JP2003503662A - 自動車用６段変速機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、１本又は２本の変速機入力軸、遊動輪を持つ２本の中間軸及び出力軸を有する６段変速機に関する。２速段及び３速段のための遊動輪は、第１中間軸上で交換可能であり、第２中間軸上の遊動輪5は、左又は右に切替えられ得る様に、配列され得る。これは、３つの仕様の変速機、すなわち、マニュアル・シフト変速機、自動化変速機及びパワー・シフト変速機が、同じ遊動輪の組合せ、同じ中間軸そして同じ切替え装置を用いて、製作されるのを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、変速段選択用歯車が回転に関して固定的に配列される１本又は２本の
変速機入力軸、変速段選択用歯車と、回転に関して固定的に結合される出力歯車
に噛合う１〜４速段のための遊動輪が配列される第１中間軸、変速段選択用歯車
に噛合う５及び６速段のための遊動輪、回転に関して固定的に結合される後退段
Rのための遊動輪及び出力歯車が、R-5-6の遊動輪の順で配列される、第２中間軸
、上記遊動輪を回転に関して固定的に中間軸に結合する、切替え装置及び、２本
の中間軸の上記２つの出力歯車と伝達状態で結合される環状歯車を持つ変速機出
力軸、を有する、自動車用６速変速機、に関する。

【０００２】 自動車の変速機は、マニュアル・シフト変速機、自動化マニュアル・シフト変速
機或いはパワー・シフト変速機を含む変形例として種々の態様で構成され得る。
特別の切替要件を満たすために、全ての場合において、切替装置に結合される変
速機の歯車は異なる配列を持つことが、必要である。基本の変速機から上記３種
の変形例を構成するために、モジュール式の変速機構造を用いて、上記異なった
変速機を小さな追加コストで実現するのが望ましい。

【０００３】 EP 0 046 373 A1には、少なくとも１つの入力軸と、それと平行に配置されると
ともに最終出力歯車と噛合うピニオンが各々に備えられた少なくとも２つの副軸
を持つ、自動車用６段副軸式変速機のための変速機構造が開示されている。この
場合、固定輪が入力軸上に配置されるとともに副軸上の遊動輪と常時噛合状態に
あり、それと並んで遊動輪にシングル又はダブル同期ユニットが備えられ、それ
らを介して遊動輪が対応する軸に駆動結合され得る。

【０００４】 この場合において、６段副軸式変速機のための変速機構造は、共通の構成部品を
出来るだけ多く残しつつ、手動による操作が可能なマニュアル・シフト仕様と動
力作動式のパワー・シフト仕様の形態で、実施されるべきである。

【０００５】 既知の６段副軸式変速機のための変速機構造は、ここで、適切な予選択とクラッ
チの切替を行えば、パワー・シフト・モードにて変速段切替が行われ得る様に、
ダブル同期ユニットが、連続する変速段に割当てられておらず、各場合において
ある変速段の一つ飛ばした変速段に対して割り当てられる様に、連続する歯車の
配列となっているという不都合がある。

【０００６】 これは、手動による変速が可能なマニュアル・シフト仕様において、二重H形の
一般的なシフト・ゲートを介した簡潔な変速レバーのリンクを用いた切替が、可
能ではないという不都合を伴う。

【０００７】 EP 0 083 747 B1には、対応する二重クラッチと、中心軸及び中空軸からなる二
重の入力軸の配置を持つ、動力作動式パワー・シフト仕様のみの形態を当初から
持つ、自動車用６段副軸式変速機のための変速機構造が開示されている。ここで
また、固定輪が同様に入力軸上に配置され副軸上の対応する遊動輪と常時噛合い
状態であり、それと並んで遊動輪にシングル又はダブル同期ユニットが配置され
、それらを用いて、遊動輪が対応する軸に選択的に駆動結合され得る。副軸は、
各々、最終出力歯車と噛合い状態にあるピニオンを持つ。

【０００８】 EP 0 046 373 A1による変速機構造及びEP 0 083 747 B1による変速機構造は両者
とも、それぞれの場合において、２種の異なる変速段を形成する固定輪を１つ又
はそれより多く利用し、その結果、変速機の全長が短く保たれ得る。

【０００９】 本件請求項の前提部分と類似した変速機歯車の配列を持つ６段変速機が、DE 196
24 857により公知となっている。それは、変速機入力軸、２本の中間軸、変速
機出力軸、及び摺動スリーブがそこに配置された変速段選択用歯車、を有する。
４速段と６速段に共通の駆動歯車が、変速機入力軸の端部に配置されている。１
〜４速段のための遊動輪が、第１中間軸上に切替可能に配置され、そして、５速
段、６速段及び後退段用の遊動輪が、第２中間軸上に切替可能に配置されている
。ここでの本質的な改良のねらいは、全長を短くすることであり、それで、所定
の変速歯車の配置により、本質的にはマニュアル仕様の変速機が提供される。し
かしながら、２本の中間軸への遊動輪の配置は、コストの増加が殆ど無しに、モ
ジュール式変速機構造を実現するのを可能とする。

