JP2003339231A - 植栽基盤構造 - Google Patents

植栽基盤構造

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JP2003339231A JP2002154435A JP2002154435A JP2003339231A JP 2003339231 A JP2003339231 A JP 2003339231A JP 2002154435 A JP2002154435 A JP 2002154435A JP 2002154435 A JP2002154435 A JP 2002154435A JP 2003339231 A JP2003339231 A JP 2003339231A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水道・電気設備を必要ととせず、温熱環境の
改善効果及び都市型洪水の防止効果に優れた植栽基盤構
造を提供する。 【解決手段】 植物根系の生育する植栽層と、前記植栽
層と空間を隔てて設けられ、毛細管現象により保水され
る水を均一に蓄えることが可能な構造を有した材料で構
成された保水層と、前記植栽層及び前記保水層と接する
ように配置され、前記保水層に蓄えられた水を前記植栽
層に対して給水する多孔質体と、前記植栽層と前記空間
との境に植物の根茎は通さず、透水性を有する透水防根
層とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造物の屋上
等の緑化のための植栽基盤構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、市街地においては、都市部に生活
する人々に潤いや快適さを供与する緑地帯が求められて
いる。建築構造物の屋上や外壁を植物にて覆うことが、
建築構造物の冷暖房費の低減や都市型ヒートアイランド
現象の緩和などに効果があることが明らかとなり、都市
部における建築構造物の緑化の必要性が増大している。
しかしながら、夏期の干ばつが社会問題化している状況
にあって、建築構造物上を緑化した場合にその効果を発
揮するにも水が必要となる問題がある。
【0003】また、近年、下水道の普及や道路及び家屋
等の施設まわりのコンクリート舗装化等による都市化の
進展に伴い、雨水の河川へのピーク到達時間が短縮さ
れ、これにより生じる都市型河川氾濫が社会問題化して
いる。この都市型洪水の防止策の一つとして、建築構造
物の屋上を芝生、樹木、草花等で緑化し、建築構造物の
屋上に設置された土壌などの植栽基盤に雨水を含浸させ
ることにより雨水の流出を抑制する方法が有効であると
されている。
【0004】以上のような問題を解決するために、建築
構造物の屋上等において、樹木や草花の植栽を行うため
の植栽基盤構造が種々提案されている。例えば、建築構
造物屋上のスラブコンクリート上に、アスファルト製防
水層を設けられ、この防水層上に押えコンクリートが打
設されている場合、この押えコンクリート面上に、不織
布などの保護マット、不透水性を有するポリエチレン製
防根シート、敷き砂利等の排水層、透水性を有するフィ
ルター、客土を順次積層して植栽基盤構造を形成し、客
土に樹木や草花を植えて植栽が行われる。建築構造物の
屋上に植栽する場合、建築構造物の積載荷重を超えない
ように植栽を計画する必要があるため、客土の軽量化が
課題である。客土を軽量化するために、黒ボク土やマサ
土のような自然土壌に替えて、パーライトや火山砂利を
主配合とする軽量な客土資材が提案されている。しか
し、これらの客土資材においては、軽量であるために風
で飛散すること、散水しながら敷き均す必要があること
の施工性の悪さ、施工期間が長期化する等の問題があ
る。また、植栽後の湿潤状態にあっては、客土資材の含
水率が高いために、かさ比重が1.0に近似し、相当な
積載荷重になることから、客土資材の厚さを小さくする
必要があり、潅水ホースやスプリンクラーなどの散水装
置が必要となる管理上の問題がある。
【0005】特に、既設建造物の屋上では、植栽するこ
とを想定した設計が行われていないため、一般的に水道
等の設備がなく、また、厚い植栽土壌に耐える耐荷重構
造がないことから、特に乾燥に強いコケ(特開平07−
227142号公報)やセダム(sedum)属植物
(特開平07−207667号公報)等、屋上等の過酷
な環境条件下でも生育可能な植物を用いて、簡易的に且
つ極めて薄い植栽基盤で軽量に緑化する方法が開発され
ている。しかし、これらの方法においては、雨水の流出
を抑制する土壌層または保水層が無いか極僅かなため
に、都市型洪水の防止に対する効果は期待できない。ま
た、蒸散を抑えて生存に耐えたり(セダム属などの多肉
植物)、仮死する(コケ類)植物の性質の為による放熱
が少なく、冷房費の節減という省エネ効果も期待できな
い。また、植物の荷重に対する耐性が低いため、乗って
利用することができない。
【0006】また、乾燥に強いコケやセダム(Sedu
m)属植物では、水分等の微気候の差によって生育が著
