JP2003322956A - ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法 - Google Patents
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法Info
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Abstract
光波長、レジスト描画波長、及び検査波長等の推移に伴
う再設計を適切かつ迅速に行えるようにするべく、遮光
膜の反射率波長依存性を容易にかつ正確に調整できる技
術を提供する。 【解決手段】 透明基板1上に、露光光に対して所定の
透過率及び位相シフト量を有する半透光膜2と、この半
透光膜2上に形成された遮光膜3とを有するハーフトー
ン型位相シフトマスクブランクにおける遮光膜3の反射
率波長依存性の調整方法であって、遮光膜3の最上層部
分を、クロム、炭素、酸素、及び窒素を含有してなる反
射率調整部3aとし、この反射率調整部3aにおける窒
素の含有率によって、遮光膜3全体としての反射率波長
依存性を調整する。
Description
相シフトマスク及びその素材として用いられるハーフト
ーン型位相シフトマスクブランクと、それらの製造方法
とに関する。
に代表される所謂ハーフトーン型位相シフトマスクがあ
る。このハーフトーン型位相シフトマスクは、半透光膜
パターンにおいて、露光光の位相をシフトさせる機能
と、該露光光を実質的に遮る機能とを兼ねるので構成が
簡素で済むという特徴を有していた。ところが、この種
のハーフトーン型位相シフトマスクにあっては、縮小露
光投影装置(ステッパ)のマスク(レチクル)として繰り返
し使用した場合に、被覆部材(アパーチャ)の光透過領域
とレチクルの転写領域とのズレ等に起因して、本来なら
露光されるべきでない領域において、実質的に露光され
たのと同等の現象が起こり、パターン欠陥その他の不都
合が生じ易いという問題を生じていた。
人によって既に出願されている(特許文献2等参照)。こ
れらの技術によるハーフトーン型位相シフトマスクは、
位相シフト膜(半透光膜)パターンに加え、クロムを主成
分とする遮光膜パターン(遮光帯)を、転写領域の外周部
に更に備えており、ステッパのレチクルとして繰り返し
使用された場合でも、露光されるべきでない領域を該遮
光膜パターンによって確実に遮光できるという効果を奏
するものであった。
ーンの光透過性に基づく悪影響を防止するために、例え
ば特許文献3に記載されているように転写領域内におけ
る半透光膜パターンの位相シフト効果に寄与しない領域
に遮光膜パターンを形成したものも知られている。
おいては、半透光膜パターン内に不要な光強度ピーク
(サイドロープ光)が現れることが知られている。特に、
近年においては、半透光膜の透過率が従来主流であった
6%付近から9%付近、さらには15%付近へ高透過率
化する傾向にある。その場合、サイドロープ光の光強度
が大きくなるため、その影響が無視できなくなる。そこ
で、転写領域内の半透光膜パターン上における、少なく
とも位相シフト効果に影響を与えず、かつサイドロープ
光の光強度を低減するような位置に遮光膜パターンを形
成した構成のハーフトーン型位相シフトマスクの必要性
が高まっている。
スクを用いてパターン転写を行うとき、遮光膜パターン
の表面で露光光の反射が起こると、迷光の発生によって
パターンの転写精度が悪化してしまう。そこで、該迷光
の発生を防止するべく、遮光膜(遮光膜パターン)の表面
に、CrON、CrO、或いはCrFといった材料から
なる反射防止膜を設けたハーフトーン型位相シフトマス
クも知られている(例えば、特許文献4参照)。
図)
ン型位相シフトマスクを使用する際の露光光としては、
現在i線(波長365[nm])或いは、KrFエキシマレー
ザ(波長248[nm])が主流であるが、目下それらよりも
波長の短いArFエキシマレーザ(波長193[nm])、或
いはF2エキシマレーザ(波長157[nm])へと推移しつ
つある。そして、露光光の波長(以下、露光波長とい
う。)の推移に関連して、次の問題が生じることにな
る。
その波長に適合するようハーフトーン型位相シフトマス
クを設計し直さなければならないということである。特
に、膜の反射率は必ずしも全ての波長において一定とい
う訳ではないので、推移後の露光光に対して有効な反射
防止機能を発揮させるべく、反射防止膜を含む遮光膜の
再設計が必要である。
足する条件に遮光膜を設計するのが理想である。 nd=λ/4 ここで、λは露光光の波長であり、nは波長λにおける
膜材料の屈折率であり、dは膜厚である。このように、
遮光膜の設計においては、膜材料の組成の選択は勿論、
膜厚も該組成においてその値であることが極めて重要な
意義をもつ。つまり、遮光膜の反射特性は、その組成や
膜厚等さまざまな要素が絡み合って決定付けられるもの
であり、全ての要素を考慮しながら最適な設計条件を見
出すのは必ずしも容易でない。
対する反射防止機能だけではない。例えば、半透光膜パ
ターン上に遮光膜パターンを具備するタイプのハーフト
ーン型位相シフトマスクにおいて、これを製作する過程
で、ブランクスの遮光膜上にレジストを塗布し、そのレ
ジストに対して所望パターンを描画する際にレーザ描画
を用いる場合は、遮光膜が描画用レーザ光に対しても有
効な反射防止機能を発揮することが望まれる。