【００１０】 本発明の目的は、マニュアル・シフト変速機、自動化マニュアル・シフト変速機
及びパワー・シフト変速機という変速機の変形例において、極力多くの共用構成
要素を使用しつつ実現され得る、小型設計の６段変速機を提供することにある。

【００１１】 この目的は本発明により達成され、本発明においては、第１中間軸上の２速段の
ための遊動輪と３速段のための遊動輪が、互いに交換可能であり、1-2-3-4又は1
-3-2-4の順番のいずれかで配列可能であり、そして摺動歯を持つ第２中間軸上の
５速段のための遊動輪が、5-Rの切替配列で切替装置と係合する右側又は、5-6の
切替配列で切替装置と係合する左側に、配列され得る。

【００１２】 結果として、同じ中間軸、同じ遊動輪そして同じ切替装置を用いて全部で３つの
変速機の仕様が実現され得て、それが非常に高い割合の同一構成部品に対応する
。変速機仕様変更で必要とされる切替順序への適応が、２速段、３速段及び５速
段のための遊動輪の異なる係合を用いることにより、達成される。変速機の仕様
変更について最も重要な非同一の構成部品は、ここで述べられていないクラッチ
のサブアッセンブリに加えて、クラッチに適応されるべき入力軸と変速機ケース
である。

【００１３】 ２速段及び３速段のための遊動輪は、寸法及び切替用歯の構成に関して同一であ
り、それらは、主に歯の寸法、結局、歯先円直径が異なる。２個の遊動輪が互い
に単純に交換可能である様に、両者は中間軸の径と同じ内径そして好ましくは同
じ全長を持つ。それで遊動輪は、1-2-3-4の順又は1-3-2-4の順のいずれかで配列
され得て、そして同一の摺動ディスクを用いて固定され得る。２個の遊動輪の内
径を同じにするのと同様に、第１中間軸は、２個の遊動輪の領域において、一定
の外径を持ち、そして２個の遊動輪の間の領域においては、摺動ディスクを受容
する構造好ましくは溝を持つ。

【００１４】 ２個の遊動輪の領域において、第１中間軸が、第２及び第３遊動輪の領域の僅か
に異なる外径を持つとしても、第２及び第３遊動輪の交換可能なこの構造に対す
る障害とはならない。両方の遊動輪が、より小さな内径で製造される場合には、
大きい外径の中間軸上に配列される遊動輪をドリル加工することにより、又は、
遊動輪と中間軸との間に配列されるニードル・ベアリングのローラーの直径を適
応することより、適応され得る。この場合に、切替用歯の寸法が同一であるとい
うことが、重要である。

【００１５】 第２中間軸及び、第２中間軸上に配列される６速段及び後退段のための２個の切
替装置は、５速段の遊動輪が、ダブルHゲートを持つマニュアル・シフト変速機
のための５速段／６速段切替対として構成されることも、自動化されたマニュア
ル・シフト仕様及び／又はパワー・シフト仕様のための独立して切替られる５速
段及び６速段を持って構成されることも出来る様に、構成される。後者の場合に
おいて、５速段は後退段と共に、５速段／後退切替対を形成することが出来る。
この目的のために、第２中間軸上の２個の切替装置は、同一の切替歯を持つ。第
５遊動輪は、その歯が、変速機の仕様に応じて、第１又は第２切替装置のいずれ
かの方向に向いた状態で、取付けられる。

【００１６】 本発明の好ましい実施形態において、４及び６速段のための遊動輪（36）が変速
機入力軸の同じ変速段選択用歯車と噛合う様にされる。これは、変速機入力軸の
端部における固定の変速段選択用歯車がエンジンから離れる方向に向く必要性を
排除し、それで、変速機の全長を短縮そして組立に関するコストを削減する。入
力軸と中間軸との間の軸間隔及び変速段選択用歯車の外径の調整が、変速段全体
の中での４速段と６速段との間の変速比をいかなる所望のものともすることを可
能とする。

【００１７】 マニュアル・シフト変速機として、６段変速機は、エンジン側から見て、１速段
、２速段、５速段、３速段、４／６速段の変速段選択用歯車の配列で、変速機入
力軸を持つ。１／２速段及び３／４速段の切替対のための遊動輪が第１中間軸上
で組合わせられる。５／６速段の切替対と個別に切換えられる後退段とが、第２
中間軸上に配列される。この切替対の形成は、作動装置において、それぞれの場
合に、１／２速段、３／４速段そして５／６速段がシフト・ゲートを形成するダ
ブルH形シフト・ゲートの場合における個別の変速段の良好な切替性要件に対応
する。後退段は、前進段とは独立して作動させられる。