しく異なり、全面的に均一な緑化をすることが困難であ
るという問題がある。これらの植物を用いた公知の緑化
方法では、同じ屋上であっても、生育に著しいムラが生
じたり、蒸れによる植物の衰退、病気による枯損などに
よって景観を損ねている。またこれらの緑化方法では、
植物が枯損あるいは仮死状態にあったりしてムラができ
た場合に、火山砂利、化粧砂利、シートなどの副資材で
景観を補っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの課題を解決で
きる最も有望な植物としてシバがあり、シバを植栽する
ための様々な方法が開発され、商品化されている。例え
ば、潅水を行いながら植生を育成させる特開平9−30
8370号公報、特開2001−78594号公報や植
栽基盤底部に排水層や保水層を設ける特開平7−811
4号公報や特開平6−209655号公報、植栽基盤低
部に貯水層と毛細管現象によって貯水層の水を植栽基盤
に揚水する特開2001−161161号公報などが挙
げられる。これらのいずれも植栽基盤の薄層化に対して
給水や保水を行うことによって夏場の高温乾燥時に十分
な水分を植物に供給し、植生の維持を図ることが主な目
的とされている。しかし、電磁弁とタイマあるいはセン
サを用いて潅水または水位を一定に保持するこれらの方
法は、水道設備、電気設備の配管・配線が必要であり、
故障することもあり保守点検に手間がかかり、さらに給
水のランニングコストの面で経費がかかる。また、雨水
等を植栽基盤の底面に貯留し潅水する特開平11−98
292号公報は、故障が少なく、水道・電気の必要がな
いが、これらの潅水手段は、毛細管現象によって揚水さ
れる揚水速度が大きすぎるために、建築構造物の緑化が
求められている大都市が分布する太平洋岸の多くの地域
では、真夏の限られた時期(梅雨明けから9月上旬ま
で)を除いて十分な降雨があることから土壌の適温によ
る生育過剰や過繁茂、さらに梅雨時など過湿による生育
抑制が問題となることが多かった。また潤沢な水環境に
適応した植物にあっては、真夏の干ばつ時において急激
な乾燥に順応できずに枯損するという問題がある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、水道・電気設備を必要ととせず、故障やメン
テナンスの負担が少ない貯水および潅水手段を具備し、
温熱環境の改善効果及び都市型洪水の防止効果に優れた
植栽基盤構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、植物根系の生育する植栽層と、前記植栽層と空間を
隔てて設けられ、毛細管現象により保水される水を均一
に蓄えることが可能な構造を有した材料で構成された保
水層と、前記植栽層及び前記保水層と接するように配置
され、前記保水層に蓄えられた水を前記植栽層に対して
給水する多孔質体と、前記植栽層と前記空間との境に植
物の根茎は通さず、透水性を有する透水防根層とを備え
たことを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の発明は、余剰水を前記保
水層へ導く余剰水排水溝をさらに備えたことを特徴とす
る。これにより傾斜面に用いた場合、表面の余剰水を活
用できる。
【0011】請求項3に記載の発明は、前記多孔質体
は、無釉の多孔質セラミックスであることを特徴とす
る。これにより、セラミックの内外で水が移動できるこ
とにより、セラミック体を通じて導水できる。
【0012】請求項4に記載の発明は、前記多孔質体
は、前記保水層より吸水力が強い微細な多孔質を有する
ことを特徴とする。これにより保水層の水を余すことな
く移動させることができる。
【0013】請求項5に記載の発明は、前記多孔質体
は、全空隙率35%以上55%以下であることを特徴と
する。
【0014】請求項6に記載の発明は、前記多孔質体の
厚さは、前記空間を隔てた前記植栽層と前記保水層との
距離と同じ値であり、0.5cm以上5.0cm以下で
あることを特徴とする。0.5cm以下では強度不足で
ありかつ保水層とのスペースがとれない。また5cm以
上になると水の移動に支障がある。
【0015】請求項7に記載の発明は、前記多孔質体と
前記植栽層及び前記保水層が接する面積は、植栽層にお
いて植生される植物が必要とする水分の量に応じて決定
されることを特徴とする。植生される植物が必要とする
水分の量以上であると保水層の水が無駄になり、一方、
足りなければ枯れてしまう。
【0016】請求項8に記載の発明は、前記植物がゾイ
シア属植物であることを特徴とする。
【0017】請求項9に記載の発明は、植物根系の生育
する植栽層と、前記植栽層と空間を隔てて設けられ、毛
細管現象により保水される水を均一に蓄えることが可能
な構造を有した材料で構成された保水層と、前記植栽層
及び前記保水層と接するように配置され、前記保水層に
蓄えられた水を前記植栽層に対して給水する多孔質体
と、前記植栽層と前記空間との境に植物の根茎は通さ
ず、透水性を有する透水防根層とが所定の植栽面積を有
する容器に収められた植栽基盤構造ユニットであって、
