JP2003329685A - プローブ分子が固定された検出具の処理方法及び水性処理液 - Google Patents

プローブ分子が固定された検出具の処理方法及び水性処理液

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JP2003329685A
JP2003329685A JP2003103270A JP2003103270A JP2003329685A JP 2003329685 A JP2003329685 A JP 2003329685A JP 2003103270 A JP2003103270 A JP 2003103270A JP 2003103270 A JP2003103270 A JP 2003103270A JP 2003329685 A JP2003329685 A JP 2003329685A
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JP2003103270A
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Yoshihide Iwaki
義英 岩木
Hiroshi Shinoki
浩 篠木
Osamu Seshimoto
修 瀬志本
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 DNAチップのブロック方法の提供。 【解決手段】 担体上の荷電性反応性基Xに、一端部に
反応性基Xと反応して共有結合を形成する反応性基Eを
持ち、他端部に反応性基Gを持つ化合物を反応させて作
成した、先端部に反応性基Gを有する連結基を備えた反
応性担体に、反応性基Gと反応して共有結合を形成する
反応性基Qを一端部に持つプローブ分子を接触させ、反
応性基Qと反応性基Gとの反応で生成する共有結合を介
して、連結基にプローブ分子を結合させることにより製
造した、プローブ分子に特異的に結合する試料分子を固
定するための検出具の検出特性を向上させる方法であっ
て、検出具に対して、荷電性反応性基Xが水性媒体中で
示す電荷と逆側の電荷を水性媒体中で示す荷電性化合物
と接触させる処理、及び反応性基Gと反応して、その反
応性基Gを不活性化する化合物を接触させる処理とを含
むブロック処理を水性媒体中で施し、次に洗浄処理する
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体高分子物質の
構造の解析に有用な検出用具に関し、特に遺伝子の発
現、変異、多型等の効率的な解析に有用な、多数の生物
起源の高分子物質もしくはその類縁体を固相担体表面に
整列固定させた検出用具に関する。本発明は特に、DN
A断片試料の塩基配列の解析に有用な、多数のヌクレオ
チド誘導体もしくはその類縁体を固相担体表面に高密度
に整列固定させた高密度アレイ型検出用具(DNAチッ
プ)に代表される試料分子の検出具の検出感度あるいは
検出精度などの検出特性を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多様な生物の遺伝子機能を効率的に解析
するための技術開発が急速に進んでおり、生物のDNA
もしくはDNA断片の塩基配列の解析のために、DNA
チップとよばれる、多数のDNA断片あるいは合成オリ
ゴヌクレオチドなどのヌクレオチド誘導体を固相基板の
表面に固定した検出用具が用いられている。このような
固相基板の表面に結合固定されたヌクレオチド誘導体の
ような検出用分子は、プローブ分子とも呼ばれ、そのプ
ローブ分子と特異的な結合をする特定の試料分子を結合
固定することができる。従って、DNAチップを用いる
ことにより、そのDNAチップのプローブ分子に特異的
に結合する試料分子を固定検出することが可能になる。
【0003】代表的なDNAチップは、スライドガラス
等の固相担体に多数のプローブ分子を整列固定させたマ
イクロアレイである。このようなDNAチップの製造、
そしてその使用に関するDNAチップ関連技術は、DN
A以外の生体分子の検出にも利用可能であり、従って、
創薬研究、疾病の診断や予防法の開発等に新しい手段を
提供するものとして期待されている。
【0004】DNAチップ関連技術が具体化してきたの
は、DNAの塩基配列をオリゴヌクレオチドとのハイブ
リダイゼーションによって決定する方法が創案されたこ
とに始まる。この方法は、ゲル電気泳動を用いる塩基配
列決定法の限界を克服できる方法ではあったが、当初は
実用化には至らなかった。
【0005】その後、前記のような構成のDNAチップ
と、その作成技術が開発され、遺伝子の発現、変異、多
型等を短時間で効率よく調べることが可能となった。す
なわち、作成されたDNAチップ上のDNA断片もしく
はオリゴヌクレオチドなどのプローブ分子に相補性を示
すDNA断片試料(標的DNA断片)は通常、DNAチ
ップ上のプローブ分子と、標識したDNA断片試料との
ハイブリダイゼーションを利用して検出される。
【0006】DNAチップ作成技術を実用化するために
は、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを固相担体
表面に高密度に、かつ安定に整列固定させるための技術
が必要となり、また、DNAチップの検出感度あるいは
検出精度などの検出特性が重要となる。そのため、固相
担体表面に充分な量で(すなわち、高密度に)、かつ安
定にDNA断片が結合固定することが、プローブ分子と
標識した試料核酸断片とのハイブリダイゼーションの検
出特性の向上に重要となる。
【0007】DNAチップの作成方法としては、固相担
体表面で直接、オリゴヌクレオチドを合成する方法(オ
ン・チップ法)と、予め調製用意したDNA断片あるい
はオリゴヌクレオチドを固相担体表面に結合固定する方
法とが知られている。オン・チップ法としては、光照射
で選択的に除去される保護基の使用と、半導体製造に利
用されるフォトリソグラフィー技術および固相合成技術
とを組み合わせ、所定の微少なマトリックス領域でのオ
リゴヌクレオチドの選択的な合成を行なう方法(マスキ
ング技術)が代表的である。
【0008】予め調製用意したDNA断片やオリゴヌク
レオチドを固相担体表面に結合固定する方法としては、
DNA断片の種類や固相担体の種類に応じて下記の方法
が知られている。
【0009】(1)固相担体に固定するプローブ分子が
cDNA(mRNAを鋳型にして合成した相補的DN
A)あるいはPCR産物(cDNAをPCR法によって
増幅生産させて得たDNA断片)などのDNA断片であ
る場合には、DNA断片を、DNAチップ作成装置に備
えられたスポッタ装置により、予めポリ陽イオン化合物
(例、ポリリシン、ポリエチレンイミン)で表面処理し
たガラス板などの固相担体の表面に点着し、点着したD
NA断片の持つ電荷を利用して固相担体表面に静電的に
結合固定させる方法が利用される。なお、固相担体表面
の処理方法としては、アミノ基等の活性基を有するシラ
ンカップリング剤を用いる方法も利用されている。
【0010】(2)固相担体に固定するプローブ分子が
合成オリゴヌクレオチドである場合には、予め反応活性
基を導入したオリゴヌクレオチドを調製し、このオリゴ
ヌクレオチドを含む水溶液を、別に予め反応性基を形成
させるように表面処理した固相担体表面に点着して、該
オリゴヌクレオチドを固相担体表面に共有結合により結
合固定させる方法が利用される。この共有結合を利用す
る固定方法の例としては、表面にアミノ基を導入したス
ライドガラスに、PDC(p−フェニレンジイソチオシ
アネート)の存在下、アミノ基導入オリゴヌクレオチド
を反応させる方法、および該スライドガラスに、アルデ
ヒド基導入オリゴヌクレオチドを反応させる方法が知ら
れている。これらの方法は、前記(1)のDNA断片の
電荷を利用して静電結合により固定する方法と比べる
と、オリゴヌクレオチドが固相担体表面に安定に結合固
定されるという利点がある。
【0011】なお、近年、DNAチップのプローブ分子
として、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド
(合成されたオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオ
チド及びDNA分子やDNA断片、そしてRNA分子や
