JP4054872B2 - アルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

アルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、水の添加により、気孔率を所定の範囲に調節したことを特徴とするアルミナ多孔質セラミックス、及びその製造方法に関するものである。本発明によって得られるアルミナ多孔質セラミックスは、アルミナの特徴である高耐熱性と高耐食性、及び開気孔率5%以上の所定の範囲に制御された気孔率と、0.2〜20ミクロンの範囲に、少なくとも一つの気孔分布のピークを有しており、例えば、高温燃焼ガス排気フィルター、触媒担体、断熱材、吸音材等の構造材とし有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、セラミックスの製造においては、セラミックス原料粉末を任意の形状に成形し、その形状を保持するために、結合剤が使用されている。例えば、アルミナ多孔質セラミックスの製造においても、原料粉末から任意の形状を成形する工程で、結合剤が必要である。この結合材としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、メチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリエチレン等の有機質結合剤が使用されている。
【0003】
アルミナは、Al2 3 の組成式を持ち、更に、1200℃以上の高温で遷移させたαーアルミナ(αーAl2 3 、以下、本明細中では、アルミナと記載することがある。)は、最終的に最も安定である。そのため、アルミナは、耐熱性と耐食性に優れた特徴を持っている。これらのことから、アルミナ原料粉末に、気孔形成材を添加し、混練後、成形、焼成して製造されるアルミナ多孔質セラミックスは、例えば、高温燃焼ガス排気フィルター、触媒担体、断熱材、吸音材等の高温及び腐食雰囲気下等の過酷な環境下で使用できる構造材として注目されている(非特許文献1参照)。
【0004】
このように、従来、アルミナ多孔質セラミクスの製造では、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなるアルミナ原料粉末に、澱粉、アクリル樹脂、カーボン粉末等の可燃性物質を気孔形成剤として、添加、混練して成形、焼成し、可燃性物質が燃焼、除去された空隙により、アルミナセラミックスの気孔を形成することが行われていた。従って、気孔形成剤の粒子径と、添加量を調整して、アルミナ多孔質セラミックスの気孔分布と気孔率を調節することが行われていた。
【0005】
しかしながら、従来の方法には、それぞれ、次のような問題点があった。有機質結合剤が燃焼するときに発生するガスは、環境を汚染する恐れがある。また、環境汚染を防止するための工程を加えると、製造工程が複雑化するため、製造コストが増大し、経済的に不利である。更に、焼成後の多孔質セラミックス中に有機質結合材が残炭又は灰分として残留すると、品質上の問題を生じるため、完全に燃焼除去する必要があり、そのコストは無視できないという問題がある。
【0006】
可燃性物質からなる気孔形成剤を用いる方法では、気孔形成剤の粒子径と添加する量を調節することにより、気孔分布と気孔率が容易に調節できる。しかし、気孔形成剤が燃焼するときに発生するガスは、環境を汚染する恐れがある。また、環境汚染を防止するための工程を加えると、製造工程が複雑化するため、製造コストが増大し、経済的に不利である。更に、焼成後の多孔質セラミックス中に気孔形成剤が残炭又は灰分として残留すると、品質上の問題を生じるため、完全に燃焼除去する必要があり、そのコストは無視できないという問題がある。
【0007】
【非特許文献1】
別府義久、マテリアルインテグレーション、Vol.14、No.4、23−27(2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の各種の問題を解消することが可能な新しいアルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、水と混練して成形、乾燥、焼成することにより、所期の目的を全て達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水の添加により、気孔率を5%以上の所定の範囲に制御すること、及び少なくとも一つの気孔分布のピークを0.2〜20ミクロンの範囲に制御することが可能なアルミナ多孔質セラミックスの製造方法、及びそのアルミナ多孔質セラミックスを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、有機質結合剤、可燃性気孔形成剤、他の無機質の結合剤を用いることなく、水と混練して成形して得られる含水成形体を、乾燥、焼成して、開気孔率が少なくとも%で0.2〜20ミクロンの範囲に、少なくとも一つの気孔分布のピークを持つ多孔質セラミックスを製造することからなるアルミナ多孔質セラミックスの製造方法であって、粒度を調整した水硬性アルミナ粉末を使用することにより気孔分布を所定の範囲で調節すること、上記水硬性アルミナが、平均粒子径0.01ミクロンから100ミクロン未満であり、水和反応により水和物を形成するアルミナであること、を特徴とする上記アルミナ多孔質セラミックスの製造方法
