JP3728525B2 - 吸水性セラミックス多孔質体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高い水吸上げ能を有する吸水性セラミックス多孔質体に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックスを多孔質体化すると吸水性が得られることは知られており、この吸水性を利用して、植成培地や、バイオリアクタの担体、高温流体移送管の冷却、電子機器用ドラムの結露防止、水の蒸発熱を利用した冷風発生装置や冷却装置等への適用が試みられている。しかし、従来の多孔質セラミックスは水吸上げ能が十分とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら問題点に鑑み優れた水吸上げ能を有する吸水性セラミックス多孔質体を提供しようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である吸水性セラミックス多孔質体であることにある。
【0005】
前記吸水性セラミックス多孔質体は水吸上げ係数が0.16〜1.0であり得る。
【0006】
本発明の要旨とするところは、粘土100重量部と、
焼成時に焼失する物質を含み且つ灰分中にPが10重量%以上含まれる素材から成る粉体5〜50重量部と
を含む坏土を焼成して成る前記吸水性セラミックス多孔質体であることにある。
【0007】
前記坏土は、灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部を含み得る。
【0008】
更に、本発明の要旨とするところは、粘土100重量部と、
焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜20重量部と、
灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部及び/又は灰分中にPが5重量%以上含まれるリン含有添加物5〜50重量部とを含む坏土を焼成して成る前記吸水性セラミックス多孔質体であることにある。
【0009】
前記粉体の少なくとも一部は、中空の樹脂粒子から成る粉粒体から構成され得る。
【0010】
前記粉体の少なくとも一部は、炭化された植物から成る粉粒体から構成され得る。
【0011】
前記炭化された植物から成る粉粒体は、米糠灰、ビール粕灰の群から選ばれる1又は複数種の炭化灰を含み得る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明により、従来のセラミックス多孔質体と異なる性能を有する、水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である新規な吸水性セラミックス多孔質体が見出された。従来のセラミックス多孔質体は、一般に水吸上げ係数/気孔率の値が0.0024〜0.0035であるのに対して、本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、このような水吸上げ係数/気孔率の値を有し、水吸上げ係数と気孔率との関係が従来のセラミックス多孔質体と全く異なっている。このため、本発明のセラミックス多孔質体は優れた水吸上げ能を有する。
【0013】
更に、この本発明のセラミックス多孔質体は、水吸上げ係数が0.16〜1.0である場合に、優れた水吸上げ能を有するとともに実用に十分に耐える強度を有する。従来のセラミックス多孔質体で気孔率を大きくしてこのような範囲の水吸上げ係数を実現しようとすると、気孔率が過大となり、実用に耐える強度が得られない。
【0014】
水吸上げ係数は以下の手順で測定される値である。
【0015】
水深1cmで水を張ったパッドの内底面にテストピースを縦に立った状態で載置する。テストピースの形状は、長さが略200mm、断面が略1cm角の四角柱形である。所定の時間t(min)が経過後にテストピースをパッドから取り出して、絞った湿布で手早く表面の水滴を拭い去り直ちにテストピースの重量を時間tの関数として測定する。このtの関数として測定されたテストピースの重量をW(t)とする。この方式により、時間tをかえて各時間ごとにW(t)(gr)を測定する。W(t)−W1をテストピースの縦(高さ)方向と直角な断面の断面積S(cm)で除した値WS(t)=(W(t)−W1)/Sを、面積当たり重量増加値WPとし、この面積当たり重量増加値WPを縦軸、ln(t)を横軸とするグラフ上に座標点(WS(t),ln(t))をプロットし、各座標点から最小二乗法により求めた回帰直線の勾配Sをこのテストピースの水吸上げ係数とする。測定は、吸い上げられた水がテストピースの最上部に達するまでの時間を越えない時間範囲内で行なう。テストピースをパッド内に載置してから吸い上げられた水がテストピースの最上部に達するまでの時間tmaxとし、tmaxの間を適宜の時間に分割し、その分割された時間ごとにW(t)を測定する。なお、W1はテストピースの乾燥質量であり、後述の測定法に準じて測定される。
