JP3924456B2 - 多肉植物類による薄層緑化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多肉植物類を用いてビル屋上をはじめとする人工地盤上を薄層緑化するための多肉植物類の栽培育成用の容器、土壌基盤材、植栽基盤材、及び、薄層緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヒートアイランド現象の抑制や省エネルギー効果を得ることを主たる目的として、ビルの屋上をはじめとする人工地盤面を緑化することが普及しつつある。
ビルの屋上等の人工地盤面を緑化するには、まず、施工層が断熱効果を有していることが必要とされる。また、ビルの屋上等という厳しい環境で良好に生育するためには、施工植物が、強靱な体質に栽培育成でき、しかも大量生産できることが必要である。また、ビルの屋上等では、風雨に曝されることより、植物が生育している土壌が飛散、流出して経時的に喪失することを防ぐことが求められる。更に、ビルの屋上等にかけうる荷重には制限があるので、施工層は軽量であることが好ましい。また、施工作業の面からは、ビルの屋上等の人工地盤は、一般に高所であり、勾配、風等の影響を受け施工作業に際し危険を伴うことが多いので、多量の資材搬入や複雑な植栽作業のない簡便で作業性の良い植栽方法が求められる。
【0003】
このような人工地盤面の緑化において、負荷重の制約を満たし、潅水設備が不要であり、耐乾性に優れ、自然界においては数ミリメートルの土壌厚しかない岩場においても自生することのできる多肉植物類を用いた薄層緑化方法が注目されている。
【0004】
しかしながら、多肉植物類の多くが乾燥地帯の原産であり、日本のような湿潤温暖気候区とは全く違う気候条件で進化を遂げた植物であるので、乾燥には極めて強いが過湿状態には弱く、特に高温と過湿が重なると致命的打撃を受けることが多い。このため、緑化に多肉植物類を使用する場合には、高温多湿状態を避けることが極めて重要である。
【0005】
「屋上緑化のすべてがわかる本」(和歌山大学システム工学部助教授、山田宏之氏著、2001年6月1日発行)には、校舎屋上に薄層のセダム基盤を設置し、このスラブ面温度を測定したところ、2.5cm厚という極端に薄い試験区においては、その基盤下のスラブ温度が、直射日光の当たっている露出スラブ面温度を越えてしまったということが記載されている。即ち、緑化した屋上面のほうが熱くなるという現象が起きた旨が記載されている。
【0006】
このように、日本特有の気象条件の下では、単に多肉植物類によりビルの屋上等の人工地盤の薄層緑化を行っても、ヒートアイランド現象の抑制や省エネルギー効果を得ることは容易ではないことが明らかにされており、安易な人工地盤面の緑化は逆の結果を招くという問題が生じている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、多肉植物類を用いたビル屋上をはじめとする人工地盤上の薄層緑化に好適な多肉植物類の栽培育成用の容器、土壌基盤材、植栽基盤材、及び、薄層緑化方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明は、多肉植物類を栽培育成するための容器であって、底部と周囲壁部とを有し上部が開放された直方体の容器からなり、前記底部の内面はその両斜面が壁部に向かってそれぞれ2〜5%の傾斜勾配を有する切妻屋根状に形成されており、前記周囲壁部の下部には排水口が形成されている多肉植物類の栽培育成容器である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の栽培育成容器は、多肉植物類を栽培育成するための容器である。
上記多肉植物類としては特に限定されず、例えば、ベンケイソウ科、カタバミ科、ツルナ科に属する植物等を挙げることができる。なかでもベンケイソウ科セダム属の植物は、極端に乾燥に強いものが含まれることから、人工地盤上の緑化に適している。
上記ベンケイソウ科セダム属の植物としては、例えば、メキシコマンネングサ、モリムラマンネングサ、タイトゴメ、コッシニウム、サカサマンネングサ、コーラルカーペット等を挙げることができる。
【0010】
本発明の栽培育成容器は、底部と周囲壁部とを有し上部が開放された直方体の容器からなるものである。
上記底部の内面は切妻屋根状に形成されている。上記切妻屋根の形状としては特に限定されないが、切妻屋根の棟が底部の長手方向の中心線に沿っていることが好ましい。上記切妻屋根の両斜面の傾斜勾配は、それぞれ2〜5%である。2%未満であると、排水効率が充分でなく、5%を超えると、水はけが良すぎて、土壌が乾燥しやすい。好ましくは、3〜4%である。
