JP2000232820A - 建築構造物の緑化方法 - Google Patents

建築構造物の緑化方法

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JP2000232820A JP11036946A JP3694699A JP2000232820A JP 2000232820 A JP2000232820 A JP 2000232820A JP 11036946 A JP11036946 A JP 11036946A JP 3694699 A JP3694699 A JP 3694699A JP 2000232820 A JP2000232820 A JP 2000232820A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メンテナンスの負担が少なく、温熱環境の
改善効果及び都市型洪水の防止効果に優れた建築構造物
の緑化方法及び植生基盤構造を提供する。 【解決手段】 建築構造物の緑化方法は、建築構造物1
上に土壌3を敷設し、該土壌3にゾイシア属の植物6を
植栽する。植生基盤構造は、建築構造物1上に形成した
土壌保持枠2内に、全有効水分200L/m3 以上且つ
難有効水分量100L/m3 以上の土壌3を充填してな
る植生基盤構造であって、上記土壌3の深さD1を15
〜30cmとし、該土壌3の表面からの深さD2が5〜
10cmの位置に排水孔4を設けてある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造物の緑化
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
市街地においては、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コン
クリート造の建築構造物が建ち並び、また、殆どの道路
はアスファルト舗装されており、都市部の緑はますます
減少している。このため、都市部に生活する人々に潤い
や快適さを供与する緑地帯が求められている。また、建
築構造物の屋上や外壁を植物にて覆うことが、建築構造
物の冷暖房費の低減や都市型ヒートアイランド現象の緩
和などに効果があることが明らかとなり、都市部におけ
る建築構造物の緑化の必要性が増大している。
【0003】また、近年、下水道の普及や道路及び家屋
等の施設まわりのコンクリート舗装化等による都市化の
進展に伴い、雨水の河川へのピーク到達時間が短縮化さ
れ、これにより生じる都市型河川氾濫が社会問題化して
いる。この都市型洪水の防止策の一つとして、建物の屋
上を芝生、樹木、草花等で緑化し、建物屋上に配設され
た土壌に雨水を含浸させることにより雨水の流出を抑制
する方法が有効であるとされている。
【0004】建築構造物の屋上等において、樹木や草花
を植えるための植栽を行うための植生基盤構造が種々提
案されている。例えば、建築物の屋上のスラグコンクリ
ート上に、アスファルト製防水層を設け、該防水層上
に、コンクリート、敷き砂利等の排水層、客土を順次積
層して植生基盤構造を形成し、該客土に樹木や草花が植
えて植栽を行うことが提案されている。しかし、この植
生基盤構造においては、現場作業の工程が多く施工期間
が長期化すると共に、植生基盤構造が大重量化される等
の問題がある。
【0005】また、建築構造物上の少なくとも一部を覆
うように設けられた防水層と、該防水層上を覆うように
設けられ、該防水層を保護する保護層と、該保護層を覆
うように設けれられ、かつ、上面に多数の凹部が形成さ
れると共に、下面において前記上面の凹部に対応する部
分が凸部に形成された導水パネルと、該導水パネル上面
の前記凹部に充填された保水材と、該保水材の充填され
た導水パネルを覆うように設けられた透水膜と、該透水
膜上を覆うように設けられた客土とが順次積層されてい
ることを特徴とする建築構造物の緑化用床構造(特開平
6−209566号公報)、防水層、耐根シート、平板
状の頭部と錐体状の胴体とからなるコマ型形状の植物栽
培ブロック、互いに隣接する該植物栽培ブロックの間隙
部にある軽量骨材および表層を備えることを特徴とする
屋上用植物栽培コンクリート基盤(特開平08−238
02号公報)等が提案されている。しかし、これらの緑
化構造は、降雨による過剰な水を速やかに排水するよう
にしてあるため、都市型洪水の防止効果が比較的小さ
い。また、貯水型構造を有する植生基盤が知られている