反射を起こすと、レジストパターンひいては、これをマ
スクとして形成される遮光膜パターン及びその下層の半
透光膜パターンをも高精度に形成できなくなるからであ
る。尚、レーザ描画装置における描画用レーザ光として
は、波長が365[nm]のものが実用化されているが、該
レーザ光も露光光と同様に、目下短波長化する傾向にあ
る。
反射防止機能を発揮するだけでは足りず、描画用レーザ
光に対しても所定の反射防止機能を発揮する必要があ
る。従って、場合によっては露光波長及び描画用レーザ
光の波長(以下、レジスト描画波長という。)の少なくと
も何れか一方が推移するたび毎に、遮光膜を設計し直さ
ねばならないが、上式を満しかつレジスト描画波長との
兼ね合いをも考慮した最適な設計条件を見出すのは極め
て困難であった。
ば、より微細なパターンを転写し得るようになるが、こ
れに伴ってマスクの検査をさらに厳しく行わねばならな
いということである。即ち、ハーフトーン型位相シフト
マスクにおいては、ブランクスの遮光膜をパターニング
した際に、その遮光膜パターンにピンホールが形成され
てしまったり、或いは遮光膜が余剰に残ってしまうこと
等によって、欠陥が生じることがある。そのため、マス
ク製造の最終段階で検査を行い、そのような欠陥を有す
るマスクを除外することとしている。
けて2種類のものが知られている。一つは、透明基板上
の被検査膜パターンに検査光を照射したときの透過光強
度に基づいて、該被検査膜パターンの欠陥を検出する装
置(例えば、米国KLA-Tencor社製のKLA-300シリーズ等)
である。もう一つは、透明基板上の被検査膜パターンに
検査光を照射したときの反射光又は、反射光及び透過光
の双方の強度に基づいて、主として被検査膜に付着した
異物を検出する装置(例えば、米国KLA-Tencor社製のSTA
Rlight等)である。
開示されてあるタイプのハーフトーン型位相シフトマス
クの検査には適用し得るが、半透光膜パターンの上に遮
光膜パターンを具備するタイプのハーフトーン型位相シ
フトマスクの検査には不適である。というのも、透過光
を利用する該装置においては、実質的に露光に寄与しな
い半透光膜パターンの透過率を略0%と認識してしまう
ので、透明基板(透過率100%)と半透光膜パターンと
を識別できても、該半透光膜パターンとその上に形成さ
れた遮光膜パターン(透過率0%)とを識別できないから
である。
フトマスクの検査には、後者の装置を用いることにな
る。該装置においては、原理上、少なくとも半透光膜パ
ターンと遮光膜パターンとの反射率が異なっていれば、
遮光膜パターンの欠陥等を検出できる。さらに、転写領
域内に所定の遮光膜パターンを有するマスクの遮光膜パ
ターン欠陥検査においては、半透光膜パターンとの反射
率差は必須となる。しかしながら、露光光の短波長化に
伴って、より微細なパターンを形成する場合には、欠陥
或いは異物の発見率が低下してしまうことは避けられな
いものと考えられる。
しく行えるようにするために両者の反射率差を積極的に
所定以上にすることが考えられる。ところが、その実現
には、次のような困難性がある。即ち、その場合、前述
した問題との関係上、遮光膜(遮光膜パターン)が、少な
くとも露光光及び描画用レーザ光に対しては、反射防止
機能を発揮しながら、検査光に対しては、半透光膜(半
透光膜パターン)との関係で所定の反射率差を示さねば
ならないこととなる。さらに、反射を用いた検査には検
査光を検出可能な反射率の上限もあり、通常は40%以
下、好ましくは30%以下であり、遮光膜設計の困難さ
を一層深刻化させることになってしまう。
いう。)も露光波長の推移に追随して変遷する傾向にあ
る。具体的には、検査光としては、一世代前の露光光と
同一の波長を有するものが採用される傾向にある。つま
り現在では、検査光としてg線(波長488[nm])が主流
であるが、目下検査波長は365[nm]、266[nm]、2
57[nm]へと推移しつつある。そうすると、場合によっ
ては、検査波長の推移によっても遮光膜を設計し直さね
ばならないこととなり、到底その煩に堪え難きものとな
る。
には反射光を用いた検査が行われており、目下波長48
8[nm]の検査光が用いられており、この波長にも対応す
る必要がある。さらにまた、遮光膜パターンは半透光膜
のエッチングマスクとして用いられているのが一般的で
あるが、近年におけるパターンの微細化に伴い、高解像
度で遮光膜パターンを形成するために、遮光膜の薄膜化
も要求されつつあり、遮光膜の膜厚も考慮に入れる必要
があった。
トマスクにおける露光波長、レジスト描画波長、及び検
査波長等の推移に伴う再設計を適切かつ迅速に行えるよ
うにするべく、遮光膜の反射率波長依存性を容易にかつ
正確に調整できる技術を提供することを目的とする。
れば、透明基板上に、露光光に対して所定の透過率及び
位相シフト量を有する半透光膜と、この半透光膜上に形
成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シフトマ
スクブランクにおける前記遮光膜の反射率波長依存性を
調整する方法であって、前記遮光膜の最上層部分を、ク
ロム、炭素、酸素、及び窒素を含有してなる反射率調整
部とし、この反射率調整部における前記窒素の含有率に
よって、前記遮光膜全体としての反射率波長依存性を調
整することを特徴とする遮光膜の反射率波長依存性の調
整方法が提供される。