RNA断片をも包含する)の代りに、PNA(ペプチド
核酸)と呼ばれるオリゴヌクレオチド類縁体を用いる技
術も提唱されている。このPNAの固相基板へ共有結合
により固定するための方法として、アビジンとビオチン
とを組合わせて用いる方法も知られている(特開平11
−332595号公報)。
【0012】上記の公開公報には、固相基板として、表
面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを利用するこ
との技術も記載されている。表面プラズモン共鳴バイオ
センサ上にプローブ分子が固定されたDNAチップを用
いて、その表面にハイブリダイゼーションを介して結合
固定されたDNA断片は、表面プラズモン共鳴現象を利
用して検出することができる。
【0013】また、DNAチップの基板として、電荷結
合素子(CCD)を用いることも知られている(Nuclei
c Acids Research, 1994, Vol.22, No.11, 2124-212
5)。
【0014】いずれの結合タイプのDNAチップを用い
る核酸断片試料などの試料分子の分析方法においても、
その分析操作は、まず高密度に区画された各領域毎に一
群のプローブ分子が固定されたDNAチップの表面に、
標識(例、蛍光標識)が付けられた検出対象の核酸断片
試料などの試料分子が溶解もしくは分散された試料水溶
液を点着し、その状態にて一定時間保持した後、該表面
から試料水溶液を除去し、次いで該表面を水性液で洗浄
する方法が利用される。このようにして、DNAチップ
表面のプローブ分子と特異的に結合した試料分子以外の
試料分子を除去した後、DNAチップの該表面を乾燥さ
せ、次いで、蛍光標識などの標識に対応する標識検知方
法を利用して、各領域のプローブ分子群に対する試料分
子の固定状態を定性的あるいは定量的に測定する。
【0015】DNAチップ表面のプローブ分子に特異的
に結合固定された標識付き試料分子の検出は、例えば、
標識として蛍光標識を用いた場合には、蛍光法を利用し
て行なわれるが、この蛍光法による標識試料分子の検出
は、プローブ分子に特異的に結合固定された試料分子の
蛍光標識以外から発生する蛍光による検出感度あるいは
検出精度などの検出特性の低下が問題となりやすい。す
なわち、所定の蛍光標識以外にも、さまざまな物質が蛍
光を発することがあり、また所定の特異的結合以外のモ
ードでプローブ分子に不完全に結合した蛍光標識付き試
料分子がDNAチップの表面に残留することが少なから
ずあるため、それらが蛍光測定操作でのバックグラウン
ド値を上昇させる傾向がある。特異的結合によりプロー
ブ分子に結合した蛍光標識試料分子の検出は、結合した
試料分子の蛍光標識が発する蛍光の強度と、その周囲の
バックグラウンド値(バックグラウンド蛍光強度)との
差を利用して実施するため、バックグラウンド値の上昇
は、検出感度あるいは検出精度の低下を引き起こす結果
となる。
【0016】上記のバックグラウンド値を低減するため
に、DNAチップの表面の不正規の活性部位(すなわ
ち、試料分子が、所定の特異的結合反応によらずにDN
Aチップ表面に結合し、残留する部位)を不活性化する
ブロック処理を、DNAチップの製造後に、あるいはD
NAチップを検出操作に用いる前に施すことが知られて
いる。
【0017】DNAチップ表面に施すブロック処理とし
ては、従来より各種用途に一般的に使用されている洗浄
液であるデンハルト液を用いてDNAチップの表面を洗
浄する方法が利用されている。また、プローブ分子を基
板表面に共有結合で固定したDNAチップについて、モ
ノエタノールミンの水溶液で処理してブロック処理する
技術も知られている(3D−リンクのプロトコール、サ
ー・モディクス・インク社)。
【0018】特表平11−514872号公報には、D
NAチップ表面にブロック処理を無水コハク酸もしくは
その類縁体を用いてブロック処理を施して、非特異的バ
ックグラウンドを低減することの発明が開示されてい
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者の研究
によると、上記のような従来から利用され、あるいはこ
れまでに提案されたブロッキング剤を用いたDNAチッ
プのブロック処理は、一定のブロック効果が得られるも
のの、そのバックグラウンド値の低下をもたらす効果は
必ずしも充分とは言えないことが判明した。
【0020】また、従来から利用され、あるいはこれま
でに提案されているブロッキング剤を用いてブロック処
理を行なうと、DNAチップに結合固定されていたプロ
ーブ分子の一部が離脱流失し、この離脱プローブ分子の
一部がDNAチップの表面に所定領域以外の場所に残留
するため、DNAチップのプローブ領域(スポット)の
周囲にも、核酸断片試料との特異的に結合する領域(不
正規結合領域)が生成する傾向がある。このような不正
規結合領域の生成は、ハイブリダイゼーションを利用す
る核酸断片試料の検出時において、プローブ領域(スポ
ット)の範囲の確認を困難にするため、検出精度の低下
を引き起こすことになる。
【0021】従って、本発明は、基板などの固相担体表
面に、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチ
ド核酸などのヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体を
結合固定させたDNAチップのバックグラウンド値の低
下のためのブロック処理に効率良く利用できる処理方
法、そしてその処理に有利に利用できる処理液組成物を
提供することを主な目的とする。また、本発明は、検出
感度や検出精度などの検出特性が向上したDNAチップ
を提供することも、その目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、固相担体の表
面に備えられた一群の荷電性の反応性基Xに、一方の端
部もしくはその近傍に該反応性基Xと反応して共有結合
を形成する反応性基Eを持ち、他方の端部もしくはその
近傍に反応性基Eと同一もしくは異なる反応性基Gを有
する化合物を反応させることにより作成した、先端部も
しくはその近傍に反応性基Gを有する一群の反応性連結
基を備えた反応性固相担体に、該反応性基Gと反応して
共有結合を形成する反応性基Qを一方の端部もしくはそ
の近傍に持つ一群のプローブ分子を接触させることによ
って、該反応性基Qと反応性基Gとの反応により生成す
る共有結合を介して、連結基にプローブ分子を結合させ
ることにより製造した、該プローブ分子に特異的に結合
する試料分子を結合固定するための試料分子の検出具の
検出特性を向上させる方法であって、該検出具に対し
て、荷電性の反応性基Xが水性媒体中で示す電荷と逆側
の電荷を水性媒体中で示す荷電性化合物と接触させる処
理、及び反応性基Gと反応して、その反応性基Gを不活
性化する化合物を接触させる処理とを含むブロック処理
を水性媒体の存在下にて施し、次いで洗浄処理を施すこ
とからなる方法にある。
【0023】上記の方法に於いて、検出具のブロック処
理の際に用いる水性媒体に界面活性剤、特に陰イオン性
界面活性剤が更に含まれていることが望ましい。
【0024】本発明はさらに、正の電荷を示すアミノ基
含有化合物(例、グリシン)、負の荷電性を示す荷電性
化合物(例、デキストラン硫酸)、そして陰イオン性界
面活性剤(例、ドデシル硫酸ナトリウム)が水性媒体に
溶解されてなる、ブロッキング剤水溶液として有利に用
いることのできる水性組成物にもある。
【0025】本発明はまた、固相担体の表面に備えられ
た一群の荷電性基に、該荷電性基が水性媒体中で示す電
荷と逆側の電荷を水性媒体中で示す荷電性基を一方の端
部もしくはその近傍に持つ一群のプローブ分子を接触さ
せることによって、該プローブ分子を固相担体の表面に
静電結合により固定して製造した、該プローブ分子に特
異的に結合する試料分子を結合固定するための試料分子
の検出具の検出特性を向上させる方法であって、該検出
具に対して、固体表面に備えられた荷電性基が水性媒体
中で示す電荷と逆側の電荷を水性媒体中で示す荷電性化
合物と接触させる処理を含むブロック処理を水性媒体の
存在下にて施し、次いで洗浄処理を施すことからなる方
法にもある。
【0026】上記の方法に於いても、検出具のブロック
処理の際に用いる水性媒体に界面活性剤、特に陰イオン
