JP4967111B2 - アルミナ基多孔質セラミックス及びその製造方法 - Google Patents
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Description
・5SiO2 と表記されるコージェライト等の多成分系鉱物や、組成式MgO・Al2 O3 と表記されるスピネル、又は組成式SiCと表記される炭化ケイ素と、酸化アルミニウムの複合体がある。これらのアルミナ基セラミックスは、各組成により耐熱性、耐食性、耐熱衝撃性、機械的強度のいずれかに優れた特徴を持っていることから、アルミナ基セラミックス原料粉末に、気孔形成剤を添加し、混合後、成形、焼成して製造されるアルミナ基多孔質セラミックスは、例えば、高温燃焼ガス排気フィルター、触媒担体、断熱材、吸音材等の高温及び腐食雰囲気下等の過酷な環境下で使用できる構造材として注目されている。
すなわち、本発明は、水の添加により、気孔率を5%以上の所定の範囲に制御すること、及び少なくとも一つの気孔分布のピークを0.01〜20μmの範囲に制御することが可能なアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法、及びそのアルミナ基多孔質セラミックスを提供することを目的とするものである。
(1)原料粉末全体を100重量部としたとき、水硬性アルミナ粉末を少なくとも30重量部含むアルミナ基セラミックス原料粉末に、有機質結合剤と可燃性気孔形成剤の添加剤を使わずに、原料粉末100重量部に対して、水を5〜200重量部添加して、硬化開始前に、混合と成形体の製造を終わらせ、乾燥、焼成して、開気孔率が少なくとも5%で、0.01〜20μmの範囲に、少なくとも一つの気孔分布のピークを持つ多孔質セラミックスを製造することを特徴とするアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
(2)水硬性アルミナ粉末が、平均粒子径が100μm未満であり、水和反応により水和物を形成するアルミナ粉末である、前記(1)記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
(3)アルミナ基セラミックスが、組成式Al2O3と表記される酸化アルミニウムと、酸化アルミニウム以外のセラミックス成分から構成される多成分系鉱物、又は、酸化アルミニウムと酸化アルミニウム以外のセラミックスの複合体から構成される、前記(1)記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
(4)アルミナ基セラミックス原料粉末が、水硬性アルミナ粉末を主成分として、他に、焼成後にアルミナ基セラミックスを構成する、金属酸化物粉末、金属水酸化物粉末、金属炭酸塩粉末、金属炭化物粉末の少なくとも1種の粉末を含む混合粉末である、前記(1)記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
(5)原料粉末全体を100重量部としたとき、水硬性アルミナ粉末を少なくとも30重量部含むアルミナ基セラミックス原料粉末を、有機質結合剤と可燃性気孔形成剤の添加剤を使わずに、混合と成形体の製造を終わらせ、乾燥、焼成して、水硬性アルミナの水和反応により作製したアルミナ基多孔質セラミックスであって、
開気孔率が少なくとも5%で、少なくとも一つの気孔分布のピークを、0.01〜20μmの範囲に持つと共に、この範囲で気孔径が揃っていることを特徴とするアルミナ基多孔質セラミックス。
本発明は、水硬性アルミナ粉末を主成分とするアルミナ基セラミックス原料粉末を、水と混練して成形、乾燥、焼成して、所望の気孔率と気孔分布を持つアルミナ基多孔質セラミックスを製造し、提供することを特徴とするものである。なお、水硬性アルミナ粉末を主成分とするアルミナ基多孔質セラミックス原料粉末を、以下、原料粉末と記載することがある。更に、後述する金属酸化物粉末、金属水酸化物粉末、金属炭酸塩粉末、金属炭化物粉末を、以下、金属化合物粉末と記載することがある。
本発明において、水硬性アルミナ粉末は、水和反応により水和物を形成するアルミナであることを特徴とする粉末である。
水硬性アルミナと金属化合物粉末の混合は、通常の方法で行う。ただし、水を媒体とした湿式法で混合を行う場合は、後述する水量で、しかも、水添加後、硬化開始前に、混合と、後述する成形体の製造を終わらせる。更に好ましくは、水添加後、凝結開始前に、混合と、後述する成形体の製造を終わらせる。ここで、硬化とは、水を含む混合粉末の流動性が無くなることを意味し、凝結とは、水を含む混合粉末がこわばることを意味する。
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、平均粒子径:3.65μm、住友化学(株)製)の1400℃までの熱分析を行い、水硬性アルミナの脱水による重量減少率を測定したところ、8.4重量%であった。その結果を図1のTG曲線に示す。内径75mm、内容積300cm3 のアルミナ製容器に、水硬性アルミナと試薬特級の二酸化ケイ素を、それぞれ、73.5重量部(23.5g)、26.5重量部(8.5g)となるように調整充填した。この時、水硬性アルミナは、図1より明らかな、加熱に伴う脱水分を加味して秤量した。更に、Al2 O3 :99.9重量%のα−アルミナ製ボールを300gとメチルアルコールを充填し、遊星ボールミルを使用して、250rpmで0.5時間湿式混合を行った。得られたスラリーを、減圧下、60℃で乾燥した後に、全量を100メッシュのふるい通しをして、ムライトセラミックス用原料粉末を製造した。
