JP2008301744A - 揚水材及びその用途 - Google Patents

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清 岡田
Kinichi Kameshima
欣一 亀島
Akira Nakajima
章 中島
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Abstract

【課題】自立的な揚水能力に優れた材料を提供すること。
【解決手段】径0.05〜300μmの気孔が連通しかつ一元配向したセラミックス多孔体からなる揚水材。好ましくは、径0.1〜60μm、長さ20μm〜3mm、アスペクト比が10〜10000の繊維状の連通気孔が一元配向したセラミックス多孔体からなり、セラミックス多孔体は、気孔率30〜60%、かつ気孔の配向方向の寸法50cm〜1.2mである。この揚水材を用いて貯水部から植物への給水手段として用いる植物栽培設備、揚水材を吸水加湿材として用いた加湿器。
【選択図】なし

Description

本発明は揚水材及びこれを用いた植物栽培設備及び加湿器に関する。
花壇や鉢植えなどの植物を生育するには毎日のように定期的な水やりが必要不可欠である。一部にはそれらの下に貯水をしておき、多孔質セラミックスを使って自動的に給水する方式も提案されているが、使われている多孔質セラミックスの基本的な揚水能力が乏しいため、限定的な使用に止まっている。
生活空間の中で冬季には乾燥を防ぐ目的で加湿器を用いることも多い。これらの加湿器は電気エネルギーを使って微細なミストを発生させる方式が一般的であるが、エネルギーを必要とすることや、ミストの発生自体が衛生上問題となることもある。
特開2005-263537号公報
上記のような課題には、自立的な揚水能力に優れた材料を用いれば、上記の問題の解決につながるものと考えられる。
本発明は、上記の課題を解決する手段として下記を提供するものである。
(1)径0.05〜300μmの気孔が連通しかつ一次元配向したセラミックス多孔体からなる揚水材。
(2)気孔率が10〜70%、長さが20cm〜2mである、上記(1)に記載の揚水材。
(3)連通しかつ一次元配向した気孔が繊維状であり、連通気孔を構成する繊維状気孔のアスペクト比が10〜10,000である、上記(1)または(2)に記載の揚水材。
(4)揚水能力が50cm以上である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の揚水材。
(5)径0.1〜60μm、長さ20μm〜3mm、アスペクト比が10〜10,000の繊維状の気孔が連通しかつ一次元配向したセラミックス多孔体からなり、セラミックス多孔体は、気孔率が30〜60%、かつ気孔の配向方向の多孔体の寸法が50cm〜1.2mである、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の揚水材。
(6)セラミックス原料と分解性の繊維状または高アスペクト比の粒子状の気孔形成材を含むスラリーまたはペーストを押出成形または射出成形して、気孔形成材が一方向に配向した成形体を得、該成形体から該気孔形成材を除去し、焼成する方法で製造された、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の揚水材。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の揚水材を貯水部から植物への給水手段として用いたことを特徴とする植物栽培設備。
(8)貯水槽と、前記貯水槽内から起立した前記揚水材と、前記揚水材に形成された植物保持部とを有する、上記(7)に記載の植物栽培設備。
(9)上方が開放した土壌保持部と、前記土壌保持手段の下方に存在する貯水部と、前記貯水部から前記土壌保持部へと延在する前記揚水材とを含む、上記(7)に記載の植物栽培設備。
(10)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の揚水材を吸水加湿材として用いたことを特徴とする加湿器。