に、露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有
する半透光膜を形成する半透光膜形成工程と、該半透光
膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程とを有するハー
フトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法におい
て、前記遮光膜形成工程は、炭素、酸素、及び窒素を含
む雰囲気中で、クロムからなるターゲットを用いたスパ
ッタリング成膜を行うことにより、前記遮光膜の最上層
となる部分に反射率調整部を形成する反射率調整部形成
工程を有し、この反射率調整部形成工程では、前記雰囲
気中における窒素の分圧を、前記遮光膜が所望の反射率
波長依存性を有するものとなるときの値とすることを特
徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製
造方法が提供される。
おいて、前記炭素、酸素及び窒素を含む雰囲気が、二酸
化炭素(CO2)及び窒素(N2)を含む雰囲気であることを特
徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製
造方法が提供される。
に、露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有
する半透光膜と、この半透光膜上に形成された遮光膜と
を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにお
いて、前記遮光膜の最上層部分が、クロム、炭素、酸
素、及び窒素を含有してなる反射率調整部とされ、前記
遮光膜表面の反射率が、露光光の波長及び遮光膜パター
ンを形成するためのレーザ描画装置のレーザ光の波長の
何れに対しても30%以下であることを特徴とするハー
フトーン型位相シフトマスクブランクが提供される。
おいて、検査光に対する前記透明基板、半透光膜、及び
遮光膜の各反射率が互いに3%以上相違することを特徴
とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供
される。
の態様によるハーフトーン型位相シフトマスクブランク
を用いて製造したことを特徴とするハーフトーン型位相
シフトマスクが提供される。
に、露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有
する半透光膜と、この半透光膜の上に形成された遮光膜
と、を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランク
において、前記遮光膜の最上層部分が、クロム、炭素、
酸素、及び窒素を含有してなる反射率調整部とされ、こ
の反射率調整部を含めた前記遮光膜全体の厚さが、60
[nm]以下とされていることを特徴とするハーフトーン型
位相シフトマスクブランクが提供される。
に、露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有
する半透光膜と、この半透光膜の上に形成された遮光膜
と、を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランク
において、前記遮光膜は、その前記半透光膜側に下地部
を有し、この下地部の上に反射率調整部を有するもので
あり、前記下地部は、酸素を含有しないか、又は酸素の
含有率が10原子%以下とされ、前記反射率調整部は、
酸素の含有率が20原子%以上とされていることを特徴
とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクが提供
される。
おいて、前記反射率調整部が、クロムを20〜50原子
%含有し、炭素を5〜20原子%含有し、酸素を20〜
50原子%含有し、かつ窒素を5〜40原子%含有して
なるものであることを特徴とするハーフトーン型位相シ
フトマスクブランクが提供される。
何れかの態様によるハーフトーン型位相シフトマスクブ
ランクを用いて形成されたハーフトーン型位相シフトマ
スクが提供される。
に、露光光に対して所定の透過率及び位相シフト量を有
する半透光膜パターンと、この半透光膜パターンの上に
形成された遮光膜パターンと、を有するハーフトーン型
位相シフトマスクにおいて、検査光に対する前記透明基
板、半透光膜パターン、及び遮光膜パターンの各反射率
が、当該検査光をこのマスクに照射した際の反射光に基
づいて、前記半透光膜パターン及び遮光膜パターンを検
出できる程度の相違を示すように構成されていることを
特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクが提供され
る。
波長を有し、例えば200[nm]よりも波長の長い光を用
いることができる。具体的には、検査光としては、波長
が364[nm]の光や、波長が257[nm]の光等を用いる
ことができる。
において、前記検査光に対しては、前記透明基板と前記
半透光膜パターンとの反射率の差、前記半透光膜パター
ンと前記遮光膜パターンとの反射率の差、及び前記透明
基板と前記遮光膜パターンとの反射率の差が何れも3%
以上となるように構成されていることを特徴とするハー
フトーン型位相シフトマスクも提供される。
ターンにおける反射率の波長依存性は、例えば当該各パ
ターンの材料及び膜厚によって制御することができる。