【００１８】 自動化マニュアル・シフト変速機として、６段変速機は、エンジン側から見て１
速段、３速段、５速段、２速段、４／６速段の変速段選択用歯車の構成を持って
、変形された変速機入力軸を持つ。１／３速段と２／４速段の２つの切替対のた
めの遊動輪が、第１中間軸上で組合わせられる。５速段／後退段の切替対及び個
別に切換えられる６速段が、第２中間軸上に配列される。この変速段配列は、自
動化された変速機の動作に対する要件に対応し、それにより、出来るだけ切替時
間を短くするために、可能であれば、隣接の変速段が同時に動作させられる。

【００１９】 パワー・シフト変速機として、６段変速機は、二重クラッチを必要とし、対応し
て、それぞれの場合においてエンジン側から見て、第１入力軸上における１速段
と３速段と５速段の奇数段と、第２入力軸上における２速段と４速段と６速段の
偶数段の固定変速段選択用歯車の配列と共に、２本の変速機入力軸を持つ。切替
対の配列は、第１中間軸上の１／３速段及び２／４速段及び第２中間軸上の５速
段／後退段であり、自動化仕様における様に、６速段は、第２中間軸上で個別に
切替えられる。変速段選択用歯車及び切替対のこの配列において、隣接の変速段
は常時、異なる変速機入力軸と異なる切替対に配置される。それで、切替順にお
いて次に高い変速段が、低い方の変速段がまだ係合している限り、予選択される
ことが出来る。切替動作中の滑らかなトルク伝達が、２本の変速機入力軸上に存
在するクラッチの適切な制御を用いて、達成される。

【００２０】 本発明の好ましい実施形態において、後退段のための遊動輪が、第１中間軸上に
配列され１速段の遊動輪に対し回転に関して固定的に係合される中間歯車と噛合
うよう、第２中間軸上に配列されている。この配列は、後退段のための追加の中
間軸を不要にする。

【００２１】 本発明の別の好ましい実施形態は、以下の図面に見ることが出来る。

【００２２】 図１は、マニュアル・シフト仕様の６段変速機100を、図面に表したものである
。入力軸110が、クラッチ117を介して、不図示のエンジンに接続されている。１
乃至６速段のための変速段選択用歯車111〜115が、回転に関して固定的に、入力
軸110上に配列されている。第１中間軸20上に配置されるのは、１〜４速段のた
めの遊動輪21〜24であり、それらは切替装置28及び29を介して、第１中間軸20に
対し回転に関して固定的に、切替えられることが可能である。第２中間軸30上に
配置されるのは、５及び６速段のための遊動輪35及び36と後退段のためのの遊動
輪37であり、それら遊動輪は全て、切替装置38及び39を介して、第２中間軸30に
対し回転に関して固定的に、同様に変速され得る。

【００２３】 エンジン側から見て、変速段選択用歯車は、入力軸110上に、以下の様に配列さ
れている。すなわち、遊動輪21と噛合う変速段選択用歯車111、それから遊動輪2
2と噛合う変速段選択用歯車112、それから遊動輪35と噛合う変速段選択用歯車11
5、それから遊動輪23と噛合う変速段選択用歯車113、そして、入力軸の端部にお
いて、４速段のための遊動輪24及び６速段のための遊動輪36の両方と噛合う変速
段選択用歯車114、である。変速段選択用歯車のこの配列は、それぞれの場合に
おいて共通の切替装置を介して切替えられる、遊動輪の切替対を生じる。１及び
２速段のための遊動輪21及び22は、切替装置28を介して回転に関して固定的に第
１中間軸20に結合されることが出来、３及び４速段のための遊動輪23及び24は、
切替装置29を介して回転に関して固定的に第１中間軸20に結合されることが出来
、そして、５及び６速段のための遊動輪35及び36は、切替装置39を介して回転に
関して固定的に第２中間軸30に結合されることが出来る。

【００２４】 第１及び第２中間軸20及び30は、そのエンジン側端部において、回転に関して固
定的に配列されるとともに、車軸出力軸46により車輪に駆動力を伝達する出力軸
40の環状歯車44に両者が接続される、出力歯車41及び42を、持つ。