性界面活性剤が更に含まれていることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明のブロック処理の対象とな
るプローブ分子を備えた検出具について、その代表例で
あるDNAチップを例にとって、また添付図面を参照し
ながら次に説明する。
【0028】本発明のブロック処理は、DNAチップの
プローブ分子が備えられた表面部分を、DNAチップの
製造後、あるいはDNAチップを実際の試料分子の検出
操作に用いる前に、特定の水性液体混合物で処理するこ
とを特徴としている。処理対象のDNAチップは、プロ
ーブ分子がチップ表面に共有結合で固定されたタイプの
もの(以下、共有結合DNAチップと呼ぶ)でもよく、
プローブ分子がチップ表面に静電的な結合で固定された
タイプのもの(以下、静電結合DNAチップと呼ぶ)で
あってもよく、また両者を併用したものでもよい。
【0029】[共有結合DNAチップのブロック処理]
本発明に従う共有結合DNAチップのブロック処理の原
理を、添付図面の第1図を参照しながら説明する。共有
結合タイプのDNAチップの製造方法の代表的な操作と
して、固相担体の表面に、アミノ基含有ポリマーによる
処理あるいはシランカップリング剤による処理などによ
ってアミノ基のような、水性液中で荷電する(アミノ基
の場合には正に荷電する)反応性基を導入し、次いで、
このアミノ基などの反応性基と反応する基を一方の端部
に有し、かつ他方の端部にも反応性基を持つ二官能化合
物を接触させることによって反応性固体担体を作成し、
次いで、この反応性固体担体とプローブ分子の反応性基
とを接触させて、該プローブ分子を固相担体に結合固定
させる操作を挙げることができる。
【0030】上記の共有結合チップの製造方法と、本発
明に従うブロック操作の原理が第1図に示されている。
先ず、共有結合タイプのDNAチップの製造プロセスを
説明する。 (1)最初に、固相担体(I)の表面に備えられた一群
の荷電性の反応性基X(第1図では正の荷電性を示すも
のとしてX+にて示している)に、一方の端部もしくは
その近傍に該反応性基Xと反応して共有結合を形成する
反応性基Eを持ち、他方の端部もしくはその近傍に反応
性基Eと同一もしくは異なる反応性基Gを有する化合物
(連結基を構成する化合物)を反応させることにより、
先端部もしくはその近傍に反応性基Gを有する一群の反
応性連結基を備えた反応性固相担体(II)を作成する。
【0031】(2)次に、反応性固相担体(II)の反応
性基Gと反応して共有結合を形成する反応性基Qを一方
の端部もしくはその近傍に持つ一群のプローブ分子を接
触させることによって、反応性基Qと反応性基Gとの反
応により生成する共有結合を介して、連結基にプローブ
分子を結合させ、目的とする共有結合チップ(III)が
得られる。
【0032】上記方法により得られた共有結合タイプの
DNAチップでは、第1図に模式的に示すように、固相
担体に予め導入された荷電性の反応性基X(X+)の一
部、そして連結基の反応性基Gの一部が未反応のままで
残留する。このため、試料分子の検出操作時において、
それらの未反応基が、アミノ基などの反応性基とリン酸
基部分とを持ち、また陰イオン性の蛍光標識を付けた核
酸断片試料と、検出反応である特異的結合反応を介する
ことなく、DNAチップの表面に結合固定されることに
なり、検出操作時において、バックグラウンド値の上昇
をもたらし、検出感度などの検出特性の低下を引き起こ
す。
【0033】次に、上記の方法により得られた共有結合
タイプのDNAチップのブロック処理について説明す
る。 (1)共有結合チップ(III)を、その荷電性の反応性
基X(X+)が水性媒体中で示す電荷と逆側の電荷
(Z-)を水性媒体中で示す荷電性化合物と接触させる
処理、及び反応性基Gと反応して、その反応性基Gを不
活性化する基(T)を持つ化合物を接触させる処理を、
水性媒体の存在下にて、同時にあるいは任意の順に施す
ことにより、未反応の反応性基X(X+)(反応性基X
が反応性基Eと反応して共有結合を形成した後も荷電性
を示す場合には、そのX+−Eの部分についても)を荷
電性化合物の電荷(Z-)でブロックし、また未反応の
反応性基Gについても不活性化する基(T)を持つ化合
物でブロックする。これらの水性媒体には、ブロック処
理の効率化のために、界面活性剤、特に陰イオン界面活
性剤を添加しておくことが望ましい。なお、ブロック処
理に用いる反応性基Gを不活性化する基(T)を持つ化
合物及び荷電正化合物は、検出対象の試料分子に対して
親和性がないか、あるいは少ないことが必要があること
は勿論である。
【0034】(2)次いで、上記のブロック処理を施し
た共有結合チップを、水、特に沸騰水あるいはアルコー
ルなどの親水性有機溶媒を用いて洗浄する処理を行な
う。そして、このようなブロック処理を施したDNAチ
ップ(IV)を、標識を付けた核酸断片などの試料分子の
検出作業に用いる。
【0035】[静電結合DNAチップのブロック処理]
本発明に従う静電結合DNAチップのブロック処理の原
理を、次に添付図面の第2図を参照しながら説明する。
まず、固相担体(I)の表面に備えられた一群の荷電性
基Xに、該荷電性基Xが水性媒体中で示す電荷(第2図
では正の荷電性を示すものとしてX+にて示している)
と逆側の電荷を水性媒体中で示す荷電性基(J-)を一
方の端部もしくはその近傍に持つ一群のプローブ分子を
接触させることによって、該プローブ分子を固相担体の
表面に静電結合により固定されて、静電結合タイプのD
NAチップ(IIIB)が得られる。
【0036】そして、このようにして製造した静電結合
DNAチップ(IIIa)を、固体表面の荷電性基(X)が
水性媒体中で示す電荷(X+)と逆側の電荷(Z-)を水
性媒体中で示す荷電性化合物と接触させて、未結合の荷
電基(X+)を電荷(Z-)を持つ荷電性化合物でブロッ
クする処理を行ない、その後、水、特に沸騰水あるいは
アルコールなどの親水性有機溶媒を用いて洗浄する処理
を行なう。ブロック処理に用いる水性媒体には、ブロッ
ク処理の効率化のために、界面活性剤、特に陰イオン界
面活性剤を添加しておくことが望ましい。なお、ブロッ
ク処理に用いる荷電正化合物は、検出対象の試料分子に
対して親和性がないか、あるいは少ないことが必要があ
ることは勿論である。
【0037】そして、このようなブロック処理を施した
DNAチップ(IVa)を、標識を付けた核酸断片などの
試料分子の検出作業に用いる。
【0038】本発明に従うブロック処理の対象となる検
出具に於いて、固相担体は、特に疎水性、あるいは親水
性の低い、表面が平滑な基板であることが好ましい。ま
た、その表面が凹凸を有する平面性の低い基板も用いる
ことができる。固相担体の材質としては、ガラス、セメ
ント、陶磁器等のセラミックスもしくはニューセラミッ
クス、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、
ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、
ポリメチルメタクリレート等のポリマー材料、シリコ
ン、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔
質シリコン、多孔質活性炭、織編物、不織布、濾紙、短
繊維、メンブレンフィルターなどの各種の多孔質物質を
挙げることができる。多孔質物質の細孔の大きさは、2
乃至1000nmの範囲にあることが好ましく、2乃至
500nmの範囲にあることが特に好ましい。固相担体
の材質は、ガラスもしくはシリコンであることが特に好
ましい。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法に
よる解析の容易さによるものである。固相担体の厚さ
は、100乃至2000μmの範囲にあることが好まし
い。
【0039】上記の固相担体としては、従来よりDNA
チップの製造に用いられているか、あるいはDNAチッ
プの製造用として提案されている各種の固相担体が好ま
しく利用することができる。そのような固相担体の例と
しては、ガラス基板、樹脂基板、シランカップリング剤
で表面処理されたガラス基板もしくは樹脂基板、あるい
は表面に被覆層を有するガラス基板もしくは樹脂基板な
どを挙げることができる。固相担体としては、特に、ケ