また前記半透光膜パターンとしては、露光光に対し、3
〜40%の透過率、及び略180°の位相シフト量を有
するものが好適である。
の態様において、前記露光光に対しては、前記透明基
板、半透光膜パターン、及び遮光膜パターンの各反射率
が何れも30%以下となるように構成されていることを
特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクが提供され
る。
の態様において、前記露光光が200[nm]以下の波長の
光であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマ
スクが提供される。より具体的には、前記露光光として
は、波長が193[nm]の光や、波長が157[nm]の光等
を用いることができる。
の態様において、前記遮光膜パターンが、転写領域内の
前記半透光膜パターン上に形成されていることを特徴と
するハーフトーン型位相シフトマスクが提供される。
の態様において、前記半透光膜パターンが8〜30%の
透過率を有するように構成されていることを特徴とする
ハーフトーン型位相シフトマスクが提供される。この第
16の態様のように、半透光膜パターンを高透過率化する
場合には、当該マスクの転写領域内にも前記遮光膜パタ
ーンを形成するのが好ましい。
の態様において、前記遮光膜パターンの最表側がクロム
と酸素とを含んで構成されていることを特徴とするハー
フトーン型位相シフトマスクが提供される。この第17の
態様においては、前記遮光膜パターンの最表側に、さら
に窒素を含有せしめてもよく、その場合は当該窒素の含
有量によって、前記遮光膜パターンにおける反射率の波
長依存性を制御できる。
ーンとの組み合わせにおいて、前記露光光に対し充分な
遮光性を発揮するように構成すればよい。従って、本発
明の第18の態様によれば、第11乃至17の態様において、
前記遮光膜パターンの膜厚が60[nm]以下とされている
ことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクが提
供される。
の態様において、前記露光光に対し、前記遮光膜パター
ンと前記半透光膜パターンとの積層膜の透過率が0.1
%以下であることを特徴とするハーフトーン型位相シフ
トマスクが提供される。
ハーフトーン型位相シフトマスクを製造する為の素材と
して用いられるハーフトーン型位相シフトマスクブラン
クも提供される。
素、酸素、及び窒素を選択した場合には、そのうち窒素
の含有率と、遮光膜の反射率波長依存性とが相関関係を
示す。また反射率調整部における窒素の含有率によっ
て、遮光膜の反射率波長依存性を調整できるところ、該
反射率波長依存性は、窒素の含有率によって極端に変化
するのではなく、徐々に変化するから、遮光膜の反射率
波長依存性を正確かつ容易に微調整できる。特に、スパ
ッタリングの際の反応性ガスとして、CO2とN2を用い、N
2の分圧を制御することにより、遮光膜の反射率波長依
存性を良好に制御できる。これにより、少なくとも露光
光及び描画用レーザ光に対しては、反射防止機能を発揮
しながら、検査光に対しては、半透光膜(半透光膜パタ
ーン)との関係で所定の反射率差を示す遮光膜を容易に
実現できる。
トーン型位相シフトマスクブランクの構成を示す断面概
略図である。このハーフトーン型位相シフトマスクブラ
ンクは、透光性を有する透明基板1と、この透明基板1上
に形成された半透光膜2と、この半透光膜2上に形成され
た遮光膜3とを有してなる。
率及び位相シフト量を有する。具体的には、半透光膜2
は、露光光に対して3〜40%の透過率及び略180°
の位相シフト量を有するものである。
下地部3bと、この下地部3b上の反射率調整部3aとからな
る。この遮光膜3は、半透光膜2と積層した場合に、露光
光に対して充分な遮光性を発揮するように構成されてい
る。
成するのが好ましいが、遮光膜3の全体又は一部を当該
膜厚方向に向かって組成が連続的に変化するように構成
する場合には、その連続膜の一部であってもよい。いず
れの場合においても、遮光膜膜3における反射率調整部3
aを除く部分が下地部3bとなる。
及び窒素からなる。このうち酸素の含有率は20原子%
以上である。詳細には、反射率調整部3aは、クロムを2
0〜50原子%含有し、炭素を5〜20原子%含有し、
酸素を20〜50原子%含有し、かつ窒素を5〜40原
子%含有する。
るものであり、薄い膜厚でありながら高い遮光機能を発
揮させるため、酸素の含有率を10原子%以下(ゼロを
含む。)としている。これにより、反射率調整部3aの構
成元素として、クロム炭素、酸素、及び窒素を採用しな
がら、遮光膜3全体の膜厚を60[nm]以下にできる。
クブランクの製造方法と、該ハーフトーン型位相シフト
マスクブランクを用いたハーフトーン型位相シフトマス
クの製造方法について具体的に説明する。
面研磨し、所定の洗浄を施すことにより、縦6インチ、
横6インチ、厚さ0.25インチの透明基板1を得た。
スパッタリング装置内にロードし、モリブデン(Mo)と
シリコン(Si)の混合ターゲット(Mo:Si=8:92
[mol%])を用いて、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、及び
酸素(O2)の混合ガス雰囲気(Ar流量=10[sccm],N
2流量=31[sccm],O2流量=5[sccm]、ガス圧力0.