【００２５】 後退段のために、中間歯車27が、第１中間軸20上に遊動的に配置されるとともに
、１速段の遊動歯車21へ回転に関して固定的に結合される。その結果、中間歯車
27は、遊動輪21を介して間接的に、入力軸110と常時噛合い状態にある。中間歯
車27は、第２中間軸30上に配置されるとともに、切替装置38を介して回転につい
て固定的に第２中間軸30に固定され得る後退段のための遊動輪37と、噛合う。こ
の配列のために、後退段のために必要な中間軸の機能は、結合された２個の歯車
すなわち遊動輪21と中間歯車27が後退段において第１中間軸上で遊動するという
態様で、第１中間軸20により実現される。

【００２６】 図２は、自動化マニュアル・シフト仕様の６段変速機200を示す。入力軸210は、
自動的に作動させられるクラッチ217を介して、不図示のエンジンにより駆動さ
れる。マニュアル・シフト仕様100と比較して、入力軸210上の変速段選択用歯車
211〜215の配置が、変更されている。エンジンから見ると、以下の順番が得られ
る。すなわち、まず、１速段のための変速段選択用歯車211、それから３速段の
ための213、それから５速段のための215、それから２速段のための212、そして
、軸端における、４及び６速段のための214、である。

【００２７】 入力軸210上の変速段選択用歯車の配列により、第１中間軸20上で２及び３速段
のための遊動輪22及び23が入れ替えられ、また第２の入力軸30上で遊動輪35が鏡
面対称的に回転させられる。それで、以下の様な新たな切替対が得られる。すな
わち、第１の中間軸20上において、切替装置28を用いて切替えられる１及び３速
段のための遊動輪21及び23、及び、切替装置29を用いて切替られる２及び４速段
のための遊動輪22及び24、である。第２の中間軸30上には、切替装置38を用いて
切替られる、５速段及び後退段のための遊動輪35及び37、及び、ここでは５速段
とは別個に、切替装置39を用いて唯一切替えられる、６速段のための遊動輪36、
である。

【００２８】 変速対が隣接変速段のいずれも割り当てられない、切替対のこの配列は、切替作
動を極力短時間にするという観点で自動化マニュアル・シフト変速機の要件に対
応する。クラッチ217が解放するや否や、隣接変速段が、前もって解放されねば
ならないことなしに、同期され得る。この適合は、本質的に、変更された入力軸
210によって実現される。第１中間軸20上の遊動輪22, 23及び第２中間軸30上の
遊動輪35の、新規な配列は、製造工程における高コストとなることを意味するも
のではなく、単に組立順序の違いを意味する。

【００２９】 パワー・シフト仕様の６段変速機が、図３に図示されている。パワー・シフト変
速機300のために、２個のクラッチ317及び327が、それぞれ対応する２本の入力
軸310及び320と共に、必要とされる。１、３及び５速段のための変速段選択用歯
車311, 313及び315が、第１の入力軸310上に、エンジンから見て、この順序で配
置されている。２速段のための変速段選択用歯車322と、４及び６速段のための
歯車324が、第２入力軸320上に配列される。

【００３０】 ２本の中間軸上における遊動輪の配列は、自動化仕様200におけるものと同じで
ある。１及び３速段のための遊動輪21, 23は、切替装置28を用いて切替が可能な
変速段の対を形成し、２及び４速段のための遊動輪22及び24は、切替装置29を用
いて切替が可能な変速段の対を形成し、５速段及び後退段のための遊動輪35及び
37は、切替装置38を用いて切替が可能な変速段の対を形成し、そして、遊動輪36
は、切替装置39を用いて個別に切替えられる。

【００３１】 入力軸上の変速段選択用歯車及び中間軸上の遊動輪のこの配列は、パワー・シフ
ト変速機の要件を満足し、それにより、切替作動中に、切替装置を用いて、次に
高い変速段が係合され、そしてクラッチの制御を用いて、トルクの中断が全く無
しに、トルクが次の変速段に伝達される。自動化マニュアル・シフト変速機200
と比較して、本質的な変更点は、対応する変速段選択用歯車とともに必要とされ
る２本の入力軸である。対照的に、駆動装置と中間軸は、自動化されたマニュア
ル・シフト変速機200におけるものと本質的に同じである。

【００３２】 マニュアル・シフト仕様の６段変速機100についての本発明の構成の断面図が、
図４に示されている。入力軸110は、クラッチ117を介して不図示のエンジンに駆
動接続されるとともに、ボール・ベアリング10及び11を介して変速機ケース101
に取付けられている。１乃至６速段のための変速段選択用歯車111〜115が、入力
軸110上に固定的に配列され、１速段のための変速段選択用歯車111及び２速段の
ための変速段選択用歯車112が入力軸から形成され、それに対し３乃至６速段の
ための変速段選択用歯車（113, 114, 115）が入力軸110上に嵌入されている。こ
の場合において、入力軸110の端部における変速段選択用歯車114は、４及び６速
段のための遊動輪と噛合う。