前記植栽基盤構造ユニットは、複数接続可能に構成され
たことを特徴とする。
【0018】請求項10に記載の発明は、前記植栽基盤
構造ユニットは、余剰水を前記保水層へ導く余剰水吸収
孔をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
植栽基盤構造を説明する。本実施形態による植栽基盤構
造は、建築構造物の屋上に設けられるものとして説明す
る。まず建築構造物上に形成した土壌保持枠体に保護層
を設ける。保護層は、既存の建築構造物の屋上防水とし
て露出シート防水が施されている場合にこれを保護する
目的で設け、新築の建築構造物で屋上緑化を前提とした
耐衝撃性に優れた防水方法を採っている湯合や防水層が
押えコンクリートで保護されている場合などでは特に設
けなくてもよい。
【0020】次に防水層を設ける。防水層は、植栽を行
うための土壌等で構成される植栽層底面全体から建築構
造物に水分が浸出するのを防ぐ目的で設けられ、この目
的を達成できれは特に制限はない。例えば、厚さ0.2
mm以上のポリエチレン等の不透水性シートを敷設して
もよいし、構造物上面の押さえコンクリート部分に防水
処理を施してもよい。また、上記の壁体は、壁面を有す
る構造物や既設の壁体等を利用しても良い。土壌保持枠
体下部に接する防水層には排水孔が設けられ、降雨等に
よって植栽層の最大容水量を超えた場合、余剰水が速や
かに排水される構造を有する。この排水構造は、建築構
造物の屋上は通常1%以上の排水勾配が取られているの
で、勾配の途中に植栽基盤構造を設ける場合、勾配の上
方から流れてくる水を植栽層中の保水層に蓄え、余剰水
を排水する機能も有する。その結果、植栽基盤構造が屋
上の排水を妨げることがない。
【0021】防水層上には、保水層が敷設される。保水
層は建築構造物の屋上や勾配屋根においても毛細管現象
よって均一に保水される構造のものが望ましい。例え
ば、微細ポリエステル繊維のシートや、連通微細孔を有
するPVAスポンジ製のマット、パーライトなどに代表
される多孔質の鉱物などが挙げられる。前記資材を用い
ずに、保水層が水平になるよう建築構造物の傾斜面に階
段状の嵩上げ部を設ける方法(特開2001−1696
65号公報)でも良いが、傾斜面の勾配に応じて嵩上げ
部の形状に加工する必要がある。なお、空調設備から出
されるドレン水等をこの保水層に導くようにしてもよ
い。
【0022】保水層上には、多孔質揚水体が設置され
る。多孔質揚水体は、保水層より吸水力が強い微細な多
孔質性を有する必要がある。例えば、蛙目粘土40%、
木節粘土45%、陶石あるいは長石15%を混合した陶
土を約1100℃で焼成したセラミック板が挙げられ
る。このセラミック板からなる多孔質揚水体は、多孔質
揚水体上に敷設される植栽層に一定の上限を有する速度
で揚水し、植栽層が乾燥している場合で最大5.3リッ
トル/m2/日の割合で揚水する。植栽層上の植栽を維
持するのに必要な水分量が、0.3リットル/m2/日
である場合、無潅水日数を10日とした場合の必要な水
分量は、3リットル/m2である。この水分量を供給す
るための植栽層1m2に対する多孔質揚水体の接触面積
は0.057m2で良い。また、この場合、前述の保水
層は、3リットル/m2の保水量があれば植栽層が乾燥
し始めてからの無潅水日数が10日まで、上記の水分を
植栽層に供給することができる。
【0023】また、降雨によって植栽層に多量の水が供
給されると、土壌中の水は重力により下方に移動する。
屋上緑化のように底部が不透水あるいは難透水処理され
た人工地盤では、植栽層の下部になるほど含水率が高く
なり、とくに最下部では水分が飽和状態となる。一方、
人工地盤上の植物の根は植栽層の最下部に集中的に存在
する。また、本発明で用いるシバは比較的乾燥を好み、
土壌に水が滞水するような過湿状態では根の生育が抑制
される。よって、植栽層が湿潤状態にあっては、該多孔
質揚水体は植栽層内の水分を吸収し、保水層へと水を伝
達し、植栽層内の水分を抑制する機能を有する。この結
果、降雨時等の水分過剰時に発生する過湿による生育抑
制を回避することができる。また、乾燥時には保水層に
保持される水分が毛細管現象等により上方の植栽層方向
に移動し、透水性防根層上面に広がった根から吸収され
る。この水分抑制機能によって、植栽層の厚さを制限す
ることができるので、植物の根系の生育空間を制限する
ことにより、植物が過繁茂するのを防ぎ、また、湿潤時
でも適度な乾燥ストレスに曝される期間が長くなるた
め、結果として乾燥耐性の高い植物体が得られる。この
ように植栽層を多孔質揚水体で接続することによって湿
潤時、乾燥時とも安定的に植物の生育を維持ことができ
る。
【0024】植栽層は厚さ3cm以上10cm以下が好
ましい。植栽層の厚さが3cm以下では植物の根圏が著
しく小さくなり、生育がよくない。また、植栽層10c
m以上では湿潤時の植栽層の重量が重くなるだけでな
く、降雨時の保水が過剰となり植物の生育を抑制する。
保水層が厚さ1cm以下では保水可能な絶対量が著しく
少なく効果が期待できない。また、厚さ5cm以上で