が、植生基盤内に過剰な水が停滞し、その結果、根腐れ
によって植物の生育が悪くなったり枯死する場合があ
る。
【0006】そこで、特開平06−319378号公
報、特開平7−115858号公報、特開平08−13
7964号公報のように植生基盤とは別に貯水槽を設
け、過剰な降水を一時的に貯水槽に貯め、乾燥時には貯
水槽から植物の生育必要な水分を供給する構造が多く開
発されている。しかし、これらの方法は、貯水槽が満水
になったとき大重量化することや、貯水槽を含む植生基
盤構造が複雑で、コストがかかるという問題がある。特
に、既設建造物の屋上では、植栽することを想定した設
計が行われていないため、一般的に水道等の設備がな
く、また、厚い植栽土壌に耐える耐荷重構造がないこと
から、特に乾燥に強いコケ(特開平07−227142
号公報)やSedum属植物(特開平07−20766
7号公報)等、屋上等の過酷な環境条件下でも生育可能
な植物を用いて、簡易的に且つ極めて薄い植生基盤で軽
量に緑化する方法が開発されている。しかし、これらの
方法においては、都市型洪水の防止に対してはほとんど
効果がなく、また、蒸散を抑えて生存に耐える植物の性
質から気化熱による建造物の放熱が少なく、冷房費の節
減という省エネ効果も期待できない。また、植物の荷重
に対する耐性が低いため、乗って利用することができな
い。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものである。本発明の目的は、メンテナンスの負担が
少なく、温熱環境の改善効果及び都市型洪水の防止効果
に優れた緑化構造を、建築構造物上に容易に形成するこ
とのできる建築構造物の緑化方法を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、施工が容易で、メンテナン
スの負担が少なく、温熱環境の改善効果及び都市型洪水
の防止効果に優れた植生基盤構造であって、特にゾイシ
ア属植物を植栽することによって優れた効果を発揮し得
る植生基盤構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
建築構造物上に土壌を敷設し、該土壌にゾイシア属の植
物を植栽することを特徴とする建築構造物の緑化方法を
提供することにより、上記の目的を達成したものであ
る。また、請求項2記載の発明は、建築構造物上に形成
した土壌保持枠内に、全有効水分200L/m3 以上且
つ難有効水分量100L/m3 以上の土壌を充填して植
生基盤構造を形成し、該植生基盤構造にゾイシア属の植
物を植栽することを特徴とする建築構造物の緑化方法を
提供することにより、上記の目的を達成したものであ
る。また、請求項3記載の発明は、建築構造物上に形成
した土壌保持枠内に、全有効水分200L/m3 以上且
つ難有効水分量100L/m3 以上の土壌を充填してな
る植生基盤構造であって、上記土壌の深さを15〜30
cmとし、該土壌の表面からの深さが5〜10cmの位
置に排水孔を設けたことを特徴とする植生基盤構造を提
供することにより、上記の目的を達成したものである。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の植生基盤
構造に、ゾイシア属の植物を植栽することを特徴とする
建築構造物の緑化方法を提供することにより、上記の目
的を達成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について図面を参照しながら説明する。
【0010】先ず、本発明の植生基盤構造の一実施形態
について説明する。本実施形態の植生基盤構造は、建築
構造物1上に形成した土壌保持枠2内に、全有効水分2
00L/m3 以上且つ難有効水分量100L/m3 以上
の土壌を充填してなる植生基盤構造であって、上記土壌
3の深さD1(図1参照)は15〜30cmであり、該
土壌3の表面からの深さD2(図1参照)が5〜10c
mの位置に排水孔4が設けられている。
【0011】土壌保持枠2は、建築構造物1上に土壌3
を所定の形状として保持するための枠であり、本実施形
態においては、建築構造物1上に、底面部21及び側壁
部22を有する容器23を設置して形成してある。容器
23は、非透水性の形成材料からなり、側壁部22にお
ける所定の高さ位置に、所定の間隔で複数の排水孔4を
有している。土壌保持枠2における該排水孔4の形成位
置よりも下部は、水の貯留部として機能する。即ち、排