【００３３】 第１中間軸20は、コーン・ベアリング12及び13を用いて変速機ケース101に取付
けられている。第１中間軸20上に配置されるのは、１〜４速段のための遊動輪21
〜24であり、それらはニードル・ベアリング50を介して中間軸上に回転自在に取
付けられている。遊動輪は、切替装置28及び29を用いて、第１中間軸20に関して
回転について固定的に切替られることが出来、遊動輪は全て同じ切替用歯54を持
つ。後退段のための中間歯車27は、回転に関して固定的に、１速段用遊動輪21に
結合されている。後退段が選択されると、この場合に車軸の機能を持つ第１中間
軸20上で、２つの歯車が回転する。エンジン側から見て、入力軸20において前部
に配置されているのは、入力軸20と一品で製造される固定出力歯車41である。

【００３４】 １速段の遊動歯車21は、そのフランジ上の中間歯車27と共に、軸方向に見てエン
ジン側の出力歯車41に接し、そして反対側においては、中間軸20上で、回転に関
して固定的で移動不能に配列される切替装置28のインナー・リング58に接して、
作動する。２速段のための遊動歯車22は、エンジン側ではこのリング58に接し、
そしてエンジンと反対側では、中間軸20上の溝51内に固定される摺動ディスク52
に接して、作動する。３速段及び４速段のための遊動輪は、同様の方法で軸方向
に取付けられ、３速段のための遊動輪23は、エンジン側では摺動ディスク52に接
し、そして反対側では、同じ様に中間軸20上に固定的に密着させられる切替装置
29のインナー・リング59に接して、作動する。４速段のための遊動輪24は、、エ
ンジン側ではこのインナー・リング59に接し、そして反対側では、同じ様にコー
ン・ベアリング13の中間軸20上に固定的に密着させられるインナー・リングに接
して、作動する。

【００３５】 軸方向の取付けのためのこの配列が、変速機の構成のモジュラー性に必要とされ
る、２及び３速段のための２個の遊動輪22及び23の単純な互換性を実現する。２
個の遊動輪が同じハブ幅、同じ内径そして同じ切替用歯54を持つので、他の構造
的変更が必要とされることなしに、変速機の仕様に応じて、２速段用遊動輪22又
は３速段用遊動輪23のいずれかが最初に中間軸上に取り付けられることが出来る
。遊動輪22と遊動輪23の内径及び／又は全幅の違いが僅かであれば、これに対す
る障害とはならない。これは、以下の手順により適合され得る。すなわち、第１
に、例えば内径をドリル加工すること及び／又は摺動面を旋削加工することによ
る、遊動輪の単純な再加工、そして、第２に、内径の違いを吸収する異なる直径
のニードル・ベアリング・ローラー及び／又は全幅の違いを吸収する異なる厚さ
の摺動ディスクを用いての、適合による。

【００３６】 第２中間軸30は、コーン・ベアリング14及び15を用いて変速機ケース101に取付
けられる。５及び６速段のための遊動輪35及び36及び後退段のための遊動輪37は
、ニードル・ベアリング60を介して中間軸30上に回転自在に取付けられ、遊動輪
の全てが、切替装置38及び39を介して、中間軸30に対して回転に関して固定的に
、切替られることが可能である。この目的のために、３つの遊動輪が同じ切替用
歯64を持つ。第１中間軸20におけるのと同様に、第２中間軸30においても、エン
ジン側から見て前部で、歯車、具体的には固定出力歯車42が一体に製造される。

【００３７】 後退段用遊動輪37は、エンジン側においては、固定出力歯車42を介し、そして、
他方側では、中間軸30上で回転に関して固定的にそして移動不能に配列される切
替装置38のインナー・リング68を介して、軸方向に取付けられる。５速段の遊動
輪35は、エンジン側において、中間軸30上の連続溝61内に軸方向に固定される摺
動ディスク62に接して、作動する。溝61と同じ寸法を持つ第２溝63が、エンジン
から更にいくらか離れる位置に摺動ディスク62を取付けることを可能とする。こ
の第２溝63は、自動化仕様及びパワー・シフト仕様の６段変速機のために、用い
られる。これらの仕様において、摺動ディスクは、溝63に取付けられ、そして、
５速段の遊動輪35が入力軸30上で鏡像対称関係に配列される時、すなわち切替用
歯64が切替装置38と噛合う状態にある時に、５速段の遊動輪35を軸方向に固定す
る。

【００３８】 ２本の出力歯車41及び42は、ねじ用フランジ47を介して出力軸40へ結合される環
状歯車44と伝達結合関係にある。出力軸40内に配列されるのは、駆動力を２本の
車軸出力軸46に分配するディファレンシャル機構45である。

