JP2015061728A - Zoysia属のシバ類または浄水場発生土を用いた油汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

Zoysia属のシバ類または浄水場発生土を用いた油汚染土壌の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油汚染土壌の新規な浄化方法の提供。【解決手段】重油等の燃料油や機械油、油脂等により汚染された土壌の浄化方法であって、浄水場発生土を、油汚染土壌の全重量に対して、1〜50重量%となる量で混合するか、または油汚染土壌の表層に厚さ1〜300mm、より好ましくは3〜100mmで敷均し、浄水場発生土を混合するかまたは表層に敷均した油汚染土壌にノシバまたはコウライシバ等のZoysia属のシバ類を植栽する、油汚染土壌の浄化方法。【選択図】図1

Description

本発明は、重油等の燃料油や機械油、油脂等により汚染された土壌(以下、油汚染土壌とする)の浄化方法に関する。
土壌の油汚染は土壌汚染の一例であり、環境保全の見地から問題とされているところ、その原因が、鉱油類を含む土壌により、その土地や周辺を利用したり今後利用しようとする者に対して、油臭や油膜による生活環境保全上の支障を生じさせていることをいうものである。
油汚染に対する対応の考え方については、非特許文献1(油汚染対策ガイドライン)に示されている。
同ガイドラインによれば、油汚染は、油臭・油膜により、臭いや見た目での支障をきたすことを概念的に生活環境保全上の支障と定義付けられている。そのため、油臭の判定方法などは公園や砂場など、利用者が土壌に触れる場所では地表で、その他の土地利用に関しては地上1.5mで油臭の確認を行うなど、生活スタイルに則した形で判定が行われることとされている。
また、油はその生成由来より鉱油と動植物油に分類されるが、ガイドライン内では鉱油類のみが対象とされているところ、同ガイドラインの対象となる鉱油の種類としてガソリン、灯油、軽油および重油・潤滑油が挙げられている。
従来からの油汚染土壌の浄化方法には、大きく分けて掘削除去法と原位置浄化方法がある。
掘削除去法は、油汚染土壌を清浄土で埋め戻すことにより油汚染問題を解決する方法であるところ、この方法では、掘削した土壌を浄化しない限りは、単なる汚染の移動に過ぎないということになる。換言すれば、掘削除去法においては、掘削した土壌の浄化が不可欠な工程である。
掘削除去法における掘削した油汚染土壌の浄化方法には、熱処理、土壌洗浄、バイオレメディエーション等により浄化する方法がある。
熱処理では、非常に大きなエネルギーを要する問題点があり、土壌洗浄の方法では十分に汚染を除去することができず、一部をシルト・粘土に付着した油分については廃棄せざるを得ないという問題点がある。
また、バイオレメディエーションでは、土壌微生物の活性を高めたり、外来の高分解微生物を導入したりする方法があるが、両方法共に微生物の管理が難しいばかりでなく、外来微生物取扱時には多大な説明や安全性の確認が必要になるという問題点がある。
一方、原位置浄化方法としては、土壌ガス吸引、原位置バイオレメディエーション、化学的酸化分解等の方法が行われている。
しかしながら、土壌ガス吸引では、揮発性の高い油分は浄化できるが、揮発性の低い油分の除去が難しい。
また、原位置バイオレメディエーションでは、前述の掘削除去法におけるバイオレメディエーションの場合と同様に微生物の管理が難しく、外来微生物取扱時には多大な説明や安全性の確認が必要になるという問題点がある。
化学的酸化分解は、酸化剤を地下水に注入することにより油分を分解する方法であるが、反応が比較的速いため、酸化剤の到達範囲の広がりに限界があったり、対象とする油分以外の有機物などが多量に含まれていると、浄化効率が悪い場合があったりする。
これに対し、広範囲に分布する低濃度の油汚染を十分時間をかけて処理が可能な場合には、環境負荷が少なく、コストも低廉な方法として、植物を用いた浄化(ファイトレメディエーション)が好適である。
油汚染土壌のファイトレメディエーションについては、これまで、ヒマワリ、イネ、トウモロコシ、メヒシバ、アメリカセンダングサ、バミューダグラス、アルファルファ、アカクローバー、クズ、イヌビワ、シャリンバイ(特許文献1)、また、アカザ科ハマアカザ属に属する植物(特許文献2)により効果があるとされてきた。
しかしながら、ファイトレメディエーションにおいては土壌全体を覆って土壌の全体にわたり油分の浄化を行うことが必要であるところ、上記植物のうち、樹木であるイヌビワ及びシャリンバイについては、土壌全体を覆って全体的な油分の浄化を行うことは難しい。
また、ヒマワリ、イネ、トウモロコシ、メヒシバ、アメリカセンダングサ、アカザ科ハマアカザ属の場合は、一年草であり、毎年、播種し、植物体を維持する労力を必要とするため、省管理型の浄化への使用には適さない。
さらに、バミューダグラスは、イネ科に属する暖地型芝草ではあるが、種子繁殖の場合、発芽に高温が必要であり、日本ではターフになる前に夏が終わるので、養生に時間がかかる欠点がある。さらにまた、アルファルファはマメ科の多年草であるが、病虫害に弱い欠点がある。アカクローバーは、北海道や東北などの寒冷地の環境には適応するが、北関東以南においては、他植物との競合にうち勝つのは難しいため、もとよりファイトレメディエーションには不向きである。クズはつる性多年草であり、葉が地表を覆いつくしていても根は散在するにすぎないため、土壌全体を覆い全体的な浄化を達成することはできない。