は、保水層自体の重量が重くなるとともに、毛細管現象
により均一な保水性を維持する場合に毛管が途切れやす
いために保持された水分が植物に有効に利用されない。
透水性防根層は、透水性があり根が侵入しない素材であ
ればとくに制限はないが、防根シート、根切りシート等
の資材名で市販されている折り目の密度が高い織布や繊
維を圧着し繊維間隙を小さくした不織布などが利用でき
る。
【0025】また、植栽層に用いられる素材は、植物が
生育可能で、例えば最大容水量50%以上の土壌及び土
壌改良材であれはとくに制限はないが、特に植生として
ニホンシバを使用する場合、易有効水分量が100リッ
トル/m3以上250リットル/m3以下且つ難有効水分
量50以上150リットル/m3以下であることが望ま
しい。具体的には、肥沃な火山灰土壌である黒土、火山
灰土壌の心土である赤土などの自然土壌、又はこれらを
主体とするもの、あるいは浄水場発生土を用いるのが好
ましい。ここで、最大容水量とは土壌に含むことのでき
る水分の最大量で、全空隙量に相当する。易有効水分量
とは、「土壌標準分析・測定法」博友社36〜54頁に
記載の方法により測定した水分張力(pF)が1.8〜
3.0の範囲の水分量をいい、難有効水分量とは、易有
効水分量と同し方法により測定した水分張力(pF)が
3.0〜4.2の範囲の水分量をいう。易有効水分量が
250リットル/m3以上であると、過湿によるニホン
シバの生育不良や雑草の繁茂の原因となる。難有効水分
量50リットル/m3未満であると、乾燥時に、急激に
永久萎凋点(pF4.2)以下に土壌水分が減少し、植
栽した植物が枯死する可能性が高くなる。植栽層が急激
に乾燥した場合に多孔質揚水体の揚水量が不足する可能
性を軽減する観点から、植栽層の難有効水分量は100
リットル/m 3以上であることが好ましい。
【0026】本発明による植栽基盤構造を使用して植栽
する植生は、ゾイシア属のノシバ、コウライシバ、ギョ
ウギシバ属のバミューダグラス、ヤギュウシバ属のバッ
ファローグラス、ムカデシバ属のセンチペドグラス、カ
ゼグサ属のウィーピングラブグラス、スズメノヒエ属の
バヒアグラス、チカラシバ属のキクユグラス、イチゴツ
ナギ属のケンタッキーブルーグラス、コヌカグサ属のク
リーピングベントグラス、ウシノケグサ属のトールフェ
スク、レッドフェスク、ササ属のオカメザサ、クマザ
サ、コクマザサなどのイネ科植物、ザクロソウ科マツバ
ギク、ハナシノブ科シバザクラ、ベンケイソウ科セダム
類、ユリ科リュウノヒゲ、ハナニラ、キク科アークトセ
カ、デージー、オオキンケイギク、クマツヅラ科宿根バ
ーベナ、ヒノキ科ハイビャクシンを挙げることができ
る。さらに好ましくはゾイシア(Zoysia)属に属
する植物を植栽する。ゾイシア(Zoysia)属植物
としては、Zoysia japonica(ノシ
バ)、Zoysia matrella(コウライシ
バ)等を用いることができる。ゾイシア属植物は、耐乾
燥性に優れているため、ゾイシア属植物を植栽すること
によって、給水管理の大幅な軽減、設備の簡易化を図る
ことができる。尚、植栽方法は、ターフ状に成育させた
ものを植栽基盤構造上に敷き詰める等、従来公知の方法
を用い得る。
【0027】前記植物は土壌が比較的乾燥していること
を好む性質を有する。このうち、草高が低く耐圧性が強
いものとしてノシバ、コウライシバ、バミューダグラス
を挙げることができる。これらの植物を使用することに
より、本発明による植栽基盤構造を人の立入る場所に利
用することが可能となる。
【0028】また、植生にシバを用いることにより、以
下の各効果が得られる。即ち、 (1)シバはほふく性を有し、植物高が高くならない。
また、植栽場所の全面を緑覆することができる。 (2)シバは多年生植物であるため、毎年播種する等の
管理が不要である。 (3)過乾あるいは過湿によって植栽地帯の一部が枯死
しても、生存部分から伸長、拡大するので、植物の改植
することなく、いずれ植栽地帯全体に緑を回復させるこ
とができる。 (4)栽培方法、流通方法が確立されており、かかる観
点からも施工及び管理が容易である。 (5)荷重に対する耐性を有しているため、人が植物上
を歩行することも可能である。
【0029】観賞用に花をつけるものとして、マツバギ
ク、シバザクラ、セダム類の一部の種類(メキシコマン
ネングサ)、ハナニラ、アークトセカ、デージー、オオ
キンケイギク、宿根バーベナを挙げることができる。常
緑性のあるものとしてタマリュウ、サク類、マツバギ
ク、シバザクラ、ハイビャクシンなどを挙げることがで
きる。また、単一種では常緑ではないが、例えば暖地性
のバミューダグラスと寒冷地に適するレッドトップを混
植することで常緑とすることもできる。
【0030】本発明による植栽基盤構造によれば、植栽
層と保水層は空間的に完全に隔離されるため、降雨によ
り過剰な水が土壌に貯まった場合、速やかに保水層に移
行し、植栽層で滞水することがなく、植栽層と保水層の
間の空間によって、速やかに排水させることができる。
【0031】また、植栽層と保水層の間の空間を確保す
るためのスペーサは、保水層と植栽層を空間的に隔離で