イ酸ガラス基板、シランカップリング剤で表面処理され
たケイ酸ガラス基板、あるいは有機質被覆層で被覆され
たケイ酸ガラス基板であることが好ましい。また、電気
化学的な分析方法に用いるDNAチップの基板として用
いられる電極基板であってもよい。また、前述の表面プ
ラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ用基板、電荷結合
素子(CCD)などの各種の機能性基板であってもよ
い。さらに、これらの基板以外にも、粒子状の固相担体
なども用いることができる。
【0040】固相担体の表面には、ジビニルスルホン化
合物などの二官能反応性化合物を共有結合により固定す
るために、あるいは荷電性基を有する試料分子(例、D
NA断片)の静電的な固定するために、ポリ陽イオン化
合物(例えば、ポリ−L−リシン、ポリエチレンイミ
ン、ポリアルキルアミン等であることが好ましく、ポリ
−L−リシンであることがさらに好ましい)などのアミ
ノ基を側鎖に有するポリマーによって被覆処理(この場
合、固相担体表面へ導入される反応性基は、アミノ基で
ある)を施すことが望ましい。あるいは、固相担体表面
は、シランカップリング剤などの固相担体表面と反応す
る反応性基と、そして別にアミノ基などの反応性基を有
する表面処理剤によって表面処理することができる。
【0041】固相担体表面は、ポリ陽イオン化合物によ
る被覆処理の場合には、アミノ基がポリマー化合物と固
体担体表面との静電結合によって固相担体表面に導入さ
れるのに対して、シランカップリング剤による表面処理
の場合には、固相担体表面に共有結合によって結合固定
されるため、アミノ基などが固相担体表面に安定に存在
する。アミノ基の外に、メルカプト基、アルデヒド基、
カルボキシル基、あるいは水酸基も好ましく導入するこ
とができる。
【0042】アミノ基を有するシランカップリング剤と
しては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シランあるいはN−β(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシランが一般的に用いられる。
【0043】ポリ陽イオン化合物を用いる処理に、シラ
ンカップリング剤による処理を組み合わせて行ってもよ
い。この方法により、疎水性、あるいは親水性の低い固
相担体とDNA断片などのプローブ分子との静電的な相
互作用を促進することができる。ポリ陽イオン化合物に
よる処理がされた固相担体表面上に、さらに、電荷を有
する親水性高分子等からなる層や架橋剤からなる層を設
けてもよい。このような層を設けることによって、ポリ
陽イオン化合物による処理がされた固相担体の凹凸を軽
減することができる。固相担体の種類によっては、その
担体中に親水性高分子等を含有させることも可能であ
る。
【0044】通常のDNAチップ用の固相担体の表面に
は、予め区画あるいは想定された多数の領域が設定され
ており、各領域毎にアミノ基のような水性媒体中で荷電
性を示す反応性基あるいは非反応性基が予め導入されて
いる。用いる固相担体の各領域の表面のそれぞれには、
上記のアミノ基あるいはヒドロキシル基などの荷電性の
反応性基が備えられているが、そのような反応性基を持
たない固相担体には、前述のように、シランカップリン
グ剤による表面処理、あるいはアミノ基などの反応性基
を側鎖に有するポリマーなどを固相担体の表面に塗布被
覆する方法を利用して、反応性基の導入が行なわれる。
【0045】上記のような表面処理が予め施された固相
担体の市販品の例としては、PLL(シグマ社、ポリ−
L−リジンコート)、CMT−GAPS(コーニング
社、アミノシランコート)、MAS(松浪ガラス株式会
社、アミノシランコート)、シラネイト(グライナー
社、ポリシランコート)、シラネイト(テレケム、ポリ
シランコート)、DNA−Ready Type 1ま
たは2スライド(クローンテック社、アミノシランコー
ト)、シリレイト(グライナー社、シランアルデヒドコ
ート)、シリレイト(テレケム社、シランアルデヒドコ
ート)、そして3D−Link(サーモテックス社、活
性化カルボン酸処理)などを挙げることができる。
【0046】本発明のブロック処理対象の代表的な共有
結合タイプの検出具は、荷電性反応性基を備えた固相担
体[第1図の(I)]にジビニルスルホン化合物などの
ような二官能性化合物を接触させることによって、先端
部もしくはその近傍にビニルスルホニル基を持つ連結基
を形成した反応性固相担体[第1図の(II)]を用いて
作成することができる。
【0047】上記の反応性固相担体は、予め表面に反応
性基を導入した固相担体を用意し、この固相担体と、こ
の担体表面に備えられた反応性基と反応して共有結合を
形成する反応性基を一方の端部もしくは端部附近に有
し、かつ他方の端部もしくは端部附近にビニルスルホニ
ル基もしくはビニルスルホニル基の反応性前駆体基を有
する化合物とを接触させることにより製造することがで
きる。
【0048】すなわち、反応性基を備えた固相担体は、
ジビニルスルホン化合物などの二官能性反応性化合物と
接触することによって、その反応性基と二官能性反応性
化合物とが反応し、共有結合が形成され、固相担体の反
応性基部分が延長され、その先端もしくは先端附近にビ
ニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基を持つ反
応性鎖が形成され、これにより反応性固相担体が得られ
る。
【0049】上記の反応性固相担体において、固相担体
表面に導入されるビニルスルホニル基もしくはその反応
性前駆体基と連結基との連結体は、下記の式(1)によ
り表わされるものであることが望ましい。
【0050】
【化3】−L−SO2−X −−− (1)
【0051】上記の式(1)において、Xは、−CR1
=CR23または−CHR1−CR23Y(反応性前駆
体基)を表わす。R1、R2およびR3は、それぞれ互い
に独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、あるいは炭
素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
数が7乃至26のアラルキル基を表わす。炭素原子数が
1乃至6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ヘキシル
基を挙げることができ、メチル基であることが特に好ま
しい。アリール基としては、フェニル基及びナフチル基
を挙げることができる。R1、R2及びR3は共に水素原
子であることが好ましい。
【0052】Yは、−OH、−OR0、−SH、NH3
NH20(但し、R0は、水素原子を除く、アルキル基
などの基である)などの求核試薬によって置換される
基、あるいは塩基によって「HY」として脱離する基を
表わし、その例としては、ハロゲン原子、−OSO2
11、−OCOR12、−OSO3M、あるいは四級ピリジ
ニウム基を表わす(R11は、炭素原子数が1乃至6のア
ルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、ある
いは炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基を表わし;R
12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基あるいは炭素
原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基を表わし;M
は、水素原子、アルカリ金属原子あるいはアンモニウム
基を表わす)を挙げることができる。
【0053】Lは、固相担体もしくは固相担体に結合し
ている連結基と、上記−SO2−X基とを連結している
二価もしくはそれ以上の連結基を表わす。ただし、Lは
単結合であってもよい。二価の連結基としては、炭素原
子数が1乃至6のアルキレン基、炭素原子数が3乃至1
6の脂肪族環基、炭素原子数が6乃至20のアリーレン
基、N、SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子
を1乃至3個含む炭素原子数が2乃至20の複素環基、
−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−SO3−、−