【００３９】 図５は、本発明による自動化マニュアル・シフト変速機200のための変形例を示
す。入力軸210は、クラッチ217を介して、不図示のエンジンへ結合される。この
仕様において、クラッチ217の作動は、ここでは不図示の自動化作動装置を介し
て実行される。入力軸210は、マニュアル・シフト変速機の入力軸110とは異なり
、その違いは本質的に、２及び３速段のための変速段選択用歯車212及び213の交
換された配列にある。

【００４０】 第１及び第２中間軸20及び30は、マニュアル・シフト変速機のそれと同一であり
、遊動輪の配列だけが変わっている。つまり、２及び３速段のための遊動輪22と
23が第１中間軸上で交換され、そして５速段のための遊動輪35は第２中間軸30上
で鏡像対称関係に配列される。この目的のために、遊動輪35の歯64が切替装置38
に係合し、そして、５速段の歯の第２中間軸30に対する位置が、マニュアル・シ
フト仕様100と同じである様に、摺動ディスク62が溝63内に取付けられる。

【００４１】 車軸出力軸40も、マニュアル・シフト仕様100のそれと同一である。変速機ケー
ス201は、軸の間隔及び入力軸と出力軸の位置の様な、全ての主要な寸法につい
て、マニュアル・シフト仕様の変速機ケース101に対応している。収容部が追加
されるべき場合があるとすれば、自動化された変速機の制御部の配置のためだけ
である。結果として、自動化マニュアル・シフト変速機の唯一の本質的に新規な
部分は、入力軸210である。

【００４２】 最後に図６は、本発明によるパワー・シフト仕様の６段変速機300の断面図であ
る。第１及び第２中間軸20及び30は、遊動輪の配列と共に、自動化マニュアル・
シフト変速機200におけるそれらと同一である一方で、入力軸は２本に分けられ
ている。中空軸として構成された、第１入力軸310は、エンジン側クラッチ317及
び、１、３及び５速段のための変速段選択用歯車311, 313及び315を保持する。

【００４３】 第２入力軸320は、中空第１入力軸310を貫通して延びている。第２入力軸320は
、エンジン側において、第１入力軸310のクラッチ317と共に、クラッチ・フラン
ジ303を介し、不図示のエンジンに駆動状態で結合される二重クラッチ302を形成
する。２速段のための変速段選択用歯車322及び４／６速段のための変速段選択
用歯車324は、エンジンと反対側に配列される。２速段のための変速段選択用歯
車322は、エンジンと反対側において、中空軸321として構成され、それは、その
端部において、第２入力軸320に固定的に結合される中空軸のハブ323を持つ。４
／６速段のための変速段選択用歯車324は、中空軸321上に固定的に配列される。

【００４４】 第２入力軸320は、エンジンと反対側において、ボール・ベアリング11により、
変速機ケース301の中に取付けられ、エンジン側においては、ローラー・ベアリ
ング329により、クラッチ・フランジ303の中に、取付けられる。第１入力軸310
は、エンジン側において、ボール・ベアリング10により、変速機ケース301の中
に取付けられ、エンジンと反対側において、４／６速段のための変速段選択用歯
車324の領域において、ニードル・ベアリング318により、中空軸321内に取付け
られる。エンジンと反対側でのこの取付構成は、その中を通る第２入力軸320よ
り大きな曲げ強さを中空軸として持つ第１入力軸310が、変速機ケース301又はボ
ール・ベアリング11へ出来るだけ近付いて支持され、結果として、荷重下での曲
げが低減される。

【００４５】 ２速段のための変速段選択用歯車322は、荷重下での大きな曲げ変形を意味する
ことになる、中空軸321の端部における配置により、それの歯の領域における支
持を必要とし、そして、これ故に、歯車322と第１入力軸310との間に、追加のニ
ードル・ベアリング328が設けられる。結果として、力伝達中に生じる横力は、
第１入力軸310により、伝えられる。

【００４６】 第１入力軸310と第２入力軸320との間の力の軸方向成分を吸収するために、２速
段のための変速段選択用歯車322と５速段のための変速段選択用歯車315との間に
、軸方向ベアリング325が取付けられる。

【００４７】 単一クラッチ117と217に比較して、より大きな二重クラッチ302は、変速機ケー
ス301のより大きなクラッチ・ハウジング304を必要とし、その結果、パワー・シ
フト仕様の変速機300の全長は、マニュアル・シフト仕様100及び自動化仕様200
のものよりも大きくなる。車軸出力軸46の位置が、エンジンとの関係で変化しな
い様に、出力軸が、中間軸20及び30に対して、エンジンの方向に移動される。こ
れは、環状歯車44、出力軸のねじ用フランジ47に対向して、エンジンと反対側か
らがねじ留めされ、それに対して、他の２つの仕様においてそれは、ねじ用フラ
ンジ47に対向してエンジン側からねじ留めされることで、実現される。この場合
において、出力軸ベアリング48の位置もまた、中間軸20及び30との関係で、移動
されるので、いずれにしても、パワー・シフト仕様については、新規な変速機ケ
ースが、必要とされる。

