または転位を用いて、核酸分子を染色体(例えば、大腸菌染色体)に組み込む
ことも可能である。従って、RecE/Tコード配列は、各細胞内に、高コピー、低コ
ピーもしくは単コピーで存在するように標準的技法により作製することができる
。また、多様な調節配列を用いて、組換えタンパク質の発現を推進することも可
能である。発現/株構築のこれら態様の各々は、広い範囲の組換えタンパク質発
現レベルを示す細胞を生産するように操作することができる。組換えタンパク質
コード配列の単コピー染色体は、その構成が、株の構築を容易にすることから、
さらに有利である。
【0092】5.2.2.1 タンパク質発現 細菌性リコンビナーゼは、細菌、酵母、昆虫、もしくは哺乳動物細胞において
、構成的または誘導的のいずれでも発現させることができる。好ましい実施形態
では、組換えタンパク質は、細菌、最も好ましくは、大腸菌株において発現させ
る。例えば、宿主細胞は、宿主細胞染色体に位置するrecEおよびrecT遺伝子を含
む。RecE/Tの発現が内在性である大腸菌株の例は公知であり、例えば、大腸菌sb
cA株(Zhangら、1998、前掲)がある。あるいは、RecE/Tは、好ましくは、プラ
スミドベクター、例えば、pBADETγ(Zhangら、1998、前掲)またはpGETrec(Na
rayananら、1999, Gene Ther. 6:442-447)上で、非染色体DNAから組換えにより
発現させることができる。同様に、Redα/βは、λプロファージを組み込んだ株
に内在性であるか、あるいは、プラスミド、例えば、pBADαβγ(Muyrersら、1
999、前掲)から発現させることができる。RecE/Tおよび/またはRedα/β発現
構築物は、標準的組換えDNA技術に従って構築することができる(例えば、Metho
ds in Enzymology, 1987, volume 154, Academic Press;Sambrookら、1989, Mo
lecular Cloning - A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor P
ress, New York;ならびに、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biol
ogy, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New Yorkを参照
のこと、尚、これら文献は各々、参照としてその全文を本明細書に組み込むもの
とする)。
【0093】 一実施形態では、RecE/Tおよび/またはRedα/βは、ColE1由来の複製起点を
含むプラスミドのような高コピープラスミドから大腸菌中で発現させる。このよ
うなプラスミドの例は当業者には公知であり(Sambrookら、1989、前掲を参照;
また、Miller, 1992, A Short Course in Bacterial Genetics, Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, NY、ならびに、その中の参照文献も参照)、例えば、p
UC19およびその誘導体(Yanisch-Perronら、1985, Gene 33:103-119)がある。
【0094】 様々な発現レベルで、発現(調節的または構成的発現のいずれか)を可能にす
る調節制御に関して、多様な調節配列が当業者にはよく知られている。広い範囲
で発現させることができるということは、以下に説明するように、本発明の方法
の使用には有利である。このような発現は、構成的、ならびに、調節的、あるい
は、誘導的方式のいずれでも達成することができる。
【0095】 広い範囲の発現をもたらす誘導性発現は、多様な誘導性調節配列を用いること
によって得ることができる。一実施形態では、例えば、lacI遺伝子とその無償性
誘導物質IPTGを用いることにより、このようなポリペプチドをコード化する配列
を、lacOP調節配列を介して転写すると、誘導性で、高レベルのRecE/Tの発現を
得ることができる。
【0096】 RecEおよびRecTを異なるプロモーターから発現させることができる。あるいは
、recEおよびrecT遺伝子を、単一プロモーターから、ポリシストロン性mRNAに発
現させることもできる。このような異種プロモーターは、誘導性でも、構成性で
もよい。好ましくは、発現は、誘導性プロモーターによって制御される。広い範
囲の発現をもたらす誘導性発現は、様々な誘導性調節配列を用いることにより得
ることができる。一実施形態では、例えば、lacI遺伝子とその無償性誘導物質IP
TGを用いることにより、このようなポリペプチドをコード化する配列を、lacOP
調節配列を介して転写すると、誘導性で、高レベルのRecE/Tの発現を得ることが
できる。使用することのできる他の様々な誘導性プロモーター系が、当業者には
公知である。RecE/TまたはRedα/β構築物からの発現レベルは、強度の異なるプ
ロモーターを用いることにより、変えることができる。
【0097】 使用することのできる他の調節性発現系は、限定するものではないが、例えば
、アラビノーズ(AraC)により誘導可能なaraCプロモーター、TET系(Geissendo
rferおよびHillen, 1990, Appl. Microbiol. Biotechnol. 33:657-663)、ファ
ージλ温度のPLプロモーターおよび誘導性λリプレッサーCI857(Pirrotta, 197
5, Nature 254:114-117;Petrenkoら、1989, Gene 78:85-91)、trpプロモータ
ーおよびtrpリプレッサー系(Bennettら、1976, Proc. Natl. Acad. Sci USA 73
:2351-55;Wameら、1986, Gene 46:103-112)、lacUV5プロモーター(Gilbertお
よびMaxam, 1973, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 70:1559-63)、lpp(Nokamura
ら、1982, J. Mol. Appl. Gen. 1:289-299)、T7遺伝子−10プロモーター、phoA
(アルカリホスファターゼ)、recA(Horiiら、1980)、ならびに、tacプロモー
ター、トリプトファンにより誘導可能なtrp-lac融合プロモーター(Amannら、19
83, Gene 25:167-78)を含み、これらはすべて、一般的に用いられる強力なプロ
モーターであり、レベルが各プロモーターにより制御される1タンパク質につい
て、全細胞タンパク質の約1〜10%の蓄積レベルをもたらす。より強力なプロモ
ーターを所望する場合には、tacプロモーターはlacUV5の約10倍強力であるが、
高いベースラインレベルの発現をもたらすため、過剰発現が必要な場合に限り使
用すべきである。より弱いプロモーターが必要な場合には、他の細菌プロモータ
ーが当業者にはよく知られており、例えば、マルトース、ガラクトース、あるい
は、その他の望ましいプロモーター(このようなプロモーターの配列は、Genban
kから入手可能である(Burksら、1991, Nucl. Acids Res. 19:2227-2230)。
【0098】 本明細書に記載した方法に有用な細胞は、RecE/Tおよび/またはRedα/βリコ
ンビナーゼを含むあらゆる細胞である。好ましくは、宿主細胞は、グラム陰性細
菌細胞である。さらに好ましくは、宿主細胞は、腸内細菌細胞である。腸内菌科
のメンバーは、限定するものではないが、各種のエシェリキア属、サルモネラ属
、シトロバクター属、クレブシエラ属およびプロテウス属を含む。最も好ましい
宿主細胞は、大腸菌細胞である。細胞はまた、適したリコンビナーゼを発現する
ように作製できるものであれば、あらゆる生物に由来するものでよく、限定する
ものではないが、酵母、ハエ、マウス、またはヒト細胞を含む。リコンビナーゼ
は、好ましくは、大腸菌に由来するRecE/Tリコンビナーゼ、もしくはファージλ
に由来するRedα/βリコンビナーゼ、あるいは、腸内菌もしくは腸内菌ファージ
に由来する機能的に同等のRecE/TまたはRedα/βリコンビナーゼ系であり、この
ような系が、配列相同性の領域間の組換えを媒介する。
【0099】 RecE/Tおよび/またはRedα/βタンパク質を発現する細胞は、事前にエレクト
ロコンピテント(electrocompetent)にしておき、−70℃で保存することができ
る。
【0100】 これ以外にも、本発明の方法は、RecE/Tおよび/またはRedα/βの発現が可能
なその他のあらゆる細胞型で実施することができる。例えば、多様な宿主−ベク
ター系を用いて、タンパク質コード配列を発現させることができる。これらは、
限定するものではないが、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイ
ルス等)に感染した哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に
感染した昆虫細胞系;酵母ベクターを含む酵母等の微生物、あるいは、バクテリ
オファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換した細菌を
含む。ベクターの発現エレメントは、その強度および特異性が変動する。使用す
る宿主−ベクター系に応じて、多数の適した転写エレメントおよび翻訳エレメン
トのいずれか1つを用いることができる。特定の実施形態では、RecE/Tおよび/
またはRedα/β遺伝子、あるいは、RecE/Tおよび/またはRedα/βの機能的に活
性の部分をコードする配列を発現させる。さらに別の実施形態では、RecE/Tおよ
び/またはRedα/βタンパク質のドメインを含むRecE/TまたはRedα/βの断片を
発現させる。
【0101】 ベクターにDNA断片を挿入するために、既に記載されている方法のいずれかを
用いて、適切な転写/翻訳制御シグナルと、タンパク質コード配列とから成るキ
メラ遺伝子を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in v
itro組換えDNAおよび合成方法、ならびに、in vivo組換え体(遺伝子組換え)を
含む。RecE/TもしくはRedα/βタンパク質またはペプチド断片をコード化する核
酸配列の発現は、第2の核酸配列によって調節することにより、組換えDNA分子
で形質転換した宿主中で、RecE/TもしくはRedα/βタンパク質またはペプチドを
発現させることができる。例えば、RecE/TまたはRedα/βタンパク質の発現は、
当業者には公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御する
ことができる。RecE/TまたはRedα/β発現を制御するのに用いることのできるプ
ロモーターは、限定するものではないが、以下を含む:SV40初期プロモーター領
域(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイル
スの3’長末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980, Cell 22:7
87-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981, Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子(Brinsterら、1
982, Nature 296:39-42);ノパリンシンセターゼプロモーター領域を含む植物
性発現ベクター(Herrera-Estrellaら、1984, Nature 303:209-213)またはカリ
フラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981, Nucl. Acid
s Res. 9:2871)、ならびに、光合成酵素リブロースビスホスフェートカルボキ
シラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984, Nature 310:115-120);
Gal 4プロモーター等の酵母または他の菌類からのプロモーターエレメント、ADC
(アルコールデヒドロギナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロイルキナ
ーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、ならびに、組織特
異性を示し、トランスジェニック動物に使用されてきた以下の動物性転写制御領
域を含む:膵臓腺房細胞で活性のエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984
, Cell 38:639-646;Ornitzら、1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.
