JP2003342321A - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法

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JP2003342321A
JP2003342321A JP2002138420A JP2002138420A JP2003342321A JP 2003342321 A JP2003342321 A JP 2003342321A JP 2002138420 A JP2002138420 A JP 2002138420A JP 2002138420 A JP2002138420 A JP 2002138420A JP 2003342321 A JP2003342321 A JP 2003342321A
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polymer
slurry
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coagulated
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JP2002138420A
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English (en)
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Sumi Yanagii
寿美 楊井
Toshio Nagasaka
俊夫 長坂
Masahiro Osuga
正宏 大須賀
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合体ラテックスを電解質等で凝固して得た
凝固粒子中の残存金属塩を除去することができ、このた
め成形品にした場合の透明性の良好な重合体等の粉体を
得ることができる製造方法を提供すること。 【解決手段】 乳化重合によって製造された重合体ラテ
ックスから酸および/または電解質を用いて凝固、脱
水、乾燥によって、重合体を分離回収するにあたり、
(第1段階)凝固スラリーに重合体固形分の4質量倍以
上の純水を添加して希釈し、(第2段階)真空脱水機上
にて凝固スラリーにさらに重合体固形分の4質量倍以上
の純水を添加しながら脱水し、凝固重合体を回収し、
(第3段階)該回収凝固重合体を、スラリー再分散槽で
重合体固形分の4質量倍以上の純水に再分散させ、(第
4段階)再分散スラリーを遠心脱水機で脱水する。残存
個凝固剤は700ppm以下となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乳化重合ラテックス
の凝固等に由来する残存金属塩を除去することにより、
例えばメタクリル樹脂と混合し透明性の良好な成形品を
得ることができる重合体粉体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】乳化重合により製造されたグラフト共重
合体ラテックスからの重合体の回収は、通常、無機酸、
無機塩、有機酸、有機酸塩などの凝固剤と重合体ラテッ
クスとを接触させ、重合体の凝固粒子を作成し、更に熱
処理、脱水、乾燥することにより行われていた。しかし
ながら、これらの方法により回収した粉体中には、乳化
剤や凝固剤が残存する。
【0003】重合体粉体に凝固剤が残存する場合、例え
ばメタクリル樹脂と混合して製造した成形品の色調に悪
影響を与えることが知られている。
【0004】これら粉体から凝固剤などの不純物を除去
する方法は種々検討されており、脱水時に水洗水量を増
加させる方法、一度水洗、脱水した凝固粒子を水中に再
分散させ、再び脱水する方法、更には有機溶剤を用いて
除去する方法などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
は残存する凝固剤を低減する効果が十分でなかったり、
効果がある方法であってもプロセスが極めて複雑になっ
たりするなどの欠点を抱えており、効率よく且つ簡単に
残存する凝固剤を除去する方法の開発が望まれていた。
【0006】本発明の課題は、従来の方法に比べ簡易な
プロセスで、凝固粒子中の残存凝固剤を除去することが
でき、このため成形品にした場合の透明性の良好な重合
体等の粉体を得ることができる製造方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はこのような現
状に鑑み鋭意検討した結果、第1段階で凝固スラリーを
重合体固形分の4質量倍以上の純水で希釈し、第2段階
で重合体固形分の4質量倍以上の純水を添加しながら脱
水し、第3段階で得られた凝固重合体をスラリー再分散
槽で重合体固形分の4質量倍以上の純水に再分散させ、
第4段階で再分散スラリーを遠心脱水機で脱水すること
で、極めて容易に凝固粒子に存在する残存凝固剤を除去
しうることを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、乳化重合によって製
造された重合体ラテックスから酸および/または電解質
を用いて凝固、脱水、乾燥によって、重合体を分離回収
するにあたり、(第1段階)凝固スラリーに重合体固形
分の4質量倍以上の純水を添加して希釈し、(第2段
階)凝固スラリーにさらに重合体固形分の4質量倍以上
の純水を添加しながら脱水し、凝固重合体を回収し、
(第3段階)該回収凝固重合体を、スラリー再分散槽で
重合体固形分の4質量倍以上の純水に再分散させ、(第
4段階)再分散スラリーを遠心脱水機で脱水することを
特徴とする重合体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、乳化重合によって製造
されたラッテクスを従来公知の方法で凝固処理をしてえ
た凝固スラリーを第1段階で重合体固形分の4質量倍以
上の純水を添加して希釈し、第2段階で希釈凝固スラリ
ーを重合体固形分の4質量倍以上の純水を添加しながら
脱水し、凝固重合体を回収し、第3段階で回収された凝
固重合体をスラリー再分散槽にて重合体固形分の4質量
倍以上の純水に再分散させ、第4段階で遠心脱水機を用
い、再スラリーを脱水することで、残存凝固剤量を70
0ppm以下にまで低減させるものである。
【0010】本発明では乳化重合によって製造された重
合体ラテックスとして、特に限定するものではないが、
アクリル系多層重合体、ブタジエン系多層重合体、シリ
コーン系多層重合体のラッテクスがあり、何れでもよ
い。
【0011】例えば、アクリル系多層重合体としては、
層を構成する単量体組成物を単独で重合した場合に得ら
れる重合体のTgが25℃以下になるゴム状弾性体(軟
質重合体)の層を内層として少なくとも一層有し、且
つ、層を構成する単量体組成物を単独で重合した場合に
得られる重合体のTgが50℃以上になる硬質重合体の
層を最外層に有するものが好ましい。
【0012】ここでのゴム状弾性体としては、炭素数8
以下のアルキル基を有するアルキルアクリレート40〜
90質量%と、これらと共重合可能な少なくとも1個の