水孔4の形成位置よりも下部は、非透水性の材質で囲ま
れており、雨水や供給された水を土壌と混在させた状態
としてこの部分に保持する。
【0012】土壌保持枠2は、その内面に防根層24を
有しており、植物の根が該土壌保持枠2の底面部21や
側壁部22に到達しても該土壌保持枠2が破壊されるよ
うなことがない。防根層24は、ポリエチレンフィルム
など不透水性のフィルム、厚さ5〜10mmの不織布等
の透水性を有するシート、化学物質で根の侵入を防止す
るシートにより形成することができる。
【0013】尚、本発明における土壌保持枠は、屋上等
の建築構造物1上にコンクリート等により土壌保持枠2
の側壁部22となる壁体を形成し、建築構造物1上の該
壁体に囲まれた部分及び該壁体の内壁面に防水層を設け
たものであっても良い。この場合における防水層は、ア
スファルト及びアスファルトフェルト、アスファルトル
ーフィング、特殊アスファルトルーフィングなどを重ね
て防水層を形成する周知のアスファルト防水もしくは改
質アスファルト防水、塩化ビニル系防水、ウレタン+F
RP複合塗膜防水などにより形成することができる。ま
た、上記の壁体は、壁面を有する構造物や既設の壁体等
を利用しても良い。
【0014】土壌保持枠2に充填する土壌3は、全有効
水分量が200L/m3 以上且つ難有効水分量100L
/m3 の土壌である。具体的には、肥沃な火山灰土壌で
ある黒土、火山灰土壌の心土である赤土など、壌土ある
いは植壌土に分類される土壌、又はこれらを主体とする
ものを用いるのが好ましい。ここで、全有効水分量と
は、土壌標準分析・測定法 博友社 36〜54頁に記
載の方法により測定した水分張力(pF)が1.8〜
4.2の範囲の水分量をいい、難有効水分量とは、全有
効水分量と同じ方法により測定した水分張力(pF)が
3.0〜4.2の範囲の水分量をいう。
【0015】土壌3の全有効水分量200L/m3 未満
であると、特に夏期の乾燥時に水分が不足し易い。ま
た、難有効水分量100L/m3 未満であると、乾燥時
に、急激に永久萎凋点(pF4.2)以下に土壌水分が
減少し、植栽した植物が枯死する可能性が高くなる。
尚、メンテナンス負担の軽減等の観点から、土壌3の難
有効水分量は120L/m3 以上であることが好まし
い。
【0016】特に、人による歩行が頻繁に行われると予
想される場所には、降雨時に土壌が泥状軟化し、歩行に
よる踏圧で不安定となる場合があるので、土壌3には、
多孔質火山礫を配合することが好ましい。多孔質火山礫
には、通常アズキ大の大きさで黒色または褐色を呈する
多孔質スコリアや、マグマが大気中や水中に放出された
とき外圧の急激な低下により内部のガスを放出して多孔
質となった岩石片である軽石などが含まれる。これらの
多孔質火山礫の内、粒の硬さが指で容易に崩れない程度
以上であるものが好ましく、湿潤時の比重が0.8〜
1.2であることが好ましい。多孔質火山礫の粒径は5
〜30mm、特に10〜20mmの範囲のものが好まし
い。多孔質火山礫の配合量は、建築構造物に敷設する土
壌(多孔質火山礫を含む土壌全量)中、通常5〜20容
量%、好ましくは10〜20容量%である。多孔質火山
礫は、土壌に均一に混合しても良いし、赤土等の上に敷
き詰めても良い。
【0017】上記土壌として、火山灰土壌の心土である
赤土のように腐植含有量が50g/kg以下である土壌
を用いる場合には、堆肥及び浄水ケーキのいずれか一方
又は双方を土壌改良資材として添加する。土壌改良資材
の添加により、生育過剰とならせることなく植物の生育
に必要な微量要素を継続的に供給することができる。
【0018】上記堆肥としては、通常公知の各種の堆肥
を用いることができ、例えばイナワラ、麦稈、バーク、
鋸屑、家畜糞尿、都市ゴミコンポスト等の各種材料を自
然堆肥しあるいは人為的に機械処理して常法により得ら
れるものを用いることができる。上記浄水ケーキとして
は、浄水場の脱水処理過程で発生した無薬注の浄水場発
生土を用いることができる。これらの土壌改良資材の添
加量は、建築構造物に敷設する土壌(土壌改良資材を含
む土壌全量)中、3〜15容量%、特に5〜10容量%
が好ましい。
【0019】土壌保持枠2内の土壌3は、深さD1(平
均深さ)が15〜30cmとなり、該土壌の表面からの
深さD2が5〜10cmの位置に排水孔4を有するよう
に、充填することが好ましい。このような構成とすれ
ば、排水孔4より下部の水の貯留部に、雨水が充分に蓄
えられ、土壌の過乾燥が防止される。また、水分の管理