50:399-409;MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵臓ベータ細胞で活
性のインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122)、リン
パ性細胞で活性の免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984, Cell 3
8:647-658;Adamesら、1985, Nature 318:533-538;Alexanderら、1987, Mol. C
ell. Biol. 7:1436-1444)、精巣、胸部、リンパ性および肥満細胞で活性のマウ
ス乳癌ウイルス制御領域(Lederら、1986, Cell 45:485-495)、肝臓で活性のア
ルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987, Genes and Devel. 1:268-276)、
肝臓で活性のαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985, Mol. Cel
l. Biol. 5:1639-1648;Hammerら、1987, Science 235:53-58);肝臓で活性の
α1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987, Genes and Devel. 1:
161-171)、骨髄細胞で活性のβグロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985, Nat
ure 315:338-340;Kolliasら、1986, Cell 46:89-94);脳の希突起神経膠細胞
で活性のミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987, Cell 4
8:703-712);骨格筋で活性のミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nat
ure 314:283-286)、および視床下部で活性の性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御
領域(Masonら、1986, Science 234:1372-1378)。
【0102】 特定の実施形態では、細菌性リコンビナーゼ(例えば、RecEまたはRecT)コー
ド化核酸に機能的に連結されたプロモーターと、1つ以上の複製起点と、場合に
よっては、1つ以上の選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含むベク
ターを用いる。
【0103】 選択したベクターは、前記第5.2.1節に記載したベクタープラスミドと適
合性でなければならない。当業者であれば、1細胞に多数のプラスミドを維持す
るのに必要な適合性要件について容易に理解されるであろう。原核細胞において
2つ以上の構築物を増殖させる方法は、当業者には公知である。例えば、多数の
レプリコンを含む細胞は、適切に適合性の複製起点と、独立した選択系とを含む
ベクター(Millerら、1992, 前掲、Sambrookら、1989、前掲参照)を用いて、通
常の手順で選択および維持することができる。
【0104】5.2.3 宿主細胞 本発明のクローニング方法、ならびに、クローン化DNAの増殖に用いられる宿
主細胞は、recEおよびrecTおよび/またはredαおよびredβ遺伝子産物を発現さ
せるあらゆる細胞、あるいは、これら遺伝子の異種発現が可能なあらゆる細胞で
よい。使用できると考えられる細胞型の例は、限定するものではないが、細菌、
酵母、植物、げっ歯類、マウス、ヒト、昆虫または哺乳動物の細胞等の原核およ
び真核細胞を含む。好ましい実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞である。最も
好ましい実施形態では、宿主細胞は、大腸菌細胞である。使用できる具体的大腸
菌株の例は、JC 8679およびJC 9604である。JC 8679およびJC 9604の遺伝子型は
、Sex(Hfr、F+、F-、またはF’):F-である。JC8679は、次の突然変異を含む
:recBC 21、recC 22、sdcA 23、thr-1、ara-14、leu B 6、DE(gpt-proA)62、la
cY1、tsx-33、gluV44(AS)、galK2(Oc)、LAM-his-60、relA 1、rps L31(strR)、x
yl A5、mtl-1、argE3(Oc)およびthi-1。JC 9604は、同じ突然変異と、さらに突
然変異recA 56を含む。
【0105】 別の実施形態では、本明細書に記載したクローニングおよびサブクローニング
方法の宿主細胞として、真核細胞を用いることができる。細胞リコンビナーゼ、
もしくはそれらの機能的同等物を発現する、または、発現するように作製するこ
とができるあらゆる細胞を用いることができる。ヒト、マウス、サル、あるいは
、その他のあらゆる生物に由来する細胞系を用いることができる。例えば、本発
明の方法に有用な細胞系の非制限的例は、CHO、VERO、BHK、Hela、COS、MDCK、2
93、3T3、ならびに、WI38細胞を含む。
【0106】 多様な宿主−ベクター系を用いて、RecE/T、Redα/βのタンパク質コード配列
、またはそれらの機能的に同等な系を導入し、発現させることができる。このよ
うな方法は、当業者には公知である(Ausubelら、Current Protocols in Molecu
lar Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, New Yo
rk参照)。このような系には、限定するものではないが、下記を含む:ウイルス
(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等)に感染した哺乳動物細胞系
;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;酵母ベクター
を含む酵母等の微生物、あるいは、バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNAま
たはコスミドDNAで形質転換した細菌。タンパク質発現の方法についても、前記
第5.2.2節に記載されている。
【0107】5.2.4 標的DNA 標的DNAは、実験設計に応じて選択し、長さが、1塩基対という短いものから
、100キロベースを超えるものまで、あらゆる二本鎖DNAでよい。特定の実施形態
では、標的は、長さ100、125、200、または300kb以下である。別の具体的実施形
態では、標的DNAは、例えば、BACベクターに存在するものと同様に、25〜100キ
ロベースである。標的DNAの他の具体的実施形態は、第6節の実施例に記載され
ている。標的DNAは、限定するものではないが、プラスミド、BACまたは大腸菌染
色体等の独立して複製する任意のDNA分子に常在しうる。標的DNAはまた、限定す
るものではないが、あらゆる原核、古細菌もしくは真核細胞、または、ウイルス
、ファージまたは合成起原に由来するDNAを含むあらゆるDNA供給源に常在しうる
。例えば、核酸配列は、次の供給源から取得することができる:ヒト、ブタ、ウ
シ、ネコ、鳥類、ウマ、イヌ、昆虫(例えば、ショウジョウバエ)、無脊椎動物
(例えば、C. elegans)、植物等。DNAは、当業者には公知の標準的方法により
得ることができる(例えば、Sambrookら、1989, Molecular Cloning, A Laborat
ory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Ha
rbor, New York;Glover(編), 1985, DNA Cloning: A Practical Approach, MRL
Press, Ltd., Oxford, U.K. Vol. I, II)。
【0108】5.3 本発明の使用方法 5.3.1 宿主細胞へのDNAの導入 標的DNAを含むDNA調製物を宿主細胞に送達するための、当業者には公知のあら
ゆる方法が、以上説明してきた本発明の方法での使用に適している。このような
方法は、当業者には公知であり、限定するものではないが、細胞の電気穿孔、塩
化カルシウムまたは塩化ルビジウムを用いたコンピテント細胞の作製、ウイルス
粒子にパッケージされた標的DNAによるDNAの形質導入を含む。真核細胞に対する
方法は、限定するものではないが、電気穿孔、DNAのリン酸カルシウム沈殿によ
るトランスフェクション、ならびに、ウイルスパッケージングを含む。好ましい
実施形態では、電気穿孔を用いる。RecE/TまたはRedα/βタンパク質を含む細胞
を処理することによって、これらを標準的方法による電気穿孔に対し、コンピテ
ントとする(Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pu
blishing AssociatesおよびWiley Interscience, New York)。好ましくは、約5
0μlの電気コンピテント細胞の標準調製物を用いて、標準的方法による電気穿孔
を実施する。線状または環状ベクターの形質転換を必要とする実験では、好まし
くは、0.3μg以上のベクターを用いる。標的DNAを含むDNA調製物の形質転換を必
要とする実験では、好ましくは、0.3μg以上を用いる。共形質転換実験について
は、DNAは、電気穿孔の前に混合するのが好ましい。電気穿孔の後、好ましくは
、細胞を培地中に稀釈し、約1時間半の修復時間の間インキュベートした後、選
択マーカー遺伝子によりもたらされた表現型変化を確認する条件下で培養した。
【0109】 ベクターの部位特異的組換えまたはエンドヌクレアーゼ切断を用いた実験では
、SSRもしくはエンドヌクレアーゼの発現、または、SSRとエンドヌクレアーゼも
しくは2つのSSRとの組合わせを、エレクトロコンピテント細胞の作製前、電気
穿孔後の修復時間中、または、選択マーカーを確認する培養中のいずれかに導入
する。
【0110】 最適な形態では、表現型変化は、一抗生物質に耐性であり、対応する抗生物質
を含むプレート上で細胞を培養する。この場合、一晩の培養後、出現した抗生物
質耐性コロニーは、主として、所望のサブクローニング産物を含むはずである。
【0111】 別の実施形態では、ファージ粒子にパッケージされたDNAの形質導入によって
、DNAを宿主細胞に送達する。P1またはλ形質導入およびパッケージングプロト
コルは、当業者には公知である。λパッケージング抽出物は、市販されている(
例えば、Promega、ウィスコンシン州マジソン郡)。
【0112】5.3.2 オリゴヌクレオチド 本発明の方法と共に用いられるオリゴヌクレオチド相同性アーム、プライマー
、ならびに、アダプターオリゴヌクレオチドは、多くの場合、長さが10〜約100
ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドである。特定の態様では、オリゴヌクレオチ
ドは、長さが、10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、50ヌクレオ
チド、もしくは100ヌクレオチド、または、200ヌクレオチド以下である。好まし
い実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、長さが約90ヌクレオチドである。
【0113】 オリゴヌクレオチドは、当業者には公知のあらゆる方法(例えば、Applied Bi
osystems 392/394 DNA合成装置を用いた標準的ホスホロアミダイト化学)を用い
て、合成することができる。さらに、合成で用いる試薬は、多数の市場供給業者
のいずれから入手してもよい。
【0114】 本発明の方法と共に用いられるオリゴヌクレオチドまたはその誘導体は、当業
者には公知のあらゆる方法、例えば、自動DNA合成装置(Biosearch、Applied Bi
osystems等から市販されているもの等)を用いて、合成することができる。例え
ば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinらの方法(1988, Nucl. A
cids Res. 16, 3209)により合成することができ、メチルホスホネートオリゴヌ
クレオチドは、制御された多孔質ガラスポリマー支持体(Sarinら、1988, Proc.
Nat’l Acad. Sci. U.S.A. 85, 7448-7451)等を用いて、作製することができ
る。
【0115】 オリゴヌクレオチドは、修飾が相同的組換えを妨害しない限り、少なくとも1
つの修飾塩基を含んでよい。例えば、このような修飾は、限定するものではない
が、下記を含む:5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、
5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カ
ルボキシヒロドキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チ
オウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β
-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグ
アニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチ
ルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグ
アニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラ
シル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-
メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オ
キシ酢酸(v)、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオ
ウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-
オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラ
シル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、ならびに、2,6-ジア
ミノプリン。
【0116】 オリゴヌクレオチドは、修飾が相同的組換えを妨害しない限り、少なくとも1