ビニル基を有する単官能性単量体10〜60質量%とか
らなる単量体混合物合計100質量部に対してグラフト
交叉剤0.1〜10質量部および少なくとも2個のビニ
ル基を有する多官能性架橋剤0.1〜10質量部から製
造される共重合体が好ましい。
【0013】炭素数8以下のアルキル基を有するアルキ
ルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げら
れる。特に好ましいのは、n−ブチルアクリレートであ
る。これらは、単独で用いることができ、また併用もで
きる。
【0014】共重合可能な単官能性単量体としては、ス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香
族不飽和単量体、フェニルメタクリレート、ナフチルメ
タクリレート等のメタクリル系単量体が挙げられる。特
に、屈折率を調整するための単量体としてはスチレンが
好ましい。
【0015】グラフト交叉剤とは、官能基を複数持つ化
合物であって、少なくとも1個の官能基の反応性が他の
官能基の反応性と異なるものであり、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸またはフマル酸のアリル
エステル等が挙げられる。中でも、アクリル酸アリル、
メタクリル酸アリルが好ましい。
【0016】また、多官能性架橋剤は、分子中に反応性
が同じ官能基を複数個有するものであり、例えば、1,
3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタン
ジオールジアクリレート等が挙げられる。
【0017】一方、外層を構成する硬質重合体層は、層
を構成する単量体組成物を単独で重合した場合に得られ
る重合体のTgが50℃以上である重合体で構成される
こと好ましい。
【0018】外層を構成する重合体としては、炭素数4
以下のアルキル基のアルキルメタクリレート60〜10
0質量%と、これらと共重合可能な他の不飽和単量体0
〜40質量%からなるものが好ましい。
【0019】ここで炭素数4以下のアルキル基を有する
アルキルメタクリレートの例としては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレートおよびn−ブチルメタク
リレートが挙げられ、特にメチルメタクリレートが好ま
しい。
【0020】また、これらと共重合可能な他の不飽和単
量体としては、内層用の単量体で例示したアルキルアク
リレート、共重合可能な単官能性単量体のほか、1,3
−ブタジエン、1,2−ブタジエン、ビニルトルエン、
シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げら
れる。これらは単独で用いることができ、また併用もで
きる。
【0021】これら単量体または単量体混合物を乳化重
合する際、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイ
ド、クメンヒドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸
化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニ
トリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カ
リウム等の過硫酸化合物、過塩素酸化合物、過ホウ酸化
合物、これら過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組
合せからなるレドックス開始剤等が挙げられる。重合開
始剤の使用量は、単量体合計100質量部に対し、0.
01〜10質量部が適当である。なお、各層を重合する
毎に新しく重合開始剤を添加することも好ましい。
【0022】そして前記単量体および重合開始剤等の反
応系への添加方法としては一括添加、分割添加、連続添
加法等の公知の任意の方法が採用できる。また、重合に
当たっては、反応系を窒素置換する、残量単量体を除去
するために反応終了後反応系を昇温する、鉄などの触媒
を添加するなどの方法を採ることができる。
【0023】更に詳しくは、内層に少なくとも一層の軟
質重合体層を持っていれば、中間層や最内層を有する三
層以上の多層構造にするなど任意の構造をとることがで
きる。具体的な構造としては、例えば、i)内層が軟質
重合体層、外層が硬質重合体層の二層構造、ii)最内層
が硬質重合体層あるいはTgが25〜50℃である半硬
質重合体層、中間層が軟質重合体層、最外層が硬質重合
体層である三層構造、あるいは、iii)最内層が軟質重
合体層、第二層が硬質重合体層、第三層が軟質重合体
層、最外層が硬質重合体層である四層構造などである。
【0024】重合体を形成させるための重合温度は、3
0〜120℃、好ましくは50〜100℃の範囲であ
る。また、単量体/水の重量比は特に限定されず1/1
〜1/5程度、通常は1/1.5程度で行われる。
【0025】乳化重合で使用される乳化剤は、特に限定
されるものではないが、中でもポリオキシアルキレンリ
ン酸エステルの塩が好ましい。モノエステル塩として
は、例えば、モノ−n−ブチルフェニルペンタオキシエ
チレンリン酸、モノ−n−ペンチルフェニルヘキサオキ
シルエチレンリン酸、モノ−n−ヘプチルフェニルペン
タオキシエチレンリン酸、モノ−n−ペンチルヘプタオ
キシエチレンリン酸、モノ−n−ヘキシルペンタオキシ
エチレンリン酸等のリン酸モノエステル類のアルカリ金
属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。ジエステ
ル塩としては、例えば、ジ−n−ブチルフェニルペンタ
オキシエチレンリン酸、ジ−n−ペンチルフェニルヘキ
サオキシエチレンリン酸、ジ−n−ヘプチルフェニルペ
ンタオキシエチレンリン酸、ジ−n−ペンチルヘプタオ
キシエチレンリン酸、ジ−n−ヘキシルペンタオキシエ
チレンリン酸等のリン酸ジエステル類のアルカリ金属塩
またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。ここでアルカ
リ金属としてはナトリウムあるいはカリウムが、アルカ
リ土類金属としてはカルシウムまたはバリウムが好まし
い。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用さ
れる。なお、リン酸系乳化剤の使用量は、単量体合計1
00質量部あたり0.1〜10質量部が適当である。
【0026】重合に際しては連鎖移動剤、紫外線吸収剤
など通常、重合時に添加する添加剤を用いることができ
る。
【0027】例えば、本発明のジエン系多層重合体と
は、内層としてのブタジエン系ゴム重合体を含有するラ
テックスの存在下に、少なくとも、芳香族ビニル、メタ
クリル酸アルキルエステルまたはこれらと共重合可能な
ビニル系単量体を含む単量体または単量体混合物を外層
にグラフト重合して得られるものである。
【0028】ブタジエン系ゴム重合体を含有するラテッ
クスは、ゴム重合に用いる単量体全量を100質量部と
した場合、1,3−ブタジエン65質量部以上、架橋性
単量体を0〜10質量部、残余が1,3−ブタジエンと
