JP2003502059A - ゲノムプロファイリング:多種生物の存在について複雑な生物学的試料を試験するための迅速な方法 - Google Patents

ゲノムプロファイリング:多種生物の存在について複雑な生物学的試料を試験するための迅速な方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ゲノムプロファイリングと称される、多くの異なる種類の生物を診断するような、複雑な生物学的試料を核酸配列(ゲノム差配列、群特異的配列、及びDNA多型を含む)の存在について同時にスキャンする方法を提供する。更に本発明は、本発明の方法において使用するためのプローブ、検出アンサンブル、及び関連分子も含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 本発明は、生体試料(例えば、血液、尿、痰、及び糞便)のような複雑な生物学
的試料からの遺伝情報の獲得に関する。このような試料中の感染性生物を、感染
症の最適な治療のため及び公衆衛生の維持のために同定することは医学的に重要
である。患者が遺伝疾患に罹患しているかどうかを決定すること及び法医学的同
定も、生体試料の遺伝情報の解析に大きく依存している。
【0002】 感染性病原体診断の現在の手法は、一連の複雑な数百の試験を含んでいるにも
かかわらず、感染性生物の大きい画分が日常的に検出から漏れている。例えば、
米国において感染性疾患の最も一般的な死因である肺炎の患者における感染性病
原体の決定の試みにおいては、成功率はほぼ半分でしかない。
【0003】 肺炎、髄膜炎、及び急性胃腸疾患のような多くの疾患は、多数の感染性病原体
により起因され得る一組の症状(「表出(presentation)」)により特徴付けられて
いる。一般にこのような疾患を引き起こす全ての病原体を調べる単独の試験はな
い(本発明者はこのような試験を「表出特異性試験(presentation-specific test
)」と称する)。現在の手法は、一種類の病原性生物のみの存在を試験することが
多い。この方法は、多種多様な試験が試料について行われなければならないこと
が多いので、経費が増大し、同定に時間を要し、かつ間違う可能性があるので、
問題が多い。
【0004】 更に多くの手法は、日常的に使用するには余りにも高価である。例えば、ある
ウイルスを試験するために数百ドルを要することがある。この経費は、医療提供
者にとって、特に複数の試験が感染性病原体の同定に必要であるという可能性が
高いという事実の点から重荷となっている。
【0005】 大方の現在の診断試験では、感染性病原体は、非常に多数の生物を獲得するた
めに培養される必要がある。残念ながら、多種の生物を、病院の臨床検査室にお
いて日常的に培養することはできない。ほとんどのウイルス及び寄生虫並びに多
くの細菌がこの範疇に入る。培養することができる生物については、数日又は数
週間かかることさえある培養のために、貴重な時間が失われる。従って、例えば
細菌性髄膜炎の患者の寿命は、迅速な治療に大きく左右されることがあるが、最
適な治療には、培養のための時間の消費及び寿命の危機を遅らせるが必要なこと
がある。その他の感染性病原体、例えば結核起因菌は、通常培地での増殖に数週
間を要する。同定(及び最適治療)の遅れは、結核患者が、多くのその他の非常に
感染力のある疾患に感染することにつながる。
【0006】 現在病院で実施される診断試験は、試料中に存在する生物のクラスのおおまか
な同定のみをもたらす。多くの症例において、病原性生物を密接に関連した非病
原体から識別することは困難である。
【0007】 更に病原体を同定するには、試料は、いくつか異なる臨床検査室において、各
自異なる種類の特殊なトレーニングを受けた数名により実施される多くの試験を
受けなければならないと思われる。必要な専門家に要する経費は、診断用臨床検
査室の予算を枯渇させる。更にいくつかの臨床検査室間の試料の分割も、別の誤
りの原因となり、かつ病原体が生存していることが試験に必要な場合には輸送が
問題となり得る。
【0008】 従って、多種多様な群に由来する非常に多くの生物の存在を効率的にチェック
し、比較的短時間(例えば2、3時間)で行うことができ、単独の試験様式を使用し
、かつ病原体の高解像度の同定につながるような、表出特異的(すなわち包括的)
である新たな種類の試験が必要である。
【0009】 生物学的試料から正確な遺伝情報を得ることは、試料中に存在する生物の同一
性及び医学的に関連する属性に関する情報をもたらすことができる。これは、進
化の分岐のために、生物の種類毎に独自のゲノムDNA配列を有するためである。
長年にわたるDNA配列の変化の原因は、宇宙線、化学変異原による修飾、正常なD
NA複製の誤り、遺伝子組換えによる再配列、並びにウイルス、プラスミド及び転
位性遺伝因子の侵襲の一群を含む。その結果、一塩基の変化が蓄積し、配列セグ
メントが欠損され、配列セグメントが挿入され、かつ染色体が再配列される。従
って、ゲノムは、保存配列(すなわち、多様な分類群に共通の配列)及び先に列記
した変化の種類の結果である多様な配列のモザイクとなる。従って、独自のゲノ
ムのサイン(signature)又はフィンガープリントを試験する方法は、生物の同定
に有用である。
【0010】 感染性生物のDNAフィンガープリントを得るために多くの方法が開発されてい
る。これらは、制限断片長多型(RFLP)解析、増幅断片長多型(AFLP)解析、パルス
フィールドゲル電気泳動、任意プライム(arbitrarily-primed)ポリメラーゼ連
鎖反応(AP-PCR)、反復配列に基づくPCR、リボタイピング、及び比較核酸配列決
定を含む。これらの方法は一般に、非常に遅く、経費がかかり、再現性がなく、
かつ殆どの診断状況において使用されるのに技術的に過酷な要求がなされる。前
述の方法は全て概して取り扱い難いゲル電気泳動段階が使用され、病原体が培地
において増殖され、そのゲノムDNAが精製され、かつ試料が1種よりも多い生物種
を含まないこと(これは、複雑な医学的試料の直接試験においてはありえない)を
必要とする。これと同じ制限(ゲル電気泳動の要件以外)が、試料の高密度マイク
ロアレイへのハイブリダイゼーションによる、最近開発された高解像度の菌株同
定方法に適用する(Salazarら、Nucleic Acids Res.、24:5056-5057 (1996);Tro
eschら、J. Clin. Microbial.、37:49-55 (1999);Lashkariら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A.、94:13057-13062 (1997))。更に、これらの新規ハイブリダイ
ゼーション法は、一般に様々な程度のミスマッチを伴う小さいオリゴヌクレオチ
ドへのハイブリダイゼーションの間の識別を必要とするので、技術的に多くを要
求する。比較的大きいDNA配列の有無を基にした方法は、より確固とした、従っ
て臨床的により有用な診断アッセイ法を提供すると思われる。DNAフィンガープ
リントの形での、遺伝子を基にした正確な同定は、地域社会及び病院での感染症
の大発生を追跡しかつ蔓延を防ぐために重要である。治療上、フィンガープリン
ト決定、特に迅速に培養とは無関係の試験において提供される場合は、投与され
る抗生物質を現行の方法による決定よりもより迅速に決定することにより、生命
を救うと考えられる。
【0011】 更に数種類の多様な生物の存在について一度に試料を試験する方法も開発され
ている。このような方法は、今のところ一般にはフィンガープリント決定には−
すなわちある種内の密接に関連した生物間の識別には適していないことに注意す
ること。培養を必要とせずに、いくつかの生物の存在を一度に試験するひとつの
方法は多重(multiplex)PCRである。多重PCRの主な問題点は、他の多重化された
増幅方法と共に、多くの配列の同時増幅が困難であることである(多くのプライ
マー配列が含まれるので、増幅産物は蓄積を始める)。多重PCRを使用し試験する
ことができる配列数に制限があるために、多数の異なる種類の生物において存在
する多数の異なる配列について確固とした多重化された試験に達することは非常
に困難である。従って、系統発生的に異なる生物について同時に試験するための
多重PCR適用の最良の例のひとつは、わずかに9種の配列をチェックし、これは表
出特異的試験を提供するには十分とはいえない(Grondahlら、J. Clin. Microbio
l.、37:1-7 (1999))。更に、使用することができる診断プローブの数の制限のた
めに(生物1種につきただ1個の配列が試験された)、この試験は、冗長度(再現性
のために重要)を欠き、かつ感染性病原体の粗い同定のみを提供する。多重PCRは
、殆どの医学的試料中に存在する阻害剤にも感受性があり、結果を信頼できるも
のにするには技術的に困難を伴う試料の調製を必要としている。
【0012】 生物を遺伝的に同定するひとつの方法は、特定種の生物に独自の配列(又は配
列セット)の存在を試験することに関与している。このような配列は、同定(ID)
配列と称される。ヒト免疫不全ウイルスの存在を決定するには、例えば、この群
のウイルスのメンバーにおいて特有に存在するDNA配列の有無について試験する
。別の例としては、ある大腸菌株は、ヒト胃腸管に存在しても無害であるが、別
の大腸菌株の存在は生命を脅かすことがある。このような菌株は非常に密接に関
連しているが、それらのDNA配列の異型を検出することによりこれらを識別する
ことができる。
【0013】 密接に関連した類縁体からある生物を識別するために、群内の各菌株において
独自の組合せで存在するDNA配列セットのメンバーの存在を試験することが有用
である。ゲノム差配列と称されるこのような配列は、例えばストラウス(Straus
)の論文(「ゲノムサブトラクション(Genomic Subtraction)」、In PCR Strat
egies、Innesら編集、p.220-236 (Academic Press Inc.、サンディエゴ、1995))
に記されており、これは本明細書に参照として組入れられている。ゲノム差配列
は、ある生物のゲノムにはハイブリダイズするが、異なるが密接に関係した生物
のゲノムにはハイブリダイズしないようなDNA配列である。ストラウス(Straus
) (1995、前記)に記されたように、ゲノム差配列は、例えば、2種の個別の生物
のゲノムでサブトラクションハイブリダイゼーションを行うことにより、調製す
ることができる。得られるゲノム差配列は、あるゲノムサブトラクション試料中
に存在するが、別のものには存在しないような核酸配列の群を構成している。例
えば、病原性大腸菌株及び非病原性大腸菌株のゲノム間のサブトラクションによ
り、ゲノム差配列セットを単離し、その各々は、病原性株の核酸とはハイブリダ
イズするが、非病原性株の核酸とはハイブリダイズしない。
【0014】 多くの様々なゲノムサブトラクション法が、病原体特異的ゲノム差配列を単離
するために、関連した菌株の対に適用されている(例えば、Mahairasら、Journal
of Bacteriology、178:1274-1282 (1996);Tinsleyら、Proc. Natl. Acad. Sci
. U.S.A.、93:11109-11114 (1996))。このような配列は、他の密接に関連した菌
株を同定するための診断マーカー及びフィンガープリントとして使用される(例
えば、Darrasseら、Applied and Environmental Microbiology、60:298-306 (19
94)参照のこと)。簡単に述べると、ゲノムサブトラクションは、2種の関連した
菌株のゲノムDNAに適用され、かつゲノム差配列が単離される。ゲノム差配列セ
ットは、同一群に由来する他の菌株のゲノムにハイブリダイズされる(各々個別
のハイブリダイゼーション反応において)。このゲノムにハイブリダイズするゲ
ノム差配列のサブセットは、菌株毎に異なり、従って同定するフィンガープリン
トを構成する。この方法は生物学的群の密接に関連したメンバーを同定する強力
な方法として示されているにもかかわらず、非常に技術的に過酷であり、時間が
かかり、かつ臨床状況において実行するには煩雑である。更にこれらの実験にお
けるゲノム差配列は、通常単一の病原性株に由来し、その結果単一の群の非常に
密接に関係した菌株の型決定にのみ有用である。従って先行技術は、ゲノム差配
列を、表出特異的試験において、多様な生物に由来する同時に試験する多くの配
列に活用することが不可能である。
【0015】 生物をより大きい生物学的群のメンバーとして同定することも有用である。例
えば、下位気道の感染が百日咳菌種の任意のメンバーに起因するかどうかを決定
することは重要であると思われる。この場合、核酸ハイブリダイゼーションによ
り、この種の全ての菌株において存在するが、任意の他の種においては存在しな
いような配列の存在を試験することができる。このような、ある群のメンバーを
他の群から識別するようなID配列は、群特異的配列と称される。
【0016】 最も医学的に重要かつ診断上有用な遺伝的異型の多くは、一塩基多型(SNP)で
ある。例えば、グロビン遺伝子の一塩基対変化は、鎌状赤血球貧血を惹起する。
結核菌におけるRNAポリメラーゼの遺伝子の一塩基対の変化は、結核治療に使用
される最も重要な抗生物質のひとつであるリファンピンに対する耐性を生じる。
多くのSNPを一度に検出するハイブリダイゼーションに基づく方法が開発されて
いるが、これらの方法は一般に、正確にマッチするハイブリッドと一塩基のミス
マッチを伴うそれとの間の識別が困難であるために確固さが不足している(Ginge
rasら、Genome Res.、8:435-438 (1998);Wanら、Science、280:1077-1082 (199
8))。SNP遺伝子型決定のいくつかの方法は、単一の遺伝子の突然変異を試験する
のみである(Gingerasら(1998)、前記)。他の方法は、多重PCR法によるものであ
り、これは再現不可能という欠点がある。従って確固としたハイブリダイゼーシ
ョン及び増幅の方法を使用する一度に多くのSNPを遺伝子型決定する方法が必要
である。
【0017】 従って生物を同定するには、ゲノム差配列及び/又は群特異的配列を含むこと
があるID配列の存在を試験することが有用である。医学的試料の培養を伴わない
、ID配列の試験は、少数のゲノム(例えば100〜1000ゲノム)を検出する方法が必
要である。核酸増幅による高感度の方法が開発されているが、一般に先に多重PC
Rに関して説明されているように、これらの方法は、非常に少数の配列に一度に
確実に適用することができるのみである。従って臨床使用が許可されている高感
度の増幅に基づく方法は、わずかに1種又は2種の病原体を同時に試験する。これ
らの試験は、臨床検査室において実施される標準の微生物試験よりもはるかに高
価である(約100倍のことも多い)。結果的に、市販の開発された増幅に基づくア
ッセイ法は、一般的かつ重症の感染症を引き起こし、かつ培地において容易に増
殖することができないような生物の小さいサブセットの診断試験に限定される(
例えば、HIV、結核菌、及びトラコーマ病原体)。この技術の検出力及び感度を日
常的診断に拡大する必要がある。
【0018】 最後に、生物学的試料中の病原体を定量することが重要であることも多い。例
えば下位呼吸器系感染症(例えば、肺炎)の診断に使用される試料は、上位気道か
らの正常な共生微生物(commensal flora)に頻繁に汚染される。診断の複雑さを
更に倍加させるのは、上位気道にとっては無害の多くの種が、呼吸システムの正
常な防御を破った場合に、これらは下位気道感染症引き起こすことがあることで
ある。この場合、下位呼吸器系試料の生物の数の情報は、上位気道混入と下位気
道感染を識別するために重要である。
【0019】 臨床試料中の病原体の定量分析は、その生物が培養され得る場合には、比較的
明白である。しかし、多くの医学的に重要な生物体(organismare)は培養が困難
又は不可能である(例えば、ほとんどのウイルス、寄生虫、クラミジア、及び嫌
気性細菌)。更に定量培養は、一般に数日を要し、かつ結核を引き起こす結核菌
のような特殊な場合は1ヶ月以上かかる。限定数の症例において、定量的データ
は、例えば免疫学的直接蛍光アッセイ法のような培養を必要としない方法から得
られる。病原体の定量分析のための新規分子的方法、例えば定量的ポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)は、AIDS患者のウイルスレベルのモニタリングに非常に重要であ
る。しかし定量的増幅方法は、周知のことであるが、正確に設計するには問題が
多く、再現性がなく、現時点では単一種にのみ同時適用することができる。
【0020】 従って、生物学的試料又は臨床試料中の病原体数を測定する方法が必要である
。このような方法は理想的には、迅速かつ普遍的、すなわち培養を必要とせずか
つ試料中に存在し得る多種の生物を定量する。
【0021】 まとめると、特定の表出(例えば肺炎)を引き起こし得る感染性病原体の多様な
セットを診断するような、非常に多数の病原体特異的配列(ゲノム差配列及び群
特異的配列及び一塩基多型)について培養していない試料を迅速かつ正確に試験
するような、確固かつ感度の良い同定方法が必要である。試料が由来した個体に
関する医学的情報及び法医学的情報を提供する試験も必要である。
【0022】 発明の概要 ある局面において、本発明は、未知の生物学的試料を、多くの(例えば5種より
も多い)異なる種類の生物を診断する核酸配列(ゲノム差配列、群特異的配列、及
びDNA多型を含む)の存在について同時に試験する、ゲノムプロファイリングと称
される方法を提供する。ゲノムプロファイリングは、(1)広範なスペクトルの生
物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、及びヒトの細胞)の存在について試
料を同時スキャンし、(2)高解像度の遺伝的同定情報を提供し、(3)特異的突然変
異について試験し(遺伝疾患又は抗生物質耐性の原因となるものなど)、(4)迅速
さ及び簡便性を付与し、(5)制限がありかつ時間を費やす培養段階を必要とせず
、(6)これまで可能であったものよりも、はるかに非常に多くの診断配列につい
て、複雑な「未処理」試料を感度良く試験することを可能にし、(7)高度の冗長
度及び内部対照を組込むことにより、確固さを実現し、かつ(8)試料中の標的生
物の数を定量する手段を提供する点で、先行する方法よりも著しい改善を示す。
この属性の組合せは、感染症の新規種類の包括的表出特異的診断試験を可能にす
る。例えば、ゲノムプロファイリングは、呼吸器系症状を呈した個体に、細菌、
ウイルス及び真菌のような多様な病原体を含む全ての一般的呼吸器系病原体の存
在について同時かつ迅速にスキャンする単独の試験を提供することを可能にする
【0023】 従って本発明は、下記の段階により、標的核酸分子を含む可能性のある生物学
的試料から遺伝情報を得る方法を特徴とする:(a)(i)試料中の標的核酸分子、又
は(ii)試料中の標的核酸分子にハイブリダイズするプローブ、又は(iii)(i)もし
くは(ii)の増幅産物、又は(iv)(i)のゲノム提示である、核酸分子を提供する段
階;並びに(b)5種よりも多い(例えば11種より多い)最小ゲノム派生物を有し、か
つ標的核酸分子を検出することができる検出配列を含む検出アンサンブル(ensem
ble)と、(a)の核酸分子を接触又は比較することにより、標的核酸分子を検出す
る段階。この方法は、(c)段階(b)で検出された核酸分子を同定する段階を含むこ
ともできる。
【0024】 好ましい態様において、段階(a)の核酸分子は、段階(a)に先立ち、マトリック
ス内又は固相支持体上に、サイズ-分画された断片として固定されておらず;こ
の増幅段階は、4対よりも少ない(例えば1対)増幅配列を用いて実施され、標的核
酸分子が該試料中に存在する場合は、増幅産物を生じ;かつこの方法を用いて、
インサイチューハイブリダイゼーションにより、生物学的試料中の標的生物を定
量する。
【0025】 下記実施例2に例示された本方法の好ましい様式は、段階(a)に先立ち、前記段
階(a)(ii)のプローブを得るためのIDプローブアンサンブルと、該試料の核酸分
子を同時にハイブリダイズする段階に関する。
【0026】 好ましくは、段階(a)(ii)のプローブは、(i)標的核酸分子へのハイブリダイズ
が可能である第一領域、及び(ii)増幅配列を含む。ハイブリダイゼーションは、
段階(a)の全ての核酸分子が液相にあるように、または、段階(a)の核酸分子の少
なくとも一部が固相支持体に固定されるように実施することができる。加えて、
段階(a)の核酸分子の少なくとも一部は、1種またはそれ以上のオリゴヌクレオチ
ドタグを含むことができる。
【0027】 段階(a)(ii)のプローブの少なくとも一部は、(i)標的核酸分子へのハイブリダ
イゼーション時に互いに連結され得る2個またはそれ以上のオリゴヌクレオチド
、並びに(ii)増幅配列を含むことができる。
【0028】 別の態様において、核酸プローブアンサンブルのプローブの少なくとも50%は
、試料中又は試料のゲノム提示中に存在する可能性があるような予め決定された
ゲノム差配列にハイブリダイズすることが可能である。
【0029】 好ましい態様において、前述のように、互いに連結され得るオリゴヌクレオチ
ドは、SNPプローブである。少なくともいくつかのSNPプローブは、タグ配列のア
ンサンブルを含む検出アンサンブル中のタグ配列のひとつにハイブリダイズする
ことができるようなタグ配列を含むことができる。これらの態様において検出ア
ンサンブルの最小ゲノム派生物は、例えば20種よりも多い(例えば50種よりも多
い)ことができる。
【0030】 いくつかの好ましい態様において、検出アンサンブルの検出配列は、二次元ス
ポット又は固相支持体上の並行ストリップとして配置される。
【0031】 別の態様において、段階(a)(iv)の増幅産物は、例えばAla特異的プライマーを
用いAlu反復間にある配列の増幅を指示する増幅配列のような、増幅配列の4対を
越えない対を用いる、段階(a)(i)の標的核酸分子の増幅により生成される。これ
らの態様において、(b)の検出アンサンブルは、段階(a)(iv)において増幅される
可能性のあるIDプローブに合致するID部位を含むことができる。
【0032】 本発明は、任意の生物種の検出及び定量において有用である。例えば、ある好
ましい態様において、IDプローブのアンサンブルは、各々異なる属に属するよう
な、少なくとも10種の異なる各ウイルスに由来する少なくとも2種の異なる核酸
分子にハイブリダイズするプローブを含む。
【0033】 本発明は、臨床試料を含む、多種の生物学的試料に関して有用である。ある例
において、生物学的試料は、ヒト胃腸管由来の試料であり、かつ本発明の方法を
用いて得られる遺伝情報は、大腸菌、サルモネラ菌(Salmonella)、赤痢菌、エ
ルシニア・エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、コレラ菌、カンピ
ロバクター・フェカーリス、クロストリジウム・ディフィシル、ロタウイルス、
ノーウォークウイルス、アストロウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、
腸鞭毛虫、赤痢アメーバ、ブラストシスティス・ホミニス、クリプトスポリジウ
ム、微胞子虫、アメリカ鉤虫アメリカナス、回虫、ヒト鞭虫、ギョウ虫ベルミカ
ラリス、糞線虫、オピストルキス・ビベリニ、肝吸虫、及び小形条虫の生物の6
種またはそれ以上に由来する試料中の核酸分子の同定である。
【0034】 別の態様において、生物学的試料は、気道試料であり、その遺伝情報は、ジフ
テリア菌、結核菌、肺炎マイコプラズマ、トラコーマ病原体、肺炎クラミジア、
百日咳菌、レジオネラ菌、ノカルジア菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、オ
ウム病クラミジア菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、ヒストプラスマ・カプスラーツ
ム、コクシドイデス・イミティス、クリプトコッカス・ネオホルマンス、ブラス
トミセス・デルマティティディス、ニューモシスティス・カリニ、呼吸器合胞体
ウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、
パラインフルエンザウイルス、及びライノウイルスの生物の6種またはそれ以上
に由来する核酸分子の同定である。
【0035】 本発明に係り試験され得る別の生物学的試料は、血液試料であり、この場合、
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、ビリダンス連鎖球菌、腸球菌、
β-溶連菌、肺炎連鎖球菌、エシェリキア属、クレブシエラ属、シュードモナス
属、エンテロバクス属(Enterbater spp.)、プロテウス属、バクテロイデス属、
クロストリジウム属、緑膿菌、コルニバクテリウム属、プラズモディウム属、ド
ノバン・リーシュマニア、トキソプラズマ属、ミクロフィラリア、真菌、ヒスト
プラスマ・カプスラーツム、コクシドイデス・イミティス、クリプトコッカス・
ネオホルマンス、カンジダ属、HIV、単純ヘルペスウイルス、C型肝炎ウイルス、
B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、及びエプスタイン-バーウイルスの生
物の少なくとも6種から、核酸分子が同定されている。
【0036】 本発明はまた、生物学的試料の任意の種類の核酸分子を同定するために使用す
ることができ、この場合同定される核酸分子は、コクサッキーウイルスA、単純
ヘルペスウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、エプスタイン-バーウイルス、
ミクソウイルス、ヒトポリオーマウイルス、コクサッキーウイルスB、トガウイ
ルス、麻疹ウイルス、肝炎ウイルス、パラミクソウイルス、エコーウイルス、バ
ンヤウイルス、サイトメガロウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス、HIV、ムンプス
ウイルス、ウマ脳炎ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、狂犬病ウイルス
、及びBKウイルスの生物の6種またはそれ以上のものである。
【0037】 本発明はまた、(a)5種よりも多い最小のゲノム派生物を有する核酸プローブア
ンサンブルを提供する段階;(b)プローブのアンサンブルを、同時に試料の核酸
分子と接触する段階;(c)プローブ及び試料の任意の標的核酸分子の間のハイブ
リダイゼーションを検出する段階;及び(d)段階(c)において検出された核酸分子
を同定する段階により、標的核酸分子を含む可能性のある生物学的試料から遺伝
情報を得る方法を特徴とする。
【0038】 本発明はまた、(a)複数のIDプローブ及び/又はSNPプローブ;及び(b)(a)のプ
ローブと合致する検出配列を含み、かつ5種よりも多い(例えば11種よりも多い)
最小ゲノム派生物を有する、検出アンサンブルを備える、生物学的試料から遺伝
情報を得るキットを特徴とする。
【0039】 好ましい態様において、(a)のプローブは、10種よりも多い(例えば50種よりも
多い又は250種よりも多い)異なる増幅可能なプローブを含み;(a)のプローブの
少なくとも50%は、少なくとも3種の異なる種に由来するゲノム差配列を含み;(
a)のプローブは、増幅可能なプローブの5種よりも多いファミリーを含み;かつ
、(a)のプローブは、少なくとも2種の個別の分類群、2種の異なる種、2種の異な
る属、又は2種の異なる界に特異的である。
【0040】 別の好ましい態様において、(a)のプローブは、下記を備えるプローブを含む
:(i)標的核酸分子のID配列へのハイブリダイゼーション時に互いに連結するこ
とができる2個またはそれ以上のオリゴヌクレオチド、及び(ii)増幅配列。
【0041】 他の態様において、(a)のプローブ及び/又は(b)の検出配列は、固相支持体上
の別の位置に物理的に付着されている。これらの態様において、(i)分類群のメ
ンバー及び(ii)密接に関連した分類群を検出する検出アンサンブルの検出配列は
