JP2003501375A - 移植可能なゲル組成物および製造方法 - Google Patents

移植可能なゲル組成物および製造方法

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プレストレルスキィ、スティーヴン、ジェイ
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Abstract

(57)【要約】 移植可能なシステムからの有益な薬剤のバースト(噴出)を減少させるための方法および組成物が記載される。そのようなシステムは、生浸食性および生体適合性担体中に分散された、場合により溶解速度調節剤あるいはステアリン酸とパルミチン酸との混合物のような水中への低い溶解性の特性を示す作用剤と混合された、有益な薬剤の圧縮された粒子を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、一般に有益な薬剤(beneficial agent)の制御さ
れた放出を提供する移植可能な組成物に関する。特に、本発明は、ゲルのような
担体、そしてゲル組成物または使用の水性環境との相互作用または溶解性がゲル
のバルク特性および有益な薬剤に伴う微(ミクロ)環境により調節されることが
出来る有益な薬剤の組成物に関する。本発明はまた、本発明の製造する方法に関
する。
【0002】 (背景技術) 移植可能な重合体マトリックスから医薬および他の有益な薬剤の送り出しのた
めに多数のシステムが記載されて来た。そのようなシステムに関する代表的な特
許は例えば口腔内移植のためのシステムを記載する米国特許第5,085,86
6号を包含する。米国特許第5,019,400号は制御された放出性微小球の
製造を記載している;米国特許第4,938,763号およびその分割の米国特
許第5,278,201号は、その場での形成性固体生分解生移植を記載してい
る;米国特許第5,599,552号は、囲んでいる組織から水を迅速に吸収す
ることが出来る重合体を生じる、N−メチル−2−ピロリドンのような、水中に
混和性ないし分散性である溶媒を使用する熱可塑性および熱硬化性重合体を記載
している;米国特許第5,242,910号は歯周病を治療するための医薬を含
有する持続性放出組成物を記載している;米国特許第5,620,700号は歯
根膜腔への医薬の局所適用のために、約30重量%までの量で可塑剤を場合によ
り含む、重合体−医薬マトリックスを記載している;そして米国特許第5,55
6,905号はクエン酸の種々の部分エステルからなる可塑剤により変性されて
いる分解可能な熱可塑性組成物を記載している。
【0003】 移植可能なシステムは、多くの場合に移植直後に多すぎる活性剤を放出する望
ましくない“バースト(噴出:burst)”作用を生ずる移植直後の或る時間
期間中に制御された様式で活性剤、特に高度に水溶性である活性剤を送り出すこ
とに、多くの場合に困難性を有する。その問題に取り組むために当業界において
種々の組成物および方法が記載されている。
【0004】 米国特許第5,759,563号は、活性剤が制御された放出性成分中に導入
され、これは次に液体成分中に溶解されるか、分散されるかまたは吸収される、
固体構造体を形成するために用いられることが出来る、液体送り出しシステムを
記載している。記載されているように、制御された放出性成分はミクロ構造体、
マクロ構造体、共役体、複合体または低水溶性塩を包含することが出来る。制御
された放出性成分は活性剤の実質的な量の初期の損失なしに、配合物が固化する
のを可能にする、活性剤の放出に追加の時間を提供すると記載されている。開示
されている種々の制御された放出成分の中で、その特許は、活性剤を担体分子に
共有的に結合することにより担体分子との複合体として導入されることが出来、
該担体分子は典型的には重合体であろうがしかし、エステルまたはアミド結合を
介して結合されているステアリン酸のような小さな有機分子であることが出来る
ことを開示している。その特許の例2において、80℃で溶融されたポリ(セバ
チン酸)からガニレリックス(ganirelix)アセテート粉末が形成され
て、これはガニレリックスアセテートが単にポリ酢酸/N−メチル−2−ピロリ
ドン溶液に溶解されたときに観察されるガニレリックスアセテートのバーストを
減少させると記載されている粉末を提供する。
【0005】 米国特許第5,162,057号は、ポリグリセロールの脂肪酸エステルから
なるかまたはそれを含有する固体製剤のためのコーティング剤を記載している。
その特許はさらに、コーティング剤がとりわけステアリン酸およびパルミチン酸
またはそれらの塩のような脂肪酸を含む、脂質またはワックスのような柔軟化剤
を含有してもよいことを記載している。そのコーティングはパンコーティング法
で行われるかまたは別法として溶融しそしてその作用剤を他の添加剤と混合する
ことによりあるいは乳化可能にするために加熱しそして次に水と混合することに
よりエマルションの形で行われるとして記載されている。そのエマルションは固
体製剤の表面上に噴霧しそして乾燥してコーティングされた製剤を得る。
【0006】 米国特許第4,341,759号は粒子の表面に向かって減少させていく濃度
の活性剤を有するコーティングされた粒子を記載している。その特許は、放出速
度を制御するために、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリルおよびセチル
アルコールを包含する、ワックス、脂肪酸およびそれらのエステル、および脂肪
酸アルコールのような非活性親油性物質を記載している。そのコーティングはコ
ーティングパンまたは流動床装置において適用されるとして記載されている。
【0007】 米国特許第4,351,825号は、活性剤が顆粒化組成物に形成され、次に
大きな分子の脂肪酸のエステルのような制御用剤と混合されてそして錠剤に圧縮
される制御された放出性錠剤の製造を記載している。その制御用剤は脂質の性質
を有しそして錠剤中への水の浸透を制御するための活性剤の粒子の空間に存在す
るとして記載されている。
【0008】 J.Pharm.Pharmacol.33.第733頁〜第734頁(19
81)においてMesiha等による“Hypoglycaemic effe
ct of oral insulin preparations cont
aining Brij 35,52,58 or 92and steari
c acid”は85℃で造られた吸収促進剤ブリジ(Brij)およびインシ
ュリンとのステアリン酸の溶融物を記載している。その記事は、乳化されたステ
アリン酸のミセルが粘膜を横切ってインシュリンを運ぶことが出来ることそして
疎水性であるブリジ(Brij)と共にのステアリン酸の顆粒化はインシュリン
の安定性を高めることが出来ることを推測している。
【0009】 Journal of Liposome Research,7(1)第1
55頁〜第156頁(1977)におけるFoldvari,M.およびMor
eland A.による“Clinical Observations Wi
th Topical Liposome−Encapsulated Int
erferon Alpha For The Treatment Of G
enital Papillomavirus Infections”は、溶
媒蒸発法による、2:1:1.4のモル比で大豆ホスファチジルコリン:コレス
テロール:ステアリン酸から構成される多重積層リポソーム中へのアルファ−イ
ンターフェロン−2bのカプセル化を記載している。
【0010】 脂肪酸の種々の塩および脂肪酸エステルは持続された放出適用において有用で
あるとして先行技術において記載されている。例えば米国特許第4,851,2
20号は、アルミニウムモノ−脂肪酸エステルのようなゲル化剤を含んでよい油
性ゲルを記載している。米国特許第4,650,665号はステアリン酸カルシ
ウム、デキストランおよびひまし油の好ましいマトリックスを記載している。米
国特許第5,474,980号は、種々の脂肪酸エステル、例えばトリグリセリ
ド類あるいはトリグリセリド類と脂肪酸(好ましくはほんの小さい割合、例えば
約10%未満での遊離脂肪酸)との混合物から造られた生体適合性油を含むポリ
ペプチド類の投与のための組成物を記載している。米国特許第5,628,99
3号は、ペプチド類またはたんぱく質そしてパルミチン酸およびステアリン酸の
ような飽和脂肪酸のポリグリセロールジエステルを含有するマトリックスから形
成された非経口医薬製剤を記載している。
【0011】 移植からの有益な薬剤のバースト(噴出)を制御するための高度に有効なシス
テムは1997年12月18に出願された関連出願シリアル第08/993,2
08号において記載されている。そのようなシステムはゲルを形成しそして塊状
重合体システム中への水の進入の速度を制御し、それにより、他の場合では使用
の環境にさらされた際に起こる可能性が有益な薬剤のバースト(噴出)を減少さ
せる、重合体/溶媒組成物に基づいている。重合体マトリックスの塊状特性を制
御することにより達成されるそのようなシステムの有効性および有利な結果にも
かかわらず、活性剤の制御された放出における追加の改良が、そのようなシステ
ムを、本明細書に記載されているとおりにゲル内の制御された微(ミクロ)環境
に存在する有益な薬剤と組み合わせることにより達成されることが出来ることが
見い出された。
【0012】 (発明の開示)発明の概要: 本発明は担体中に分散された有益な薬剤の圧縮された粒子を含む移植可能な組
成物からなりそして製造方法からなる。圧縮は粒子の表面積対質量の比を減少さ
せそして使用の環境において体液にさらされたときに、有益な薬剤の溶解、分散
または拡散の速度を減少させる。本発明を実施すると、有益な薬剤のバースト(
噴出)を減少させ、それにより強い副作用を最小にしそして有益な薬剤のための
担体の装荷能力を増大させ、その結果、1回の移植からの有益な薬剤の送り出し
が延長された時間期間にわたって延長されることが出来る。このことは数カ月ま
たは数年でさえも延長された時間期間にわたって有益な薬剤の投与が行われなけ
ればならない場合に、一層少ない回数での移植を可能にする。
【0013】 1つの面において、本発明の組成物は担体、例えば生体適合性および生浸食性
(bioerodible)粘性ゲルそして圧縮された有益な薬剤を含む粒子か
らなり、その粒子は該担体中に分散されている。その粒子は、圧縮された有益な
薬剤を単独であるいは医薬的に許容出来る不活性成分と混合して形成されること
が出来る。該担体は生体適合性重合体からなっていてもよくそして本明細書に記
載されているとおりにして適当な溶媒と組み合わせてゲルを形成してもよい。
【0014】 他の面において、本発明の組成物は、担体、例えば粘性ゲルそして圧縮された
有益な薬剤を含む粒子からなり、そして該粒子は該担体内に分散されており、そ
して圧縮された粒子は、使用の環境に置かれたときに、有益な薬剤の溶解速度を
調節する作用剤と混合して形成されるかあるいは担体内に溶解されるか分散され
た溶解速度調節剤と共に、圧縮された有益な薬剤を、単独でそして場合により他
の医薬的に許容出来る不活性成分と共に形成されている。担体は生体適合性であ
りそして生浸食性であることが出来る。
【0015】 なお他の面において、本発明の組成物は担体、例えば粘性ゲルそして有益な活
性剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との圧縮された混合物からなる粒
子を含み、該粒子は該担体内に分散されている。水中への低い溶解性の特性を示
す作用剤は疎水性であることが出来る。担体は生体適合性でありそして生浸食性
であることが出来る。
【0016】 1つの面において、疎水性剤は、疎水性特性を示す医薬的に許容出来る油、脂
肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスまたはそれらの誘導体から選ばれること
が出来る。好ましくは本組成物中の疎水性剤はC16〜C24脂肪酸あるいはそのエ
ステルまたは医薬的に許容出来る塩または上記物質の混合物からなる。本組成物
の疎水性剤はステアリン酸とパルミチン酸との混合物からなってもよい。通常、
市販のステアリン酸はステアリン酸とパルミチン酸との混合物として供給され、
その混合物において、ステアリン酸とパルミチン酸とは一緒にして、疎水性剤の
脂肪酸の少なくとも90重量%を構成しそしてステアリン酸は疎水性剤の脂肪酸
の少なくとも40重量%を構成する。さらに精製された形において、ステアリン
酸とパルミチン酸とは一緒にして、疎水性剤の脂肪酸の少なくとも96重量%を
構成しそしてステアリン酸は疎水性剤の脂肪酸の少なくとも90重量%を構成す
る。他の市販級のステアリン酸は約90重量%のステアリン酸からなりそして残
りが主としてパルミチン酸である。
【0017】 本発明の他の面において、上記組成物の圧縮された粒子は粉末を含む。その粉
末は粒子の90%又はそれ以上が50メッシュのふるいを通過しそして400メ
ッシュのふるい上に保持されるような大きさに造られることが出来る。多くの場
合、70メッシュスクリーン中を通過しそして400メッシュススクリーン上に
保持される基準で選ばれる。本明細書および記載を通じてメッシュ寸法はUS標
準である。
【0018】 有益な薬剤は水溶性であってもよく、または水不溶性であってもよくそして小
さな分子であってもまたは大きな分子であってもよい。しかしながら、本発明の
利点は水溶性の有益な薬剤の場合において最も有利に実現されることが出来る。
もし有益な薬剤が、水不溶性の有益な薬剤の場合においては粘性ゲル担体中に典
型的に存在する、重合体または溶媒のような担体の成分と相互作用するかまたは
使用の水性環境下に相互作用するならば、一般に本発明の利点が実現される。
【0019】 本発明は、有益な薬剤がDNA、cDNA、生物学的に活性な高分子、たんぱ
く質類、ペプチド類およびポリペプチド類から選ばれる組成物に特定の適用を見
い出している。数種のそのような有益な薬剤の例は、ヒト成長ホルモン、アルフ
ァ−、ベータ−またはガンマ−インターフェロン、エリスロポイエチン、グルガ
コン(glugacon)、カルシトニン、ヘパリン、インターロイキン−1、
インターロイキン−2、インターロイキン−11およびインターロイキン12の
ようなインターロイキン、第VIII因子、第IX因子、黄体形成ホルモン、レ
ラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利尿因子またはフイルグラスチ
ム(filgrastim)である。
【0020】 本発明の他の面において、本組成物は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ
カプロラクトン、ポリ酸無水物。ポリアミン、ポリウレタン、ポリエステルアミ
ド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン(polydioxanones)
、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカボネート、ポリオルトカーボネート、
ポリホスファゼン、スクシネート、ポリ(りんご酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ
ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチ
ン、キトサン、そしてそれらの共重合体、三元重合体および混合物からなる群か
ら選ばれる重合体を含む。
【0021】 なお他の面において、重合体はインプラント(implant)中への多量の