したがって、ファイトレメディエーションは環境負荷が少なく、コストも低廉である点において優れた方法ではあるものの、用いる植物種としてあらゆる条件を充足するものは未だ見出されていない。
上記のとおり、油汚染土壌の浄化方法として種々の方法が提唱されているが、実用的に用い得るものは必ずしも確立されていないのが現状である。上記ファイトレメディエーション以外にも、リサイクル資材を用いる油汚染土壌の浄化方法は好ましいと考えられるが、現時点においてかかるリサイクル資材を用いる方法についての報告はなされていない。
特開2005−238017号公報 特開2002−172380号公報 特開平11−225572号公報
油汚染対策ガイドライン、中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会、平成18年3月
したがって、本発明は、油汚染土壌の新規な浄化方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者らは、油汚染土壌の浄化に用いることができる植物・資材を探索したところ、驚くべきことに、これまでファイトレメディエーションに用いることが知られていなかった植物や上記浄化に用いるために好適な資材があることを見出し、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、油汚染土壌の浄化方法であって、Zoysia属のシバ類を植栽することおよび/または浄水場発生土を、該土壌に混合することもしくは該土壌に敷均することを含む、油汚染土壌の浄化方法に関する。
また、本発明は、Zoysia属のシバ類を植栽することを含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
さらに、本発明は、Zoysia属のシバ類として、少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
また、本発明は、少なくとも1種のノシバとしてバーニングラブ(品種登録番号第14694号)を用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
少なくとも1種のコウライシバとしてオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)を用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
油汚染土壌の表層に浄水場発生土を敷均することを含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
さらに、本発明は、油汚染土壌に浄水場発生土を混合することを含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
またさらに、本発明は、油汚染土壌の全重量に対して、1重量%以上50重量%以下となる量で浄水場発生土を混合する工程を含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
そして、本発明は、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌に敷均し、前記浄水場発生土を混合するかまたは敷均した前記油汚染土壌にZoysia属のシバ類を植栽することを含む、請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法に関する。
本発明は、油汚染土壌の浄化に関し、広範囲に分布する低濃度の油汚染を十分時間をかけて処理が可能な場合に、環境負荷が少なく、コストも低廉な方法として、Zoysia属のシバ類を植栽することよりなる、油汚染土壌の浄化方法を見出し、これを提供するものである。本発明は、好ましくは、少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる油汚染土壌の浄化方法である。また、本発明は、より好ましくは、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」またはコウライシバの品種「オアシス グリーン(品種登録番号第14692号)」を植栽することにより、油分の分解を促進する方法を提供するものである。
また、本発明は、浄水場発生土を用いた油汚染土壌の浄化方法も提供する。
浄水場発生土リサイクル資材であり、土壌改良材として用いられることは知られているが(特許文献3)、油汚染土壌の浄化に用い得ることは全く知られていなかった。
本発明の該方法は、好ましくは、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌に敷均して土壌改良を行った上でZoysia属のシバ類、より好ましくは少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる。特に好ましくは、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」またはコウライシバの品種「オアシス グリーン(品種登録番号第14692号)」を植栽することにより油分の分解を促進する方法である。Zoysia属のシバ類、特に好ましくは、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」またはコウライシバの品種「オアシス グリーン(品種登録番号第14692号)」は、根が地中深くまで侵入し、油分による汚染を分解することができるのである。