、支持体上に互いに隣接して位置することができる。
【0042】 本発明は更に、(a)IDプローブを得るために、生物学的試料中の標的ゲノムDNA
の反復配列(例えばヒトAlu反復)の側方に位置したDNA配列の増幅を開始すること
が可能である複数の核酸プライマー(例えば、Alu特異的プライマー);及び、(b)
(a)のプライマーを用いて増幅される可能性のあるIDプローブに合致する検出配
列を含む検出アンサンブルであり、5種よりも多い(例えば20種より多い)最小ゲ
ノム派生物を有する検出アンサンブルを備える、生物学的試料から遺伝情報を得
るキットを特徴としている。
【0043】 更に本発明に含まれているのは、4対よりも少ない増幅配列対を用いて増幅す
ることができ、かつ3種よりも多い(例えば、10種よりも多い又は25種よりも多い
)IDプローブファミリー及び10種よりも多い(例えば、50種よりも多い又は250種
よりも多い)異なるIDプローブを含む、IDプローブのアンサンブルである。
【0044】 好ましい態様において、2種よりも多い増幅可能なプローブのファミリーは、
重複しない分類群、異なる種、異なる属、又は異なる界に特異的である。これら
のプローブの少なくとも50%は、少なくとも3種の異なる種に由来するゲノム差
配列を含むことができる。
【0045】 別の好ましい態様において、(a)のプローブは、(i)標的核酸分子のID配列への
ハイブリダイゼーション時に互いに連結することができる2種またはそれ以上の
オリゴヌクレオチド、及び(ii)増幅配列を備えるプローブを含む。
【0046】 別の好ましい態様において、(i)分類群のメンバー及び(ii)密に関連した分類
群を検出する検出アンサンブルに含まれた検出配列は、支持体上に互いに隣接し
て配置される。
【0047】 本発明において使用される手順及び試薬は一般的であり、すなわちひとつの試
薬セットは、多くの異なる種類の生物を同定するために使用することができる。
この試験は迅速であり、かつ簡単に陽性及び陰性の内部対照を組込むことができ
る。本発明の方法は、従来の方法では識別することができない菌株を同定する、
高解像度の遺伝的フィンガープリントを作出することができる。これらの方法は
、自動化様式に適合させ易く、かつかなりの訓練を受けた者でなくとも実行する
ことができる。
【0048】 本発明は、微生物(例えば細菌、真菌及び原生動物)の型決定;高等生物(ヒト
を含む)の遺伝子型の決定;並びに、疫学的な、病院及び地理的に隔てられた地
域における感染症の大発生のモニタリングを含む、広範な用途がある。本発明の
方法は、環境試験、農業、繁殖及び家畜の解析の両方、並びに植物の型決定、例
えば種子産業においても使用される。ヒトの法医学は、更に別の本発明の用途を
示している。
【0049】 本発明の重要な特徴は、ひとつのアッセイ法において、複雑な生物学的試料中
の生物の同定に有用なID配列のアンサンブルを試験する能力にある。このID配列
セットは、分類群内のメンバー(例えば、異なる大腸菌株)を識別する多数のゲノ
ム差配列、並びに異なる分類群(例えば、異なる種又は属)の間を識別する多くの
群特異的配列を含む。従って各々のアンサンブルは、異なるID配列の非常に大き
いアレイを含むことができ、その全ては、ある迅速でゲルに基づかないアッセイ
法において同時に使用することができる。この試験の迅速性は、試料の培養が不
要であるという事実により高められる。
【0050】 本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に
より明らかであると思われる。
【0051】 定義 「ゲノム」とは、生物の遺伝性の遺伝情報の究極の供給源である生物の核酸分
子を意味する。殆どの生物について、ゲノムは、主に染色体DNAからなるが、こ
れはプラスミドDNA、ミトコンドリアDNAなども含み得る。RNAウイルスのような
一部の生物について、ゲノムはRNAからなる。
【0052】 「核酸」とは、DNA、RNA、又は同様の部分の置換を含むことができる物質の他
の関連する組成物を意味する。例えば核酸は、DNA又はRNAに見られないような塩
基を含むことができ、これはDNAにおいてキサンチン、イノシン、ウラシル、RNA
においてチミン、ヒポキサンチンなどを含むが、これらに限定されるものではな
い。更に核酸は、安定性、酵素分解に対する抵抗性、又はいくつかの他の有用な
特性の改善をもたらし得るような、リン酸及び糖部分の化学修飾も含む。
【0053】 「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴヌクレオチド配列」とは、長さ6〜150塩
基の核酸を意味する。オリゴヌクレオチドは一般にインビトロにおいて合成され
るが、必ずしもそうではない。6〜150塩基でありかつより大きい配列の部分配列
である核酸のセグメントも、オリゴヌクレオチド配列と称することができる。
【0054】 「標的配列」又は「標的核酸配列」とは、プローブが検出するように設計され
た核酸配列を意味する。IDプローブについて、標的配列はID配列中のID部位であ
る場合がある。SNPプローブについて、標的配列は、一塩基多型である場合があ
る。
【0055】 「標的生物」又は「標的群」とは、診断試験が検出するように設計されている
生物又は生物学的群(分類群)の種類を意味する。
【0056】 「ハイブリダイゼーション」とは、塩基対の水素結合で媒介された核酸分子の
非共有結合を意味する。
【0057】 「意味のあるハイブリダイゼーション」とは、シグナルの、プローブ分子又は
プローブが検出するように設計された核酸配列を伴う分子の検出をもたらすハイ
ブリダイゼーションを意味する。
【0058】 「比較ハイブリダイゼーション条件」とは、系統細菌学国際委員会(Internat
ional Committee on Systematic Bacteriology)により推奨されるように互いの
種の識別に使用される条件を意味する(Wayneら、Internat. J. System. Bacteri
ol.、37:463-464 (1987))。本明細書において言及される比較ハイブリダイゼー
ション条件は、ハートフォード(Hartford)らにより使用されたものである(Int
. J. Syst. Bacteriol.、43:26-31 (1993))。
【0059】 「サブトラクションハイブリダイゼーション条件」とは、10mM EPPS、pH8.0、
及び1M NaClを含有する緩衝液中で65℃で実行される反応のストリンジェンシー
と同等のストリンジェンシーである条件を意味する。
【0060】 別の核酸配列、核酸分子、オリゴヌクレオチド、プローブまたはゲノムに「認
められる」、「表出する」、「存在する」、「対応する」、「ハイブリダイズす
る」か又は「の中にある」ような核酸配列、核酸分子、オリゴヌクレオチド、又
はプローブは、10mM EPPS(pH8.0)、及び1M NaClを含有する緩衝液中で、比較さ
れるより短い2個の核酸分子及びその正確な相補物で構成された2本鎖DNA断片の
融解温度(Tm)よりも20℃(30bpより大きい配列について)、12℃(15〜30bpの配列
について)、もしくは8℃(8〜14bpの配列について)低いTmを有するような、別の
配列、オリゴヌクレオチド、プローブ又はゲノムとハイブリッドを形成すること
ができるような配列、オリゴヌクレオチド又はプローブを意味する。他の核酸配
列、核酸分子、オリゴヌクレオチド、プローブ又はゲノムに「存在しない」よう
な核酸配列、核酸分子、オリゴヌクレオチド、又はプローブは、他の核酸配列、
核酸分子、オリゴヌクレオチド、プローブ、又はゲノムにおいては認められない
ような、核酸配列、核酸分子、オリゴヌクレオチド、又はプローブを意味する。
【0061】 「ID配列」又は「同定配列」とは、先の定義で説明された長さ特異的融解温度
基準を用いるハイブリダイゼーションにより、ゲノム又は濃縮されたゲノム(下
記参照)においてその存在がアッセイされる場合に、特定の生物又は生物群の診
断となる核酸配列を意味する。ID配列は、30bp長以上でありかつある種の生物を
他から識別するのに有用であるゲノム又は濃縮されたゲノムの配列に相当する。
ゲノム差配列は、例えば互いに密に関連した群のメンバーを識別することが重要
な場合に、ID配列として使用することができる。「群特異的配列」とは、群の全
てのメンバーを他の群から識別するのに有用なID配列の種類である。
【0062】 「ゲノム差配列(群)」とは、ある生物のゲノム(又は濃縮されたゲノム)に認め
られるが、密に関連した生物においては認められないような、核酸配列又は核酸
配列のコレクションを意味する。ゲノム差配列は、ハイブリダイゼーション/サ
ブトラクション技術により、コンピュータを使用するゲノム配列の比較により、
又は様々なその他の任意の技術により認めることができる。ゲノム(又は濃縮さ
れたゲノム)が比較される生物は、「密接に関連して」いなければならない。生
物の対は、これらが同じ属のメンバーであるか、もしくはこれらのゲノムが下記
の特異的ハイブリダイゼーション基準を満たしている場合には、「密接に関連し
ている」とみなされる(International Committee on Systematic Bacteriology
による相関(relatedness)の確立に比較ハイブリダイゼーションが推奨されるこ
とに注意(Wayneら、1987、前記))。生物の対は、それらのゲノムDNA断片(又はRN
Aゲノムを伴うウイルスの場合はゲノムcDNA断片) の70%よりも多くが、ハート
フォード(Hartford)らの方法(1993、前記)を用い、比較ハイブリダイゼーショ
ン条件下で互いにハイブリダイズする場合に、「密接に関連している」とみなさ
れる。ゲノム差配列は、長さが30bp以上である。ゲノム差配列の例は、ある病原
性大腸菌株O157:H7には存在するが、他の病原性大腸菌株O157:H7には存在しない
DNA断片である。
【0063】 「群特異的配列(群)」とは、比較ハイブリダイゼーション条件下のハイブリダ
イゼーションにより、ある系統発生群の生物のゲノムを特徴とするが、他の分類
群又は系統発生群のそれは特徴としない、核酸配列又は核酸配列のコレクション
を意味する。群特異的配列は、長さ30bp以上である。例えば、大腸菌O157:H7群
の単離体の99%よりも多くで存在するが、サルモネラ単離体の99%より多くで存
在しないような断片は、群特異的配列である。同様に、ロタウイルス単離体の99
%よりも多くで存在する(比較条件下でのハイブリダイゼーションにより定義さ
れる)が、ヒト免疫不全ウイルス単離体の99%よりも多くで存在しないような断
片は、群特異的配列である。群特異的配列は、亜種又は血統で関連付けられた同
系交配群のメンバー(ヒトなど)のような、低いレベルの分類群を同定するために
使用することができる。診断を目的とする場合には、ひとつの分類群において発
生するが、同様の分類群レベルの姉妹群において発生しないような、群特異的配
列が最も有用であることに注意すること。
【0064】 群特異的配列の例は、腸炎菌ネズミチフス血清型(Salmonella enterica serot
ype Typhimurium)単離体の本質的に全てにおいて認められるが、腸炎菌パラチフ
スB血清型(Salmonella enterica serotype Paratyphi B)単離体においては認め
られないようなものである(図6参照)。群特異的配列は、ゲノム差配列でもある
ことに注意(すなわち、群特異的配列セットはゲノム差配列セットと重複する)。
例えば、全ての大腸菌O157:H7株中にあるが、大腸菌O157:H7株ではない株には認
められない配列は、ゲノム差配列及び群特異的配列の両方である。
【0065】 「保存配列」とは、ハイブリダイゼーション基準により、同じ分類学的レベル
で複数の独立した分類群にまたがる生物のゲノムで特徴付けられるような、核酸
配列又は核酸配列のコレクションを意味する。保存配列は、長さ30bp以上である
。従って、ヒトRNAポリメラーゼをコードしている遺伝子の多くの断片の配列は
、比較ハイブリダイゼーション条件下でチンパンジーゲノムにハイブリダイズす
ることができるので、これらは保存配列である。保存配列は、保存配列を潜ませ
ている群のメンバーの識別には有用ではない。
【0066】 「IDプローブ」とは、生物学的試料中のID配列へのハイブリダイズに使用され
るオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの対もしくはセットを意味する。
ハイブリダイズするためには、プローブオリゴヌクレオチドの一部が、対応する
ID配列との塩基対形成が可能でなければならない。該プローブのこの部分は、典
型的には長さが8〜120塩基である。IDプローブは、増幅部位(例えば、PCR増幅の
ためのプライマー結合部位に相当する配列)及び検出時にタグとして使用する配
列(下記参照)を含む、他の部分を有することもできる。
【0067】 「ゲノム差プローブ」とは、ゲノム差配列に対応する、すなわちハイブリダイ
ズするようなIDプローブを意味する。
【0068】 「群特異的プローブ」とは、ゲノム差配列に対応する、すなわちハイブリダイ
ズするようなIDプローブを意味する。
【0069】 「IDプローブ部位」又は「プローブ部位」とは、配列においてIDプローブに対
応する、ID配列の部分を意味する。
【0070】 「ID配列ファミリー」とは、1種の(非組換え)生物のゲノムにハイブリダイズ
することができる(比較ハイブリダイゼーション条件下で)2種またはそれ以上の
メンバーを含む、ID配列セットを意味する。このファミリー内の少なくとも2種
のID配列は、それが天然にかつ典型的に存在するようなゲノムの中で、3,000塩
基対以上離れてマッピングされなければならない。ID配列のファミリーは、群特
異的配列及びゲノム差配列の組合せを含むか、群特異的配列のみを含むか、もし
くは、ゲノム差配列のみを含むことができる。
【0071】 例として、感染性大腸菌O157:H7の大発生の追跡に有用なID配列のファミリー
について考える。このID配列ファミリーは、下記の診断上有用なID配列の種類の
全てを含むことができる:大腸菌種の全てのメンバーに共通でありかつ限定され
る、多群特異的配列;大腸菌O157:H7株のみを含む系統発生群の全てのメンバー
に共通でありかつ限定される、多群特異的配列;電気泳動的タイプ3(DEC3 群;W
hittamら、Infect. Immun.、61:1619-1629 (1993))を有するような多酵素電気泳
動解析により認められた大腸菌O157:H7株のみを含む系統発生群の全てのメンバ
ーに共通でありかつ限定される、多群特異的配列;並びに、大腸菌O157:H7参照
株DEC3Bには存在するが、大腸菌O157:H7参照株DEC4Cには存在しない、多ゲノム
差配列。
【0072】 前述の例において、ID配列のファミリーは全て、比較ハイブリダイゼーション
条件下で、単一の生物:大腸菌O157:H7参照株DEC3Bのゲノムにハイブリダイズす
ることができることに注目すること。これは、「ID配列ファミリー」の発現に限
定された局面である。
【0073】 「オリゴヌクレオチドのファミリー」又は「プローブのファミリー」とは、ID
配列のファミリーに対応するオリゴヌクレオチド又はプローブのコレクションを
意味する。オリゴヌクレオチド又はプローブのファミリー内の全てのオリゴヌク
レオチド又はプローブの配列は、特定のファミリーID配列のメンバーの配列の全
て又は一部に対応している。
【0074】 「多型プローブ」又は「一塩基多型プローブ」又は「SNPプローブ」とは、ゲ
ノムにハイブリダイズする場合に、多型部位に隣接し、かつその部位に存在する
ある特定のゲノム配列についてのその部位での正確な塩基対をもたらすような配
列を有するオリゴヌクレオチドのセットを意味する。このようなオリゴヌクレオ
チドのセットは、ゲノムと近隣でハイブリダイズする場合には、標的化された部
位での対立遺伝子又は遺伝子型が多型プローブのオリゴヌクレオチドの隣接配列
とマッチする場合にのみ、互いに連結され得る。SNPプローブの構造及び用途は
、図10に図示されている。一般に、特定部位の各対立遺伝子に対応するような多
型プローブ群が合成される。多型プローブは、IDプローブと同様の部分(例えば
増幅部位及びタグ)を含むことができる。タグ配列を伴う多型プローブのアンサ
ンブルは、タグのアンサンブルを含む検出アンサンブルへのハイブリダイゼーシ
ョンにより検出される得る差異を含む濃縮されたゲノム試料の作製に有用である
【0075】 多型プローブの「ファミリー」又は「一塩基多型プローブ」又は「SNPプロー
ブ」とは、ID配列に使用されるハイブリダイゼーション基準を基にするよりもむ
しろ、プローブとゲノムDNAの間の一致がプローブハーフ対の多型ゲノム部位に
ハイブリダイズし、かつ正確に隣接する能力による(例えば一塩基対多型)場合以
外は、ID配列及びIDプローブのファミリーと同様に定義される(図10参照)。SNP
プローブファミリーを定義するために、各SNPプローブにより試験される唯一の
対立遺伝子について考察した。最小の対立遺伝子頻度を有する特定のSNPプロー
ブにより試験されるSNP対立遺伝子のみを考察した。この対立遺伝子は、「最も
頻度の低いSNP対立遺伝子標的」と定義される。「対立遺伝子頻度」とは、種の
集団内にあるゲノム内の特定の遺伝子座での特定の対立遺伝子について定義され
る。この対立遺伝子頻度は、特定の対立遺伝子により表わされる集団内の遺伝子
座での全ての対立遺伝子の割合(fraction)である(Kingら、「遺伝学事典(A dic
tionary of genetics)」 (Oxford University Press、ニューヨーク、1990)。
対立遺伝子頻度の決定に使用される集団試料は、少なくとも100種(クローン的に
関連しない)個体を含まなければならない。SNPプローブのファミリーは、最も頻
度が低いSNP対立遺伝子が、単一の個体のゲノムにおいて存在する全てを標的と
するような、SNPプローブのセットである。
【0076】 「タグ」又は「タグ配列」とは、比較的大きいオリゴヌクレオチド又はプロー
ブに組入れることができる非生物学的オリゴヌクレオチド配列を意味する。タグ
配列は、検出配列として有用である。検出アレイ中のタグ配列を、例えばハイブ
リダイゼーションにより、増幅されたプローブ中で(相補的)タグ配列を検出する
ために用いることができる。タグ配列を使用すると、様々な診断配列を使用しな
ければハイブリダイゼーションにより識別できないような場合(例えばSNPプロー
ブ:下記参照)に、ハイブリダイゼーションにより、プローブを互いに識別する
ことができる。
【0077】 同様に、「タグ配列ファミリー」又は「タグファミリー」とは、プローブのフ
ァミリーに対応しているタグ配列セットを意味する。例えば下記実施例5におい
て、多型又はSNPプローブのアンサンブルが、ヒトゲノムDNA試料にハイブリダイ
ズされる。連結されかつ増幅されるSNPプローブのアンサンブルのサブセットは
、SNPプローブのファミリーである。このファミリーは、SNPプローブのファミリ
ーは、単独のヒト個体の遺伝子型に対応している点において、IDプローブファミ
リーと同義に定義される。タグ配列のファミリーは、SNPプローブのファミリー
に含まれる(SNPプローブは一般に、同定タグ配列と共に構築される。)。従って
、SNPプローブのファミリーは、タグ配列のファミリーに合致し、かつ検出アン
サンブル中のタグ配列の合致するファミリーにハイブリダイズすることにより同
定され得る。
【0078】 「合致する(congruent)」配列セットは、該セット内の要素間で1個毎に対応し
ていることを意味する。例えば、ID配列アンサンブルに合致するIDプローブアン
サンブルを考えてみると、各IDプローブは、ID配列内にあるようなID部位を含み
、及び各ID配列はIDプローブに対応している。または、多型プローブのアンサン
ブルに合致するタグのアンサンブルで作製された検出アンサンブルを考察してみ
ると、検出アンサンブル中の各タグは、多型プローブのアンサンブル中のひとつ
の多型プローブにおけるタグに相当している。同様に、タグ配列のファミリーは
、多型プローブのファミリーに合致することができる。
【0079】 「最小ゲノム派生物」とは、それに配列、プローブ、オリゴヌクレオチド、又
はタグのセットがハイブリダイズされ得るような、最少数の個別のゲノム(又は
再少数の個別のゲノム提示)を意味する。例えば、ID配列セットの最小ゲノム派
生物は、ID配列セットから構築されるファミリーの最少数と同等である。そのた
め、例えば、最小ゲノム派生物は、ID配列セットについてのものであり、配列セ
ット全体が1個人のヒトゲノムにハイブリダイズすることができるので、その各
々は、異なるヒト遺伝子のタンパク質-コードセグメントに対応している。別の
例として、群特異的アデノウイルス配列対及び群特異的呼吸器合胞体ウイルス配
列対からなる配列セットを考察してみる。アデノウイルス及び呼吸器合胞体ウイ
ルスの2種のゲノムの配列は、比較ハイブリダイゼーション条件下で4種全ての配
列にハイブリダイズするのに十分なゲノムの最小数であるので、このようなセッ
トの最小ゲノム派生物は2種である。ウイルスID配列の各対が元のゲノムの3,000
bp以上で分離される限りは、4種のID配列セットは2つのID配列ファミリーを構成
する(前記「ファミリー」の定義参照)。
【0080】 表1に記したような、急性胃腸疾患の患者を特定の病原体の存在について試験
するために使用することができるような、ID配列セットのより複雑な例を考察す
ることも役立つと考えられる。表1の各欄の配列の群は、1個体のゲノムDNAにハ
イブリダイズすることができることに注意すること(表1にこのような欄は9個あ
る)。更に、表1の9つの欄に記載された全ての配列が、9人よりも少ない個体のゲ
ノムDNAにハイブリダイズすることは不可能であることにも注意すること。従っ
て、表1のID配列セットの最小ゲノム派生物は9である。
【0081】
【表1】 9種の最小ゲノム派生物のID配列アンサンブル 表中各欄はID配列ファミリーを含んでいる(すなわち単一ゲノムにハイブリダ
イズすることができる配列セット)
【0082】 SNPプローブアンサンブル及びタグ配列アンサンブルに適用されるような最小
ゲノム派生物の定義を、以下に規定する。SNPプローブアンサンブルは、SNPプロ
ーブの多数のファミリーからなり、SNPプローブの各ファミリーは、単一の個体
の遺伝子型に対応している。しかし、ID配列アンサンブルとは異なり、SNPプロ
ーブアンサンブルは概してあるものの最小ゲノム派生物を有する。これは、SNP
プローブが一般に、わずか1個の塩基対ミスマッチを伴う標的種のゲノムのいず
れかにハイブリダイズすることができるからである。
【0083】 ここで、各々が独自のタグ配列部分を含むような、ヒトSNPプローブのアンサ
ンブルを考察してみる。また、SNPプローブアンサンブルにおいてタグ配列に合
致するタグのアンサンブルを含む検出アレイを考察してみる。SNPプローブアン
サンブルは一般に、全てのメンバーが任意の特定のヒトゲノムにハイブリダイズ
することができるので、これはあるものの最小ゲノム派生物を有する。しかし、
対照的に、合致するタグのアンサンブルは大きい最小ゲノム派生物を有すること
ができることに注意すること。この明らかな逆説を理解するために、SNPプロー
ブアンサンブルが、SNPプローブのファミリーで構成され、その各々は単一の個
体の遺伝子型に対応していることを認めることは一助となると思われる。SNPプ
ローブのファミリーのタグ配列セットは、タグ配列の合致するファミリーである
。検出アレイ中のタグ配列の合致するファミリーは、このようなSNPプローブフ
ァミリーにハイブリダイズすることができる。しかし、タグアンサンブル中の他
のタグ配列は、SNPプローブのそのファミリーにハイブリダイズすることができ
ない。そのため、SNPプローブのアンサンブルに合致されたタグ配列のアンサン
ブルの最小ゲノム派生物は、それ自身のSNPプローブのアンサンブルの最小ゲノ
ム派生物が1である場合でさえも、SNPプローブのアンサンブルのファミリー数と
同じである。
【0084】 タグアンサンブルに適用されるような最小ゲノム派生物の定義は、下記の定義
によって決まる。特定のSNPプローブに関する「最も頻度の低いSNP対立遺伝子標
的」の定義を思い出してみる(先の「SNPプローブファミリー」の定義を参照のこ
と)。本発明者は、同様の方法で「最も頻度の高いSNP対立遺伝子標的」を定義す
る。従って、特定のSNPプローブにより試験される対立遺伝子について、ある対
立遺伝子はある種において最も一般的でないと決定され、かつひとつの対立遺伝
子は、最も一般的であると決定される。SNPプローブの「平均対立遺伝子頻度」
とは、最も頻度の高いSNP対立遺伝子標的及び最も頻度の低いSNP対立遺伝子標的
の対立遺伝子頻度の平均であると定義される。例えば、SNPプローブにより検出
されるこれらの対立遺伝子が、頻度0.85、0.06及び0.002で存在する場合には、
平均対立遺伝子頻度は0.426である(すなわち、(0.85 + 0.002)÷2))。「平均対
立遺伝子頻度の積」(P)は、SNPアンサンブルにおける全てのSNPの対立遺伝子頻
度の積と定義される。そのため例えば、SNPプローブが、その各々が対立遺伝子
頻度0.001で存在しかつその各々が対立遺伝子頻度0.999で存在するような正常な
対立遺伝子に関連づけられているような36種のヒト疾患突然変異を試験するため
に使用される仮説試験を考察する。36種のSNPの各々について、平均対立遺伝子
頻度は0.5(すなわち、(0.001 + 0.999)÷2))である。従ってこの平均対立遺伝子
頻度の積(P)は、0.536 = 1.46 X 10-11である。(実際のSNPプローブアンサンブ
ルについては、対立遺伝子頻度の値及び平均対立遺伝子頻度は、プローブ毎に異
なることに注意すること。更に、存在する対立遺伝子の全てがSNPプローブによ
りアッセイされる必要はないので、SNPプローブの対立遺伝子頻度は、1.0まで加
える必要がないことに注意すること。)。
【0085】 実際には、特定の種についてSNPプローブのセットを含むファミリーの最少数
を決定することは困難であるので、本発明者は、SNPプローブアンサンブルに合
致するタグアンサンブルのための最小ゲノム派生物を下記の方法で定義した。タ
グアンサンブルの最小ゲノム派生物は、(10-10)(P)-1と定義され、ここでPは、
平均対立遺伝子頻度の積である。従って先の例より、ヒト疾患の突然変異SNPプ
ローブのアンサンブルと合致するタグのアンサンブルの最小ゲノム派生物は、(1
0)-10(1.46 X 10-11)-1 = 6.9である。対照的に、先に示したように、合致するS
NPプローブアンサンブルの最小ゲノム派生物は1である。
【0086】 本発明者は、SNPプローブセットへ合致するタグセットに関する最小ゲノム派
生物の定義について生物学上の理論的根拠の意味付けを行うために、下記実施例
を提供する。両方が対立遺伝子頻度0.5を有する2種の対立遺伝子を各々が検出す
るような似ていないヒトSNPプローブのセットへ合致される33タグのセットを考
察する。このタグセットの最小ゲノム派生物は、(10-10)(P)-1 = (10-10)(0.533 )-1 = 0.85であり、これは1に近似している。認められる最も可能性のある遺伝
子型は、33種のSNP遺伝子座の各々でヘテロ接合体である個体であることに注意(
このような遺伝子座がヘテロ接合体である可能性は0.5である。)。最も可能性の
ある遺伝子型を伴う個体を見出す可能性は、0.533 = 1.2 X 10-10である。この
ような個体は、2000年のヒト集団の全体(約6 X 109)において、1よりもわずかに
小さい可能性を生じると予想される。
【0087】 検出アンサンブルは、IDプローブ及びSNPプローブの両方を含むプローブのア
ンサンブルに合致している検出配列を含むことができる(すなわち、この検出ア
ンサンブルは、ID部位配列及びタグ配列を有する)。このようなアンサンブルの
最小ゲノム派生物は、ID部位の最小ゲノム派生物とタグ配列の最小ゲノム派生物
の和である。タグアンサンブルが1種よりも多い種を対照としている場合には、
このアンサンブルの最小ゲノム派生物は、各種に相当するタグの最小ゲノム派生
物の和である。