つの修飾リン酸バックボーンを含んでよい。例えば、このような修飾は、限定す
るものではないが、下記を含む:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、
ホスホロアミドチオエート、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、メチ
ルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、ならびに、ホルムアセタールま
たはその類似体。
【0117】5.3.3 DNA増幅 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、場合により本発明とともに用いて、供給源
(例えば、組織サンプル、ゲノムまたはcDNAライブラリー)から所望の配列を増
幅する。既知の配列を呈示するオリゴヌクレオチドプライマーは、PCRにおける
プライマーと同様に用いることができる。PCRは、典型的に、サーマルサイクラ
ー(例えば、Perkin-Elmer Cetus)や耐熱性ポリメラーゼ(例えば、商標Gene A
mp(登録商標)のTaqポリメラーゼ)を用いて、実施する。増殖しようとする核
酸鋳型は、限定するものではないが、あらゆる種に由来するmRNA、cDNAまたはゲ
ノムDNAを含みうる。PCR増幅方法は、当業者には公知である(例えば、米国特許
第4,683,202号、第4,683,195号および第4,889,818号;Gyllensteinら、1988, Pr
oc. Nat’l. Acad. Sci. U.S.A. 85, 7652-7656;Ochmanら、1988, Genetics 12
0, 621-623;Lohら、1989, Science 243, 217-220を参照)。
【0118】5.4 診断用途のための方法 本発明の方法を用いて、外来DNAまたは変異体DNAの存在に関連する様々な感染
症、症状、疾患、および障害を検出、予知、診断、もしくはモニターする、また
は、その治療をモニターすることができる。例えば、以下の第5.4.1節に記
載するように、この方法を用いて、ウイルス感染、細菌感染、または、原生動物
、寄生生物もしくはその他公知の病原体による感染に関連する疾患等の様々な感
染症および疾患を検出、予知、診断、またはモニターすることができる。また、
以下の第5.4.2節に記載するように、この方法を用いて、遺伝的突然変異ま
たは単一ヌクレオチド多型(SNP)等の変異体DNAの存在に関連する様々な感染症
、症状、疾患、および障害を検出、予知、診断、またはモニターすることができ
る。
【0119】5.4.1 外来DNAの検出 前述した本発明の方法を用いて、病原体にさらされた患者において、病原体へ
の暴露に由来するウイルスまたは細菌DNA等の外来DNAを検出することができる。
患者は、病原体による感染症の症候、または、病原体の存在に関連する疾患また
は障害の存在を示すこともあれば、示さない場合もある。一実施形態では、例え
ば、このような疾患または感染症を有する、または有すると予想される患者由来
のDNAから、標的DNAサンプルを作製することができる。外来標的DNAに対して配
列相同性を有する相同性アームを設計および作製することができる。次に、前記
第5.1節に記載した方法のいずれかにより、細菌性リコンビナーゼを発現し、
しかも、ベクターDNAを含む大腸菌宿主細胞に、上記サンプルDNAを導入する。別
の実施形態では、ベクター配列に相同的な第1配列と、外来標的DNAに相同的な
第2配列とを含み、前記第5.1節に詳しく記載したように配向されたアダプタ
ーオリゴヌクレオチドを設計することができる。このようなアダプターオリゴヌ
クレオチドを用いて、サンプルDNAおよびベクターDNA、RecE/TまたはRedα/βを
発現する大腸菌宿主細胞と一緒に、共トランスフェクトするか、既にベクターDN
AおよびサンプルDNAを含む細胞に直接トランスフェクトすることができる。次に
、前記第5.1節に記載したように、選択培地で細胞を増殖させ、選択に耐えた
細胞を、適切な大きさの挿入断片の存在について分析することができる。
【0120】 標的DNAは、患者または被験者の生体サンプルから単離することができる。こ
のようなサンプルとして、限定するものではないが、全血液、血漿、血清、皮膚
、唾液、尿、リンパ液、生検吸引液から得た細胞、組織培養細胞、培地、または
、食品、水もしくはその他の材料等の非生体サンプルがある。このような供給源
からDNAを調製する方法は、当業者には公知である(例えば、Current Protocols
in Molecular Biology series of laboratory technique manuals, 1987-1994
Current Protocols, 1994-1997 John Wiley and Sons, Inc.)。
【0121】 例えば、ウイルス感染症または疾患を検出もしくは診断しようとする一実施形
態では、相同性アームは、既知のウイルスDNAのDNA配列と相同的なDNA配列を含
みうる。該方法を用いて、ウイルスDNA鎖、または、DNAもしくはRNAウイルスのD
NA複製中間体のいずれかとして、ウイルスDNAを検出および単離することができ
る。
【0122】 一実施形態では、DNAウイルスのDNAゲノムまたは複製中間体は、例えば、該DN
Aウイルスのウイルス配列と相同的になるよう設計された相同性アーム配列を用
いて、直接ターゲッティングすることができる。このようなDNAウイルスは、限
定するものではないが、下記を含む:B型肝炎ウイルス、アデノ関連ウイルスお
よびサイトメガロウイルス等のパルボウイルス;パピローマウイルス、ポリオー
マウイルス、および、SV40等のパポバウイルス;アデノウイルス、I型単純ヘル
ペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)およびエプスタイン−バールウイ
ルス等のヘルペスウイルス;ならびに、痘瘡(天然痘)およびワクシニアウイル
ス等のポックスウイルス。別の実施形態では、DNA中間体を介して複製するレト
ロウイルスRNAウイルスの複製中間体を直接ターゲッティングすることができる
。その際、このようなRNAウイルスのウイルス配列に相同的となるように設計さ
れた相同性アーム配列を用いる。これらRNAウイルスは、限定するものではない
が、下記を含む:I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-I)、II型ヒト免疫不全ウイルス
(HIV-II)、I型ヒトT細胞向性ウイルス(HTLV-I)、および、II型ヒトT細胞向性
ウイルス(HTLV-II)。別の実施形態では、RNA中間体を介して複製するRNAウイ
ルスのゲノム中間体または複製中間体を検出および単離するために、RNAを単離
し、当業者には公知の方法に従い、逆トランスクリプターゼを用いて、RNAのcDN
Aコピーに転写することができる。このようなcDNAコピーを標的DNAとして用いる
ことにより、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、センダ
イ(Sendai)ウイルス、ポリオウイルスのようなピコルナウイルス、コクサッキ
ーウイルス、ライノウイルス、レオウイルス、風疹ウイルス(ドイツ麻疹)およ
びセムリキ森林熱ウイルスのようなトガウイルス、アルボウイルス、ならびに、
A型肝炎ウイルス等のRNAウイルスの存在を検出することができる。
【0123】 細菌感染症を診断または検出しようとする別の好ましい実施形態では、相同性
アームは、既知細菌のDNA配列と相同的なDNA配列を含むことができる。例えば、
一実施形態では、この相同性アームDNA配列は、病原細菌のcDNAまたはゲノムDNA
に相同的でありうる。このような病原細菌は、限定するものではないが、下記を
含む:化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、淋菌、髄膜炎菌、ジフテリア菌、ボツリヌ
ス菌、ウエルシュ菌、破傷風菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌、臭鼻症菌、鼻硬
腫菌、黄色ブドウ球菌、コレラ菌、大腸菌、緑膿菌、カンピロバクター(ビブリ
オ)フィタス(Campylobacter Vibrio fetus)、Campylobacter jejuni、アエロ
モナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、セレウス菌(Baccilus cereu
s)、エドワージシエラ(Edwardsiella tarda)、エルシニアエンテロコリチカ
、ペスト菌、偽結核エルジニア菌、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ソネ赤痢
菌、ネズミチフス菌、梅毒トレポネーマ、フランベジアトレポネーマ、ピンタト
レポネーマ、ヴァンサンスピロヘータ(Borrelia vincentii)、ライム病ボレリ
ア(Borrelia burgdorferi)、黄疸出血性レプトスピラ(Leptospira icterohemorr
hagiae)、ヒト結核菌、トキソプラズマ(T. gondii)、ニューモシスティス、野
兎病菌、ウシ流産菌、ブタ流産菌、マルタ熱菌、マイコプラズマ種、発疹チフス
リケッチア、ツツガム病シリケッチア、クラミジア種、ならびに、ヘリコバクタ
ー・ピロリ。
【0124】 別の実施形態では、このような相同性アームDNA配列は病原菌のcDNAまたはゲ
ノムDNAと相同的である。これらの病原菌は、限定するものではないが、Coccidi
oides immitis、煙色コウジ菌(Aspergillus fumigatus)、鷲口瘡カンジダ、Bl
acstmyces dermatidis、Cryptococcus neoformans、ならびに、Histoplasma cap
sulatumを含む。
【0125】 原生動物感染症を診断または検出しようとする別の好ましい実施形態では、相
同性アームは、既知原生動物のDNA配列と相同的なDNA配列を含んでいてよい。例
えば、このような相同性アームDNA配列は、あらゆる既知原生動物のcDNAまたは
ゲノムDNAに相同的でありうる。特に興味深い病原原生動物として、Entomoeba h
istolytica、口腔トリコモナス、腸トリコモナス、膣トリコモナス、ガンビア・
トリパノソーマ、ローデシア・トリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ド
ノヴァン・リーシュマニア、熱帯リーシュマニア、ブラジル・リーシュマニア、
Pneumocystis pneumonia、三日熱マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、ならびに
、四日熱マラリア原虫等がある。
【0126】 寄生生物感染症を診断または検出しようとするさらに別の好ましい実施形態で
は、相同性アームは、既知寄生生物のDNA配列と相同的なDNA配列を含むことがで
きる。例えば、このような相同性アームDNA配列は、下記を含むあらゆる既知寄
生生物のcDNAまたはゲノムDNAに相同的でありうる:ギョウチュウ、ヒトベンチ
ュウ、カイチュウ、センモウチュウ、フン線虫、日本住血吸虫、マンソン住血吸
虫、ビルハルツ住血吸虫等の蠕虫、ならびに、鉤虫等。
【0127】5.4.2 細胞DNAにおける突然変異および多型の診断 また、本発明の方法を用いて、患者のサンプルにおける遺伝的障害を単離およ
び検出することや、遺伝的突然変異または単一ヌクレオチド多型(SNP)のよう
な変異体DNAの存在に関連する様々な症状、疾患および障害を予知、診断または
モニターすること、ならびに、疾患または障害を発現する遺伝的素因を検出する
ことも可能である。
【0128】 一実施形態では、例えば、このような遺伝的疾患または障害を有する、もしく
は有すると予想される患者由来のサンプルから単離したDNAから、標的DNAを作製
することができる。好ましい実施形態では、目的とする特定の遺伝子、または、
目的とするゲノム領域に相同的な配列を有する相同性アームを含むベクターを設
計および作製した後、RecE/Tおよび/またはRedα/β等の細菌性リコンビナーゼ
を発現する大腸菌宿主細胞に導入する。次に、このサンプルDNAを宿主細胞に導
入する。別の実施形態では、ベクター配列と相同的な第1配列と、目的とする標
的遺伝子のDNAと相同的な第2配列とを含み、前記の第5.1節に詳述したよう
に配向されたアダプターオリゴヌクレオチドを設計することができる。好ましい
実施形態では、このようなアダプターオリゴヌクレオチドを用いて、サンプルDN
Aと一緒に、RecE/Tおよび/またはRedα/βを発現し、かつ、ベクターDNAを含む
大腸菌宿主細胞を共トランスフェクトすることができる。あるいは、前記の第5
.1節に詳しく記載したその他の相同的組換えクローニング方法のいずれを用い
てもよい。次に、前記第5.1節に記載したように、細胞を選択培地で増殖させ
、選択に耐えた細胞を分析して、適切な大きさの挿入断片の存在について調べる
ことができる。次いで、当業者には公知の制限分析または配列決定技術(例えば
、Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory techniques
manuals, 1987-1994 Current Protocols, 1994-1997 John Wiley and Sons, In
c.を参照)により、DNAを分析し、目的とする突然変異またはDNA変異の存在を調
べることができる。
【0129】 別の実施形態では、相同性アームまたはアダプターオリゴヌクレオチドは、目
的とする遺伝的突然変異またはDNA多型の配列を含みうる。この実施形態では、
サンプルDNAが突然変異を含む場合に限り、組換えが起こる。特定の突然変異を
含む細胞だけが選択に対して耐性であることから、これは、特定の突然変異また
はDNA多型について、多数のサンプルを診断目的でスクリーニングするのに有用
でありうる。
【0130】 標的DNAは、ゲノムDNA、cDNA、またはミトコンドリアDNA等の任意のサンプル
から得ることができる。一実施形態では、例えば、標的DNAは、ヒト染色体の領
域である。別の実施形態では、標的DNAは、混合集団、例えば、目的とする複数
の被験者、例えば、特定の障害に罹患した被験者に由来するゲノムDNAの集団に
存在する。このような標的DNAは、全血液、血漿、血清、皮膚、唾液、尿、リン
パ液、生検吸引液から取得した細胞、組織培養細胞、培地等の生物学的サンプル
、または、食品、水もしくはその他の材料等の非生物学的サンプルから取得する
ことができる。このような供給源からのDNAの作製方法は、当業者には公知であ