NR11−、−CO−およびこれらの組み合わせから群よ
り選ばれる基を一つあるいは複数個組み合わせてなる基
であることが好ましい。R11は、水素原子、炭素原子数
が1乃至15のアルキル基、炭素原子数が6乃至20の
アリール基、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルキル
基を有する炭素原子数が7乃至21のアラルキル基であ
ることが好ましく、水素原子もしくは炭素原子数が1乃
至6のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原
子、メチル基もしくはエチル基であることが特に好まし
い。Lが−NR11−、−SONR11−、−CONR
11−、−NR11COO−、および−NR11CONR11
からなる群より選ばれる基を二個以上組み合わせてなる
基である場合には、それらのR11同士が結合して環を形
成していてもよい。
【0054】R11のアルキル基、R11のアリール基、お
よびR11のアラルキル基は、置換基を持っていてもよ
い。このような置換基としては、水酸基、炭素原子数が
1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至6のアル
ケニル基、炭素原子数が2乃至7のカルバモイル基、炭
素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が2乃至
7のアラルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール
基、スルファモイル基(もしくはそのNa塩、K塩
等)、スルホ基(もしくはそのNa塩、K塩等)、カル
ボン酸基(もしくはそのNa塩、K塩等)、ハロゲン原
子、炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基、炭素原子
数が6乃至20のアリーレン基、スルホニル基、および
これらの組み合わせからなる群より選ばれる原子もしく
は基を挙げることができる。
【0055】Lとしては、上記式のアルキレン基の水素
原子が−SO2CH=CH2基によって置換されてなる基
も好ましい。
【0056】前記の式(1)で表わされるビニルスルホ
ニル基もしくは反応性前駆体基が共有結合により固定さ
れた固相担体を得るために利用される二官能反応性化合
物としては、下記の式(2)で表わされるジスルホン化
合物が有利に利用できる。
【0057】
【化4】X1−SO2−L2−SO2−X2 −−− (2)
【0058】[上記の式において、X1およびX2は互い
に独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR
23Y(反応性前駆体基)を表わし;R1、R2及びR3
は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6の
アルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及
び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素
原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ば
れる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−
OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピ
リジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を
表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、
炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数
が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃
至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わ
し;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および
炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる
群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ
金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる
原子もしくは基を表わし;そして、L2は連結基を表わ
す]。
【0059】すなわち、上記の式(2)で表わされるジ
スルホン化合物を、前記の固相担体と、例えば水性雰囲
気にて、接触させることによって、前記の反応性固相担
体を容易に製造することができる。
【0060】上記の式(2)で表わされるジスルホン化
合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタンを挙げることができる。
【0061】反応性固相担体の製造に使用するジスルホ
ン化合物の合成法については、たとえば、特公昭47−
2429号、同50−35807号、特開昭49−24
435号、同53−41551号、同59−18944
号等の各種公報に詳細が記載されている。
【0062】反応性固相担体(II)を利用して、DN
A、RNA、DNA断片、あるいはRNA断片などの天
然起源のポリヌクレオチドまたオリゴヌクレオチドの検
出固定のための検出具[一般にDNAチップと呼ばれて
いるもの、第1図の(III)]を作成するためには、前記
のように、反応性固相担体(II)を、その担体表面上の
ビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基と反応
して共有結合を形成するアミノ基などの反応性基(アミ
ノ基は水性媒体中で正に荷電する)を備えたヌクレオチ
ド誘導体もしくはその類縁体と接触させる方法が利用さ
れる。すなわち、このようにして所望のヌクレオチド誘
導体もしくはその類縁体からなるプローブ分子を備えた
検出具(いわゆるDNAチップ)を作成することができ
る。
【0063】固相基板表面に共有結合を介して結合され
たビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基は、
加水分解に対して高い抵抗性を有しているため、容易に
安定に保存することができ、また、アミノ基を予め備え
ているか、あるいはアミノ基などの反応性基が導入され
ているかヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体の反応
性基と迅速に反応して、安定な共有結合を形成すること
ができる。
【0064】プローブ分子として用いるヌクレオチド誘
導体もしくはその類縁体の代表例としては、オリゴヌク
レオチド、ポリヌクレオチド、そしてペプチド核酸を挙
げることができる。これらのヌクレオチド誘導体もしく
はその類縁体としては、天然起源のもの(DNA、DN
A断片、RNA、あるいはRNA断片など)であっても
よく、あるいは合成化合物であってもよい。また、ヌク
レオチド誘導体もしくはその類縁体としては、その糖単
位部分に架橋基を有するLNAと呼ばれる化合物(J. A
m. Chem. Soc. 1998, 120, 13252-13253に記載)などの
各種の類縁化合物が含まれる。
【0065】プローブ分子としてDNA断片を用いる場
合は、目的によって二通りに分けることができる。遺伝
子の発現を調べるためには、cDNA、cDNAの一
部、EST等のポリヌクレオチドを使用することが好ま
しい。これらのポリヌクレオチドは、その機能が未知で
あってもよいが、一般的にはデータベースに登録された
配列を基にしてcDNAのライブラリー、ゲノムのライ
ブラリーあるいは全ゲノムをテンプレートとしてPCR
法によって増幅して調製する(以下、「PCR産物」と
いう)。PCR法によって増幅しないものも、好ましく
使用することができる。また、遺伝子の変異や多型を調