【0088】 「ID配列アンサンブル」とは、ID配列の多数のファミリーに対応するID配列セ
ットを意味する。すなわち、ID配列アンサンブルは、1よりも多い最小ゲノム派
生物を有する。更に、各ファミリーは最低2種の(十分に分離された)ID配列で構
成されるので、ID配列アンサンブルは4種のID配列の最小メンバーを有する。ID
配列アンサンブルの特徴は、単一の生物のゲノムは、個々のID配列の全部を伴う
陽性ハイブリダイゼーションシグナルを得るには十分ではないことである。ID配
列アンサンブルは、試料から物理的に単離される必要はない。むしろ、このよう
なアンサンブルは、プローブアンサンブルの構築において使用されるIDプローブ
の設計を容易にするために概念化されるのみである(下記参照)。図1は、最小ゲ
ノム派生物9を有しかつ表1に説明されたID配列のアンサンブルを図示している。
【0089】 「IDオリゴヌクレオチドアンサンブル」又は「IDプローブアンサンブル」とは
、オリゴヌクレオチド又はプローブのコレクションを意味し、その各々は、ある
特定のID配列のアンサンブルにおけるID配列の全て又は一部に対応するオリゴヌ
クレオチド配列を含む。このようなアンサンブルは、ハイブリダイゼーションに
より、2種またはそれ以上の個別のゲノムに対応する試料中の核酸配列の存在を
検出するように設計されている(下記参照)。好ましくは、プローブアンサンブル
において、水溶液中のプローブの配列及び/又は濃度は不明である。
【0090】 「SNPプローブアンサンブル」又は「一塩基多型プローブアンサンブル」又は
「多型プローブアンサンブル」とは、1種以上のSNPプローブのファミリーを含む
SNPプローブのセットを意味する。
【0091】 「タグ配列アンサンブル」又は「タグアンサンブル」とは、プローブのアンサ
ンブルに合致されるタグ配列セットを意味する。すなわち、タグ配列アンサンブ
ルの中の各タグ配列は、プローブアンサンブル中のタグ配列に(もしくは、タグ
配列の逆相補物に)相補的である。タグ配列のアンサンブルは、一塩基多型遺伝
子型(これはハイブリダイゼーションにより検出することが困難である)を確固と
したハイブリダイゼーション遺伝子型に転換するためのゲノムプロファイリング
において有用である(下記実施例5参照)。
【0092】 いくつかの物理的特性又は化学的特性の「アンサンブル」とは、核酸配列のア
ンサンブルに合致される前述の物理的又は化学的特性に関係する値のセットを意
味する。例えば、IDプローブのアンサンブルの分子量と1対1でマッチする分子量
のアンサンブルがある。このような分子量のアンサンブルは、IDプローブアンサ
ンブルの試料選択されたサブセットの要素の同一性を決定するために、検出アン
サンブル、又は検出アレイとして使用することができる。IDプローブのサブセッ
トは、質量分析計により分析することができ、かつ観察された分子量は、分子量
のアンサンブル(すなわち、元のIDプローブアンサンブルの分子量)と比較される
【0093】 「検出アンサンブル」又は「検出配列のアンサンブル」とは、「検出配列」と
称される配列のコレクションを意味し、その全ては、配列、プローブ、オリゴヌ
クレオチド、又はタグのアンサンブル(例えば、IDプローブ又はSNPプローブのア
ンサンブル)のメンバーの全て又は一部に相当する。すなわち、検出アンサンブ
ルは、配列、プローブ、オリゴヌクレオチド、又はタグのアンサンブルに合致す
る。このようなアンサンブルは、IDプローブ、ID配列、多型プローブ、又は診断
上有用な配列を含む他のゲノム提示のアンサンブルの診断上の情報の多いサブセ
ットを検出する(通常ハイブリダイゼーションによるが、必ずしもではない)よう
に設計されている。以下に記すように、検出アンサンブルの成分(すなわち検出
配列)は、二次元アレイ中に配置され、診断プローブ(例えば、試料中の核酸分子
内のID配列にハイブリダイズされたIDプローブ)の同定を容易にする。または、
検出アンサンブルの要素は、液体中の診断プローブと接触することができる。更
に以下に記すように、試料の核酸分子内のID配列にハイブリダイズされたIDプロ
ーブは、検出アンサンブルと接触する前に増幅することができる。
【0094】 検出アンサンブルは更に、配列、プローブ、オリゴヌクレオチド、又はタグの
アンサンブルに1対1の対応を有する(すなわち、合致される)物理的又は化学的特
性の値のセットでもありうる。例えば、IDプローブアンサンブルのメンバーの分
子量のリスト又はアレイは、検出アンサンブルの1種である。このような検出ア
ンサンブルは、IDプローブアンサンブルの特定のサブセットの質量分析による同
定に有用である。臨床試料により選択されたIDプローブのファミリーの分子量は
、質量分析を用いて決定することができる。その後、IDプローブファミリーの分
子量が、分子量の検出アンサンブル(すなわち、元の選択されないIDプローブの
アンサンブルの分子量)と比較される。この方法において、選択されたIDプロー
ブは同定され、次に臨床試料中のゲノムの同定に繋がる。または、下記実施例3
に示されたように、プローブのファミリーが、オリゴヌクレオチドの検出アンサ
ンブルに対するハイブリダイゼーションにより検出され得る。次に検出オリゴヌ
クレオチドのこのプローブで選択されたサブセットは、オリゴヌクレオチドの分
子量を決定しかつ別の検出アンサンブル:オリゴヌクレオチドの検出アンサンブ
ルの要素の分子量のアレイと比較することにより同定され得る。
【0095】 「二次元検出アレイ」とは、ナイロンフィルター又はポリリジン被覆したガラ
ススライドのような、本質的に二次元(すなわち平板)の固相支持体に非電気泳動
的方法により配置される、ID配列、IDオリゴヌクレオチド、IDプローブ、又は検
出配列のいずれかのアンサンブルを意味する。
【0096】 「ゲノムプロファイリングアッセイ法」とは、本発明の特定の方法を意味する
【0097】 「ゲノムプロファイリングフィンガープリント」又は「フィンガープリント」
とは、生物学的試料中の存在がゲノムプロファイリングアッセイ法において増幅
及び検出される診断プローブを基に推測されるような、診断配列のサブセット(
例えば、IDプローブ又はSNPプローブ)を意味する。
【0098】 「1つの分類群」(又は複数の分類群)又は「系統発生群」とは、単系の群の集
合的メンバーを意味し、これは、共通の先祖の生物種(公知又は仮定のいずれか)
から派生する又はこれを含むような生物種の群である。本発明の目的について、
分類群は、分類のいずれかのレベルを暗示することのない一般的意味で使用され
ることに注意すること。従って、例えば、分類群は、亜種レベルで、及び属、綱
、門などのレベルでも定義される。
【0099】 「独立した分類学群」又は「独立分類群」とは、重複しないメンバーを伴う分
類群を意味する。従って、細菌属エシェリキア及びサルモネラは、独立した分類
群である。しかし、エシェリキア属及び病原性大腸菌0157:H7からなる分類群は
、この病原菌の全てのメンバーがこの属のメンバーでもあるので、独立した分類
群ではない。
【0100】 「分類学的レベル」とは、系統発生的体系における分類群の位置を意味する。
単離体、生態型、亜種、種、属、科、綱、目、門、界及びスーパー界(superking
dom)の用語は、分類学的レベルの例である。
【0101】 生体の「界」とは、以下のひとつを意味する:ウイルス、細菌、古細菌、真菌
、原生動物、植物及び動物。
【0102】 「個別のゲノム」とは、遺伝的に同一の生物のもの以外の、他のゲノム全てと
異なる特定の核酸配列を伴うゲノムを意味する。個別のゲノムを有する異なる生
物は、無関係であるか又は密に関連することができる。クローン性の関係、例え
ば細菌コロニーにおける遺伝的に相同の生物は、同じ個別のゲノムを有すると言
うことができる。
【0103】 「試料」とは、核酸が調製されかつ特定の核酸配列の存在について試験される
ような物質のコレクションを意味する。試料は、例えば糞便、尿、血液又は痰の
試料、又は病院で日常的に採取されるその他の試料であることができる。または
、試料は、ペトリ皿において増殖する微生物の単一コロニーであることができる
。試料は更に、ヒトの法医学的試料、食品試料、環境試料、又は純粋な核酸であ
ることができる。
【0104】 「増幅方法論」又は「増幅方法」とは、核酸分子のコピー数を直線的又は指数
関数的に増大するような技術を意味する。増幅方法の例は、リガーゼ連鎖反応、
PCR、連結依存型PCR、転写による増幅、鎖置換増幅、自己維持性(self sustaini
ng)配列複製、Qβ-レプリカーゼ媒介型増幅、ローリング-サークル型増幅などが
ある。
【0105】 「増幅産物」とは、増幅方法の適用により得られる核酸分子を意味する。
【0106】 「増幅部位」又は「増幅配列」とは、増幅方法論による複製を媒介するか又は
それに必要とされるような核酸分子の領域を意味する。対増幅部位の例は、PCR
反応における特異的プライミングの間にオリゴヌクレオチドプライマーが結合し
ているDNA断片又は染色体上の部位の対である。ある増幅方法において使用され
るQβ-レプリカーゼ又はファージT7ポリメラーゼのような、RNAポリメラーゼの
プロモーター配列は、別の種類の増幅部位を構成する。
【0107】 「ゲノムサブトラクション」とは、ゲノム差配列の単離につながる方法を意味
する。例えばハイブリダイゼーション法において、「+」DNAゲノム差試料(下記
参照)が「-」ゲノム差試料にアニーリングし、その後残存するアニーリングされ
ていない「+」配列が単離される。代わりの例は、第一のセットに存在するが第
二のセットに存在しない配列を得るための、コンピュータを用いる2種の配列セ
ットの比較である。「+」試料の配列(長さ30塩基)がサブトラクション条件下で
「-」試料にハイブリダイズすることができない場合には、この配列が「-」試料
には存在しないとみなされる。すなわちサブトラクション条件下で、この配列は
、サブトラクションハイブリダイゼーション条件の温度よりも5℃以上低い融解
温度(Tm)で、「-」試料中の配列とハイブリッドを形成することができない。ハ
イブリダイゼーションは、既知の配列を基に実験的に決定する又は予測すること
ができる。
【0108】 「ゲノム差試料の対」とは、ゲノム差配列を発見するために使用される、ゲノ
ムDNA又はRNAに対応する核酸配列の2種のセットを意味する。例えば、ゲノムサ
ブトラクション実験において、「+」及び「-」DNA試料は、ゲノム差試料である
。2種のゲノムをコンピュータ解析により比較する場合、各ゲノムはゲノム差試
料である。ゲノム差試料は、単一の生物又は生物群に由来することができ;ポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)増幅したDNAのような、増幅した又は増幅していない核酸
を含むことができ;サイズ分画又は増幅した分画のような、分画した核酸で構成
することができ;完全に又はほぼ完全に配列決定されたゲノムから配列をコンピ
ュータで示したような、推定核酸配列であることができ;かつ、RNA、DNA、又は
任意の他の密接に関連した核酸分子からなることができる。ゲノム差試料は、多
くのしかし全てではない「+」試料の配列が同じく「-」試料にも存在する場合に
のみ意義がある。
【0109】 「濃縮したゲノム」、「濃縮したゲノム画分」、「濃縮したゲノム差試料」又
は「ゲノム提示」とは、元のゲノム又はゲノム差試料の選択された画分を作製す
る濃縮操作を受けているゲノム、ゲノム画分、又はゲノム差試料を意味する。ゲ
ノムプロファイリングの目的のために、濃縮したゲノムは2つの重要な貢献があ
る:(1)これらは、確固としたハイブリダイゼーションに基づく診断を提供する(
ハイブリダイゼーションによりSNPを検出する方法と比較)、及び(2)増幅により
作製された濃縮したゲノム画分は、少量の試料(例えば法医学の試料)からの材料
を作製する有効な方法である。例えば、法医学用の毛髪試料の供給源は、Alu-PC
Rにより作製された濃縮されたゲノム中のAlu反復間にある多数の多型配列を試験
することにより、ゲノムプロファイリングにより同定することができる(実施例4
参照)。このゲノム濃縮は、サイズ分画、ディファレンシャル増幅(たとえば、SN
PプローブのAlu-PCR又はディファレンシャル増幅)、もしくは任意の他の分画法
を基にすることができる。
【0110】
【表2】 ゲノム提示の例及びそれらの検出配列としての使用
【0111】 詳細な説明 ゲノムプロファイリングは、先行する技術に勝るいくつかの顕著な利点を提供
する生物を同定又は型決定する方法である。医療診断において、臨床診断の状況
において実行し易い方法は、治療上及び疫学的な利点をもたらす。複雑な生物学
的試料は、非常に多数の病原体特異的配列の存在について、同時に、迅速かつ感
度良くスキャンすることができる。ゲノムプロファイリングは、非常に類似した
菌株の間を識別するために使用することを可能にするような、高解像度の遺伝的
フィンガープリントを作製する。これは、病原体及び密接に関連した非病原体の
間、疾患の個別の大発生に関連した同様の病原体の間、並びに同じ病原体の抗生
物質感受性株及び耐性株の間を識別する際に、重要である。本発明の多くの診断
配列をスキャンする能力は、多数の遺伝子マーカー及び遺伝子同定の適用につい
て患者のスクリーニングの用途において重要である。
【0112】 ゲノムプロファイリングは、疾患を引き起こす病原体の包括的セットについて
患者試料を試験する新規種類の表出特異的アッセイ法を可能にする。例えば、ゲ
ノムプロファイリングは、細菌、ウイルス及び真菌のような多様な病原体を含む
、あらゆる一般的呼吸器系病原体の存在について迅速にスキャンする単一の試験
を、呼吸器系疾患に罹患した個体に提供することを実行できるようにする。
【0113】 生物の型決定の現行の方法は、生物の培養に関連しており、通常、生物の増殖
に時間を要し、多様な培養条件を必要とし、かついくつかの細菌及び殆どのウイ
ルス及び真核寄生虫を含む多くの生物について、病院の状況では実行不可能であ
る。本新規方法は、培養が不要であるので、(現行の方法で必要な数日及び時に
は数週間よりもむしろ)数時間で結果を得ることを可能にする。
【0114】 ゲノムプロファイリングの別の利点は、この方法が臨床試料の最小の処理を必
要とし、これがこれまでは特徴付けられなかった生物のフィンガープリントを作
製し、陽性及び陰性の内部対照が簡単に実行され、ゲル電気泳動が不要であり、
かつこの方法は自動化することができることである。
【0115】 ゲノムプロファイリングは、広い範囲の生物種の同定を単独のアッセイ法で行
うために、並行性が高いハイブリダイゼーションに基づくスクリーニングと、高
感度核酸増幅法を組合わせている。単独試験は、ID配列と称されるDNA配列多型
の有用なクラスの存在について、生物学的試料をスキャンすることができる。ID
配列は、特定群内の生物のゲノムに特異的である核酸配列である。単独試験は、
更に別の種類のゲノム異型である多数の一塩基多型(SNP)を同時にスキャンする
こともできる。加えてゲノムプロファイリングは、ID配列及びSNPの混合物を単
独試験において試験することができる。
【0116】 群特異的配列及びゲノム差配列という、ID配列のふたつの範疇が、生物の同定
に有用である。生物の関連した群の全てのメンバーに存在するID配列は、群特異
的配列と称される。群特異的配列は、特定群のメンバーが生物学的試料中に存在
するかどうかの決定に有用である。例えば、HIV群特異的配列の存在は、HIV群の
ウイルスの存在を示唆する。群特異的配列は、ゲノムデータベースのコンピュー
タ比較によるか、もしくは、同調(coincidence)クローニングのような保存配列
を単離する分子的方法により単離され得る。
【0117】 関連する生物群のメンバーの一部のみに存在するID配列は、ゲノム差配列と称
される。ゲノム差配列のセットは、生物の高解像度フィンガープリントを得るた
めに特に有用である。従って、この種のID配列は、群のひとつのメンバーの群の
他のメンバーからの識別を容易にする。生物のフィンガープリント決定は、疫学
、法医学、及び細菌が特定の抗生物質に対して耐性がある可能性がある可能性が
あるかどうかの迅速な決定にとって重要である。ゲノム差配列は、例えば、2種
の個別の生物のゲノムの又は2種の個別の生物セットのプールされたゲノムに対
する、サブトラクティブハイブリダイゼーション法の実施により、調製すること
ができる(下記参照)。
【0118】 ゲノムプロファイリングは、その存在は特定の生物種の存在の指標であるDNA
断片であるような、ID配列について、複雑な生物学的試料をスキャンする。2種
のID配列が、生物の存在の決定に有用である。群特異的配列は、特定の分類学群
において本質的に全ての生物に共通である(すなわち、そのメンバーが先祖によ
り密接に関連した生物学的群内において)。対照的に、ゲノム差配列は、特定の
分類学群の生物を区別する。ゲノム差配列のファミリーに帰する有用な診断は、
該ファミリーのメンバーの独自のサブセットが、群内の密接に関連した菌株のゲ
ノムに存在することである。
【0119】 ゲノムプロファイリングの診断力は、一部、生物種の巨大かつ多様なセットを
特徴とするID配列の複雑な混合物を試験するその能力に起因している。従って、
診断用ID配列のこのようなセットの初期に示された定義を詳細に記すことは有用
であると思われる。
【0120】 ID配列の「ファミリー」とは、生物の特定群のメンバーの同定に有用な、群特
異的配列及び/又はゲノム差配列のセットである。ファミリー内のID配列セット
を規定する特徴は、全てのメンバーが、単一の「個別のゲノム」にハイブリダイ
ズすることができることである(前記表1及び定義の項を参照のこと)。例えば、I
D配列のファミリーは、病原性大腸菌O157:H7群(しかしこれはひとつの菌株DEC3B
に由来する)を識別する80種のゲノム差配列、大腸菌O157:H7株全てに存在する18
種の群特異的配列、及び大腸菌種の全ての菌株に存在する2種の群特異的配列を
含む100個のID配列からなると考えられる。これらの配列は独自に大腸菌O157:H7
群の病原体を同定するのに有用であるが、これらの配列の全てが、ひとつの個別
のゲノムである大腸菌O157:H7株DEC3Bにハイブリダイズすることができることに
注意すること。
【0121】 ゲノムプロファイリングの独自の特徴は、一度に試料を多数の異なるファミリ
ーの存在についてのスキャニングにこれを使用することができることである。1
種よりも多いファミリーで構成されるID配列セットは、ID配列の「アンサンブル
」と称される。アンサンブルにより試験された生物の個別の群の数は、そのアン
サンブル中のファミリー数を反映する。アンサンブル中のファミリー数は、次に
、アンサンブルの「最小ゲノム派生物」と称される量により正確に定義される。
この「最小ゲノム派生物」とは、該アンサンブルを含む配列の全てがハイブリダ
イズすることができるような「個別のゲノム」の最少数である。例えば、ゲノム
プロファイリングは、結核菌、レジオネラ菌、コクシドイデス・イミティス、イ
ンフルエンザウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスの存在について痰試料を同時
に試験するために、5種の最小ゲノム派生物を伴うアンサンブルを使用すること
ができる。従って、単一の試験において生物の広範なスペクトルを同定するゲノ
ムプロファイリングの能力は、大きい「最小ゲノム派生物」を有するアンサンブ
ル中のID配列の存在について試料をスキャンするその能力の結果である。
【0122】 同様に、ヒト遺伝的スクリーニング及び法医学のような、感染症以外の用途に
おいて、ゲノムプロファイリングは、一塩基多型のアンサンブルについての試料
のスキャニングに使用することができる。SNPアンサンブルは、ID配列アンサン
ブルの定義と類似したSNPの多数のファミリーのセットとして定義される。SNPの
ファミリーは、ID配列のファミリー同様、単一の個体の遺伝子型を反映している
。ID配列のファミリーは、単一の個体のゲノムにハイブリダイズするメンバーID
配列の能力により定義されるが、SNPのファミリーは、単一の生物の遺伝子型へ
の対応により定義されることに注意すること。
【0123】 遺伝子型決定によるゲノムプロファイリングの利点は、SNPが正確なハイブリ
ダイゼーションアッセイ法を用いて検出され得ることである。いくつかの大規模
SNP遺伝子型決定の用途において、完全な二重鎖を形成するオリゴヌクレオチド
ハイブリッドと、一塩基対ミスマッチを伴う二重鎖を形成するものの間を識別す
るSNP遺伝子型が検出される。対照的に、ゲノムプロファイリングアッセイ法は
、より容易な作業により、オリゴヌクレオチドタグ配列の存在の有無を試験する
ことができる。このより正確なハイブリダイゼーションアッセイ法を実現するた
めに、独自の非生物学的タグ配列を各SNPプローブに組込むことができる。従っ
てこのようなSNPプローブのアンサンブルは、タグ配列のアンサンブルに合致さ
れ、かつ各SNPファミリーはタグ配列ファミリーに合致される。ゲノムプロファ
イリングアッセイ法の検出段階において、タグ配列のアンサンブルで構成された
検出アンサンブルは、単一の個体から単離されたゲノムDNA試料の遺伝子型に対
応する増幅されたSNPプローブのファミリー(タグ配列の合致するファミリーを含
む)の検出に使用することができる(図3参照)。
【0124】 ゲノムプロファイリング法の好ましい一般的形態は下記の段階からなる。
【0125】 段階1:所定の試験のためにプロービングされるゲノム差配列及び群特異的配列
を含むID配列のアンサンブルを特定化する段階 この段階は、検出される生物を選択すること、及び診断的ID配列のファミリー
を選択することを含む。
【0126】 段階2:生物学的試料中の検出されるID配列のアンサンブルに対応するプローブ
のアンサンブルを設計しかつ調製する段階 対照プローブも設計されかつ調製される。
【0127】 段階3:IDプローブのアンサンブルに対応する検出アンサンブルを設計しかつ調
製する段階 対照プローブに対応する対照配列も設計されかつ調製される。ある好ましい態
様において二次元検出アレイが調製される。
【0128】 段階4:生物学的試料の調製 この段階は、生物の核酸分子をハイブリダイゼーションに使用することができ
るようにする、試料中の生物の溶解を含む。例えば、糞便又は呼吸器系試料のよ
うな試料は、試料中の生物由来の核酸分子が固相支持体に結合されるように処理
される。
【0129】 段階5:調製された試料中のゲノム配列にハイブリダイズ(結合)するIDプローブ
アンサンブルからのIDプローブの選択 その後、ハイブリダイゼーションしない未結合のプローブは洗浄により除去さ
れる。
【0130】 段階6:試料中のゲノム配列に結合したIDプローブの増幅
【0131】 段階7:検出アンサンブルへの増幅されたプローブ配列のハイブリダイゼーショ
ンによる、試料選択されたIDプローブの同定
【0132】 段階8:生物学的試料に対する試料選択されたIDプローブのインサイチューによ
る生物学的試料中の標的生物の定量
【0133】 (簡略化のために、この好ましい一般的形態の段階は、ID配列を使用するゲノ
ムプロファイリングについて説明されていることに注意すること。SNPを用いる
ゲノムプロファイリングに関して使用される方法の変更点については、実施例5
を参照のこと。)
【0134】 以下のようにこれらの各段階の更なる詳細に説明する。
【0135】 段階1:所定の試験のためにプロービングされるゲノム差配列及び群特異的配列
を含むID配列のアンサンブルを特定化する段階 この段階は、検出される生物を選択すること、及び診断的ID配列のファミリー
を選択することを含む。
【0136】 ゲノムプロファイリングの第一段階は、検出される生物種の選択を含む。例え
ば医療用途のためには、ヒト病原体が選択され;食品の腐敗についての試験のた
めには、食品毒を生じる細菌が選択され;法医学的目的のためには、様々なヒト
個体が選択されるなどである。特定の試験のために選択された生物は、例えば異
なる界のメンバー(すなわち、ウイルス、細菌、古細菌、真菌、原生動物、植物
、及び動物)のように、それらの遺伝子組立てが広範に異なることができるか:
または、選択される生物は、例えば種のようなより小さい群のメンバーであるこ
とができる。ゲノムプロファイリングの重要な用途は、血液、尿、脳髄液又は痰
、又は糞便などのヒト体液中の病原体の同定である。(この方法は、多くの他の
組織試料に適用される場合も重要である。)組織試料の供給源及び患者の症状に
応じて、同定されるべき生物の重要な種類に関して決定がなされる。例えば、肺
炎の一般的原因であるウイルス、細菌、及び真核生物寄生虫の検出を選択するこ
とができる。
【0137】 ゲノムプロファイリングアッセイ法により同定されるべき生物の種類が一旦決
定されると、アッセイ法のためのID配列のアンサンブルが選択される。このアン
サンブルは、ID配列のファミリーから構築され、その各々はアッセイ法において
検出されるべき生物種の一つの診断用である。ID配列のアンサンブルは、物理的
に単離される必要はない。むしろ、このようなアンサンブルは単に、プローブア
ンサンブルを構築するために使用されるIDプローブの設計を容易にするために概
念的に説明される(下記参照)。
【0138】 前述のように、ID配列のアンサンブルは、ゲノム差配列及び群特異的配列の、
ふたつの有用な配列の種類を含む。任意の特定の標的生物の種類について、群特
異的配列、ゲノム差配列、又は両方を含むかどうかの選択は、具体的な生物種に
関連した診断の問題点により決まる。
【0139】 群特異的配列は、生物群の任意ののメンバーが試料中に存在するかを知ること
が重要である場合に、診断上最も有用である。例えば、群特異的配列は、腸炎菌
群の任意のメンバーが胃腸試料中に存在するかどうかを知ることが重要であるか
どうかの一助となる。更に群特異的配列は、C型肝炎ウイルスのようなウイルス
について試験する場合にも選択される可能性がある。
【0140】 群特異的配列とは対照的に、ゲノム差配列は、群内の密接に関連した菌株間の
区別が必要である場合に特に有用である。これは、例えば重要な病原体(例えば
、大腸菌O157:H7)が、同じ組織に病原体として存在する菌株(例えば共生大腸菌)
に密接に関連しているような場合である。ゲノム差配列は同じく、感染性病原体
のフィンガープリントが望ましい場合にも価値がある。フィンガープリント決定
、又は高解像度菌株同定は、院内感染症を含む感染症の大発生を追跡しかつ封じ
込めるための強力な疫学的手段でありうる。治療上は、フィンガープリント決定
、特に迅速な培養と無関係の試験は、現行の実施の場合よりもはるかに迅速に投
与される抗生物質を決定することで、救命の機会をもたらす可能性がある。
【0141】 ゲノムプロファイリングアッセイ法において検出される各種の生物について、
群特異的配列及び/又はゲノム差配列を含むID配列のファミリーは、下記及び実
施例において説明されたような常法を用いて選択される。新たに単離されたID配
列の配列が未知の場合、この配列は常法により決定される。その後、様々な、そ
して無関係の生物種に対応する可能性のある様々なID配列のファミリーが、アン
サンブルへと編成される。
【0142】 その後選択されたID配列に対応するプローブのアンサンブルは、市販の使用で
きるオリゴヌクレオチド合成法又はサービスを用い、プラスミドからの組換えDN
Aの合成によるか、又は任意の他の十分に純粋なDNA分子を作製する方法により、
設計されかつ合成される。所定のID配列のプローブは、1種、2種又は数種のオリ
ゴヌクレオチド、並びに検出に使用するための付着部分からなることができる。
少なくとも該プローブの一部であるID部位が、被験生物由来の核酸分子であるID
配列にハイブリダイズするように設計される。
【0143】 ゲノムサブトラクションを使用するゲノム差配列の単離 ゲノム差配列は、密接に関連した菌株からある菌株を識別するために使用され
る。ゲノム差配列のファミリーは、該ファミリー内の配列の異なるサブセットが
異なる菌株に存在するという特性を有する。ゲノムプロファイリングは、臨床試
料中に存在するゲノム差配列のファミリーのサブセットを突き止めることができ
る。この方法で、試料中に存在する菌株が正確に同定される。ゲノムプロファイ
リングアッセイ法の先行するアッセイ法に勝る利点は、各々が生物の特定群をフ
ィンガープリント決定することができるような、多くの異なるファミリーを同時