共重合可能な一種以上のビニル系単量体とからなるもの
である。ここで架橋性単量体としては、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物、
エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタン
ジオールジアクリレート、グリセリントリメタクリレー
ト、グリセリントリアクリレート等の多価アルコールの
(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸アリル、メタ
クリル酸アリル等のカルボン酸アリルエステル、ジアリ
ルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリア
ジン等のジおよびトリアリル化合物等も用いることがで
きる。また、ビニル系単量体としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸ア
ルキルエステル、エチルアクリレート、n−ブチルアク
リレート等のアクリル酸アルキルエステル、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、メチ
ルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビ
ニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基
を有するビニル系単量体等を用いることができる。該架
橋剤およびビニル系単量体は、単独で用いることがで
き、また併用もできる。
【0029】必要に応じて連鎖移動剤も添加することが
できる。
【0030】ブタジエン系ゴム重合体を含有するラテッ
クスの製造方法としては乳化重合法が用いられ、重合は
重合開始剤の種類にもよるが40〜80℃程度の範囲で
行うことができる。また、乳化剤としては公知の乳化剤
を用いることができる。好ましい乳化剤は牛脂脂肪酸カ
リウム、牛脂脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、
オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩であ
る。
【0031】本発明におけるジエン系多層共重合体の外
層を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルス
チレンならびに各種ハロゲン置換およびアルキル置換ス
チレン等の芳香族ビニル、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、
エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアク
リル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等の不飽和ニトリル、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テル等のグリシジル基を有するビニル系単量体および前
述の架橋性単量体との単量体混合物を使用することがで
きる。これらの単量体は、これらは単独で用いることが
でき、また併用もできる。
【0032】ジエン系多層共重合体の製造は、必要に応
じて過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナト
リウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリ
ル等のアゾ化合物、また、上記化合物と亜硫酸塩、亜硫
酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ソジウムホルムア
ルデヒドスルホキシレート、デキストローズ等を組み合
わせたレドックス系開始剤等を重合開始剤として使用す
ることができる。
【0033】本発明のシリコーン系多層重合体として
は、ポリオルガノシロキサンゴム成分1〜99質量%と
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分1〜99質
量%とが分離できないように相互に絡みあつた構造を有
し、かつポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキ
ル(メタ)アクリレートゴム成分との合計量が100質
量%である平均粒子径0.08〜0.6μmの複合ゴム
に1種または2種以上のビニル系単量体をその外層とし
てグラフト重合させる。
【0034】上記複合ゴムを構成するポリオルガノシロ
キサンゴム成分は、以下に示すオルガノシロキサンおよ
び架橋剤を用いて乳化重合により調製することができ、
その際、さらにグラフト交叉剤を併用することもでき
る。
【0035】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種の環状体が挙げられ、好ましく用いられるのは3
〜6員環である。例えばヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチ
ルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサ
シロキサン、トリメチルトリフエニルシクロトリシロキ
サン、テトラメチルテトラフエニルシクロテトラシロキ
サン、オクタフエニルシクロテトラシロキサン等が挙げ
られ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられ
る。これらの使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分
中60質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
【0036】架橋剤(I)としては、3官能性または4
官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシ
ラン、トリエトキシフエニルシラン、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシ
シラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に4
官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシ
シランが好ましい。架橋剤(I)の使用量はポリオルガ
ノシロキサンゴム成分中0.1〜30質量%である。
【0037】グラフト交叉剤(I)としては、メタクリ
ロイルオキシシロキサン類が特に好ましい。メタクリロ
イルオキシシロキサン類の具体例としては、β−メタク
リロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、
γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシ
ラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジ
エチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエ
トキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチル
ジエトキシメチルシラン等が挙げられる。グラフト交叉
剤(I)の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中
0〜10質量%である。
【0038】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造は、オルガノシロキサンと架橋剤および
所望によりグラフト交叉剤の混合液とを、アルキルベン
ゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系
乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水
と剪断混合する方法により製造することが好ましい。ア
ルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサンの乳化
剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適
である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、
アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合
を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるの
で好ましい。
【0039】次に上記複合ゴムを構成するポリアルキル
(メタ)アクリレートゴム成分は以下に示すアルキル
(メタ)アクリレート、架橋剤(II)およびグラフト交
叉剤(II)を用いて合成することができる。
【0040】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−
エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート
およびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキ
ルメタクリレート等が挙げられ、特にn−ブチルアクリ
レートの使用が好ましい。
【0041】架橋剤(II)としては、例えばエチレング
リコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメ
タクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレー
ト、1,4−ブタンジオールジメタクリレート等が挙げ
られる。
【0042】グラフト交叉剤(II)としては、例えばア
リルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリア
リルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリ
レートは架橋剤として用いることもできる。これら架橋
剤並びにグラフト交叉剤は単独または2種以上併用して
用いられる。これら架橋剤およびグラフト交叉剤の合計
の使用量はポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
中0.1〜2.0質量%である。
【0043】ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成
分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム等のアルカリ水溶液の添加により中和された
ポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックス中へ上記
アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤(II)およびグ
ラフト交叉剤(II)を添加し、ポリオルガノシロキサン
ゴム粒子へ含浸させたのち、通常のラジカル重合開始剤
を作用させて行う。重合の進行と共にポリオルガノシロ
キサンゴムの架橋網目に相互に絡んだポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴムの架橋網目が形成され、実質上分
離できないポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分との複合ゴムのラテ
ックスが得られる。
【0044】この複合ゴムにグラフト重合させるビニル
系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン等の芳香族ビニル、メチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル
酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル
等の各種のビニル系単量体が挙げられ、これらは単独で
または2種以上組み合せて用いられる。これらビニル系
単量体のうちメタクリル酸エステルが好ましく、メチル
メタクリレートが特に好ましい。
【0045】グラフト共重合体は、上記ビニル系単量体
を複合ゴムのラテックスに加えラジカル重合技術によっ
て一段であるいは多段で重合させて得られる。
【0046】乳化重合によって製造された重合体ラテッ
クスから酸および/または電解質を用いて凝固し、次い
で脱水後、乾燥して、重合体を分離回収する。ここで、
凝固剤としては硫酸、塩酸などの無機酸、塩化カルシウ
ム、硫酸マグネシウムなどの無機塩類、蟻酸カルシウ
ム、酢酸カルシウムなどの有機塩等が用いられ、中で
も、含水量が少なくなるので凝固力が比較的大きいカル
シウム化合物が好ましく、特に酢酸カルシウム水溶液が
好ましい。
【0047】凝固剤水溶液の濃度は0.1〜20質量
%、より好ましくは1.8〜5質量%である。凝固剤水
溶液の濃度が低すぎると安定した多層重合体を回収でき
ない場合があり、また凝固剤水溶液の濃度が高すぎると
凝固剤水溶液が飽和して析出することがあるので好まし
くない。また、凝固剤水溶液の濃度により異なるが、通
常、重合体ラッテクス100質量部に対し10〜500
質量部が適当であり、好ましくは50〜300質量部で
ある。
【0048】本発明における凝固方法としては、容器に
凝固剤水溶液を仕込み、撹拌しながら30〜90℃に昇
温して、ラテックスを連続的に添加し、その後30分間
程度保持し室温まで冷却し、凝固する方法が挙げられ
る。なお、凝固温度、保持時間は重合体、凝固剤等によ
り適宜選択される。
【0049】本発明では、上記により得られた凝固した
スラリーに対し、本発明の方法を適用する。
【0050】すなわち、第1段階で凝固スラリーに重合
体固形分の4質量倍以上の純水を添加して、凝固スラリ
ーを希釈し、第2段階で該希釈スラリーに重合体固形分
の4倍質量倍以上の純水を添加しながら脱水して、粗凝
固重合体を得る。ついで、第3段階で粗凝固重合体をス