50[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことによ
り、該透明基板1上に、膜厚74[nm]のMoSiON系
の半透光膜2を成膜した。その後、ホットプレート型ア
ニ−ル装置を用い、該半透光膜2に対して200℃にて
10分間熱処理を施した。こうして得られた半透光膜2
は、露光光に対する透過率が9%、位相シフト量(位相
角)が略180°であった。
おいて、クロムターゲットを用い、ArとN2との混合
ガス雰囲気(Ar流量=18.2[sccm],N2流量=7.
8[sccm]、ガス圧力0.04[Pa])中で、反応性スパッ
タリングを行うことにより、半透光膜2の上に、膜厚4
00[Å]のCrN(クロムと窒素を含むことを意味し、
それらの含有率を規定するものではない。以下、同
様。)からなる第1遮光膜31(図2(a)参照)を形成した。
このとき、スパッタリングパワーは1.5[kw]とした。
おいて、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしての
Arガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の
混合ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=17
[sccm],CO2流量=17[sccm])中で、反応性スパッタ
リングを行うことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚1
61[Å]のCrCON(クロム、炭素、酸素、及び窒素
を含むことを意味し、それらの含有率を規定するもので
はない。以下、同様。)からなる第2遮光膜32(図2(a)
参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1[kw]
とし、成膜時間は4.5分とした。尚、不活性ガスとし
ては、Arの他に、NeやKr等を用いることもでき
る。
トーン型位相シフトマスクブランクを得た。このハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクでは、第1遮光膜31
が下地部3bに相当し、第2遮光膜32が反射率調整部3aに
相当する。そして、これら第1遮光膜31と第2遮光膜32
とで遮光膜3を構成している。以下、このハーフトーン
型位相シフトマスクブランクを用いたハーフトーン型位
相シフトマスクの製造方法につき説明する。
ランクの遮光膜3の上に、ポジ型電子線レジスト(日本ゼ
オン社製:ZEP7000)4を、スピンコート法により膜厚が5
00[nm]となるよう塗布した(図2(a)参照)。
し、所望のパターンを電子線描画装置(ETEC社製;MEBES)
によって電子線描画し、現像して第1レジストパターン
41を形成した。そして、この第1レジストパターン41を
マスクにして、遮光膜3を、塩素と酸素を用いたドライ
エッチングによってパターニングすることにより、第1
遮光膜パターン311、及び第2遮光膜パターン321を形成
した(図2(b)参照)。
光膜パターン311、及び第2遮光膜パターン321をマスク
として、半透光膜2を、CF4/O2の混合ガスを用い、圧
力:0.4[Torr]、RFパワー:100[W]の条件でドライエッ
チングすることにより、半透光膜パターン21を形成した
(図2(c)参照)。
て第1段階までパターニングされてなるハーフトーン型
位相シフトマスクの中間生成体を得た(図2(d)参照)。
1350)5をスピンコート法により膜厚500[nm]となるよ
う塗布し、それをベークした。そして、転写領域外周部
の遮光帯、及び転写領域内の半透光膜パターン上の遮光
膜パターンとなるプログラムをレーザ描画装置(ETEC社
製;ALTA3000,レーザ波長:365[nm])にて重ねて露光
した(図2(e)参照)。そして、露光されたフォトレジス
ト5を現像して第2レジストパターン51を形成した(図2
(f))。
にして、第1遮光膜パターン311、及び第2遮光膜パタ
ーン321を、硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸
よりなるエッチング液を用いて更にパターニングし、第
1遮光膜パターン3111、及び第2遮光膜パターン3211を
形成した(図2(g)参照)。
遮光膜パターン3211とで遮光膜パターンを構成する。こ
の遮光膜パターンは、平面視において、転写領域内にお
ける半透光膜パターン21の端部が露出するように形成さ
れている。これにより、マスクの転写領域内において
は、サイドロープ光を低減でき、かつ所望の位相シフト
効果を発揮できるようになる。
し、しかる後、所定の洗浄を施して実施例1によるハー
フトーン型位相シフトマスクを得た(図2(h)参照)。
率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、
実施例2のハーフトーン型位相シフトマスクブランクに
おいては、静止対向型スパッタリング装置にて、クロム
ターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原
料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気
(Ar流量=20[sccm],N2流量=21[sccm],CO2
流量=12[sccm])中で、反応性スパッタリングを行う
ことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚179[Å]のC
rCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、
スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は4.5分とし
た。この点以外は、実施例1と同様にして実施例2による
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに
上記と同様のパターニングを施して実施例2によるハー
フトーン型位相シフトマスクを得た。
率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、