べるには、標準となる既知の配列をもとにして、変異や
多型に対応する種々のオリゴヌクレオチドを合成し、こ
れを使用することが好ましい。さらに、塩基配列の分析
を目的とする場合、4n(nは、塩基の長さ)種のオリ
ゴヌクレオチドを合成して、それらを使用することが好
ましい。DNA断片の塩基配列は、一般的な塩基配列決
定法によって予めその配列が決定されていることが好ま
しい。DNA断片は、2乃至50量体であることが好ま
しく、10乃至25量体であることが特に好ましい。
【0066】オリゴヌクレオチドやDNA断片などのヌ
クレオチド誘導体もしくはその類縁体の一方の末端に
は、前記のビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆
体基と反応して共有結合を形成する反応性基を導入す
る。このような反応性基は、アミノ基、イミノ基、ヒド
ラジノ基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基、
もしくはカルボキシイミド基であることが好ましく、ア
ミノ基であることが特に好ましい。オリゴヌクレオチド
やDNA断片には、通常、クロスリンカーを介してこれ
らの反応性基が結合される。クロスリンカーとしては、
たとえば、アルキレン基あるいはN−アルキルアミノ−
アルキレン基が利用されるが、ヘキシレン基あるいはN
−メチルアミノ−ヘキシレン基であることが好ましく、
ヘキシレン基であることが特に好ましい。なお、ペプチ
ド核酸(PNA)はアミノ基を有しているため、通常
は、改めて別に反応性基を導入する必要はない。
【0067】なお、共有結合タイプのDNAチップの製
造に利用される二官能化合物(三官能以上の化合物であ
ってもよい)は、上記のジビニルスルホン化合物に限ら
れるものではないことは勿論である。
【0068】前記のように、本発明のブロック処理は、
静電結合によりプローブ分子が結合したタイプのDNA
チップに対しても利用可能である。この静電結合により
プローブ分子が結合したDNAチップの代表例として
は、アミノ基が表面に導入された固相担体に、リン酸基
を有するDNA断片プローブを水性媒体の存在下に接触
させて、アミノ基の正の電荷とリン酸基の負の電荷を利
用して静電結合させたものを挙げることができる。
【0069】本発明のブロック処理に用いるブロッキン
グ剤組成物は、共有結合タイプの検出具の処理について
は、検出具の固相担体の表面に導入された荷電性の反応
性基が水性媒体中で示す電荷と逆側の電荷を水性媒体中
で示す荷電性化合物、そしてその荷電性の反応基の上に
連結基を介して延びた反応性基と反応して、後者の反応
性基を不活性化する化合物とを含むものである。これら
の化合物は同時のブロッキング処理のために予め混合し
て得た水性組成物として使用してもよく、あるいはそれ
ぞれ単独の水溶液として使用してもよい。また、これら
のブロッキング剤を含む水溶液には陰イオン界面活性剤
などの界面活性剤を添加することが好ましい。
【0070】具体的には、固相担体の表面に荷電性の反
応性基としてアミノ基を導入し、連結基の先端附近に備
えられた反応性基がビニルスルホニル基である場合に
は、ブロッキング処理のための荷電性化合物は、デキス
トラン硫酸、スルホニル基を有するムコ多糖類、スルホ
ニル基を有するタウリン、カルボキシル基を有するポリ
ペプチド、カルボキシル基を有する多糖類などの酸性基
を有する高分子量の化合物が好ましく利用でき、反応性
基を不活性化する化合物としては、アミノ基、メルカプ
ト基、ヒドロキシル基などの活性水素を有する化合物
(例、グリシン)が好ましく利用できる。グリシンは、
上記のブロック処理において緩衝剤としても機能するた
め好ましい。また、界面活性剤としては、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸エステル塩、スルホコ
ハク酸オクチルエステル塩、ステアリン酸石けんなどの
陰イオン(アニオン)性界面活性剤、ノニルフェノー
ル、ラウリルアルコール、ポリエチレングリコールなど
の非イオン(ノニオン)性界面活性剤、そしてセチルピ
リジニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアン
モニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライドのような陽イオン(カチオン)界面活性剤
が、利用するブロック処理のイオン雰囲気を考慮して、
任意に選ばれる。
【0071】静電結合タイプの検出具の処理に用いるブ
ロッキング剤組成物は、検出具の固相担体の表面に導入
された荷電性基が水性媒体中で示す電荷と逆側の電荷を
水性媒体中で示す荷電性化合物を含むものである。ブロ
ッキング剤を含む水溶液には上記のような界面活性剤を
添加することが好ましい。
【0072】具体的には、固相担体の表面に荷電性基と
して水性媒体中で正に荷電するアミノ基を導入してある
場合には、ブロッキング処理のための荷電性化合物は、
デキストラン硫酸、スルホニル基を有するムコ多糖類、
スルホニル基を有するタウリン、カルボキシル基を有す
るポリペプチド、カルボキシル基を有する多糖類などの
酸性基を有する高分子量の化合物が好ましく利用でき
る。なお、このブロック処理において緩衝剤として機能
するグリシンなどの緩衝性化合物を添加することも好ま
しい。従って、共有結合タイプのDNAチップのブロッ
ク処理に用いられる前述のブロッキング剤組成物を、こ
の静電結合タイプのDNAチップのブロック処理に用い
ることもできる。
【0073】本発明のブロック処理を施した検出具を用
いての試料分子の検出は、公知のDNAチップを用いて
の相補性核酸断片試料の検出と同様な操作を行なうこと
によって、実施できる。
【0074】核酸断片試料としては、通常、その配列や
機能が未知であるDNA断片試料あるいはRNA断片試
料などの核酸断片試料が用いられる。
【0075】核酸断片試料は、遺伝子発現を調べる目的
では、真核生物の細胞や組織サンプルから単離すること
が好ましい。試料がゲノムならば、赤血球を除く任意の
組織サンプルから単離することが好ましい。赤血球を除
く任意の組織は、抹消血液リンパ球、皮膚、毛髪、精液
等であることが好ましい。試料がmRNAならば、mR
NAが発現される組織サンプルから抽出することが好ま
しい。mRNAは、逆転写反応により標識dNTP
(「dNTP」は、塩基がアデニン(A)、シトシン
(C)、グアニン(G)もしくはチミン(T)であるデ
オキシリボヌクレオチドを意味する。)を取り込ませて
標識cDNAとすることが好ましい。dNTPとして
は、化学的な安定性のため、dCTPを用いることが好
ましい。一回のハイブリダイゼーションに必要なmRN
A量は、点着する液量や標識方法によって異なるが、数
μg以下である。なお、ヌクレオチド誘導体もしくはそ
の類縁体固定固相担体上のDNA断片がオリゴDNAで
ある場合には、核酸断片試料は低分子化しておくことが
望ましい。原核生物の細胞では、mRNAの選択的な抽
出が困難なため、全RNAを標識することが好ましい。
【0076】核酸断片試料は、遺伝子の変異や多型を調
べる目的では、標識プライマーもしくは標識dNTPを
含む反応系において標的領域のPCRを行なって得るこ
とが好ましい。
【0077】核酸断片試料は通常、ハイブリダイゼーシ
ョンにより結合固定された試料の検出を可能にするため
に各種の標識がなされる。標識方法としては、RI法と
非RI法(蛍光法、ビオチン法、化学発光法等)とが知
られているが、本発明では蛍光法を用いることが好まし
い。蛍光標識に利用される蛍光物質としては、核酸の塩
基部分と結合できるものであれば何れも用いることがで
きるが、シアニン色素(例えば、市販のCyDyeシリ
ーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、N−
アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレン(AA
F)あるいはAAIF(AAFのヨウ素誘導体)を使用
することができる。
【0078】ハイブリダイゼーションは通常、96穴も
しくは384穴プラスチックプレートに分注しておい
た、標識した核酸断片試料が溶解あるいは分散してなる
水性液を、プローブ分子を固定した固相担体(検出具)