(11)貯水槽と、前記貯水槽から上方へ延在する前記揚水材からなる吸水加湿材を含む、上記(10)に記載の加湿器。
従来の多孔質セラミックスは、不完全な焼結条件で焼成することにより焼成体の内部に気孔を残留させる方式や、有機物などの粉末を造孔材として混合した後で焼成することによりその後を気孔とする方式などで製造されている。これらの方法では気孔はランダムに分布している。これを連通させるためには、気孔をたくさん導入する必要があり、その分、機械的性質を犠牲にすることになる。また、連通経路は複雑で長行路になる。さらに、球状の気孔がつながった構造であるため、毛管張力により揚水があったとしても、気孔が広くなったところで水道(みずみち)が切れてしまう。これらの要因によりあまり高くまで揚水できない結果であった。従来の多孔質セラミックスは、その孔の大きさ、分布、連通性などを充分に制御していないため、優れたものでも高々20〜30 cm程度の揚水能力しか見られなかった。
揚水能に優れた植物の組織に着目し、草木植物における茎や幹の部分で揚水を司る道管に似た気孔組織を多孔質セラミックスに導入できれば、同様の優れた特性が得られるものと考えた。優れた自立的な揚水特性を実現するために、本発明では、植物の導管組織に模した、連通気孔が一次元に配向した組織を有する多孔質セラミックスを有機繊維や炭素繊維などの分解性繊維もしくは可塑性物質を造孔材として押出法により製造する。
高い揚水能力を実現するためには毛管張力が利用でき、本発明者らは、有機繊維や炭素繊維などの分解性繊維もしくは可塑性物質を造孔材としてセラミックス原料などと混合してペースト状にし、これを押出成形して、繊維などが一次元に配向した成形体を作製し、これを焼成して有機物などの造孔材を焼き飛ばすことにより一次元長に連通した気孔を有する多孔質セラミックスを作製した。これを用いると、その毛管張力により従来のものよりも遙かに高い位置まで揚水する能力を持った材料となり、前記の従来技術の課題が解決できることを見出し、ひいて本発明を完成したものである。
この製造方法により毛管張力を発揮するのに適した気孔径の連通気孔が一次元的に配向した組織を作ることにより、従来では困難であった50cm以上の揚水能力を持たせることができる。
具体的には、毛管張力を発揮するのに適した平均気孔径は0.01〜300μmであり、より好ましくは0.1〜100μm、特に0.1〜50μmである。平均気孔径が小さいと容量的な揚水能力が小さくなるので、実用性から気孔径に下限がある。一方、平均気孔径が大きすぎると、揚水高さが低下するので、好ましくない。
このような径の気孔は連通しかつ一次元的に配向している必要がある。連通気孔でなければ揚水できないし、連通気孔が一次元的に配向していることで高い揚水性能が発揮されるものである。
連通しかつ一次元的に配向している気孔は繊維状から構成されていることが、高い揚水性能と高い揚水容量の両方を実現する上で好ましい。連通気孔を形成する個々の繊維状気孔のアスペクト比(繊維状気孔の長さの上記短径0.05〜300μmに対する比)は、例えば10〜10,000であることが好ましく、30〜1000のアスペクト比がより好ましい。勿論、このようなアスペクト比を持つ繊維状気孔が連通しかつ一次元配向して形成されるので、連通した気孔全体のアスペクト比はこれより大きくなり、連通気孔全体の最大長さは揚水材の長さに一致し、連通気孔全体のアスペクト比は上記より大きくなり得る。ここでいう繊維状気孔のアスペクト比は、連通気孔を形成する要素としての単位の繊維状気孔のそれである。
揚水材の気孔率は、10〜70%であることが好ましく、25〜70%がより好ましく、30〜60%が更に好ましい。更には35%〜60%、40%〜60%がより好ましい。気孔率が小さいと揚水量が不十分になるので、気孔率は高いことが望ましいが、気孔率をあまり高くするとセラミックス多孔体の強度が不足する恐れがある。
揚水材の一次元的配向方向の寸法(長さ)は用途に応じて決めればよく、限定されないが、20cm〜2mが好ましい。40cm〜1.2mがより好ましい。
揚水能力は、50cm以上あるものが好ましく使用できる。より好ましくは80cm以上である。