きれば特に制限はないが、スノコ状の板、表面が凹凸状
に加工されたプラスチック成型板、発泡スチロール板、
立体網状マットなどがあり、グリ・シート(商品名)と
いう農業・土木用排水資材として市販されているシート
状のポリエチレン成型品等を適用可能である。
【0032】また、保水層は、植栽面積1m2あたり1
リットル以上、好ましくは2リットル以上の保水量が得
られるように吸水性の資材を厚さが均等になるように設
置するが、花弁栽培や野菜の育苗などの底面吸水に用い
られる吸・保水性の高い不織布を敷設する方法、パーラ
イトに代表される微細孔構造をもつ鉱物のような保水性
の高い資材を充填する方法などが適用できる。
【0033】本発明では乾燥時に保水層から植栽層へ水
分の移行を行うために用いる多孔質揚水体は、全空隙率
が35%以上55%以下であることが望ましい。ここで
いう全空隙率は「土壌標準分析・測定法」博友社21〜
24頁に記載の方法により測定した気相率と液相率の合
計である。全空隙率が35%未満では透水性が著しく小
さく、保水層から植栽層への水分の移行が十分でない。
全空隙率が55%より大きい場合、透水性が過剰となり
植栽層が十分な水分を保持しているにもかかわらず保水
層から植栽層に水が供給されてしまうため、湿潤時の過
湿害が発生したり乾燥時の保水量が不足したりする場合
がある。また、多孔質揚水体であるセラミックの強度が
不足するため、施工時や植栽層中で割れることがある。
本発明で用いるセラミックは全空隙率が35%以上55
%以下になるように製造されたものならいずれのもので
もよいが、例えば粘土原料に通常焼き物の原料として用
いられる蛙目粘土、木節、陶石、長石の他に、ペタライ
トを混合して1050℃以上で焼成したもの、ペタライ
トを用いずに焼成温度が1000℃以上1150℃以下
で焼成したもの等が適用できる。
【0034】多孔質揚水体の厚さは保水層と植栽層が完
全に密着すれば制限はないが、0.5cm以上5.0c
m以下、好ましくは0.8cm以上1.5cm以下が好
ましい。0.5cm以下では強度が不足し割れる可能性
が高くなるとともに、セラミックの側面から壁面効果に
より植栽層に水分が供給されてしまう可能性がある。ま
た、2.0cm以上では透水性が著しく小さく、夏場の
植栽層への水分の移行が不十分になる。設置密度は芝を
植栽した面積に対して1/100以上1/10以下であ
る。
【0035】また、保水層の一部を土壌保持枠体外に延
長して外気に露出させるようにしてもよい。屋上緑化が
求められている大都市が分布する太平洋岸の多くの地域
では、真夏の限られた時期(梅雨明けから9月上旬ま
で)を除いて十分な降雨があることから植栽層の乾燥よ
り過湿による生育抑制が問題となる。そのため保水層の
一部を外気に曝し、当該部分から余剰水分を蒸発させる
ことで植栽層全体を乾燥気味に維持し、植物の過湿害を
回避することができる。
【0036】また、植栽基盤構造内にある保水層とは異
なる新たな保水層をさらに設け、乾燥が問題となる真夏
の限られた時期のみ、保水層より保水層に給水するよう
にしてもよい。これによって夏の乾燥時に想定された無
潅水期間を超えて降水が無かった場合にも十分な水が確
保できる。保水層は、公知の雨水貯留タンクなどが望ま
しい。また、植栽基盤構造を設ける場所に水道設備があ
る場合は、保水層の代わりに水道から給水管を設けても
良い。保水層または水道からの給水抑制は、手動弁によ
る開閉、電池式タイマないしセンサ付電磁弁などによっ
て行うことができる。
【0037】
【実施例】次に、図面を参照して、本発明による植栽基
盤構造の実施例を説明する。図1は、本発明による植栽
基盤構造を建築物の屋上に適用した例を示す模式図であ
る。この図において、符号1は、植栽基盤構造底面全体
から建築構造物に水分が浸出するのを防ぐための防水層
である。符号2は、建築構造物の屋上や勾配屋根におい
ても毛細管現象よって均一に保水される構造を有する保
水層である。符号3は、セラミック等の多孔質揚水体で
あり、単位面積当たりに1つ設置される。この単位面積
は、植栽する植生が必要とする水分量に応じて決定され
る。符号4は、多孔質揚水体3と厚さの分だけ空間を確
保するためのスペーサである。符号5は、多孔質揚水体
3を含む全面を覆う透水防根層である。符号6は、植栽
を行うための土壌等で構成される植栽層である。符号7
は、植栽を行う植生であり、ここでは、シバを用いる。
符号8は、植栽基盤構造全体を保持するための土壌保持
枠体である。図2は、図1に示す植栽基盤構造の断面図
である。図2に示すように、植栽基盤構造の外枠となる
土壌保持枠体8と植栽層6との間には、余剰水を排水す
る余剰水排水溝が設けられている。
【0038】次に、図1、2を参照して、降雨による水
の流れを説明する。降った雨水は、植栽層6の表面から
浸透し、植生7の根に吸収される。また、植生7の根の
吸収分を超えた雨水は、植栽層6が有している保水能力
分は植栽層6内に保持される。さらに、植栽層6内に保
持できる保水能力分を超えた雨水は、重力によって降下
し、透水防根層を透過することにより保水層2へ達し、