)酸化アルミニウム水和物粉末が、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト及び非晶質アルミナ水和物のうちの少なくとも1種である前記(1)記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
)水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末中に、水硬性アルミナ粉末が、少なくとも5%含まれる前記(1)記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
)上記混合粉末100重量部を5〜200重量部の水と混練する前記(1)記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、水と混練して成形、乾燥、焼成して、所望の気孔率と気孔分布を持つアルミナ多孔質セラミックスを製造し、提供することを特徴とするものである。なお、水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、以下、混合粉末と記載することがある。
【0011】
本発明において、水硬性アルミナ粉末は、水和反応により水和物を形成するアルミナであることを特徴とする粉末である。また、酸化アルミニウム水和物粉末は、いわゆる水酸化アルミニウム粉末と呼ばれるものであり、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト及びアルミナゲル等の非晶質アルミナ水和物の少なくとも1種が用いられる。
【0012】
水硬性アルミナ粉末、酸化アルミニウム粉末、及び酸化アルミニウム水和物粉末の平均粒子径は、約0.01〜100μm、好ましくは約0.01〜10μm、更に好ましくは約0.01〜5μmである。水硬性アルミナ粉末、酸化アルミニウム粉末及び酸化アルミニウム水和物粉末のそれぞれの混合前の粒度は、細かい方が好ましいが、混合過程で上記範囲に粉砕処理をする場合には、粗粒であっても差し支えない。
【0013】
水硬性アルミナは、水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末100重量部中に、少なくとも5重量部、好ましくは30重量部以上、更に好ましくは50重量部以上含まれる。5重量部未満では、水硬性アルミナの水和反応に伴う混合粉末の硬化が不十分であり、任意の形状を十分保持できない。
【0014】
水硬性アルミナと酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物の粉末の混合は、通常の方法で行う。ただし、水を媒体とした湿式法で混合を行う場合は、後述する水量で、しかも、水添加後、硬化開始前に、混合と、後記する成形体の製造を終わらせる。更に好ましくは、水添加後、凝結開始前に、混合と、後記する成形体の製造を終わらせる。ここで、硬化とは、水を含む混合粉末の流動性が無くなることを意味し、凝結とは、水を含む混合粉末がこわばることを意味する。
【0015】
混練に使用する水量は、混合粉末100重量部に対して、5〜200重量部であり、好ましくは10〜100重量部であり、更に好ましくは20〜80重量部である。5重量部よりも使用する水量が少ないと、混合粉末は可塑性に乏しいため、任意の形状を容易に付与できない。また、水硬性アルミナの水和反応が不十分であるため、任意の形状を十分保持できない。更に、200重量部よりも使用する水量が多くなると、混合粉末は、凝結・硬化しないため、任意の形状を保持できず、強度特性に優れた成形体が得られないため、適当ではない。
【0016】
なお、水を含む混合粉末の流動性を保ちながら水の使用量を調整する目的で、例えば、リグニンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩等の減水剤を使用しても構わない。成形は、水を含む混合粉末が成形できればどの方法でも構わないが、好適には、例えば、加圧成形、可塑成形、鋳込み成形等が例示される。本発明では、水を含んだ混合粉末は、流動性があるため、成形型に流し込むことも可能である。成形した水を含む混合粉末は、室温で乾燥させない雰囲気下で硬化させる。必要に応じて、脱型して含水成形物を得る。
【0017】
得られた含水成形物は、乾燥、焼成して、添加した水を脱水して空隙を形成するとともに、混合粉末の反応によってアルミナを生成し、最終製造物であるアルミナ多孔質セラミックスを製造する。これらの方法は、通常の方法で行われる。含水成形物の乾燥、焼成は、ひび割れやそりが生じなければ、それぞれ独立に行っても、また一連で行っても構わない。
【0018】