本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌に混合することを含むものにおいては、油汚染土壌に対して1重量%以上50重量%以下となる量で混合することが好ましい。該混合には、耕耘機の他に、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
また、本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌に敷均することを含むものにおいては、浄水場発生土を敷均する厚さは1〜300mmが好ましく、3〜100mmがより好ましい。該敷均には、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
本発明によれば、従来の方法より効率的に油汚染土壌を浄化することができる。
本発明のZoysia属のシバ類を植栽することを含む方法のうち、Zoysia属のシバ類として、少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる方法によれば、油汚染土壌の浄化を一層効率的に行うことができる。
本発明の方法のうち、少なくとも1種のノシバとしてバーニングラブ(品種登録番号第14694号)または少なくとも1種のコウライシバとしてオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)を用いる方法によれば、油汚染土壌の浄化をより一層効率的に行うことができる。
本発明の方法のうち、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌の表層に敷均する方法によれば、油汚染土壌の浄化をより短時間で行うことができる。
油汚染土壌に浄水場発生土を混合することを含む本発明の方法のうち、油汚染土壌の全重量に対して、1重量%以上50重量%以下となる量で浄水場発生土を混合する工程を含む方法によれば、油汚染土壌の浄化を一層効率的に行うことができる。
本発明の方法のうち、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌に敷均し、前記浄水場発生土を混合するかまたは敷均した前記油汚染土壌にZoysia属のシバ類を植栽することを含む方法によれば、油汚染土壌の浄化をさらにより一層効率的に行うことができる。
ノシバ植栽または浄水場発生土による油分分解促進効果(C12−C28)を示す図である。 ノシバ植栽または浄水場発生土による油分分解促進効果(C6−C44)を示す図である。
以下に本発明をより詳細に説明する。
なお、本明細書において「油」とは、鉱油のみならず、植物性油および動物性油も包含する。
また、鉱油としては、炭素数で分類するに、主にC6−C44のものである。したがって、鉱油には、C12−C28およびC28−C44のものが包含される。
本発明が浄化の対象とする土壌中の油の濃度は、2重量%以下であればとくに制限されない。本願発明の方法は、油の濃度が0.5重量%から1重量%の場合、とくに効果が高い。
本発明で用いられるZoysia属のシバ類は、古来日本に植栽されてきた芝草であり、通常日本芝と称する。ノシバ(Zoysia japonica)、コウライシバ(Zoysia matrella)、ヒメコウライシバ(Zoysia matrella)、ビロードシバ(Zoysia tenuifolia)の他、オニシバ(Zoysia macrostachya)、スナシバ(Zoysia hondana)、ナガミノオニシバ(Zoysia sinica)等を含む。これらは、スズメガヤ亜科に属し、熱帯から温帯にかけて使用されている南方型芝草であり、これらは高温期に成長が盛んになるC4植物である。
これらシバ類は、耐暑性、耐乾性、耐塩性、踏圧抵抗性に優れているところ、ノシバは耐乾性にも優れているため好ましい。また、栽培管理がより簡便であるため、コウライシバも好ましい。
本発明の方法において特に好ましいZoysia属のシバ類は、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」またはコウライシバの品種「オアシス グリーン(品種登録番号第14692号)」である。バーニングラブ(品種登録番号第14694号)またはオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)は、根が地中深くまで侵入し、油分による汚染を効率的に分解することができるのである。
シバ類の増殖は、ほふく茎を伸長させ、再成長により、地表全面を覆う性質がある。また、根は土壌条件にもよるが、1m以上にまで伸長し、根圏での微生物活動を活性化することにより、油分の分解を促進するといった特長を有する。