が容易となる。また、大雨時や長雨時等における貯留部
に蓄えられない過剰量の雨水が、比較的速やかに排水孔
4から排出されるため、植栽植物の根腐れによる枯死等
を効果的に防止することができる。重量を抑えつつ、水
分の貯留と排水とのバランスを図る観点から土壌3の深
さD1は15〜25cmが好ましく、特に15〜20c
mが好ましい。
【0020】土壌保持枠2の大きさは、土壌表面の面積
が10m2 〜100m2 であることが好ましい。土壌保
持枠2の大きさが、上記の下限値より小さいと、土壌保
持枠2の外周部からの水分の蒸発散により土壌の乾燥が
進行し易くなり、植栽植物が枯死する危険性が高くな
る。一方、上記の上限値を超えると、土壌保持枠2内に
おける水分の偏りが発生し易くなり、特に降雨が連続し
たときなどに、水の停滞による根腐れ等の危険性が高く
なる。
【0021】次に、上述した植生基盤構造を用いた本発
明の建築構造物の緑化方法の好ましい実施形態について
説明する。本実施形態においては、建築構造物1上に敷
設した土壌3、即ち上記植生基盤構造の土壌3にゾイシ
ア(Zoysia)属植物6を植栽する ゾイシア(Zoysia)属植物としては、Zoysi
a japonica(ノシバ)、Zoysia ma
trella(コウライシバ)、Zoysiatenu
ifolia(ビロードシバ)等を用いることができ
る。ゾイシア属植物は、耐乾燥性及び耐冠水性に優れて
いるため、ゾイシア属植物を植栽することによって、給
水管理の大幅な軽減、設備の簡易化を図ることができ
る。尚、植栽方法は、ターフ状に成育させたものを土壌
3上に敷き詰める等、従来公知の方法を用い得る。
【0022】また、ゾイシア属植物を用いることによ
り、以下の各効果が奏される。即ち、 ゾイシア属植物は我が国の自然界に現存している種類
であるので、わが国の生態系を乱すおそれが少ない。
ゾイシア属植物はほふく性を有し、植物高が高くならな
い。また、植栽場所の全面を緑覆することができる。
過乾あるいは過湿によって植栽地帯の一部が枯死が枯死
しても、生存部分からほふく枝が伸長するので、植物の
改植することなく、いずれ植栽地帯全体に緑を回復させ
ることができる。ゾイシア属植物は、多年生植物であ
るため、毎年播種する等の管理が不要である。栽培方
法、流通方法が確立されており、かかる観点からも施工
及び管理が容易である。荷重に対する耐性を有するた
め、人が植物上を歩行することも可能である。
【0023】本発明の建築構造物の緑化方法は、A)夏
期の月別平均気温が20℃以上であり、B)10分間に
20mm以上の降雨が記録されたことがあるか、1時間
に50mm以上の降雨が記録されたことがある地域、又
は、将来そのような降雨の可能性がある地域において特
に優れた効果を発揮する。このような地域においては、
実質的に無灌水でゾイシア属植物を生存させることがで
き、管理負担を大幅に軽減することができる。
【0024】図3に、本実施形態の建築構造物の緑化方
法により得られる好ましい緑化構造を示した。図3に
は、上述した植生基盤構造(図中Sで示す。)を建築構
造物の屋上に所定の間隔を開けて複数設けた例を示して
ある。各植生基盤構造S同士間には、各植生基盤構造S
における土壌表面とほぼ等しい高さとなるように歩行路
7を形成してある。
【0025】以上、本発明の建築構造物の緑化方法及び
植生基盤構造それぞれの好ましい実施形態について説明
したが、本発明は、上記実施形態に制限されることな
く、本発明それぞれの趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更
可能である。例えば、両発明における土壌保持枠2は、
図2に示すように、防水性能を有する深さが同一の容器
23’を複数連設して形成しても良い。図2に示す植生
基盤構造においては、容器23’の各連結部7に、上下
に貫通するように排水孔4’を設けてあり、また、土壌
保持枠2の外周部に位置する容器23’の側壁部22’
の上方に防漏部25を延設し、土壌保持枠2の連結部7
より上部に土壌3を充填し得るように構成してある。
尚、図2に示す植生基盤構造における土壌3の深さD1
及び排水孔4の深さD2は、上述した図1に示す実施形
態におけるのと同様である。更に、土壌保持枠2は、防
水性能を有する深さの異なる容器を、土壌表面の高さが
揃うように、複数連設して形成したものであっても良
い。
【0026】また、土壌保持枠2内の平均の土壌厚を1
5cm〜30cmとし、植栽部分の高さを一定に保ちな