保水層2に保持される。また、植栽層6に表面を流れて
余剰水排水溝9へ達した雨水は、保水層2へ達し、保水
層2に保持される。そして、保水層2に保持できる水量
を超えた雨水は、排水孔10から排水される。このよう
に、降った雨は、効率よく保水層2に保持される。特
に、植栽層6を浸透して底面まで達した水は、保水層2
の保水可能量に達するまでは保水層2に蓄えられ、保水
可能量を超えた場合はスペーサ4の部分を通って速やか
に排水孔10から排水させることができる。このスペー
サ4を無くし、保水層2を植栽層6に密着させると、余
った水の流速は、保水層2内を水が流れるときの速度と
なるため、速やかに排水することが困難となる。
【0039】一方、保水層2に蓄えられた水は、毛細管
現象によって保水層2内にほぼ均一に蓄えられることと
なる。そして、保水層2に蓄えられている水は、多孔質
揚水体3内の毛細管現象によって、多孔質揚水体3が接
している部分から吸い上げられ、植栽層6へ達する。た
だし、植栽層6へ達する水の量は、多孔質揚水体3が植
栽層6に接している面の面積と多孔質揚水体3を構成す
るセラミック等の特性によって調整されているため、過
度に給水されることはない。さらに、スペーサ4の部分
は、毛細管現象が発生しないため、給水は多孔質揚水体
3の上面からのみ行われることになり、多孔質揚水体3
の流量が予め分かっていれば、植栽する植生が必要とす
る水分量に応じて、多孔質揚水体3を複数設置すればよ
いので給水量を調整することが可能となる。
【0040】このように、保水層2と植栽層6の間を多
孔質揚水体3によって接続し、多孔質揚水体3以外の部
分にはスペーサ4を設けたため、過剰な降雨の場合に速
やかに排水することができるとともに適切な量の給水を
植栽層6に対して行うことが可能となる。
【0041】次に、図3、4を参照して、他の実施例を
説明する。図3は、単位面積毎にユニット化した植栽基
盤構造の断面を示す図である。ユニット化するための容
器12は、上面が開いた矩形の容器であり、底面付近の
側壁に排水孔10’が設けられている。この排水孔1
0’は、容器12に隣接する他の容器12からの余剰水
や容器12外からの雨水などの流入孔の役割も果たす。
また、降水があった場合にも雨水は植栽層6から透水防
根層5を通過し保水層2に保持される。余剰水吸収孔1
1は、強度の降雨があった場合などに、植栽層6の表層
を流れる雨水などを保水層2へ導く。このようにして蓄
えられた保水層2の水は、保水層2の毛細管現象によっ
て、容器12底面に設けられた保水層2全体に均一に保
持される。
【0042】一方、保水層2が満水の場合、排水孔1
0’から容器12外または隣接する他の容器12へ速や
かに排水される。多孔質揚水体3は、植栽層6が乾燥し
た場合に、保水層2に蓄えられた水を、植栽層6へ揚水
する役割を果たす。多孔質揚水体3の単位面積あたりの
揚水速度は、一定の上限があり、断面積を調節して植生
7の維持に必要な揚水速度を得るようにすればよい。こ
の結果、植栽層6が乾燥した場合に、保水可能量に比例
した期間、多孔質揚水体によって植栽層6へ揚水するこ
とが可能となる。また、保水層2の保水可能量を調節す
ることで、乾燥時の揚水期間を任意に設定することが可
能となる。
【0043】図4は、図3に示すユニット化した植栽基
盤構造を複数並べて設置した例を示す図である。各容器
12は、周知の方法によって接続されて固定される。こ
のようにユニット化することにより、予め植栽基盤構造
を構成しておくことが可能となるため、建築構造物等の
屋上に設置する場合でも設置工事の工期を大幅に短縮す
ることができるとともに、特殊な技能を有した者でなく
ても設置工事を行うことが可能となる。
【0044】なお、図3に示すユニット化した植栽基盤
構造は、水平面に限らず、傾斜面や垂直面であっても設
置可能である。このとき、植栽層6の表層を重力によっ
て流れる雨水が余剰水吸収孔11へ流れるように、余剰
水吸収孔11が設けられている側壁が下方になるように
設置する。これによって、効率よく水を保水層2へ導く
ことが可能となる。また、垂直面や傾斜面に設置する場
合において、容器12内に設置する多孔質揚水体3を余
剰水吸収孔11とは対面する側壁に近い位置に設置する
のが望ましい。保水層2から多孔質揚水体3を通過して
植栽層6に到達した水は重力の影響を受け、余剰水吸収
孔11側へ流れこみ易いため、多孔質揚水体3を上方に
設置することにより、植栽層6内に満遍なく水を浸透さ
せることが可能となる。
【0045】このように、雨水やドレン水を保水する保
水層2を有し、保水層2に貯留された水は、植栽層6が
乾燥した場合に多孔質揚水体3によって緩やかに植栽層
6ヘと潅水され、貯留した水の節約を図ることができ
る。また、多孔質揚水体3の揚水速度、多孔質揚水体3
による揚水経路の断面積によって植栽層6への揚水量が
制限されるので、揚水量を植栽の水分要求量に適合させ
ることができる。また、ニホンシバを植栽することによ
って優れた効果を発揮し得る建築構造物の緑化手段を提
供することができる。
【0046】次に、本発明による植栽基盤構造の有効性