実施例3のハーフトーン型位相シフトマスクブランクに
おいては、静止対向型スパッタリング装置にて、クロム
ターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原
料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、混合ガス雰囲気
(Ar流量=20[sccm],N2流量=23[sccm],CO2
流量=10[sccm])中で、反応性スパッタリングを行う
ことにより、第1遮光膜31の上に、膜厚163[Å]のC
rCONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、
スパッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は3.5分とし
た。この点以外は、実施例1と同様にして実施例3による
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに
上記と同様のパターニングを施して実施例3によるハー
フトーン型位相シフトマスクを得た。
率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、
実施例4のハーフトーン型位相シフトマスクブランクに
おいては、静止対向型スパッタリング装置にて、クロム
ターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原
料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気
(Ar流量=20[sccm],N2流量=24[sccm],CO2
流量=9[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うこ
とにより、第1遮光膜31の上に、膜厚159[Å]のCr
CONからなる第2遮光膜32を形成した。このとき、ス
パッタパワーは1[kw]とし、成膜時間は3分とした。こ
の点以外は、実験例1と同様にして実施例4によるハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクを得、それに上記と
同様のパターニングを施して実施例4によるハーフトー
ン型位相シフトマスクを得た。
率調整部3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフ
トーン型位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、
実施例5のハーフトーン型位相シフトマスクブランクに
おいては、静止対向型スパッタリング装置にて、クロム
ターゲットを用い、不活性ガスとしてのArガスと、原
料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合ガス雰囲気
(Ar流量=20[sccm],N2流量=25[sccm],CO2
流量=8[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うこ
とにより、第1遮光膜31の上に、膜厚167[Å]のCr
CONからなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成し
た。このとき、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜
時間は7分とした。この点以外は、実験例1と同様にし
て実施例5によるハーフトーン型位相シフトマスクブラ
ンクを得、それに上記と同様のパターニングを施して実
施例5によるハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
ン型位相シフトマスクブランクについて、反射率調整部
3aたる第2遮光膜32の成膜条件(各原料ガスの流量,スパ
ッタパワー,及び成膜時間)、膜種、及び膜厚を下記表1
にまとめた。
遮光膜31の膜厚は400[Å]である。従って、実施例1
〜5の各ハーフトーン型位相シフトマスクブランクにお
ける遮光膜3全体の膜厚は、それぞれ561[Å]、57
9[Å]、563[Å]、559[Å]、567[Å]であり、
何れも600[Å](=60[nm])以下である。
れた各ハーフトーン型位相シフトマスクについて、試験
光を照射して、透明基板1、半透光膜2、及び遮光膜3の
反射率波長依存性を測定した。尚、反射率波長依存性の
測定には、日立分光光度計U-4000を用いた。
率[%]をとり、横軸に試験光の波長[nm]をとった反射率
カーブを示す。即ち、反射率カーブとは、反射率の波長
依存性を表すグラフである。同図中、符号A,B,C,D,Eは
それぞれ、実施例1,2,3,4,5による遮光膜3の表面の反射
率カーブを示す。符号HTは、半透光膜2の反射率カーブ
を示す。符号QZは、透明基板1の反射率カーブを示す。
尚、半透光膜2と透明基板1との反射率カーブは、実施例
1〜5の全てにおいて共通している。
率カーブA,B,C,D,Eはいずれも、主として露光波長及び
レジスト描画波長を含む領域である365[nm]未満の領
域での反射率よりも、主として検査波長を含む領域であ
る365[nm]以上の領域での反射率の方が大きくなるよ
う190[nm]〜840[nm]にわたって右肩上がりの曲線
となっている。但し、各反射率カーブの立ち上がり方
は、A(実施例1),B(実施例2),C(実施例3),D(実施例
4),E(実施例5)の順に緩やかとなっている。この点につ
いて検討すると、表1に掲げるように、実施例1から5の
順に、反射率調整部3aのスパッタリング形成時における
窒素の流量を増やしている。窒素の流量が増えると、そ
の分スパッタリング雰囲気中における窒素の分圧が上昇
するから、反射率調整部3a中における窒素の含有率(量)
は増大してゆく。
ち上がり方は、該遮光膜3の反射率調整部3aにおける窒
素の含有率が増大するにしたがって緩やか(ブロード)に
なっているといえる。また逆に、反射率調整部3aにおけ
る窒素の含有率が減少するにしたがって、反射率カーブ
の立ち上がり方が急峻になってゆくといえる。つまり、