水の吸い込みを制限する、溶媒または溶媒システムと組み合わされることが出来
る。そのような溶媒または溶媒システムは本明細書中において確認されておりそ
して安息香酸のアルキルまたはアラルキルエステルを包含することが出来る。現
在好ましいシステムにおいて、本組成物は重合体ポリ(ラクチド−コ−グリコー
ル)酸(“PLGA”)および溶媒安息香酸ベンジルまたは安息香酸エチルを含
み、そのシステム中にステアリン酸と有益な薬剤との圧縮された混合物の粒子が
分散される。
【0022】 本発明の他の面において、有益な薬剤の放出の持続期間は、重合体のための溶
媒の適当な選択により都合良く修正されることが出来る。例えば、PLGAおよ
びヒト成長ホルモンの場合において、安息香酸ベンジルは1ヵ月またはそれより
長い位数での放出持続期間を提供することが出来そして安息香酸エチルは約1週
間の位数の放出の持続期間を提供することが出来る。
【0023】 他の面において、本発明は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラク
トン、ポリ酸無水物、ポリアミン、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオ
ルトエステル、ポリジオキサノン(polydioxanones)、ポリアセ
タール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホス
ファゼン、スクシネート、ポリ(りんご酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キト
サンおよびそれらの共重合体、三元重合体および混合物から選ばれた重合体そし
て安息香酸のアルキルまたはアラルキルエステルから選ばれた溶媒を含む生浸食
性担体そして有益な薬剤と(医薬的に許容出来る油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エス
テル、ワックス、それらの誘導体または上記物質の混合物からなる群から選ばれ
た)水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との圧縮された混合物を含む粒子を
含み、しかも該粒子はゲル内に分散されている、組成物からなる。
【0024】 好ましくは、本組成物中の疎水性剤は、C16〜C24脂肪酸あるいはそのエステ
ルまたはその医薬的に許容出来る塩あるいは上記物質の混合物を含む。最も好ま
しくは、本組成物の疎水性剤は、ステアリン酸とパルミチン酸との混合物を含む
。通常、市販のステアリン酸はステアリン酸とパルミチン酸との混合物として供
給され、その混合物において、ステアリン酸とパルミチン酸とを一緒にして疎水
性剤の脂肪酸の少なくとも90重量%を構成しそしてステアリン酸は疎水性剤の
脂肪酸の少なくとも40重量%を構成する。さらに純粋な形でステアリン酸とパ
ルミチン酸とは一緒にして疎水性剤の脂肪酸の少なくとも96重量%を構成しそ
してステアリン酸は疎水性剤の脂肪酸の少なくとも90重量%を構成する。上記
組成物の粒子は粉末からなっていてよい。その粉末は50メッシュのふるいを通
過することが出来そして好ましくは粉末からなる粒子の90%またはそれ以上は
70メッシュスクリーンを通過しそして400メッシュスクリーン上で保持され
る。
【0025】 追加の面において、本発明は、場合により溶解速度調節剤または水中への低い
溶解性の特性を有する作用剤と混合された、顆粒化または粉末化有益な薬剤を圧
縮して顆粒化の後に、有益な薬剤および任意成分を含む圧縮された粒子を提供す
る、本発明の組成物を造る方法からなる。圧縮は、材料を圧縮しそして圧縮体を
造るのに十分に高い圧力で、場合に応じて錠剤化、ローラー圧縮化または適当な
大きさのダイスを通過させての押し出しによるような、有益な薬剤の単独の圧縮
または混合物の圧縮により達成されることが出来る。次に圧縮体は摩砕されるか
または粉砕されて、圧縮された物質の、粒子、例えば顆粒または粉末の大きさの
粒子を形成する。その圧縮された粒子は生体適合性担体中に分散されて本発明の
移植可能な組成物を形成する。
【0026】 本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、図面と一緒に以下の詳細な
記載を読んだときに一層容易に理解されるだろう。
【0027】発明の詳細な記載: 本発明は、本発明の組成物を含む移植可能なシステムを対象に移植することに
より対象に有益な薬剤を全身的にまたは局所的に投与するために有用な改良され
た組成物そしてそのような組成物を製造する方法に向けられている。
【0028】定義: 用語“AUC”は、組成物の移植の時間から移植後の時間“t”までに測定さ
れたときの、時間に対する対象における有益な薬剤の血液血漿濃度をプロットす
ることによる対象におけるインビボアッセイから得られた曲線下の面積を意味す
る。時間tは対象への有益な薬剤の送り出し期間に相当する。
【0029】 用語“有益な薬剤”は、単独であれあるいは他の医薬賦形剤または不活性成分
との組み合わせであれ、いずれにしても、ヒトまたは動物に投与の際に所望の有
益な、多くの場合薬理学的効果を結果として生ずる薬剤を意味する。
【0030】 用語“バースト指数(burst index)”は、有益な薬剤の全身的送
り出しのために意図された特定の組成物に関して、(i)所定の期間の時間の数
により割り算された対象への組成物の移植後の所定の時間期間について計算され
たAUCを(ii)送り出し期間の全体の持続期間において時間の数で割り算さ
れた、有益な薬剤の送り出し期間について計算されたAUCにより割り算するこ
とにより形成された数(割って出た数)を意味する。本明細書において、言及さ
れるバースト指数の数値を参照する目的のために、所定の時間は24時間である
。しかしながら、他の適用において、所定の期間の持続期間は有益な薬剤の種類
および治療の適用の種類によって左右される可能性があり、その結果、その所定
の期間は移植直後の短いがしかし測定出来る期間または一層長い期間であること
が出来る。しかしながら、ほとんどの適用において長い期間は96時間を超えて
延長することは予期されない。
【0031】 用語“圧縮された”は、或る材料または材料の混合物に関して、圧縮または圧
密化された後のその材料または材料の混合物の嵩密度が圧縮または圧密化まえの
それよりも大きいように、その材料または材料の混合物が圧縮または圧密化され
ることを意味する。圧縮または圧密化は慣用の方法を用いて上記混合物を錠剤化
またはペレット化することによりあるいは慣用の方法を用いて上記材料のローラ
ー圧縮または押し出しにより都合よく行われる。
【0032】 用語“圧縮された粒子”は、有益な薬剤に関してまたは有益な薬剤と溶解速度
調節剤との混合物に関してまたは有益な薬剤と水中への低い溶解性の特性を示す
作用剤との混合物に関して、それらの粒子がそれぞれ、有益な薬剤の圧縮された
または圧密化された粒子から形成されるかあるいは有益な薬剤の粒子と溶解速度
調節剤との圧縮されたまたは圧密化された混合物から形成されるかあるいは有益
な薬剤の粒子と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との圧縮されたまたは圧
密化された混合物から形成されることを意味する。その圧縮された粒子は、錠剤
化、ペレット化、ローラー圧縮または押し出し操作により形成されたような大き
な圧縮体または圧密化体から、それら圧縮または圧密化体を粉砕して顆粒または
粉末であってよい粒子を形成することによる顆粒化により形成されることが出来
る。その目的のために、粒子は一般に約0.1ミクロン〜約500ミクロン、一
層多くの場合、5ミクロン〜約400ミクロンの最大の大きさまたは寸法を有す
る。“顆粒”は一般に、粉末の平均の平均寸法より大きな平均寸法を有する粒子
を言う。用語“粒子”は顆粒および粉末を包含する。
【0033】 語句“分散された”は、担体中に、有益な薬剤あるいは有益な薬剤と溶解速度
調節剤との混合物あるいは有益な薬剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤
との混合物、の圧縮された粒子の存在を確立するすべての手段を包含しそして分
散、懸濁、等を含むことが意図される。
【0034】 用語“全身的”は、対象への有益な薬剤の送り出しまたは投与に関して、有益
な薬剤が対象の血液血漿中に生物学的に有意義な水準で検出出来ることを意味す
る。
【0035】 用語“局所”は、対象への有益な薬剤の送り出しまたは投与に関して、有益な
薬剤が対象における局所部位に送り出されるがしかし対象の血液血漿中に生物学
的に有意義な水準で検出出来ないことを意味する。
【0036】 本明細書において互いに交換的に用いられることが出来る、用語“ゲル”また
は“ゲルビヒクル”は、有益な薬剤の不存在下での重合体と溶媒との混合物によ
り形成される組成物を意味しそして例えば重合体溶液、ヒドロゲル、エマルショ
ン、ゼラチン、等を包含する。
【0037】 用語“延長された期間”は一般に約1週間またはそれより長く、そして好まし
くは約30日またはそれより長く、しかし3か月またはそれよりも長くてもよい
、本発明の移植から有益な薬剤の放出が起こっている時間の期間を意味する。
【0038】 用語“初期バースト(initial burst)”は、この発明の特定の
組成物に関して、(i)移植後の所定の初期の期間、典型的には96時間までの
時間期間の移植直後の時間期間において組成物から放出された有益な薬剤の重量
による量を、(ii)移植された組成物から送り出されるべき有益な薬剤の合計
量により割り算することによって得られた数(割って出た数)を意味する。初期
バーストは、インプラントの形状および表面積に依存して変化する可能性がある
ことが理解される。したがって、本明細書において記載された初期バーストに関
連するパーセンテージおよびバースト指数は、標準の注射器から本組成物を分配
すること生ずる形で試験される組成物に適用することが意図される。
【0039】 状況によりそのように要求されない限り、本明細書において使用されるときの
用語“ステアリン酸”は、ステアリン酸として販売されているステアリン酸(C 18362)とパルミチン酸(C16322)との市販されている混合物のことを
言う。好ましくはその混合物中のステアリン酸の含有量は40%より少ないこと
はなくそしてその2種の酸の合計は混合物の90%より少ないことはない。ステ
アリン酸は、典型的には綿実油または他の植物油の水素添加によりあるいは高い
圧力および高い温度で脂肪の加水分解して、上記混合物を生成することにより製
造される。
【0040】 用語“対象”は本発明の組成物の投与に関して動物またはヒトを意味する。
【0041】 少なくとも分子水準での、すべての溶媒は、或る非常に限られた程度に水に可
溶性(即ち水と混和性)であるので、本明細書において用いられるときの用語“
不混和性”は、溶媒の7重量またはそれ以下が水中に溶解性または水と混和性で
あることを意味する。この開示の目的のために、水中への溶媒の溶解度値は20
℃で測定されるべきであると考えられる。報告されるときの溶解度値は必ずしも
同じ条件で行われているとは限らない可能性があることが一般に認識されている
ので、範囲の部分として又は上限として、水と混和性または溶解性の重量として
の本明細書において挙げられた溶解度限界は絶対的なものではないだろう。例え
ば水中の溶媒溶解度について、上限が“7重量%”として本明細書中に挙げられ
そして溶媒についての追加の制限が与えられていないならば、水の100ml中
に7.17gの報告された水中の溶解度を有する溶媒“トリアセチン”は7%の
限界内に包含されると考えられる。本明細書において用いられるときの7重量%
未満の水中の溶解度限界と、溶媒トリアセチンあるいはトリアセチンに等しいか
またはトリアセチンより大きい溶解度を有する溶媒を包含しない。
【0042】 本発明は生浸食性および生体適合性担体、例えば粘性ゲルおよび圧縮された有
益な薬剤を含む粒子を含み、しかもその粒子は該担体内に分散されている。その
粒子は、圧縮された有益な薬剤を単独でまたは医薬的に許容出来る不活性成分と
混合して形成されることが出来る。さらに、圧縮まえに、有益な薬剤は溶解速度
調節剤または水中への低い溶解性を有する作用剤、例えば疎水性剤と混合される
ことが出来る。生浸食性担体は本明細書に記載されているような重合体を含むこ
とが出来そして多量の水吸い込みを制限するゲルのような粘性ゲルを形成するた
めに本明細書中に記載されているような適当な溶媒と組み合わされることが出来
る。
【0043】 錠剤への有益な薬剤の圧縮およびそのあとでの粉砕は、噴霧乾燥、溶液からの
沈殿、等のような従来の方法により有益な薬剤の粒子が形成される場合よりも小
さい表面積対質量比である有益な薬剤の粒子を提供する。インビトロ溶解研究に
おいて、表面積対質量の比における減少は水吸い込みの速度およびそのあとでの
有益な薬剤の溶解および分散を有意義に減少させないかもしれないが、本明細書
において記載されているとおりに、粘性重合体ゲル中のそのような圧縮された粒
子の組み合わせは、そのようなゲル中の圧縮されていない粒子と比較したときに
、粒子による水吸い込みにおいて有意義な減少を提供する。
【0044】 例えば、5ミクロンの程度の平均粒子径を有する噴霧乾燥により形成されたh
GHの非圧縮粒子は数秒のオーダーの時間期間で、USP溶解アッセイにおいて
、溶解する可能性があるけれども、同じまたは同様な寸法範囲の圧縮された粒子
は、数分のオーダーで溶解するだろう。本明細書において記載されたとおりの不
混和性溶媒を用いて形成された粘性重合体ゲルにおいて、圧縮されたhGH粒子
は、数日間または数週間の期間にわたって、それらの一体性を維持しそしてイン
プラントからの溶解および拡散の過程を続けることが出来る。有益な薬剤の粒子
の微環境(ミクロ環境)における減少した水吸い込みは、バースト(噴出)を調
節しまたは排除しそしてインプラントからの有益な薬剤の延長された放出を可能
にする。
【0045】 記載の目的のために、本発明の組成物の製造は、有益な薬剤と、疎水性剤のよ
うな水中への低い溶解性を示す作用剤の1種またはそれ以上との混合物に関して
例示されるだろう。医薬的に許容出来る賦形剤を含有してもよい有益な薬剤の単
独でのあるいは場合によって溶解速度調節剤と混合された有益な薬剤の、圧縮さ
れた粒子は、疎水性剤を包含させる工程が有益な薬剤単独の場合において排除さ
れる以外は、疎水性剤と共に形成される方法と同じ方法で形成されることが出来
る。もし粒子が有益な薬剤と溶解速度調節剤との混合物からなるならば、一般に
記載された方法おいての疎水性剤の代わりに、速度調節剤を用いて、追加の処理
のために必要な材料を提供するだろう。典型的には、次に、単独であるかまたは
混合しての有益な薬剤の圧縮された錠剤が慣用の錠剤化方法により形成され、そ
の錠剤は粉砕されるかまたは摩砕されそして得られた粒子はふるい用スクリーン
に通過されて大きさを整えられて、本明細書の何処かに記載されているような寸
法範囲の粒子を提供する。大きさを整えた後に、粒子はゲルと一緒にされてそし
て好ましい態様において注射器中に装入される。別法として、単独でのまたは上
記混合物においてのいずれかで有益な薬剤はローラー圧縮機で圧縮されそして次
に適当な寸法の粒子に粉砕されるかまたは摩砕される。
【0046】 したがって、本発明の1つの態様において、有益な薬剤と、水中への低い溶解
性の特性を示す作用剤との圧縮された混合物からなる圧縮された粒子は、移植可
能な担体中に分散される。圧縮された粒子は、有益な薬剤と水中への低い溶解性
の特性を示す作用剤との混合物をはじめに錠剤化するかまたはペレット化するこ
とにより都合よく形成される。絶対的な要件ではないけれども、好ましくは2種