Zoysia属のシバ類を用いる本発明の方法は、まず浄化の対象となる油汚染土壌に、Zoysia属のシバ類を植栽(移植)する。植栽の方法は、Zoysia属のシバ類の通常の方法によって行うことができる。浄化の効率を考慮して、浄化対象の土壌表面全体あるいは一部に目地を残した土壌表面全体に該シバ類が繁茂するように植栽すればよい。
これらZoysia属のシバ類は、他の植物と混植して植栽することもできる。また、前記Zoysia属のシバ類を植栽した後、同植栽されたシバ類に他の種子をオーバーシードすることもできる。
ここで浄化の対象となる油汚染土壌には、必要に応じて土壌改良材または肥料を加え、植栽する上記シバ類の生育に適した環境に調整することは好ましい。
土壌改良材としては、浄水場発生土、堆肥、ピート、ピートモス、泥炭・草炭加工物などの植物質資材やベントナイト、ゼオライト、バーミキュライト、パーライトなどの鉱物質資材、発泡スチロール粒、軽石、赤玉土など、土壌の通水性及び通気性又は通水性といった上記シバ類に対する土壌環境を改善するものが例示される。土壌改良材としては、浄化の効果および環境保全の観点から、浄水場発生土が好ましい。
また肥料も、液体肥料や固形肥料の別を問わず、Zoysia属のシバ類の生育のために通常使用される肥料を使用することができる。
また、本発明は、油汚染土壌の浄化方法であって、浄水場発生土を、該土壌に混合することもしくは該土壌に敷均することを含む方法も与えるところ、本発明で用いられる浄水場発生土は上水または工業用水の浄水処理過程で発生する沈積泥土を脱水したもの(浄水ケーキ)である。上記浄水場発生土は、上水用浄水場発生土及び工業用水用浄水場発生土を併用してもよい。浄水場発生土の利用は、地球環境を考えたリサイクルシステム上からも有意義である。
本発明において浄水場発生土を用いる場合、浄化の対象である油汚染土壌に浄水場発生土を混合するかまたは該土壌に浄水場発生土を敷均すればよく、混合または敷均する方法はとくに制限されない。浄水場発生土を用いる場合、浄水場発生土の混合と敷均を併用してもよい。また、浄水場発生土を油汚染土壌に混合することなく表層に敷均する方法は簡便であるため好ましい。
浄水場発生土を混合する量は、適宜設定してよいところ、土壌全体に対して、好ましくは1重量%〜50重量%であり、より好ましくは10重量%〜20重量%である。
該混合には、耕耘機の他に、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
また、本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌の表層に敷均することを含むものにおいては、浄水場発生土を敷均する厚さは1〜300mmが好ましく、3〜100mmがより好ましい。該敷均には、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
本発明の方法は、好ましくは、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌の表層に敷均して土壌改良を行った上でZoysia属のシバ類、より好ましくは少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる。
本発明の方法において、シバ類と浄水場発生土とを併用する場合、土壌に肥料成分としてリン酸肥料を添加するのが望ましい。浄水場発生土は浄水処理の過程で添加されるアルミニウム化合物の影響でリン酸吸収係数が高いが、リン酸肥料の添加することによってリン酸欠乏を防ぐことができるからである。また、リン酸添加量を適量とすることにより、土壌中の塩類濃度を高めて根に障害を回避し、リン酸肥料の副成分であるカルシウムやマグネシウム等が過剰となり培地中のミネラルバランスを損なうことを防ぐことができる。このことから、栽培植物の長期にわたる栽培期間中に肥効を持続し、栽培開始時の培地のECを上げることなく、また、カルシウムやマグネシウムが過剰でないリン酸肥料を使用することが好ましい。
本発明では、リン酸肥料の種類については、流亡しにくく肥効の長い含有リン酸成分のうち水溶性リン酸を除く、溶性リン酸が50重量%以上であるリン酸肥料を用いるのが望ましい。具体的には過燐酸石灰、熔燐、リンスター、重焼リン等が例示される。本発明で添加するリン酸肥料の添加量は、浄水場発生土1リットルあたりリン酸成分として4000mg以下が好ましく、同500mg以上〜1000mg以下となる量がさらに好ましい。
本発明において、シバ類と浄水場発生土とを併用する場合のシバ類としては、ノシバおよびコウライシバが好ましく、ノシバの品種としてはバーニングラブ(品種登録番号第14694号)が好ましく、コウライシバの品種としてはオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)が好ましい。
また、浄水場発生土を用いる本発明のいずれの方法においても、用いる浄水場発生土は、該浄水場発生土を単独で用いてよいが、山土、畑土、山砂、川砂等を予め混合して用いてもよい。
次に実施例に基づいて本発明を更により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されるものではない。
試験例1 油汚染土壌でのファイトレメディエーションによる油分分解に関する検討
(目的)