がら土壌厚の厚薄に変化(差)を設けても良い。例え
ば、土壌厚が厚い部分の厚みを25cm〜40cmと
し、土壌厚が薄い部分の厚みを5cm〜15cmとす
る。土壌厚の最厚部から最薄部にかけては、直線やS字
状に連続的に変化させても良いし、階段状に不連続的に
変化しても良い。近年異常気象現象が多く認められてお
り、過去記録されていなかったほどの日照りや長雨が発
生する可能性が否定できない。土壌厚の厚薄に変化を付
けることによって、過度の日照りによる過乾に対しては
土壌厚の厚い部分、過度の長雨による過湿に対いては土
壌厚が薄い部分のゾイシア属植物を生存させることがで
きる。植栽地帯の一部を生存させれば、ゾイシア属植物
のほふく性を利用して植栽地帯全体の緑を回復させるこ
とができる。この結果、植栽に決定的な影響を与える異
常気象後でも植物の改植することなく緑地部分を維持す
ることができる。また、本発明は、建築物の屋上やバル
コニー、ベランダ等の他、ビル間連絡路、歩道橋等にも
適用することができる。
【0027】
【実施例】本発明の有効性を確認するために各種の評価
試験を行った。
【0028】試験1〔耐乾燥性の評価〕 縦45cm、横20cm、高さ20cmのプラスチック
ケースに赤土(茨城県つくば市産,全有効水分220L
/m3 ,難有効水分量120L/m3 )を深さ20cm
となるように充填し、Zoysia matrella
(コウライシバ,商品名“ウィンターフィールド”住友
林業緑化株式会社)、Zoysia japonica
(ノシバ)、Zoysia tenuifolia(ビ
ロードシバ)、及び対照としてAgrositis p
alustris(商品名“クリーピングベント”)の
合計四種類の植物を、それぞれケース内においてターフ
状(マット状)となるまで成育させた。
【0029】ターフ状態となった各種類の植物体を飽和
水分まで灌水した後、2週間灌水をせずに管理し、乾燥
処理を行った。尚、乾燥処理は、平成8年8月に行っ
た。そして、乾燥処理後のターフについて、葉の黄変及
び葉の縮れの有無を観察し、また、枯死率を求めた。表
1に、これらの結果を示した。尚、枯死率は、乾燥処理
後のターフの任意の場所から根付きの主茎を20本ずつ
採取し、水で湿らせた濾紙を敷いたシャーレ内に並べ、
20℃で5日間放置した後の植物体の状況から枯死率
(%)を算出した。
【0030】また、乾燥処理後の上記ターフに十分灌水
し、更に適宜十分な灌水を行いながら1週間管理し、1
週間経過後の生育状況を目視により評価した。この評価
結果を、灌水後の生育として表1に併せて示した。尚、
本試験における一連の操作は、ガラス温室内の日光が十
分当たる場所にて行った。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示すように、ゾイシア属植物は、2
週間無灌水でも生存し、その後の灌水によってターフ全
体が十分な生育を保つことができたが、Agrosit
is属のクリーピングベントは完全に枯死した。
【0033】試験2〔耐冠水性の評価〕 縦45cm、横30cm、高さ10cmのプラスチック
ケースに、試験1と同じ赤土を、深さ10cmとなるよ
うに充填し、試験1と同じ四種類の上記植物をターフ状
態となるまで生育させた。各ケースを、それぞれ縦30
cm、横40cmの容器に入れ、該容器内に水を深さ1
2cmとなるように注入して植物体を冠水させた。そし
て、1日1回灌水して水深12cmを維持しながら、平
成8年7月19日から7月26日までの7日間、冠水処
理を行った。水温は20〜25℃であった。7日間の冠
水処理後に、水中からケースを取り出し、3日間屋外に
放置した後、植物体の葉の黄変の有無を調べ、枯死率を
求めた。枯死率は、冠水処理後のターフの任意の場所か
ら根付きの主茎を20本ずつ採取し、水で湿らせた濾紙
を敷いたシャーレ内に並べ、20℃で5日間放置した後
の植物体の状況から枯死率(%)を算出した。表2に、
これらの結果を示した
【0034】更に7月29日から8月19日までの21
日間、上記と同様の方法で冠水処理を行った後、屋外に
出した。21日間の冠水処理後の各植物体について、黄
変の有無並びに処理後1ヶ月後の枯死率及び緑の回復状
況を調べ、その結果を表2に併せて示した。尚、試験は
各植物につき3反復行った。即ち、各植物毎にケースを
3個を用いて栽培した。
【0035】
【表2】
【0036】ゾイシア属の植物は、表2に示すように7
日間の冠水処理においては殆ど冠水による影響が認めら