【００４８】 ３つの仕様の６段変速機の全てにおいて、１速段のための遊動輪21に固定的に結
合される、中間歯車27及び、後退段のための遊動輪37の配列は、変更がないまま
である。

【００４９】 本発明は、３つの仕様の６段変速機を実現するのを、単純な方法で、実現する。
変速機入力軸及び変速機ケースは本質的には、それぞれの変速機仕様に対し適応
されるべきであるが、中間軸は、全ての遊動輪及び切替装置と共に、そしてまた
変速機出力軸と共に、本質的に同一である。仕様の多様性は、殆どコスト増なし
に、達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による、マニュアル・シフト変速機の概略図である。

【図２】本発明による、自動化マニュアル・シフト変速機の概略図である。

【図３】本発明による、パワー・シフト変速機の概略図である。

【図４】マニュアル・シフト変速機の断面図である。

【図５】自動化マニュアル・シフト変速機の断面図である。

【図６】パワー・シフト変速機の断面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ピーター ダール ドイツ国 デー−51515 ケルテン ゲル ハルト ハウプトマン シュトラーセ 49 (72)発明者 ウルリッヒ エッゲルト ドイツ国 デー−41751 フィールゼン クローネンファット 28 (72)発明者 アンドレアス ヘゲラー ドイツ国 デー−50126 ベルクハイム エッシェンヴェーク ５ (72)発明者 シュテファン ブンガルト ドイツ国 デー−42281 ウッペルタール アラリッヒシュトラーセ ２ (72)発明者 ジーン ピーレ シャゾッテ ドイツ国 デー−50996 ケルン テオド ール ホイス シュトラーセ ６ Ｆターム(参考） 3J028 EA07 EA09 EB08 EB13 EB33 EB37 EB62 EB66 EB67 FA06 FA13 FB04 FC32 FC42 FC65 GA02 HA22 HB02 【要約の続き】