上記周囲壁部の下部には排水口が形成されている。上記排水口の大きさ及び形状は特に限定されず、また、上記排水口の数も特に限定されないが、必要な排水効率に応じて、形状、大きさ及び数が調整される。
【0011】
本発明の栽培育成容器は内部が一室からなるものであってもよいが、内部が周囲壁部と同じ程度の高さか又はやや低い仕切りで複数室に区切られていてもよい。本発明の栽培育成容器の内部が複数室に区切られている場合、各室の底部内面はそれぞれ上記のような切妻屋根状に形成され、各室の仕切りには上記のような排水口が形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の栽培育成容器の材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、硬質ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等の種々の合成樹脂を用いることができ、このような合成樹脂を発泡体として用い、軽重量化を図ることが好ましい。
【0013】
本発明の栽培育成容器の大きさとしては特に限定されないが、薄い直方体であることが好ましく、例えば、内部が一室からなる場合、縦25〜50cm、横50〜100cm、高さ3〜6cm、深さ1.5〜4.5cmのものを用いることができる。
【0014】
本発明の栽培育成容器は特にビル屋上等の人工地盤面を緑化するために使用される多肉植物類を栽培育成するのに適している。ビル屋上等の人工地盤面の気象条件は極めて厳しいものであり、異常な乾燥状態等になりやすい。このため、緑化に用いられる多肉植物類には、人工地盤面でも良好に生育しえる強靱な体質を有することが求められる。本発明の栽培育成容器を用いて多肉植物類を栽培育成した場合、栽培育成期間中に時々行われる潅水及び降雨時においても、容器内に水が留まることなく速やかに排出され、容器内は常に乾燥状態に維持されることにより、乾燥に対して強靱な体質を持った多肉植物類を大量生産することが可能になると共に、栽培育成中においても多肉植物類に好ましくない高温多湿状態となることが回避されるため、緑被覆率が高いマット状の多肉植物類を栽培育成することが可能となる。
【0015】
本発明の栽培育成容器の一実施態様を図1に示す。図1に示す態様の栽培育成容器は、周囲壁部1と底部2とを有し上部が開放された直方体状に成形された一室からなる容器である。底部1の内面は長手方向の中心線に沿って棟3が走るような切妻屋根状に形成されており、周囲壁部1には下部に複数の排水口4が形成されている。
【0016】
本発明の栽培育成容器を用いて多肉植物類を栽培育成し、その多肉植物類をビル屋上等の人工地盤上の薄層緑化に用いる場合は、特定の土壌基盤材を用いることが好ましい。
上記土壌基盤材としては、例えば、土壌基盤材全体に対して、繊維長30〜150mmのピートモスを30〜40体積%、パーライトを30〜40体積%、及び、川砂又は山砂を20〜30体積%の割合で含有するものが好適に用いられる。
【0017】
上記ピートモスは苔類の泥炭であり、植物体でありながら耐腐敗性に優れ、乾燥させると撥水性を生じ、また、給水・乾燥を繰り返すことにより大きく収縮する性質を有する。
上記ピートモスは、繊維長が30〜150mmである。30mm未満であると上述の効果が得られず、150mmを超えると、他の土壌基盤材成分と混合できず土壌基盤材として用いることが困難となる。
【0018】
ビルの屋上等にかけうる負荷重には制限があり、また、ビルの屋上等は強い風雨に曝されることより、このような人工地盤面に施工する土壌基盤材には、軽量であること、土壌の飛散、流出が少ないことが求められ、更に、多肉植物類を栽培育成するには、高透水性であり多湿状態にならないことが求められる。
上記土壌基盤材は上記のような組成を有することにより、軽重量で、耐飛散性、耐流出性に優れ、更に高い疎水性を確保し多湿状態となることを回避することができる。即ち、長繊維ピートモスが土壌基盤内全体に、網目状の構造体を形成すると共に、この土壌基盤材で多肉植物類の栽培育成をすることにより、多肉植物類の根系が土壌中に伸長し長繊維ピートモスの網目構造体に侵入し絡み合い土壌基盤材は強固となり、強い雨風に遭遇しても荒い堀り現象による崩壊流失を防ぐことができる。また、パーライトを含有することにより透水性が大幅に改善され多肉植物類に好ましくない多湿状態を回避でき、マット形状の多肉植物類の栽培育成が可能となる。
上記土壌基盤材は、更に必要に応じて、赤玉土、鹿沼土、ボラ土等を含有してもよい。
【0019】