水硬性アルミナ、試薬特級の二酸化ケイ素、及び試薬特級の酸化マグネシウムを、それぞれ、36.9重量部(11.4g)、49.8重量部(15.4g)、13.4重量部(4.1g)となるように調整充填した。この時、水硬性アルミナは、参考例1と同様に、加熱に伴う脱水分を加味して秤量した。更に、参考例1と同様の操作を行い、コージェライトセラミックス用原料粉末を製造した。
水硬性アルミナと試薬特級の酸化マグネシウムを、それぞれ、95.4重量部(31.2g)、4.6重量部(1.5g)となるように調整充填した。この時、水硬性アルミナは、参考例1と同様に、加熱に伴う脱水分を加味して秤量した。更に、参考例1と同様の操作を行い、スピネル分散アルミナセラミックス用原料粉末を製造した。
α−アルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学(株)製)、71.8重量部(21.5g)と、試薬特級の二酸化ケイ素、28.2重量部(8.5g)を参考例1と同様の操作を行い、ムライトセラミックス用原料粉末を作製した。この原料粉末100重量部(2g)を、8mm×20mmの金型に充填した。その後、25℃、湿度80%以上の密封容器に静置して24時間後、脱型した。その結果、一部に欠けのある成形体が得られた。更に、この成形体を、1600℃で2時間焼成した。その結果、密度が3.10g/cm3 、開気孔率が0.2%で、一部に欠けのある緻密なムライトセラミックスが得られた。
α−アルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学(株)製)、34.9重量部(10.5g)と、試薬特級の二酸化ケイ素、51.4重量部(15.4g)、及び試薬特級の酸化マグネシウム、13.8重量部(4.1g)を参考例1と同様の操作を行い、コージェライトセラミックス用原料粉末を作製した。この原料粉末100重量部(2g)を、8mm×20mmの金型に充填し、比較例1と同様の操作を行ったところ、一部に欠けのある成形体が得られた。更に、この成形体を、1430℃で2時間焼成した。その結果、密度が2.45g/cm3 、開気孔率が0.2%で、一部に欠けのある緻密なコージェライトセラミックスが得られた。
α−アルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学(株)製)、95重量部(28.5g)と、試薬特級の酸化マグネシウム、5重量部(1.5g)を参考例1と同様の操作を行い、スピネル分散アルミナ原料粉末を作製した。この原料粉末100重量部(2g)を、8mm×20mmの金型に充填し、比較例1と同様の操作を行ったところ、一部に欠けのある成形体が得られた。更に、この成形体を、1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が3.89g/cm3 、開気孔率が0.3%で、一部に欠けのある緻密なスピネル分散アルミナ複合セラミックスが得られた。
α−アルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学(株)製)95重量部(3.17g)、試薬特級の酸化マグネシウム5重量部(0.17g)に、可燃性気孔形成剤として直径1.8μmの真球アクリル樹脂19.88重量部(0.663g)、有機質結合剤としてポリビニルアルコール1.8重量部(0.06g)、蒸留水44.96重量部(1.5g)を加えてアルミナ乳鉢中で十分混練した混練物の一部(0.015g)について、実施例4と同様の測定を行った。その結果、最も気体発生量の多い371℃において、質量数18の水以外に質量数の大きい炭化水素系と考えられる気体が高い発生強度で検出された。この結果を図6に示す。
Claims (5)
- 原料粉末全体を100重量部としたとき、水硬性アルミナ粉末を少なくとも30重量部含むアルミナ基セラミックス原料粉末に、有機質結合剤と可燃性気孔形成剤の添加剤を使わずに、原料粉末100重量部に対して、水を5〜200重量部添加して、硬化開始前に、混合と成形体の製造を終わらせ、乾燥、焼成して、開気孔率が少なくとも5%で、0.01〜20μmの範囲に、少なくとも一つの気孔分布のピークを持つ多孔質セラミックスを製造することを特徴とするアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
- 水硬性アルミナ粉末が、平均粒子径が100μm未満であり、水和反応により水和物を形成するアルミナ粉末である請求項1記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
- アルミナ基セラミックスが、組成式Al2O3と表記される酸化アルミニウムと、酸化アルミニウム以外のセラミックス成分から構成される多成分系鉱物、又は、酸化アルミニウムと酸化アルミニウム以外のセラミックスの複合体から構成される、請求項1記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
- アルミナ基セラミックス原料粉末が、水硬性アルミナ粉末を主成分として、他に、焼成後にアルミナ基セラミックスを構成する、金属酸化物粉末、金属水酸化物粉末、金属炭酸塩粉末、金属炭化物粉末の少なくとも1種の粉末を含む混合粉末である、請求項1記載のアルミナ基多孔質セラミックスの製造方法。
- 原料粉末全体を100重量部としたとき、水硬性アルミナ粉末を少なくとも30重量部含むアルミナ基セラミックス原料粉末を、有機質結合剤と可燃性気孔形成剤の添加剤を使わずに、混合と成形体の製造を終わらせ、乾燥、焼成して、水硬性アルミナの水和反応により作製したアルミナ基多孔質セラミックスであって、
開気孔率が少なくとも5%で、少なくとも一つの気孔分布のピークを、0.01〜20μmの範囲に持つと共に、この範囲で気孔径が揃っていることを特徴とするアルミナ基多孔質セラミックス。
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