【0016】
従来の吸水性セラミックス多孔質体は水吸上げ係数/気孔率の値が0.004未満であり、本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、気孔率をさほど上げなくとも高い水吸上げ係数を有する。セラミックス多孔質体は気孔率を上げるほど強度が低くなる。従って、本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、強度を維持し且つ高い水吸上げ係数を有する。
【0017】
又、従来の吸水性セラミックス多孔質体は水吸上げ係数が0.16以上の水吸上げ係数を得るために気孔率を上げると、強度が実用に耐えない。これに対して本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、水吸上げ係数が0.16〜1.0のものが容易に得られる。且つ、この範囲の値の水吸上げ係数を有する本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、既存の手法で気孔率を上げて水吸上げ係数を0.1〜0.159とした従来の吸水性セラミックス多孔質体より気孔率が低く、従って強度が高い。
【0018】
このような本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体は、粘土100重量部と、リンやリン化合物を含有するリン含有添加物5〜50重量部とが混在する坏土を焼成して得ることが出来る。
【0019】
リン含有添加物に含まれる焼成時に焼失する物質が焼失し、焼失跡が空洞化することによりセラミックス多孔質体が得られるが、このようにして得られたセラミックス多孔質体は、優れた吸水性と水吸上げ能を示すことがわかった。この場合、リン含有添加物は、そのリン含有添加物を燃焼させて得られる灰分中にPが10重量%以上含まれるものである。
【0020】
なお、本明細書においては、粘土の重量部とは、乾燥状態の粘土の重量に基づくものとする。
【0021】
リンは単体であってもよいが、酸化リン等のリン化合物であることが取り扱い上好ましい。リン化合物は比較的純度の高いものであってもよいが、酸化リン等のリン化合物を含有するリン化合物含有物として存在するものであってもよい。例えばビール粕を炭化した粉粒体状のビール粕灰や、米糠を炭化した粉粒体状の米糠灰であってもよい。ビール粕灰には灰化した灰に約35重量%のPが含まれている。米糠灰には灰化した灰に約45重量%のPが含まれている。これらの灰と粘土との混合率は、灰に含まれる酸化リン等のリン化合物の量により調節する。粘土100重量部に対して、リン原子が0.05〜2重量部加えられることになる混合率が好ましい。リン原子が0.1〜0.6重量部加えられることになる混合率が吸水性と、セラミックスの強度のバランスのうえで更に好ましい。又、このような植物体の炭化物粉粒体を用いることは、焼成により、その炭化物に含有される炭素が焼失して焼失跡が空洞になる効果があり、このことがセラミックスの多孔質化に寄与するので好ましい。
【0022】
リンやリン化合物を含有する焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体としては、リンを含有する素材から成る粉粒体と、焼成時に焼失する高分子粉粒体とが混合して用いられても良い。
【0023】
リンやリン化合物を含有する焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体としては、例えば米糠灰のように、リンを含有しかつ焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉粒体と、焼成時に焼失する高分子粉粒体とが混合して用いられても良い。
【0024】
又、本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体は、粘土100重量部と、焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜20重量部と、炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウム含有物のような、灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部とが混在する坏土を焼成して得ることが出来る。Mg含有添加物が炭酸マグネシウムである場合は、炭酸マグネシウムは比較的純度の高いものであってもよいが、炭酸マグネシウムを含有する炭酸マグネシウム含有物として存在するものであってもよい。例えばマグネサイトであってもよい。炭酸マグネシウム含有物と粘土との混合率は、炭酸マグネシウム含有物に含まれる炭酸マグネシウムの量により調節する。粘土100重量部に対して、マグネシウム原子が0.5〜5重量部加えられることになる混合率が好ましい。マグネシウム原子が2〜5重量部加えられることになる混合率がセラミックスの吸水性と強度のバランスのうえで更に好ましい。