の表面に点着することによって実施する。点着量は通
常、1乃至100nLの範囲にある。ハイブリダイゼー
ションは通常、室温乃至70℃の温度範囲で、そして6
乃至20時間の範囲で実施する。ハイブリダイゼーショ
ンの終了後は、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用い
て洗浄を行い、未反応の核酸断片試料を除去する。界面
活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が
通常用いられる。緩衝液としては、クエン酸緩衝液、リ
ン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝
液等が通常用いられる。
【0079】
【実施例】[実施例1]共有結合タイプのDNAチップ
のブロック処理(1)
【0080】(1)ビニルスルホニル基が導入された基
板の作成 2重量%アミノプロピルエトキシシラン(信越化学工業
(株)製)のエタノール溶液に、スライドガラス(25
mm×75mm)を10分間浸漬した後、これを取り出
し、エタノールで洗浄した後、110℃で10分間乾燥
して、シラン化合物被覆スライドを作成した。次に、こ
のシラン化合物被覆スライドの表面に、5重量%1,2
−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンのリン
酸緩衝液(pH8.5)溶液をスポットし、1時間経過
後、アセトニトリルで洗浄し、減圧下にて1時間乾燥
し、表面にビニルスルホニル基がスポット状に導入され
た反応性基板を得た。
【0081】(2)共有結合タイプのDNAチップの作
成 二本鎖DNA(454bp)の一方の鎖の5’末端がア
ミノ基で修飾されているDNA断片(プローブ分子)を
減菌水に分散して調製した水性分散液(1×10-6M)
を、上記(1)で得た反応性基板に点着し、調湿下で一
晩放置することにより、プローブ分子を反応性基板の表
面に共有結合により結合固定させて、プローブ分子が共
有結合によりアレイ状に結合固定されたDNAチップを
得た。
【0082】(3)ブロック処理 上記(2)で得られたDNAチップについて、下記のブ
ロッキング剤溶液のいずれかに30分間浸漬するブロッ
ク処理を行なった。 A:市販のデンハルト溶液を10倍に希釈した水溶液 B:グリシン水溶液[0.1Mグリシン+0.1MNa
Cl(pH8.5)] C:本発明ブロッキング剤水溶液[0.1Mグリシン、
0.1M塩化ナトリウム(pH8.5)、0.2%SD
S(ドデシル硫酸ナトリウム)、2%デキストラン硫
酸] DNAチップは、上記のブロッキング剤水溶液でブロッ
ク処理を行なった後、95℃、3分間の加熱処理を行な
い、次いで、冷エタノール中に3分間浸漬し、次いで乾
燥した。
【0083】(4)試料分子固定操作(ハイブリダイゼ
ーション) 一方の鎖の5’末端が蛍光標識(FluoroLink
Cy5、アマシャム・ファルマシア・バイオテク社
製)で標識された454bpの試料DNAをハイブリダ
イゼーション用水溶液(5×SSC溶液+0.5重量%
SDS)50μLに分散した水性液を、上記(2)で作
成し、上記(3)でブロック処理したDNAチップのそ
れぞれの表面に点着し、該表面を顕微鏡用カバーガラス
で覆ったのち、調湿されたチャンバー内で60℃、20
時間のインキュベートを行なった。インキュベートした
DNAチップを、室温での0.1重量%と2×SSC混
合水溶液による洗浄、37℃での0.1重量%と0.2
×SSC混合水溶液による洗浄、ついで室温での0.2
×SSC水溶液による洗浄からなる一連の洗浄操作にか
けた。洗浄処理したDNAチップは、ついで600rp
m、20秒間の遠心操作にかけた後、室温で乾燥した。
【0084】(5)DNAチップ表面の蛍光法による測
定 上記(4)のハイブリダイゼーション処理され各DNA
チップの表面に固定された試料分子の分布を蛍光法を利
用して調べ、また各DNAチップのバックグラウンド蛍
光強度を測定した。
【0085】(6)測定結果 各DNAチップの表面に固定された試料分子の分布を示
す蛍光強度像を添付図面の第3図に示す。各DNAチッ
プのバックグラウンド蛍光強度は次の通りである。 A(デンハルト溶液希釈液によるブロック処理):15
000 B(グリシン水溶液によるブロック処理):12000 C(本発明ブロッキング剤水溶液によるブロック処
理):3500 上記の結果から、本発明のブロッキング剤水溶液を用い
るブロック処理によって、バックグラウンド蛍光強度が
大きく低下し、またハイブリダイゼーションに対応する
スポットの形状の乱れが顕著に少なくなっていることが
分る。
【0086】[実施例2]共有結合タイプのDNAチッ
プのブロック処理(2) (1)共有結合タイプのDNAチップの作成 実施例1の(1)と(2)に記載の方法と同一の方法に
より、プローブ分子が共有結合によりアレイ状に結合固
定されたDNAチップを得た。
【0087】(2)ブロック処理 上記(1)で得られたDNAチップについて、下記のブ
ロッキング剤溶液のいずれかに30分間浸漬するブロッ
ク処理を行なった。 Dグリシン/界面活性剤水溶液[0.1Mグリシン+
0.1MNaCl(pH8.5)+SDS0.2%] E:グリシン水溶液[0.1Mグリシン+0.1MNa
Cl(pH8.5)] F:本発明ブロッキング剤水溶液[0.1Mグリシン、
0.1M塩化ナトリウム(pH8.5)、0.2%SD
S(ドデシル硫酸ナトリウム)、2%デキストラン硫
酸] DNAチップは、上記のブロッキング剤水溶液でブロッ
ク処理を行なった後、95℃、3分間の加熱処理を行な
い、次いで、冷エタノール中に3分間浸漬し、次いで乾
燥した。
【0088】(3)試料分子固定操作(ハイブリダイゼ
ーション) 実施例1の(4)に記載された方法と同一の方法によ
り、ハイブリダイゼーションを行なった。
【0089】(4)DNAチップ表面の蛍光法による測
定 上記(3)のハイブリダイゼーション処理され各DNA
チップの表面に固定された試料分子の分布を蛍光法を利
用して調べ、また各DNAチップのバックグラウンド蛍
光強度を測定した。
【0090】(5)測定結果 各DNAチップの表面に固定された試料分子の分布を示
す蛍光強度像を添付図面の第4図に示す。各DNAチッ
プのバックグラウンド蛍光強度は次の通りである。 D(グリシン/界面活性剤水溶液によるブロック処
理):7500 E(グリシン水溶液によるブロック処理):14000 F(本発明ブロッキング剤水溶液によるブロック処
理):3000 上記の結果から、本発明のブロッキング剤水溶液を用い
るブロック処理によって、バックグラウンド蛍光強度が
大きく低下し、またハイブリダイゼーションに対応する
スポットの形状の乱れが顕著に少なくなっていることが
分る。
【0091】[実施例3]静電結合タイプのDNAチッ
プのブロック処理
【0092】(1)静電結合タイプのDNAチップの作
成 二本鎖DNA(454bp)の一方の鎖の5’末端がア
ミノ基で修飾されているDNA断片(プローブ分子)を
減菌水に分散して調製した水性分散液(1×10-6M)
を、DNAマイクロアレイ用シランコートスライド(コ
ーニング社製、CMT−GAPS)に点着し、80℃、
1時間の加熱処理を施したのち、120mJの紫外線照
射処理を行なって、プローブ分子が静電結合によりアレ
イ状に結合固定されたDNAチップを得た。
【0093】(2)ブロック処理 上記(1)で得られたDNAチップについて、下記のブ
ロッキング剤溶液のいずれかに30分間浸漬するブロッ
ク処理を行なった。 G:市販のデンハルト溶液を10倍に希釈した水溶液 H:無水コハク酸水溶液(1−メチル−2−ピロリドン
35mL、0.01Mホウ酸(pH8.0)、そして無
水コハク酸5gを、水315mLに溶解して得た水溶
液) I:本発明ブロッキング剤水溶液(0.1Mグリシン、
0.1M塩化ナトリウム(pH8.5)、0.2%SD
S(ドデシル硫酸ナトリウム)、2%デキストラン硫
酸) DNAチップは、上記のブロッキング剤水溶液でブロッ
ク処理を行なった後、95℃、3分間の加熱処理を行な
い、次いで、冷エタノール中に3分間浸漬し、次いで乾
燥した。
【0094】(3)試料分子固定操作(ハイブリダイゼ
ーション) 実施例1の(4)に記載された方法と同一の方法によ
り、ハイブリダイゼーションを行なった。