れないため、一時的に冠水状態となっても、生理障害は
殆ど発生しないといえる。これに対して、agrosi
tis属のクリーピングベントは葉の黄変と一部枯死が
認められた。更に21日間の冠水処理を経た後は、いず
れの植物体も黄化し、冠水状態の解除後の生育も悪かっ
た。しかし、処理後は、1月経過後から、これらの植物
体の緑色も徐々に回復し、完全に枯死に至ることはなか
った。
【0037】試験1、2の結果から、屋上で降雨がなく
強度の乾燥状態に遭遇した場合及び降雨が連続して続き
冠水状態に遭遇した場合のいずれも場合においても、ゾ
イシア属植物は高い耐性を有することが明らかとなっ
た。
【0038】試験3〔貯水効果の評価〕 試験1と同様の方法で、Zoysia matrell
a “ウィンターフィールド”(住友林業緑化株式会
社)をターフ状態まで生育させた。平成10年8月3日
から3日間連続で飽和水分量まで(容器から余剰水があ
ふれるまで)灌水し、貯水量を計測した。その後、1日
おきに2回同様な方法で調査を行った。この間調査以外
の灌水はまったく行わなかった。試験はガラス温室内で
行い、試験期間の天気はおおむね晴天、反復は3回行っ
た。試験結果を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】以上の結果から、都市型洪水の主な原因で
ある夏季に発生する夕立ちを想定した場合、1日1回飽
和水分量まで降水が連続して発生した場合でも44.4
mm、2日に1回程度では55.5mmの降水まで貯水
可能であることが明らかとなった。理科年表1997年
版記載の降水量の最大記録によると全国の測定地点の平
均が、10分間27.2mm(1時間では、82mm)
であるので、15分から20分程度の激しい降水は貯水
可能となり、都市型洪水の緩和に効果があるといえる。
【0041】試験4〔温熱環境緩衝効果の評価〕 試験1と同様の方法で、Zoysia matrell
a “ウィンターフィールド”(住友林業緑化株式会
社)をターフ状態まで生育させた。この容器を日を遮ら
ないコンクリートスラブ面に密着させ、容器中心部のス
ラブ表面の温度を測定した。比較対照として同様の容器
を高さ3cmに加工した後、パーライトを充填し、メキ
シコマンネングサを植栽したマンネングサ区と、なにも
設置していない無処理区を設けた。容器の周囲からの熱
の影響を少なくするために、四方50cmを厚さ5cm
の発泡スチロール板を敷き詰め、白色ビニルフィルムで
覆った。試験は1998年8月1日から10日まで行
い、その晴天日の平均値を植栽容器直下温度の日変化と
した。
【0042】試験4の結果を図4に示した。図4のグラ
フに示すように、Zoysia植栽区は日温度較差が2
℃以下であったが、マンネングサ植栽では、10℃程
度、無処理では25℃以上となり、ゾイシア属植物の植
栽が温熱環境の緩衝に効果を有することが分かる。
【0043】試験5〔多孔質火山礫混合試験〕 降雨時の土壌の泥状軟化に対する多孔質火山礫の効果に
ついて、以下のように試験を行った。火山灰土壌の心土
である赤土(茨城県つくば市産)80容量%に対して、
バーク堆肥10容量%、浄水ケーキ10容量%を混合
し、対照培地とした。この対照培地に対して、表4に示
した割合で火山礫の一種である軽石(金沢産、粒径10
〜15mm)を混合し、供試培地とした。すべての供試
培地について、全有効水分量と難有効水分量を測定し
た。
【0044】上記の供試培地を縦45cm、横20c
m、高さ20cmのプラスチックケースに充填し、Zo
isia matrella(コウライシバ、商品名
“ウィンターフィールド”住友林業緑化株式会社)をそ
れぞれケース内において、ターフ状になるまで、成育さ
せた。飽和水分量(ケースから余剰水があふれ出るま
で)まで灌水し、底面が10×10cmの四角柱の上に
30kg(踏圧を想定)の重りを乗せ、ターフ状になっ
た芝の表面が沈み込む長さ(沈降長)を荷重に対する沈
降量として測定した。
【0045】試験の結果を表4に示した。火山礫の混合
量が多いほど沈降量が少なくなる傾向が見られたが、2
0%以上では大きな差は見られなかった。また、火山礫
の割合が多いほど、有効水分量が少なくなる傾向が見ら
れた。以上の結果から、踏圧等に対する土壌の安定化の
ために火山礫の混合の有効性が示唆された。しかし、有
効水分量が少なくなることからその混合(配合)量は、
最終的に得られる培地に対して5〜20容量%、特に1
0〜20容量%が適当と思われる。