窒素の含有率と、遮光膜3の反射率カーブ、即ち遮光膜3
の反射率波長依存性とに相関がある。従って、遮光膜3
の反射率波長依存性は、反射率調整部3aをCrCONか
ら構成する場合、その窒素の含有率で調整できるものと
考えられる。
率カーブは、図3に示すように、実施例毎に極端に変化
するのではなく、徐々に変化している。つまり、窒素の
含有率を調整したときの、反射率カーブの変化の仕方が
小さい。反射率カーブの変化の仕方が小さいということ
は、窒素の含有率によって遮光膜3の反射率波長依存性
をきめ細かく正確に微調整できるということである。
おいて、露光波長となり得る193[nm]から、レジスト
描画波長となり得る365[nm]にわたって反射率が30
%以下、詳細には25%以下となっている。露光光に対
する反射率が30%以下であれば、該露光光に対する定
在波の発生が防止されて、転写パターンの精度を向上で
きる。また、このハーフトーン型位相シフトマスクをレ
チクルとして使用した場合でも、ステッパによる露光時
に光の乱反射による悪影響が抑えられる。更に、このハ
ーフトーン位相シフトマスクを用いてパターン転写を行
う際の露光光のみならず、前述したフォトレジスト5に
照射する描画用レーザ光に対する各反射率が30%以下
であれば、ハーフトーン型位相シフトマスクそのものの
寸法精度を向上できるようになる。従って、実施例1〜5
によるハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、1
93[nm]〜365[nm]の波長範囲内において露光波長及
びレジスト描画波長を選択できる。
る窒素流量を例えば23[sccm]以上として、該反射率調
整部3aにおける窒素の含有率を大きくした場合には、反
射率カーブC,D,Eのように、特に193[nm]〜365[n
m]の波長範囲内における反射率の波長依存性が小さくな
る。つまり、193[nm]から365[nm]にわたって反射
率カーブが略平坦となり、反射率の変化が10%以内に
おさまる。また、193[nm]〜488[nm]にわたっても
反射率の変化が25%以内におさまっている。従って、
193[nm]〜488[nm]の波長範囲、特に193[nm]〜
365[nm]の波長範囲内においては、仮に露光波長又は
レジスト描画波長が推移したとしても、遮光膜3を設計
変更し直す必要がなくなるものと考えられる。
る窒素の流量を例えば23[sccm]未満として、該反射率
調整部3aにおける窒素の含有率を小さくした場合には、
反射率カーブA,Bのように、257[nm]〜365[nm]の
波長範囲内で一端極小値をとるから、該極小値又はその
近傍において最適な露光波長又はレジスト描画波長が存
在することになる。例えば、反射率カーブAには、波長
257[nm]近傍において反射率が10%以下の極小値が
存在する。従って、この実施例1のハーフトーン型位相
シフトマスクブランクでは、波長257[nm]の光を描画
用レーザ光として好適に用いることができる。尚、この
極小値をとるときの波長も反射率調整部3aにおける窒素
の含有率によって所望の値に調整できるものと考えられ
る。
波長365[nm]以上の領域では、透明基板(QZ)と半透光
膜パターン(HT)との反射率の差、半透光膜パターン(HT)
と各遮光膜パターン(A,B,C,D,E)との反射率の差、及び
透明基板(QZ)と各遮光膜パターン(A,B,C,D,E)との反射
率の差が何れも3%以上となっている。本発明者の研究
によれば、このように透明基板、半透光膜パターン、及
び遮光膜パターンの各反射率の差が3%以上であれば、
検査装置において、当該各反射率の相違を認識できるこ
とが分かっている。尚、各反射率の差は、好ましくは5
%以上であり、更に好ましくは10%以上である。
との反射率の差が3%以上(好ましくは5%以上、更に
好ましくは10%以上)あれば、検査装置において半透
光膜パターンを確実に検出できる。また、半透光膜パタ
ーンと遮光膜パターンとの反射率の差が3%以上(好ま
しくは5%以上、更に好ましくは10%以上)あれば、
検査装置において遮光膜パターンを確実に検出できる。
その結果、検査装置においてこのマスクの欠陥を確実に
検出できる。
を検査波長域とすることができる。また、少なくとも3
65[nm]以上の領域では、遮光膜パターンの方が、半透
光膜パターンよりも高い反射率を示すように構成されて
おり、これによって、クロム残りやピンホール等の欠陥
検査に特に好適となっている。特に、最もブロードな立
ち上がりを示した反射率カーブEは、190[nm]〜84
0[nm]の全波長範囲内において、半透光膜パターン(HT)
との関係で3%以上の反射率差を示していると共に、一
貫して該半透光膜パターン(HT)よりも高い反射率を示し
ている。
ブB,C,D,Eでは、検査波長を含む193[nm]〜500[n
m]の波長範囲で反射率が40%以下となっている。従っ
て、これらに対応する実施例2〜5のハーフトーン型位
相シフトマスクブランクは、反射率の上限を40%とす
る検査装置において良好に検査を行える。特に、反射率
カーブEでは193[nm]〜500[nm]の波長範囲で反射
率が30%以下となっているから、実施例5のハーフト
ーン型位相シフトマスクブランクは、反射率の上限を3
0%とする検査装置においても良好に検査を行える。
3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型
位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、比較例1
のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて
は、静止対向型スパッタリング装置にて、クロムターゲ
ットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(Ar流
量=20[sccm],N2流量=10[sccm],O2流量=20
[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことによ
り、第1遮光膜31の上に、CrON(クロム,酸素,及び
窒素を含むことを意味し、それらの含有率を規定するも
のではない。以下、同様。)からなる第2遮光膜32(図2