の成分は、種々の成分の濃度が混合物全体にわたってほとんど同じであるように
、実質的に均質になるまで均密に混合されるだろう。所望の程度の混合を達成さ
せるために、それらが混合されるまえに、すでに粉末の状態になっていないなら
ば、有益な薬剤および水中への低い溶解性の特性を示す薬剤は粉末の状態になる
まで粉砕されてもよい。
【0047】 混合後、粒状混合物は、圧縮されて錠剤またはペレットを形成するかあるいは
ローラー圧縮されるかあるいは押し出されて、圧縮工程前の混合物の粒子の凝集
物の密度よりも大きな密度を有する圧縮体を形成する。都合よくは、有益な薬剤
と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との混合物は医薬製造工業において周
知である錠剤化用プレスのような慣用の錠剤化用プレスにおいて錠剤化される。
低い容量での生産のために簡単な手動での操作のCarverプレスが使用され
ることが出来る。大きな生産容量のために、自動化プレスが使用されることが出
来る。多数の市販の錠剤化用プレスはペンシルベニア州イーストンのMack Publishing発行のRemington’s Pharmaceuti
cal Science第18版第1647頁〜第1653頁(1990)にお
いて記載されておりそしてStokes−Pennwalt,Manesty、
等により製造されたプレスを包含する。次に、錠剤化された混合物は粉砕される
かまたは摩砕されて、混合物の圧縮された粒子を形成し、これは寸法調整スクリ
ーンを通過させてふるいにかけ、所望の粒子寸法範囲の圧縮された粒子を提供す
る。本明細書の何処かに記載されているように、圧縮された物品を形成するため
に、ローラー圧縮機および押し出し機がまた使用されることが出来、前記圧縮物
品は粉砕されるかまたは摩砕されそして寸法調整されて、担体中にわたって分散
されるための粒子を得ることが出来る。市販の圧縮機は、ドイツ国のRemsh
eidのAlexander Werkからそしてスイス国JonaのGert
eisから販売されている。
【0048】 持続された高められた温度条件下に変性する傾向があるたんぱく質またはペプ
チドのような熱に感受性である可能性がある有益な薬剤の場合において、圧縮の
時間を比較的に短く維持することが出来る。したがって、組成物の錠剤化中の圧
縮された組成物の温度における何らかの上昇は、短い持続時間に限定される。ま
た、ダイおよびプレスのパンチは、他の場合であったら有益な薬剤に有害に作用
する熱を消散させるために都合のよい熱の沈降を提供する。たとえ温度において
上昇があっても、それは一時的なものであってそして有益な薬剤、例えばたんぱ
く質、ペプチドまたは熱感受性である可能性がある他の物質に悪影響を及ぼさな
い。
【0049】 次に圧縮された粒子は生浸食性であってよい、生体適合性重合体のような担体
全体にわたって分散される。担体は、対象に外科手術により移植される固体また
は半固体であってよくあるいはその場で固化する液体としてまたはゲルとして注
射による移植のために造られてもよい。担体中の粒子の分散を維持する目的のた
めに、注射による移植の場合において粘性ゲルの使用が好ましい。
【0050】 水中への低い溶解性の特性を示し本発明において有用である作用剤は、有益な
薬剤の水中への溶解性より低い水中への溶解性を有する、アニオン性、カチオン
性、両性イオン性および非イオン性界面活性剤を包含することが出来そして有益
な薬剤との有害な相互作用がなくそして有益な薬剤との混合状態にあるときに圧
縮に適合性である他の疎水性物質を包含することが出来る。適当な作用剤は、上
記Remington’s Pharmaceutical Science第
267頁〜第268頁に記載されている界面活性剤のような界面活性剤から選ば
れることが出来る。現在好ましい作用剤はC16〜C24長鎖脂肪酸、そのような長
鎖脂肪酸のエステル、医薬的に許容出来る塩およびそれらの混合物を包含する。
ステアリン酸、パルミチン酸およびミリスチン酸、それらのエステルおよび医薬
的に許容出来る塩そして上記物質の混合物が特に好ましい。有益な薬剤を含有す
る圧縮された粒子に疎水性を与える他の作用剤は、コラーゲン、ワックス、脂質
、リポソームおよび重合体物質を包含することが出来る。
【0051】 溶解速度調節剤は、特定の混合物において、水中への低い溶解性の特性を示す
作用剤の代わりに用いられることが出来、そしてそのような調節剤(1種または
複数種)の選択は有益な薬剤の物理化学的特性により左右される可能性がある。
或る状況において、中に圧縮された粒子が分散されている、生浸食性担体中に溶
解速度調節剤(1種または複数種)を分布させることが望ましい。
【0052】 溶解速度調節剤は、関連出願および公開された特許および文献に記載されてお
りそして例えば米国特許第5,656,297号において記載されているような
金属カチオンおよび米国特許第5,674,534号に記載されている作用剤を
包含する(これらの特許の記載を参照することにより本明細書に組み入れる)。
さらに溶解速度調節剤は体積排除効果を生じそして(または)粒子の微環境(ミ
クロ環境)において水を払いのける材料を包含することが出来る。ある材料が水
を引きつける場合には、水の払いのけ剤の不存在下に存在するより多くの水が粒
子の微環境(ミクロ環境)に引き入れられないような正味の水払いのけ効果を有
する物質を選ぶことが重要である。これは、典型的には払いのけ用物質(sca
venging material)を存在させてまたは存在させずに、ゲルビ
ヒクルと有益な薬剤との混合物の水の合計吸い込みを評価することにより決定さ
れることが出来る。そのような調節剤は、モノ−、ジ−、トリ−カルボン酸、そ
れから形成されたエステル類、塩類およびアルコール類、ポリエチレングリコー
ルおよびポロキサマー(poloxamers)のような水溶性重合体から選ば
れることが出来る。3,000〜10,000ダルトンの分子量を有するポリエ
チレングリコールが用いられることが出来るがしかし一般に一層高い分子量の物
質が好ましい。そのような調節剤は、圧縮工程のまえに、慣用の方法、例えば噴
霧乾燥、凍結乾燥またはパンコーティングにより有益な薬剤と一緒にされること
が出来る。
【0053】 有益な薬剤は、場合により医薬的に許容出来る担体そして本発明により達成さ
れることが出来る有利な結果に実質的に有害に作用しない、酸化防止剤、安定剤
、浸透増進剤、等のよな追加の成分と組み合わせて、任意の生理的または薬理学
的に活性な物質または活性な複数の物質であることが出来る。有益な薬剤はヒト
または動物の身体に送り入れられることが知られておりそして重合体を溶解する
溶媒中よりもむしろ水中に優先的に溶解することが出来る任意の有益な薬剤であ
ることが出来る。これらの薬剤は医薬薬剤、薬、ビタミン類、栄養剤、等を包含
する。低い分子量の化合物、生物学的に活性な高分子類、たんぱく質類、ペプチ
ド類、遺伝子物質(genetic material)、栄養素、ビタミン類
、食品サプリメント類、セックス殺菌剤、妊娠抑制剤および妊娠促進剤は、この
記載に合うタイプの薬剤中に包含される。
【0054】 本発明によって送り出されることが出来る医薬剤は、末梢神経、アドレナリン
受容体、コリン受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、大観部位(
synoptic sites)、神経効果接合部位、内分泌系およびホルモン
系、免疫系、生殖系、骨格系、オータイド系、消化器系および排出系、ヒスタミ
ン系および中枢神経系に対して働く医薬を包含する。適当な薬剤は、例えばDN
A、cDNA、たんぱく質類、酵素類、ホルモン類、ポリヌクレオチド類、核た
んぱく質類、多糖類、糖たんぱく質類、リポたんぱく質類、ポリペプチド類、ス
テロイド類、鎮痛薬、局所麻酔薬、抗生物質、抗炎症コルチコステロイド類、眼
薬およびこれらの種の合成類似体から選ばれることが出来る。
【0055】 本発明の組成物により送り出されることが出来る医薬の例は、プロクロルペラ
ジンエジシル酸塩、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカミラミン、塩酸プ
ロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズアン
フェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコー
ル、塩化メタコリン、ピロカルピン塩酸塩、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン
、沃化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチ
ルフェニデート、テオフイリンコリネート(cholinate)、セファレキ
シン塩酸塩、ジフェニドール、塩酸メクリジン、プロクロルペラジンマレイン酸
塩、フェノキシベンザミン、マレイン酸チェチルペラジン、アニシンジオン、ジ
フェナジオン、四硝酸エリトリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタ
ゾラミド、メタゾルアミド、ベンドロフルメサイアザイド、クロロプロマイド(
chloropromaide)、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグ
リコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキサート、ア
セチルスルフイソキサゾール、エリスロマイシン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコ
ルチコステロン酢酸塩、コルチゾン塩酸塩、デキサメタゾンおよびベタメタゾン
のようなその誘導体、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エ
ストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール−3−
メチルエーテル、プレドニゾロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン酢酸塩、
19−ノル−プロゲステロン、ノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチス
テロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン
、ノルゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキ
セン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、
イソソルビジドジニトレート、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、
アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロル
プロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフイリン、グル
コン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリス
ロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸第一鉄、ビンカミン(vin
camine)、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノ
ン、マンドール(mandol)、クァンベンズ(quanbenz)、ヒドロ
クロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン(fenuf
en)、フルプロフェン(fluprofen)、トルメチン、アルクロフェナ
ック、メフェナム、フルフェナム、ジフィナル(difuinal)、ニモジピ
ン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジ
ン、チアパミル(tiapamil)、ガロパミル(gallopamil)、
アムロジピン、ミオフラジン(mioflazine)、リジノプリル、エナラ
プリル、エナラプリラート、カプトプリル、ラミプリル(ramipril)、
フアモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン(etintid
ine)、テトラトロール(tetratolol)、ミノキシジル、クロルジ
アゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリンおよびイミプラミンを包含するが
しかしそれらに限定されない。
【0056】 追加の例は骨形態発生たんぱく質類、インシュリン、コルヒチン、グルカゴン
、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormo
ne)、上皮小体ホルモンおよび下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、黄体
刺激ホルモン(プロラクチン)、コルチコトロピン、甲状腺刺激ホルモン(th
yrotropic hormone)、卵胞刺激ホルモン、絨毛ゴナドトロピ
ン、ゴナドトロピン放出ホルモン、うし成長ホルモン、ぶた成長ホルモン、オキ
シトシン、バソプレシン、GRF、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオチ
ミン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRH作動薬および拮抗薬、ロイプロリ
ド、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2bおよび
コンセンサス(consensus)インターフェロンのようなインターフェロ
ン、インターロイキン、ヒト成長ホルモンそしてメチオン(methione)
−ヒト成長ホルモンおよびデス−フェニルアラニン(des−phenylal
anine)ヒト成長ホルモンのようなそのようなその誘導体、うし成長ホルモ
ンおよびぶた成長ホルモンのような成長ホルモン、プロスタグランジンのような
妊娠抑制剤、妊娠促進剤、インシュリン様成長因子のような成長因子、凝固因子
、ヒト膵臓ホルモン放出因子、これらの化合物の類似体および誘導体およびこれ
ら化合物の医薬的に許容出来る塩あるいはそれらの類自体または誘導体を包含す
るがしかしそれらに限定されないたんぱく質類およびペプチド類である。
【0057】 本発明は、DNA、cDNA、生物学的に活性な高分子、たんぱく質類、ペプ
チド類およびポリペプチド類から選ばれた有益な薬剤の送り出しに対して特別の
適用性を有する。そのような有益な薬剤の幾つかの例は、ヒト成長ホルモン、ア
ルファ−、ベータ−またはガンマ−インターフェロン、エリスロポイエチン、グ
ルガコン(glugacon)、カルシトニン、ヘパリン、インターロイキン−
1、インターロイキン−2、インターロイキン−11およびインターロイキン−
12のようなインターロイキン類、第VIII因子、第IX因子、黄体形成ホル
モン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利尿因子またはフイル
グラスチム(filgrastim)である。
【0058】 本発明はまた、全身的副作用を避けるかまたは最小にするための化学療法薬の
局所適用のための化学療法薬を用いての適用を見い出している。化学療法薬を含