焼成温度は、1200〜1700℃が好ましい。更に好ましくは1400〜1600℃である。1200℃未満では、アルミナが完全に生成しない。また、1700℃以上では、エネルギーコスト及び製造コストが上昇し、好ましくない。更に、過焼結により気孔率が低下する。焼成時間は、加熱温度により相違するが、0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間、更に好ましくは2〜4時間である。10時間以上は、エネルギーコスト及び製造コストが上昇し、好ましくない。更に、過焼結により気孔率が低下する。
【0019】
このようにして製造された本発明のアルミナ多孔質セラミックスは、有機質結合剤等の添加剤を使わなくても、成形体強度に優れており、更に、可燃性気孔形成剤等の添加剤を使わずに、水硬性アルミナの粒子径と、混練する水量を調整するという極めて簡単な方法で、開気孔率を5%以上、好適には10〜80%の所定の範囲に調節することができるとともに、更に、少なくとも一つの気孔分布のピークを0.2〜20ミクロンの所定の範囲に調節することができるため、有機質結合剤と可燃性気孔形成剤による環境汚染の問題を解消することができる。更に、製造された本発明のアルミナ多孔質セラミックスは、0.2〜20ミクロンの範囲で、気孔分布に少なくとも一つのピークを持つことから気孔径が揃っており、濾過を目的とした高温燃焼ガス排気フィルター等の使用に好適である。本発明の方法により、製造プロセスを簡略化し、製造コストを大幅に低減することができる。そのため、本発明のアルミナ多孔質セラミックスは、例えば、高温燃焼ガス排気フィルター、触媒担体、断熱材、吸音材等の構造材として広く利用することができる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、光回折法により測定したメジアン径(d50)を、水硬性アルミナの平均粒子径とした。成形体の密度は、寸法と質量から計算した。成形体の圧縮強度は、8mm×20mmの金型で成形し、25℃、湿度80%以上の密封容器に24時間静置した後に脱型した試料について、0.5mm/ minのクロスヘッド速度の条件で測定した。加熱過程に発生する気体の分析は、発生気体−質量分析法を用いて行った。物質の同定は、粉末X線回折を用いた。焼結体の密度及び開気孔率の測定は、アルキメデス法によって行った。気孔分布は、水銀圧入法によって測定した。また、焼結体の組織観察は、金コーティングした破面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行った。
【0021】
実施例1
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、平均粒子径:3.65ミクロン、住友化学(株)製)100重量部(2g)に、蒸留水40重量部(0.8g)を加えて混練後、8mm×20mmの金型に充填した。その後、25℃、湿度80%以上の密封容器に静置したところ、水硬性アルミナの水和反応によって全体が硬化した。静置して24時間後、脱型した。その結果、密度が1.58g/cm3 、圧縮強度が28.5MPaで、そり、欠け、ひび割れがない硬い含水成形体が得られた。
【0022】
この成形体を1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が1.62g/cm3 、開気孔率が58.9%で、そり、欠け、ひび割れがない良好なアルミナ多孔質セラミックスが得られた。なお、焼成は成形体の乾燥も兼ね、20時間以内に室温〜150℃、7時間以内に150〜850℃、1時間以内に850〜1000℃、1.5時間以内に1000〜1400℃、1400℃に2時間保持して行った後、炉冷した。各種成分の割合、成形体及び焼結体の性状を表1に示す。製造に使用した水硬性アルミナ、製造した含水成形体、及びアルミナ多孔質セラミックスの粉末X線回折結果を、図1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0004054872
【0024】
実施例2
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)100重量部(2g)に、蒸留水80重量部(1.6g)を加えて、実施例1と同様の操作を行った。その結果、密度が1.64g/cm3 、圧縮強度が8.9MPaで、そり、欠け、ひび割れがない硬い含水成形体が得られた。更に、この成形体を、1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が1.32g/cm3 、開気孔率が66.5%で、そり、欠け、ひび割れがない良好なアルミナ多孔質セラミックスが得られた。
【0025】
実施例3
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)100重量部(2g)に、蒸留水120重量部(2.4g)を加えて実施例1と同様の操作を行った。その結果、密度が1.45g/cm3 、圧縮強度が0.5MPaで、そり、欠け、ひび割れがない含水成形体を得た。更に、この成形体を1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が0.94g/cm3 、開気孔率が74.5%で、そり、欠け、ひび割れがない良好なアルミナ多孔質セラミックスが得られた。得られたアルミナ多孔質セラミックスの気孔分布を、図2に示す。本発明によるアルミナ多孔質セラミックスは、0.2〜2ミクロン付近に気孔径のピークを持つ。更に、その破面のSEM写真を図3に示す。