本発明の好ましい揚水材は、径0.1〜60μm、長さ20μm〜3mm、アスペクト比が10〜10,000の繊維状の気孔が連通しかつ一次元配向したセラミックス多孔体からなり、気孔率が30〜60%、気孔の配向方向の長さが50cm〜1.2mであるセラミックス多孔体である。
本発明のセラミックス多孔体は、セラミックス原料と分解性の繊維状または高アスペクト比の粒子状の気孔形成材を含むスラリーまたはペーストを押出成形または射出成形して、気孔形成材が一方向に配向した成形体を得、該成形体から該気孔形成材を除去し、焼成する方法で製造されたものが好ましい。このセラミックス多孔体は上記の好ましい揚水性能を発揮する。
このようなセラミックス多孔体の製造方法は、本発明者らにより特開2005-263537号公報(特許文献1)に開示されている。詳しくは同公報を参照されたいが、簡単に述べると下記の如くである。
セラミックス原料は、特に限定するものではないが、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディエライト、リン酸カルシウム、チタニア、サイアロン、炭化珪素、窒化珪素、スピネル、アルミン酸ニッケル、チタン酸アルミニウムなどが使用できる。本発明では、レンガ製造用に用いられている粘土、ケイ石、長石などの鉱物資源は、安価であり、好ましく使用できる。また、無機質成分を主体とする石炭灰、スラグ、製紙スラッジ灰、キラなどの副生物も使用できる。
セラミックス原料の寸法も特に限定されないが、例えば、サブミクロンないし数10μmの平均径の粉末を好適に用いることができる。
気孔形成材は、分解性のものを使用する。気孔形成材を取り除くためには分解性である必要がある。分解性の具体例としては、熱分解性、酸溶解、アルカリ溶解、有機溶媒溶解、生分解などを挙げることができるが、熱分解性の気孔形成材を使用すると、成形体の焼結と同時に気孔形成材を取り除くことができるので、熱分解性が好ましい。気孔形成材の材質は、分解性を有するものであれば、特に限定されないが、たとえば、炭素繊維、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン、綿、毛、麻、レーヨン、キュプラなどを挙げることができ、なかでも炭素繊維が好ましい。
気孔形成材は、繊維状または高アスペクト比の粒子状である。気孔形成材のアスペクト比は好ましくは10〜10,000、より好ましくは30〜1000である。気孔形成材の大きさは、製造する貫通孔を有するセラミックス多孔体の用途により適宜選択すればよいが、たとえば気孔形成材が繊維状の場合、その長さは好ましくは20μm〜30mm、より好ましくは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.5〜2mmであり、その繊維の直径は好ましくは0.1μm〜1mm、より好ましくは0.5μm〜100μm、さらに好ましくは1〜60μmである。気孔形成材が高アスペクト比の粒子状の場合、その長径は好ましくは10μm〜10mmであり、その短径は好ましくは0.1μm〜1mmである。
混合する気孔形成材の量は、貫通孔が得られるような量であれば、特に限定するものではないが、好ましくは気孔形成材の体積混入率(体積%)が20〜70体積%である。気孔形成材の体積混入率が小さすぎると、得られるセラミックス多孔体の貫通孔が少なくなるおそれがあり、逆に大きすぎると、気孔が横に繋がってしまい、セラミックス多孔体の強度が低下するおそれがある。
溶媒は、混練過程で気孔形成材を完全に分解しないものであれば、特に限定されないが、水、エタノール、有機溶媒が使用でき、なかでも水が好ましく使用できる。
スラリーまたはペーストは、セラミックス原料、気孔形成材および溶媒以外に、本発明の効果を損なわない限り、各種添加物を含んでもよい。添加物の例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸アンモニウム、アクリル酸アンモニウムなどを挙げることができる。メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールは、結合剤として、非可塑性粉末に可塑性を付与する効果がある。ポリカルボン酸アンモニウム、アクリル酸アンモニウムは、分散剤として、粉末と水の親和性を改質し、粉末を均質に分散する効果がある。