有する本発明のゲルは時間経過にわたって化学療法薬の持続的送り出しのための
腫瘍組織に直接注射されることが出来る。或る場合において、特に腫瘍の切除後
に、得られた孔部に、ゲルを直接移植してもよく、あるいはコーティングとして
残っている組織に適用してもよい。ゲルが手術後に移植される場合において、そ
のゲルが小さい直径の針を通過させなければならないことがないので、一層高い
粘度を有するゲルを使用することが出来る。本発明の実施に従って送り出される
ことが出来る代表的な化学療法薬は、例えばカルボプラチン、シスプラチン、パ
クリタキセル、BCNU、ビンクリスチン、キャンプトテシン(camptot
hecin)、エトポシド、サイトカイン類、リボチーム類、インターフェロン
類、オリゴヌクレオチド類、および腫瘍遺伝子の平行移動および転移を阻止する
オリゴヌクレオチド配列、上記薬の官能性誘導体、そして米国特許第5,651
,986号において記載されている薬のような一般に知られている化学療法薬を
包含する。本発明は、例えばシスプラチン、カルボプラチンおよびパクリタキセ
ルの水溶性誘導体のような水溶性化学療法薬の持続性送り出しにおいて、特定の
有用性を有する。バースト(噴出)作用を最小にする本発明のこれらの特性は、
あらゆる種類の水溶性の有益な薬剤の投与においてしかし特に臨床的に有用で且
つ有効であるがしかし有害な副作用を有しない化合物の投与において特に有利で
ある。
【0059】 上に記載されていない範囲で、上記米国特許第5,242,910号において
記載された有益な薬剤がまた使用されることが出来る。本発明の1つの特別の利
点は、微小カプセル化または微小球への加工が困難である酵素リゾチームそして
ウイルスおよび非ウイルスの両方のベクターに導入されるcDNAおよびDNA
により例示されるたんぱく質のような物質が、高い温度そしてしばしば他の処理
技術において存在する変性溶媒にさらされることにより起こされる水準の劣化な
しに、本発明の組成物中に導入されることが出来ることである。
【0060】 有益な薬剤は、粉末として得られることが出来るかあるいは、もし液体である
ならば、それはニュージャージー州EngelwoodのFuji Chemi
cal Industries(U.S.A.)Inc.により商標名Fuji
calinで販売されている無水燐酸カルシウムまたは日本の富山の富士化学工
業株式会社により商標名Neusilinで販売されている粉末化アルミノメタ
珪酸マグネシウムのような多孔質固体粒子に導入されることが出来る。
【0061】 圧縮化のための適当な有益な薬剤粒子は、典型的には、約0.1〜約200ミ
クロン、好ましくは約1〜約100ミクロンそしてしばしば1〜50ミクロン、
そして最も好ましくは2〜10ミクロンの平均粒子寸法を有する。慣用の凍結乾
燥処理はまた、適当な凍結と乾燥のサイクルを用いて種々の寸法の有益な薬剤の
粒子を形成するために用いられることが出来る。
【0062】 有益な薬剤のための移植可能な担体はゲルとして形成されることが出来る。ゲ
ルは粘性でありそして重合体から形成されることが出来る。ゲルは移植に多量の
水の吸い込みがまた制限されるような成分から形成されることが出来る。好まし
い担体システムは、1997年12月18日に出願された共係続中の出願シリア
ル第08/993,208号およびそれに対応しそして1998年7月2日に国
際公開された国際公開番号WO98/26359を有するPCT対応出願に詳細
に記載されているシステムを包含する。その公開出願は、本発明に関して特に有
用である塊状重合体システムの詳細について言及しているだろう。しかしながら
、他の重合体システムが同様に使用されることが出来る。
【0063】 本発明の重合体、溶媒およびし他の作用剤は生体適合性であるべきであり、即
ちそれらは使用の環境においす不当な刺激または壊死を起こしてはならない。使
用の環境は、液体環境でありそして皮下または筋肉間部分あるいはヒトまたは動
物の体腔からなってよい。
【0064】 本発明において有用であることが出来る重合体は生分解性であることが出来そ
してポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物、ポリ
アミン、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキ
サノン(polydioxanone)、ポリアセタール、ポリケタール、ポリ
カーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、スクシネート、ポ
リ(りんご酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリ
コール、ポリヒドロキシセルロース、キチン、キトサンそしてそれらの共重合体
、三元重合体および混合物を包含するがしかしそれらに限定されない。
【0065】 現在好ましい重合体は、ポリラクチド類であり、即ち本発明に従って達成され
ることが出来る有利な結果に実質的に影響しない少量の他の成分を含んでいても
よい、乳酸単独に基づくことが出来るかあるいは乳酸とグリコール酸とに基づく
共重合体であることが出来る、乳酸をベースとする重合体である。本明細書にお
いて用いられるものとして、用語“乳酸”は異性体であるL−乳酸、D−乳酸、
DL−乳酸およびラクチドを包含し、一方では用語“グリコール酸”はグリコリ
ドを包含する。通常PLGAとして称されるポリ(ラクチド−コ−グリコリド)
共重合体が最も好ましい。その重合体は、約100:0〜約15:85、好まし
くは約60:40〜約75:25の乳酸/グリコール酸の単量体比を有し、そし
て特に有用な共重合体は約50:50の乳酸/グリコール酸の単量体比を有する
【0066】 乳酸をベースとする重合体は、気相クロマトグラフィにより測定されたときに
約1,000〜約120,000、好ましくは約5,000〜約30,000の
数平均分子量を有する、上記米国特許第5,242,910号において示される
ように、その重合体は米国特許第4,443,340号の教示にしたがって造ら
れることが出来る。別法として、乳酸をベースとする重合体は、米国特許第5,
310,865号に記載された技術に従って、乳酸からあるいは(追加の共単量
体を有するかまたは有せずに)乳酸とグリコール酸との混合物から直接に造られ
ることが出来る。これらの特許のすべての内容を参照することによって本明細書
に組み入れる。
【0067】 適当な乳酸をベースとする重合体は市販されている。例えば5,000、10
,000、30,000および100,000、好ましくは約8,000〜13
,000そして最も好ましくは約10,000の分子量を有しそして重合体鎖の
加水分解およびそのあとでの破断への感受性を変化させるための広い種々の末端
基を有する50:50の乳酸:グリコール酸共重合体が(バージニア州ピーター
ズバーグの)ベーリンガーインゲルハイムから市販されている。追加の重合体は
例えば、(バージニア州、ピーターズバーグのベーリンガーインゲルハイムケミ
カルズインコーポレーテッド製の)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)
50:50 RESOMER(登録商標)L104、PLGA−104、コード
番号33007;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50RES
OMER(登録商標)RG206、PLGA−206、コード番号8815;ポ
リ(ラクチド−コ−グリコリド)50:50 RESOMER(登録商標)RG
502、PLGA−502、コード番号0000366;ポリ(D,L−ラクチ
ド−コ−グリコリド)50:50RESOMER(登録商標)、RG502H、
PLGA−502H、コード番号260187;ポリ(D,L−ラクチド−コ−
グリコリド)50:50 RESOMER(登録商標)RG503、PLGA−
503、コード番号0080765;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド
)50:50 RESOMER(登録商標)RG506、PLGA−506、コ
ード番号95051;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50
RESOMER(登録商標)RG755、PLGA−755、コード番号950
37を包含する。
【0068】 生体適合性重合体は、粘性ゲルの、約5〜約80重量%、好ましくは約30〜
約70重量%そしてしばしば40〜60重量%の範囲の量でゲル組成物中に存在
し、粘性ゲルは生体適合性重合体と溶媒との組み合わされた量からなる。溶媒は
移植可能なまたは注射可能な粘性ゲルを与えるために、本明細書に記載された量
で重合体に加えられる。
【0069】 溶媒は生体適合性でなければならずそして好ましくは重合体と粘性ゲルを形成
しそしてインプラントへの水吸い込みを制限すべきである。溶媒は、上記性質を
示す、単一種の溶媒または複数種の溶媒の混合物であることが出来る。用語“溶
媒”は、他のように特に示されない限り、単一種の溶媒あるいは複数種の溶媒の
混合物を意味する。広い範囲の溶媒が本発明において使用されることが出来る。
水中に不溶性または不混和性であると考えられるような限られた溶解度を有する
溶媒ばかりでなく、高度に溶解性、中程度に溶解性または辛うじて溶解性である
溶媒を包含する水溶性溶媒が使用されることが出来る。本発明は、有益な薬剤の
近辺にまたは有益な薬剤により水の吸い込みを遅延化させる傾向がある微環境(
ミクロ環境)を有益な薬剤のまわりに確立するので、水中に溶解性である重合体
のための溶媒は現在好ましくないけれども、そのような溶媒が使用されてもよい
。そのような溶媒は、例えばトリアセチン、ジアセチン,トリブチリン、くえん
酸トリエチル、くえん酸トリブチル、くえん酸アセチルトリエチルおよびくえん
酸アセチルトリブチルのようなくえん酸のエステル類、トリエチルグリセリド類
、りん酸トリエチル、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、ミネラルオイル、ポ
リブテン、シリコーン液体、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレング
リコール、オクタノール、乳酸エチル、プロピレングリコール、プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、グリセロールホ
ルマール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチ
ルスルホキシド、オレイン酸および1−ドデシルアザシクロ−ヘプタン−2−オ
ンそしてそれらの混合物を包含することが出来るがしかしそれらに限定されない
【0070】 移植による水の吸い込みを実質的に制限する溶媒の使用によりインプラントに
よる水の多量の吸い込みを制御することが現在好ましい。そのような溶媒は、水
中に不混和性として特徴づけられることが出来、即ち7重量%未満の水中への溶
解度を有する。好ましくは、溶媒は、水中に5重量%またはそれ以下の溶解性、
さらに好ましくは水中に3重量%又はそれ以下の溶解性そしてなお一層好ましく
は水中に1重量%またはそれ以下の溶解性である。最も好ましくは水中への溶媒
の溶解度は0.5重量%に等しいかまたはそれより低い。
【0071】 上記溶解度パラメータを有する溶媒は、安息香酸、フタル酸、サリチル酸のよ
なアリール酸の低級アルキルおよびアラルキルエステル、くえん酸トリエチル、
くえん酸トリブチル、等のようなくえん酸の低級アルキルエステル、そしてアリ
ール、アラルキルおよび低級アルキルケトンから選ばれることが出来る。好まし
い溶媒の中で、(i)以下の構造式: (式中、R1およびR2の各々が低級アルキルである場合は、R1とR2とを一緒に
した場合の合計炭素原子は4またはそれ以上であることを条件として、R1はア
リールまたはアラルキルであり、R2は低級アルキルまたはアラルキルであり、
そしてR1とR2とは場合により同じであるかまたは異なる)を有する化合物、(
ii)フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸の低級アルキルおよびアラル
キルエステルそして(iii)くえん酸の低級アルキルおよびアラルキルエステ
ルから選ばれた上記範囲内の溶解度を有する溶媒である。この明細書における目
的のために、低級アルキルは、場合により非干渉性置換基で置換された、1〜6
個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する;アラルキルは、(
低級アルキル)フェニル、例えばベンジル、フェネチル、1−フェニルプロピル
、2−フェニルプロピル、等を意味し、それらにおいて、アルキル部分は1〜6
個の炭素原子を含有する;そしてアリールは、場合により非干渉性置換基により
置換されたフェニルを意味する。本発明において有用な溶媒の多くは市販されて
おり(Aldrich Chemicals製、Sigma Chemical
s製)あるいは米国特許第5,556,905号(この特許を参照することによ
り本明細書に組み入れる)において記載されているように酸ハロゲン化物および
場合によりエステル化触媒を用いて各々のアリールアルカン酸の慣用のエステル
化により造られるたとが出来、そしてケトンの場合において、それらのそれぞれ
の第二級アルコール前駆体の酸化により造られることが出来る。
【0072】 必要な溶解度を有する溶媒が選ばれることが出来る当業界で認識されている安
息香酸誘導体は:二安息香酸1,4−シクロヘキサンジメタノール、二安息香酸
ジエチレングリコール、二安息香酸ジプロピレングリコール、二安息香酸ポリプ
レングリコール、二安息香酸プロピレングリコール、安息香酸ジエチレングリコ
ールと安息香酸ジプロピレングリコールとのブレンド、二安息香酸ポリエチレン
グリコール(200)、安息香酸イソデシル、二安息香酸ネオペンチルグリコー
ル、三安息香酸グリセリル、四安息香酸ペンタエリトリトール、安息香酸クミル
フェニル、二安息香酸トリメチルペンタンジオールを含む。
【0073】 必要な溶解度を有する溶媒が選ばれることが出来る当業界で認識されているフ
タル酸誘導体は:フタル酸アルキルベンジル、イソフタル酸ビス−クミルフェニ
ル、フタル酸ジブトキシエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ブチルオクチ
ル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル
、フタル酸ノニルウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、
フタル酸ジカプリル、フタル酸混合アルコール、フタル酸(2−エチルヘキシル
)、フタル酸直鎖ペプチル,ノニル、フタル酸直鎖ヘプチル,ノニル,ウンデシ
ル、フタル酸直鎖ノニル、フタル酸直鎖ノニルウンデシル、フタル酸直鎖ジノイ
ル,ジデシル(フタル酸ジイソデシル)、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジト
リデシル、フタル酸ウンデシルドデシル、フタル酸デシルトリデシル、フタル酸
ジオクチルとフタル酸ジデシルとのブレンド(50/50)、フタル酸ブチルベ
ンジルおよびフタル酸ジシクロヘキシルを包含する。
【0074】 好ましい溶媒は上記アリール酸の低級アルキルおよびアラルキルエステルを包
含する。代表的な酸は安息香酸そしてフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル
酸のようなフタル酸類である。最も好ましい溶媒は安息香酸の誘導体でありそし