上記土壌基盤材は、三相分布が固相15〜20%、気相50〜60%、液相15〜30%であることが好ましい。三相分布がこのような状態にある土壌基盤材は、透水性、通気性に優れ多肉植物類の育成栽培に適するとともに、軽重量であることから負荷重に制約のあるビルの屋上等の人工地盤の緑化に適している。
【0020】
上記土壌基盤材は、定水位法における21℃での飽和透水係数が4.0×10−2〜4.5×10−2cm/secであること好ましい。なお、本明細書において、定水位法における21℃での飽和透水係数とは、JIS A 1218に従って測定されるものである。飽和透水係数が上記の範囲内であると、多肉植物類の生育に適切な水分状態とすることができ、多湿状態を回避することができる。このような土壌基盤材を用いることにより多肉植物類の高い被覆率を可能とすることができ、マット形状の多肉植物類を得ることができる。
このような土壌基盤材もまた、本発明の1つである。
【0021】
栽培育成した多肉植物類を用いてビル屋上等の人工地盤上の薄層緑化を図る場合は、人工地盤面に植栽基盤材を敷き並べてその上に多肉植物類を植栽することが好ましい。
上記植栽基盤材としては、例えば、不織布フィルター、排水材、及び、不織布防根シートがこの順に積層され相互に接着され一体となったものを用いることができる。
上記不織布フィルターとしては、例えば、繊度が3〜10デニールの長繊維である非生分解性合成繊維からなり、目付けが100〜200g/m2であり、かつ、通気量が100〜200mL/cm2/secであるものが好ましい。繊度が3〜10デニールの長繊維を用い、目付け及び通気量を上記の範囲内とすることにより、疎水性に優れ大量の水を通すため、多湿な状態となることを防止することができるとともに、土壌の粒子は通さないため土壌基盤材が流出により喪失することを防止し、また、多肉植物類の根系伸長に伴い根系の貫通を可能とし多肉植物類と上記植栽基盤材とを一体化し強固な構造体とすることができる。
【0022】
上記排水材は、繊度が1000〜2000デニールのモノフィラメントである非生分解性合成繊維で構成された逆ランガーげた橋様式の形状を有する厚さ10〜20mmの立体構造繊維体からなり、立体構造繊維体が不織布フィルター及び不織布防根シートと接する割合は7:3〜8:2であることが好ましい。繊度が1000〜2000デニールのモノフィラメントを用い、上記のような立体構造を形成することにより、太くて強い硬質の繊維からなり耐圧性に優れた大空間が形成され、高機能な排水機能空間が確保され、高温多湿を回避すると共に、厚い空気層によって、夏の高温期においては高温化する緑化面上の熱を断熱し、また冬の寒冷期には人工地盤面からの放熱を防ぐ、優れた遮熱性を発揮することができる。
【0023】
上記不織布防根シートは、繊度が1〜10デニールの長繊維である非生分解性合成繊維からなり、目付が100〜300g/m2であり、かつ、通気量が30〜80mL/cm2/secであることが好ましい。繊度が1〜10デニールの長繊維を用い、目付け及び通気量を上記の範囲内とすることにより、人工地盤面の随所に凹凸が存在し降雨等によりその凹部に水がたまっても、細い繊維で構成された不織布により毛細管現象を利用して留水を吸い出し、水分分布の均一化を図り、部分的に多湿部が発生することを回避すると共に、多肉植物類の根系が貫通して人工地盤面のクラックや継ぎ目に侵入することを回避することができる。
上記不織布防根シートにおいて、上記のような範囲の通気量を確保するには不織布にエンボス加工及び樹脂加工等の後加工を行うことが好ましい。
【0024】
上記不織布フィルター、排水材、及び、不織布防根シートに用いられる非生分解性合成繊維としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。上記不織布フィルター、排水材、及び、不織布防根シートとして、いずれも非生分解性合成繊維からなるものを用いることにより、上記植栽基盤材が経時的に劣化することを防ぐことができる。
上記不織布フィルター、排水材、及び、不織布防根シートを相互に接着して一体化するためには、例えば、熱融着したり、適宜公知の接着剤から選択して用いたりすることができる。
上記植栽基盤材は、上記不織布防根シート側を人工地盤面に接するようにして用いることが好ましい。
【0025】
上記植栽基盤材は上記のような構成を有することにより、ビルの屋上等の厳しい環境下でも、良好な多肉植物類の育成を実現し、ヒートアイランド現象の抑制や、省エネルギーに寄与することができる。
このような植栽基盤材もまた、本発明の1つである。
【0026】
上記植栽基盤材の一実施態様を図2に示す。図2に示す態様の植栽基盤材5は、不織布フィルター6、排水材7、及び、不織布防根シート8からなる。排水材7は、逆ランガーげた橋様式の形状を有する立体構造繊維体から構成される。