る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory
techniques manuals, 1987-1994 Current Protocols, 1994-1997 John Wiley an
d Sons, Inc.を参照)。
【0131】 本発明の方法を用いて試験することのできる遺伝的障害の非制限的例は、乳癌
に関連するBrca-1のような遺伝病に関連する突然変異およびSNP、嚢胞性線維症
に関与する突然変異、テイ・サックス病、鎌状赤血球貧血、血友病、アテローム
性動脈硬化病、糖尿病、白血病、前立腺癌およびその他の癌、ならびに、肥満症
を含む。このような遺伝病としては、変形性および非変形性神経病、例えば、ア
ルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、ウイ
ルソン病、脊髄小脳性運動失調、フリードライヒ運動失調およびその他の運動失
調、クロイツフェルト・ヤコブ病を含むプリオン病、歯状核赤核淡瘡球ルイ体萎
縮病、海綿状脳障害、筋萎縮性ジストロフィー、うつ病、精神分裂病、ならびに
、てんかん等が挙げられる。遺伝病はまた、例えば、低血糖またはフェニルケト
ン尿症等の代謝疾患も含む。さらには、心臓血管疾患および症状も含まれ、その
非制限的例として、アテローム性動脈硬化病、心筋梗塞、ならびに、高血圧が含
まれる。本発明は、さらに、ライム病、結核、ならびに、性感染病の検出および
診断にも使用することができる。
【0132】 別の実施形態では、本発明の相同的組換えクローニング方法を用いて、疾患ま
たは障害の遺伝的根拠を決定することができる。例えば、遺伝的根拠がわかって
いない障害に罹患した患者のサンプルから、標的DNAを単離することができる。
一実施形態では、クローニング方法を用いて、このような障害を有することがわ
かっている、または予想される患者のグループから、疾患または障害に関与する
ことがわかっている、もしくは予想される染色体の領域を単離することができる
。次に、回収したDNAを単離した後、制限断片長多型やその他のSNP検出方法等、
DNAにおける変異をマッピングするための、当業者には公知の技術を用いて、さ
らに分析することにより、遺伝的突然変異または多型の存在を調べることができ
る(例えば、Nikiforovら、1997年10月21日に発行された米国特許第5,679,524号
;McIntochら、1998年12月30日付PCT国際公開WO98/59066;Goeletら、1995年5
月11日付PCT国際公開WO95/12607;Wangら、1998, Science 280:1077-1082;Tyag
iら、1998、Nature Biotechnol. 16:49-53;Chenら、1998、Genome Res. 8:549-
556;Pastinenら、1996、Clin. Chem. 42:1391-1397;Chenら、1997, Proc. Nat
l. Acad. Sci. 94:10756-10761;Shuberら、1997、Hum. Mol. Gen. 6:337-347;
Liuら、1997、Genome Res. 7:389-398;Livakら、1995, Nature Genet. 9:341-3
42;DayおよびHumpheries, 1994, Annal. Biochem. 222:389-395を参照)。
【0133】 臨床的に興味深い標的障害の非制限的例は、喘息、関節炎、乾癬症、湿疹、ア
レルギー、薬物耐性、薬物中毒;ならびに、限定するものではないが、ヒト肉腫
および癌腫などの癌、例えば、線維肉腫、粘液腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性
肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜腫、
中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣
癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、
乳頭状腺癌、嚢状腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛
癌、精上皮腫、胎生期癌、ウイルムス腫、頚癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀
胱癌、上皮癌、グリオーム、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松
果体腫、血管芽細胞腫、聴音神経腫、希突起グリオーム、髄膜腫、黒色腫、神経
芽細胞腫、網膜芽腫等の癌;白血病、例えば、急性リンパ性白血病および急性骨
髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性の白血病および赤白
血病)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血
病)、ならびに、真性赤血球増加、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)
、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびH鎖病を
含む。さらに、相同的組換えクローニング方法は、限定するものではないが、下
記を含む自己免疫疾患を有する患者の遺伝的相違の診断および検出ならびに患者
の診断をするのに有用である:インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、全身性
エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮病、多発性筋炎、慢性活動性肝炎
、混合性結合組織疾患、原発性胆汁性肝硬変、悪性貧血、自己免疫甲状腺炎、特
発性アジソン病、白斑、グルテン過敏性腸症、グレーブス病、重症筋無力症、自
己免疫性好中球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、慢性関節リウマチ、肝硬変
、尋常性天疱瘡、自己免疫性不妊症、グッドパスチャー糸球体腎炎、水疱性類天
疱瘡、円盤状狼瘡、潰瘍性大腸炎、ならびに、デンスデポジット病。
【0134】 また、相同的組換えクローニング方法を用いて、疾患と関係のないDNA突然変
異、改変、変異およびSNPを単離、診断、および、検出することもできる。その
非制限的例として、非コードゲノム配列に存在するこのようなDNA突然変異、改
変、変異およびSNP、または、様々なヒト血液型に関連するDNA突然変異、改変、
変異およびSNPが含まれる。
【0135】 本発明の好ましい態様では、本発明の方法は、ヒトDNA突然変異、改変、変異
およびSNPの単離、検出、診断、予知、またはモニタリングに特に有用でありう
る。しかし、本明細書に記載する方法は、他の動物、例えば、蓄牛、ウマ、ヒツ
ジ、ヤギおよびブタを含む家畜、ネコおよびイヌを含む家庭のペット;ならびに
、農業的に重要な植物および園芸植物を含む植物の疾患の単離、検出、診断、予
知、またはモニタリングにも有用であることに留意すべきである。
【0136】5.5 キット 本発明はさらに、本明細書に記載する相同的組換えクローニングおよびサブク
ローニング方法の使用を容易にするキットも提供する。一実施形態では、1つ以
上の容器に、下記を含んで成るキットが提供される:A)目的とする標的DNA分子
の位置指定クローニングおよびサブクローニングに有用な二本鎖DNAベクターで
あって、ベクターDNA鎖に沿って5’から3’に向かい、第1相同性アーム、複製
起点および第2相同性アームの順に、複製起点と、2つの相同性アームとを有す
るベクターであり、その際、第1ベクターDNA鎖上の第1相同性アームのヌクレ
オチド配列が、第1標的DNA鎖上の第1末端の配列と相同的であり、しかも、第
1ベクターDNA鎖上の第2相同性アームのヌクレオチド配列が、第1標的DNA鎖上
の第2末端のヌクレオチド配列と相同的である;B)細菌性リコンビナーゼを含
む細胞。この細胞は、内在的に、または、組換えにより、リコンビナーゼを発現
することができる。
【0137】 別の実施形態では、1つ以上の容器において、標的DNA分子の位置指定クロー
ニングまたはサブクローニングに有用なキットで、下記を含んで成るキットを提
供する:a)目的とする標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニ
ングに有用な二本鎖DNAベクターであって、ベクターDNA鎖に沿って5’から3’に
向かい、第1相同性アーム、複製起点および第2相同性アームの順に、複製起点
と、2つの相同性アームとを有するベクターであり、その際、第1ベクターDNA
鎖上の第1相同性アームのヌクレオチド配列が、第1標的DNA鎖上の第1末端の
配列と相同的であり、しかも、第1ベクターDNA鎖上の第2相同性アームのヌク
レオチド配列が、第1標的DNA鎖上の第2末端のヌクレオチド配列と相同的であ
る;ならびに、b)上記ベクターDNA鎖上の第1相同性アームのヌクレオチド配列
と相同的な第1ヌクレオチド配列と、標的DNA鎖上の第1末端のヌクレオチド配
列と相同的な第2ヌクレオチド配列とを、3’から5’に向かい第1配列および第
2配列の順に有する第1オリゴヌクレオチドDNA鎖を含む第1二本鎖オリゴヌク
レオチドと;c)上記ベクターDNA鎖上の第2相同性アームのヌクレオチド配列と
相同的な第3ヌクレオチド配列と、標的DNA鎖上の第2末端のヌクレオチド配列
と相同的な第4ヌクレオチド配列とを、3’から5’に向かい、第3ヌクレオチド
配列および第4ヌクレオチド配列の順に有する第2オリゴヌクレオチド鎖を含む
第2オリゴヌクレオチドと;d)細菌性リコンビナーゼタンパク質、例えば、Rec
E/Tおよび/またはRedα/βを含む細胞。特定の実施形態では、上記細胞は、大
腸菌細胞である。
【0138】 別の実施形態では、1つ以上の容器を備え、下記を含んで成るキットを提供す
る:a)目的とする標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニング
に有用な二本鎖DNAベクターであって、ベクターDNA鎖に沿って5’から3’に向か
い、第1相同性アーム、複製起点および第2相同性アームの順に、複製起点と、
2つの相同性アームとを有するベクターであり、その際、第1ベクターDNA鎖上
の第1相同性アームのヌクレオチド配列が、第1標的DNA鎖上の第1末端の配列
と相同的であり、しかも、第1ベクターDNA鎖上の第2相同性アームのヌクレオ
チド配列が、第1標的DNA鎖上の第2末端のヌクレオチド配列と相同的である;b
)上記ベクターDNA鎖上の第1相同性アームのヌクレオチド配列と相同的な第1
ヌクレオチド配列と、標的DNA鎖上の第1末端のヌクレオチド配列と相同的な第
2ヌクレオチド配列とを、3’から5’に向かい、第1ヌクレオチド配列および第
2ヌクレオチド配列の順に有する第1オリゴヌクレオチドDNA鎖を含む第1二本
鎖オリゴヌクレオチドと;c)上記ベクターDNA鎖上の第2相同性アームのヌクレ
オチド配列と相同的な第3ヌクレオチド配列と、標的DNA鎖上の第2末端のヌク
レオチド配列と相同的な第4ヌクレオチド配列とを、3’から5’に向かい、第3
ヌクレオチド配列および第4ヌクレオチド配列の順に、有する第2オリゴヌクレ
オチド鎖を含む第2オリゴヌクレオチド。
【0139】 様々な具体的実施形態では、キットの標的DNAは、細菌、ウイルス、寄生生物
、原生動物、または病原DNAである。その他の具体的実施形態では、キットの標
的DNAは、障害または疾患に関連することが知られる、もしくは予想される遺伝
的突然変異または多型を含んでいてよい。別の具体的実施形態では、オリゴヌク
レオチドにおいて、アダプター配列またはベクター相同性アームが、BAC、PAC、
λ、プラスミド、またはYACに基づくクローニングベクターを有する。
【0140】6.実施例:RecE/TおよびRedα/βクローニングおよびサブクローニング 本節に示す実施例では、本発明の相同的組換え方法を用いた好適なクローニン
グおよびサブクローニングを示す多数の実験を記載する。サブクローニング方法
に対する多様な手法を示す。特に、1つの実施例が、これまで記載されているも
のより大きい挿入断片の好適なクローニング、すなわち、約150 kb BACベクター
からの25 kb DNA断片の位置指定サブクローニングを示すことに留意されたい。
【0141】6.1 方法および材料 線状断片の作製 標準的PCR反応条件により、線状DNA断片を増幅することができる。pACYC177か
ら、(Tn903由来の)カナマイシン耐性遺伝子を含む1972 bpのp15A起点を増幅し
た。起点p15Aにより、このプラスミドまたは組換え体を、ColE1適合性群起点を
保有する他のプラスミドと共存させることができる。pACYC184から、p15A起点を
含む1934 bpのクロラムフェニコール(Tn9由来)耐性遺伝子を増幅した。
【0142】 PCR反応で用いたオリゴヌクレオチドは、その3’末端に、pACYCプラスミド上
でプライマーとして働く18〜30ヌクレオチド配列と、5’末端に、標的DNA領域の
フランクに相同的な50〜60ヌクレオチドの長さの配列とを含んでいた。長いオリ
ゴヌクレオチドについては、用いたPCR反応アニーリング温度は、62℃であった
。PCR産物は、QIAGEN PCR精製キット(QIAGEN)を用いて精製し、dH2Oで溶離し
た。DpnIでPCR産物を消化することにより、鋳型DNAを除去した。消化後、PCR産
物をエタノールにより沈殿させ、0.5μg/ulのdH2Oで再懸濁させた。
【0143】 コンピテント細胞の作製 標準的方法により、電気穿孔コンピテント細胞を作製した。つまり、一晩培養
したものを、適当な抗生物質を含むLB培地に100倍稀釈した。大腸菌細胞をOD600 =0.25〜0.4の光学密度まで増殖させ、氷上で15分冷却した。細菌細胞を−5℃に
て7,000 rpmで10分遠心分離した。細菌細胞ペレットを氷冷10%グリセロール中
に再懸濁させた後、−5℃にて10分間7,000 rpmでの遠心分離によりペレット化し
た。氷冷10%グリセロール中での3回の洗浄および再遠心分離の後、細胞の量に
等しい量の氷冷10%グリセロール中で、細胞ペレットを懸濁させた。コンピテン
ト細胞をエッペンドルフ試験管中の50μlのアリコートに分割し、液体窒素で急
速凍結した後、−70℃で保存した。
【0144】 プラスミドpBAD-ETγまたはpBAD-αβγを用いた実験は、標準的手段により、
大腸菌宿主にこれらプラスミドを形質転換した後、0.2%グルコース、50μg/ml
アンピシリンを含むLB培地中で飽和まで一晩成長させ、得られた培養物を50μg/
mlアンピシリンを含むLB培地に100倍稀釈し、0.15のOD600まで成長させることか