て安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロ
ピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香
酸tert−ブチル、安息香酸イソアミルおよび安息香酸ベンジルを包含するが
しかしそれらに限定されず、安息香酸ベンジルが最も特に好ましい。好ましい溶
媒混合物は、安息香酸ベンジルが主要な溶媒である混合物でありそして安息香酸
ベンジルとそしてトリアセチン、くえん酸トリブチル、くえん酸トリエチルまた
はN−メチル−2−ピロリドンと、から形成された混合物である。好ましい混合
物は、安息香酸ベンジルが、存在する溶媒の合計量の、50%またはそれ以上、
さらに好ましくは60%またはそれ以上そして最も好ましくは80%またはそれ
以上の量で重量により存在する混合物である。特に好ましい混合物は安息香酸ベ
ンジル/トリアセチンそして安息香酸ベンジル/N−メチル−2−ピロリドンの
、重量による80/20混合物のものである。
【0075】 追加の溶媒は酒石酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、サリチル酸メチル、p−
アニスアルデヒド、酢酸フェニル、サリチル酸ベンジル、酢酸ベンジル、酢酸メ
チルフェニル、アニソールおよびマロン酸ジエチルを包含することが出来る。
【0076】 7重量%未満の水中の混和性を有する上記溶媒が1種またはそれ以上の追加の
混和性溶媒(“成分溶媒”)と混合されることが出来ることが分かった。主要な
溶媒と適合性(和合性)または混和性である成分溶媒は水との一層高い混和性を
有することが出来そして得られた混合物は、インプラントへの水吸い込みの有意
義な制限をいぜんとして示すことが出来る。そのような混合物は、“成分溶媒混
合物”と称せられる。有用な成分溶媒混合物は、本発明のインプラントにより示
される水吸い込みの制限に有害に影響することなしに主要な溶媒それ自体よりも
大きな水中への溶解度を示すことが出来、典型的には0.1重量%〜50重量%
(50重量%を含む)まで、好ましくは30重量%まで(30重量%を含む)そ
して最も好ましくは10重量%まで(10重量%を含む)の水中への溶解度を示
すことが出来る。約0.1重量%〜約7重量%の水中への溶解度を有する成分溶
媒混合物が特に好ましい。
【0077】 成分溶媒混合物において有用な成分溶媒は、主要な溶媒または溶媒混合物と混
和性でありそしてトリアセチン、ジアセチン、トリブチリン、くえん酸トリエチ
ル、くえん酸トリブチル、くえん酸アセチルトリエチル、くえん酸アセチルトリ
ブチル、トリエチルグリセリド類、りん酸トリエチル、フタル酸ジエチル、酒石
酸ジエチル、ミネラルオイル、ポリブテン、シリコーン液体、グリセリン、エチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、オクタノール、乳酸エチル、プロピ
レングリコール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチロラク
トン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、N−メチル−2−ピロリドン、
2−ピロリドン、グリセロールホルマール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエ
チルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラ
ン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸および1−ドデシ
ルアザシクロ−ヘプタン−2−オンそしてそれらの混合物を包含するがしかしそ
れらに限定されない。
【0078】 特に好ましい態様において、溶媒は安息香酸の低級アルキルおよびアラルキル
エステルから選ばれそして重合体は約8,000〜約13,000、好ましくは
約10,000の数平均分子量を有する乳酸をベースとすに重合体、最も好まし
くはPLGAである。現在最も好ましい溶媒は安息香酸ベンジルそして安息香酸
の低級アルキルエステル、特に安息香酸エチルである。PLGA/安息香酸ベン
ジルをベースとするゲルは、1か月またはそれよりも長い持続期間のオーダーで
の送り出し期間を示す。PLGA/安息香酸エチルをベースとするゲルについて
、1週間でのオーダーでの送り出し期間が観察され、安息香酸ベンジルゲルと、
安息香酸エチルゲルとは溶媒において異なる以外は実質的に同じ組成を有する。
送り出し期間を変化させることは医療実施者にとって有用な手段である。例えば
、本明細書において記載された方法に従って造られたPLGA/安息香酸エチル
/ヒト成長ホルモン(“hGH”)ゲルはhGHの送り出しの約1週間を提供す
る。その送り出しパターンは対象の成長への密接な監視が望ましい小児対象の治
療において有益であろうそしてなお、毎日の注射の不都合性なしに、必要に応じ
てhGHの投与を停止させたりまたは開始させたりすることが出来る。安息香酸
エステル類は単独であるいは本明細書に記載されたとおりの他の混和性溶媒、例
えばトリアセチンと混合して用いられることが出来る。
【0079】 インプラントは、有益な薬剤、あるいは有益な薬剤と溶解速度調節剤との混合
物あるいは有益な薬剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との混合物、の
圧縮された粒子が実質的に中に全体にわたって分散されている粘性ゲルとして造
られるのが好ましくそしてそのような組成物は、初期のバースト(噴出)が重要
な考慮問題であろうとそうでなかろうといずれにせよ、有益な薬剤の全身投与お
よび局所投与の両方において有用である。典型的には、圧縮された粒子は、0.
1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%でゲルビヒクル中に装入されるだろ
う。さらに、安息香酸のエステル類の使用は水移動の増大されたコントロールを
提供して有益な薬剤の増大された安定性を生ずる。移植後のゲル組成物中への低
い水吸い込み、即ち制限された水移動は拡散による有益な薬剤の移送を制限しそ
して重合体の生浸食を制御することにより有益な薬剤の送り出しプロフィルの制
御を高めることを本発明の実施者に可能にさせる。好ましい組成物は、水中に有
益な薬剤を飽和させるのに必要とされる水準以上である水準で、重合体の内部に
装入されることを有益な薬剤に可能にさせ、それにより所望に応じての有益な薬
剤のゼロ次放出を容易にする。さらに、好ましい組成物は、移植後24時間また
はそれ以上の時間期間にわたって、ゲルが硬くならないままの状態であるような
、37℃未満であるガラス転移温度を有する粘性ゲルを提供することが出来る。
【0080】 溶媒または溶媒混合物は、重合体を溶解して粘性ゲルを形成することが出来、
そのゲルはそれに分散させてそして放出前に使用の環境から隔離させて、有益な
薬剤の圧縮された粒子を維持することが出来る。本発明の組成物は低いバースト
(burst)指数を有するインプラントを提供する。本明細書において記載さ
れているとおりの有益な薬剤の圧縮された粒子を用いることにより有益な薬剤の
微環境(ミクロ環境)において水吸い込みが制御されることが出来、そして重合
体を溶解するかまたは可塑化するがしかしインプラントへの水の多量の吸い込み
を制御する溶媒または成分溶媒混合物の使用によりインプラントのマクロ環境に
おいて水吸い込みが制御されることが出来る。
【0081】 所望されるかまたは必要とされる最初の24時間に放出される有益な薬剤の量
についての望ましい制限は、送り出し期間の全体の持続期間、有益な薬剤につい
ての治療濃度域、過剰投与に起因する潜在的な有害な結果、有益な薬剤の費用そ
して所望とされる効果のタイプ、例えば全身効果または局所効果のような状況に
より左右されるだろう。好ましくは有益な薬剤の20%またはそれ以下が移植後
の最初の24時間に放出されるだろう(そのパーセンテージは送り出し期間の持
続期間にわたって送り出されるべき有益な薬剤の合計量に基づいている)。もし
送り出し期間の持続時間が比較的に短いならば、例えば7〜14日未満ならば、
あるいはもし有益な薬剤がほとんど副作用を起こしそうにない広い治療濃度域を
有するならば、あるいはもし有益な薬剤が局所的に働くならば、典型的には最初
の24時間に放出される一層高いパーセンテージが認容されることが出来る。
【0082】 全身的送り出しのために意図される本発明の組成物は、8またはそれ以下、好
ましくは6またはそれ以下、さらに好ましくは4またはそれ以下、そして最も好
ましくは2またはそれ以下のバースト指数(burst index)を有する
ゲル組成物を提供することが出来る。有益な薬剤の局所送り出しのために意図さ
れる組成物は全身使用のために意図された様式と同じ様式で形成される。しかし
ながら、対象への有益な薬剤の局所送り出しは有益な薬剤の検出出来る血漿水準
を生じないので、そのようなシステムは、本明細書において定義されたとおりの
バースト指数よりもむしろ所定の初期期間中に放出される有益な薬剤のパーセン
テージにより特徴づけられなければならない。最も典型的には、その期間は移植
後最初の24時間でありそしてそのパーセンテージは、送り出し期間の持続期間
に送り出されることが意図された有益な薬剤の重量により割り算された、期間(
例えば24時間)に放出される有益な薬剤の重量による量に100を掛け算した
のに等しいだろう。本発明の組成物は、ほとんどの適用のために、20%または
それ以下、好ましくは15%またはそれ以下、最も好ましくは10%またはそれ
以下の初期バーストを有してもよい。5%またはそれ以下の初期バーストを有す
る移植システムが多くの場合に好ましい。
【0083】 溶媒または溶媒混合物は、典型的には、粘性ゲルの重量、即ち重合体と溶媒と
を組み合わせた重量により約95〜約20%の量で存在する。それは好ましくは
粘性ゲルの重量、即ち重合体と溶媒とを組み合わせた重量により約70〜30重
量%、そして多くの場合に60〜40重量%の量で存在することが出来る。重合
体と溶媒とを混合することにより形成された粘性ゲルは、混合が完了した後の約
1〜2日で、Haake流量計を用いて1.0秒-1の剪断速度および25℃で測
定されて約1,000〜約2,000,000ポイズ、好ましくは約5,000
〜約50,000ポイズの粘度を典型的に示す。
【0084】 溶媒との重合体の混合は、一層短いまたは一層長い期間が、造られる組成物の
特定の物理的特性に依存して当業者により選択されることが出来るけれども、約
10分〜約12時間、多くの場合約1〜4時間の間Rossダブルプラネタリミ
キサーのような慣用の低い剪断力の装置を用いて行われることが出来る。例えば
約40℃までの、重合体/溶媒混合物のおだやかな加熱が重合体のデソルーショ
ンのための時間を減少させるために適用されることが出来る。
【0085】 注射可能な組成物としてインプラントを与えることがしばしば望ましいので、
粘性ゲルであるインプラントを形成する場合の対抗する考察は、重合体/溶媒/
有益な薬剤組成物が、小さな直径、例えば18〜20ゲージの針中にそれが押し
通されることを可能にするために十分に低い粘度を有することである。必要なら
ば、注射のためのゲルの粘度の調節は、本明細書に記載されたいるような乳化剤
を用いて行われることが出来る。なお、そのような組成物は、局所に維持されそ
して必要に応じて除去されることが出来るように、適当な寸法安定性を有するべ
きである。本発明の特定のゲルまたはゲル状組成物はそのような要件を満足して
いる。
【0086】 もし重合体組成物が注射可能なゲルとして投与されるべきであるならば、重合
体デソルーションの水準は、針から粘性ゲルを分配するための合理的な力を可能
にするために得られたゲル粘度とそして潜在的なバースト作用とのバランスがと
られることが必要であろう。高度に粘性なゲルは重大バースト作用を示すことな
しに送りだされることを有益な薬剤に可能にさせるがしかし針を通過させてその
ゲル分配させることを困難にさせる可能性がある。これらの場合において、場合
により乳化剤を組成物に加えてもよい。また、組成物の温度が増大するにつれて
、粘度は一般に低下する可能性があるので、或る適用において、一層容易に注射
出来る組成物を提供するために加熱によりゲルの粘度を減少させることが有利で
あろう。さらにまたは別法として、ゲルに剪断をかけそして貯蔵中に増大してし
まった可能性がある粘度を減少させるために、注射のまえにゲルは混合されても
よい。
【0087】 本発明の貯留(depot)ゲル組成物のずり減粘(shear thinn
ing)特性は通常好ましくそして不当な分配圧力を必要とすることなしに、標
準のゲージ針を用いてヒトを包含する動物に容易に注射されることをゲルに一般
に可能にさせる。
【0088】 使用される場合、乳化剤は、注射可能な貯留ゲル組成物の量、即ち重合体、溶
媒、乳化剤および有益な薬剤の組み合わされた量に基づいて典型的には約5〜約
80重量%、好ましくは約20〜約60重量%、そして多くの場合30〜50重
量%の量で存在する。乳化剤は、例えば重合体溶媒または溶媒混合物とは十分に
に混和性でない溶媒を包含する。例示的な乳化剤は、水、アルコール類、ポリオ
ール類、カルボン酸類、ケトン類、アルデヒド類そしてそれらの混合物である。
好ましい乳化剤はアルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、
グリセロール、水、そしてそれらの溶液および混合物である。水、エタノール及
びイソプロピルアルコールそしてそれらの溶液および混合物が特に好ましい。乳
化剤のタイプは分散された液滴の大きさに影響する。例えばエタノールは21℃
で塩化ナトリウムの0.9重量%を含有する等張塩水溶液を用いて得られた液滴
よりも10倍大きい程度にあり得る平均直径を有する液滴を提供するだろう。
【0089】 本発明の移植システムは好ましくは粘性ゲルとして形成されるので、送り出し
の注射様式がしばしば好ましいかもしれないけれども,移植の投与の手段は注射
に限定されない。移植が、あとに残す生成物(leave−behind pr
oduct)として投与される場合、それは手術の完了後に存在する体腔中に適
合するように形成されることが出来るかあるいはそれは残っている組織または骨
上にゲルをブラシ塗り(brushing)されるかまたはへら塗り(pall
eting)することにより流動性ゲルとして適用されることが出来る。そのよ
うな適用は注射可能な組成物に関して典型的に存在する濃度以上でゲル中に有益
な薬剤を装入することを可能にするだろう。
【0090】 重合体と溶媒とから形成された粘性ゲル中への有益な薬剤の粒子の懸濁または
分散を形成するために、周囲の条件でRossダブルプラネタリミキサーのよう
な任意の慣用の低い剪断装置が使用されることが出来る。この方法で、有益な薬
剤の効率のよい分布は有益な薬剤を劣化させることなしに実質的に達成されるこ
とが出来る。
【0091】 有益な薬剤は重合体、溶媒及び有益な薬剤の合併された量の重量により約1〜
約50重量%の量で、好ましくは約5〜約30重量%の量でそしてしばしば10
〜20重量%の量で組成物中に典型的には溶解されるかまたは分散される。
【0092】 組成物中に存在する有益な薬剤の量に依存して、異なる放出プロフイルおよび
バースト指数を得ることが出来る。さらに特定的には、一定の重合体および溶媒
についてこれらの成分の量および有益な薬剤の量を調節することにより、組成物
から有益な薬剤よりも重合体の分解に一層依存する放出プロフイルあるいはその
逆の場合の放出プロフイルを得ることが出来る。これに関して、一層低い有益な