を確認するために行った試験の結果を説明する。 <多孔質揚水体(セラミック)の種類毎の性状試験>土
壌調査用の試料円筒と同じ大きさとなるように、原料組
成と焼成温度の異なる複数のセラミックを作製し、でき
たセラミックの保水性を調査した。原料組成は、表1に
示す通り4種類用意し、各組成毎に焼成温度を1050
℃、1100℃、1150℃、1200℃の4種類と
し、それぞれ16種類のセラミックを作製した。この1
6種類のセラミックについて性状を試験した。
【表1】 試験の結果、各組成とも焼成温度が1200℃と高い場
合、全空隙率が20%以下となりほとんど保水しなくな
った。一方、焼成温度が1050℃と低い場合全空隙率
が56%と高くなり、著しく保水性が高くなった。以上
の結果から、全空隙率が35%未満と著しく低い場合、
セラミック自身の保水性が著しく低下しセラミックを介
して土壌への水分供給が著しく少なかった。また、全空
隙55%以上で保水性が著しく高い場合、セラミックか
ら土壌への水分供給が多く、土壌が乾燥しにくいことが
わかった。また、1050℃で焼成したセラミックは脆
く、欠け、割れが発生しやすかった。
【0047】<多孔質揚水体(セラミック)の種類毎の
給水能力試験>次に、前述した16種類のセラミックの
給水能力を試験した。原料組成は、表1に示す通りであ
り、焼成温度を1050℃、1100℃、1150℃、
1200℃の4種類とした。試験は、開始時に保水層に
50gの水を給水しておき、時間経過に伴って、多孔質
揚水体が揚水することによる保水層の重量減少変化を測
定した。試験の結果を図5に示す。図5は、代表的なセ
ラミックについてのみ図示した図であり、横軸は経過時
間[時間]を表し、縦軸は、保水層に給水した水の減少
量[g]を表している。図5に示すように、焼成温度が
1200℃である場合、保水層に水が残っているにもか
かわらず、32gに減少した時点から変化しなくなっ
た。一方、焼成温度が1050℃である場合、揚水速度
が速く、水の減少が一番速かった。給水する速度は、所
定の量をなるべく遅い速度で給水される方が良いため、
焼成温度が1100℃、1150℃であることが適して
いることが分かる。図5では、原料組成Cタイプ及びD
タイプのみ図示しているが、Aタイプ、Bタイプについ
ても同様な傾向を示す。ただし、原料調達の容易さから
C、Dタイプの原料組成を有したセラミックであること
が望ましい。
【0048】<多孔質揚水体(セラミック)の全空隙率
と揚水性の試験>多孔質揚水体の空隙率と揚水性の関係
を調べた。全空隙13.5〜58.9%の8種類のセラ
ミックを供給し、その揚水性を評価した。直径5cm、
厚さ1cmの円盤状のセラミックを2リットル/m2
保水性を有する不織布(キャピラリーシート、日本バイ
リーン社製)の上に設置した。さらにビニールフィルム
及びアルミフィルムでセラミック部分を除き完全に包
み、蒸発による水損失がほとんどないようにし、これを
保水層とした。別に鉢底に透水性防根シートをつけた直
径10.5cmのポリポットで栽培したノシバを、供試
植物として用いた。この供試植物を保水層のセラミック
の上に設置し、植物は透水性防根シートを介してセラミ
ックからのみ水分を吸収できるような仕組みにした。試
験装置の実施例を図6に示す。試験装置は、トレイ11
の底に保水層2に相当する保水シート2aを敷き、その
上に多孔質揚水体に相当するセラミック3aを載せて、
トレイ11全体をビニール袋1aとアルミホイル12で
覆って保水層を構成した。また、ポット8aの中に防根
シート5aを敷き、ノシバ7aを栽培した土6aを充填
し、セラミック3aの上面と防根シート5aの下面は接
するように配置した。
【0049】保水層に1ポット当たり70gの水を吸水
させ、十分かん水した供試植物をセラミックの上に置
き、試験を開始した。試験開始後は一切のかん水を行わ
ず、保水層からの水分減少量を毎日測定した。試験開始
時からの重量減少量をセラミックによる揚水量とした。
試験はすべての株がほぼ枯死したと思われる21日で終
了した。試験結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 表2に示すように、全空隙率が小さいほど揚水速度が小
さく、全空隙率34.1%以下では保水層に水分が残っ
ているにもかかわらず植物に水を揚水しなかった。逆に
全空隙率が大きい場合、特に55.2%以上では、ポッ
ト内土壌に水分が十分ある試験開始直後から揚水し、と
くに58.9%では2週間でほぼ全部揚水した。以上の
結果から、ポット内に十分な水分を有するときの揚水速
度は低く、乾燥時には完全に水分を上げる目的に適した
セラミックは、全空隙率35〜55%が好ましいことが
分かる。
【0051】以上の試験結果より、多孔質揚水体は、表
1に示すC、Dタイプの原料組成を有し、焼成温度が1
100℃または1150℃で作製したもの用いることが
望ましいことが分かる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、保水層と植栽層の間を多孔質揚水体によって接続