【0026】
実施例4
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)30gを、内径75mm、内容積300cm3 のアルミナ製容器に調整充填した。更に、Al23 :99.9重量%のαーアルミナ製ボールを300gとメチルアルコールを充填し、遊星ボールミルを使用して、250rpmで0.5時間粉砕を行った。得られたスラリーを、減圧下、60℃で乾燥した後に、全量を100メッシュのふるい通しをした。この粉砕した水硬性アルミナ粉末の平均粒子径を、光回折法により測定したところ、2.43ミクロンであった。粉砕した水硬性アルミナ100重量部(2g)に、蒸留水120重量部(2.4g)を加えて実施例1と同様の操作を行った。その結果、密度が1.48g/cm3 、圧縮強度が0.7MPaで、そり、欠け、ひび割れがない含水成形体を得た。更に、この成形体を1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が1.40g/cm3 、開気孔率が64.2%で、そり、欠け、ひび割れがない良好なアルミナ多孔質セラミックスが得られた。得られたアルミナ多孔質セラミックスの気孔分布を、図4に示す。本発明によるアルミナ多孔質セラミックスは、0.4ミクロン付近に気孔径のピークを持つ。
【0027】
実施例5
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)30gを、内径75mm、内容積300cm3のアルミナ製容器に調整充填した。更に、Al23 :99.9重量%のαーアルミナ製ボールを300gとメチルアルコールを充填し、遊星ボールミルを使用して、250rpmで2時間粉砕を行った。得られたスラリーを、減圧下、60℃で乾燥した後に、全量を100メッシュのふるい通しをした。この粉砕した水硬性アルミナ粉末の平均粒子径を、光回折法により測定したところ、1.38ミクロンであった。この粉砕処理を施した水硬性アルミナ100重量部(2g)に、蒸留水120重量部(2.4g)を加えて実施例1と同様の操作を行った。その結果、密度が1.49g/cm3 、圧縮強度が1.1MPaで、そり、欠け、ひび割れがない含水成形体を得た。更に、この成形体を1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が2.21g/cm3 、開気孔率が43.6%で、そり、欠け、ひび割れがない良好なアルミナ多孔質セラミックスが得られた。得られたアルミナ多孔質セラミックスの気孔分布を、図5に示す。本発明によるアルミナ多孔質セラミックスは、0.2ミクロン付近に気孔径のピークを持つ。
【0028】
実施例6
実施例2で製造した成形体の一部(0.018g)について、1000℃までの加熱過程に発生する気体の分析を行った。最も気体発生量の多かった269.1℃での発生気体種とその発生強度を測定した。その結果、質量数18の水が主として検出された。更に、質量数18の水以外の質量数の大きい炭化水素系と考えられる気体の発生強度は低かった。この結果を図6に示す。
【0029】
比較例1
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)100重量部(2g)を、8mm×20mmの金型に充填し、100kg/cm2 で一軸加圧成形を行った。実施例1と同様に、25℃、湿度80%の密封容器に静置したが、硬化しなかった。静置して24時間後、脱型した。その結果、一部に欠け、及びひび割れのある成形体が得られた。更に、この成形体を、1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が1.63g/cm3 、開気孔率が58.5%で、一部に欠け、及びひび割れのあるアルミナ多孔質セラミックスが得られた。各種成分の割合、成形体及び焼結体の性状を表1に示した。
【0030】
比較例2
水硬性アルミナ(商品名:BK−105、住友化学(株)製)2重量部、及びαーアルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学((株)製)98重量部からなる混合粉末100重量部(2g)に、8mm×20mmの金型に充填し、100kg/cm2 で一軸加圧成形を行った。実施例1と同様に、25℃、湿度80%以上の密封容器に静置したが、硬化しなかった。静置して24時間後、脱型した。その結果、密度が1.99g/cm3 、圧縮強度が0.9MPaで、一部に欠けのある成形体が得られた。更に、この成形体を、1400℃で2時間焼成した。その結果、密度が3.95g/cm3 、開気孔率が無い、一部に欠けのある緻密なアルミナセラミックスが得られ、気孔分布は測定できなかった。各種成分の割合、成形体及び焼結体の性状を表1に示した。
【0031】
比較例3
比較例2で製造した混合粉末100重量部(2g)に、蒸留水40重量部(0.8g)を加えて、実施例1と同様の操作を行った。その結果、いずれも硬化せず、軟弱な状態のままであり、脱型することができなかった。無理に脱型したところ成形体が破壊した。
【0032】
比較例4