薬剤の装入率で、放出速度が時間と共に増大する重合体の分解を反映する放出プ
ロフイルを一般に得る。一層高い装入率で、放出速度が時間と共に減少する有益
な薬剤の拡散の代表的な放出プロフイルを一般的に得る。中間の装入率で、所望
ならば実質的に一定の放出速度が達成されることが出来るように組み合わされた
放出プロフイルを得る。バースト(噴出)を最小にするために、全体のゲル組成
物の重量、即ち重量体、溶媒および有益な薬剤の重量により30重量%またはそ
れ以下の程度で有益な薬剤の装入が好ましくそして20重量%またはそれ以下の
装入が一層好ましい。
【0093】 有益な薬剤の放出速度および装入は、意図された持続送り出し期間にわたって
有益な薬剤の治療的に有効な送り出し提供するように調節される。有益な薬剤は
、有益な薬剤がそれから分配されるための医薬溜め(reservoir)を提
供するための、水中の有益な薬剤の飽和濃度以上である濃度で重合体ゲル中に存
在することが出来る。有益な薬剤の放出速度は、投与されるべき有益な薬剤のよ
うな、特定の事情により左右されるけれども、約7日〜約90日の期間にわたっ
て約0.01ミクログラム/日〜約100ミリグラム/日、好ましくは約0.1
〜約10ミリグラム/日の程度での放出速度が得られることが出来る。もし送り
出しが短い期間にわたって起こるべきであるならば、一層大きな量が送り出され
ることが出来る。もし一層大きなバースト(噴出)が許容されることが出来るな
らば、一層高い放出速度が可能である。ゲル組成物が手術により移植される場合
あるいは病気の状態および他の症状を治療するために手術が同時に行われるとき
の“あとに残す(leave behind”貯留(dopot)として用いら
れる場合に、もし移植が注射されるならば通常投与されるよりも一層高い投与量
を提供することが可能である。さらに、有益な薬剤の投与量は、移植されるゲル
または注射される注射可能なゲルの容量を調節することにより制御されることが
出来る。
【0094】 ポリエチレングリコール、吸湿剤、安定剤、細孔形成剤(pore form
ing agent)、等のような他の成分は、それらが所望されるかまたは組
成物に有用な性質を与える程度までにゲル組成物に存在することが出来る。種々
の安定剤は米国特許第5,654,010号および同第5,656,297号(
これらを参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている。本発明
の実施において、組成物中の有益な薬剤のための安定剤を必要とすることを避け
ることが一般に考えられるけれども、本発明の組成物の成分と組み合わせて使用
される場合に、そのような作用剤が有利で在る場合が存在するだろう。
【0095】 細孔形成剤(pore forming agent)は、体液と接触したと
きに、溶解し、分散しまたは分解して重合体マトリックス中に細孔またはチャネ
ルを生成する生体適合性物質を含む。典型的には糖類(例えばスクロース、デキ
ストロース)、水溶性塩(例えば塩化ナトリウム、りん酸ナトリウム、塩化カリ
ウムおよび炭酸ナトリウム)、N−メチル−2−ピロリドンおよびポリエチレン
グリコールのような水溶性溶媒そして水溶性重合体(例えばカルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、等)のような、水溶性である有機物
質または非有機物質が細孔形成剤として都合よく用いられることが出来る。その
ような物質は重合体の重量の約0.1〜約100%の変化する量で存在すること
が出来るがしかし典型的には重合体の重量の、50%未満そしてさらに典型的に
は重合体の重量の、10〜20%未満であろう。
【0096】 本発明の種々の面をさらに理解するために、図1に参照して、図1において、
本発明の組成物を造るための一般的な方法の流れ図が例示される。本発明の方法
は、代表的な例として、有益な薬剤としてhGH(ヒト成長ホルモン)またはリ
ゾチーム、水中への低い溶解性の特性を示す作用剤としてステアリン酸、そして
生体適合性担体としてPLGAに関して特に記載されるだろう。しかしながら、
当業者に明らかであるような適当な修正を用いて、本明細書において記載された
とおりの他の物質を使用して本発明の組成物の製造に、本方法は一般的な適用性
を有することが理解されるべきである。
【0097】 図1において例示される方法の流れ図は、最終製品、即ち注射可能な疎水性剤
/活性剤/重合体貯留組成物を含有する予め装入された注射器の製造を包含する
ことが出来る種々の工程を概略的に示す。流れ図は、以下の記載と一緒に参照す
ることが出来る。
【0098】 ステーションAで貯えられた、操作される回分(バッチ)の大きさのために適
当な或る量の疎水性剤、例えばステアリン酸は工程1においてステーションBで
の粉砕または摩砕装置に移送される。粉砕は、原材料として得られる疎水性剤の
粒子寸法に依存して必要とされない可能性がある任意工程である。粉砕された疎
水性剤は次に、工程2において滅菌化ステーションCに移送され、そこで、粉末
化された疎水性剤は慣用の放射線滅菌装置を用いて消毒される。コバルト−60
またはセシウム−137から放射されるガンマー線が使用されることが出来る。
コバルト−60源からの約16キログレイ(KGy)の放射線の線量が満足出来
るものであることが分かった。
【0099】 滅菌された疎水性剤粉末は工程3においてステーションJでの混合用室に移送
され、ステーションJはまた、工程4を介してステーションIから、滅菌された
活性剤、例えばヒト成長ホルモンまたはリゾチームを受け入れる。混合は、もし
量が小さければ手動によるかあるいは大きな量のためにV−ブレンダーまたはた
の慣用の混合装置の手段によることが出来る。混合されたたんぱく質/疎水性剤
ブレンドは次に工程5において圧縮ステーションKに移送され、そのステーショ
ンKで、粉末ブレンドは本明細書の何処かに記載されているような慣用手段によ
り、錠剤化、ローラー圧縮または押し出しにより圧縮される。次に、圧縮された
物質は、ステーションLでの粉砕機または摩砕装置に移送され、そこでそれは粒
子に粉砕されそしてステーションMでスクリーン中を通過させてふるいにかけら
れる。一般に、70メッシュスクリーン中を通過させそして400メッシュのス
クリーン上に保持される粒子が、分散された粒子/重合体組成物を造るために使
用される。70メッシュスクリーン上にで集められた粒子はステーションLでの
粉砕機に再循環されてもよくそして400メッシュスクリーン中を通過する粒子
は工程7において廃棄に移されるかまたは再循環される。大きさが整えられた集
められた粒子は工程6においてステーションNでの混合用容器に移され、この容
器にまた、下記のとおりにして造られた重合体と溶媒との滅菌化された混合物が
移される。
【0100】 ステーションDで貯えられた或る量の溶媒、例えば安息香酸ベンジルは工程8
を介してステーションFでの混合用容器に移されそしてステーションEで貯えら
れた或る量の重合体、例えばPLGAは、工程9を介してステーションFでの混
合用容器に移される。混合用容器は、V−ブレンダーまたはWharingブレ
ンダーのような任意の適当な慣用の混合用装置であることが出来る。初期混合は
本明細書の何処かに記載されているようにして、数時間の期間にわたって室温で
一般に行われる。始めに混合された材料はステーションGでの温度制御混合用容
器に移され、そこで重合体溶液が均質なかたまりになるまで、高められた温度、
例えば35℃〜40℃で混合を続ける。混合された重合体/溶媒ゲルは、工程1
1を介してステーションHに移送され、そのステーションHで、それは、疎水性
剤に関して本明細書に記載されたとおりの方法で滅菌されそして工程12を介し
てステーションNでの混合用容器に移送される。そこで、重合体/溶媒およびた
んぱく質/疎水性剤粒子は重合体担体組成物中全体にわたって粒子を均一に分散
されるために混合される。
【0101】 ステーションOからの滅菌注射器は、工程14において無菌製造領域に移され
、ステーションPに移送され、そこで、注射器が所望の容量のたんぱく質/疎水
性剤/重合体ゲル組成物で無菌的に充填される。充填された注射器は工程15お
いて第1次包装用ステーションQに移送されそして次に工程16において無菌製
造領域から第2次包装用そしてラベル貼りステーションRに移送される。ラベル
が貼られそしてまとめて包装された注射器は工程17において貯蔵および輸送の
ための最終ステーションSに移送される。
【0102】 前記一般的な方法の特定の適用において、もし有益な薬剤とのステアリン酸の
均密な混合を可能にする適当な粉末状態でステアリン酸を受け入れられなかった
ならば、適当な量のステアリン酸(Sigma Chemical Compa
ny製−Aldrich Chemical Company製)を乳鉢および
乳棒あるいは自動化粉砕機または摩砕機を用いて粉末に粉砕または摩砕される。
一層小さな寸法のステアリン酸粒子は有益な薬剤との良好な混合を一般に容易に
する。好ましくはステアリン酸とパルミチン酸との混合物であるステアリン酸は
40%より少なくないステアリン酸含有量そして90重量%より少なくない該2
種の酸の合計量を有する。そのステアリン酸/パルミチン酸混合物中の高いパー
センテージのステアリン酸が好ましい。そのステアリン酸粉末は1キログレイ/
時間(kGy/時間)の速度で16kGyの線量でのコバルト60を用いて滅菌
される。別法として、そのステアリン酸は、溶融、次に精密濾過(microf
iltration)により滅菌されることが出来る。
【0103】 ゲルビヒクルは下記例1において記載されたとおりにして造られそしてステア
リン酸/hGH圧縮粒子との混合前に滅菌されることが出来る。凍結乾燥された
hGH粒子は下記例2において記載されたとおりにして造られことが出来そして
リゾチーム粒子は下記例3において記載されたとおりにして造られることが出来
る。典型的には、たんぱく質およびステアリン酸の重量による等しい量、例えば
各々の成分について全体的組成物の10重量%は乾燥粉末として混合される。混
合は、もし量が小さければ手動によりあるいは一層大きな量についてはV−ブレ
ンダーまたは他の慣用の混合装置を用いて行われることが出来る。次に有益な薬
剤とステアリン酸との混合物は約5分間13mm直径ダイスを用いて10,00
0〜12,000psiでCarverプレスでペレット化される。大規模な操
作のためにCarverプレスの代わりに他の慣用錠剤化用プレスが用いられる
ことが出来る。
【0104】 たんぱく質/ステアリン酸混合物が圧縮された後に、乳鉢と乳棒でまたは慣用
の大規模な粉砕装置で粉末に粉砕されるかまたは摩砕される。顆粒化された混合
物は212ミクロン寸法のスクリーンに通過させてふるいにかけられそして53
ミクロン寸法スクリーン上で集められる。これらの寸法は、ふるい#70および
ふるい#400に一般に相当する。400メッシュスクリーンを通過する粒子は
廃棄されるかまたは再循環される。
【0105】 他の方法において、有益な薬剤の溶液、例えば例2おいて造られたhGHダイ
アフイルトレーションされた(diafiltered)溶液にステアリン酸が
加えられ、その後に凍結乾燥工程にかけられて有益な薬剤/ステアリン酸の凍結
乾燥された粒子を生成することが出来る。次に、凍結乾燥された粒子は上記のと
おりにして、圧縮され、顆粒化されそしてふるいにかけられて有益な薬剤/ステ
アリン酸混合物の圧縮された粒子を提供する。
【0106】 400メッシュスクリーンから集められた有益な薬剤/ステアリン酸混合物の
圧縮された粒子は、約5〜約10分間あるいはさもなくば均質性近くなるまでま
たは均質性に到達するまでライトニングオバーヘッドミキサー中でゲルビヒクル
と混合される。時間の間隔(フレーム)は、現在、重大であると考えられてなく
そして使用される混合用装置の種類に1部分左右されるだろう。例えば、もしR
ossまたはダブルプラネタリミキサーは大規模な操作のために使用されるなら
ば混合用時間は一層長くなることが必要であろう。
【0107】 ゲルビヒクルとの、有益な薬剤/ステアリン酸の圧縮された粒子の混合の後に
、合わされた混合物は無菌の充填用条件下に滅菌された注射器に装入されて、滅
菌を維持するにように包装された場合に適用の部位でのさらに滅菌することなし
に直接に用いられることが出来る最終生成物を生成する。
【0108】 以下の例(実施例)において記載された比の材料を用いて、中に有益な薬剤/
ステアリン酸の圧縮された粒子が分散されている粘性ゲルからなる製品は対象に
おける適用部位中に直接に注射されることが出来る。別法として、粘性ゲルから
なるインプラントあるいは一層の少ない量の溶媒を用いて形成された一層硬質の
インプラントは対象の身体の外側で形成されそして適当なときに手術の手続きを
用いて移植されることが出来る。
【0109】 (発明を実施するための最良の形態)例 1: ゲルビヒクル製造: ガラス容器は、Mettler PJ3000トップローダーバランス(to
p loader balance)上で風袋の量が測定される。ポリ(D,L
−ラクチド−コ−グリコリド)50:50 RESOMER(登録商標)RG5
02(PLGA−502)が秤量されてガラス容器に入れられる。PLGA−5
02を含有するガラス容器は、量が測定されそして対応する溶媒が加えられる。
種々の重合体/溶媒の組み合わせについてパーセンテージとして表された量が下
記表1に記載される。重合体/溶媒混合物はステンレススチール正方形先端のへ
らを用いて手動でかき混ぜられて白色の重合体粒子を含有する粘着性のある琥珀
色のペースト状物質を生ずる。その重合体/溶媒混合物を含有する容器は密閉さ
れそして37℃〜39℃に平衡化された温度制御インキュベーター中に置かれる
。重合体/溶媒混合物が透明な琥珀色の均質なゲルであることが分かったときに
、それはインキュベーターから取り出される。インキュベーション時間間隔は、
溶媒および重合体のタイプそして溶媒と重合体との比に依存して1〜4日の範囲
にあることが出来る。追加の貯留ゲルビヒクルは、以下の重合体および以下の溶
媒または溶媒混合物を用いて造られる:重合体:(バージニア州ピーターズバー
グのベーリンガーインゲルハイムケミカルズインコーポレッド製の)ポリ(D,
L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50 RESOMER(登録商標)L1
04、PLGA−104、コード番号33007;ポリ(D,L−ラクチド−コ
−グリコリド)50:50 RESOMER(登録商標)RG206、PLGA
−206、コード番号8815;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)5
0:50 RESOMER(登録商標)RG502、PLGA−502、コード
番号0000366;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50
RESONER(登録商標)、RG502H、PLGA−502H、コード番号
260187;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50 RES
OMER(登録商標)、RG503、PLGA−503、コード番号00807
65;ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50、RESOMER
(登録商標)RG506、PLGA−506、コード番号95051;ポリ(D
,L−ラクチド−コ−グリコリド)50:50、RESOMER(登録商標)R
G755、PLGA−755、コード番号95037そして溶媒:三酢酸グリセ
リル(テネシー州キングズポートのEastman Chemical Co.