【0025】
焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体としては高分子粉粒体や炭化物の粉粒体が好ましい。高分子粉粒体としては平均径が10〜200μm程の粉粒体が用いられる。高分子の素材は問わない。例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニル系、ポリアクリル系などの樹脂が挙げられるがこれに限定されない。木屑や籾殻のような天然物であってもよい。平均径が30〜70μmであることが焼成後のセラミックスの多孔質体に良好な吸水性を付与するうえで好ましい。樹脂粉粒体は中空の粒子から成ることが焼失跡に炭素の残留が少なく均一な微孔が得られて良好な吸水性を得られ好ましい。これら各種の粉粒体が混合して用いられてもよい。
【0026】
更に、本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体は、粘土100重量部と、焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜20重量部と、リンやリン化合物を含有し灰分中にPが5重量%以上含まれるリン含有添加物5〜50重量部と、炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウムのような灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部とが混在する混合物を焼成して得ることが出来る。リン含有添加物は、リン鉱石から成る紛粒であってもよい。
【0027】
この場合、酸化リン又は酸化リンを含有する酸化リン含有添加物と、炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウムのようなMg含有添加物とは両者を合計して5〜50重量部であることが好ましい。得られた吸水性セラミックス多孔質体は、焼成時に焼失する物質を含む粉体に加えて前述のリンやリン化合物を含有するリン含有物だけが混在する場合や、焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体に加えて炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウム含有物のようなMg含有添加物だけが混在する場合に比べて更に優れた吸水性を得ることが出来る。
【0028】
焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体がリンやリン化合物を含有するリン含有物である場合は、本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体は、粘土100重量部と、そのリンを含有する焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜50重量部と、炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウム含有物のようなMg含有添加物5〜50重量部とが混在する坏土を焼成して得ることが出来る。この場合、リンを含有するリン含有物と、炭酸マグネシウム又は炭酸マグネシウム含有物のようなMg含有添加物とは両者を合計して5〜50重量部であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体に使用される粘土は、通常の陶磁器の製造に使用される調整された粘土であってよい。原料としての粘土は、例えば、カオリナイト質粘土、モンモリロナイト質粘土、セリサイト質粘土、ハロイサイト質粘土、パイロフィライト質粘土、ベントナイト質粘土、等が挙げられる。これらの粘土は、単独又はこれらのうちの複数種が長石、硅石等と配合されて用いられる。
【0030】
本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体の嵩比重は、混合する高分子粉粒体の量や、焼成温度により変えることが出来るが、1.2〜2.0であることが吸水性セラミックス多孔質体の強度と吸水性がバランスして好ましい。ある程度高い強度を必要としない用途では、嵩比重は1.2以下であってもよい。焼成温度が高すぎるとセラミックス多孔質体の嵩比重が増加するので、焼成温度は1300℃以下であることが好ましい。炭酸マグネシウムを混合することは、焼成温度を低くしても必要な強度を維持することに寄与する。焼成温度は1100℃以上であることが必要な強度を維持するうえで好ましい。