比較例2で製造した混合粉末100重量部(2g)に、蒸留水80重量部(1.6g)を加えて、実施例1と同様の操作を行った。その結果、いずれも硬化せず、軟弱な状態のままであり、脱型することができなかった。無理に脱型したところ成形体が破壊した。
【0033】
比較例5
比較例2で製造した混合粉末100重量部(2g)に、蒸留水120重量部(2.4g)を加えて、実施例1と同様の操作を行った。その結果、いずれも硬化せず、軟弱な状態のままであり、脱型することができなかった。無理に脱型したところ成形体が破壊した。
【0034】
比較例6
α−アルミナ(商品名:TM−DAR、大明化学((株)製)100重量部(3.337g)に、可燃性気孔形成剤として直径1.8ミクロンの真球アクリル樹脂19.88重量部(0.663g)、有機質結合剤としてポリビニルアルコール1.8重量部(0.06g)、蒸留水44.96重量部(1.5g)を加えて、アルミナ乳鉢中で十分混練して調整した混練物の一部(0.015g)について、実施例6と同様の測定を行った。その結果、最も気体発生量の多い369.4℃において、質量数18の水以外に質量数の大きい炭化水素系と考えられる気体が高い発生強度で検出された。これらの結果を図7に示す。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明は、アルミナ多孔質セラミックス及びその製造方法に係るものであり、本発明の方法により、1)水硬性アルミナと酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、水と混練するという極めて簡単な方法で、任意の形状を持つ成形体を製造でき、かつその形状を保持することができる、2)そのため、有機質結合剤の燃焼による環境汚染の問題を解消することができるとともに、製造プロセスを簡略化することができるため、製造コストを大幅に低減することができる、3)また、混練する水量を調整するという極めて簡単な方法で、気孔率を所定の範囲で調節することができる、4)更に、粒度を調整した水硬性アルミナ粉末を使用することにより気孔分布を所定の範囲で調節することができる、5)そのため、気孔形成剤の燃焼による環境汚染の問題を解消することができるとともに、製造プロセスを更に簡略化することができるため、更に製造コストを大幅に低減することができる、6)更に、本発明方法によって製造されたアルミナ多孔質セラミックスは、アルミナの特徴である高耐熱性と高耐食性、及び所定の範囲に制御された気孔率を有しており、例えば、高温燃焼ガス排気フィルター、触媒担体、断熱材、吸音材等の構造材として広く利用することができ、その産業上の価値は頗る大である、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に関するX線粉末回折図〔(a)は、水硬性アルミナ粉末のX線回折図、(b)は水硬性アルミナ粉末に水を添加、混練後、24時間後のX線粉末回折図、(c)は、水硬性アルミナ粉末に水を添加、混練後、24時間後、更に1400℃、2時間焼成後の粉末X線回折図である。〕を示す。
【図2】実施例3に関する気孔分布図を示す。
【図3】実施例3に関するSEM写真を示す。
【図4】実施例4に関する気孔分布図を示す。
【図5】実施例5に関する気孔分布図を示す。
【図6】実施例5に関する269.1℃における発生気体−質量分析結果を示す。
【図7】比較例6に関する369.4℃における発生気体−質量分析結果を示す。

Claims (4)

  1. 水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末を、有機質結合剤、可燃性気孔形成剤、他の無機質の結合剤を用いることなく、水と混練して成形して得られる含水成形体を、乾燥、焼成して、開気孔率が少なくとも%で0.2〜20ミクロンの範囲に、少なくとも一つの気孔分布のピークを持つ多孔質セラミックスを製造することからなるアルミナ多孔質セラミックスの製造方法であって、粒度を調整した水硬性アルミナ粉末を使用することにより気孔分布を所定の範囲で調節すること、上記水硬性アルミナが、平均粒子径0.01ミクロンから100ミクロン未満であり、水和反応により水和物を形成するアルミナであること、を特徴とする上記アルミナ多孔質セラミックスの製造方法
  2. 酸化アルミニウム水和物粉末が、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト及び非晶質アルミナ水和物のうちの少なくとも1種である請求項1記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
  3. 水硬性アルミナ粉末と、酸化アルミニウム粉末及び/又は酸化アルミニウム水和物粉末からなる混合粉末中に、水硬性アルミナ粉末が、少なくとも5%含まれる請求項1記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
  4. 上記混合粉末100重量部を5〜200重量部の水と混練する請求項1記載のアルミナ多孔質セラミックスの製造方法。
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