に調査することができる点である。
【0144】 臨床診断に有用なゲノム差配列は、病原性株及び関連のある非病原性株につい
てゲノムサブトラクションを行うことで、単離することができる。一部のゲノム
差配列は、臨床的重要性が大きい。例えば、近年病原菌が、病原性に必要な複数
の毒性のある遺伝子を含むDNAに連続して広がっているような「病原性島(pathog
enicity islands)」に潜むことが多いことが明らかになってきている。概して密
接に関連した非病原性株は、病原性島を欠いている。従って病原性島は、ゲノム
差配列に有用である。他の、そして殆どのゲノム差配列は、臨床的意義がないが
、それにもかかわらず株同定において極めて価値がある可能性がある。群特異的
配列及びゲノム差配列の間の識別が、時々不明瞭となることがあるが、これは価
値がない。例えば、大腸菌O157:H7の病原性島配列は、一部の大腸菌株において
認められるが、他では認められないので、これはゲノム差配列として認められる
。もしくは、これと同じ配列は、大腸菌O157:H7株を構成する分類群の全てのメ
ンバーにおいて存在するので、これは群特異的配列とみなされる。時に曖昧でな
い限り、これらの配列は有用な診断用ID配列である。
【0145】 ゲノム差配列のファミリーは、いくつかのゲノムサブトラクション法を用いて
単離される(例えば、Straus(1995)、前記;Diatchenkoら、Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A.、93:6025-6030 (1996);Tinsleyら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A
.、93:11109-11114 (1996))。ゲノムサブトラクションは、ある菌株(「+」株)の
ゲノムにおいて存在するが、関連する菌株(「-」株)のゲノムには存在しないよ
うなDNA配列を単離する。ゲノムサブトラクション産物は、ゲノム差配列のファ
ミリーである:その全体のセットは、「+」株にハイブリダイズするが、「-」株
にはハイブリダイズせず、かつ独自のサブセットは密接に関連した菌株にハイブ
リダイズする。ゲノム差配列のファミリーの一般的特性は、そのメンバーが、ゲ
ノム差試料の作製に使用される菌株(すなわち、ゲノムサブトラクションに使用
される菌株)に密接に関連した菌株のゲノム中に様々な組合せで認められること
である。個々の菌株に存在するゲノム差配列のファミリーの独自のサブセットは
、高解像度のフィンガープリントを構成する。しかし、ゲノムサブトラクション
に由来したゲノム差配列の全ファミリーが、「+」ゲノムサブトラクション試料
を作製するために使用した単一の菌株にハイブリダイズすることができることに
注意すること。(1種以上の菌株が「+」ゲノム差試料を作製するために使用され
る場合、サブトラクション産物は、ひとつのファミリーよりも多くを構成する。
)
【0146】 ゲノムサブトラクションは一般に、「+」及び「-」ゲノム差試料からゲノム差
配列を精製するために、サブトラクションハイブリダイゼーション及びアフィニ
ティクロマトグラフィーを使用する(Straus(1995)、前記)。2種の関連した菌株(
「+」株及び「-」株)に由来したゲノムDNAが最初に調製される。「+」株由来のD
NAは、制限酵素で切断され、かつ「-」株由来のDNAはランダムに剪断され、かつ
アフィニティ標識でありその後の「-」株の除去をそのリガンドであるアビジン
との結合により可能にするようなビオチンで修飾される。ゲノム差配列の濃縮は
、「+」株及び「-」株由来の変性したDNA断片を、再会合させることにより実現
される。再会合後、ビオチン化された配列、及びビオチン化された配列にハイブ
リダイズされた配列の全てが、アビジンで被覆されたビーズへの結合により取り
除かれる。その後このサブトラクション過程が数回反復される。各サイクルにお
いて、前回のサブトラクションの「+」株由来の未結合のDNAが、新たな「-」株
由来のビオチン化されたDNAとハイブリダイズされる。最終回の「+」株由来の未
結合のDNAは、アダプターに連結され、かつポリメラーゼ連鎖反応のプライマー
としてアダプターの1本鎖を用いて増幅される。次に増幅された配列をクローニ
ングすることができる。相互サブトラクション(すなわち「+」及び「-」株のス
イッチ)の実施は、ゲノム差配列の様々なセットを作出することに注意すること
。このようなゲノム差配列の作出に使用することができるサブトラクション法は
、組換えDNA技術の当業者には公知であり、かつこのような方法は広く公表され
ている。更なる詳細は、下記実施例に記す。
【0147】 ゲノムサブトラクションの概略は、図2に示す。図2Aは、共通の先祖を有する
生物群の推測に基づく系統発生樹を示す(分類群)。一部の生物は病原性であり、
かつ一部は非病原性である。図2Bは、ゲノム差配列の単離のひとつの戦略を図示
している。関連した菌株の群の2種の生物(例えば菌株1及び8)は、ゲノム差試料
の作製のために選択することができる。病原性の菌株1を使用し、「+」ゲノム差
試料を作製し、かつ非病原性の菌株8を使用し、「-」ゲノム差試料を作製する。
このサブトラクションの産物(図2B)は、菌株1においては存在するが、菌株8では
存在しないようなゲノム差配列である。これらのゲノム差配列は、この群内の任
意の菌株(すなわち菌株2〜7を含む)のフィンガープリント決定に有用である。菌
株1及び菌株8を使用するゲノムサブトラクション(図2A)は、菌株8には存在しな
いような菌株1由来の数百の配列を生じることができる。菌株2は、これらのゲノ
ム差配列の一部を有するが、他は欠損している。菌株5は、このゲノム差配列の
個別のサブセットを潜ませており、菌株7なども同様であると思われる。重要か
つ一般的知見は、ゲノムサブトラクションが群内の2種の菌株(図2並びに本明細
書に記した実施例の中の菌株1及び8)に適用される場合、関連した菌株(例えば、
菌株2及び5)は、得られるゲノムサブトラクション産物の個別のサブセットを潜
ませている。
【0148】 図2Cに記したように、ゲノム差配列は、数種の生物由来のゲノム核酸分子のプ
ールにより作製することもできる。例えば、「+」試料は、数種の病原体のプー
ルにより作製され、かつ「-」試料は数種の非病原体のプールにより作製される(
図2C)。この場合、ゲノムサブトラクションにより単離されるゲノム差配列は、
「+」ゲノム差試料の少なくとも1種の病原体ゲノムに存在するが、「-」ゲノム
差試料の非病原体ゲノムに存在しないような配列である。
【0149】 サブトラクションハイブリダイゼーションを使用する代わりに、コンピュータ
及び配列比較ソフトウェアを使用して、2種の生物又は生物の2セットに由来する
2種の生物のゲノムを比較し、その結果ゲノム差配列を作製することができる。
この方法は、例えば標的生物のゲノムの配列が完全又は本質的に完全である場合
に実践される。例えば、最近その配列が完成された、ヘリコバクター・ピロリ(H
ericobacter pyloli)の関連株のコンピュータに基づく比較が報告されている(Al
mら、Nature、397:176-180 (1999))。発表された解析及び公開された入手可能な
データは、ある菌株又は他の菌株に独特であるような多くのゲノム差配列を提供
している。この解析は、その後、それからゲノム差配列が決定されるような「仮
想」ゲノムサブトラクション解析を構成している。
【0150】 群特異的配列の単離 特定群の任意のメンバーが生物学的試料中に存在するかどうかを決定すること
のみが重要である場合、(特定群内のどの個別の菌株かを決定するのに対し)、群
特異的配列が、ゲノムプロファイリングアッセイ法によりアッセイされるID配列
のアンサンブルに含まれる。群特異的配列は、多くの方法で単離することができ
、これはゲノムサブトラクション及び公表されたデータベース解析を含む。例え
ば、「+」ゲノム差試料として病原性結核菌株由来のDNA、及び「-」株として非
病原性マイコバクテリウム株由来のDNAを用いるゲノムサブトラクションは、病
原性結核菌株の全てに共通する毒性遺伝子を含む群特異的配列を得る。これらの
群特異的配列は、結核起因菌の存在の試験にとって価値のあるID配列である。別
の例では、単純ヘルペスウイルスの群特異的配列が、単純ヘルペスウイルスの全
ての既知の単離体内に存在するが、データベース内の他のウイルス種には存在し
ないような配列について、ゲンバンクのような公開のデータベース中のウイルス
ゲノムDNA配列のスキャニングにより単離され得る。
【0151】 段階2:生物学的試料中の検出されるID配列のアンサンブルに対応するプローブ
のアンサンブルを設計しかつ調製する段階 対照プローブも設計されかつ調製される。
【0152】 ゲノムプロファイリングの第二の段階において、IDプローブのアンサンブルは
、該アンサンブル内のIDプローブが、段階1のゲノムプロファイリングアッセイ
法のために選択されたID配列のアンサンブルのメンバーにハイブリダイズするこ
とができるように設計される。IDプローブは、1種のオリゴヌクレオチド、又は
好ましい態様においては2種またはそれ以上のオリゴヌクレオチドからなるよう
に設計される。IDプローブ及びその構成体オリゴヌクレオチドのいずれかは、1
種またはそれ以上の機能的な部分を有することができる。
【0153】 ID部位であるIDプローブの一部はID配列に対応している 本方法の好ましい態様において、IDプローブアンサンブルは、プローブ配列の
第一部分が段階1において構築されたID配列アンサンブルのひとつの配列に対応
しているような多数の機能的なIDプローブを含む。従って、このようなIDプロー
ブのひとつは、ID配列の一部に対応している配列又は配列セットを含み、かつ以
下に説明したように、ID配列を含む核酸分子にハイブリダイズすることができる
。この部分はID部位と称される。例えば、このようなIDプローブは、ゲノム差配
列又は群特異的配列に対応しているID部位を含むことができる。
【0154】 IDプローブの一部は増幅配列に対応している ゲノムプロファイリングの重要な利点は、多くの配列の確固とした人為産物を
含まない増幅を一度に実施する能力である。ゲノムプロファイリングアッセイ法
は、多数の個別のIDプローブの増幅を指示するために非常に少数の増幅配列を用
いることにより、多重増幅時に生じる通常の増幅の人工産物が避けられる。この
目的のために、IDプローブの第二の部分(ID配列に対応する第一の部分に加え)は
、1種またはそれ以上の増幅配列を含むことができる。この第二部分は、例えば
、1種またはそれ以上のプライマー結合部位、又はQβレプリカーゼのような核酸
ポリメラーゼの結合部位に対応することができる。この増幅部分は、増幅される
べきアンサンブル(対照配列を含む)内のほとんど又は全てのプローブに共通して
いる。従って、IDプローブ及び対照配列のアンサンブルを含むプローブのセット
(下記参照)は、同じ反応において効率的に増幅することができる。このプローブ
の第三の任意の部分は、増幅したプローブの検出に使用されるタグ配列を含むこ
とができる。タグの使用については、下記段階3に記している。
【0155】 対照配列 陽性及び陰性の両対照がIDプローブアンサンブル内に含まれることができる。
実際のゲノムの配列に対応しないが、むしろ試料調製時に試料に添加される対照
核酸分子に対応するようなアンサンブルに含まれた陽性対照配列が存在すること
ができる。ゲノムプロファイリングアッセイ法における陽性対照配列の検出は、
全体のアッセイ法が正確に作業されていることを指摘する。(試料中に検出され
るID配列が存在しない場合、試料中に本当にID配列が存在しないか、または、何
らかの理由によりアッセイ法に失敗したかどうかを知ることは重要である。)
【0156】 陰性対照配列も、ID配列プローブのアンサンブルに含むことができる。これら
の陰性対照配列は、天然に存在する配列には対応しておらず、かつ陽性対照配列
とは対照的に、生物学的試料には添加されない。ゲノムプロファイリングにより
検出される陰性対照配列のレベルは、IDプローブのID配列とは無関係の選択及び
増幅によって引き起こされた、アッセイ法におけるバックグラウンドのレベルを
示す。
【0157】 バイナリープローブ(プローブの半分) ある態様において、IDプローブは、左側及び右側のIDプローブの半分のオリゴ
ヌクレオチド対からなる(図3)。各右及び左のプローブの半分の内側部分は、ゲ
ノム差配列又は群特異的配列のようなID配列の隣接部分に対応している配列を含
む。プローブの半分が変性されたID配列にハイブリダイズする場合、そのプロー
ブ部分は、核酸リガーゼに結合することができる。以下に記したように、プロー
ブの半分の試料依存型連結は、増幅及び検出することができるより大きい分子の
形成を生じる。
【0158】 この態様において、各プローブの半分の外側部分は、増幅配列、例えば、ポリ
メラーゼ連鎖反応のためのプライマー結合部位に対応する部位を含む。このよう
なIDプローブのアンサンブルにおいて、各プローブは独自のID及びタグ配列を有
するが、プライマー結合部位は共通の対である。タグ配列が存在する場合、プロ
ーブの半分の一つの内側部分と外側部分の間に位置すると考えられる。
【0159】 図3は、プローブの半分、ID配列依存型連結、タグ、及び該試料にハイブリダ
イズするプローブの半分のPCR増幅を使用する態様を図示している。この例にお
いて、PCRのための左側プライマーは、プライマー部位-L配列と同じであり、か
つ右側プライマーは、プライマー部位-R配列の逆相補物である。4種の異なるタ
グ配列(タグ-R、タグ-R'、タグ-L、及びタグ-L')が、検出アレイに含まれ得る(
下記参照)。4種のタグ配列は、増幅されたIDプローブにおいて2種のタグ配列の
各々を含む相補配列にハイブリダイズすることができる。
【0160】 IDプローブ合成及び濃度 IDプローブは、標準の核酸合成法により調製される。水溶液中のIDプローブの
配列及び濃度が決定される。水溶液中のIDプローブの濃度は必要に応じて変動す
ることができる。例えば、IDプローブのアンサンブルにおいて、各オリゴヌクレ
オチドは、等モル量で存在することができる。代わりの態様においては、IDプロ
ーブは、対応する生物を含む典型的生物学的試料中のそれが対応するID配列の予
想される豊富さに逆比例した量で存在する。例えば、患者がロタウイルス及び寄
生線虫の両方の胃腸感染症を有する場合、糞便試料中のロタウイルスゲノムのコ
ピー数は、糞便試料中の線虫ゲノムのコピー数よりも多い可能性がある。従って
限定量で存在するロタウイルス配列のプローブを有することは有用であると思わ
れる。
【0161】 段階3:IDプローブのアンサンブルに対応する検出アンサンブルを設計しかつ調
製する段階 対照プローブに対応する対照配列も設計されかつ調製される。ある好ましい態
様において、二次元検出アレイが調製される。
【0162】 検出アンサンブルの役割は、生物学的試料中のID配列へのハイブリダイゼーシ
ョンにより選択されるIDプローブのアンサンブルのサブセットを検出しかつ同定
することである。この検出アンサンブルは、段階2で構築されたIDプローブのア
ンサンブルに対応する配列(及び本試験における様々な種類の生物の存在につい
て診断するID配列)を含む。別の表現をすると、この検出アンサンブルは、IDプ
ローブのアンサンブルと合致している。対照プローブに対応している対照配列も
、検出アンサンブルに含まれる。
【0163】 検出アンサンブルは、プローブ試料のハイブリダイゼーション現象を検出する
ために使用することができる核酸分子からなる。この検出アンサンブルは、該プ
ローブのID配列又は配列タグに対応する配列を含むことができる。ゲノムプロフ
ァイリング法のひとつの態様において、検出アンサンブルDNA配列は変性され、
かつ固相支持体に固定され、その結果この検出アンサンブルDNA配列は、添加さ
れたIDプローブとハイブリダイズされ得る。この検出アンサンブルは、平板固相
支持体上に構築された場合、これは二次元検出アレイと称される。検出配列DNA
は、該支持体上の様々な位置に配置される。この方法でのDNA分子の固相支持体
への固定法は、ゲノムの当業者には公知である。例えば、この目的のために、実
施例で言及した方法を用いることができる。または、試料選択されたIDプローブ
の検出アレイへのハイブリダイゼーションは、下記実施例3に記したように、液
相で実施することができる。
【0164】 アレイ設計の好ましい態様において、群又は関連した群に対応する検出配列は
、アレイ上互いの近傍に配置される。従って検出配列のファミリー、すなわち所
定の生物種に特異的なもの(例えば、病原性大腸菌O157:H7群)は、近隣のスポッ
ト群として配置される。更に、密接に関連したファミリーに対応する検出配列の
ファミリー(例えば、大腸菌O157:H7及び赤痢菌)は、該アレイの同じ領域に配置
される。この構成は、ハイブリダイゼーションの結果の判読を容易にする。
【0165】 IDプローブアンサンブルと共に含まれる陽性及び陰性対照配列(前記参照)も、
同じく検出アンサンブルに組込むことができる。 前述のように、陽性対照配列
も、生物学的試料と混合され、かつ該アッセイ法の適当な機能を示すために使用
される。陽性対照プローブ配列は、生物学的試料中の標的対照配列とハイブリダ
イズし、増幅され、かつその後検出アレイ中の対応する対照配列とハイブリダイ
ズする。
【0166】 陰性対照配列は、アッセイ法における病原体に依存しないバックグラウンドシ
グナルの有用な測定法である(すなわち、生物学的試料中の対応する病原体の非
存在にもかかわらず増幅されるIDプローブの量の測定)。陽性対照配列とは対照
的に、陰性対照配列は、生物学的試料とは混合されない。従って、陰性対照プロ
ーブ配列は、生物学的試料中にそれがハイブリダイズする標的配列を有さない。
陰性対照配列の生物学的試料又は試料マトリックスとの非特異的会合は、これら
の配列のその後の増幅及び検出アレイ中の対応する配列へのハイブリダイゼーシ
ョンを可能にする。
【0167】 検出配列のアンサンブルを含むアレイの製造 様々な種類の検出アレイを用いて、診断配列を検出することができる。図4は
、以下に記された実施例において使用される検出アレイのいくつかの設計を図示
している。
【0168】 核酸分子のアレイの構築のための多くの方法が説明されている。本発明におい
て使用するのに好ましい方法は、核酸分子が、高密度でポリリジン処理されたガ
ラススライド上に付着されたものである(例えば、Schenaら、Science、270:467-
470 (1995)を参照のこと)。ID配列に対応する検出配列は、クローニングされたD
NAとして(例えば、プラスミドベクターの挿入体として)、増幅されたDNAとして(
例えば、クローニングされた配列の増幅により得られるPCR産物)、又は合成オリ
ゴヌクレオチドとして、アレイに付着することができる。
【0169】 または該検出アンサンブルは、ID配列というよりもむしろ、合成オリゴヌクレ
オチドタグのアドレス指定可能なセットを含むことができる。この場合タグは、
IDプローブのタグ要素(以下に説明する)又はSNPプローブ(実施例5)に対応する。
該アレイの各アドレス指定可能なタグは、ハイブリダイゼーション選択が施され
たプローブアンサンブル中の特異的プローブ配列に結合したタグに対応する(下
記参照)。アレイ要素及びプローブアンサンブルの間の1対1の関係は、オリゴヌ
クレオチドタグアレイ要素が混合物中の分子にハイブリダイズすることを観察す
ることにより、混合物中のID配列の同定を可能にする。アドレス指定可能なタグ
の同じセットを含むアレイは異なるプローブセットのために使用することができ
るので、この方法の利点は、予め製造されたアレイを使用することができること
である。例えば、呼吸器系病原体の検出のためのプローブのセット及び胃腸病原
体の検出のためのプローブのセットは、同じタグのセットを使用することができ
る。従って単一のアレイを、呼吸器系試料及び胃腸管試料の病原体の同定に使用
することができる。
【0170】 または、検出アレイは、試料又はプローブに液体中でハイブリダイズされる検
出配列セットであることができる。検出アレイは、診断用産物が比較される、分
子量のような、物理的特性のセットであることもできる。
【0171】 段階4:生物学的試料の調製 この段階は、生物の核酸分子をハイブリダイゼーションに使用することができ
るようにする、試料中の生物の溶解に関する。例えば、糞便試料又は呼吸器系試
料のような試料は、試料中の生物由来の核酸分子が固相支持体に結合されるよう
に処理される。
【0172】 下記の試料の調製戦略により達成される目的は、以下のものである: (a)広範な供給源(例えば、培養物、コロニー、痰、血液、尿及び糞便)から、
該アッセイ法のその後の段階と適合性のある共通の形状へ試料を転換すること。
生物は溶解され、かつそれらのゲノム核酸分子は、ハイブリダイゼーションに使
用可能である。 (b)試料を濃縮すること、これにより希釈した形の生物を試験する場合(例えば
尿試料又は血液試料中の場合)のアッセイ感度を上昇する。 (c)(c)阻害物質を除去又は固定することにより、試料中の酵素阻害剤の作用を
除去又は減弱すること。
【0173】 試料調製のいくつかの任意の方法を用いて、本方法において使用するための試
料を調製することができる。試料調製の一般的概念は、核酸分子を遊離しかつ変
性し、かつそれに続く段階を妨害し得る混入しているタンパク質及び他の物質を
除去することである。試料調製法は、任意に、DNA、RNA、又はその両方を選択的
に維持するために使用することができる。
【0174】 調製前に、尿試料のような希釈型試料は、標準の濾過ユニットを通す濾過によ
り濃縮することができる。試料供給源が関心対象の生物よりも大きい特定の物質
を含有している場合は、この粒子は、試料濃縮段階が実施される前に、孔径が関
心対象の生物よりも大きい濾紙を通し試料を濾過することにより、試料から除去
される。微生物について試験する場合は、例えば平均孔径20〜30μmを有するメ
ンブレンを通す予備濾過を用いて、大きい粒子を微生物から分離する。
【0175】 または、遠心分離段階を用いて、微生物を様々なサイズ又は密度を有する物質
から分離することができる。例えば、大きい粒状物質は、大きい粒子のペレット
内への沈着を生じるが、微生物には生じないような速度での遠心分離段階により
、微生物から分離することができる。微生物は任意に、例えば培養した微生物試
料のような場合には、遠心分離により液相から分離することができる。濾過及び
遠心分離の組合せは、疑わしい被験生物の濃縮及び濃厚化のために使用される。
遠心処理された試料から回収されたペレットは、その後更に調製される。濾過及
び遠心の両方は、ウイルスが試料から失われ得るという欠点を持つ可能性がある
。アフィニティクロマトグラフィー、セルソーティング、及び抗原に基づく濃縮
のようなその他の濃縮法も、この段階に含むことができる。
【0176】 好ましい態様において、実験試料(濾過又は遠心により得られる、更には糞便
試料のような微生物高含量の粗試料)は、ナイロンフィルター、粒状マトリック
ス又はビーズのような、固相支持体に付着及び固定される(図5)。固相支持体の
使用は、他の方法に勝るいくつかの利点を提供する。試料DNAは、固相支持体に
固定され、かつ1本鎖核酸分子プローブとのハイブリダイゼーションのための調
製において変性される。粗DNA試料の固定及び洗浄により、酵素段階(例えば、連
結及び増幅)の阻害剤は、マトリックスに固定されるか、もしくは結合したDNAを
含むフィルターから洗浄除去されるかのいずれかである。試料成分による阻害の
ために、臨床試料のPCR試験は感度が悪い場合があるので、これは重要な利点で
ある。最後に、偽陰性結果を検出するための内部対照を含むことは簡単である。
【0177】 好ましい支持体は、耐久性があるが柔軟であり、ハイブリダイゼーションアッ
セイ法のために核酸分子-含有試料の固定に広く使用されている、ナイロンフィ
ルターである(Churchら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:1991-1995 (1984))
。現在では、痰試料を結核菌について「酸性速攻塗抹(acid fast smear)」アッ
セイ法を用いて試験する場合のように、痰又は糞便試料のような粗試料は、固相
支持体上に塗抹される(Konemanら、「診断的微生物学のカラー図面と教科書(Co
lor Atlas and Textbook of Diagnostic Microbiology)」 (Lippincott-Raven
、フィラデルフィア、1997))。同様に、ペトリ皿の半固形培地上で増殖された細
菌コロニー又は真菌コロニーは、ナイロンフィルター上に「拾い挙げられ」るか
、又は固形支持体上に塗抹されたペトリ皿から濾紙上に塗抹される。
【0178】 好ましい態様において、次に試料は、細胞をこじ開けかつ試料中の任意の2本
鎖DNAを変性する方法を用い、固相支持体に固定される。細胞をこじ開ける多く
の方法が開発されている。これらは、機械的破壊、並びに塩基、カオトロピック
試薬、熱、及び有機溶媒による処理を含む。本発明のこの段階は、細胞破壊のた
めの1種またはそれ以上のこのような方法を組込むことができる。アルカリ処理
、それに続く中和及び洗浄を含む簡単な方法は、試料中の変性したDNAの固相支
持体への固定のための好ましい手段である(Hanahanら、Methods Enzymol.、100:
333-42 (1983);Grumsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、72:3961-3965 (19
75);Ausubel(1987)、前記)。
【0179】 アッセイ法が陰性の結果をもたらした場合には、その試料が本当に被験生物由
来のゲノムDNAを含まないかどうか、もしくは、アッセイ法それ自身が失敗した
かどうか、すなわちその結果が偽陰性であるかどうかを知ることは重要である。
偽陰性は、該アッセイ法の酵素段階のひとつをブロックする実験試料中の阻害剤
の存在に起因する可能性がある。
【0180】 偽陰性結果を確定するために、1種またはそれ以上の陽性対照DNA試料を実験試
料に添加することができる。陽性対照DNA試料は、試験される生物の範囲では存
在しないDNA配列を含む。陽性対照DNA試料に対応するプローブは、プローブアン
サンブルに含まれる。これらのプローブは、アッセイ行程の一種またはそれ以上
が不成功でない限りは、全てのアッセイ法において増幅されかつ検出されると考
えられる。従って陽性対照からのシグナルの検出の失敗は、偽陰性の結果を示す
ことができる。
【0181】 図5は、試料の調製、ハイブリダイゼーション選択、増幅、及び選択されたプ
ローブの検出を図示している。この態様において、試料は、ナイロンフィルター
上での溶解により調製され、その結果この試料の核酸分子は変性されかつフィル
ターに付着される。陽性対照DNA試料も、フィルターに結合される。連結可能な
プローブの半分はその後、結合された核酸分子にハイブリダイズされる。プロー
ブの両方のハーフがID配列に結合される場合には、これらは互いに連結され、完
全長プローブを作製し、これは、プライマー結合部位が完全長プローブの各末端
に存在するので、PCR増幅され得る。間違って結合したプローブの半分は、PCRに
よって増幅されない。
【0182】 段階5:調製された試料中のゲノム配列にハイブリダイズ(結合)するIDプローブ
アンサンブルからのIDプローブの選択 ハイブリダイゼーションしない未結合のプローブは、その後、洗浄により除去
される。
【0183】 プローブアンサンブルの固定された試料へのハイブリダイゼーションの目的は
、固定された試料中のゲノムDNAに対応し、従ってこれの同定に使用することが
できるプローブを選択し、かつこれらのハイブリダイズするプローブをハイブリ
ダイズしていないプローブから分離することである。様々な標的生物のゲノムDN
Aは、IDプローブの個別のサブセットにハイブリダイズする。従って、選択され
た特定のIDプローブのサブセットは、特定の生物のゲノムのフィンガープリント
を構成する。このIDプローブハイブリダイゼーション段階は、迅速であり、特異
的であり、かつ広範の生物を試験するように設計される。陽性対照及び陰性対照
の包含は、ハイブリダイゼーションが望ましいように作用しているかどうかの決
定を容易にする。