製)、安息香酸ベンジル(“BB”)、安息香酸エチル(“EB”)、安息香酸
メチル(“MB”)、トリアセチン(“TA”)及びくえん酸トリエチル(“T
C”)(ミズリー州、セントルイスのAldrich Chemical Co
.製)。溶媒組み合わせ、例えば20%のトリアセチンと80%の安息香酸ベン
ジルが用いられる場合は、溶媒混合物は予め秤量された乾燥重合体に直接に加え
られる。典型的な重合体分子量は、14,400〜39,700(Mw)〔6,
400〜12,200(Mn)〕の範囲にあった。代表的ゲルビヒクルは下記表
1に記載される。
【0110】例 2: hGH粒子製造: (場合により酢酸亜鉛を含有する)ヒト成長ホルモン(hGH)粒子は以下の
とおりにして造られた:
【0111】 水中hGH溶液(5mg/ml)(オーストラリア国AdelaidのBre
saGen Corporation製)は濃縮/透析セレクターダイアフイル
トレーション用(diafiltering)装置を用いて10mg/mlに濃
縮される。次にそのダイアフイルトレーションされた(diafiltered
)hGH溶液は、トリスまたはりん酸塩緩衝溶液(pH7.6)の5倍容量を用
いて洗浄される。次に慣用の技術を用いる噴霧乾燥又は凍結乾燥によりhGHの
粒子が形成される。hGH(5mg/ml)(そしてZn複合粒子が造られる場
合は任意の種々の水準の酢酸亜鉛(0〜30mM))を含有するりん酸緩衝溶液
(5または50mM)は以下のパラメータで設定されたYamato Mini
Spray乾燥機を用いて噴霧乾燥される。
【0112】
【0113】 2〜100ミクロンの寸法範囲を有するhGH粒子が得られる。下記表の凍結
および乾燥サイクルに従って、Durastop μP凍結乾燥器を用いてhG
H(5mg/ml)を含有するトリス緩衝溶液(5または50mM:pH7.6
)から凍結乾燥された粒子が造られる:
【0114】
【0115】 2〜100ミクロンの範囲の寸法を有するhGH粒子が得られる。
【0116】例 3: 例2において記載された方法を用いて、(乾燥重量基準で)50%スクロース
および50%にわとりリゾチームを噴霧乾燥することによりリゾチーム粒子が造
られる。この粒子は、上に記載された方法で、ステアリン酸、パルミチン酸およ
びミリスチン酸、それぞれと混合されて約40μm〜200μmの粒子寸法を有
する、リゾチームと、上記それぞれ対応する酸との混合物を含む圧縮された粒子
を生成する。2つのステアリン酸回分(バッチ)はそれぞれ65μmおよび85
μmの平均粒子寸法を有した:2つのパルミチン酸回分(バッチ)はそれぞれ、
80μmおよび76μmの平均粒子寸法を有した;そしてミリスチン酸回分(バ
ッチ)は74μmの平均粒子寸法を有した。
【0117】
【0118】医薬の装入: 上記のとおりにして造られた有益な薬剤/ステアリン酸からなる圧縮された粒
子は、10〜20重量%の量でゲルビヒクルに加えられそして乾燥粉末が完全に
湿潤されるまで手動でブレンドされる。次にミルク状の明るい黄色粒子/ゲル混
合物は、正方形先端金属へらを取り付けて有するCaframo機械的かき混ぜ
機を用いる慣用のの混合により完全にブレンドされる。最終の均質なゲル配合物
は、貯蔵および分配のために、3cc、10ccまたは30ccの使い捨ての注
射器に入れられる。
【0119】 表示される数の移植可能なゲルが上記方法に従って造られそして時間の関数と
して有益な薬剤のインビトロ放出について試験されそしてまた、時間の関数とし
て有益な薬剤の血液血漿濃度により測定されたときの有益な薬剤の放出を測定す
るためにねずみのインビボ研究において試験された。
【0120】 図2に関して見ることが出来るように、ステアリン酸またはパルミチン酸との
圧縮された混合物としてゲルビヒクル中に存在しないリゾチームは100rpm
でりん酸緩衝液を含有するUSP溶解浴中で測定されたときに、より一層迅速に
そして一層大きな程度にゲルから放出される。放出される非圧縮状態でのパーセ
ントリゾチームは、リゾチームとステアリン酸との圧縮された混合物から形成さ
れた粒子そしてリゾチームとパルミチン酸との圧縮された混合物から形成された
圧縮された粒子、それぞれを含有するゲルビヒクルから放出されたパーセントリ
ゾチームよりも3〜4倍大きい程度にある。圧縮された粒子の有利な効果はまた
、ステアリン酸またはパルミチン酸との圧縮された粒子の形で存在しないリゾチ
ーム粒子の実質的な完全な溶解が例示れれている図3において示されているよう
に、粒子それ自体の溶解についての試験において示される。同様な結果は,圧縮
されていないリゾチーム粒子、そしてステアリン酸との、ミリスチン酸とのおよ
びパルミチン酸との、リゾチームの圧縮された粒子について図4に例示されてい
る。
【0121】 上記のとおりにして造られそして10重量%の凍結乾燥hGH粒子および圧縮
されたhGH/ステアリン酸粒子(これらの粒子において一方の場合ステアリン
酸は重量基準で該hGHに等しい量で存在し(“低”と称する)そして他方の場
合ステアリンは該hGHの重量の2倍の量で存在する(“高”と称する))を含
有するPLGA502/安息香酸ベンジル(50−50)からのhGHのインビ
ボ放出が図5において例示される。(体重について正規化された)ねずみの血液
血清中のhGHの濃度が日数での移植後の時間に対してプロットされる。図示さ
れているように、圧縮されていないhGH粒子は、たんぱく質のほとんどが移植
後たった1日内で移植から放出されるほど多く、移植後のhGHの非常に高い初
期バースト(噴出)を示している。それとは鋭く対照的に、ステアリン酸とのh
GHの両方の配合物は、たんぱく質の非常に低い初期バースト(噴出)を示して
そして14日よりも長い間に移植からhGHの持続した放出を提供している。
【0122】 図6はhGH粒子の周りのミクロ環境(微環境)そして安息香酸のエステル、
即ち安息香酸エチルおよび安息香酸ベンジルを用いるPLGA移植のマクロ環境
を制御して、かくして移植後の移植中への水の多量の吸い込みを阻止するための
ステアリン酸の組み合わせ物の有利な効果を例示している。容易に認識されるこ
とが出来るように、重合体のための溶媒として安息香酸エチルまたは安息香酸ベ
ンジルを用いて造られたPLGA−502移植中の圧縮されたhGH/ステアリ
ン酸粒子からのhGHの放出は、低い初期バースト(噴出)そして時間経過にわ
たってのhGHの持続した放出を示す。
【0123】 本発明は、単独であるいは他の特徴および特性の1つまたはそれ以上と組み合
わせて、以下の技術的特徴および(または)特性の1つまたはそれ以上により記
載されそして特徴づけられる:
【0124】 生体適合性担体そして活性剤と場合による溶解速度調節剤または水中への低い
溶解性の特性を示す作用剤との圧縮された混合物を含む粒子を含み、該粒子は該
担体内に分散されている、組成物;生体適合性担体そして活性剤と溶解速度調節
剤との圧縮された混合物を含む粒子を含み、該粒子は該担体内に分散されている
、組成物;生体適合性担体そして活性剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用
剤との圧縮された混合物を含む粒子を含み、該粒子は該担体内に分散されている
、組成物;水中への低い溶解性の特性を示す作用剤が疎水性でありそして担体が
生体適合性であるゲルである、組成物;疎水性剤が、疎水性特性を示す医薬的に
許容出来る油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスまたはそれら誘導体で
ある、組成物;疎水性剤がC16〜C24脂肪酸あるいはそのエステルまたは医薬的
に許容出来る塩あるいは上記物質のいずれかの混合物である、組成物;疎水性剤
がステアリン酸とパルミチン酸との混合物を含む、組成物;ステアリン酸とパル
ミチン酸とが一緒になって疎水性剤の脂肪酸の少なくとも90重量%を構成しそ
してステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸の少なくとも40重量%を構成する、組成
物;ステアリン酸とパルミチン酸とが一緒になって疎水性剤の脂肪酸の少なくと
も96重量%を構成しそしてステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸の少なくとも90
重量%を構成する、組成物;粒子が粉末からなる、組成物;組成物において粉末
は、90%が50メッシュスクリーンを通過しそして400メッシュスクリーン
上に保持されるような粒子寸法を有する、組成物;粉末は粉末が70メッシュス
クリーンを通過しそして400メッシュスクリーン上に維持されるような粒子寸
法を有する、組成物;粒子が0.1〜500ミクロンの寸法を有する、組成物;
粒子が0.1〜500ミクロンの寸法を有する、組成物;粒子が30〜400ミ
クロンの寸法を有する、組成物;活性剤が水溶性である、組成物;活性剤がDN
A、cDNA、たんぱく質、ペプチドそしてそれらの断片および誘導体からなる
群から選ばれる、組成物;担体がポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ(ラク
チド−コ−グリコール)酸からなる群から選ばれる重合体そして安息香酸のアル
キルまたはアラルキルエステルからなる溶媒からなる、組成物;活性剤がヒト成
長ホルモン、アルファ−、ベータ−またはガンマ−インターフェロン、エリスロ
ポイエチン、グルガコン(glugacon)、カルシトニン、ヘパリン、イン
ターロイキン−1、インターロイキン−2、第VIII因子、第IX因子、黄体
形成ホルモン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利尿因子また
はフイルグラスチム(filgrastim)である、組成物;重合体がポリ(
ラクチド−コ−グリコール)酸でありそして溶媒が安息香酸ベンジルである、組
成物;重合体がポリ(ラクチド−コ−グリコール)酸でありそして溶媒が安息香
酸エチルである、組成物;ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ(ラクチド−
コ−グリコール)酸から選ばれる重合体、安息香酸のアルキルまたはアラルキル
エステルから選ばれる溶媒、そして活性剤と(医薬的に許容出来る油、脂肪、脂
肪酸、脂肪酸エステル、ワックス、それらの誘導体または上記物質の混合物から
なる群から選ばれる)水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との圧縮された混
合物からなる粒子、を含む生浸食性(bioerodible)ゲルを含み、該
粒子は該ゲル内に分散されている、組成物;場合により溶解速度調節剤または水
中への低い溶解性の特性を示す作用剤と混合された活性剤の圧縮体を形成し、そ
の圧縮体を粉砕して、場合により溶解速度調節剤または水中への低い溶解性の特
性を示す作用剤と混合された活性剤を含む圧縮された粒子を形成し、そしてその
圧縮された粒子を担体中に分散することを含む、中に活性剤を分散させて有する
移植可能な担体の製造方法;活性剤が水溶性でありそして水中への低い溶解性の
特性を示す作用剤が疎水性である、方法;活性剤がたんぱく質またはポリペプチ
ドでありそして疎水性剤がステアリン酸、パルミチン酸またはミリスチン酸であ
る、方法;たんぱく質がヒト成長ホルモンでありそして疎水性剤がステアリン酸
である、方法;活性剤がcDNA、DNA、たんぱく質、ペプチドそしてそれら
の断片およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる、方法;活性剤がヒト成長
ホルモン、アルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン、エリスロポ
イエチン、グルガコン(glugacon)、カルシトニン、ヘパリン、インタ
ーロイキン−1、インターロイキン−2、第VIII因子、第IX因子、黄体形
成ポルモン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利尿因子または
フイルグラスチム(filgrastim)から選ばれる、方法。
【0125】 上記例示的態様は、本発明の限定よりもむしろ、あらゆる点において例示であ
ることが意図される。したがって、当業者により、本明細書に含まれる記載から
誘導されることが出来る、詳細に記載された方法・手段における多くの変更が可
能である。すべてのそのような変更および修正は本発明の範囲および精神内に入
ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の組成物を造るための一般的な方法を例示する概略的流れ図である。
【図2】 中にリゾチームが単独で重合体ゲル中に存在する(正方形記号)、中にリゾチ