人工的に油汚染土を作製し、油分の分解程度及び植栽した植物の生育に与える障害の程度について検討した。
(方法)
油汚染土壌の作製は、山砂に対するA重油の割合が1重量%となるようにA重油を山砂に混合して行い、これを100%汚染土とした。これに10重量%の浄水場発生土を混合した区(90%汚染土10%浄水場発生土区)、100%汚染土を油汚染のない山砂で半分に希釈した区(50%汚染土50%山砂区)、さらに対照区として、油汚染のない山砂のみ、浄水場発生土のみの試験区をそれぞれ設定した。
上記各試験区に供試した試験土130リットルを、排水管を埋め込んだコンクリートブロック1300mm x 650mm x 500mm(深さ)に入れ、各区画を3等分し、クマツヅラ科イワダレソウ、Zoysia属シバ(利用名ノシバ、品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」、無植栽の対照区を設定した。クマツヅラ科イワダレソウは、特に生育が旺盛なことが知られており、本発明に用いられるZoysia属シバと対比するために、試験区として設定した。
植物の移植は2009年5月27日に行い、2009年9月末日まで、植物の生育状態の継続観察を行うとともに、油分の分解状況を同年8月17日に調査した。
土壌中の油分の濃度の測定は、土壌含有試験、すなわち非特許文献1に記載の溶媒抽出−ガスクロマトグラフ(FID)法により、全石油系炭化水素(TPH)において、C12〜C28で評価した。なお、C28〜C44については、混合ムラと推定される原因によりバラツキが大きかった(データなし)。
定量下限値は100mg/kgであった。また、分析用土は、植物根密度が小さくなる深度12cm程度の部位から採取した。
植物の生育状況についても併せて調査を行った。
(結果・考察)
C12〜C28についての油分分析結果を表1及び図1(表1を初期値100としてグラフ化したもの)に示す。
いずれの試験区においても、無植栽区、イワダレソウ植栽区に比較して、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」を植栽した区においては、全石油系炭化水素C12〜C28が減少した。
また、C6〜C44についても、上記C12〜C28の場合と同様にバーニングラブ植栽区における浄化が最も優れていた(表2、図2)。なお、C6〜C44においては、C6〜C12についての揮発の影響がある可能性がある。
さらに、無植栽区、すなわち浄水場発生土を所定量混合した区においても、イワダレソウ植栽区を上回る浄化効果が得られた(表1および2ならびに図1および2)。また、浄水場発生土を混合し、さらにノシバを植栽すると一層優れた浄化効果が得られた。
以上の結果より、Zoysia属のシバ類であるノシバおよび浄水場発生土は優れた油汚染土壌浄化効果を有し、浄水場発生土混合土壌にノシバを植栽すると浄化効果は増強されること、およびそれらの効果は、いずれもイワダレソウの効果を上回ることが明らかになった。
なお、植物の生育状況の調査結果を表3に示す。
植栽55〜63日目までは、無汚染土壌のイワダレソウの生育がやや不良であったが、それ以後は盛り返した。この主な原因は土壌の乾燥と考えられた。一方、油分を含む3試験区では、植栽47〜63日後以降にイワダレソウの生育が不良となった。この原因は、油分による生育障害と考えられた。一方、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」は、同期間においても汚染土での生育に全く問題がなく、油分に対する耐性があった。
本発明によれば、従来の方法が達成し得なかった優れた油汚染土壌の浄化方法が提供される。したがって、本発明は、油汚染土壌の浄化産業および関連産業の発展に寄与するところ大である。

Claims (7)

  1. 油汚染土壌の浄化方法であって、浄水場発生土を、該油汚染土壌に混合するかまたは該油汚染土壌の表層に敷均し、前記浄水場発生土を混合するかまたは表層に敷均した前記油汚染土壌にZoysia属のシバ類を植栽することを含む、油汚染土壌の浄化方法。
  2. Zoysia属のシバ類として、少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる、請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法。
  3. 少なくとも1種のノシバとしてバーニングラブ(品種登録番号第14694号)を用いる、請求項2に記載の油汚染土壌の浄化方法。
  4. 少なくとも1種のコウライシバとしてオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)を用いる、請求項2に記載の油汚染土壌の浄化方法。
  5. 油汚染土壌の表層に浄水場発生土を敷均することを含む、請求項1または2に記載の油汚染土壌の浄化方法。
  6. 油汚染土壌に浄水場発生土を混合することを含む、請求項1または2に記載の油汚染土壌の浄化方法。
  7. 油汚染土壌の全重量に対して、1重量%以上50重量%以下となる量で浄水場発生土を混合する工程を含む、請求項1〜4又は請求項6に記載の油汚染土壌の浄化方法。
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