【0184】 この段階において、IDプローブのアンサンブルは、変性された核酸試料にハイ
ブリダイズされる。ハイブリダイゼーションは、前述のように、水溶液中で又は
固相支持体上に固定された核酸分子により実施されうる。ハイブリダイゼーショ
ンは、プローブアンサンブルを調製された生物学的試料と混合することにより、
かつ好ましくは少なくとも一つのC0t1/2時間が経過するまでインキュベーション
されることにより、実施される。このプローブ/試料混合物は、その後洗浄され
、希釈されるか、さもなければハイブリダイズされない及び非特異的にハイブリ
ダイズされたプローブ分子は、ハイブリダイズされたプローブ及び試料から分離
されるように処理される。ハイブリダイズされたプローブには、連結又は核酸重
合のような酵素処理が施される。最後に、ハイブリダイズされたプローブが、試
料核酸分子から分離され、かつ次の段階において説明されているように増幅され
る。
【0185】 好ましい態様において、陽性対照核酸分子を含む試料は、固相支持体上に固定
される(図5)。この試料は、IDプローブ、並びに陽性対照及び陰性対照を含むプ
ローブのアンサンブルとハイブリダイズされる。これらのプローブは、ID配列の
隣接部分にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド対からなる。ハイブリダイズ
された試料は、未結合のプローブの除去のために洗浄され、その後核酸分子リガ
ーゼで処理され、左側及び右側の半分のプローブが連結される。最後に、連結さ
れた左側及び右側半分のプローブが試料から除去され、増幅が施される。以下に
、この好ましい態様の具体的な形を説明する。
【0186】 i.ガラススライド又はナイロンフィルターのような固相支持体に固定された被
験試料上に、IDプローブハイブリダイゼーション混合液を置く。好ましいハイブ
リダイゼーション混合液は以下を含む: a)ゲノム差配列及び/又は群特異的配列プローブを含むIDプローブのアンサ
ンブル。この場合、IDプローブは、2個の連結可能なプローブの半分からなるオ
リゴヌクレオチド対である。各半分のプローブの好ましい濃度は1〜10nM、好ま
しい容量は10〜100μlである。このプローブ濃度は、好ましい再会合条件下で、
数分以内に固定された試料へのハイブリダイゼーションの許容できるレベルに至
る(Brittenら、Meth. Enzym. XXIX: 363-418 (1972))。 b)IDプローブの濃度に匹敵する濃度の1種またはそれ以上の陽性対照プロー
ブの半分の対。これらのプローブの配列は、固相支持体に固定された陽性対照DN
Aに対応する(これに生物学的試料も結合される)。 c)IDプローブの濃度に匹敵する濃度での1種またはそれ以上の陰性対照プロ
ーブの半分の対。これらのプローブ配列は、固定されたDNA試料中に対応するも
のを有さない。 d)1M NaCl/1OmM EPPS/1mM EDTA、pH8.0。標準のハイブリダイゼーション
溶液の代用も許容できる(Ausubel(1987)、前記;Church(1984)、前記)。
【0187】 ii.好ましくはガスケット(例えば、Cenegator(登録商標)、カタログ番号#00
9917、BioWorld Fine Research Chemicals社)により試料から分離される、カバ
ーガラスによるハイブリダイゼーション混合液を被覆する。
【0188】 iii.およそ65℃、5〜30分間インキュベーションする。
【0189】 iv.未結合のプローブを洗浄除去する。これは、カバーガラスの取り外し及び
固定された試料のストリンジェントな条件下での洗浄により達成され、その結果
ミスマッチとは全くもしくは殆ど再会合しないIDプローブのみが、固定された相
補的ゲノムDNAに結合したまま残存する。選択される条件はいくつかの要因に応
じて決まり、これはプローブ内のID配列の長さ及び許容できると思われるミスマ
ッチの程度を含む。
【0190】 v.アニーリングされたプローブの半分対を連結する。T4 DNAリガーゼ(例えば
、New England Biolabs社から)を使用し、固定された被験試料中で相補的ゲノム
DNAにアニーリングされた隣接プローブの半分を連結する。この連結は、製造業
者の指示に従い実施される。
【0191】 vi.被験試料から連結されたプローブの半分を除去する。固定された被験試料
中の相補的ゲノム配列にアニーリングされたプローブは、変性条件下での短時間
のインキュベーションにより試料から溶出される。10mM EPPS/1mM EDTAの適用、
カバーガラスでの被覆、及び短時間の100℃への加熱が、結合したプローブを放
出する好ましい方法である。
【0192】 段階6:試料中のゲノム配列に結合したIDプローブの増幅 増幅段階は、ゲノムプロファイリングアッセイ法の高い感度を基にしている。
(しかし、増幅は全ての用途に必要とされるわけではない。) 生物学的試料にハ
イブリダイズされているIDプローブを(熱又は化学的変性により)取り除いた後、
IDプローブが、核酸ポリメラーゼ及び核酸分子前駆体を用いて増幅される。増幅
は、プライマーで起動することができ、該プローブに存在するプライマー結合部
位を使用することができる。または、増幅は、例えばQβレプリカーゼ又はT7 RN
Aポリメラーゼのような特異的核酸ポリメラーゼの、該プローブに組込まれた特
異的結合部位への結合により起動することができる。リガーゼ連鎖反応、PCR、
連結依存型PCR、転写による増幅、鎖置換増幅、自己維持性配列複製、ローリン
グ-サークル型増幅などを含む、いくつかの任意の増幅方法を使用することがで
きる。
【0193】 増幅された産物は、増幅の間に標識することができる。例えば、増幅産物は、
化学標識(例えば、ビオチン又はアルカリホスファターゼ)又は蛍光標識と共に合
成されたプライマーを使用するか、もしくは、標識されたdNTP前駆体を使用する
ことのいずれかにより標識することができる。ある特に有用な方法は、ビオチン
末端-標識を伴い合成されたプライマーを使用することである。
【0194】 連結を含む方法の好ましい態様において(図3及び5)、プローブオリゴヌクレオ
チドの外側部分に対応している、左側プライマー及び右側プライマーがある。左
側プライマーは、左側プローブの半分の外側部分と同じであるのに対し、右側プ
ライマーは、右側プローブの半分の外側部分の逆相補物である。この反応混合物
中の連結されていないプローブの半分は、顕著な程度に増幅されない。(プロー
ブ対の連結されない左側の半分は、相補的プライマーを有さずかつ増幅されない
;プローブ対の連結されない右側の半分は直線的に増幅される。)
【0195】 段階7. 試料選択されたIDプローブの同定:検出アンサンブルへの増幅されたプ
ローブ配列のハイブリダイゼーション。 被験試料中に存在するゲノム(群)を提示するフィンガープリントを作製するた
めに、試料選択され増幅されたIDプローブを同定しなければならない。選択され
たIDプローブの同定は、ID配列又はIDオリゴヌクレオチド又は元の選択されない
プローブ混合物中のIDプローブに対応する(合致する)タグからなるアンサンブル
へのハイブリダイゼーションにより推定される。このアンサンブル中の配列は、
プローブの内側部分及び外側部分の間に組込まれているID配列の一部又はタグ配
列に対応している。検出アンサンブルの設計及び構築は、前記段階3に説明され
ている。
【0196】 増幅されたIDプローブの同定は、様々な方法を用いて実施する。ある態様にお
いて、増幅されたIDプローブを使用し、液体媒質中でのハイブリダイゼーション
により検出アンサンブルのメンバーを選択することができる。その後選択された
検出アンサンブルメンバーは、質量分析を用いそれらの分子量を決定することに
より、同定される。その後選択された配列は、検出配列の完全なアンサンブルの
分子量一覧との比較により同定される。好ましい態様において、増幅され標識さ
れたIDプローブは、二次元検出アレイへのハイブリダイゼーションにより同定さ
れる(前記段階3参照)。核酸分子のハイブリダイゼーション及び検出には、標準
の手法が使用される(Ausubelら(1987)、前記)。増幅されたIDプローブの同定の
手法は下記実施例に更に説明されている。
【0197】 段階8. 生物学的試料に対する試料選択されたIDプローブのインサイチューによ
る生物学的試料中の標的生物の定量。 生物学的試料中の標的生物の数の定量が重要であることが多い。医学において
、例えば血中のヒト免疫不全ウイルス濃度(ウイルス負荷、又はタイターとも称
される)の知識は、病期及び治療に対する反応を判断する上で重要である。試料
中の標的生物の数の知識も、試料についての混入の機会と真実の感染の間を識別
する際に重要である。
【0198】 段階7で使用される標識されたIDプローブを用いて、生物学的試料中の標的生
物を、インサイチューハイブリダイゼーション法を用い定量することができる。
標識され増幅された試料選択されたIDプローブ混合物の一部は、変性され、かつ
固定された(及び任意に染色された)生物学的試料へのハイブリダイズに使用され
る。または、前述の段階で検出された生物の種類に特異的である任意のの群特異
的配列(群)を、プローブとして使用することができる。インサイチューハイブリ
ダイゼーションについて、感度の良い方法、例えば単一コピー配列を用いて単一
の細胞/ウイルスを検出するのに十分強力である触媒されたレポーター付着を使
用する方法、更には実行が容易である方法(例えば、Huangら、Modern Pathology
、11:971-977 (1998))を使用することが好ましい。固定された試料は、段階4で
使用した試料と同じであるか、もしくは、当業者に公知の他の常法により調製す
ることができる(例えば、Nuovoら、前記)。
【0199】 これらの方法は下記実施例において説明される。
【0200】 実施例1. 胃腸試料の病原体の存在についての試験 胃腸炎 胃腸疾患は、大きな国際的な健康問題となっている。小児において毎年およそ
10億症例が発生し、結果的に約500万名が死亡している。本疾患のある形は、発
症から数時間以内に死に至ることがある。細菌、ウイルス、及び原生動物を含む
、多様な病原体アレイが胃腸疾患を引き起こしている。迅速かつ正確に胃腸疾患
起因病原体を同定することは、適切な抗菌療法の選択、院内感染症の同定、及び
例えば新たに出現した病原性大腸菌O157:H7のような、食品に含まれる病原体の
大発生の追跡のために重要である。
【0201】 胃腸疾患診断の現行の方法は、理想とは程遠い。可能性のある病原体(例えば
、ウイスル、細菌、及び寄生虫の病原体)の数及び範囲のために、感染物質の同
一性を決定することは困難であり、時間がかかり(通常、少なくとも数日間、時
には数週間かかることさえもある)、かつ高価であることが多い。健常な腸内の
多様な微生物の存在は、胃腸炎の原因確定の困難さを増している。原生動物、ウ
イルス、及び細菌による感染症を試験し、かつ診断用ヒト細胞中の存在について
試料を検査することは、様々な特定化された臨床検査施設を必要とする。更にこ
れらの試験を実施するためには、高度に訓練された技術者を雇用しなければなら
ない。
【0202】 目的及び利点 本実施例において、胃腸疾患患者から得た試料中の広範な胃腸病原体の存在を
試験するために、本発明者は、単一のゲノムプロファイリングアッセイ法を使用
する。一般的な細菌、ウイルス及び原生動物の病原体について、並びに診断用ヒ
ト細胞の存在について、同時かつ迅速に(例えば数時間で)試験することにより、
この方法は、現行の実施に勝る実質的改善を提供する。この試験は、適切かつ時
宜を得た治療を決定することを補助する。更に、ゲノムプロファイリングアッセ
イ法は、高解像度のフィンガープリントを作製することができるので、これは疫
学的解析にとって強力な道具である。
【0203】 胃腸病原体について臨床試料を試験する本実施例において説明されたゲノムプ
ロファイリングアッセイ法は、食品検査業界にとっても価値のある道具であるこ
とに注意すること。食品中の胃腸病原体の試験は、胃腸疾患を予防するために重
要である。
【0204】 実施例の概略 単独の試験で、胃腸病原体の包括的セットの存在について胃腸試料をスキャン
するような、ゲノムプロファイリングアッセイ法が開発されている。本発明者は
、様々な胃腸病原体からID配列のアンサンブルを単離する。細菌病原体及び寄生
虫については、ゲノムサブトラクションを用いて、ゲノム差配列及び群特異的配
列を単離する。胃腸ウイルスを同定するための群特異的配列は、コンピュータ解
析を用いて単離される。所定の病原体のDNA中に存在するID配列のアンサンブル
のサブセットは、そのゲノムプロファイリングフィンガープリントを構成する。
フィンガープリントデータベースは、胃腸病原体の各群からの代表的菌株に存在
するゲノム差配列のサブセットを決定することにより構築される。臨床試料中の
病原体の同定は、臨床試料のゲノムプロファイリングフィンガープリントを、フ
ィンガープリントデータベースと比較することによって決定される。
【0205】 実施例において使用される方法の概略 本発明者は、胃腸疾患を引き起こす細菌及び寄生虫から病原体特異的ID配列を
同定するために、ストラウス(Straus)らのゲノムサブトラクション法(Proc. N
atl. Acad. Sci. USA、87:1889-1893 (1990))の変法を使用する。代用法を用い
て、ゲノム差配列を単離し、その結果以下に概説したサブトラクション技術と置
き換えることができる。胃腸疾患を引き起こすウイルスについて、本発明者は、
群特異的ID配列を、配列データベースのコンピュータによる検索を用いて同定す
る。特定の試料中のID配列は、IDプローブアンサンブルと試料の固定されたゲノ
ムDNAとのハイブリダイズにより同定される。IDプローブのサブセットはハイブ
リダイズし、その結果固定されたゲノムDNAにより保持される。ハイブリダイズ
されたIDプローブは、連結依存型PCR戦略を用いて増幅される。増幅されたIDプ
ローブの同定は、それらの検出アンサンブルへのハイブリダイズにより決定され
、これは、この場合、全部の選択されないID配列セットの二次元アレイへ並べら
れる。アレイ上で可視化されたハイブリダイゼーションシグナルのパターンは、
ゲノムプロファイリングフィンガープリントを構成している。
【0206】 胃腸疾患を引き起こす細菌からのゲノム差配列の単離 細菌からID配列を単離する戦略 胃腸疾患を診断するための最も有用な診断ID配列は、腸の病原体には存在する
が、健常な小腸に住む(populate)数百の種には存在しないものである。多くの細
菌性胃腸病原体について、このようなID配列は、ゲノムサブトラクションを用い
て効果的に単離することができる。使用されるゲノムサブトラクション戦略は、
前述のように(詳細な説明の項の段階2)、具体的な病原体によって決まる。この
項目は、胃腸病原体の代表である腸炎菌及び大腸菌のゲノム差配列を単離するた
めに使用される異なる2つの戦略について詳述している。
【0207】 腸炎菌からゲノム差配列を単離する戦略 サルモネラ属の臨床単離体の99%より多くが、亜種腸炎菌のメンバーである。
腸炎菌の全菌株が、ヒトの病原体であると考えられる。従ってこの群は、同定及
び群の任意のメンバーの他のメンバーからの識別が診断目的であるような、これ
らの分類群の典型(生物学的に関連した群)である。高解像度同定のためのマーカ
ーを単離するために存在する菌株を使用する多くの方法があり;この例は図6に
示した戦略を使用する。
【0208】 この方法のために、腸炎菌の亜種をふたつの亜群である群X及び群Yにわける。
群Xのゲノム差試料及び群Yのゲノム差試料を構築するために、各亜群を代表する
メンバーに由来するDNAをプールする。各枝に由来する菌株を、SARB参照コレク
ションから得る(Boydら、J. Gen. Microbiol.、139:1125-1132 (1993))。このゲ
ノム差試料を用いる相互サブトラクションを実行する。あるサブトラクションに
おいて、Xゲノム差試料を、「+」試料として使用し、かつYゲノム差試料を「-」
試料として使用する。このサブトラクションの産物は、群Xの少なくともひとつ
のメンバーにおいては認められるが、群Yのいずれのメンバーでも認められない
ような配列である。相互サブトラクション実験において、Yゲノム差試料は「+」
試料として使用され、かつXゲノム差試料は「-」試料として使用される。このサ
ブトラクション産物は、群Yの少なくともひとつのメンバーにおいて認められる
が、群Xのいずれのメンバーでも認められないような配列である。
【0209】 このゲノムサブトラクション戦略により単離されるゲノム差配列は、1種また
はそれ以上のファミリーを構成する。一般にこの戦略は、1種よりも多いファミ
リーを生じ、すなわちこのID配列サブトラクション産物の全ては概して、いずれ
かひとつのゲノムにはハイブリダイズすることができない。従ってプールされた
生物のゲノムサブトラクションは、関連した生物の群内からのID配列の多数のフ
ァミリーの作製に有効な方法である。
【0210】 大腸菌のゲノム差配列を単離する戦略 大腸菌群の発生系統樹の一部を図7Aに示す。この群の病原体(黒色)(大腸菌O15
7:H7及びフレクスナー赤痢菌)が、非病原体(白色)である非常に密接に関連した
同胞分類群を有することに注意すること。これは、この図には示していない大腸
菌発生系統樹の部分についても一般的なことである。健常個体の腸内の多数の非
病原性又は共生大腸菌の存在は、病原株大腸菌の診断を混乱させ、大腸菌は、ヒ
トにおいて認められかつ病原体及び非病原体の両方を含む生物群の代表である。
【0211】 このような群のフィンガープリント決定用のゲノム差配列を単離するために、
図7B及び図7Cに示した戦略を適用する。非病原性分類群(枝)由来の代表的菌株を
プールし、かつそれらのDNAを使用し、「-」ゲノム差試料を作製する。病原性分
類群(枝)由来の代表的菌株をプールし、かつそれらのDNAを使用し、「+」ゲノム
差試料を作製する。
【0212】 ゲノムサブトラクション産物は、病原体群(大腸菌又はフレクスナー赤痢菌の
いずれか)の少なくともひとつのメンバーにおいて認められたが、サブトラクシ
ョンにおいて、あらゆる非病原性菌株において認められないような配列である。
このゲノムサブトラクションが、ゲノム差配列を単離し、その一部は群特異的配
列でもあり、このためこれらは全ての群のメンバーにおいては存在する(例えば
大腸菌O157:H7)が、関連群のメンバーは存在しないことに注意すること。病原性
大腸菌において存在する(しかし非病原性大腸菌において存在しない)、毒性遺伝
子、すなわち感染過程に関与するものは、この産物のクラスに収まる。
【0213】 この実験の菌株は、トーマス ウィットマン博士(Dr. Thomas Whittman) (ペ
ンシルバニア州立大学)から提供された、ECOR(非病原性)及びDEC(病原性)株コレ
クションのものである。
【0214】
【表3】 急性胃腸疾患を引き起こす病原体
【0215】 胃腸疾患を引き起こす細菌病原体 表3は、胃腸疾患を引き起こす細菌の一般的群を列記している。これらの病原
体の一部により引き起こされる感染症で、コレラ菌及び腸管出血性大腸菌(例え
ば大腸菌O157:H7)を含むものは、健常者であっても、致命的である場合がある。
迅速な診断は、適切な治療を行い大発生を抑制するために重要である。表3に列
記された細菌群のID配列のファミリーを単離するために、本発明者は、前述の大
腸菌及びサルモネラ菌に適用された戦略を使用する。
【0216】 サブトラクションのためのゲノムDNAの調製 ゲノムサブトラクション試料を作製するためのDNAを調製するために、表3に列
記された菌株を、液体培地(500ml)において飽和に達するまで増殖し、かつゲノ
ムDNAを調製する(Ausubelら(1987)、前記)。大腸菌及びサルモネラ菌について先
に説明したものと同じ視点で、「+」及び「-」菌株を選択する。各「+」菌株由
来のDNA(50μg)を一緒にする(以後「+」DNAと称す)。同様に、「-」ゲノム差試
料株由来のDNA(50μg)を一緒にする(以後「-」DNAと称す)。
【0217】 ゲノム差試料の調製 「-」ゲノムサブトラクション試料を作製するために、先に記されたように(St
raus(1995)、前記)、「-」DNAを剪断し、フォトビオチンアセテートと反応させ
、かつ2.5mg/mlで再懸濁する。「+」ゲノムサブトラクション試料を、「+」DNA(
2μg)を、付着末端を有する断片を作製する制限酵素Sau3Aで切断することにより
調製する。エタノールで沈殿後、DNA断片を、10m EPPS/1mM EDTA(pH8.0)(EE)中
に、0.1μg/μlで再懸濁する(Straus(1995)、前記)。
【0218】 ゲノムサブトラクション ゲノムサブトラクションを、先に記されたように(Straus(1995)、前記)行う。
病原体特異的DNA断片を単離するために、ゲノムサブトラクション実験を、病原
性株由来の「+」ゲノムサブトラクション試料及び非病原性株由来のビオチン化
した「-」ゲノムサブトラクション試料を用いて行う。サブトラクションハイブ
リダイゼーションの3サイクルにより、病原体特異的ゲノム差配列を精製する。
【0219】 ゲノム差配列のクローニング アダプターをゲノム差配列に連結後、PCRを用いてこれらを増殖する(Straus(1
995)、前記;Strausら(1990)、前記)。次にこのアダプターを、Sau3Aで切断し、
増幅したゲノム差配列から取り除く。この試料は、0.3M酢酸ナトリウム(NaOAc)
に移し、フェノール/クロロホルム(1:1)で抽出し、エタノールで沈殿する。試
料の一部(20ng)を、BamHI消化し、脱リン酸化したベクターpBluescriptII KS+(1
00ng Stratagene社)に連結し、かつ連結産物を、大腸菌に形質転換する(Ausube
lら(1987)、前記)。
【0220】 ゲノム差産物の配列決定 個々のクローンの挿入物を、製造業者の推奨に従い、ABI DNAシンセサイザー
を用い、サイクルシークエンシングにより配列決定する(Perkin-Elmer社)。
【0221】 胃腸疾患を引き起こす細菌からのゲノム差配列のアンサンブルの単離 先に概説したように、表3に列記された細菌群の生物から調製したゲノム差試
料について、ゲノムサブトラクションを行うことにより、通常胃腸疾患を引き起
こす病原体の様々な群からのゲノム差配列を単離する。各サブトラクションは、
菌株群内の病原体に特有の多数のゲノム差配列を作製する。例えば、病原性大腸
菌株と非病原性大腸菌株の間の単一のサブトラクションは、何百ものゲノム差配
列を生じる(Juang、「大腸菌K1およびK2単離株間のゲノム相違のサンプリング(
Sampling Genomic Differences Between Escherichia coli K1 ad K12 isolates
)」"、ハーバード大学、1990)。
【0222】 DNA配列データベースを用いるゲノムサブトラクション 更にゲノムサブトラクションは、ゲノム差配列の全ゲノムのスキャニングの一
般的意味において、完全に配列決定された(又は殆ど完全に配列決定された)ゲノ
ムのDNA配列を、別のゲノム(又はゲノム類)の全て又は一部と比較することによ
っても、実現することができる(例えば、Almら(1999)、前記を参照のこと)。
【0223】 ゲノム差配列に対応するプローブ及び検出アンサンブルの調製 先のゲノムサブトラクションに説明されたような、同定される病原体特異的ID
配列のアンサンブルを用いて、ゲノムプロファイリングアッセイ法において使用
されるIDプローブの構造を定義する。IDオリゴヌクレオチドの2種のアンサンブ
ルが合成される。IDプローブ(又はIDプローブの半分)を構成するひとつのアンサ
ンブルは、生物学的試料にハイブリダイズする。被験試料中の病原体ゲノムにア
ニーリングするIDプローブの半分を、連結し、増幅しかつ標識する。他方のIDオ
リゴヌクレオチドのアンサンブルは、検出アンサンブルを構成する。この検出ア
ンサンブル中のIDオリゴヌクレオチドは、IDプローブアンサンブルの配列に対応
している。すなわち、この検出アンサンブルは、IDプローブアンサンブルと合致
している。検出アンサンブルオリゴヌクレオチドは、固相支持体上に付着され、
アドレス指定可能なアレイを形成する。臨床試料中の病原体ゲノムにハイブリダ
イズしているプローブで標識され、増幅されたものは、アドレス指定可能なオリ
ゴヌクレオチドアレイに対するハイブリダイゼーションにより同定される。
【0224】 ID配列に対応するIDプローブの合成 およそ30塩基のIDプローブ部位と称される配列が、各ID配列、ヒトmRNA(下記
参照)、及びゲノムプロファイリングアッセイ法に含まれる対照配列から選択さ
れる。各30塩基のIDプローブ部位に対応する2種のIDプローブの半分が合成され
る(図3)。左側IDプローブの半分は、IDプローブ部位の左側の15個の塩基及びプ
ライマー部位であるプライマー部位-L(「左」プライマー部位)を含む。右側IDプ
ローブの半分は、IDプローブ部位の右側の15個の塩基及びプライマー部位である
プライマー部位-R(「右」プライマー部位)を含む。これらのプライマー部位は、
PCR増幅に使用されるプライマーに対応する増幅部位型である。
【0225】 プライマー部位-L(「左」プライマー部位)は、配列: を有する。プライマー部位-R(「右」プライマー部位)は、配列: を有する。従って、前項で確定された各30塩基配列のために、2種のIDプローブ
の半分が合成される 一方は、配列: を有し、及び他方は配列: を有する。これらのIDプローブの半分は、30bpのIDプローブ部位を含む鋳型にア
ニーリングされた場合に、これらが互いに隣接するように、設計される。この方
法でアニーリングされる場合、これらのプローブの半分を連結することができ、
従って、各々左及び右プライマー部位に対応しているプライマーL 及びR を用いて増幅され得る形に転換される。
【0226】 ゲノムプロファイリングアッセイ法のための検出アレイの構築 どのプローブの半分が臨床試料にハイブリダイズするかを決定するために、ID
配列のアドレス指定可能な検出アンサンブルを、ハイブリダイゼーションにより
検索することができる。このアンサンブルの要素は、IDプローブアンサンブル中
のIDプローブ部位に対応する合成ID配列オリゴヌクレオチドである。すなわち、
各検出オリゴヌクレオチドは、約30塩基長であり、かつIDプローブの半分の1対
の連結及び増幅から生じるIDプローブ部位配列の1本鎖と相補的である。
【0227】 この実施例において、本発明者は、デリシ(DiRisi)らの手順(Science、278:
680-686 (1997))に従い、各オリゴヌクレオチドをスポットするプリンティング
チップ(printing tip)を備えるアレイ装置を用い、二次元検出アレイを構築する
(Shalonら、Genome Res.、6:639-645 (1996))。各約30塩基のオリゴヌクレオチ
ドおよそ2.5ngを、ポリ-L-リジンで被覆されている40個のスライドの各々の上に
、隣接するオリゴヌクレオチドスポット間の間隔500μmとなるようスポットする
(Schenaら(1995)、前記)。
【0228】 フィンガープリントのゲノムプロファイリングデータベースの構築 ゲノムプロファイリングは、患者試料中の病原体を同定するために、試料のゲ
ノムプロファイリングフィンガープリントを、既知の生物のフィンガープリント
を含むデータベースと比較する。(フィンガープリントは、特定種の生物にハイ
ブリダイズするIDプローブアンサンブルのサブセットに対応している。)フィン
ガープリントデータベースの構築は、各標的群に由来する参照株のセットからゲ
ノムプロファイリングフィンガープリントを得ることを必要とする。
【0229】 データベースの構築は、標的群が入るふたつの診断カテゴリーにおいて最良で
あると思われる。ほとんどの同定スキームは、群内のメンバーを単純に試験する
もの、並びに群内のメンバーを試験しかつ互いの群のメンバーを識別するものの
、ふたつのクラスに入る(標的群に応じて)。
【0230】 主にフィンガープリントデータベースの群特異的配列で構成されたフィンガープ
リントの登録 群のメンバーが最も重要な考慮すべきである場合、本発明者は、標的生物の同
定のために選択されるID配列のファミリー内に第一に群特異的配列を含める。群
のメンバーの存在が殆ど常に疾患に相関する場合及び疫学的情報が大きい価値を