【0031】
本発明の吸水性セラミックス多孔質体は、水吸上げ係数/気孔率の値が0.004〜0.03であり、その製造工程において、焼成温度、坏土を構成する原料の配合比を上述の範囲で調整して得ることが出来る。
【0032】
本発明の吸水性セラミックス多孔質体用の坏土には、上記成分の他に通常の坏土に用いられる助剤等の他の成分が混合されていてもよい。
【0033】
本発明の内容及びその効果を以下の実施例において更に詳しく説明する。
[実施例]
実施例及び比較例における測定法は、以下のとおりである。
【0034】
試料を105℃で24時間乾燥した後、試料が吸湿しない環境下で室温まで冷却し、質量W1を測定する。次に試料を水中に保って3時間煮沸する。更に試料を常温の水中に入れて常温に戻す。次に、この試料を水中に細い糸で自由に吊るしたまま秤量し、質量W2を測定する。その後、これを水中から取出し、絞った湿布で手早く表面の水滴を拭い去り直ちに質量W3を測定する。嵩比重、気孔率、吸水率をW1、W2、W3から次式で求める。
嵩比重=W1/(W3−W2)
気孔率(%)=((W3−W1)/(W3−W2))×100
吸水率(%)=((W3−W1)/W1)×100
【0035】
曲げ強度:試料を、スパン100mm、クロスヘッドスピード2.5mm/minの条件で3点曲げ方法で測定する。
【0036】
水吸上げ係数(水を吸い上げる能力):水深1cmで水を張ったパッドの内底面に試料を縦に立った状態で載置する。試料の形状は、縦(高さ)略200mm×10〜13mm×6〜10mmの四角柱形である。所定の時間t(min)が経過後に試料をパッドから取り出して、絞った湿布で手早く表面の水滴を拭い去り直ちに質量W(t)を測定する。この方式により、時間tをかえて各時間ごとにW(t)(gr)を測定する。W(t)−W1を試料の縦(高さ)方向と直角な断面の断面積S(cm)で除した値WS(t)=(W(t)−W1)/Sを、面積当たり重量増加値WPとし、この面積当たり重量増加値WPを縦軸、ln(t)を横軸とするグラフ上に座標点(WP(t),ln(t))をプロットし、各座標点から最小二乗法により求めた回帰直線の勾配Sをこの試料の水吸上げ係数とする。
【0037】
実施例1:信楽焼き製造用の粘土100重量部(乾燥重量)に、平均粒径50μmの、単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末(松本油脂薬品社製:松本マイクロスフェアー)8重量部と、マグネサイト10重量部を加えさらに水を加えて混練り調整した坏土を用いて可塑成形し、表3に示す焼成温度で焼成し、セラミックス多孔質体を得た。このマグネサイトのオーダー分析(蛍光X線分析)によれば、表1に示されるように、このマグネサイトにはMgがMgOとして46.6重量%含有されている。又、分析時の灰化によるIg.lossは50.8重量%であった。
【0038】
【表1】
Figure 0003728525
【0039】
焼成温度を、1150℃、1175℃、1200℃としてそれぞれ得られたセラミックス多孔質体の面積当たり重量増加値WP(t)と経過時間tとの関係を図1に示す。焼成は従来の手順に準じて行ない、焼成時間は冷却時間を除いて6時間とした。
【0040】
実施例2:信楽焼き製造用の粘土100重量部(乾燥重量)に、脱脂米糠の炭化物30重量部を加えさらに水を加えて混練り調整した坏土を用いて可塑成形し、表3に示す焼成温度で焼成してセラミックス多孔質体を得た。焼成は従来の手順に準じて行ない、焼成時間は冷却時間を除いて6時間とした。
【0041】
この脱脂米糠の炭化物のオーダー分析(蛍光X線分析)によれば、表2に示されるように、燃焼後の灰分中にリンがPとして45.8重量%含有されている。又、分析時の灰化によるIg.lossは85、3%であった。
【0042】
【表2】
Figure 0003728525
【0043】
実施例3:信楽焼き製造用の粘土100重量部(乾燥重量)に、実施例2で用いた脱脂米糠の炭化物30重量部と実施例1で用いたマグネサイト10重量部とを加えさらに水を加えて混練り調整した坏土を用いて可塑成形し、表3に示す焼成温度で焼成し、セラミックス多孔質体を得た。焼成は従来の手順に準じて行ない、焼成時間は冷却時間を除いて6時間とした。
【0044】
比較例1:信楽焼き製造用の粘土100重量部(乾燥重量)に、平均粒径50μmの、単独の気孔よりなる球状中空の樹脂粉末(松本油脂薬品社製:松本マイクロスフェアー)8重量部を加えさらに水を加えて混練り調整した坏土を用いて可塑成形し、表3に示す焼成温度で焼成し、セラミックス多孔質体を得た。焼成は従来の手順に準じて行ない、焼成時間は冷却時間を除いて6時間とした。