【0095】(4)DNAチップ表面の蛍光法による測
定 上記(3)のハイブリダイゼーション処理され各DNA
チップの表面に固定された試料分子の分布を蛍光法を利
用して調べ、また各DNAチップのバックグラウンド蛍
光強度を測定した。
【0096】(5)測定結果 各DNAチップの表面に固定された試料分子の分布を示
す蛍光強度像を添付図面の第5図に示す。各DNAチッ
プのバックグラウンド蛍光強度は次の通りである。 G(デンハルト溶液希釈液によるブロック処理):80
00 H(無水コハク酸水溶液によるブロック処理):450
0 I(本発明ブロッキング剤水溶液によるブロック処
理):2500 上記の結果から、本発明のブロッキング剤水溶液を用い
るブロック処理によって、バックグラウンド蛍光強度が
大きく低下し、またハイブリダイゼーションに対応する
スポットの形状の乱れが顕著に少なくなっていることが
分る。
【0097】
【発明の効果】本発明のブロック処理が施されたDNA
チップなどの検出具は、従来のブロッキング剤を用いて
ブロック処理された検出具に比べて、ブロック処理が施
された検出具を用いて行なわれる検出操作の検出感度や
検出精度などの検出特性が顕著に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】共有結合によりプローブ分子が固定されたDN
Aチップについての本発明のブロック処理の原理を示す
模式図である。
【図2】静電結合によりプローブ分子が固定されたDN
Aチップについての本発明のブロック処理の原理を示す
模式図である。
【図3】実施例1のハイブリダイゼーション操作の結果
を示すDNAチップ模式図である。
【図4】実施例2のハイブリダイゼーション操作の結果
を示すDNAチップ模式図である。
【図5】実施例2のハイブリダイゼーション操作の結果
を示すDNAチップ模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/543 575 G01N 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 F (72)発明者 瀬志本 修 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA09 HA14 HA19

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固相担体の表面に備えられた一群の正に
    荷電性の反応性基Xに、一方の端部もしくはその近傍に
    該反応性基Xと反応して共有結合を形成する反応性基E
    を持ち、他方の端部もしくはその近傍に反応性基Eと同
    一もしくは異なる反応性基Gを有する化合物を反応させ
    ることにより作成した、先端部もしくはその近傍に反応
    性基Gを有する一群の反応性連結基を備えた反応性固相
    担体に、該反応性基Gと反応して共有結合を形成する反
    応性基Qを一方の端部もしくはその近傍に持つ一群のプ
    ローブ分子を接触させることによって、該反応性基Qと
    反応性基Gとの反応により生成する共有結合を介して、
    連結基にプローブ分子を結合させることにより製造し
    た、該プローブ分子に特異的に結合する試料分子を結合
    固定するための試料分子の検出具の検出特性を向上させ
    る方法であって、該検出具に対して、水性媒体中で負の
    荷電性を示す荷電性化合物と接触させる処理、及び反応
    性基Gと反応して、その反応性基Gを不活性化する化合
    物を接触させる処理とを含むブロック処理を水性媒体の
    存在下にて施し、次いで洗浄処理を施すことからなる方
    法。
  2. 【請求項2】 検出具のブロック処理の際に用いる水性
    媒体に界面活性剤が含まれている請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤が陰イオン性界面活性剤であ
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 荷電性の反応性基Xがアミノ基であっ
    て、ブロック処理に用いる荷電化合物がデキストラン硫
    酸である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 反応性基Eがエチレン性不飽和基である
    請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 反応性基Eが下記の式で表わされるビニ
    ルスルホニル基もしくはその誘導体である請求項1に記
    載の方法: 【化1】−SO2−CR1=CR23 [上記式において、R1、R2及びR3は、互いに独立
    に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭
    素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数が
    1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至
    26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしく
    は基を表わし;そして、Lは、正負のうちの少なくとも
    一方の電荷を持つ部位を有する連結基を表わす]。
  7. 【請求項7】 反応性基Gがエチレン性不飽和基である
    請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 反応性基Gが下記の式で表わされるビニ
    ルスルホニル基もしくはその誘導体である請求項1に記
    載の方法: 【化2】−SO2−CR1=CR23 [上記式において、R1、R2及びR3は、互いに独立
    に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭
    素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数が
    1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至
    26のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしく
    は基を表わし;そして、Lは、正負のうちの少なくとも
    一方の電荷を持つ部位を有する連結基を表わす]。
  9. 【請求項9】 反応性基Qがアミノ基もしくはメルカプ
    ト基である請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 反応性基Gと反応して、その反応性基
    Gを不活性化する化合物がアミノ基含有化合物である請
    求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 アミノ基含有化合物がグリシンである
    請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記プローブ分子が、オリゴヌクレオ
    チド、ポリヌクレオチド、およびペプチド核酸からなる
    群から選ばれるヌクレオチド誘導体もしくはその類縁体
    である請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 試料分子が、蛍光標識を備えた核酸断
    片である請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 蛍光標識が水性媒体中で負の電荷を示
    す蛍光標識である請求項14に記載の方法。
  15. 【請求項15】 正の電荷を示すアミノ基含有化合物、
    負の荷電性を示す荷電性化合物、そして陰イオン性界面
    活性剤が水性媒体に溶解されてなる水性組成物。
  16. 【請求項16】 正の電荷を示すアミノ基含有化合物が
    グリシンであり、負の荷電性を示す荷電性化合物がデキ
    ストラン硫酸である請求項15に記載の水性組成物。
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