ら成る。次に、L-アラビノーズを0.1%の最終濃度まで添加した。0.25〜0.4のOD 600 まで細胞を増殖させた後、氷上で15分冷却した。
【0145】 電気穿孔 1μlのDNA溶液(約0.5μg以上の共形質転換用DNA、または標的を保有する細
胞専用の約0.3μg以上のベクターDNA、あるいは、ベクターを保有する細胞用の
標的を含む約0.5μg以上のDNAを含有する)をコンピテント細胞と混合する。細
胞−DNA混合物を氷冷キュベットに移した。25μFD、2.3kVに設定したバイオ−ラ
ッド遺伝子パルサー(Bio-Rad Gene Pulser)と、200オームに設定したパルスコ
ントローラー(Pulse Controller)を用いて、電気穿孔を実施した。電気穿孔後
、LB培地(1ml)を添加した。細胞を37℃で1〜1.5時間振盪しながらインキュ
ベートした後、ベクター中の選択マーカー遺伝子に対応する抗生物質を含むプレ
ートに塗布した。
【0146】6.2 結果 表1は、RecE/TまたはRedα/β発現の様々な供給源を用いて、目的とする様々
な標的DNA領域をサブクローニングした6つの実験の概要を示す。「ET発現」と
称する第1行は、表示したように、大腸菌宿主JC8679またはJC9604中の内在性Re
cE/T、あるいは、pBADαβγのプラスミドpBAD-RecE/T由来のRecE/TまたはRedα
/βの供給源を示す。第2欄は、使用した大腸菌宿主を示す。第3欄は、標的遺
伝子を示す。
【0147】 第1の実験では、大腸菌染色体に常在するRecE/Tの発現を大腸菌株JC8679中で
サブクローニングした。そこでのRecE/Tの発現は、構成的(constitutive)であ
る。これは、図2に概説したストラテジーにより実施した。pACYC177に存在する
p15Aの複製起点およびカナマイシン耐性遺伝子Tn903を複製するために、次の配
列を有するオリゴヌクレオチドを設計および合成した: 5’-TTCCTCTGTATTAACCGGGGAATACAGTGTAATCGATAATTCAGAGGAATAGCTCGAGTTAATAAGAT
GATCTTCTTGAGATCG-3’(配列番号1) および 5’-CAGCAATGTCATCGAGCTGAGACTTACTGATACCGGGACCCGCGTGGTAATTCTCGAGTGATTAGAAA
AACTCATCGAGCATC-3’(配列番号2) この実験の結果は、表1の第1列にまとめる。
【0148】
【表1】
【0149】 第2の実験では、大腸菌染色体に常在するlacZ遺伝子を大腸菌株JC8679中でサ
ブクローニングした。そこでのRecE/Tの発現は、構成的である。これは、図2に
概説したストラテジーにより実施した。pACYC177に存在するp15A複製起点および
Tn903カナマイシン耐性遺伝子を増幅するために、次の配列のオリゴヌクレオチ
ドを用いたPCRにより、ベクターを作製した: 5’-TCAACATTAAATGTGAGCGAGTAACAACCCGTCGGATTCTCCGTGGGAACAAACGGGAATTCTGATTA
GAAAAACTCATCGAGCATCAAATG-3’ (配列番号3) および 5’-TCAGGGGAAAACCTTATTTATCAGCCGGAAAACCTACCGGATTGATGGTAGGGATCCTTAATAAGATG
ATCTTCTTGAGATCG-3’(配列番号4) この実験の結果は、表1の第2列にまとめる。
【0150】 第3の実験では、大腸菌染色体に常在するlacZ遺伝子を大腸菌株JC9604中でサ
ブクローニングした。そこでのRecE/Tの発現は、構成的である。これは、図2に
概説したストラテジーにより実施した。pACYC177に存在するp15A複製起点および
Tn903カナマイシン耐性遺伝子を増幅するために、次の配列のオリゴヌクレオチ
ドを用いたPCRにより、ベクターを作製した: 5’-TCAACATTAAATGTGAGCGAGTAACAACCCGTCGGATTCTCCGTGGGAACAAACGGGAATTCTGATTA
GAAAAACTCATCGAGCATCAAATG-3’ (配列番号5) および 5’-TCAGGGGAAAACCTTATTTATCAGCCGGAAAACCTACCGGATTGATGGTAGGGATCCTTAATAAGATG
ATCTTCTTGAGATCG-3’(配列番号6) この実験の結果は、表1の第3列にまとめる。
【0151】 第4の実験では、図3に概説したストラテジーにより、高コピーpFastBAC1(Gi
bco)に常在するゲンタマイシン遺伝子を大腸菌株JC5519中でサブクローニングし
た。RecE/Tの発現は、プラスミドpBAD-recE/Tを用いて実施した。すなわち、こ
のプラスミドをJC5519に形質転換した後、アラビノーズ誘導して、コンピテント
細胞を作製した。pACYC177に存在するp15A複製起点およびTn903カナマイシン耐
性遺伝子を増幅するため、次の配列のオリゴヌクレオチドを用いたPCRにより、
ベクターを作製した: 5’-TGCACTTTGATATCGACCCAAGTACCGCCACCTAACAATTCGTTCAAGCCGAGGATCCTTAATAAGAT
CATCTTCTGAGATCGTTTTGG-3’ (配列番号7) および 5’-TGCATTACAGTTTACGAACCGAACAGGCTTATGTCAACTGGGTTCGTGCCTTCAGAATTCTGATTAGA
AAAACTCATCGAGCATCAAATG-3’(配列番号8); PCR産物をBamHI消化pFastBAC1と混合することにより、共形質転換させ、カナマ
イシンを加えたゲンタマイシン含有プレート上で培養した。
【0152】 第5の実験では、図2に概説したストラテジーにより、大腸菌染色体に常在す
るlacZ遺伝子を大腸菌株HB101中でサブクローニングした。Redα/βの発現は、
プラスミドpBADαβγにより実施した。すなわち、このプラスミドをJC5519に形
質転換した後、アラビノーズ誘導して、コンピテント細胞を作製した。pACYC177
に存在するp15A複製起点およびTn903カナマイシン耐性遺伝子を増幅するため、
次の配列のオリゴヌクレオチドを用いたPCRにより、ベクターを作製した: 5’-TCAACATTAAATGTGAGCGAGTAACAACCCGTCGGATTCTCCGTGGGAACAAACGGGAATTCTGATTA
GAAAAACTCATCGAGCATCAAATG-3’ (配列番号9) および 5’-TCAGGGGAAAACCTTATTTATCAGCCGGAAAACCTACCGGATTGATGGTAGGGATCCTTAATAAGATG
ATCTTCTTGAGATCG-3’(配列番号10) この実験の結果は、表1の第5列にまとめる。
【0153】 第6の実験では、図3に概説したストラテジーを用いて、マウスAF4遺伝子を
保有する約150 kb BACクローンの25 kb領域を大腸菌株HS996中でサブクローニン
グした。Redα/βの発現は、プラスミドpBADαβγにより実施した。すなわち、
このプラスミドをJC5519に形質転換した後、アラビノース誘導して、コンピテン
ト細胞を作製した。
【0154】 pACYC177に存在するp15A複製起点およびTn903カナマイシン耐性遺伝子を増幅
するため、次の配列のオリゴヌクレオチドを用いたPCRにより、ベクターを作製
した: 5’-TGTAGCTGAGCCCAGGGGCAAGGCTGCTTTGTACCAGCCTGCTGTCTGCGGGGGCATCACCTGGAATT
CTTAATAAGATGATCTTCTTGAGATCGTTTTGG-3’ (配列番号11) および 5’-TGGGTGTCAACCTCAGGCTTTCTCACACGCAATACAGGTAGGGACTTGCACCCCTACACACCGAATTC
TGATTAGAAAAACTCATCGAGCATCAAATG-3’(配列番号12); PCR産物を、精製したBAC DNAと混合することにより、共形質転換させた。この実
験の結果は、表1の第6列にまとめる。また、図6には、対照(レーン10)とし
て、出発ベクターのEcoRI消化物を用いて、mAF4 BAC実験から取得した9つの独
立したコロニー(レーン1〜9)から単離したEcoRIで消化したDNAを示す臭化エ
チジウムで染色したアガロースゲルも示されている。
【0155】 第7の実験では、図7に概説したストラテジーにより、酵母菌株MGD 353-13D
由来のアンピシリン耐性遺伝子を含むゲノムDNAの領域をクローニングした。パ
ネルAに示すように、98または102 bp相同性アームが隣接する、p15A複製起点を
含むDNA断片を、酵母菌株MGD 353-13D中の組込みアンピシリン耐性遺伝子の98お
よび102 bp隣接領域にターゲッティングした。大腸菌株JC5519を使用し、Redα/
βの発現は、プラスミドpBADαβγ-TETにより実施し、アラビノーズ誘導した後
、コンピテント細胞を作製した。pBADαβγ-TETは、pBADαβγの誘導体であり
、ここで、アンピシリン耐性遺伝子は、テトラサイクリン耐性遺伝子により置換
されている。pACYC177に存在するp15A複製起点を増幅するために、次の配列のオ
リゴヌクレオチドを用いたPCRにより、ベクターを作製した: 5’-TCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAAT
AAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATAACACCCCTTGTATTACTGTTTATGTAAGCAGACAG-3’(
配列番号13) および 5’-TCCCGTATCGTAGTTATCTACACGACGGGGAGTCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGC
TGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAATTAATAAGATGATCTTCTTGAGATCGTTTTGG-3’
(配列番号14) PCR産物を、4μg のNcoIで消化したMGD 353-13D酵母ゲノムDNAと混合すること
により、pBADαβγから発現させたRedα/βを含むJC5519中で共形質転換させた
後、L-肉汁中の培養物の37℃で90分間の回収時間後にアンピシリン含有プレート
上で培養した。アンピシリン耐性に関する選択により、クローンを識別した。18
のコロニーをDNA分析に付した。適正であった10コロニーの臭化エチジウム染色
ゲルを図7Bに示す。
【0156】 ここに記載した実施例は、大腸菌染色体に対し、非常に多様な環状標的(高コ
ピープラスミドから、低コピー大型標的(BAC)まで)を用いるRecE/TおよびRed
α/β相同性組換えクローニング方法の成功を明らかにするものである。
【0157】7.ベクター反復配列およびリン酸化のクローニング効率への効果 この節に示す実施例は、RecE/TおよびRedα/β媒介による相同性組換えを用い
たクローニングおよびサブクローニング(「ETクローニング」)の高効率のため
の条件の最適化について記載する。特に、図8に示すように、ベクターにおける
反復配列の排除は、クローニング効率を高めた。これに対し、線状ベクターの末
端に5’リン酸基が存在しても、ETクローニングの効率にはほとんど影響を及ぼ
さなかった。
【0158】 第一に、クローニング効率に対する反復配列の効果を次の実験で評価した。図
8に示すように、クローニングベヒクルとして用いた線状ベクターは、p15A複製
起点と、クロラムフェニコール耐性遺伝子(Cm’)と、大腸菌lacZ遺伝子に対す
る相同性アームが隣接した、線状ベクターのPCR増幅に必要なヌクレオチド配列
(図8にイタリック体で示す)と、上記線状ベクターの両端に存在する様々な長
さの末端反復配列(ボールド体で示す)とを含んで成る。pBAD Redα/β(Zhang
ら、1998, Nat. Genet. 20:123-128)を発現するJC8679(内在的にET能力が高い
;Clark, 1974, Genetics, 78, 259-271)またはJC5519(WillettsおよびClark,
1969, J. Bacteriol. 100:231-239)に、線状ベクターを形質転換した。線状ベ
クターのPCR増幅用の前記オリゴヌクレオチドを用いたETサブクローニング後に
、LBプレート(50μg/mlクロラムフェニコールを含む)上で得られた多数のコロ
ニーを図8の表に示す。これらのうち、18個を制限消化により分析した。前述し
た効率は、得られたコロニーの総数で、適正な組換え体の数を割ることにより決
定した。この結果、末端反復配列の存在>6ヌクレオチドが、ETサブクローニン
グ効率を有意に低下させることがわかった。すべてのバックグラウンドコロニー
が、再結合した線状ベクターを含んでいた。
【0159】 また、リン酸化の効果を検定し、その結果を図8に示す。線状ベクターの末端
は、T4 DNAキナーゼおよびγ-ATPを用いて、リン酸化した。図8の最後の行に示
すように、ETサブクローニングもしくはベクター組換えに何の効果も認められな
かった。
【0160】 この実施例から、線状ベクターの末端に、あるいは、相同性アームと、ベクタ
ーの必須要素、すなわち、複製起点および選択マーカーとの間に、反復配列が存
在すると、ETクローニングおよびサブクローニング効率を急激に低下することが
明らかにされた。従って、好ましい実施形態では、相同性クローニングベクター
の配列は、複製起点および選択マーカーをコード化する配列以外に、5つ以上の
塩基が直接反復する配列を含まない。
【0161】8.RecE/TおよびREDα/βクローニングおよびサブクローニングの追加実施例 この文節に示す実施例は、RecE/TまたはRedα/β媒介による相同性組換えを用
いた好適なクローニングおよびサブクローニング手法を証明する追加実験を記載
する。
【0162】 大腸菌宿主 前述したように、「ETコンピテント宿主」とは、RecE/RecTおよび/またはRed
α/Redβを発現する能力があるあらゆる大腸菌細胞を意味する。これは、(i) Re
cE/TまたはRedα/βを内在的に発現する株、あるいは、(ii) RecE/RecTまたはRe
dα/Redβが、外から導入したプラスミドから発現される株のいずれかのように
、多様な方法で達成することができる。この実施例は、JC9604およびJC8679に基
づくプラスミドベースの発現ベクター、ならびに、それらの誘導体(主にYZ2000
およびYZ2001)の構築について説明する。その他のETコンピテント宿主の変種お
よび例については、Murphyら、2000, Gene 246:321-330;Yuら、2000, Proc. Na
tl. Acad. Sci. 97:5978-5983;ならびに、DatsenkoおよびWanner, 2000, Proc.