【0045】
実施例1〜3及び比較例の各試料に関する測定結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003728525
【0047】
比較例及び実施例1〜3の各試料は、焼成温度により気孔率が異なるが、水吸上げ係数と気孔率との相関は、比較例と実施例とでは著しく異なっている。即ち、実施例1〜3の各試料は、比較例の各試料に比べて気孔率が小さいものが大半であるにも拘わらず、著しく大きな水吸上げ係数を示す。又、気孔率が似通った試料同士を比較しても、実施例1〜3の各試料は、比較例の各試料に比べて著しく大きな水吸上げ係数を示す。このことは、表3に基づく、比較例及び実施例1〜3の各試料の水吸上げ係数と気孔率との関係を図2のグラフにより更に明確に示すことが出来る。
【0048】
図2のグラフにより、本発明のセラミックス多孔質体である実施例1〜3の各試料は、従来のセラミックス多孔質体である比較例の各試料と、水吸上げ係数と気孔率との関係が全く異なっていることがわかる。又、数字上も、比較例のセラミックス多孔質体は、水吸上げ係数/気孔率の値が0.0024〜0.0035であるのに対して、実施例のセラミックス多孔質体は、水吸上げ係数/気孔率の値が0.0066〜0.0227である。このことは、本発明のセラミックス多孔質体が優れた水吸上げ能を有し、従来のセラミックス多孔質体と異なる性能を有する新規な吸水性セラミックス多孔質体であることを示している。
【0049】
以上本発明の吸水性セラミックス多孔質体の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【0050】
【発明の効果】
本発明の吸水性セラミックス多孔質体は高い水吸上げ能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸水性セラミックス多孔質体の面積当たり重量増加値WPと経過時間tとの関係を示すグラフである。
【図2】従来の吸水性セラミックス多孔質体及び本発明に係る吸水性セラミックス多孔質体の、水吸上げ係数と気孔率との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 粘土100重量部と、
    焼成時に焼失する物質を含み、リンやリン化合物を含有するリン含有添加物5〜50重量部
    を含む坏土を焼成して成り、
    前記リン含有添加物は灰分中にP が10重量%以上含まれ、
    水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である吸水性セラミックス多孔質体。
  2. 粘土100重量部と、
    焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜20重量部と、
    灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部と
    を含む坏土を焼成して成り、
    水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である吸水性セラミックス多孔質体。
  3. 粘土100重量部と、
    焼成時に焼失する物質を含む素材から成る粉体5〜20重量部と、
    リンやリン化合物を含有する、リン含有添加物5〜50重量部と、
    分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部と
    を含む坏土を焼成して成り、
    前記リン含有添加物は灰分中にP が5重量%以上含まれ、
    水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である吸水性セラミックス多孔質体。
  4. 粘土100重量部と、
    焼成時に焼失する物質を含み、リンやリン化合物を含有するリン含有添加物5〜50重量部と、
    灰分中にMgOが30重量%以上含まれるMg含有添加物5〜50重量部と
    を含む坏土を焼成して成り、
    前記リン含有添加物は灰分中にP が5重量%以上含まれ、
    水吸上げ係数/気孔率が0.004〜0.03である吸水性セラミックス多孔質体。
  5. 前記リン含有添加物が、米糠の炭化物、ビール粕の炭化物の群から選ばれる1または複数種の炭化物を含む請求項1、3、4のいずれかに記載の吸水性セラミックス多孔質体。
  6. 水吸上げ係数が0.16〜1.0である請求項1ないし5のいずれかに記載の吸水性セラミックス多孔質体。
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