もたない場合には、群のメンバーである病原体の存在の試験(群のメンバー間の
識別は伴わない)が、最適な診断戦略であることが多い。例えば、生命を脅かす
疾患であるコレラを発症するような危険で有毒な胃腸病原体であるコレラ菌の同
定のためには、群特異的配列のほとんどで構成されたID配列のファミリーが、該
アンサンブルに含まれ得る。群特異的配列は、「+」株(群)が病原体でありかつ
「-」株が非病原体であるようなゲノムサブトラクションにより単離され得るこ
とに注意すること。このようなID配列は、ゲノム差配列及び群特異的配列の両方
である。可能性のある群特異的配列は、各配列の、群の代表的メンバーに由来す
るゲノムDNAへの、及び他の群の広いスペクトルメンバーへのハイブリダイゼー
ションにより、それらの特異性について試験される(例えば米国特許第5,714,321
号を参照のこと)。従って、群特異的ID配列に対応する陽性シグナルで構成され
たゲノムプロファイリングフィンガープリントを作製する被験試料は、試料中に
標的群のメンバーが存在することを示している。このようなフィンガープリント
は、フィンガープリントのデータベースに含まれている。
【0231】 フィンガープリントデータベースにおける主にゲノム差配列で構成されたフィン
ガープリントの登録 特定種の生物について、診断の目的は、菌株を群のメンバーとして同定すると
同時に、群内の他の菌株からこれを識別することである。亜菌株同定は、例えば
院内感染症の大発生及び食品に含まれる病原体の大発生の追跡において、重要で
ある。この種の高解像度同定は、標的群のメンバーとしての病原体の単純な同定
(前段落で説明されている)よりもより詳細なフィンガープリントが必要である。
ゲノムサブトラクションにより単離されたゲノム差配列は、高解像度のフィンガ
ープリントを得るのに最も有用なID配列である。
【0232】 標的群からのフィンガープリントのデータベースを構築するために、本発明者
は、その群を代表する参照株のセットからフィンガープリントを得る。フィンガ
ープリントを作製するために、ゲノムプロファイリングアッセイ法を、単一の参
照株ゲノムを含有する試料(単一の細菌コロニーであることが多い)に対して行う
。このゲノムは、標的群を特徴とするような、ID配列(通常ゲノムサブトラクシ
ョン産物に対応するゲノム差配列)の1種またはそれ以上のファミリーのメンバー
の存在についてスキャンされる。得られたフィンガープリントは、前記データベ
ースに蓄積される。フィンガープリントを基にした参照株の系統発生的関係を確
立するためには、標準解析が使用される(Hillisら、Molecular Systematics (Si
nauer Associates, Sunderland, 1996))。
【0233】 大腸菌O157:H7のような食品に含まれる病原体の高解像度フィンガープリント
のためのデータベースの構築は、大発生の追跡の重要な道具である。例えば本発
明者は、大腸菌及び赤痢菌株の参照コレクションのゲノムプロファイリングフィ
ンガープリントを得ることにより、大腸菌/赤痢菌群の生物スペクトルの代表的
フィンガープリントのデータベースを作製する。このような非常に多数の菌株は
、米国疾病対策センター(CDC)及びアメリカンタイプカルチャーコレクション(AT
CC)から入手することができる。この群の系統発生(すなわち縁のある進化樹)が
、特徴のセットとしてフィンガープリントを用いて作製される。この方法の強力
な特長は、この群についてのフィンガープリントデータベースが、臨床試料中に
発見された関連する病原体の新たなフィンガープリントにより更新されるので、
次第により包括的となることである。
【0234】 ゲノムプロファイリングアッセイ法を用いるフィンガープリント決定のための細
菌株の調製 フィンガープリントを得るために、本発明者は最初に、細菌コロニーをナイロ
ンフィルターに固定し、かつプローブへのハイブリダイゼーションのために、簡
単で標準的な方法を用い、入手できるコロニーからゲノムDNAを作製する(Grunst
einら(1975)、前記)。このコロニーを、ナイロンフィルター上に塗抹し(1cm2)、
乾燥させ、かつ0.5M NaOH、1M Tris(pH8)/3M NaCl、1M Tris(pH8)で連続して(
各々5分間)処理する。ナイロンフィルターに固定しているこの試料を、振盪しな
がら、65℃の1M NaClで5分間3回洗浄し、固定されていない化学物質及び粒状物
質を取り除く。一部の細菌(及び他の生物)の十分な溶菌は、フィルター上に塗抹
された生物の、アルカリ処理前の特異的酵素又は化学物質による前処理により促
進されると思われる。例えば、グラム陽性菌の溶菌は、ホスホリパーゼ及びリゾ
チーム含有溶液によるフィルターの処理により助けられる(Graves L.ら、(1993)
、「一般的な細菌DNA単離法(Universal bacterial DNA isolation procedure)
」、Diagnostic Molecular Microbiology、Principles and Applications、D. P
ersingら編集、(ワシントンDC、ASM Press社)、pp617-621)。
【0235】 細菌株のDNAにハイブリダイズするゲノム差配列のサブセットの選択 ゲノムプロファイリングアッセイ法は、ナイロンフィルターに結合したゲノム
DNAにハイブリダイズする病原体特異的IDプローブのサブセットを選択する。対
照的に、固定された細菌DNAに対応するものを有さないゲノム差プローブは、容
易にフィルターから除去される。非特異的相互作用によりフィルター又は試料に
固定されたままの残存する任意のIDプローブの半分はいずれも、その後の連結段
階において増幅可能とはならない。
【0236】 特定の細菌群に由来する病原体特異的ゲノム差配列に対応するプローブの半分
のセット(1nM、各プローブの半分)は、ハイブリダイゼーション緩衝液(1M NaCl
/50mM EPPS/2mM EDTA、pH8)0.5ml中で、36℃で(又は1M NaCl中の全ての半分の
プローブの最低Tm値よりも5℃低い温度で)フィルターにハイブリダイズする。こ
のハイブリダイゼーション反応液を30分間インキュベーションし、その後未結合
のプローブの半分を、2 ml洗浄緩衝液(1M NaCl/50mM EPPS/2mM EDTA、pH8)中3
6℃で(又は1M NaCl中の全ての半分のプローブの最低Tm値よりも5℃低い温度で)
、振盪しながら30秒間の洗浄段階5回で除去する。次にフィルターを、30℃の1ml
の連結緩衝液(10mM MgCl2/50mM Tris-HCl/10mMジチオスレイトール/1mM ATP
/25μgウシ血清アルブミン)で、連続3回洗浄する。過剰な溶液は、フィルター
から取り除き、その後連結段階へと進む。フィルターは、これらの段階の間に乾
かないようにする。
【0237】 細菌試料にハイブリダイズするプローブの半分の対の連結 プローブ分子の非特異的結合によるバックグラウンドを排除することは、ゲノ
ムプロファイリングアッセイ法にとって、特に下記の臨床試料へ適用する際に重
要であり、その理由は、このような試料中の未培養の病原体の検出には、次項に
おいて説明されるように、高感度が必要であるからである。隣接して結合したプ
ローブの半分に必要とされる連結は、増幅され得るプローブのみが試料中の病原
体ゲノムにハイブリダイズするものであることを保証する効果的方法であること
を思い出すこと。固定された試料にハイブリダイズしたプローブの半分は、T4 D
NAリガーゼ(New England Biolabs社)の1,600付着末端(25Weissユニットと同等)
を含むリガーゼ緩衝液(10mM MgCl2/50mM Tris-HCl/10mMジチオスレイトール/
1mM ATP/25μg/μlウシ血清アルブミン)200μlの添加により、連結される。こ
の連結反応は、30℃で1時間で進行できる。
【0238】 細菌試料にハイブリダイズするゲノム差配列の増幅 細菌試料中のゲノムにハイブリダイズする連結されたプローブの半分対は、加
熱によりフィルターから放出される。これらの連結されたプローブの半分は、次
にポリメラーゼ連鎖反応及び連結されたプローブ分子の末端のプライマー結合部
位へ対応するプライマーを用いて増幅される。
【0239】 これらのプローブの半分の連結後、フィルターを、10mM EPPS/1mM EDTA(pH8.
0)2mlで洗浄し、液体をフィルターから取り除き、かつ10mM EPPS/1mM EDTA(pH8
.0)500μlをフィルターに添加し、その後これを100℃で5分間インキュベーショ
ンする。溶液をフィルターから分離した後、3M酢酸ナトリウム 50μl及び酵母tR
NA 20μgを添加する。核酸をエタノール沈殿により精製し;試料を、エタノール
1mlと混合し、その後試料を12,000gで5分間遠心する。この核酸ペレットを、100
%エタノールで洗浄し、乾燥し、かつ10mM EPPS/1mM EDTA(pH8.0)10μl中に再
懸濁する。
【0240】 溶出したプローブを含有する試料の半量(5μl)を、1X PCR緩衝液に移し、10X
PCR緩衝液(Boehringer Mannheim社)、各dNTP(dATP、TTP、dCTP、及びdGTP)の200
μM、1μMビオチン化されたオリゴヌクレオチドプライマーL (Midland Certified Reagent社)、1μMビオチン化されたオリゴヌクレオチドプ
ライマーR 、及び0.1ユニット/μl Taqポリメラーゼ(Promega社)を用い、総量50μlとする
。溶出したプローブは、30サイクル(94℃30秒、55℃30秒、及び72℃1分)、それ
に続く72℃10分間のPCR法を用いて増幅される。
【0241】 菌株のゲノムプロファイリングフィンガープリント アレイとのハイブリダイゼーションにより細菌DNAにより選択された増幅され
たプローブ分子の同定 菌株のフィンガープリントは、菌株の固定されたDNAへ
のハイブリダイゼーションにより選択されるIDプローブを同定することにより、
確立される。この実施例において、本発明者は、増幅され選択されたIDプローブ
の、検出アレイへのハイブリダイゼーションにより、細菌ゲノムDNAにより選択
されたIDプローブを同定する。この検出アレイは、生物学的試料へのハイブリダ
イズに使用されるIDプローブのアンサンブルに合致している、二次元のアドレス
指定可能な配列のアレイである。その結果、このアンサンブル中の各IDプローブ
は、検出アレイ上の定められた部位でDNA配列にハイブリダイズすることができ
る。細菌試料への結合により選択されたプローブは、アレイへのハイブリダイゼ
ーションにより同定される。選択されたプローブのみが、アレイ上の対応するス
ポットへの結合により、シグナルを発生する(図5)。
【0242】 本発明者は、細菌試料にハイブリダイズする配列を代表する、増幅されたプロ
ーブの半量(25μl)を、100℃1分間の加熱により変性する。変性したプローブを
、2Xハイブリダイゼーション液(2M NaCl/100mM EPPS、pH8.0/10mM EDTA/0.2
%ドデシル硫酸ナトリウム)25mlに添加する。このプローブ/ハイブリダイゼー
ション混合液を、アレイ上に配置し、カバーガラスで覆い、かつ50℃で20分間イ
ンキュベーションする(Schenaら(1995)、前記に記されているように)。未結合の
プローブを、50℃の洗浄緩衝液(0.4M NaCl/50mM EPPS/2mM EDTA、pH8)2mlで、
30秒間5回洗浄することにより取り除く。
【0243】 発表された論文に記されているように、マイクロアレイを、レーザー蛍光スキ
ャナによりスキャンし、かつシグナルを処理し記録する(DiRisiら(1997)、前記
;Schenaら(1995)、前記)。各菌株のフィンガープリントを、1's及び0'sのバイ
ナリーストリングとしてマイクロアレイ上のひとつのゲノム差配列を表す各数字
とともに記録する。シグナルがマイクロアレイ上の部位で得られた場合には、「
1」は、ゲノムプロファイリングフィンガープリントを示すストリングにおける
対応する数字において見出される。
【0244】 群内の菌株の型決定のためのゲノムプロファイリングフィンガープリント及び系
統発生的解析の使用 群内の菌株を代表するフィンガープリントデータベースは、未知の菌株の同定
に有用である。フィンガープリントデータベースは、前述のように行われ、かつ
フィンガープリントの系統発生的解析は、ヒリス(Hillis)らの論文(前記)に記
されたように、常法を用いて実施される。未知の病原体、例えば患者試料中の病
原体の同定は、未知のフィンガープリントを系統発生的に並べたフィンガープリ
ントデータベースと比較することにより決定される(Hillisらの論文(前記)に記
された方法を使用)。
【0245】 胃腸疾患を引き起こす寄生虫からのID配列の単離: 胃腸疾患を引き起こす寄生虫 患者において認められた腸内寄生虫のスペクトルは、地理的場所、気候、社会
経済学的要因、及び免疫受容能に応じて変動する。表3には、通常北米において
胃腸疾患患者に認められる原生動物及び蠕虫の群を一覧にしている。腸内寄生虫
を正確に診断する現行の方法は、いくら良く見ても困難である。ゲノムプロファ
イリングは一般に、胃腸寄生虫の検出を改善する。
【0246】 胃腸疾患を引き起こす寄生虫からのID配列の単離 表3の各寄生虫に独自のID配列セットを単離するために、本発明者は、先に細
菌病原体について概論した戦略及び方法と同じものを、下記の細かい点を変更し
、使用する。寄生虫は一般に通常腸において認められる生物とは無関係であるの
で、関心対象の分類学内で最も広く隔てられた2種の株のゲノムDNAからゲノム差
試料を構築することは通常十分である。相互サブトラクションが行われ、すなわ
ち、各菌株はあるサブトラクションにおいて「+」株として、及び他方のサブト
ラクションにおいて「-」株として使用される。細菌のサブトラクションのイン
キュベーション時間と比べて、サブトラクティブなハイブリダイゼーションのイ
ンキュベーション時間を延長することは、真核細胞ゲノムの複雑さが増している
ことを補償するために必要である。本発明者は、再アニーリングのために単一コ
ピー配列の半分が必要とする時間の40〜50倍の再会合時間を使用する(Straus(19
95)、前記)。
【0247】 寄生虫のフィンガープリントデータベースの構築 細菌病原体のフィンガープリントについて先に記したように、寄生虫ID配列を
使用し、表3に列記された生物の同定のためにIDプローブのファミリーを構築す
る。参照株のフィンガープリント決定及びフィンガープリントデータベースの構
築も、細菌病原体について記したように行う。
【0248】 胃腸疾患を引き起こすウイルスの群特異的配列の同定: 胃腸疾患を引き起こすウイルス ウイルス性胃腸炎は、米国において二番目に多い疾病病因であると考えられる
。免疫低下した患者同様、小児は、特に罹患しやすい。ウイルスに起因した胃腸
疾患の診断は、共通の病原体のほとんどは、培養し難くかつ特徴が貧弱であるの
で、問題が多い。概して、開発されている試験は非常に高価である。診断試験は
、使用できる試験が高価であり、重篤な合併症が稀であり、通常の支持療法によ
るため、及び抗ウイルス療法が存在しないために、一般に行われない。しかし、
ウイルスの包括的かつ安価な試験は、疫学的に他の原因を排除するため、抗生物
質の使用を除外するため、かつ新規抗ウイルス療法の適切な投与を適用するため
に、有用であると思われる。表3に、通常胃腸疾患の原因となるウイルス性病原
体を列記している。
【0249】 胃腸疾患を引き起こすウイルスの群特異的配列の同定 胃腸疾患を引き起こすウイルスについて、群特異的ID配列が、公開されたDNA
配列データから推定される。場合によっては、ウイルスの群特異的配列は既に文
献に記されている。別の場合には、配列は、公開されたデータベースの中のウイ
ルスのゲノム配列から、該配列をデータベース内の他のウイルスと比較した後、
選択される。配列の比較は常法により行われる(Ausubelら(1987)、前記)。少な
くとも30bpであるウイルスの群特異的配列が、アッセイ用プローブの標的として
選択される。
【0250】 ウイルスのフィンガープリントデータベースの構築 先に細菌病原体のフィンガープリント決定について記したように、寄生虫ID配
列を用いて、表3のウイルスの同定のためのIDプローブのファミリーを構築する
。参照ウイルス株のフィンガープリント決定及びウイルスのフィンガープリント
データベースの構築は、試料調製以外は、同じく細菌病原体について説明したよ
うに行う。RNAゲノムを含むウイルスについて、試料調製は、そのRNAの完全性を
保証しなければならない。本発明者は、ゲノム核酸を変性し、これをフィルター
に固定し、プローブに接近しやすくするために、オートクレーブによるか(Allda
yら、Nucleic Acids Res.、15:10592 (1987)又は電子レンジによる破壊によるか
(Buluwelaら、Nucleic Acids Res.、17:452 (1989))で、フィルターを処理する
【0251】 胃腸疾患の診断に有用なヒト配列 ゲノムプロファイリングアッセイ法の利点は、診断に有用なヒト細胞型を、病
原体についてスクリーニングする試験と同じ試験で、アッセイすることができる
点である。例えば、胃腸疾患において、臨床試料中に白血球及び赤血球が過剰に
出現しているかどうかを知ることは重要である。特定の細胞型について試験する
ために、 細胞型特異的mRNAの配列を得る(一般に公開された論文又は遺伝子デー
タベースから)。表4は、特定の細胞型において発現されかつ胃腸疾患の診断にお
いて重要であるような配列がわかっている細胞型特異的mRNAを示している。
【0252】 IDプローブに類似のプローブが合成され(すなわち、増幅部位を伴うバイナリ
ープローブの半分として)、かつこれが調製された生物学的試料と接触するため
に使用されるハイブリダイゼーション混合液中に含まれる。対応する検出配列は
、検出アレイ上に含まれる。
【0253】
【表4】 胃腸疾患の診断に重要なヒト細胞のためのプローブ
【0254】 ゲノムプロファイリングアッセイ法の評価に有用な内部対照配列 内部対照 ゲノムプロファイリングアッセイ法に内部対照を含むことは、試験結果の信頼
性を改善し、かつ効率的問題解決法となる。対照プローブ、オリゴヌクレオチド
及び検出配列は、非生物学的配列を含む。
【0255】 陽性対照配列は、実験毎に技術が作用しているかどうかの陽性シグナルを生じ
る。例えば、ある試薬が適切に機能していない場合、予想される陽性対照からの
シグナルが存在しない。陽性対照からのシグナルの喪失は、技術的失敗に起因す
る偽陰性が確実に避けられるようにする。
【0256】 陰性対照は、臨床試料中には存在しないプローブ内の配列が、診断検出アレイ
上でシグナルを発生するかどうかをモニターするために含まれる。ゲノムプロフ
ァイリングアッセイ法は、IDプローブアンサンブルのIDプローブが臨床試料中の
ID配列に対応する場合にのみ、シグナルが検出アレイ上で得られるように設計さ
れる。陰性対照の配置は、対応する配列が臨床試料と共にスポットされないこと
以外は、陽性対照に似ている(すなわちこれは、IDプローブアンサンブルと共に
ハイブリダイゼーション混合液中に含まれ、かつ検出アレイの要素である。)。
従って、陰性対照配列は、固定された試料により選択され、連結されるか、もし
くは増幅されることが可能でなければならない。検出アレイ中の陰性対照配列か
らの陽性シグナルは、標的配列とのIDプローブのハイブリダイゼーションのため
に選択する段階が、適切に作用しなかったことを示唆している。
【0257】 本発明者は、リガーゼ反応のモニタリングを可能にするアッセイ法において別
の対照プローブを含む。このプローブは、プローブの半分としてではなく、左側
及び右側の両アダプターでタグされた連続配列として合成される。さもなければ
、この配列は、陽性対照プローブとして使用される(すなわち、これは臨床試料
に並行してスポットされ、これはプローブに含まれ、かつ検出アレイの要素であ
る。)。検出アレイの陽性対照要素は陰性であるが、検出アレイ上のリガーゼ対
照要素が陽性である場合には、該アッセイ法のリガーゼ段階が疑わしい。
【0258】
【表5】 ゲノムプロファイリングアッセイ法のための内部対照
【0259】 臨床試料中に存在する病原体の同定: 臨床試料の調製 臨床状況において最も効果的なゲノムプロファイリングのためには、プローブ
の半分にハイブリダイゼーションする臨床試料調製の簡便な方法が好ましい。患
者試料の調製は、臨床検査室の作業者に安全であるように、試料中に存在する病
原体が迅速に中和され、かつプローブ増幅のようなその後の酵素反応の阻害剤が
効果的に取り除かれることが理想的な特徴である。
【0260】 本発明者は、ハイブリダイゼーションのために生化学的に複雑な生物学的試料
を調製するために常用される簡便で、一般的かつさらに有効な方法で、臨床試料
を固定し、核酸分子を変性し、かつ任意の病原体を中和する(Grunsteinら(1975)
、前記)。胃腸試料(大便試料又は直腸綿棒採取試料からの、0.5mlの液体糞便試
料)を、ナイロンフィルターに塗抹し(1cm2)、乾燥させ、かつウイルス性試料の
調製について先に記したように処理する。ここでナイロンフィルターに固定され
た試料を、65℃で振盪しながら数回洗浄し、結合していない化学物質及び粒状物
質を取り除く。
【0261】 ハイブリダイゼーションによるゲノム差配列の存在についての臨床試料のスキャ
ニング 本発明者は、胃腸試料を、関連する病原体の包括的セットについて、IDプロー
ブのアンサンブル、臨床試料へのヒト診断配列及び対照配列のハイブリダイゼー
ションによりスキャンする。このプロトコールは、IDプローブアンサンブルの包
括的組成及びその臨床試料(前段において説明したように調製)を生物学的試料と
して使用すること以外は、細菌のフィンガープリントデータベースの構築のため
に、参照株のフィンガープリント決定に使用したもの(前記参照)と本質的に同じ
である。
【0262】 臨床試料のためのゲノムプロファイリングフィンガープリントの入手 連結、増幅、及びフィンガープリントの出現(アレイ検出)は、アレイが、表3
に記した全ての病原体を代表する検出アンサンブルを含むこと以外は、先に細菌
について説明したものと同じように行う(「フィンガープリントのゲノムプロフ
ァイリングデータベースのデータベース構築」を参照のこと)。検出アレイ上の
検出配列は、IDプローブのアンサンブル、ヒト診断配列、及び臨床試料にハイブ
リダイズする対照配列に対応している。
【0263】 定量分析:臨床試料中の病原体のタイターは? ゲノムプロファイリングアッセイ法の強力な特長は、生物学的試料中の病原体
を定量する能力である。一旦標的生物(群)がフィンガープリントにより同定され
ると、それらの存在が、常法に従い調製された元の生物学的試料の一部へのイン
サイチューハイブリダイゼーションにより定量されうる(例えば、Huangら、Mode
rn Pathology、11:971-977 (1998))。本発明者は、単一の生物における核酸配列
の単一の分子を検出するのに十分な程強力である、感度が良いがさらに簡便な方
法を使用する(Huangら(1998)、前記)。この方法は、検出アレイへのハイブリダ
イゼーションに使用した標識したプローブと共に使用される。または、該アレイ
へのハイブリダイゼーションにより検出された生物(群)を診断するような任意の
他の群特異的プローブを、インサイチューハイブリダイゼーションに使用するこ
とができる。
【0264】 実施例2. 呼吸器系試料の病原体の存在についての試験: 肺炎 肺炎は、米国における感染症の最も一般的な死因である。本疾患の病因は、年
齢及び免疫状態によって左右される。ウイルスが殆どの小児肺炎の原因となる一
方で、成人の肺炎の原因となる最も一般的な病原体は細菌病原体である。免疫低
下した宿主において肺炎を引き起こす病原体のスペクトルは、大きく変動し、か
つ免疫系又は保護表面(粘膜又は皮膚)が冒された癌患者、臓器移植レシピエント
及びHIV-感染患者について異なる。
【0265】 肺炎の治療を成功するには、病原体の迅速な同定が必須である。更に、肺炎の
原因を特定しようとする全ての診断上の試みのほぼ半分が、病因病原体を確定す
ることに失敗している。(これは、病原体の同定を試みられないような症例の大
部分は含まない。)下位気道感染症を引き起こす多くの細菌病原体及び全てのウ
イルス性病原体は、通常の微生物培養法では同定することができない。例えば、
結核、百日せき、レジオネラ症、及びマイコプラズマに起因した肺炎を引き起こ
す病原体を同定するには、特別な方法が必要である。下位呼吸器系感染症の患者
は、米国において処方された抗生物質の75%を占める。現在の診断では殆どの下
位気道感染症の病原体の同定が失敗するために、年間ほぼ10億ドルが、無効な抗
生物質に消費されている。従って、下位呼吸器系病原体の包括的セットを試験す
る単一の診断アッセイ法の大きい必要性が存在する。
【0266】 目的及び利点 この実施例において、本発明者は、下位呼吸器系疾患の症状を伴う患者から得
た試料中の呼吸器系病原体の存在を試験するために、単一のゲノムプロファイリ
ングアッセイ法を使用する。一般的細菌、ウイルス、及び原生動物の病原体を同
時にかつ迅速に(例えば数時間で)試験することにより、この方法は、現行の方法
の実質的改善をもたらす。本試験は、適切かつ時宜を得た治療を決定することを
補助する。更に、ゲノムプロファイリングアッセイ法は、高解像度フィンガープ
リントをもたらし得るので、疫学的解析の強力な道具である。
【0267】 実施例の概略 本発明者は、様々な下位気道病原体から、細菌病原体及び寄生虫についてはゲ
ノムサブトラクションを用い、またはウイルスの場合はコンピュータ解析を用い
、ID配列を単離する。所定の菌株のDNA中に存在するID配列のゲノム差配列のサ
ブセットは、そのゲノムプロファイリングフィンガープリントを構成する。フィ
ンガープリントデータベースは、呼吸器系病原体の各群からの代表的菌株に存在
するID配列のサブセットを決定することにより構築される。臨床呼吸器系試料中
の病原体の同定は、臨床試料のゲノムプロファイリングフィンガープリントを、
フィンガープリントデータベースと比較することによって決定される。
【0268】 実施例において使用される方法の概略 この実施例において、本発明者は、病原体特異的ゲノム差配列を単離するため
に、実施例1において使用したゲノムサブトラクション法よりもむしろ、抑制的
サブトラクションハイブリダイゼーションを使用する。先の実施例のように、特
定の試料中のID配列の同一性を決定することは、ハイブリダイゼーションするこ
とによる、IDプローブのセットの選択のための試料のゲノムDNAを用い実現され
る。その後選択されたIDプローブは、過分枝した(hyperbranched)ローリングサ
ークル型増幅法(hRCA)を用いて増幅される(Lizardiら、Nat. Genet.、19:225-23
2 (1998))。本発明者は、実施例1に示したものよりもむしろ様々な検出アレイ技
術を用いて、試料により選択されたIDプローブの同一性を決定する。
【0269】 下位呼吸器系疾患を引き起こす病原体からのID配列の単離 表6に、下位呼吸器系感染症を引き起こす一般的病原体のいくつかを列記して
いる。ID配列は、非ウイルス性(すなわち、細菌及び真菌)病原体から、Clontech
社の抑制的サブトラクションハイブリダイゼーションキットを製造業者の推奨プ
ロトコールに従って用い、単離される(Diatchenkoら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、93:6025-6030 (1996))。様々な群からID配列を単離するためのサブトラク
ションスキームの選択(例えば、プールされたゲノム差試料、対、単一の菌株の
ゲノム差試料の使用の選択)は、実施例1と同じである。実施例1に示されたよう
に、表6に列記された特定群に関する「+」ゲノム差試料は、1種またはそれ以上
のその群の代表的病原体由来のDNAで構成されるのに対し、「-」株は、1種また
はそれ以上の密接に関連した非病原性生物のDNAで構成される。(全ての分かって
いる代表的なものが病原体であるような群について、「+」及び「-」試料は、病
原性株の亜群由来のプールされたDNAを含む。)ゲノムサブトラクションにより単