ラリー再分散槽中にて重合体固形分の4質量倍以上の純
水に再分散し、第4段階で再分散スラリーを遠心脱水機
にて脱水する。かくして、乳化重合で得られたラッテク
スから、十分に水洗、脱水された重合体が得られる。な
お、ここで使用する純水の量は各段階とも4質量倍以上
が好ましく、より好ましくは質量5倍以上であり、更に
好ましくは10質量倍以上である。
【0051】第2段階の脱水方法としては、真空脱水
法、プレス脱水法、遠心脱水法等いずれの方法でもよい
が、真空脱水法が好ましい。真空脱水法の真空度はゲー
ジ圧で−100〜−1013hPa、脱水時間は30〜
600秒が適当である。
【0052】ここに用いる純水とは、イオン交換水が好
ましく、本発明の目的を損なわない限り、通常の工業用
水を中和、沈降処理した処理水であってよい。
【0053】このように十分に洗浄することにより、残
存凝固剤量は700ppm以下となり、コンパウンドや
成形加工した場合に外観や物性を損なうことがない。こ
こで使用する純水の量が少なすぎると残存する凝固剤量
が多くなり、コンパウンドした場合、成形品の外観や物
性を損なう恐れがあり好ましくない。
【0054】遠心脱水機で脱水された含水状重合体は並
行流回分式乾燥機、流動乾燥機や真空乾燥機等を用い乾
燥し、重合体が粉末として単離される。なお、乾燥温
度、時間は重合体により適宜選択される。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0056】実施例中の「部」は質量部、「%」は質量
%を示す。また、実施例に用いる略号は以下の通りであ
る。 MMA :メチルメタクリレート MA :メチルアクリレート BA :n−ブチルアクリレート EA :エチルアクリレート St :スチレン BDMA :1,3−ブタンジオールジメタクリレート AMA :メタクリル酸アリル BD :1,3−ブタジエン DVB :ジビニルベンゼン n−OM :n−オクチルメルカプタン CHP :クメンハイドロパーオキサイド PMHP :p−メンタンハイドロパーオキサイド t−BH :t−ブチルハイドロパーオキサイド CF :硫酸第一鉄 EDTA・2Na:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム2水和物 SFS :ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート 乳化剤(A) :商品名:フォスファノールLO−529〈東邦化学(株) 製〉(モノ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)リン酸40%とジ(ポリオ キシエチレンアルキルエーテル)リン酸60%混合物の水酸化ナトリウム部分中 和物)
【0057】実施例に示した諸特性の測定は下記の方法
に従って実施した。 [Tgの計算]Tgは、該層を構成する重合体の原料単
量体組成物の内、単官能性単量体のみを用い、重合体の
Tgを求めるFOXの式{1/Tg=Σ(wi/T
i);式中wiは単量体iの質量割合、Tgiは単量体
iの単独重合体のガラス転移温度である}により計算し
たものである。なお、単官能性単量体単独重合体のTg
はPOLYMER HANDBOOK THIRD E
DITIONより引用した。
【0058】[残存凝固剤量の測定]アクリル系多層共
重合体全体の乾燥粉2gを白金皿に取り、電熱機によっ
て完全に灰化させた。その後、イオン交換水と塩酸を加
えて100mlメスフラスコに取り定容にして検液とし
た。これを原子吸光度法により定量した。(本実施例で
は凝固剤に酢酸カルシウムを用いている場合はCa量、
硫酸マグネシウムを用いている場合はMg量を測定し
た。)
【0059】[YI(イエローインデックス)]射出成
形機(日精樹脂製:PS60E9ASE(商品名))を
用い、シリンダー温度260℃で100×50×2mm
の試験片を作製し、マクベス色差計にて測定した。
【0060】[含水率の測定]含水率(Wc;%)は、
洗浄済み含水重合体約5g(Ws;g)を採取し、秤量
後、180℃で30分間佐竹セーフベントドライヤー
(佐竹化学機械工業株式会社製、形式、N50−S4)
で乾燥し、乾燥後の重量(Wd;g)を秤量し、式{W
c=[(Ws−Wd)/Wd]×100}より求めた。
【0061】参考例1〔ラテックスAの調整〕 還流冷却器付き反応容器にイオン交換水300部を仕込
んだ後、加熱し内温が80℃になった時点で下記組成割
合の混合物(a)を投入した。15分間保持した後、予
め窒素置換しておいた下記組成の混合物(b)を2時間
かけて滴下し、80℃に保ったまま1時間重合した。得
られたラテックスの重合率は99%以上であった。な
お、FOXの式より求めた最内層の計算より求めた重合
体のTgは18.1℃であった。 混合物(a) イオン交換水 :5部 SFS :0.45部 CF :0.4×10-6部 EDTA・2Na:1.2×10-6部 混合物(b) MMA :21.6部(54.0%) St :2.0部(5.0%) BA :16.4部(41.0%) BDMA :1.1部 AMA :0.14部 t−BH :0.08部 乳化剤(A) :1.20部
【0062】引き続き蒸気反応器内に下記組成の混合物
(c)を投入し15分間保持した後、予め窒素置換して
おいた下記組成割合の混合物(d)を3時間かけて滴下
し、更に3時間重合して多層構造からなるアクリル系ゴ
ム状弾性体ラテックスを得た。得られたラテックスの重
合率は99%以上であった。FOXの式より求めたこの
部分での重合体のTgは−37.8℃であった。 混合物(c) SFS :0.2部 イオン交換水 :5部 混合物(d) St :10部(16.7%) BA :50部(83.3%) BDMA :0.2部 AMA :1.0部 CHP :0.17部 乳化剤(A) :1.8部
【0063】次に、蒸気反応器内に下記組成割合の混合
物(e)を投入し30分間保持した後、予め窒素置換し
ておいた下記組成割合の混合物(f)を2時間かけて滴
下し、更に1時間保持した。得られたラテックスAの重
合率は99%以上であった。FOXの式より求めた最外
層の重合体のTgは98.6℃であった。なお、ラッテ
クスAの重合体固形分は33.3質量%であった。 混合物(e) SFS :0.2部 イオン交換水 :5.0部 混合物(f) MMA :57.0部(95.0%) MA :3.0部(5.0%) t−BH :0.1部 n−OM :0.39部
【0064】参考例2〔ラテックスBの調整〕 ジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)の重合 下記第一単量体混合物を70Lオートクレーブに仕込
み、昇温して43℃になった段階で下記レドックス系開
始剤を反応機内に添加し、反応を開始後、さらに65℃
まで昇温した。 第一単量体 BD :22.5部 St :7.2部 DVB :0.3部 PMHP :0.1部 ピロリン酸ナトリウム:0.5部 オレイン酸カリウム:0.17部 イオン交換水 :70部 レドックス系開始剤 CF :0.003部 デキストローズ :0.3部 イオン交換水 :5部
【0065】重合開始から1.5時間後にPMHP0.