【0027】
本発明の栽培育成容器内に上記土壌基盤材を充填して多肉植物類を栽培育成し、土壌基盤材と多肉植物類とが一体となった多肉植物類マットを得て、得られた多肉植物類マットを、上記植栽基盤材が敷き並べられた人工地盤面上に載置することにより簡便に人工地盤面上を薄層緑化することができる。
上記人工地盤としては特に限定されず、例えば、ビルをはじめとする高層建築物の屋上等を挙げることができる。
上記植栽基盤材は人工地盤面に敷き並べられた後、固定金具等を使用して人工地盤面に接着、固定することが好ましい。また、植栽後は潅水を行い多肉植物類マットと植栽基盤材をなじませておくことが好ましい。
【0028】
上記のような薄層緑化方法によれば、特別な技術を必要としない安値で確実な施工を可能にすると共に、曲線に対する施工であっても簡便に行うことができる。また、ビルの屋上等の高所で、傾斜勾配があり、風の影響を受けやすい危険な場所において、多量の資材搬入や複雑な作業のない簡便で作業性の良い、薄層緑化を可能にした。
このような薄層緑化方法もまた、本発明の1つである。
【0029】
上記薄層緑化方法の一実施態様を図3に示す。11は、多肉植物類9と基盤土壌材10とが一体となった多肉植物類マットを示す。多肉植物類マット11を、植栽基盤材5が敷き並べられた人工地盤面12に敷きつめることにより、極めて簡便に人工地盤面12の薄層緑化を行うことができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
<栽培育成容器の作製>
ポリスチレン樹脂を用いて、発泡倍率35倍のビーズ発泡による成型法により、内径寸法が縦500×横250×深さ30(mm)、外形寸法が縦520×横270×高さ50(mm)、内底面の傾斜勾配が3%、周辺壁部に排水口を12個設けた栽培育成容器を作製した。
【0032】
<栽培育成用基盤材の作製>
繊維長が30〜150mmの長繊維ピートモスを40体積%、パーライト(真珠岩社製)を40体積%、川砂を20体積%の割合で混合することにより土壌基盤材を得た。この土壌基盤材について三相分布を測定したところ、固相率21.5%、気相率59.5%、液相率19.0%であり、また、21℃において定水位法で測定した飽和透水係数が4.4×10−2cm/sec、単位容積質量(仮比重)が0.60g/mLであった。
【0033】
<一体型植栽基盤材の作製>
ポリエステル樹脂を用いて、繊度8デニールで構成された目付が100g/m2の長繊維不織布からなる不織布フィルターを得た。この不織布フィルターの通気量は180mL/cm2/secであり、貫根性を有していた。
また、ポリエチレン樹脂を用いて、繊度1800デニールのモノフィラメントで構成された立体構造繊維体からなり、厚さが15mmで上部接触と下部接触の割合が8対2である逆ランガーげた橋形状の高機能排水材を得た。
更に、ポリエステル樹脂を用いて、繊度3デニールで構成された目付が150g/m2の長繊維不織布にニードルパンチとエンボス加工を加えることにより不織布防根シートを得た。この不織布防根シートの通気量は48mL/cm2/secであり、多肉植物類ではその根系が貫通することのできないものであった。
【0034】
得られた不織布フィルター、高機能排水材及び不織布防根シートをこの順に重ね、加圧加熱することにより、高機能排水材のポリエチレンモノフィラメントが溶融して不織布フィルター及び不織布防根シートと接着することにより、不織布フィルターのフィルター機能及び不織布防根シートの防根機能を損傷することなく一体型植栽基盤材を得た。
【0035】
<多肉植物類による薄層緑化>
得られた栽培育成容器16基に、土壌基盤材を3リットルずつ充填し、充分に潅水を行い一夜間放置した。次いで、セダム類の一種であるメキシコマンネングサの芯芽を摘み取り、1基あたり84芽の挿芽を行い、露地に並べ寒冷紗を用いてトンネル状に覆い15日間の遮光育成することにより、完全に発根し活着率100%の幼苗を得た。寒冷紗の覆いを取り外し、直射日光のもとで潅水を繰り返しながら更に1ヶ月の育成を行い、一基あたり平均135株芽数のメキシコマンネングサを得た。
各基のメキシコマンネングサの芯芽を全て摘み取り、人的潅水を停止し自然条件下にて更に1ヶ月の養生育成を行うことにより、1基あたり平均151株芽数で緑被覆率95%であり、メキシコマンネングサの根系が土壌基盤材と絡み完全に一体化されたマット状のメキシコマンネングサを得た。
【0036】
緑化を行おうとする面積2m2のスラブ面(人工地盤上)へ、得られた一体型植栽基盤材を不織布フィルター面が上になるように敷設した。マット状のメキシコマンネングサを栽培育成容器から取り出し、スラブ面に敷設された一体型基盤材上に、並べ置きするだけの簡単植栽を行った。植栽直後に一度潅水を行った。
