JP5947857B2 - Zoysia属のシバ類または浄水場発生土を用いた油汚染土壌の浄化方法 - Google Patents
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Description
同ガイドラインによれば、油汚染は、油臭・油膜により、臭いや見た目での支障をきたすことを概念的に生活環境保全上の支障と定義付けられている。そのため、油臭の判定方法などは公園や砂場など、利用者が土壌に触れる場所では地表で、その他の土地利用に関しては地上1.5mで油臭の確認を行うなど、生活スタイルに則した形で判定が行われることとされている。
また、油はその生成由来より鉱油と動植物油に分類されるが、ガイドライン内では鉱油類のみが対象とされているところ、同ガイドラインの対象となる鉱油の種類としてガソリン、灯油、軽油および重油・潤滑油が挙げられている。
掘削除去法は、油汚染土壌を清浄土で埋め戻すことにより油汚染問題を解決する方法であるところ、この方法では、掘削した土壌を浄化しない限りは、単なる汚染の移動に過ぎないということになる。換言すれば、掘削除去法においては、掘削した土壌の浄化が不可欠な工程である。
熱処理では、非常に大きなエネルギーを要する問題点があり、土壌洗浄の方法では十分に汚染を除去することができず、シルト・粘土に付着した油分については廃棄せざるを得ないという問題点がある。
また、バイオレメディエーションでは、土壌微生物の活性を高めたり、外来の高分解微生物を導入したりする方法があるが、両方法共に微生物の管理が難しいばかりでなく、外来微生物取扱時には多大な説明や安全性の確認が必要になるという問題点がある。
しかしながら、土壌ガス吸引では、揮発性の高い油分は浄化できるが、揮発性の低い油分の除去が難しい。
また、原位置バイオレメディエーションでは、前述の掘削除去法におけるバイオレメディエーションの場合と同様に微生物の管理が難しく、外来微生物取扱時には多大な説明や安全性の確認が必要になるという問題点がある。
化学的酸化分解は、酸化剤を地下水に注入することにより油分を分解する方法であるが、反応が比較的速いため、酸化剤の到達範囲の広がりに限界があったり、対象とする油分以外の有機物などが多量に含まれていると、浄化効率が悪い場合があったりする。
油汚染土壌のファイトレメディエーションについては、これまで、ヒマワリ、イネ、トウモロコシ、メヒシバ、アメリカセンダングサ、バミューダグラス、アルファルファ、アカクローバー、クズ、イヌビワ、シャリンバイ(特許文献1)、また、アカザ科ハマアカザ属に属する植物(特許文献2)により効果があるとされてきた。
また、ヒマワリ、イネ、トウモロコシ、メヒシバ、アメリカセンダングサ、アカザ科ハマアカザ属の場合は、一年草であり、毎年、播種し、植物体を維持する労力を必要とするため、省管理型の浄化への使用には適さない。
すなわち、本発明は、油汚染土壌の浄化方法であって、Zoysia属のシバ類を植栽することおよび/または浄水場発生土を、該土壌に混合することもしくは該土壌に敷均することを含む、油汚染土壌の浄化方法に関する。
さらに、本発明は、Zoysia属のシバ類として、少なくとも1種のノシバまたはコウライシバを用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
また、本発明は、少なくとも1種のノシバとしてバーニングラブ(品種登録番号第14694号)を用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
少なくとも1種のコウライシバとしてオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)を用いる、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
油汚染土壌の表層に浄水場発生土を敷均することを含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
さらに、本発明は、油汚染土壌に浄水場発生土を混合することを含む、前記油汚染土壌の浄化方法に関する。
そして、本発明は、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌に敷均し、前記浄水場発生土を混合するかまたは敷均した前記油汚染土壌にZoysia属のシバ類を植栽することを含む、油汚染土壌の浄化方法に関する。
浄水場発生土リサイクル資材であり、土壌改良材として用いられることは知られているが(特許文献3)、油汚染土壌の浄化に用い得ることは全く知られていなかった。
本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌に混合することを含むものにおいては、油汚染土壌に対して1重量%以上50重量%以下となる量で混合することが好ましい。該混合には、耕耘機の他に、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
また、本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌に敷均することを含むものにおいては、浄水場発生土を敷均する厚さは1〜300mmが好ましく、3〜100mmがより好ましい。該敷均には、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
本発明の方法のうち、少なくとも1種のノシバとしてバーニングラブ(品種登録番号第14694号)または少なくとも1種のコウライシバとしてオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)を用いる方法によれば、油汚染土壌の浄化をより一層効率的に行うことができる。
油汚染土壌に浄水場発生土を混合することを含む本発明の方法のうち、油汚染土壌の全重量に対して、1重量%以上50重量%以下となる量で浄水場発生土を混合する工程を含む方法によれば、油汚染土壌の浄化を一層効率的に行うことができる。
本発明の方法のうち、浄水場発生土を、油汚染土壌に混合するかまたは該土壌に敷均し、前記浄水場発生土を混合するかまたは敷均した前記油汚染土壌にZoysia属のシバ類を植栽することを含む方法によれば、油汚染土壌の浄化をさらにより一層効率的に行うことができる。