1部を添加するとともに、下記第二単量体、乳化剤、イ
オン交換水の滴下を開始し、2時間連続滴下を行った。 第二単量体 BD :52.5部 St :16.8部 DVB :0.7部 乳化剤、イオン交換水 オレイン酸カリウム:1.33部 イオン交換水 :75部
【0066】重合開始から5時間後にPMHP0.1部
を添加した後、さらに6時間反応させて、固形分40%
のブタジエン系ゴム重合体ラテックス(R−1)を得
た。
【0067】上記重合で得られたブタジエン系ゴム重合
体ラテックス(R−1)を固形分として70部、オレイ
ン酸カリウム1.5部、SFS0.6部を窒素置換した
フラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持して、MMA
7.5部、EA1.5部およびCHP0.027部の混
合物を1時間かけて滴下した後1時間保持した。
【0068】その後、前段階で得られた重合体の存在下
で、第2段目としてSt15部およびCHP0.045
部の混合物を1時間かけて滴下した後3時間保持した。
【0069】しかる後、第1段目および第2段目で得ら
れた重合体の存在下で、第3段目としてMMA6部およ
びCHP0.01部の混合物を0.5時間かけて滴下し
た後30分保持し、CHP0.01部を添加し、さらに
30分保持して、重合を終了し、固形分48.5%のジ
エン系グラフト共重合体ラテックス(ラテックスB)を
得た。
【0070】参考例3〔ラテックスCの調整〕 ポリオルガノシロキサンラテックスの製造 テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシ
プロピルジメトキシメチルシラン0.5部およびオクタ
メチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シ
ロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム1部とデシルベンゼンスルホン酸1部
を溶解したイオン交換水200部に、上記シロキサン混
合物100部を加え、ホモミキサーを用いて10、00
0rpmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより30
0kg/cm2の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロ
キサンラテックスを得た。この混合液をコンデンサーお
よび攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌混
合しながら、80℃で5時間加熱した後、20℃で放置
し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテッ
クスのpHを7.4に中和し、重合を完結させて、ポリ
オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0071】(シリコーン系グラフト共重合体)上記ポ
リオルガノシロキサンラテックス10部(固形分)を採
取し、攪拌器を備えたセパラブルフラスコに入れ、イオ
ン交換水173.6部を加え、窒素置換をしてから50
℃に昇温し、BA63.7部、AMA1.3部およびt
−BH0.26部の混合液を仕込み、30分攪拌し、こ
の混合液をポリオルガノシロキサンゴム粒子に浸透させ
た。
【0072】次いで、CF0.001部、EDTA・2
Na0.003部、SFS0.26部およびイオン交換
水5部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させ、内
温70℃で2時間保持し、重合を完了して複合ゴムラテ
ックスを得た。
【0073】この複合ゴムラテックスに、t−BH0.