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、メンテナンスの負担が
少なく、温熱環境の改善効果及び都市型洪水の防止効果
に優れた緑化構造を建築構造物上に容易に形成すること
ができる建築構造物の緑化方法を提供することができ
る。また、本発明によれば、施工が容易で、メンテナン
スの負担が少なく、温熱環境の改善効果及び都市型洪水
の防止効果に優れた植生基盤構造であって、特にゾイシ
ア属植物を植栽することによって優れた効果を発揮し得
る植生基盤構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の植生基盤構造の一実施形態及
び該植生基盤構造にゾイシア属植物を植栽してなる緑化
構造を一部省略して示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の植生基盤構造の他の実施形態
を示す要部断面図である。
【図3】図3は、図1の植生基盤構造の複数を建築構造
物の屋上に形成した例を示す一部断面斜視図である。
【図4】図4は、温熱環境効果の評価試験の結果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 建築構造物 2,2’ 土壌保持枠 21 底面部 22 側壁部 23,23’容器 3 土壌 4,4’ 排水孔 6 ゾイシア属の植物 7 歩行路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角田 真一 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 住友林業株式会社内 Fターム(参考) 2B022 AB04 AB20 BA02 BA11 BA13 BA14 BA18 BA21 CA04 DA19 2E001 DA01 DH00 FA18 GA01 GA07 GA08 GA23 GA28 HA04 HA28 HD11 HD12 HD13 HE03 MA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築構造物上に土壌を敷設し、該土壌に
    ゾイシア属の植物を植栽することを特徴とする建築構造
    物の緑化方法。
  2. 【請求項2】 建築構造物上に形成した土壌保持枠内
    に、全有効水分200L/m3 以上且つ難有効水分量1
    00L/m3 以上の土壌を充填して植生基盤構造を形成
    し、該植生基盤構造にゾイシア属の植物を植栽すること
    を特徴とする建築構造物の緑化方法。
  3. 【請求項3】 建築構造物上に形成した土壌保持枠内
    に、全有効水分200L/m3 以上且つ難有効水分量1
    00L/m3 以上の土壌を充填してなる植生基盤構造で
    あって、上記土壌の深さを15〜30cmとし、該土壌
    の表面からの深さが5〜10cmの位置に排水孔を設け
    たことを特徴とする植生基盤構造。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の植生基盤構造に、ゾイシ
    ア属の植物を植栽することを特徴とする建築構造物の緑
    化方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003047328A (ja) * 2001-08-06 2003-02-18 Watanabe Bussan Kk 屋上等に敷設する天然芝の植栽用キット及びその植栽方法
JP2003092924A (ja) * 2001-09-21 2003-04-02 Sumitomo Forestry Co Ltd 養液栽培による植物栽培方法
JP2007330103A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Tajima Roofing Co Ltd 植栽装置と植栽装置メンテナンス用足場
JP2009142203A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Tajima Roofing Inc 植栽装置とその構築方法
KR101032821B1 (ko) 2010-05-19 2011-05-06 배기호 건물옥상의 방근방수 시공방법

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