し、多孔質揚水体以外の部分にはスペーサによって空間
を設けたため、過剰な降雨の場合に速やかに排水するこ
とができるとともに、保水層に保水されている水を使用
して適切な量の給水を植栽層に対して行うことが可能に
なるという効果が得られる。これは結果的に、水道・電
気設備を必要とせず、温熱環境の改善効果及び都市型洪
水の防止効果に優れた植栽基盤構造を提供することが可
能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の構成を示す模式図であ
る。
【図2】 図1に示す植栽基盤構造の断面を示す図であ
る。
【図3】 ユニット化した植栽基盤構造を示す図であ
る。
【図4】 図3に示す植栽基盤構造を並べて設置した例
を示す図である。
【図5】 給水能力の試験結果を示すグラフである。
【図6】 試験装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・防水層 2・・・保水層 3・・・多孔質揚水体 4・・・スペーサ 5・・・透水防根層 6・・・植栽層 7・・・植生 8・・・土壌保持枠体 9・・・余剰水排水溝 10・・・排水孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 裕隆 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内 (72)発明者 角田 真一 大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内 (72)発明者 日下部 友昭 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 住友 林業緑化株式会社内 Fターム(参考) 2B022 AB04 AB17 BA04 BA21 BA23 BA25 BB03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物根系の生育する植栽層と、 前記植栽層と空間を隔てて設けられ、毛細管現象により
    保水される水を均一に蓄えることが可能な構造を有した
    材料で構成された保水層と、 前記植栽層及び前記保水層と接するように配置され、前
    記保水層に蓄えられた水を前記植栽層に対して給水する
    多孔質体と、 前記植栽層と前記空間との境に植物の根茎は通さず、透
    水性を有する透水防根層とを備えたことを特徴とする植
    栽基盤構造。
  2. 【請求項2】 余剰水を前記保水層へ導く余剰水排水溝
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の植栽
    基盤構造。
  3. 【請求項3】 前記多孔質体は、無釉の多孔質セラミッ
    クスであることを特徴とする請求項1に記載の植栽基盤
    構造。
  4. 【請求項4】 前記多孔質体は、前記保水層より吸水力
    が強い微細な多孔質を有することを特徴とする請求項1
    に記載の植栽基盤構造。
  5. 【請求項5】 前記多孔質体は、全空隙率35%以上5
    5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の植栽
    基盤構造。
  6. 【請求項6】 前記多孔質体の厚さは、前記空間を隔て
    た前記植栽層と前記保水層との距離と同じ値であり、
    0.5cm以上5.0cm以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の植栽基盤構造。
  7. 【請求項7】 前記多孔質体と前記植栽層及び前記保水
    層が接する面積は、植栽層において植生される植物が必
    要とする水分の量に応じて決定されることを特徴とする
    請求項1に記載の植栽基盤構造。
  8. 【請求項8】 前記植物がゾイシア属植物であることを
    特徴とする請求項1に記載の植栽基盤構造。
  9. 【請求項9】 植物根系の生育する植栽層と、前記植栽
    層と空間を隔てて設けられ、毛細管現象により保水され
    る水を均一に蓄えることが可能な構造を有した材料で構
    成された保水層と、前記植栽層及び前記保水層と接する
    ように配置され、前記保水層に蓄えられた水を前記植栽
    層に対して給水する多孔質体と、前記植栽層と前記空間
    との境に植物の根茎は通さず、透水性を有する透水防根
    層とが所定の植栽面積を有する容器に収められた植栽基
    盤構造ユニットであって、 前記植栽基盤構造ユニットは、複数接続可能に構成され
    たことを特徴とする植栽基盤構造ユニット。
  10. 【請求項10】 前記植栽基盤構造ユニットは、 余剰水を前記保水層へ導く余剰水吸収孔をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項9に記載の植栽基盤構造ユニッ
    ト。
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