離されたゲノム差配列は、ローリングサークル型増幅のプローブ及びプライマー
の合成のための調製の際に配列決定される(下記参照)。
【0270】 下位呼吸器系疾患を引き起こすウイルスについて、群特異的配列が、公開され
たDNA配列データから推定される。ウイルス群内に保存される配列には対応する
が、他のウイルス群には認められないようなIDプローブが合成される。本発明者
は、可能性のある群特異的配列とウイルスの配列データベース(例えばゲンバン
ク)の比較により、比較基準を満足するような配列を選択する。
【0271】
【表6】 下位呼吸器系疾患を引き起こす病原体
【0272】 呼吸器系試料の性質の判定に有用な組織特異的配列 呼吸器系試料は、不均質であることは周知のことである。通常かつ非侵襲的に
採取される痰試料は、上位気道の生物の混入のために、拒否されることが多い。
標本の性質を判定するためのシステムは、扁平上皮細胞の多形核白血球に対する
顕微鏡観察された割合を元に開発されている。本発明者は、自身の呼吸器系アッ
セイ法において、比較的豊富なこれら2種の細胞型を基にした下位気道試料の性
質を判定するための内部ハイブリダイゼーションに基づく試験を含むようにして
いる。これは、多形核白血球(タンパク質LCA及びCD45をコードしている)及び扁
平上皮細胞(タンパク質spr1をコードしている)の細胞型特異的転写物からの転写
の相対レベルについて試験することにより達成される。
【0273】 組織特異的配列プローブは、配列がゲンバンクデータベースから得られる点以
外は、ID配列に対応するIDプローブ構築に使用されたものと同じ方法を用い、組
織特異的配列に対応するプローブ部位を伴うように合成される。これらのプロー
ブは、IDプローブのアンサンブルと共に、ハイブリダイゼーション混合液に及び
検出アレイ上に含まれる。
【0274】 組織特異的mRNAの提示を定量するには、対照配列も含まれる。対照配列は、様
々な量で生物学的試料に添加された、一連の個別の非生物学的RNA配列である。
対応するプローブ及び検出配列が、ハイブリダイゼーション混合液及び検出アレ
イに含まれる。これらの定量的対照の較正は、扁平上皮細胞及び多形核白血球の
数が分かっているような試料についてアッセイすることにより実現される。
【0275】 ローリングサークル型増幅のためのIDプローブ及びプライマー 呼吸器系ゲノムプロファイリングアッセイ法における各々のID配列について、
IDプローブ対(図8A)及びプライマー対(図8B)が合成される。IDプローブ及びプラ
イマーは、リザーディ(Lizardi)らのギャップオリゴ法(1998、前記)ものを基
にしている。しかし、ギャップIDプローブ(約15塩基)及びギャップあり環状IDプ
ローブ(約15塩基)の末端は、ID配列に対応している。更に、本実施例において、
本発明者は、ローリングサークル型増幅のために5'-ビオチン化されたプライマ
ーを使用している(図8C)。同様に、IDプローブは、実施例1に記された実験対照
配列及び組織特異的RNAに対応するように合成される。
【0276】 ゲノムプロファイリングアッセイ法のための二次元検出アレイの構築 どのIDプローブが試料にハイブリダイズするかを決定するために、本発明者は
、増幅され選択されたIDプローブを検出アレイ(検出配列のアンサンブルを含む
アドレス指定可能なアレイ)にハイブリダイズする。このアレイの要素は、ロー
リングサークル型増幅プローブ対のギャッププローブ部分又は実験対照配列に対
応するオリゴヌクレオチドを含む。この実施例において、本発明者は、先に説明
されているような(Cheeら、Science、274:610-614 (1996);Lockhartら、Nat. B
iotech.、14:1675-1680 (1996))、フォトリソグラフィーを使用するマイクロア
レイを構築している。
【0277】 呼吸器系病原体のフィンガープリント決定 下位気道感染症を引き起こす病原体を同定するために、本発明者は、臨床試料
のゲノムプロファイリングフィンガープリントを、先に特徴決定された生物のフ
ィンガープリントデータベースと比較する。胃腸のゲノムプロファイリングアッ
セイ法に関する実施例1のように、本発明者は最初に、病原体の各群由来の参照
株のゲノムプロファイリングフィンガープリントからフィンガープリントデータ
ベースを構築する。次に、臨床試料のフィンガープリントを該データベースと比
較し、試料中の病原体の同一性を決定する。
【0278】 参照株のフィンガープリントの入手及びデータベースの構築 試料の調製、IDプローブアンサンブルへのハイブリダイゼーション、及び洗浄
の段階は、IDプローブのアンサンブルの組成及び構造以外は、実施例1に記した
ものと同じである。高度に分枝されたローリングサークル型増幅(HRCA)の鋳型は
、固定された試料中のDNAとアニーリングするギャップのある環状IDプローブ及
びギャップのあるIDプローブの対が互いに連結された場合に生じる。連結及びHR
CAは、図8に示されたように及び先に説明されたように(Lizardiら(1998)、前記)
実施される。マイクロアレイへのハイブリダイゼーション、ストレプトアビジン
-フィコエリスリンを用いる染色、及びスキャニングは、先に説明されたように(
Lockhartら(1996)、前記)実現される。フィンガープリントは、マイクロアレイ
データから得られ、呼吸器系病原体の各群のフィンガープリントデータベースが
構築され、かつ実施例1に説明した方法を用いて解析される。
【0279】 臨床試料中に存在する病原体の同定 様々な種類及び量の呼吸器系試料(例えば、痰、気管支肺胞洗浄液、及び気管
支刷毛生検試料)を、実施例1に説明された方法を用い、ナイロンフィルターに塗
布しかつ固定する。表6の全ての呼吸器系病原体群に由来するIDプローブがハイ
ブリダイゼーション反応液に含まれる点以外は、実施例1のように、参照株同様
、臨床試料をフィンガープリント決定する。臨床試料中に存在する病原体(群)は
、 参照株のフィンガープリントデータベースのものに対して得られたフィンガ
ープリント(群)と比較することにより同定される。
【0280】 実施例3. 血液試料の病原体についての試験 血流感染症 心臓血管系への病原体の侵入は、最も重篤な感染症のひとつである。米国にお
いて毎年発生しているおよそ200,000例の血流感染症のうち、20〜50%が死に至
る。特に危険にさらされているのは、免疫低下した患者、非常に若年齢又は非常
に高齢の者、皮膚及び軟組織に感染症及び創傷を有する者、並びに侵襲的医療手
技を受けた者である。細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫を含む、主な病原体種
は全て、血流に感染することができる。血流感染症において病原体を迅速に同定
することは、適切で効力のある救命療法を始めるにあたって重要である。
【0281】 概して現在の方法は、病原体特異的である。結果的に、感染源を決定するには
、多くの試験及びかなりの経費が必要となる。広範な一般的血流病原体の同一性
を迅速に決定する単一のアッセイ法が必要である。
【0282】 目的及び利点 この実施例において、本発明者は、臨床試料中の広範な血流病原体の存在を試
験するために、単一のゲノムプロファイリングアッセイ法を使用する。一般的細
菌、ウイルス、及び原生動物の病原体を同時かつ迅速に(例えば数時間で)試験す
ることにより、この方法は、現行の方法の実質的改善をもたらす。この試験の迅
速性は、特に、血流病原体の迅速な診断という重要な作業及び適切で時宜を得た
治療の開始にとって、有用である。更に、ゲノムプロファイリングアッセイ法は
、高解像度フィンガープリントを作製することができるので、疫学的解析の強力
な道具である。
【0283】 実施例の概略 本発明者は、様々な血流病原体から、ゲノムサブトラクション(細菌病原体及
び寄生虫)又はコンピュータ解析(ウイルス)を用い、ID配列を単離する。所定の
菌株のDNA中に存在するID配列のサブセットは、そのゲノムプロファイリングフ
ィンガープリントを構成する。フィンガープリントデータベースは、血流病原体
の各群からの代表的菌株に存在するID配列のサブセットを決定することにより構
築される。臨床血流試料中の病原体の同定は、臨床試料のゲノムプロファイリン
グフィンガープリントを、フィンガープリントデータベースと比較することによ
って決定される。
【0284】 実施例において使用される方法の概略 この実施例において、本発明者は、病原体特異的ID配列を単離するために、先
の実施例において使用した方法よりもむしろ、ティンスリー(Tinsley)らの変
更された提示変動解析(representational difference analysis)ゲノムサブトラ
クション法を使用する(Proc.Natl. Acad. Sci. USA、93:11109-11114 (1996))。
先の実施例のように、特定の試料中のID配列の同一性を決定することは、IDプロ
ーブのセットをハイブリダイゼーションすることにより選択するために試料のゲ
ノムDNAを用い実現される。しかしこの実施例において、選択されたプローブは
、液相ハイブリダイゼーション捕獲法により単離される。更にこの実施例におい
て、本発明者は、先の実施例に示されたマイクロアレイ法を用いるよりもむしろ
、質量分析法を用いて、選択され増幅されたIDプローブの同一性を決定する。
【0285】 血流感染症を引き起こす病原体からのID配列の単離 表7に、血流感染症を引き起こす一般的病原体の一部を列記している。ID配列
は、非ウイルス性(すなわち、細菌、真菌及び寄生虫)病原体から、ティンスリー
らにより変更された(1996、前記)ような、提示変動解析を用い単離される。実施
例1に示されたように、表7に列記された特定の群に関する「+」ゲノム差試料は
、その群の代表的病原体由来のDNAで構成されるのに対し、「-」ゲノム差試料は
、密接に関連した非病原性生物のDNAで構成される。(全ての分かっている代表的
なものが病原体である群について、「+」試料及び「-」試料は、病原性株の亜群
由来のプールされたDNAを含む。)。血流感染症を引き起こすウイルスについて、
先の実施例において説明されているように、ID配列が、公開されたDNA配列デー
タから推定される。
【0286】
【表7】 血流感染症を引き起こす病原体
【0287】 ID配列を捕獲、増幅、及び質量分析による検出のためのIDプローブ 血流ゲノムプロファイリングアッセイ法における各ID配列について、DNA捕獲I
Dプローブ対、2個の増幅IDプローブ、及びギャップIDプローブ、並びにひとつの
質量分析検出用オリゴヌクレオチドが合成される(図9A〜9C)。各捕獲IDプローブ
は、ふたつの部分を有する ビオチン化されたアーム(およそ10塩基長)及びID配
列の部分に相当するアーム(およそ15塩基長)。左側及び右側の増幅プローブも、
ふたつの部分を有する 増幅プライマーに対応する配列を含む一部分(約20塩基
長)及びID配列に相補的な一部分(約15塩基長)。連結された三組みプローブが増
幅され得るように(図9B)、5'-末端のビオチン化されたプライマーが合成され、
かつアフィニティ精製される。このギャップIDプローブ(およそ20塩基長)は、ID
配列に相補的であり、かつ対応するID配列にアニーリングする場合は、左側及び
右側の増幅IDプローブに隣接する。陽性及び陰性の対照プローブが合成され、か
つ実施例1のフィルターに結合された陽性対照配列が、本実施例の試料溶液中に
含まれる点以外は、実施例1において説明されたものと同様に使用される。
【0288】 IDプローブが試料にハイブリダイズするかどうかを決定するために、本発明者
は、増幅され選択されたIDプローブを、アッセイ法されるIDプローブのアンサン
ブルに合致する質量分析検出用オリゴヌクレオチドのアンサンブルにハイブリダ
イズする。各々の質量分析検出用オリゴヌクレオチドは、およそ8〜15ヌクレオ
チド長であり(質量分析は、小さいオリゴヌクレオチドの高解像度の識別を実現
する)、かつ各々は、ひとつのIDプローブのギャッププローブ部分に相補的であ
る(図9C)。このアンサンブル中の個々の質量分析検出用オリゴヌクレオチドは、
全て個別の分子量を有し、その結果それらの同一性は質量分析により決定するこ
とができる。特定の場合において、類似した分子量を有するオリゴヌクレオチド
間の分子量の差異を増大するために、化学的に修飾されたオリグヌクレオチドを
含むことが有用である。非常に多様な化学修飾及び最小に変更された再会合特性
を持つオリゴヌクレオチドは、市販されている。
【0289】 血流病原体のフィンガープリント決定 先の実施例のように、血流感染症を引き起こす病原体を同定するために、本発
明者は、臨床試料のゲノムプロファイリングフィンガープリントを、先に特徴決
定された生物のフィンガープリントデータベースと比較する。前記のように、本
発明者は最初に、表7に列記された血流病原体の各群由来の参照株のゲノムプロ
ファイリングフィンガープリントからフィンガープリントデータベースを構築す
る。次に、臨床血液試料のフィンガープリントを該データベースと比較し、試料
中の病原体の同一性を決定する。
【0290】 参照株DNAへハイブリダイズするIDプローブの捕獲及び増幅 この実施例において、本発明者は、参照株の核酸分子内に存在する病原体特異
的ID配列をアフィニティ精製するために、液相ハイブリダイゼーション捕獲法を
使用する(Hsuihら、J. Clin. Microbiol.、34:501-507 (1996))。生物は溶解し
、かつ生物の核酸分子を、5Mグアニジンチオシアネート中でインキュベーション
(90℃で5分、その後65℃で10分)し、かつ短時間激しく攪拌することにより、ハ
イブリダイゼーションに使用できるように作製する。検出されるべき生物により
、この方法は変更することができ、例として、高温での熱処理、酵素処理(例え
ば、リゾチーム、キチナーゼ又はホスホリパーゼなどにより)、界面活性剤によ
る処理(例えば、CTAB又はSDS)、もしくは有機溶媒抽出(例えば、フェノール又は
クロロホルム)を含む。その後、本発明者は、プローブ(捕獲、増幅、及びギャッ
プ)とのハイブリダイゼーション、アフィニティ精製、連結、及び三組みで連結
された増幅/ギャッププローブの増幅については、Hsuihらの方法(1996、前記)
に従う(図9B)(Hsuihら(1996)、前記)。
【0291】 増幅されたIDプローブに対応する質量分析検出用オリゴヌクレオチドの精製 増幅されたプローブは、参照株内の病原体特異的ID配列に対応している。これ
らの配列の質量分析に基づいた同定については、本発明者は、対応する質量分析
検出用オリゴヌクレオチドのアフィニティ精製のために、ビオチン化された増幅
産物を使用する(図9C)。増幅反応液(50μl)を、10 mM EDTAに移し、10mM EPPS(p
H8.0)/1mM EDTA溶液中に各質量分析検出用オリゴヌクレオチドを10ng含有する
溶液10μlと一緒にし、かつ100℃で2分間変性する。5M NaCl 15μlを添加しかつ
30℃で15分間インキュベーションした後、ストレプトアビジンで被覆した常磁性
ビーズ(Promega社)30μlを添加し、アフィニティクロマトグラフィーを、先に記
されたように(Hsuihら(1996)、前記)行う。これらのビーズを、10mM EPPS(pH8.0
)/1mM EDTA溶液500μlで3回洗浄する。アフィニティ精製した質量分析検出用オ
リゴヌクレオチドを、10mM EPPS(pH8.0)/1mM EDTA溶液100μl中で溶液を50℃(
又は、1M NaCl中の検出用オリゴヌクレオチドの最高Tmよりも10℃以上高い温度)
まで加熱することにより回収する。質量分析検出用オリゴヌクレオチドを含む上
清を、磁石を用いてチューブ内に残存する磁気ビーズから取り除く。
【0292】 病原体群のフィンガープリントデータベースの構築 選択された質量分析検出用オリゴヌクレオチドを同定する質量分析の使用 試
料は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(遅延抽出)(M
ALDI-TOF(DE))(PerSeptive Biosystems社)及びこれまでに説明された装置、方法
(Roskeyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:4724-4729 (1996))により、調製
及び分析する。アフィニティ精製されたオリゴヌクレオチドの質量を、質量分析
検出用オリゴヌクレオチドの全アンサンブルの要素の予め決定された質量と比較
する。この方法で、選択された質量分析検出用オリゴヌクレオチドが同定され、
これは次に試験される参照株のID配列の同一性を示す。
【0293】 参照株に存在するID配列のサブセットは、そのゲノムプロファイリングフィン
ガープリントを構成している。フィンガープリントのデータベースを、表7に列
記された各群の参照株について集める。
【0294】 血液試料中に存在する病原体の同定 血液試料(1ml)を溶解し、かつ表7の血流病原体群の全てに由来するIDプローブ
をハイブリダイゼーション反応液中に含む以外は、参照株について先に記したよ
うにフィンガープリント決定する。血液試料中に存在する病原体(群)は、得られ
るフィンガープリント(群)を、参照株のフィンガープリントデータベースのもの
と比較することにより同定される。
【0295】 実施例4. ゲノムプロファイリングアッセイ法を用いる法医学的同定 法医学的同定の概略 細胞試料の供給源の同定は、最新の法医学分析の重要な局面である。法医学的
試料の遺伝子同定には、顕微鏡的量でしか入手できないことが多いような、細胞
性物質内のDNAを増幅し、かつ他の個体のDNAと比較することが求められる。遺伝
子同定の現在の方法は一般に、解析用ゲル電気泳動を必要としているが、これは
時間を要し多くの法医学検査室にとって技術的に適していない。この実施例は、
ゲノムプロファイリングを使用する、法医学的同定のための、迅速、簡便でかつ
確固たる方法を提供する。
【0296】 実施例の概略 本発明者は、濃縮されたゲノム差試料を用い、ヒトの法医学的試料の起源の同
定のために有用なID配列のアンサンブルを単離する。この実施例において、濃縮
されたゲノム試料は、ヒトゲノムの増幅されたサブセットであり、これは、増幅
過程の性質上、一部の個体のゲノムから再現性をもって増幅されるが、別の個体
からは増幅されないようないくつかの配列を含む。これらの異なるように増幅さ
れた配列は、ゲノム差配列を構築する これらは、ひとつの濃縮されたゲノム差
試料には存在するが、その他には存在しない。個体のDNA中に存在するような配
列のアンサンブルのサブセットは、ゲノムプロファイリングフィンガープリント
を構築する。試料の供給源の同定は、試料フィンガープリントを、他の個体のそ
れと比較することにより得られる。
【0297】 実施例において使用した方法の概略 本実施例は、いくつかの方法でこれまでの実施例とは異なる。ヒトID配列のア
ンサンブルを得るために使用される濃縮されたゲノム差試料は、ヒトゲノムDNA
を選択的に増幅することにより構築される。本実施例は、Alu-PCRを用いてヒトD
NAを選択的に増幅するが、他の方法、例えばAFLP法、サイズ分画されたDNAを増
幅する方法(Lisitsynら、Mol. Gen. Microbiol. Virus.、3:26-29 (1993);Rose
nbergら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91:6113-6117 (1994))、又は実施例5に
記された方法などを、選択的増幅に使用することもできる。複数のゲノムサブト
ラクションを、ヒトID配列の多くのファミリーを作製するために行うことができ
る。ゲノムサブトラクション産物に対応する検出配列は、検出アレイの構築に使
用される。ヒトの法医学的試料を同定するために、試料DNAは、選択的増幅を用
いて増幅される(この場合Alu-PCR)。得られる試料中のヒトゲノムDNAの「提示」
は、標識された増幅産物を構成している。この産物は、検出アレイへのハイブリ
ダイゼーションにより、診断的ID配列の存在について試験される。異なるヒト個
体のゲノムは、異なるゲノムプロファイリングフィンガープリントを生じると考
えられる。
【0298】 Alu-PCRを用いるヒトDNAの選択的増幅 Alu-PCR法は、ヒトゲノムにおいて頻出する(平均して数千塩基毎)Alu反復の間
のDNAを増幅する。Alu反復は多型であるので、一部の増幅された断片は、ある個
人に存在するが、他者には存在しない(Stonekingら、Genome Res.、7:1061-1071
(1997);Zietkiewiczら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:8448-8451 (1992))
【0299】 ゲノムサブトラクション試料の作製に使用されるヒトゲノムDNAは、常法によ
り精製される(Ausubelら(1987)、前記)。法医学的試料は、これまでに詳細に説
明されているような(Lincolnら、「法医学的DNAプロファイリングプロトコール
(Forensic DNA Profiling Protocols)」、Methods in Molecular Biology、(H
umana Press、トトワ、ニュージャージー州)、1998)、試料の種類に適したプロ
トコールを適用することにより、増幅のために調製される。Alu-PCR反応は、ジ
ーキィッツ(Zietkiewicz)らの方法(1992、前記)を用い、該DNAのPCR増幅を「+
」ゲノム差試料として使用し、かつ法医学的試料について、5'-末端がビオチン
化されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて実施する点を変更して、実施さ
れる。
【0300】 ID配列の単離及び検出アンサンブルアレイの構築 上記の濃縮されたゲノム差配列により定義されたヒトID配列のファミリーは、
ゲノムサブトラクションにより単離される(Strausら(1990)、前記)。濃縮された
ゲノム差試料は、個体由来の試料を用いるか、又は、数個体からのAlu-PCR産物
をプールすることにより、前述のように調製される(後者の試料は、遺伝的判定
及び/又は地域的判定により群別される)。このゲノム差配列は、先に説明され
たように(Rosenbergら(1994)、前記;Strausら(1990)、前記)、クローニングさ
れ、配列決定され、かつ増幅される。検出アンサンブルアレイを構築するために
、ゲノム差配列であるような増幅されたサブトラクション産物が、Maierら(J. B
iotechnol.、35:191-203 (1994))のロボットに基づく(robotic-based)方法を用
いて、ナイロンメンブレン上に並べられる。
【0301】 法医学的試料のフィンガープリント決定 法医学的試料は、先に説明された方法(Lincoln(1998)、前記)により、フィン
ガープリント決定のために調製される。法医学的試料中のヒトDNAのフィンガー
プリントは、試料のビオチン化されたAlu-PCR増幅産物の検出アンサンブルアレ
イへのハイブリダイゼーションにより得られる。ハイブリダイゼーション反応液
(1M NaCl/50mM EPPS/2mM EDTA(pH8))は、概して1mlよりも少ない量で、65℃で
30分間行われる。未結合の増幅産物を、65℃で2mlの洗浄緩衝液(50mM NaCl/50m
M EPPS/2mM EDTA(pH8))中での5回の30秒間の洗浄段階(振盪しながら)により取
り除く。このフィンガープリント(ハイブリダイゼーションパターン)は、Photot
ope-Star検出システム(New England Biolabs社)を製造業者の指示に従い使用し
、可視化される。
【0302】 実施例5. 多くのヒト遺伝的マーカーについての試料のスキャニング 最近の医学遺伝学及び薬理遺伝学の重要な目的は、迅速に患者のゲノムプロフ
ィールを得ることである。遺伝的マーカーは、疾患の初期の警告(例えば、乳癌
又はハンチントン病)であるか、又は患者への医療が好ましく反応する可能性が
あることを示唆することができる。本実施例は、ひとつの迅速なハイブリダイゼ
ーションに基づく試験において非常に多数のヒト遺伝的マーカーの遺伝子型を調
べるための、ゲノムプロファイリングアッセイ法の用途を明らかにする。
【0303】 実施例の概略 本実施例において、同時に多くの多型部位の遺伝子型について、ヒトゲノムが
調べられる。最初の3つの実施例におけるように、この場合SNPプローブであるが
、プローブのアンサンブルが、ゲノムDNAにハイブリダイズする。先のように、
プローブアンサンブルの選択的増幅は、診断上の情報に富むアンサンブルのサブ
セットを生じる。その後増幅されたサブセットのメンバーが、検出アレイへのハ
イブリダイゼーションにより同定される。この実施例においては、先の実施例と
は対照的に、選択的増幅が、試料ゲノム中に存在する特定のSNP対立遺伝子を基
にした、SNPプローブの半分の選択的連結により実現される。このSNPプローブを
使用する遺伝子型決定法は、図10に概略を示している。
【0304】 多型プローブアンサンブル及び検出アンサンブルの合成 この実施例において、既知のヒトDNA多型を用いて、多型プローブを設計する
。この多型プローブは、これらが対立遺伝子のある異型によりゲノムDNAにアニ
ーリングされる場合に連結され得るが、ゲノムが対立遺伝子の異なる異型を含む
場合には連結も増幅もされない。対立遺伝子特異的SNPプローブ連結の使用は、
図10に図示している。標的化されたDNA多型は、ヒトゲノムの地図作製に使用さ
れるマーカーに対応するか(例えば、Landegrenら、Genome Res.、8:769-776 (19
98))、又は医学的に重要な突然変異に対応する(例えば、遺伝性疾患である鎌状
赤血球貧血を生じるような、一塩基対突然変異)ような、一塩基多型(SNP)であり
うる。任意の他の種類の核酸配列多型(挿入、欠失及び再編成を含む)も、本アッ
セイ法に組込むことができる。
【0305】 一旦DNA多型が選択されると、多型プローブが実施例1において作製されたIDプ
ローブと基本的に同様に合成される。好ましいSNPプローブの設計は、連結され
る3'末端の一塩基対ミスマッチとは区別する、T4 DNAリガーゼの能力を利用する
。しかしこの実施例において、多型プローブの半分が、これらの対がそのDNA多
型の部位に隣接するように設計される。各々標的化されたDNA多型に対応する2種
の多型プローブが一般に合成される 一方のプローブは、多型部位でひとつの遺
伝子型を検出し、かつ他方のプローブは、別の可能性のある遺伝子型を検出する
。追加の多型プローブは、いくつかの遺伝子型が現れるような遺伝子座について
合成される。
【0306】 従って、遺伝子型決定される各SNPについて、SNPプローブは、いくつかのプロ
ーブの半分を含む。ひとつのプローブの半分(図10の右側プローブハーフ)は、不
変である。左側SNPプローブの半分のいくつかの変種も、本アッセイ法に組込ま
れる。各変種は、ゲノムSNP部位の対立遺伝子に対応する異なる3'末端ヌクレオ
チドを有する。3' 部位でゲノム対立遺伝子にマッチする左側プローブの半分の
みが連結され、引き続き増幅される。先の実施例のように、増幅産物は、増幅反
応においてビオチン化されたプライマーにより標識化することができる。
【0307】 各々個別の左側プローブの半分は、独自のタグ配列を有するので(図10)、標識
され増幅されたSNPプローブの、SNPプローブの元のアンサンブルに合致するタグ
アンサンブルを含む検出アレイへのハイブリダイゼーションにより、どの対立遺
伝子が連結され、かつ引き続き増幅されるかを検出することは可能である。すな
わち、アレイの各タグは、SNPプローブの元のアンサンブル中の左側SNPプローブ
の半分の一つのタグ(又はその逆相補物)に対応している。
【0308】 この検出アレイは、この場合該アレイの要素が多型プローブアンサンブルに対
応するタグ配列である点以外は、実施例1のように構築される。
【0309】 ヒトDNA多型の選択的増幅及びフィンガープリント解析 ヒトDNAを含有する試料を、実施例4のように調製する。精製されたDNAが使用
される場合、0.5M NaOH中のナイロンフィルターへ簡単にスポットされ、風乾さ
れ、かつこのフィルターがUV光により架橋される(Stratagene社のStratalinker