押出成形または射出成形は、公知の押出成形機または射出成形機を使用して行うことができる。押出成形機としては、横型または縦型ピストン式押出成形機、オーガ型押出成形機(スクリュー式押出成形機)を例示することができるが、なかでもピストン式押出成形機が好ましい。また、押出成形機は、スラリーまたはペーストの流路の押出方向に垂直な断面の面積が押出方向に漸減する部分または段階的に減少する部分を有することが好ましい。また、押出成形機は、胴部と口金部からなり、または胴部、テーパー部および口金部からなり、口金部の内径が胴部の内径よりも小さいことが好ましい。好ましくは、胴部の内径は口金部の内径の3〜10倍であり、より好ましくは4〜6倍である。そのような押出成形機を使用することにより、気孔形成材の配向が促進される。
成形体から気孔形成材を取り除く方法は、使用する気孔形成材に応じた方法を採用すればよい。たとえば、熱分解性の気孔形成材を使用したときは、焼成によって、気孔形成材を取り除くことができる。
成形体は、通常、高温で焼成することによって、焼結させる。熱分解性の気孔形成材を使用したときは、焼成によって、気孔形成材の除去と焼結を同時に行うことができる。気孔形成材を取り除く工程と焼結工程を別々に行うときは、焼結工程を気孔形成材を取り除く工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
本発明者らが特開2005-263537号公報に開示したこの方法で製造したセラミックス多孔体は、揚水性能が例えば80〜90cm以上と高く、さらに高くすることも可能であり、本発明の目的に好適であることが確認されている。
また、上記の方法において、焼成前の原料成形体を気孔の配向方向を揃えて束ねて大型の成形体としてから焼成することで、より大型の揚水材を製造することができる。また、一旦製造したセラミックス多孔体を、気孔の配向方向を揃えて束ねて、必要に応じて更に焼成して、大型の揚水材とすることもできる。
本発明のセラミックス多孔体からなる揚水材の具体的用途としては、例えば、植物栽培設備、加湿器などがある。
植物栽培設備としては、揚水材を貯水部から植物への給水手段として用いるが、図1及び図2に示すような形態を例示することができる。
図1(ア)を参照すると、植物栽培設備は、貯水槽1に水2を保有し、貯水槽1内から起立した揚水材3とを有し、揚水材2には植物保持部4、4’が形成されている。植物保持部4は揚水材3の上面に形成された凹部からなり、凹部内にこけ玉5を収容している。植物保持部4’は揚水材3の側面に形成された横穴からなり、横穴内に土壌6を収容し、土壌6に草花7が植栽されている。植物保持部4、4’の位置や形状、利用方法は限定されず、要は植物を植栽する土壌等を保持するものであり、揚水材3を介して貯水槽1から水が給水されることで、植物に水が長時間給水されることが可能である。図1(イ)は図1(ア)の変形例であり、植物保持部4、4’がいずれも揚水材2の上面に形成されている。貯水槽1の水2は、揚水材2内を毛細管作用で揚水され、植物保持部4、4’のこけ玉5や土壌6に水分を供給する。揚水材2内の連通気孔は一次元配向方向に対して側面にも開口しているので、基本的に揚水材2の全表面に水が浸透し、蒸散する可能性がある。そこで、揚水材2の植物保持部4、4’以外の表面を必要に応じてコーティングその他の方法で塞いで、そこから余分な水分が蒸散することを防止することができる。
図2を参照すると、この植物栽培設備の植木鉢のように上方が開放した土壌保持手段11の内部は、底部に貯水部12と、そ上方の土壌保持部13とからなり、貯水部12から土壌保持部13へは揚水材14が延在している。土壌保持部13に収容した土壌に植物15が植栽されている。土壌保持部13と貯水部12の間仕切りは、水を透過するが土壌は透過しない材料で形成することが望ましいが、水不透過性の材料で土壌も通過させない材料であっても貯水部12に水が供給できればよい。また、土壌保持手段11と、貯水部12は、別体であってもよい。貯水部12に水を蓄積しておくことで、揚水材14が貯水部12から水を毛細管作用で揚水し、土壌中に水分を放散、浸透させることで、水蒔きをしなくても貯水部12の水が続く間は植物に水が供給される。揚水材14の形状、寸法、数等は任意である。