12部とSt25部との混合液を70℃にて50分間に
わたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、複合ゴム
へのグラフト重合し固形分32%のシリコーン系グラフ
ト共重合体ラテックス(ラテックスC)を得た。
【0074】実施例1 ステンレス製容器に凝固剤として2.5%酢酸カルシウ
ム水溶液200部を仕込み、撹拌しながら90℃に昇温
して、ラテックスA200部を連続的に添加し、その後
30分間保持し室温まで冷却し、凝固スラリーを得た。
得られた凝固スラリーを第1段階でスラリーにイオン交
換水334部(重合体固形分の5質量倍)を添加して凝
固スラリーを希釈した。第2段階でこの希釈スラリーを
真空脱水機(月島機械社製、パネビスフィルター)に
て、イオン交換水を重合体固形分の5質量倍添加しなが
ら脱水し、粗凝固重合体を得た。ついで、第3段階でこ
の粗凝固重合体をスラリー再分散槽中で重合体固形分の
5質量倍のイオン交換水に再分散させ、第4段階でこの
再分散スラリーを遠心脱水機(月島機械社製、エッシャ
ーウイス型脱水機)(1300RPM)にかけて、脱水
し、含水重合体100部を得た。乾燥前の含水重合体の
含水率は50%であった。得られた含水重合体を並行流
回分式乾燥機(佐竹化学機械工業株式会社製、形式、S
T−60)で15時間乾燥させ、粉末(A−1)を得
た。この粉末の残存凝固剤量は酢酸カルシウムとして7
00ppmであった。
【0075】次いで、この粉末100部とメタクリル樹
脂[三菱レイヨン(株)製アクリペット(登録商標)V
H]313部を外形40mmφのスクリュー型押出機
((株)日本製鋼所製、P−40−26AB−V型、L
/D=26)に供給し、シリンダー温度230〜270
℃、ダイス温度260℃で溶融混練し、樹脂組成物のペ
レットを得た。このメタクリル樹脂組成物ペレットから
射出成形にて厚さ2mmの板を作製し、YIを測定し
た。結果を表1に示す。
【0076】実施例2 実施例1において、第1段階、第2段階および第3段階
で用いるイオン交換水の量をそれぞれ重合体固形分の1
0質量倍とする他は実施例1と同様にして含水状重合体
粉末105部を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は6
0%であった。得られた含水重合体を実施例1と同様に
乾燥させ粉末(A−2)を得た。また、この粉末の残存
凝固剤量は酢酸カルシウムとして500ppmであっ
た。得られた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を
行った。結果を表1に示す。
【0077】実施例3 実施例1と同様の条件でラテックスAの凝固スラリーを
得た。得られたスラリーを第1段階でスラリーに重合体
固形分の5質量倍のイオン交換水を添加し、第2段階で
遠心脱水機(月島機械社製、エッシャーウイス型脱水
機、1300rpm)にて5質量倍のイオン交換水を添
加しながら脱水し、第3段階でスラリー再分散槽に5質
量倍のイオン交換水を添加し、第4段階で遠心脱水機を
用い脱水でし、含水状重合体粉末96部を得た。乾燥前
の含水重合体の含水率は45%であった。得られた含水
重合体を実施例1と同様に乾燥させ粉末(A−3)を得
た。この粉末の残存凝固剤量は酢酸カルシウムとして7
00ppmであった。得られた粉末を実施例1と同様に
してYIの測定を行った。結果を表1に示す。
【0078】実施例4 実施例1と同様の条件でラテックスBの凝固と洗浄を行
った。得られた含水状重合体146部を得た。乾燥前の
含水重合体の含水率は50%であった。得られた含水重
合体を実施例1と同様に乾燥させ粉末(A−4)を得
た。また、この粉末の残存凝固剤量は酢酸カルシウムと
して600ppmであった。
【0079】実施例5 実施例1と同様の条件でラテックスCの凝固と洗浄を行
い、含水状重合体粉末112部を得た。乾燥前の含水状
重合体の含水率は70%であった。得られた含水重合体
を実施例1と同様に乾燥させ粉末(A−5)を得た。ま
た、この粉末の残存凝固剤量は酢酸カルシウムとして7
00ppmであった。
【0080】実施例6 実施例1において、凝固剤を3.0%硫酸マグネシウム
水溶液とする以外は実施例1と同様の条件でラテックス
Aの凝固と洗浄を行い、含水状重合体粉末110部を得
た。乾燥前の含水状重合体の含水率は65%であった。
得られた含水重合体を実施例1と同様に乾燥させ粉末
(A−6)を得た。また、この粉末の残存凝固剤量は硫
酸マグネシウムとして700ppmであった。得られた
粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を行った。結果
を表1に示す。
【0081】比較例1 実施例1において、第1段階、第2段階および第3段階
で用いるイオン交換水の量を重合体固形分の3倍とする
他は実施例1と同様にして含水状重合体粉末)100部
を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は50%であっ
た。得られた含水重合体を実施例1と同様に乾燥させ粉
末(A−7)を得た。また、この粉末の残存凝固剤量は
酢酸カルシウムとして1500ppmであった。得られ
た粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を行った。結
果を表1に示す。
【0082】比較例2 実施例1において、第1段階でイオン交換水を全く使用
しない以外は実施例1と同様にして含水状重合体粉末9
9部を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は48%であ
った。得られた含水重合体を実施例1と同様に乾燥させ
粉末(A−8)を得た。また、この粉末の残存凝固剤量
は酢酸カルシウムとして1200ppmであった。得ら
れた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を行った。
結果を表1に示す。
【0083】比較例3 実施例1において、第2段階でイオン交換水を全く使用
しない他は実施例1と同様にして含水状重合体粉末10
5部を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は57%であ
った。得られた含水重合体を実施例1と同様に乾燥させ
粉末(A−9)を得た。また、この粉末の残存凝固剤量
は酢酸カルシウムとして1200ppmであった。得ら
れた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を行った。
結果を表1に示す。
【0084】比較例4 実施例1と同様の条件でラテックスAの凝固スラリーを