装置を、製造業者の仕様書に従い使用)。これは法医学的試料と同様に、DNA試料
の予備増殖、すなわちゲノム提示に有用でありうることに注意すること。例えば
単独のヒトの毛嚢由来のDNAは、実施例4に説明されたAlu-PCR法を用いて増幅す
ることができる。SNP多型を試験するための試料として提示を使用する場合、SNP
プローブが、あらゆる試料から増幅されるセグメント中の多型に対応するように
設計される。(先の実施例とは対照的に、診断上有用な配列は、IDプローブであ
る、示差的に増幅される配列であることに注意すること)。
【0310】 多型プローブのアンサンブルは、試料にハイブリダイズされ、洗浄され、連結
され、増幅され、標識され、検出アレイにハイブリダイズされ、かつ実施例1の
ようにそのフィンガープリントが可視化される(その実施例のIDプローブについ
て)。検出アレイへのハイブリダイゼーションのパターンは、多型プローブアン
サンブルにより調べた各多型遺伝子座についての、試料のゲノムDNAにおいて提
示される対立遺伝子を示す。
【0311】 実施例6. 多数のウイルスの脳脊髄液試料のスキャニング 実施例の概略 中枢神経系(CNS)の感染は、医学的に危急であるとみなされる。この感染性病
原体の迅速な診断は、最適な治療の転帰にとって重要である。ウイルス感染症の
診断は、特に問題が多く、かつ高価であることが多い。本実施例において説明さ
れる方法を使用し、様々な種類のウイルスが存在するかどうかについて脳脊髄液
(CSF)試料を同時に試験することができる。ウイルス特異的ID配列は、IDプロー
ブアンサンブルとの液相ハイブリダイゼーション捕獲によりCSF試料中で選択さ
れ、引き続き試料選択されたIDプローブが増幅される。増幅されたIDプローブを
用いて、任意のウイルスが存在するかどうかを決定するために、検出アンサンブ
ルアレイをプロービングすることができる。本実施例は、CSF中のウイルスの試
験を説明するが、同様の試験を、血液及び充実性組織試料を含む他の種類の試料
において実施することができ、その後適当な試料を調製することができる。
【0312】 ウイルス特異的ID配列、プローブ、及びプライマーのアンサンブルの構築 表8に列記したウイルスパネル内のウイルス群の各々に特異的な群特異的配列
が選択される。場合によっては、ウイルス特異的ID配列は、既に文献に説明され
ている。別の場合には、公開されたデータベースのウイルスのゲノム配列から、
データベースの他のウイルスと配列を比較した後、配列が選択されている(Ausub
elら(1987)、前記)。少なくとも30塩基のウイルス特異的配列が選択され、かつI
Dプローブ及びプライマーの対応するアンサンブルが、実施例3に記され(血流病
原体アッセイ法)、かつこれは図9A-9Cに記されているように合成される。しかし
本発明者は、図9Cに記された小さい質量分析検出用オリゴヌクレオチドよりもむ
しろ、ギャッププローブと相補的であるより長い(約20塩基)検出用アンサンブル
オリゴヌクレオチドを合成する。検出用アンサンブルアレイは、実施例2に説明
されたような、フォトリソグラフィーにより構築される。陽性及び陰性対照プロ
ーブが合成され、かつ実施例3に記されたように合成される。
【0313】
【表8】 CNS感染症を引き起こすウイルス
【0314】 ウイルスパネルのメンバーに関する試料のスキャニング CSF試料の調製、プローブアンサンブルへのハイブリダイゼーション、標的配
列の磁気分離による精製、選択されたプローブの連結、及び増幅が、実施例3に
記されたように実施される。その後ビオチン化された増幅産物が、実施例4に記
されたように、ウイルス性検出アンサンブルアレイへのハイブリダイズされ、か
つ可視化される。
【0315】 他の態様は、前記の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最小ゲノム派生物9種のID配列アンサンブルの概略図である。
【図2】 図2Aは、病原性変種(例えば菌株1)及び非病原性変種(例えば菌株
8)を含む、仮定的であるが、典型的である菌株群の先祖の関係を示す系統樹の概
略図である。図2Bは、関連した菌株(例えば菌株1及び8)の群の2種の生物を使用
するゲノムサブトラクションが、この群の任意の菌株(例えば菌株2-7)のフィン
ガープリント決定に使用することができるゲノム差配列を生じるような、本発明
の方法の概略図である。図2Cは、ゲノム差配列が数種の生物由来のゲノム核酸分
子のプールにより生じるような、本発明の方法の概略図である。例えば、「+」
試料は、数種の病原体のゲノム核酸分子のプールにより作製することができ、か
つ「-」試料は、いくつかの非病原体のゲノム核酸分子のプールにより作製する
ことができる。このサブトラクション実験により得られるゲノム差配列は、少な
くとも1種の病原性(「+」)株では存在するが、非病原性(「-」)株では存在しな
いような配列を含む。
【図3】 本発明の方法において使用することができるバイナリーIDプロー
ブの概略図である。染色体ID配列へのハイブリダイゼーション後、左側及び右側
IDプローブの半分を、互いに連結する。次にプライマー部位-L及びプライマー部
位-Rに相当するプライマーを用いて、連結産物を増幅する。増幅されたIDプロー
ブ産物を、IDプローブ又はタグ配列のいずれかを含む検出アレイへの連続ハイブ
リダイゼーションにより同定することができる(図示せず)。
【図4】 多種多様な検出アレイの例の概略図である。
【図5】 臨床試料が、IDプローブの試料選択を用いるゲノムプロファイリ
ングにより、多くの病原体についてスキャンされるような、本発明の方法の概略
図である。この方法において、試料からのDNAは、ナイロンフィルターのような
固相支持体上に付着される。次に、プローブの半分の対を、結合した試料DNAに
ハイブリダイズし、その後正確にハイブリダイズされたプローブを連結し、該フ
ィルターから溶出し、かつ検出アレイ上で検出のために増幅する。
【図6】 腸炎菌からゲノム差配列を得るためのゲノムサブトラクション戦
略の概略図である。この戦略において、腸炎菌の亜種は、2種の亜群である群X及
び群Yに分けられる。相互サブトラクションを行い、各群についてゲノム差試料
を得る。
【図7】 図7Aは、大腸菌群の系統樹の一部の概略図である。病原体は黒色
で示し、かつ非病原体は白色で示している。図7Bは、大腸菌O157:H7のゲノム差
配列を得る戦略の概略図であり、このゲノムサブトラクションは、大腸菌O157:H
7(「+」ゲノム差試料)及び非病原性株(「-」ゲノム差試料)の間で行われる。図7
Cは、フレクスナー赤痢菌のゲノム差配列を得る戦略の概略図であり、このゲノ
ムサブトラクションは、フレクスナー赤痢菌(「+」ゲノム差試料)及び非病原性
株(「-」ゲノム差試料)の間で行われる。
【図8】 図8Aは、ローリングサークル型増幅に使用されるIDプローブ(ギ
ャップのある環状プローブ及びギャッププローブを含む)の概略図である。図8B
は、連結したローリングサークル鋳型のローリングサークル増幅において使用す
るためのプライマー対(ビオチン化されたローリング環状プライマー及びビオチ
ン化された分枝プライマー)の概略図である。図8Cは、図8Bに示されたプライマ
ー及び連結されたローリングサークル鋳型を用いて実施される、高度に分枝した
ローリングサークル増幅の概略図である。
【図9】 図9Aは、指示されたように各々ID配列にハイブリダイズしている
、ビオチン化されたDNA捕獲プローブの対、増幅プローブの対、及びギャッププ
ローブの概略図である。図9Bは、ビオチン化されたプライマー対を使用する、三
組みで連結されたプローブの増幅の概略図である。図9Cは、質量分析検出のため
のギャッププローブ配列及びオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーションの
概略図である。
【図10】 SNPプローブハイブリダイゼーション選択の概略図であり、こ
こで連結及び増幅はSNP部位でのマッチによって決まる。
【図11】 本発明のゲノムプロファイリング法の3種の一般的種類の共通
の特徴の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:01) C12R 1:90 (C12Q 1/68 1:93 C12R 1:645) C12N 15/00 ZNAA (C12Q 1/68 C12R 1:90) (C12Q 1/68 C12R 1:93) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA12 AA13 CA03 CA04 CA09 HA14 4B063 QA01 QA12 QA13 QA19 QQ03 QQ06 QQ07 QQ10 QQ42 QR32 QR38 QR55 QR62 QS15 QS25 QS34

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的核酸分子を含む可能性のある生物学的試料から遺伝情報
    を得る方法であり: a)(i)試料中の標的核酸分子、又は(ii)該試料中の標的核酸分子にハイブリダ
    イズするプローブ、又は(iii)(i)もしくは(ii)の増幅産物、又は(iv)(i)のゲノ
    ム提示であるような核酸分子を提供する段階;並びに b)(a)の核酸分子を、5種より多い最小ゲノム派生物を有しかつ標的核酸分子を
    検出することができる検出配列を含むような検出アンサンブルと、接触又は比較
    することによる、標的核酸分子を検出する段階を含む、方法。
  2. 【請求項2】 更に段階(b)で検出された核酸分子を同定する段階(c)を含む
    、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 検出アンサンブルが11種より多い最小ゲノム派生物を有する
    、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 段階(a)の核酸分子が、マトリックス内又は固相支持体上に
    サイズ分画された断片として固定されない、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 4種よりも少ない増幅配列対を使用し、標的核酸分子が試料
    中に存在する場合に、増幅産物を得ることを更に含む、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 増幅が、単一の増幅配列対を用いて行われる、請求項5記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 インサイチューハイブリダイゼーションによる生物学的試料
    中の標的生物の定量に使用される、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 段階(a)に先立ち、試料の核酸分子を、IDプローブのアンサ
    ンブルに同時にハイブリダイズし、段階(a)(ii)のプローブを得る、請求項1記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 段階(a)(ii)のプローブが、(i)標的核酸分子へハイブリダイ
    ズすることが可能な第一の領域、及び(ii)増幅配列を含む、請求項1記載の方法
  10. 【請求項10】 試料中の核酸分子が固相支持体に固定されている、請求項
    1記載の方法。
  11. 【請求項11】 段階(a)の核酸分子が液相にある、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 段階(a)の核酸分子の少なくとも一部が、1種またはそれ以
    上のオリゴヌクレオチドタグを含む、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 段階(a)(ii)のプローブの少なくとも一部が、(i)標的核酸
    分子へのハイブリダイゼーション時に互いに連結することができる2個またはそ
    れ以上のオリゴヌクレオチド、及び(ii)増幅配列を含む、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 検出アンサンブルの検出配列が、固相支持体上の二次元ス
    ポット又は並行ストリップとして並べられている、請求項1記載の方法。
  15. 【請求項15】 IDプローブアンサンブルが、各々異なる属に属する少なく
    とも10種の異なるウイルスに各々由来する、少なくとも2種の異なる核酸分子に
    ハイブリダイズするプローブを含む、請求項8記載の方法。
  16. 【請求項16】 生物学的試料が、胃腸管試料であり、かつ遺伝情報が、大
    腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)、腸炎エ
    ルニシア(Yersinia enterocolitica)、コレラ菌(Vibrio cholera)、カンピロバ
    クター・フェカーリス(Campylobacter fecalis)、クロストリジウム・ディフィ
    シル(Clostridium diffecile)、ロタウイルス(Rotavirus)、ノーウォークウイル
    ス(Norwalk virus)、アストロウイルス(Astrovirus)、アデノウイルス(Adenovir
    us)、コロナウイルス(Coronavirus)、腸鞭毛虫(Giardia lamblia)、赤痢アメー
    バ(Entamoeba histolytica)、ブラストシスティス・ホミニス(Blastocystis hom
    inis)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、微胞子虫(Microsporidium)、
    アメリカ鉤虫アメリカナス(Necator americanus)、回虫(Ascaris lumbricoides)
    、ヒト鞭虫(Trichuris trichiura)、ギョウ虫ベルミカラリス(Enterobius vermi
    cularis)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)、オピストルキス・ビベリニ(Os
    thorchis viverrini)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、及び小形条虫(Hymenople
    pis nana)の6種またはそれ以上からの該試料中の核酸分子の同定である、請求項
    1記載の方法。
  17. 【請求項17】 生物学的試料が、気道試料であり、かつ遺伝情報が、ジフ
    テリア菌(Cornybacterium diphtheriae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)
    、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、トラコーマ病原体(Chlamydia
    trachomatis)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、百日咳菌(Bordetella
    pertussis)、レジオネラ菌(Legionella spp.)、ノカルジア菌(Nocardia spp.)、
    肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus inf
    luenzae)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、緑膿菌(Pseudomonas a
    eruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ヒストプラスマ・カプ
    シェラタム(Histoplasma capsulatum)、コクシドイデス・イミティス(Coccidoid
    es immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Crptococcus neofornans)
    、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、ニュー
    モシティス・カリニ(Pneumocystis carinni)、呼吸器合胞体ウイルス(Respirato
    ry Syncytial Virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、単純ヘルペスウイルス(He
    rpes simplex virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、パラインフ
    ルエンザウイルス(Parainfluenza virus)、及びライノウイルス(Rhinovirus)の6
    種またはそれ以上からの該試料中の核酸分子の同定である、請求項1記載の方法
  18. 【請求項18】 生物学的試料が、血液試料であり、かつ遺伝情報が、コア
    グラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulase-negative staphylococci)、黄色ブドウ球菌
    、ビリダンス連鎖球菌(Viridans streptococci)、腸球菌(Enterococcus spp.)、
    β-溶連菌(Beta-hemolytic streptococci)、肺炎連鎖球菌、エシェリキア属(Esc
    herichia spp.)、クレブシエラ属(Klebsiella spp)、シュードモナス属(Pseudom
    onas spp.)、エンテロバクテロ属(Enterobater spp.)、プロテウス属(Proteus s
    pp.)、バクテロイデス属(Bacteroides spp.)、クロストリジウム属(Clostridium
    spp.)、緑膿菌、コルニバクテリウム属(Corynybacterium spp.)、プラズモディ
    ウム属(Plasmodium spp.)、ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani)、
    トキソプラズマ属(Toxoplasma spp.)、ミクロフィラリア(Microfilariae)、真菌
    、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシドイデス
    ・イミティス(Coccidoides immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、
    カンジダ属(Candida spp.)、HIV、単純ヘルペスウイルス、C型肝炎ウイルス(Hep
    atitis C virus)、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus)、サイトメガロウイル
    ス(Cytomegalovirus)、及びエプスタイン-バーウイルス(Epstein-Barr virus)の
    6種またはそれ以上からの該試料中の核酸分子の同定である、請求項1記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 遺伝情報が、コクサッキーウイルスA(coxsakievirus A)、
    単純ヘルペスウイルス、セントルイス脳炎ウイルス(St. Louis encephalitis)、
    エプスタイン-バーウイルス、ミクソウイルス(myxovirus)、ヒトポリオーマウイ
    ルス(JC virus)、コクサッキーウイルスB、トガウイルス(togavirus)、麻疹ウイ
    ルス(measles virus)、肝炎ウイルス、パラミクソウイルス(paramyxovirus)、エ
    コーウイルス(echovirus)、バンヤウイルス(bunyavirus)、サイトメガロウイル
    ス、水痘-帯状疱疹ウイルス(viricella-zoster virus)、HIV、ムンプスウイルス
    (mumps virus)、ウマ脳炎ウイルス(equine encephalitis virus)、リンパ球性脈
    絡髄膜炎ウイルス(lymphocytic choriomeningitis virus)、狂犬病ウイルス(rab
    ies virus)、及びBKウイルスの6種またはそれ以上からの試料中の核酸分子の同
    定である、請求項1記載の方法。
  20. 【請求項20】 核酸プローブのアンサンブルを含むプローブの少なくとも
    50%が、試料中もしくは試料のゲノム提示中に存在する可能性のある予め決定し
    たゲノム差配列にハイブリダイズすることが可能である、請求項8記載の方法。
  21. 【請求項21】 生物学的試料から遺伝情報を得るためのキットであり: a)複数のIDプローブ及び/又はSNPプローブ;及び b)(a)のプローブに合致する検出配列を含む検出アンサンブルであり、ここで検
    出アンサンブルが、5種よりも多いゲノム派生物を有するものを含む、キット。
  22. 【請求項22】 (a)が、10種よりも多い異なる増幅可能なプローブを含む
    、請求項21記載のキット。
  23. 【請求項23】 (a)が、50種よりも多い異なる増幅可能なプローブを含む
    、請求項22記載のキット。
  24. 【請求項24】 (a)が、250種よりも多い異なる増幅可能なプローブを含む
    、請求項23記載のキット。
  25. 【請求項25】 検出アンサンブルが、11種よりも多い最小ゲノム派生物を
    含む、請求項21記載のキット。
  26. 【請求項26】 (a)が、5ファミリーよりも多い増幅可能なプローブを含む
    、請求項21記載のキット。
  27. 【請求項27】 (a)のプローブが、少なくとも2種の異なる分類群に特異的
    である、請求項21記載のキット。
  28. 【請求項28】 (a)のプローブが、少なくとも2種の異なる種に特異的であ
    る、請求項27記載のキット。
  29. 【請求項29】 (a)のプローブが、少なくとも2種の異なる属に特異的であ
    る、請求項27記載のキット。
  30. 【請求項30】 (a)のプローブが、少なくとも2種の異なる界に特異的であ
    る、請求項27記載のキット。
  31. 【請求項31】 (a)のプローブが、(i)標的核酸分子のID配列へのハイブリ
    ダイゼーション時に、互いに連結することができる2種またはそれ以上のオリゴ
    ヌクレオチド、及び(ii)増幅配列を含む、請求項21記載のキット。
  32. 【請求項32】 (a)のプローブ及び/又は(b)の検出配列が、固相支持体の
    異なる位置に物理的に付着されている、請求項21記載のキット。
  33. 【請求項33】 (a)のプローブの少なくとも50%が、少なくとも3種の異な
    る種に由来したゲノム差配列を含む、請求項21記載のキット。
  34. 【請求項34】 (i)分類学群のメンバー及び(ii)密接に関連した分類学群
    を検出する検出アンサンブルにより構成された検出配列が、支持体上に互いに隣
    接して配置されている、請求項32記載のキット。
  35. 【請求項35】 4種よりも少ない増幅配列対を用いて増幅することができ
    、かつ3種よりも多いIDプローブのファミリー及び10種よりも多い異なるIDプロ
    ーブを含む、IDプローブのアンサンブル。
  36. 【請求項36】 50種よりも多い異なる増幅可能なIDプローブを含む、請求
    項35記載のアンサンブル。
  37. 【請求項37】 250種よりも多い異なる増幅可能なIDプローブを含む、請
    求項36記載のアンサンブル。
  38. 【請求項38】 10種よりも多い増幅可能なIDプローブのファミリーを含む
    、請求項35記載のアンサンブル。
  39. 【請求項39】 25種よりも多い増幅可能なIDプローブのファミリーを含む
    、請求項35記載のアンサンブル。
  40. 【請求項40】 前記の種以上の増幅可能なプローブのファミリーが、重複
    しない分類群に特異的である、請求項35記載のアンサンブル。
  41. 【請求項41】 前記の2種以上の増幅可能なプローブのファミリーが、異
    なる種に特異的である、請求項35記載のアンサンブル。
  42. 【請求項42】 前記の2種以上の増幅可能なプローブのファミリーが、異
    なる属に特異的である、請求項35記載のアンサンブル。
  43. 【請求項43】 前記の2種以上の増幅可能なプローブのファミリーが、異
    なる界に特異的である、請求項35記載のアンサンブル。
  44. 【請求項44】 (a)のプローブが、(i)標的核酸分子のID配列へのハイブリ
    ダイゼーション時に、互いに連結することができる2種またはそれ以上のオリゴ
    ヌクレオチド、及び(ii)増幅配列を含むプローブを含む、請求項35記載のアンサ
    ンブル。
  45. 【請求項45】 プローブの少なくとも50%が、少なくとも3種の異なる種
    に由来したゲノム差配列を含む、請求項35記載のアンサンブル。
  46. 【請求項46】 (i)分類学群のメンバー及び(ii)密接に関連した分類学群
    を検出する検出アンサンブルにより構成された検出配列が、支持体上に互いに隣
    接して配置されている、請求項35記載のアンサンブル。
  47. 【請求項47】 標的核酸分子を含む可能性のある生物学的試料から遺伝情
    報を得る方法であり: a)5種よりも多い最小ゲノム派生物を有する核酸プローブのアンサンブルを提供
    する段階; b)プローブのアンサンブルを、同時に、試料の核酸分子と接触する段階; c)該プローブと該試料中のいずれかの標的核酸の間のハイブリダイゼーションを
    検出する段階;及び d)段階(c)で検出された核酸分子を同定する段階を含む、方法。
  48. 【請求項48】 連結することができるオリゴヌクレオチドが、SNPプロー
    ブである、請求項13記載の方法。
  49. 【請求項49】 SNPプローブの少なくとも一部が、該SNPプローブに合致し
    たタグ配列のアンサンブルを含む検出アンサンブル中のタグ配列にハイブリダイ
    ズすることができるタグ配列を含む、請求項48記載の方法。
  50. 【請求項50】 検出アンサンブルが、20種よりも多い最小ゲノム派生物を
    有する、請求項48記載の方法。
  51. 【請求項51】 検出アンサンブルが、50種よりも多い最小ゲノム異型を有
    する、請求項50記載の方法。
  52. 【請求項52】 段階(a)(iv)の増幅産物が、4種を越えない増幅配列対を用
    いる、段階(a)(i)の標的核酸分子の増幅により作製される、請求項1記載の方法
  53. 【請求項53】 増幅配列が、Alu特異的プライマーを用いるAlu反復間にあ
    る配列の増幅を指示する、請求項52記載の方法。
  54. 【請求項54】 段階(b)の検出アンサンブルが、段階(a)(iv)で増幅された
    可能性のあるIDプローブに合致するID部位を含む、請求項52記載の方法。
  55. 【請求項55】 生物学的試料から遺伝情報を得るキットであり: a)IDプローブを得るために、生物学的試料中の標的ゲノムDNAの反復配列に隣接
    するDNA配列の増幅を開始することが可能である複数の核酸プライマー;及び b)(a)のプライマーを用いて増幅することが可能であるIDプローブと合致する検
    出配列を含む検出アンサンブルであり、ここで検出アンサンブルが5種よりも多
    い最小ゲノム派生物を有するものを含む、キット。
  56. 【請求項56】 検出アンサンブルが、20種よりも多い最小ゲノム派生物を
    有する、請求項55記載のキット。
  57. 【請求項57】 反復配列がヒトAlu反復であり、かつプライマーがAlu特異
    的プライマーである、請求項55記載のキット。
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