なお、本明細書において「油」とは、鉱油のみならず、植物性油および動物性油も包含する。
また、鉱油としては、炭素数で分類するに、主にC6−C44のものである。したがって、鉱油には、C12−C28およびC28−C44のものが包含される。
これらシバ類は、耐暑性、耐乾性、耐塩性、踏圧抵抗性に優れているところ、ノシバは耐乾性にも優れているため好ましい。また、栽培管理がより簡便であるため、コウライシバも好ましい。
本発明の方法において特に好ましいZoysia属のシバ類は、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」またはコウライシバの品種「オアシス グリーン(品種登録番号第14692号)」である。バーニングラブ(品種登録番号第14694号)またはオアシス グリーン(品種登録番号第14692号)は、根が地中深くまで侵入し、油分による汚染を効率的に分解することができるのである。
これらZoysia属のシバ類は、他の植物と混植して植栽することもできる。また、前記Zoysia属のシバ類を植栽した後、同植栽されたシバ類に他の種子をオーバーシードすることもできる。
土壌改良材としては、浄水場発生土、堆肥、ピート、ピートモス、泥炭・草炭加工物などの植物質資材やベントナイト、ゼオライト、バーミキュライト、パーライトなどの鉱物質資材、発泡スチロール粒、軽石、赤玉土など、土壌の通水性及び通気性又は通水性といった上記シバ類に対する土壌環境を改善するものが例示される。土壌改良材としては、浄化の効果および環境保全の観点から、浄水場発生土が好ましい。
また肥料も、液体肥料や固形肥料の別を問わず、Zoysia属のシバ類の生育のために通常使用される肥料を使用することができる。
浄水場発生土を混合する量は、適宜設定してよいところ、土壌全体に対して、好ましくは1重量%〜50重量%であり、より好ましくは10重量%〜20重量%である。
該混合には、耕耘機の他に、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
また、本発明の方法のうち、浄水場発生土を油汚染土壌の表層に敷均することを含むものにおいては、浄水場発生土を敷均する厚さは1〜300mmが好ましく、3〜100mmがより好ましい。該敷均には、ショベルローダーやバックホー等の重機を用いることもできる。
本発明の方法において、シバ類と浄水場発生土とを併用する場合、土壌に肥料成分としてリン酸肥料を添加するのが望ましい。浄水場発生土は浄水処理の過程で添加されるアルミニウム化合物の影響でリン酸吸収係数が高いが、リン酸肥料の添加することによってリン酸欠乏を防ぐことができるからである。また、リン酸添加量を適量とすることにより、土壌中の塩類濃度を高めて根に障害を回避し、リン酸肥料の副成分であるカルシウムやマグネシウム等が過剰となり培地中のミネラルバランスを損なうことを防ぐことができる。このことから、栽培植物の長期にわたる栽培期間中に肥効を持続し、栽培開始時の培地のECを上げることなく、また、カルシウムやマグネシウムが過剰でないリン酸肥料を使用することが好ましい。
また、浄水場発生土を用いる本発明のいずれの方法においても、用いる浄水場発生土は、該浄水場発生土を単独で用いてよいが、山土、畑土、山砂、川砂等を予め混合して用いてもよい。
(目的)
人工的に油汚染土を作製し、油分の分解程度及び植栽した植物の生育に与える障害の程度について検討した。
油汚染土壌の作製は、山砂に対するA重油の割合が1重量%となるようにA重油を山砂に混合して行い、これを100%汚染土とした。これに10重量%の浄水場発生土を混合した区(90%汚染土10%浄水場発生土区)、100%汚染土を油汚染のない山砂で半分に希釈した区(50%汚染土50%山砂区)、さらに対照区として、油汚染のない山砂のみ、浄水場発生土のみの試験区をそれぞれ設定した。
植物の移植は2009年5月27日に行い、2009年9月末日まで、植物の生育状態の継続観察を行うとともに、油分の分解状況を同年8月17日に調査した。
定量下限値は100mg/kgであった。また、分析用土は、植物根密度が小さくなる深度12cm程度の部位から採取した。
植物の生育状況についても併せて調査を行った。
いずれの試験区においても、無植栽区、イワダレソウ植栽区に比較して、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」を植栽した区においては、全石油系炭化水素C12〜C28が減少した。
植栽55〜63日目までは、無汚染土壌のイワダレソウの生育がやや不良であったが、それ以後は盛り返した。この主な原因は土壌の乾燥と考えられた。一方、油分を含む3試験区では、植栽47〜63日後以降にイワダレソウの生育が不良となった。この原因は、油分による生育障害と考えられた。一方、ノシバの品種「バーニングラブ(品種登録番号第14694号)」は、同期間においても汚染土での生育に全く問題がなく、油分に対する耐性があった。
Claims (5)
- 油汚染土壌の浄化方法であって、前記油汚染土壌に少なくとも1種のノシバ(バーニングラブ(品種登録番号第14694号)は除く)またはコウライシバであるZoysia属のシバ類を植栽し外来の高分解微生物を導入せずに、根圏での微生物活動を活性化することにより鉱油の分解を促進することを含み、該油汚染土壌中の油の濃度が2重量%以下である、油汚染土壌の浄化方法。
- Zoysia属のシバ類として、前記少なくとも1種のコウライシバを用いる、請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法。
- Zoysia属のシバ類を植栽する前に油汚染土壌の表層に浄水場発生土を敷均することをさらに含む、請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法。
- Zoysia属のシバ類を植栽する前に油汚染土壌に浄水場発生土を混合することをさらに含む、請求項1に記載の油汚染土壌の浄化方法。
- 油汚染土壌の全重量に対して、1重量%以上50重量%以下となる量で浄水場発生土を混合する工程を含む、請求項4に記載の油汚染土壌の浄化方法。
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