得た。得られたスラリーを第1段階でスラリーに重合体
固形分の5質量倍のイオン交換水を添加し、第2段階で
真空脱水機にて5質量倍のイオン交換水を添加しながら
脱水し、第3段階でスラリー再分散槽に2質量倍のイオ
ン交換水を添加し、第4段階で遠心脱水機を用い脱水
し、含水状重合体粉末99部を得た。乾燥前の含水重合
体の含水率は48%であった。得られた含水重合体を実
施例1と同様に乾燥させ粉末(A−10)を得た。この
粉末の残存凝固剤量は酢酸カルシウムとして1000p
pmであった。得られた粉末を実施例1と同様にしてY
Iの測定を行った。結果を表1に示す。
【0085】比較例5 実施例1と同様の条件でラテックスAの凝固スラリーを
得た。得られたスラリーを第1段階でスラリーに重合体
固形分の15質量倍のイオン交換水を添加し、第2段階
で真空脱水機にてイオン交換水を添加しないで脱水し、
第3段階でスラリー再分散槽に2質量倍のイオン交換水
を添加し、第4段階で遠心脱水機を用い脱水でし、含水
状重合体粉末95部を得た。乾燥前の含水重合体の含水
率は43%であった。得られた含水重合体を実施例1と
同様に乾燥させ粉末(A−11)を得た。この粉末の残
存凝固剤量は酢酸カルシウムとして1000ppmであ
った。得られた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定
を行った。結果を表1に示す。
【0086】比較例6 実施例1と同様の条件でラテックスAの凝固スラリーを
得た。得られたスラリーを第1段階でスラリーにイオン
交換水を添加しないで、第2段階で真空脱水機にて15
質量倍のイオン交換水を添加しながら脱水し、第3段階
でスラリー再分散槽に2質量倍のイオン交換水を添加
し、第4段階で遠心脱水機を用い脱水でし、含水状重合
体粉末98部を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は4
7%であった。得られた含水重合体を実施例1と同様に
乾燥させ粉末(A−12)を得た。この粉末の残存凝固
剤量は酢酸カルシウムとして1000ppmであった。
得られた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0087】比較例7 実施例1において、第1段階および第2段階でイオン交
換水はまったく使用せず、第4段階のイオン交換水の量
を重合体固形分の15質量倍とする他は実施例1と同様
にして含水状重合体粉末97部を得た。乾燥前の含水重
合体の含水率は45%であった。得られた含水重合体を
実施例1と同様に乾燥させ粉末(A−13)を得た。ま
た、この粉末の残存凝固剤量は1300ppmであっ
た。得られた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を
行った。結果を表1に示す。
【0088】比較例8 実施例1と同様の条件でラテックスAの凝固スラリーを
得た。得られたスラリーを第1段階でスラリーに重合体
固形分の5質量倍のイオン交換水を添加し、第2段階で
真空脱水機にて5質量倍のイオン交換水を添加しながら
脱水し、第3段階でスラリー再分散槽に5質量倍のイオ
ン交換水を添加し、第4段階で真空脱水機(月島機械社
製、パネビスフィルター)を用い脱水でし、含水状重合
体粉末123部を得た。乾燥前の含水重合体の含水率は
85%であった。得られた含水重合体を実施例1と同様
に乾燥させ粉末(A−14)を得た。この粉末の残存凝
固剤量は酢酸カルシウムとして1500ppmであっ
た。得られた粉末を実施例1と同様にしてYIの測定を
行った。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】このように、本発明の範囲を離脱した場合
には残存凝固剤量が多くなり、色調が悪くバランスのと
れたメタクリル樹脂組成物を得ることはできない。
【0091】
【発明の効果】本発明により得られた重合体粉体は、メ
タクリル樹脂に添加して用いても、何ら問題を起こすこ
となく、メタクリル樹脂本来の特性である色調を維持す
ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大須賀 正宏 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4J011 KA05 KB14 KB19 4J100 AB02Q AB02R AB03Q AB03R AJ02R AJ09R AL02P AL02Q AL03P AS01P AS02P CA04 CA05 CA29 FA03 FA20 GC01 GC07 GC17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化重合によって製造された重合体ラテ
    ックスから酸および/または電解質を用いて凝固、脱
    水、乾燥によって、重合体を分離回収するにあたり、
    (第1段階)凝固スラリーに重合体固形分の4質量倍以
    上の純水を添加して希釈し、(第2段階)凝固スラリー
    にさらに重合体固形分の4質量倍以上の純水を添加しな
    がら脱水し、凝固重合体を回収し、(第3段階)該回収
    凝固重合体を、スラリー再分散槽で重合体固形分の4質
    量倍以上の純水に再分散させ、(第4段階)再分散スラ
    リーを遠心脱水機で脱水することを特徴とする重合体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 重合体が、層を構成する単量体混合物を
    単独で重合した場合に得られる重合体のガラス転移温度
    (Tg)が25℃以下である重合体からなる内層と、層
    を構成する単量体混合物を単独で重合した場合に得られ
    る重合体のTgが50℃以上である重合体からなる外層
    とを有する、少なくとも二層以上の重合体であることを
    特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合体がアクリル系多層共重合体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合体がジエン系多層共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 乳化重合に用いる乳化剤がリン酸エステ
    ル塩であることを特徴とする請求項1に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 電解質が酢酸カルシウムであることを特
    徴とする請求項1に記載の製造方法。
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