ームがステアリン酸との圧縮された混合物として存在する(三角形記号)そして
中にリゾチームがパルミチン酸との圧縮された混合物として存在する(円形記号
)、それぞれの、(PLGA重合体ゲルを含む)3種の異なる移植組成物から、
100rpmでりん酸塩緩衝液媒体のUSP溶解浴において得られた、リゾチー
ムのインビトロ放出プロフイルを、示された時間での期間にわたって例示するグ
ラフである。
【図3】 中にリゾチームが単独で重合体ゲル中に存在する(ダイアモンド形記号)、中
にリゾチームがステアリン酸との圧縮された混合物として存在する(正方形記号
)そして中にリゾチームがパルミチン酸との圧縮された混合物として存在する(
円形記号)、それぞれの、(PLGA重合体ゲルを含む)3種の異なる移植組成
物から、100rpmでりん酸塩緩衝液媒体のUSP溶解浴において得られた、
リゾチームのインビトロ放出プロフイルを、示された分での期間にわたって例示
するグラフである。
【図4】 中にリゾチームが単独で重合体ゲル中に存在する(中が黒い円形記号、上部曲
線)、中にリゾチームがミリスチン酸との1:1の比での圧縮された混合物とし
て存在する(中が白い円形記号)、中にリゾチームがステアリン酸との1:1の
比での圧縮された混合物として存在する(ダイアモンド形記号)そして中にリゾ
チームがパルミチン酸との1:1の比での圧縮された混合物として存在する(正
方形記号)、それぞれの、(PLGA重合体ゲルを含む)3種の異なる移植組成
物から、100rpmでりん酸塩緩衝液媒体のUSP溶解浴において得られた、
リゾチームのインビトロ放出プロフイルを、示された分での期間にわたって例示
するグラフである。
【図5】 ヒト成長ホルモン(“hGH”)粒子単独の放出(円形記号)と比較した、2
種の異なるhGH/ステアリン酸配合物(1:1のhGH:ステアリン酸(正方
形記号)そして1:2のhGH:ステアリン酸(三角形記号))の、ねずみ血清
中において測定されたときの代表的な注射可能な貯留物(depot)からのイ
ンビボ放出を例示するグラフである。
【図6】 それぞれ2−N−メチルピロリドン(ダイアモンド形記号)、トリアセチン(
正方形記号)、安息香酸エチル(円形記号)および安息香酸ベンジル(三角形記
号)、を含有するPLGAゲルから、本明細書における記載に従ってステアリン
酸との圧縮粒子として形成されているヒト成長ホルモン粒子の、ねずみ血清にお
いて測定されたときの、インビボ放出を例示するグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/22 A61K 47/34 38/26 47/44 38/27 A61P 5/00 38/48 5/06 47/12 5/18 47/14 5/24 47/34 7/04 47/44 A61K 37/02 A61P 5/00 37/36 5/06 37/66 5/18 37/24 5/24 37/28 7/04 37/475 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 プレストレルスキィ、スティーヴン、ジェ イ アメリカ合衆国 カリフォルニア、マウン テン ヴュー、ウェスト ミドルフィール ド ロード ナンバー 5 1971 (72)発明者 プシュパラ、シャミム、ジェイ アメリカ合衆国 カリフォルニア、サニー ヴェール、イーグル ドライヴ 1637 Fターム(参考) 4C076 AA22 BB15 CC30 DD41 DD45 EE24M EE51M FF16 FF32 4C084 AA02 BA35 DA13 DA14 DA22 DA23 DA24 DB02 DB11 DB22 DB26 DB31 DB56 DC10 DC20 MA23 MA67 NA12 ZB031 ZB081 ZB111 ZB131 ZB151 ZC031 4C086 AA02 EA27 MA01 MA05 MA23 MA67 NA12 ZB03 ZB08 ZB11 ZB13 ZB15 ZC03

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体、そして活性剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用
    剤との圧縮された混合物を含む粒子を含み、該粒子は該担体内に分散されている
    、組成物。
  2. 【請求項2】 水中への低い溶解性の特性を示す作用剤が疎水性でありそし
    て担体が生体適合性ゲルである、請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】 疎水性剤が疎水性特性を示す、医薬的に許容出来る油、脂肪
    、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスそしてそれらの混合物および誘導体からな
    る群から選ばれる、請求項1の組成物。
  4. 【請求項4】 疎水性剤が、C16〜C24脂肪酸、それらのエステルおよび医
    薬的に許容出来る塩そして上記物質の混合物からなる群から選ばれる、請求項3
    の組成物。
  5. 【請求項5】 疎水性剤がステアリン酸とパルミチン酸との混合物からなる
    、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 ステアリン酸とパルミチン酸とが一緒になって、疎水性剤の
    脂肪酸の少なくとも90重量%を構成しそしてステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸
    の少なくとも40重量%を構成する、請求項5の組成物。
  7. 【請求項7】 ステアリン酸とパルミチン酸とが一緒になって、疎水性剤の
    脂肪酸の少なくとも96重量%を構成しそしてステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸
    の少なくとも90重量%を構成する、請求項6の組成物。
  8. 【請求項8】 粒子が粉末を含む、請求項1の組成物。
  9. 【請求項9】 粉末は、90%が50メッシュスクリーンを通過し、そして
    400メッシュスクリーン上に保持されるような粒子寸法を有する、請求項1の
    組成物。
  10. 【請求項10】 活性剤が水溶性である、請求項1の組成物。
  11. 【請求項11】 活性剤がDNA、cDNA、たんぱく質、ペプチドそして
    それらの断片または誘導体からなる群から選ばれる、請求項10の組成物。
  12. 【請求項12】 担体がポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ(ラクチド
    −コ−グリコール)酸からなる群から選ばれた重合体そして安息香酸のアルキル
    またはアラルキルエステルを含む溶媒を含む、請求項10の組成物。
  13. 【請求項13】 活性剤がヒト成長ホルモン、アルファ−、ベータ−、ガン
    マ−インターフェロン、エリスロポイエチン、グルガコン、カルシトニン、ヘパ
    リン、インターロイキン−1、インターロイキン−2、第VIII因子、第IX
    因子、黄体形成ホルモン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウム利
    尿因子及びフイルグラスチムからなる群から選ばれる、請求項12の組成物。
  14. 【請求項14】 重合体がポリ(ラクチド−コ−グリコール)酸でありそし
    て溶媒が安息香酸ベンジルである、請求項13の組成物。
  15. 【請求項15】 重合体がポリ(ラクチド−コ−グリコール)酸でありそし
    て溶媒が安息香酸エチルである、請求項14の組成物。
  16. 【請求項16】 (a)ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ(ラクチド
    −コ−グリコール)酸からなる群から選ばれた重合体を含む、生浸食性ゲル;(
    b)安息香酸のアルキルまたはアラルキルエステルからなる群から選ばれた溶媒
    ;および(c)該ゲル内に分散された粒子を含み、前記粒子は活性剤と、医薬的
    に許容出来る油、脂肪、脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックス、それらの誘導体お
    よび上記物質の混合物からなる群から選ばれた水中への低い溶解性の特性を示す
    作用剤との圧縮された混合物を含む、組成物。
  17. 【請求項17】 水中への低い溶解性の特性を示す作用剤が疎水性である、
    請求項16の組成物。
  18. 【請求項18】 疎水性剤がC16〜C24脂肪酸、そのエステルおよび医薬的
    に許容出来る塩そして上記物質の混合物からなる群から選ばれる、請求項17の
    組成物。
  19. 【請求項19】 疎水性剤がステアリン酸とパルミチン酸との混合物からな
    る、請求項18の組成物。
  20. 【請求項20】 ステアリン酸とパルミチン酸とが一緒になって疎水性剤の
    脂肪酸の少なくとも90重量%を構成しそしてステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸
    の少なくとも40重量%を構成する、請求項19の組成物。
  21. 【請求項21】 ステアリン酸とパルミチン酸とが一緒になって疎水性剤の
    脂肪酸の少なくとも96重量%を構成しそしてステアリン酸が疎水性剤の脂肪酸
    の少なくとも90重量%を構成する、請求項20の組成物。
  22. 【請求項22】 粒子が粉末を含む、請求項21の組成物。
  23. 【請求項23】 粉末が約30ミクロン〜約500ミクロンの平均粒子寸法
    を有する、請求項22の組成物。
  24. 【請求項24】 活性剤が水溶性である、請求項23の組成物。
  25. 【請求項25】 活性剤がDNA、cDNA、たんぱく質、ペプチドそして
    それらの断片および誘導体からなる群から選ばれる、請求項24の組成物。
  26. 【請求項26】 ゲルがポリ(ラクチド−コ−グリコール)酸を含む、請求
    項24の組成物。
  27. 【請求項27】 活性剤がヒト成長ホルモン、アルファ−、ベータ−または
    ガンマ−インターフェロン、エリスロポイエチン、グルガコン、カルシトニン、
    ヘパリン、インターロイキン−1、インターロイキン−2、第VIII因子、第
    IX因子、黄体形成ホルモン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリウ
    ム利尿因子およびフイルグラスチムからなる群から選ばれる、請求項24の組成
    物。
  28. 【請求項28】 溶媒が安息香酸ベンジルでありそして活性剤がヒト成長ホ
    ルモンである、請求項27の組成物。
  29. 【請求項29】 溶媒が安息香酸エチルでありそして活性剤がヒト成長ホル
    モンである、請求項27の組成物。
  30. 【請求項30】 活性剤と水中への低い溶解性の特性を示す作用剤との混合
    物の圧縮体を形成し、該圧縮体を粉砕して活性剤と水中への低い溶解性の特性を
    示す作用剤との混合物の圧縮された粒子を形成しそして担体中に該圧縮された粒
    子を分散させることからなる、中に活性剤を分散させて有する生浸食性担体を含
    む移植可能な組成物の製造方法。
  31. 【請求項31】 活性剤が水溶性でありそして水中への低い溶解性の特性を
    示す作用剤が疎水性である、請求項30の方法。
  32. 【請求項32】 活性剤がたんぱく質およびポリペプチドからなる群から選
    ばれそして疎水性剤がステアリン酸、パルミチン酸およびミリスチン酸からなる
    群から選ばれる、請求項31の方法。
  33. 【請求項33】 たんぱく質がヒト成長ホルモンでありそして疎水性剤がス
    テアリン酸である、請求項32の方法。
  34. 【請求項34】 活性剤がcDNA、DNA、たんぱく質、ペプチドそして
    それらの断片または誘導体からなる群から選ばれる、請求項31の方法。
  35. 【請求項35】 活性剤が、ヒト成長ホルモン、アルファ−、ベータ−また
    はガンマ−インターフェロン、エリスロポイエチン、グルガコン、カルシトニン
    、ヘパリン、インターロイキン−1、インターロイキン−2、第VIII因子、
    第IX因子、黄体形成ホルモン、レラキシン、卵胞刺激ホルモン、心房性ナトリ
    ウム利尿因子およびフイルグラスチムからなる群から選ばれる、請求項31の方
    法。
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