図2は、移動可能な植木鉢風の植物栽培設備であるが、例えば、花壇のように移動不可能な植物栽培設備にも、本発明の植物栽培設備は適用できる。花壇などにおいて天然の雨水を貯水する場合、雨水が過剰に蓄えられて、植物の根を腐らせる恐れがあるならば、貯水部にはドレーンを設けて、貯水量を制御することができる。図1の植木鉢でも必要に応じて同様のドレーン手段を採用し、あるいは貯水量を見えるようにすることができる。
また、本発明の揚水材は、吸水加湿材として用いて加湿器を構成することができる。
例えば、図3を参照すると、貯水槽21内から複数の揚水材23を上方へ起立させて吸水加湿材とした加湿器が示されている。ただし、図3では複数の板状の揚水材を用いているが、板状でなく円筒状でもよく、また個数も複数でなく1個でも有効である。貯水槽21に水を蓄えると、複数の揚水材23が水を揚水して、揚水材23の表面に水が浸出し、揚水材23の表面は常に水で濡らされている。そこで、雰囲気中の湿度に応じて、揚水材23の表面から水分が雰囲気中へ蒸散することで、加湿器として作用する。したがって、このような加湿器を室内等に置いておくだけで加湿ができ、電気等の動力は必要がない。もっとも、本発明の加湿器は、必要に応じて、複数の揚水材23の後方から送風することで、加湿能力を高めて使用することは可能である。
以上、植物栽培設備及び加湿器の例を記載したが、これらに限定されないことは明らかである。
実施例1
アルミナセラミックス
(1)高純度アルミナ粉末(AA-07,住友化学;平均粒径0.4μm)にFiber/(Fiber+Alumina)比で30mass%の炭素繊維(呉羽化学;20μmφ、数100μm長)を添加し、混練機を用いて1時間混練した。得られた混合粉末にメチルセルロース(400cP,ワコー純薬製)3mass%とポリカルボン酸アンモニウム(セルナD-305,中京油脂)0.6mass%および適量の蒸留水を添加し、さらに混練した。このとき得られた坏土の含水率は17.6%であった。
(2)続いて、小型真空土練機を用いて真空土練し、坏土内の気孔を取り除いた。
(3)その後、横型ピストン式押出成形機を用いて、10mmφの円柱に成形した。
(4)得られた成形体を湿度100%に保った容器に入れ、110℃24時間加熱して、メチルセルロースを熱ゲル化させた。その後、徐々に湿度を低下させながら24時間乾燥した。乾燥後1000℃で1時間で脱脂したのち、1600℃で2時間焼成した。
(5)得られた焼成体の相対密度は約60%であった。水銀圧入法による細孔径分布測定では約10μmの気孔径に鋭いピークが観察されるだけで、それ以外にピークは認められなかった。焼成体内部の微構造写真を図4に示す。気孔の平均直径は14μmであった。またSEM写真より求めた面積気孔率は、押出方向に垂直に切断した面が25.3%、押出方向に水平に切断した面の気孔面積率が41.0%と、垂直面より水平面の気孔率が高く、繊維は高い一次元5配向性を示していることがわかった。
(6)得られた長さ300 mmの焼成体をシャーレの上に立て、これに水を入れて揚水特性を評価した。その結果、試料の上端まで揚水できることが確認された。また、揚水量を見積もったところ、24 L/(m2・日)以上の揚水量を持っていた。なお、蒸発潜熱による表面温度の低下効果に必要な最低の給水量は約6L/(m2・日)とされている。
実施例2
コーディエライトセラミックス
60φ×400mmの大きさのコーディエライト焼成体を上と同様の条件で製造し、その揚水特性について調べた。まず、この焼成体1本の下端を水に漬け、揚水高さと浸漬け間との関係を測定したところ、図5のように変化した。この測定値から揚水高さの時間変化は、時間の0.44乗に比例する式〔(揚水高さ)=61.3×(揚水時間)0.44〕で近似できることが分かる。この式から8時間後に予測される揚水高さは約900mmと見積もられた。