Natl. Acad. Sci. 97:6640-6645を参照。
【0163】 最初のカテゴリーでは、sbcA突然変異を保有する、従って、RecA-(JC9604;G
illenら、1981, J. Bacteriology 145:521-532)またはRecA+(JC8679;Gillen
ら、前掲)バックグラウンドで、RecE/RecTを内在的に発現する2つの株を用い
た。これらの株を用いる利点は、ET−クローニングコンピテント株を作製するの
に、最初にプラスミドを導入する必要がなく、直接使用できる点である。この欠
点は、RecEおよびRecTが、全クローニング工程を通して構成的に発現され、これ
によって、特に、recA+バックグラウンドにおける不要な分子間組換えの危険性
が高まることである。第2の欠点は、これらJC株は、クローニングおよび増殖宿
主としての用途のためには修飾されていないことである。これらは、完全に活性
の制限/修飾系を含むため、これが、これら宿主へのBACのような大型分子の導
入の効率を著しく低下させる。
【0164】 RecE/TまたはRedα/βを、内在する宿主株、またはプラスミド導入により供給
する宿主株のいずれを用いるかの選択は、環状標的の種類によって異なる。どの
ストラテジーを選択するにしても、優れたコンピテント細胞の作製は極めて重要
である。宿主株に、内在的ET-クローニング能力が欠如している場合には、この
株を、初めにpBAD-αβγまたはpBAD-ETγで形質転換する必要がある。次に、得
られた株を0.1%の最終濃度までL-アラビノースで誘導成長させ、電気穿孔用に
作製しなればならない。経験的に、細胞の最適採取点は、特に、大きなDNA基質
をターゲッティングする場合、0.35前後のOD600で起こる。細胞が、0.5より大き
いOD600に達した場合には、使用すべきではない。最適誘導時間は、約1時間であ
る。他に有効なDNA導入方法が見出されていないため、電気穿孔を用いる必要が
ある。優れた電気コンピテント細胞の作製は、ET-組換え体の取得には不可欠で
ある。電気コンピテント細胞の作製中、全工程を、氷上で、しかも、予冷したバ
ケツおよびローターにおいて、実施しなければならない。電気コンピテント細胞
は、OD600=0.35で収穫される250ml培養物から、高い濃度まで濃縮し、通常の手
順で、10アリコート以下の50μlのコンピテント細胞を用意する。こうして得ら
れた形質転換効率は、用いた宿主株によって大きく異なるが、典型的には、109
cfu/μg前後で変動する。電気コンピテント細胞の作製方法および電気穿孔の実
施方法の詳細なプロトコルは、下記から入手することができる:http://www.emb
lheidelberg.de/Externallnfo/stewart/index.html。
【0165】 図9Aに示すプラスミドpR6K/ BAD-αβγ(tet)は、BAC宿主株HS996(Invitrog
en)に、ET組換えを実施する能力を賦与するように構築した。このプラスミドは
、pBAD24バックボーン(Guzmanら、1995, J. Bacteriol 177:4121-4130)に基
づく。Redα(またはRecE)は、L-アラビノーズ誘導性pBADプロモーターから発
現させ、また、Redβ(またはRecT)は、構成性EM-7プロモーターから発現させ
る。RecEに対するRecT、またはRedαに対するRedβの過剰発現は、ET-クローニ
ング効率を高める(選択プレート上のコロニーの量に関して)。最後にこのプラ
スミドが、この場合、構成性Tn5プロモーターから、Redγタンパク質を構成的に
発現するが、これは、最も一般的に用いられる宿主株に存在するRecBCD酵素の活
性を阻害するのに必要である(Murphy, 1991, J. Bacteriology 173:5805-5821
)。不活性化されていなければ、RecBCDはET-クローニングを完全に阻害する。
これは恐らく、そのエキソヌクレアーゼ活性が、線状DNAが組換えの機会を獲得
する前に、該DNAを分解するためであろう。従って、pBAD-αβγ(tet)は、受容
宿主株の形質転換時に、調節可能なET-クローニング能力を賦与することができ
る移動系を構成する。RecEまたはRedαの発現の誘導性と、組換えが起こるよう
に、recE/Tおよびredα/β系の両成分を共発現させるための絶対要件を仮定する
と、組換えを促進する時間は、アラビノーズ誘導時間と、最小安定成分の半減期
に限定される。recA宿主が最も一般的に用いられること、また、宿主がrecBC-ま
たはrecBC-の表型模写(Redγの発現により)のいずれかであることを共に考慮
すると、これは、不要な分子間組換えの危険性が大幅に減少することを意味する
。pBAD-αβγ(tet)のさらに有用な特徴は、これらプラスミドが、培養中に選択
されないと、急速に消失する傾向があることである。これは、恐らく、Redγの
構成性発現によるものであり、宿主細胞因子、例えば、RecBCDの存在に応じて変
動する可能性がある。
【0166】 pR6K/BAD-αβγの複製には、R6K起点とPir-116タンパク質が必要である(Met
calfら、1994, Gene 138, 1-7)。pR6K/BAD/αβγは、pJP5603(Penfoldおよび
Pemberton, 1992, Gene 118:145-6)から得られたR6K起点と、細菌中のR6K ori
プラスミド複製を制御するpir-116レプリコン遺伝子と、pBR322由来のテトラサ
イクリン耐性遺伝子tetとを保有する。Pir-116は、コピーアップ(copy-up)突
然変異体であり、これは、R6K起点を含むプラスミドを、1細胞当たり200以上の
コピーで大腸菌株に存在できるようにする。pir-116遺伝子を、大腸菌株BW3647
からPCR増幅し、lacZプロモーターの後ろでクローニングした。
【0167】 pR6K/BAD/αβγを生成するため、ET組換えにより、R6K起点、pir-116およびt
etをpBAD-αβγに導入し(Muyrersら、1999, Nucleic Acids Research, 27:155
5-1557)、これによって、pBAD-αβγに元々存在するColE1起点およびアンピシ
リン耐性遺伝子を置換する。同様に、pR6K/BAD/ETγおよびpR6K/BAD/recTを生成
した。あらゆるR6K-ベースのプラスミドのコピー数は、それぞれのColE1-ベース
の親プラスミドと比較して、約2倍高いことがわかった。標準的BACサブクロー
ニング実施に関するpR6K/BAD/αβγおよびpBAD-αβγの並列(side-by-side)
比較では、R6K-ベースのプラスミドの方が効率よく働くことがわかった(図9B
参照)。これらR6Kプラスミドに存在するR6K複製系は、p15aおよびColE1を含む
他の複製起点に対して有意な配列相同性をまったく含まない。さらに、R6K-ベー
スのプラスミドは、他のあらゆる複製起点と適合性である。従って、ColE1およ
びp15A等の複製起点を、ETサブクローニングに用いられる線状ベクターに含ませ
ることができる。
【0168】 ETサブクローニング BACに存在するAF-4遺伝子のエキソン2および3を含む19kb断片のサブクロー
ニングを図10に示す。最初に、pR6K/BAD-αβγを、BAC保有株に形質転換した。
次に、形質転換した株を15μg/mlテトラサイクリンと12.5μg/mlクロラムフェニ
コールを含有するLB培地上で成長させる。成長する細胞をL-アラビノーズで1時
間誘導した後、電気コンピテント細胞を作製した。これらの細胞を、線状ベクタ
ーを用いた電気穿孔により形質転換した。その際、該ベクターは、p15A複製起点
およびアンピシリン耐性遺伝子と、AF-4 BAC上の標的DNAに対する相同的組換え
を指定する50ヌクレオチドの2つの相同性アームが隣接したβラクタマーゼ(bl
a)とを含んでいた。50μg/mlアンピシリンを含むLBプレート上で成長させた後
、組換え体を取得した。
【0169】 図10Bに示すように、独立したコロニーを分析のため選択した。5つの独立し
たコロニーからDNAを作製し、HindIIで消化した後、臭化エチジウム染色ゲル上
で分析した。1kb DNAラダー(Gibco BRL)と共に、HindIIIで消化した適正なコ
ロニーと線状ベクターだけをマーカーとして用いた。適正なサブクローンをDNA
配列決定により識別した。
【0170】 ETクローニング また、図11の実験に示すように、ゲノムDNAは、標的DNAの直接供給源であって
もよい。この実験では、線状ベクターは、ColE1起点およびカナマイシン耐性遺
伝子(kan)から構成され、該遺伝子は、大腸菌染色体上に存在するlacI/lacZ遺
伝子座への組換えを指定する相同性アームと隣接している(図11A参照)。XhoI
消化により予備線状化された大腸菌から、ゲノムDNAを単離した。線状ベクター
と予備線状化ゲノムDNAとを混合した後、RecE/RecTを内在的に発現するYZ2000に
共電気穿孔した。50μg/mlカナマイシンを含有するLBプレート上で選択すること
により、lacIおよびlacZ遺伝子、ColE1起点およびkanから成る所望のサブクロー
ンを取得した。図11Bに示すように、制限分析から、16個の独立したコロニーが
、適正な産物を含む(レーン1〜16)ことがわかった。レーン17は、線状ベクタ
ーを示し、レーンMは、マーカーとしての1kbDNAラダーを示す(Gibco BRL)。
【0171】 好適なET組換えクローニングの別の例を図12に示す。この実験では、相同性ア
ームクローニングベクターを用いて、ES細胞ゲノムDNAから断片を直接クローニ
ングした。クローニングストラテジーを概説する図12Aに示すように、マウスES
細胞ゲノムDNA由来のネオマイシン耐性遺伝子(neo)を標的DNAとして用いた。
線状ベクターは、ColE1起点およびクロラムフェノール耐性遺伝子Cm’から構成
され、該遺伝子は、Tn5-neo遺伝子に相同的な2つのアームと隣接する。PGKプロ
モーターおよびpolyAテールの制御下で、Tn5-neoを含む断片をトランスフェクト
することにより、必要なマウスES細胞系を生成した。G418耐性コロニーからゲノ
ムDNAを作製した後、針を用いて、フェノール/クロロホルム抽出により、せん
断し、約20〜40kbの線状断片を形成した。
【0172】 線状ベクターおよびせん断ゲノムDNAをYZ2000、JC8679誘導体(Clark、前掲)
に共電気穿孔することにより、ETクローニングを実施した。尚、該誘導体におい
て、外来メチル化DNAを分解する制限系は、mcrA、mcrBC、hsdRMSおよびmrr遺伝
子の欠失により、部分的に損傷している。RecTの過剰発現は、全体的ET組換え効
率を大幅に高めるため、pR6K/BAD/recTプラスミドで、YZ2000を形質転換した。
収穫前に、1時間L-アラビノーズで誘導させたpR6K/BAD/recTを保有するYZ2000
は、0.5μg線状ベクターと5.0μgせん断マウスES細胞ゲノムDNAを用いた電気穿
孔により共形質転換した。50μg/mlのクロラムフェニコールを含有するLBプレー
ト上で、平均25〜35個のコロニーが得られた。50μg/mlのカナマイシンを含有す
るLBプレート上で、これらのコロニーを再ストリーキングすることにより、Tn5-
neo発現のアッセイによって、試験した30コロニーのうちの6個が、成長するこ
とがわかった。図12のパネルBには、カナマイシン耐性コロニーの制限分析から
、6つのコロニー(レーン2〜7)すべてが、適正であることが明らかにされた
。クロラムフェニコールの存在下では成長したが、カナマイシンの存在下では成
長できなかった偽陽性の制限パターンをレーン1に示す。これら偽陽性のすべて
は、再結合ベクターを含んでいた。
【0173】 ETサブクローニングおよびクローニングの組み合わせを示す実験を図13に示す
。線状ベクターは、ColE1複製起点およびカナマイシン耐性遺伝子km’から構成
される。また、線状ベクターの各末端は、BstZ17I部位と2つの相同性アームか
ら成る。線状ベクターの末端に存在する相同性アーム(図13の小さい方の箱で示
す)は、λファージ標的DNAと相同的である。相同性アームの第2セット(大き
い方の箱で示す)は、大腸菌染色体に存在するlacI-lacZ遺伝子と相同的である
【0174】 第1のサブクローニング段階では、線状化λファージ標的DNAと一緒に、ET能
力を有する(proficient)大腸菌株JC8679ΔlacZに、線状ベクターを共電気穿孔
した。その結果、exo、bet、gam、rexAおよびcI857遺伝子を含む6.7kb λDNA断
片の、線状ベクターへのサブクローニングが起こり、これにより、pYZN/λ-PRを
産生した。次のET組換え段階では、新しい線状ベクターを用いた。このベクター
は、突然変異したloxP部位(loxP*、Arakiら、1997, Nucleic Acids Research,
25:868-872)が隣接するクロラムフェニコール耐性遺伝子catと、pYZN/λ-PRに
存在するλDNAに相同的な末端アームとを含む。ET能力を有する大腸菌株JC8679
ΔlacZに、この線状ベクターを共電気穿孔することにより、pYZN/λ-PR/Cmを生
成した。このプラスミドから、BstZ17I消化により、lacI-lacZと相同的な2つの
末端アームが隣接する、cat含有λDNA断片が放出された。この断片を用いて、pB
ADRecE/T(Zhangら、1998, Nature Genetics 20:123-128)由来のRecEおよびRec
Tを発現する大腸菌株JC5519(WillettsおよびClark, 1969, J Bacteriol, 100:2
31-239)の染色体をターゲッティングした。ET組換え、ならびに、20μg/mlのク
ロラムフェニコール存在下での成長によって選択した後、YZ2001/Cm株を作製し
た。706-Creプラスミドを用いて、YZ2001を生成する目的で、catの欠失を実施し
た。尚、該プラスミドは、既述されている(Buchlholzら、1996, Nucleic Acids
Research, 24:3119-3119)ように、クロラムフェニコール耐性遺伝子の代りに
、テトラサイクリン耐性遺伝子(tet’)を保有する以外は、705-Creと同一であ
る。従って、YZ2001は、染色体上の突然変異したloxP部位を含む6.7 kbλDNA断
片(exo----cI857)を保有する。YZ2001/Cmは、λ遺伝子exo、betおよびgamの熱
誘導性発現を可能にすることから、これは、条件により、ET能力を有する。類
似したストラテジーにより、例えば、ノックアウト構築物の生成、あるいは、BA
C修飾の実施が可能である。
【0175】 このように、以上示した実施例は、RecE/TおよびRedα/β媒介による相同的組
換えを用いた好適なクローニングおよびサブクローニングの複数の手法を明らか
にする。
【0176】 本明細書に記載され、クレームされた本発明は、本明細書に開示した特定の実
施形態によりその範囲を制限されるものではない。何故なら、これらの実施形態
は、本明細書のいくつかの態様を説明することを意図するものだからである。あ
らゆる同等の実施形態は本発明の範囲に含まれるものとする。実際、当業者であ
れば、以上の説明から、本明細書に開示および記載したものに加えて、本発明の
様々な変更が明らかであろう。このような変更もまた、添付の請求の範囲に含ま
れるものとする。本明細書を通じて、様々な参照文献を引用したが、それぞれの
内容は、あらゆる目的のために、その全文を本明細書に参照として組み込むもの
とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜C: 相同的組換えクローニングおよびサブクローニング法の構成成
分。 A.複製起点(origin)、選択マーカー(Sm)、および2つの相同性アーム(Aおよ
びBで示す)を含有するベクター。 B.任意の二本鎖オリゴヌクレオチドアダプター。各アダプターは、相同性ア
ーム(それぞれAおよびB)に対する相同性領域(A'およびB'と表示)と、標的DNAの
末端(それぞれCおよびDと表示)に対する第2の相同性領域(C'およびD'と表示)を
含む。 C.標的DNA。標的DNAの末端のヌクレオチド配列(CおよびD)は、ベクターの相
同性アーム(それぞれAおよびBと表示)の一方のヌクレオチド配列に相同であって
も、任意のアダプターオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列(それぞれC'およ
びD'と表示)に相同であってもよい。
【図2】 アプローチ1の実験的概略。相同的組換えによるサブクローニングのためのベ
クターは、例えば形質転換によって、標的DNAとRecE/TまたはRedα/βタンパク
質がすでに存在する大腸菌宿主に導入される。この図式は、「相同性アーム」に
よって挟まれた、大腸菌の複製起点および選択マーカー遺伝子(Sm)、好ましくは
該遺伝子の産物が抗生物質耐性を賦与するもの、を担持する線状DNA分子を示す
。相同性アームは、線状DNA分子の端部に太い灰色ブロックとして示されるもの
で、相同性アームによって挟まれた太線として示されるサブクローニングすべき
DNA領域に隣接する標的DNA中の2つの領域(標的DNA末端と呼ばれる)に相同な
配列の短い領域である。形質転換後、Sm遺伝子の発現について選択して、線状DN
A分子の相同性アームと標的との相同的組換えの産物を含む細胞を同定する。
【図3】 アプローチ2の図式的表示。このアプローチは図1で使用したものに類似して
いるが、この場合には、標的DNA分子が大腸菌宿主内に存在せず、線状DNAベクタ
ー分子とともに共導入される。標的DNAはどのような源であってもよく、例示さ
れるように、混合物(該混合物からの関心のあるDNA領域がクローニングされる
)または高度に濃縮されたDNA分子(該分子からのDNA領域がサブクローニングさ
れる)であり得る。図1と同様に、相同性アームは太い灰色ブロックとして示さ
れる。
【図4】 アプローチ3の一例の図式的表示。このクローニングまたはサブクローニング
ベクターは、太い灰色ブロックとして示される2つの短い相同性アームによって
挟まれた大腸菌の複製起点と選択マーカー遺伝子(Sm)を含む。さらに、このベク
ターは2つの組換え標的部位(SSRT)を含み、該標的部位の1つは複製起点と選択
マーカー遺伝子の間にある。最も簡便には、このベクターは最初に、図面に示し
たような線状DNA断片として構築される。環化後に、第2のSSRTが相同性アーム
間に位置づけられ、第1のSSRTに関して直接的な反復として方向づけられる。そ
の結果、2つのSSRT間の部位特異的組換えは2つの異なる環状分子の作製をもた
らし、それにより複製起点と選択マーカー遺伝子を分離する。環化したベクター
を、RecE/TまたはRedα/βタンパク質を発現するまたは発現し得る大腸菌株に形
質転換する。大腸菌株はまた、誘導可能な部位特異的リコンビナーゼ(SSR)遺伝
子(その産物はベクター中のSSRTを認識する)を含み、かくして、部位特異的リ
コンビナーゼ遺伝子が発現のために誘導されるまで、SSRT間の部位特異的組換え