【0037】
薄層緑化施工後、3カ月経過後(1月末:冬季)、6カ月経過後(4月末:春季)、及び、10カ月経過後(8月上旬:夏季)に芽株数、緑被覆率、土壌基盤材の喪失の有無、及び、緑化施工部周辺の温度を測定した。なお、外気温は、非施工スラブ面上1mにおける気温である。
結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1より、芽株数は施工直後より一貫して増え続け、減少することはなかった。また、緑被覆率は厳寒の冬季には多肉植物類特有のロゼット化により若干低下したものの、春季には回復した。メキシコマンネングサは初夏に開花し、開花後には開花した芽は全て枯死する習性があるが、夏季においても芽株数及び緑被覆率の低下が見られないことから、メキシコマンネングサは施工面において正常に成育していることがわかった。
また、土壌基盤材の流出も認められず、施工面が安定していることがわかった。更に、外気温及び非施工部コンクリート面温度と、土壌基盤材表面温度及び施工部下コンクリート面温度とを比較すると、冬季には施工部の温度が高くなり、夏季には施工部の温度が低くなることが認められた。このことから、本緑化が省エネルギーとヒートアイランド現象の抑制とに大きく貢献し得ることがわかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、多肉植物類を用いてビル屋上をはじめとする人工地盤上の薄層緑化を行い、省エネルギーとヒートアイランド現象の抑制とを達成することができる、多肉植物類の栽培育成用の容器、土壌基盤材、植栽基盤材、及び、薄層緑化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の栽培育成容器の一実施態様を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の植栽基盤材の一実施態様を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の薄層緑化方法を用いた施工層の一実施態様を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 周囲壁部
2 底部
3 棟
4 排水口
5 植栽基盤材
6 不織布フィルター
7 排水材
8 不織布防根シート
9 多肉植物類
10 土壌基盤材
11 多肉植物類マット
12 人工基盤
Claims (2)
- 多肉植物類を植栽するための植栽基盤材であって、不織布フィルター、排水材、及び、不織布防根シートがこの順に積層され相互に接着され一体としてなり、前記不織布フィルターは、繊度が3〜10デニールの長繊維である非生分解性合成繊維からなり、目付けが100〜200g/m2であり、かつ、通気量が100〜200mL/cm2/secであり、前記排水材は、繊度が1000〜2000デニールのモノフィラメントである非生分解性合成繊維で構成された逆ランガーげた橋様式の形状を有する厚さ10〜20mmの立体構造繊維体からなり、前記立体構造繊維体が前記不織布フィルター及び前記不織布防根シートと接する割合は7:3〜8:2であり、前記不織布防根シートは、繊度が1〜10デニールの長繊維である非生分解性合成繊維からなり、目付が100〜300g/m2であり、かつ、通気量が30〜80mL/cm2/secであることを特徴とする多肉植物類の植栽基盤材。
- 多肉植物類を用いて人工地盤面を薄層緑化する方法であって、底部と周囲壁部とを有し上部が開放された直方体の容器からなり、前記底部の内面はその両斜面が壁部に向かってそれぞれ2〜5%の傾斜勾配を有する切妻屋根状に形成されており、前記周囲壁部の下部には排水口が形成されている多肉植物類の栽培育成容器内に、繊維長30〜150mmのピートモスを30〜40体積%、パーライトを30〜40体積%、及び、川砂又は山砂を20〜30体積%含有し、三相分布が固相15〜25%、気相50〜60%、液相15〜25%であり、かつ、定水位法における21℃での飽和透水係数が4.0×10 −2 〜4.5×10 −2 cm/secである多肉植物類の栽培育成用土壌基盤材を充填して前記多肉植物類を栽培育成し、前記栽培育成用土壌基盤材と前記多肉植物類とが一体となった多肉植物類マットを得る工程、請求項1記載の多肉植物類の植栽基盤材を人工地盤面に敷き並べる工程、及び、得られた多肉植物類マットを、前記人工地盤面上に敷き並べられた前記植栽基盤材上に載置する工程を有することを特徴とする多肉植物類による薄層緑化方法。
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