次に、この試料の上に少量の綿を敷き、その上にもう1本試料を立てて、そのギャップを乗り越えて揚水することができるか否かについて調べた。その結果、揚水の速度は遅くなるが、2本目の試料に充分揚水できることが確かめられた。また、試料同士を直接接触させても、その接触面を越えて揚水できた。
一方、一旦試料に水を給水させると、トータルで約800mmの高さの試料上端面は、下部からの給水が確保されている限りは濡れ続け、充分な揚水能力があることが確かめられた。
実施例3
実施例2で作製した長さ400mm、直径60mmの多孔体を上下に連ねて置き(高さ800mm)、上端面に付けた窪みの中にこけ玉を入れた。
多孔体の下端を水中に浸漬させ、1週間経過後の状態を観察したところ、実験開始時と同様に湿った状態が維持されていた。
実施例4
実施例2で作製した長さ400mm、直径60mmの多孔体を上下に連ねて置き(高さ800mm)、多孔体の下端を水中に浸漬させた。
気温20〜26℃、相対湿度40〜60%の室内で蒸発量を測定したところ、約1000ml/日であった。この試験体の表面積は約1500cm2なので、0.67ml/cm2の蒸発量である。
本発明の揚水材は、植物栽培設備や加湿器に用いることで産業上有用であることは明らかである。
本発明の揚水材を用いた植物栽培設備の例を示す。 本発明の揚水材を用いた植物栽培設備の他の例を示す。 本発明の揚水材を用いた加湿器の例を示す。 本発明の実施例で作成した揚水材の断面顕微鏡写真である。 本発明の実施例で作成した揚水材の揚水高さと浸漬け間との関係を示す。
符号の説明
1 貯水槽
2 水
3 揚水材
4、4’ 植物保持部
5 こけ玉
6 土壌
7 草花
11 土壌保持手段
12 貯水部
13 土壌保持部
14 揚水材
21 貯水槽
22 水
23 揚水材

Claims (11)

  1. 径0.05〜300μmの気孔が連通しかつ一次元配向したセラミックス多孔体からなる揚水材。
  2. 気孔率が10〜70%、長さが20cm〜2mである、請求項1に記載の揚水材。
  3. 連通しかつ一次元配向した気孔が繊維状であり、連通気孔を構成する繊維状気孔のアスペクト比が10〜10,000である、請求項1または2に記載の揚水材。
  4. 揚水能力が50cm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の揚水材。
  5. 径0.1〜60μm、長さ20μm〜3mm、アスペクト比が10〜10,000の繊維状の気孔が連通しかつ一次元配向したセラミックス多孔体からなり、セラミックス多孔体は、気孔率が30〜60%、かつ気孔の配向方向の多孔体の寸法が50cm〜1.2mである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の揚水材。
  6. セラミックス原料と分解性の繊維状または高アスペクト比の粒子状の気孔形成剤を含むスラリーまたはペーストを押出成形または射出成形して、気孔形成剤が一方向に配向した成形体を得、該成形体から該気孔形成剤を除去し、焼成する方法で製造された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の揚水材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の揚水材を貯水部から植物への給水手段として用いたことを特徴とする植物栽培設備。
  8. 貯水槽と、前記貯水槽内から起立した前記揚水材と、前記揚水材に形成された植物保持部とを有する、請求項7に記載の植物栽培設備。
  9. 上方が開放した土壌保持部と、前記土壌保持部の下方に存在する貯水部と、前記貯水部から前記土壌保持部へと延在する前記揚水材とを含む、請求項7に記載の植物栽培設備。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の揚水材を吸水加湿材として用いたことを特徴とする加湿器。
  11. 貯水槽と、前記貯水槽から上方へ延在する前記揚水材からなる吸水加湿材を含む、請求項10に記載の加湿器。
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