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 変速段選択用歯車が回転に関して固定的に配列される１本又は
   ２本の変速機入力軸（110, 210, 310, 320）、上記変速段選択用歯車と噛合う１
   〜４速段のための遊動輪(21〜24)及び、回転に関して固定的に配列される出力歯
   車（41）が配列される第１中間軸（20）及び、上記変速段選択用歯車に噛合う５
   及び６速段のための遊動輪（35, 36）、回転に関して固定的に結合された後退段
   Rのための遊動輪（37）及び出力歯車（42）が、R-5-6の遊動輪の順で配列される
   、第２中間軸（30）、上記遊動輪を回転に関して固定的に上記中間軸に結合する
   、切替装置（28, 29, 38, 39）及び、上記２本の中間軸（20, 30）の上記２つの
   出力歯車（41, 42）と伝達状態で結合される環状歯車（44）を持つ変速機出力軸
   （40）、を有する、自動車用６段変速機において、 上記第１中間軸（20）上の２速段のための遊動輪（22）及び３速段のための
   遊動輪（23）が、同じ切替用歯及び同様の寸法を持ち、互いに交換可能であり、
   その結果、上記第１中間軸（20）上の１〜４速段のための上記遊動輪が、1-2-3-
   4の順番又は1-3-2-4の順番のいずれかで配列され得る、ことを特徴とする、自動
   車用６段変速機。
2. 【請求項２】 上記第２中間軸（30）上にあり摺動歯（64）を持つ上記５速段
   のための遊動輪（35）が、５速段／Ｒ切替対として切替装置（38）内の上記後退
   段のための遊動輪（37）に向けて配列されるか又は、５速段／６速段切替対とし
   て切替装置（39）内の上記６速段のための遊動輪（36）に向けて左側に配列され
   るのが可能である、 ことを特徴とする、請求項１に記載の６段変速機。
3. 【請求項３】 マニュアル・シフト変速機（100）として構成され、1-2-3-4と
   いう順の遊動輪（21-24）及び、１速段／２速段の対及び３速段／４速段の対を
   持つ切替装置（28, 29）が、上記第１中間軸（20）上に配列され、独立して切換
   えられる後退段R及び５速段／６速段の対を持つ切替装置（38, 39）が、上記第
   ２中間軸（30）上に配列される、 ことを特徴とする、請求項１に記載の６段変速機。
4. 【請求項４】 上記変速機入力軸（110）上の上記変速段選択用歯車（111-115
   ）が、エンジンから見て、1-2-5-3-4/6という順番である、 ことを特徴とする、請求項２及び３に記載の６段変速機。
5. 【請求項５】 自動化マニュアル・シフト変速機（200）として構成され、1-3
   -2-4の順の上記遊動輪（21-24）及び１速段／３速段の対を持つ切替装置（28）
   及び２速段／４速段の対を持つ切替装置（29）が、上記第１中間軸（20）上に配
   列され、Ｒ／５速段の対を持つ切替装置（38）及び独立して切換えられる６速段
   を持つ切替装置（39）が、上記第２中間軸（30）上に配列される、 ことを特徴とする、請求項１に記載の６段変速機。
6. 【請求項６】 上記変速機の入力軸（210）上の上記変速段選択用歯車（211-2
   15）が、エンジンから見て、1-3-5-2-4/6の順番である、 ことを特徴とする、請求項２及び５に記載の６段変速機。
7. 【請求項７】 パワー・シフト変速機（300）として構成され、１速段のための
   変速段選択用歯車（311）と３速段のための変速段選択用歯車（313）と５速段の
   ための変速段選択用歯車（315）が配列される第１変速機入力軸（310）及び、２
   速段のための変速段選択用歯車（322）と４速段のための変速段選択用歯車（324
   ）と６速段のための変速段選択用歯車が配列される第２変速機入力軸（320）を
   有し、上記第１中間軸（20）上には、1-3-2-4の順番で遊動輪（21-24）と１速段
   ／３速段の切替対を持つ切替装置（28）と２速段／４速段の切替対を持つ切替装
   置（29）が配列され、そして上記第２中間軸（30）上には、後退段／５速段の切
   替対を持つ切替装置（38）と独立して切換えられる６速段を持つ切替装置（39）
   が配列される、 ことを特徴とする、請求項１に記載の６段変速機。
8. 【請求項８】 上記第２中間軸（30）上に配列される後退段のための遊動輪（
   37）が、上記第１中間軸（20）上に遊動状態で配列され、第１速段のための遊動
   輪（21）に対して回転に関して固定的に結合される中間歯車（27）と噛合う、 ことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の６段変速機。
9. 【請求項９】 上記出力軸（40）の環状歯車（44）及び、ねじ用フランジ（47
   ）が、上記環状歯車（44）を上記ねじ用フランジ（47）上でエンジン側とエンジ
   ンとは反対側とに配列するのを可能とする構造を持つ、 ことを特徴とする、請求項１に記載の６段変速機。
10. 【請求項１０】 変速機の仕様が、マニュアル・シフト変速機（100）、自動
    化マニュアル・シフト変速機（200）及びパワー・シフト変速機（300）を有し、
    上記変速機が、回転に関して固定的に変速段選択用歯車が配列される１本又は２
    本の変速機入力軸（110, 210, 310, 320）、上記変速段選択用歯車と噛合う１〜
    ４速段のための遊動輪（21-24）及び、回転に関して固定的に配列される出力歯
    車（41）が配列される第１中間軸（20）及び、上記変速段選択用歯車と噛合う５
    及び６速段のための遊動輪（35, 36）及び、回転に関して固定的に結合される後
    退段Rのための遊動輪（37）及び出力歯車（42）が、R-5-6の遊動輪の順番で配列
    される第２中間軸（30）、上記遊動輪を回転に関して固定的に中間軸へ結合する
    切替装置（28, 29, 38, 39）及び、上記２つの中間軸(20, 30)の上記２つの出力
    歯車（41, 42）と伝達状態で結合する環状歯車（44）、を有する、少なくとも２
    つの仕様の自動車用６速変速機で同一の構成部品を使用する方法において、 １〜４速段のための遊動輪（21-24）及び第１中間軸（20）が同一の構成部
    品である、 ことを特徴とする、同一構成部品の使用方法。
11. 【請求項１１】 同一の構成部品が、５及び６速段のための遊動輪（35, 36）
    及び第２中間軸（30）である、 ことを特徴とする、請求項１０に記載の同一構成部品の使用方法。
12. 【請求項１２】 同一の構成部品が、後退段のための遊動輪（37）である、 ことを特徴とする、請求項１０に記載の同一構成部品の使用方法。
13. 【請求項１３】 同一の構成部品が、上記第１又は第２中間軸（20, 30）上の
    上記切替装置（28, 29, 38, 39）の少なくとも一つである、 ことを特徴とする、請求項１０に記載の同一構成部品の使用方法。
14. 【請求項１４】 同一の構成部品が、ディファレンシャル機構（45）及び環状
    歯車（44）を持つ、出力軸（40）であり、上記環状歯車（44）が、ねじ用フラン
    ジ（47）上で、エンジン側又はエンジンと反対側に配列可能である、 ことを特徴とする、請求項１０に記載の同一構成部品の使用方法。