は起こらない。ベクターおよび調節された部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を担
持する大腸菌細胞は、それらがRecE/TまたはRedα/βタンパク質を含みかつ形質
転換を受容する能力をもつように調製する。その後、クローニングすべき領域を
含むDNA分子を宿主細胞に導入する。相同性アーム間の相同的組換え後に、部位
特異的リコンビナーゼタンパク質の発現が誘導され、選択マーカー遺伝子の発現
について選択する。部位特異的組換えの前には、細胞は2つのSSRTを担持する非
組換えベクターまたは意図した1つのSSRTのみを担持する相同的組換え産物のい
ずれかを含む。なぜならば、相同的組換えが相同性アーム間にあるSSRTの欠失を
もたらすからである。部位特異的リコンビナーゼの発現を誘導し、選択マーカー
遺伝子の発現について選択した後には、相同的組換えの産物を含む細胞が生き残
る。なんとなれば、この産物はもはや部位特異的組換えのための基質ではないか
らである。
【図5】 RecE/TまたはRedα/β相同的組換えによるクローニングおよびサブクローニン
グのためのアダプターオリゴヌクレオチドの使用。この図式は上記の図3に示し
たアプローチ2の変法を示すものである。2つのアダプターオリゴヌクレオチド
は、それぞれ、2つの相同性の領域を含み、一方の相同性領域はベクターの相同
性アームの1つに相同であり、他方の相同性領域は標的DNA領域の2つの末端の
うちの1つに相同である。ベクターの環化および標的DNA領域のクローニングは
、ベクターとアダプター間およびアダプターと標的DNA間の相同的組換えにより
達成される。この実施形態では、ベクターおよび標的DNAは配列相同性を持ち合
わせない。したがって、それぞれの標的DNA用の標的特異的アダプターオリゴヌ
クレオチドを用いることによって様々な標的DNAをクローニングまたはサブクロ
ーニングするために、同一のベクターを使用することができる。また、アダプタ
ーオリゴヌクレオチドは、上記の図1および3に示されるような、アプローチ1
および3の方法においても使用することができる。
【図6】 mAF4 BAC実験から得られた9個の独立したコロニー(レーン1〜9)より単離
された、EcoRIで消化したDNAを示すエチジウムブロミド染色アガロースゲル。レ
ーンM、1kb DNAサイズ標準品(BRL, Bethesda, MD)。レーン10、出発ベクターのE
coRI消化。この実験は第6節に記載の実施例において詳しく説明する。
【図7】 図7A〜B: 全酵母ゲノムDNAからのDNA領域のクローニング。 A.酵母株MGD353-13D中の組み込まれたアンピシリン耐性遺伝子の両側の98ま
たは102bpに対する98または102bpの相同性アームによって挟まれた、p15A複製起
点を増幅するために作製されたPCR断片を示す。PCR産物(0.5mg)を全酵母ゲノムD
NA(4.0mg)と混合し、pBADαβγから発現されたRedα/βを含むJC5519大腸菌に
共電気穿孔した。アンピシリン耐性を選択することによりクローンを同定した。 B.10個の選ばれたコロニーから正しい産物を確認するためのエチジウムブロ
ミド染色ゲル。
【図8】 図8A〜C: ETサブクローニングに及ぼす線状ベクターの両末端に存在する
反復または5'リン酸の影響。 A.線状ベクターのPCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドの配列を示す。イ
タリック体の配列はPCR増幅に必要とされるオリゴヌクレオチドの部分を示し、
その他のヌクレオチドは大腸菌lacZ遺伝子に対する相同性アームを構成する。太
字の配列は線状ベクターの両末端に存在し、かくして、末端反復を構成する。線
状ベクター構築物a-xはさまざまな長さの配列反復を有する。この線状ベクター
は示した末端反復および相同性アームによって挟まれたp15A複製起点とクロラム
フェニコール耐性遺伝子Cmrを含む。 B.大腸菌lacZ遺伝子のETサブクローニングにおける効率について、パネルA
のさまざまな配列反復を含むベクター構築物を試験するために用いたストラテジ
ーの模式図。 C.ETサブクローニングの効率に及ぼす反復の長さおよびリン酸化の影響を示
す表。パネルAに示した反復配列を含むベクターを用いた試験の結果を示す。
【図9】 図9A〜B: pBAD-αβγ(tet)を用いたET組換えサブクローニング。 A.R6K起点、pir-116レプリコン、pBR322からのテトラサイクリン耐性遺伝子
(tetr)、およびアラビノースリプレッサー(araC)を含むpR6K/BAD/αβγプラス
ミドの図。 B.pR6K/BAD/αβγに対比してpBAD-αβγ(tet)(ColE1 ori)を用いたET組換
えサブクローニングの比較。
【図10】 図10A〜B: BAC上に存在するAF-4遺伝子の19kb断片のサブクローニング。 A.プラスミド構築物およびサブクローニング戦略。tetr, テトラサイクリン
耐性遺伝子。araC, アラビノースリプレッサー。 B.5個の独立したコロニーの分析。5個の独立した、正しいコロニーから調
製したHindIII消化DNAおよび線状ベクターのみのエチジウムブロミド染色ゲル。
正しいサブクローンはDNA配列決定により確認した。M, 1kb DNAラダー。
【図11】 図11A〜B: 標的DNA源としてゲノムDNAを用いたETサブクローニング。 A.大腸菌から単離したゲノムDNAをXhoI消化により予め線状化した。線状ベ
クターは、大腸菌染色体上に存在するlacI/lacZ遺伝子座への組換えを指令する
相同性アームによって挟まれた、ColE1複製起点およびカナマイシン耐性遺伝子k
anから構成された。 B.16個の独立したコロニーの制限分析。レーン17は線状ベクターを示す。M,
1kb DNAラダー。
【図12】 図12A〜B: マウスES細胞のゲノムDNAからのネオマイシンgen neoのサブク
ローニング。 A.サブクローニング戦略の図。 B.カナマイシン耐性コロニーの制限分析。
【図13】 ETクローニングおよびサブクローニングの比較。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ザン,ヨウミン ドイツ連邦共和国 ディー−69117 ハイ デルベルク,フリードリッヒ−エバート− アンラゲ 51エー (72)発明者 ムイラース,ヨエプ,ピーター,ポール オランダ国 エヌエル−6231 ケイイー メールセン,クイレナインデシュトラート 53 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA13 AA20 BA07 BA80 CA04 DA06 EA04 FA02 4B065 AA26X AB01 BA02 CA23 CA46 CA60

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性リコンビナーゼを発現する細菌細胞を培養することを
    含んでなる、二本鎖標的DNAをベクターに導入する方法であって、該細菌細胞は
    、(a) 第1の二本鎖末端および第2の二本鎖末端を含む標的DNAと、(b) ベクタ
    ーDNA鎖に沿って次の順序で、(i) 第1の二本鎖相同性アーム、(ii) 複製起点、
    (iii) 第2の二本鎖相同性アームを含むベクターDNAと、を含有し、そして、ベ
    クターDNA鎖の第1の相同性アームの配列が、標的DNA鎖の第1の末端の配列に相
    同であり、かつベクターDNA鎖の第2の相同性アームの配列が、標的DNA鎖の第2
    の末端の配列に相同であり、その結果、標的DNAがベクターDNAの該相同性アーム
    間に挿入される、上記方法。
  2. 【請求項2】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細胞に二本鎖ベクターを導入すること、ただし、該細胞は二本鎖標的DNAを
    含みかつ細菌性リコンビナーゼを発現するものであり、該ベクターは複製起点と
    2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同
    性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含むものであり、 該標的DNAは標的DNA配列と2つの末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に
    、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、 そして、該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームの配列が、該標的DNA鎖上の第
    1の末端の配列に相同であり、かつ該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームの
    配列が、標的DNA鎖上の第2の末端の配列に相同であること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  3. 【請求項3】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細胞に二本鎖ベクターと第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドを導
    入すること、ただし、該細胞は二本鎖標的DNAを含みかつ細菌性リコンビナーゼ
    を発現するものであり、 該ベクターは複製起点と2つの二本鎖相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5
    'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序
    で含むものであり、 該標的DNAは標的DNA配列と2つの二本鎖末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の
    方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、 該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレ
    オチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA
    鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同
    性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレオチド配列が該
    標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、 該第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレ
    オチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖を
    含んでなり、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性ア
    ームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が該標的
    DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  4. 【請求項4】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細胞に二本鎖標的DNA分子を導入すること、ただし、該細胞はベクターを含
    みかつ細菌性リコンビナーゼを発現するものであり、 該標的DNAは標的DNA配列と2つの二本鎖末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の
    方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、 該ベクターは複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3
    'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含む
    ものであり、 そして、該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームの配列が、該標的DNA鎖上の第
    1の末端の配列に相同であり、かつ該ベクターDNA鎖上の第2の相同性アームの
    配列が、標的DNA鎖上の第2の末端の配列に相同であること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  5. 【請求項5】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細胞に二本鎖標的DNA分子と第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドを
    導入すること、ただし、該細胞はベクターを含みかつ細菌性リコンビナーゼを発
    現するものであり、該標的DNAは標的DNA配列と2つの二本鎖末端を、標的DNA鎖
    に沿って3'から5'の方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含
    むものであり、 該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレ
    オチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA
    鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同
    性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレオチド配列が該
    標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、 該第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレ
    オチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖を
    含んでなり、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性ア
    ームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が該標的
    DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であり、 そして、該ベクターは複製起点と2つの二本鎖相同性アームを、ベクターDNA鎖
    に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アー
    ムの順序で含むものであること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  6. 【請求項6】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細菌性リコンビナーゼを発現する細胞に二本鎖ベクターと二本鎖標的DNAを
    導入すること、 該ベクターは複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3
    'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含む
    ものであり、 該標的DNAは標的DNA配列と2つの末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の方向に
    、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、 そして、該ベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列が、該標
    的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、かつ該ベクターDNA鎖
    上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、標的DNA鎖上の第2の末端のヌ
    クレオチド配列に相同であること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  7. 【請求項7】 組換えDNA分子を作製する方法であって、 a) 細菌性リコンビナーゼを発現する細胞に、二本鎖ベクターと二本鎖標的DNA
    分子と第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドを導入すること、 該ベクターは複製起点と2つの二本鎖相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5
    'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序
    で含むものであり、 該標的DNAは標的DNA配列と2つの二本鎖末端を、標的DNA鎖に沿って3'から5'の
    方向に、第1の末端、標的DNA配列、第2の末端の順序で含むものであり、 該第1のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレ
    オチド配列および第2のヌクレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA
    鎖を含んでなり、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第1の相同
    性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレオチド配列が該
    標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、 該第2のオリゴヌクレオチドは、3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレ
    オチド配列および第4のヌクレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチド鎖を
    含んでなり、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖上の第2の相同性ア
    ームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレオチド配列が該標的
    DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同であること、 b) 該細胞を、細胞内相同的組換えを起こさせる条件にさらすこと、 を含んでなる上記方法。
  8. 【請求項8】 宿主細胞がプロモーターに機能的に連結された部位特異的リ
    コンビナーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、ベクターが部位特異
    的リコンビナーゼの第1および第2の認識部位をさらに含み、第1の認識部位が
    第1および第2の相同性アームの外側に位置し、第2の部位特異的リコンビナー
    ゼ認識部位が第1および第2の相同性アームの内側に位置し、そして、ステップ
    b)の間に、またはステップb)の後で、部位特異的リコンビナーゼの発現を誘導す
    る、請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 宿主細胞がプロモーターに機能的に連結された部位特異的リ
    コンビナーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、ベクターが部位特異
    的リコンビナーゼの第1および第2の認識部位をさらに含み、第1の認識部位が
    第1および第2の相同性アームの外側に位置し、第2の部位特異的リコンビナー
    ゼ認識部位が第1および第2の相同性アームの内側に位置し、そして、ステップ
    b)の間に、またはステップb)の後で、部位特異的リコンビナーゼの発現を誘導す
    る、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 宿主細胞がプロモーターに機能的に連結された部位特異的
    エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、ベクターが第
    1および第2の相同性アームの内側に位置する部位特異的エンドヌクレアーゼの
    認識部位をさらに含み、そして、ステップb)の間に、またはステップb)の後で、
    部位特異的エンドヌクレアーゼの発現を誘導する、請求項6に記載の方法。
  11. 【請求項11】 宿主細胞がプロモーターに機能的に連結された部位特異的
    エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、ベクターが第
    1および第2の相同性アームの内側に位置する部位特異的エンドヌクレアーゼの
    認識部位をさらに含み、そして、ステップb)の間に、またはステップb)の後で、
    部位特異的エンドヌクレアーゼの発現を誘導する、請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 ベクターが第1および第2の相同性アームの外側に位置す
    る選択マーカーをさらに含み、そして、該ベクターがベクターDNA鎖に沿って5'
    から3'の方向に、次の2つの順序のいずれかで、i) 第1の相同性アーム、選択
    マーカー、複製起点、および第2の相同性アーム、またはii) 第1の相同性アー
    ム、複製起点、選択マーカー、および第2の相同性アームを含む、請求項2〜11
    のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 選択マーカーが前記ベクターを含む細胞に抗生物質耐性を
    賦与する、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 細菌性リコンビナーゼがRecE/Tリコンビナーゼ、Redα/β
    リコンビナーゼ、またはRecE/TリコンビナーゼとRedα/βリコンビナーゼの両方
    である、請求項2〜11のいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記細胞が細菌細胞である、請求項2〜11のいずれか1項
    に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記細胞が大腸菌細胞である、請求項2〜11のいずれか1
    項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記細胞がRecE/Tリコンビナーゼおよび/またはRedα/β
    リコンビナーゼを組換え的に発現する真核細胞である、請求項2〜11のいずれか
    1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記ベクターに挿入された標的DNAを含む組換えDNA分子を
    単離することをさらに含む、請求項2〜11のいずれか1項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサ
    ブクローニングに有用な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性
    アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複
    製起点、第2の相同性アームの順序で含んでなり、第1のベクターDNA鎖上の第
    1の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第1の末端のヌ
    クレオチド配列に相同であり、かつ第1のベクターDNA鎖上の第2の相同性アー
    ムのヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列
    に相同である、上記ベクター。
  20. 【請求項20】 複製起点が細菌の複製起点である、請求項19に記載のベク
    ター。
  21. 【請求項21】 複製起点が大腸菌内で機能する、請求項19に記載のベクタ
    ー。
  22. 【請求項22】 複製起点が哺乳動物細胞内で機能する、請求項19に記載の
    ベクター。
  23. 【請求項23】 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサ
    ブクローニングに有用な二本鎖DNAベクターを含有する細胞であって、該ベクタ
    ーが複製起点と2つの相同性アームを、ベクターDNA鎖に沿って5'から3'の方向
    に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相同性アームの順序で含んでなり、
    第1のベクターDNA鎖上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標
    的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同であり、かつ第1のベクターD
    NA鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第2
    の末端のヌクレオチド配列に相同である、上記細胞。
  24. 【請求項24】 細菌の細胞である、請求項23に記載の細胞。
  25. 【請求項25】 標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニ
    ングに有用なキットであって、1つ以上の容器内に、 a) 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニングに
    有用な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクタ
    ーDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相
    同性アームの順序で含んでなり、第1のベクターDNA鎖上の第1の相同性アーム
    のヌクレオチド配列が、第1の標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に
    相同であり、かつ第1のベクターDNA鎖上の第2の相同性アームのヌクレオチド
    配列が、第1の標的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該
    ベクター、および b) 細菌性リコンビナーゼを含む細胞、 を含んでなる上記キット。
  26. 【請求項26】 相同性アームがBAC、PAC、ラムダ、プラスミドまたはYAC
    に基づくクローニングベクターに対する配列相同性を有する、請求項25に記載の
    キット。
  27. 【請求項27】 第1および第2の二本鎖オリゴヌクレオチドがBAC、PAC、
    ラムダ、プラスミドまたはYACに基づくクローニングベクターに対する配列相同
    性を有する、請求項25に記載のキット。
  28. 【請求項28】 標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブクローニ
    ングに有用なキットであって、1つ以上の容器内に、 a) 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニングに
    有用な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクタ
    ーDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相
    同性アームの順序で含む該ベクター、 b) 3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレオチド配列および第2のヌ
    クレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第1の二本
    鎖オリゴヌクレオチドであって、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖
    上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレ
    オチド配列が標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第
    1のオリゴヌクレオチド、 c) 3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレオチド配列および第4のヌ
    クレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第2の二本
    鎖オリゴヌクレオチドであって、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖
    上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレ
    オチド配列が標的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第
    2のオリゴヌクレオチド、および d) 細菌性リコンビナーゼを含む細胞、 を含んでなる上記キット。
  29. 【請求項29】 前記細胞が大腸菌細胞である、請求項25または28に記載の
    キット。
  30. 【請求項30】 前記細胞がDNAを取り込む能力のある凍結細胞である、請
    求項25または28に記載のキット。
  31. 【請求項31】 標的DNA分子の位置指定クローニングまたはサブクローニ
    ングに有用なキットであって、1つ以上の容器内に、 a) 関心のある標的DNA分子の位置指定クローニングおよびサブクローニングに
    有用な二本鎖DNAベクターであって、複製起点と2つの相同性アームを、ベクタ
    ーDNA鎖に沿って5'から3'の方向に、第1の相同性アーム、複製起点、第2の相
    同性アームの順序で含む該ベクター、 b) 3'から5'の方向に、次の順序で、第1のヌクレオチド配列および第2のヌ
    クレオチド配列を含む第1のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第1の二本
    鎖オリゴヌクレオチドであって、該第1のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖
    上の第1の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第2のヌクレ
    オチド配列が標的DNA鎖上の第1の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第
    1のオリゴヌクレオチド、および c) 3'から5'の方向に、次の順序で、第3のヌクレオチド配列および第4のヌ
    クレオチド配列を含む第2のオリゴヌクレオチドDNA鎖を含んでなる第2の二本
    鎖オリゴヌクレオチドであって、該第3のヌクレオチド配列が該ベクターDNA鎖
    上の第2の相同性アームのヌクレオチド配列に相同であり、かつ該第4のヌクレ
    オチド配列が標的DNA鎖上の第2の末端のヌクレオチド配列に相同である、該第
    2のオリゴヌクレオチド、 を含んでなる上記キット。
  32. 【請求項32】 DNAベクターが精製されている、請求項25、28または31に
    記載のキット。
  33. 【請求項33】 DNAベクター、第1の二本鎖オリゴヌクレオチド、および
    第2の二本鎖オリゴヌクレオチドが精製されている、請求項28または31に記載の
    キット。
  34. 【請求項34】 標的DNA分子が細菌、ウイルス、寄生生物、または原生動
    物のDNAを含んでなる、請求項25、28または31に記載のキット。
  35. 【請求項35】 標的DNA分子が障害または疾患に関連することが知られた
    または予想された遺伝的突然変異または多型を含む、請求項25、28または31に記
    載のキット。
  36. 【請求項36】 細菌性リコンビナーゼがRecE/Tリコンビナーゼ、Redα/β
    リコンビナーゼ、またはRecE/TリコンビナーゼとRedα/βリコンビナーゼの両方
    である、請求項25〜29のいずれか1項に記載のキット。
  37. 【請求項37】 標的DNAが、遺伝的に突然変異を起こしたとき、障害また
    は疾患に関連することが知られているか、または障害または疾患に関連すると予
    想される、請求項2〜11のいずれか1項に記載の方法。
  38. 【請求項38】 標的DNAが細菌、ウイルス、寄生生物、または原生動物のD
    NAである、請求項2〜11のいずれか1項に記載の方法。
  39. 【請求項39】 ベクターに挿入された標的DNAを含む組換えDNA分子を検出
    することをさらに含む、請求項2、4、6、8または10に記載の方法。
  40. 【請求項40】 ベクターに挿入された標的DNAを含む組換えDNA分子を検出
    することをさらに含む、請求項3、5、7、9または11に記載の方法。
  41. 【請求項41】 請求項39に記載の方法を実施することを含んでなる病原体
    の存在の検出方法であって、標的DNAが感染症を有すると予想された患者に由来
    するものであり、第1および第2の相同性アームの配列が該病原体のDNA中に存
    在する配列に相同である、上記方法。
  42. 【請求項42】 請求項40に記載の方法を実施することを含んでなる病原体
    の存在の検出方法であって、標的DNAが感染症を有すると予想された患者に由来
    するものであり、第2および第4のヌクレオチド配列が該病原体のDNA中に存在
    する配列に相同である、上記方法。
  43. 【請求項43】 病原体がウイルス、細菌、原生動物、真菌、または寄生生
    物である、請求項41または42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 請求項39に記載の方法を実施することを含んでなる遺伝的
    状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質の存在の検出方法であって、標
    的DNAが遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質を有すると予想
    された患者に由来するものであり、第1の相同性アームの配列が遺伝的状態、遺
    伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質に関連することが知られたまたは予想さ
    れた部位の上流の配列に相同であり、かつ第2の相同性アームの配列が遺伝的状
    態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質に関連することが知られたまたは
    予想された部位の下流の配列に相同である、上記方法。
  45. 【請求項45】 請求項40に記載の方法を実施することを含んでなる遺伝的
    状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質の存在の検出方法であって、標
    的DNAが遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質を有すると予想
    された患者に由来するものであり、第1の二本鎖オリゴヌクレオチドの配列が、
    遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質に関連することが知られ
    たまたは予想された部位の上流の配列に相同であり、かつ第2の二本鎖オリゴヌ
    クレオチドの配列が、遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質に
    関連することが知られたまたは予想された部位の下流の配列に相同である、上記
    方法。
  46. 【請求項46】 遺伝的状態、遺伝的疾患、遺伝的障害または多型的形質が
    癌、喘息、関節炎、薬剤耐性、薬剤毒性、または神経的、神経精神的、代謝的、
    筋肉的、心血管的な、もしくは皮膚の状態、疾患または障害であるか、あるいは
    これらに罹りやすくする、請求項44または45に記載の方法。
  47. 【請求項47】 前記ベクターが第1および第2の相同性アームの外側に位
    置する選択マーカーをさらに含み、そして、該ベクターが、ベクターDNA鎖に沿
    って5'から3'の方向に、次の2つの順序のいずれかで、i) 第1の相同性アーム
    、選択マーカー、複製起点、および第2の相同性アーム、またはii) 第1の相同
    性アーム、複製起点、選択マーカー、および第2の相同性アームを含む、請求項
    19に記載のベクター。
  48. 【請求項48】 前記ベクターの配列が、複製起点と選択マーカーの両方の
    5'側または3'側に、少なくとも5またはそれ以上のヌクレオチド塩基対の配列の
    直接反復を1以上含まない、請求項47に記載のベクター。
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