(a)参照)を形成した。このとき、スパッタパワーは1.
0[kw]とし、成膜時間は3分とした。この点以外は、実
施例1と同様にして比較例1によるハーフトーン型位相シ
フトマスクブランクを得、それに上記と同様のパターニ
ングを施して比較例1によるハーフトーン型位相シフト
マスクを得た。
3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型
位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、比較例1
のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて
は、静止対向型スパッタリング装置にて、クロムターゲ
ットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(Ar流
量=20[sccm],N2流量=15[sccm],O2流量=15
[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことによ
り、第1遮光膜31の上に、膜厚452[Å]のCrONか
らなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このと
き、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜時間は3分
とした。この点以外は、実施例1と同様にして比較例2に
よるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、そ
れに上記と同様のパターニングを施して比較例2による
ハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型
位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、比較例1
のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて
は、静止対向型スパッタリング装置にて、クロムターゲ
ットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(Ar流
量=20[sccm],N2流量=25[sccm],O2流量=25
[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことによ
り、第1遮光膜31の上に、膜厚473[Å]のCrONか
らなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このと
き、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜時間は3分
とした。この点以外は、実施例1と同様にして比較例3に
よるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、そ
れに上記と同様のパターニングを施して比較例3による
ハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型
位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、比較例1
のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて
は、静止対向型スパッタリング装置にて、クロムターゲ
ットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(Ar流
量=20[sccm],N2流量=25[sccm],O2流量=8[s
ccm])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、
第1遮光膜31の上に、膜厚611[Å]のCrONからな
る第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このとき、
スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜時間は3分とし
た。この点以外は、実施例1と同様にして比較例4による
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、それに
上記と同様のパターニングを施して比較例4によるハー
フトーン型位相シフトマスクを得た。
3aたる第2遮光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型
位相シフトマスクブランクを製造した。即ち、比較例1
のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて
は、静止対向型スパッタリング装置にて、クロムターゲ
ットを用い、Ar,N2,O2の混合ガス雰囲気(Ar流
量=20[sccm],N2流量=23[sccm],O2流量=10
[sccm])中で、反応性スパッタリングを行うことによ
り、第1遮光膜31の上に、膜厚604[Å]のCrONか
らなる第2遮光膜32(図2(a)参照)を形成した。このと
き、スパッタパワーは1.0[kw]とし、成膜時間は3分
とした。この点以外は、実施例1と同様にして比較例5に
よるハーフトーン型位相シフトマスクブランクを得、そ
れに上記と同様のパターニングを施して比較例5による
ハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
ン型位相シフトマスクブランクについて、反射率調整部
3aたる第2遮光膜32の成膜条件(各原料ガスの流量,スパ
ッタパワー,及び成膜時間)、膜種、及び膜厚を下記表2
にまとめた。
果〕比較例1〜5で得られた各ハーフトーン型位相シフト
マスクについて、上記各実施例と同様にして透明基板
1、半透光膜2、及び遮光膜3の反射率カーブを測定し
た。測定結果を図4に示す。同図中、符号F,G,H,I,Jは
それぞれ、比較例1,2,3,4,5による遮光膜3の表面の反射
率カーブを示す。符号HTは、半透光膜2の反射率カーブ
を示す。符号QZは、透明基板1の反射率カーブを示す。
尚、半透光膜2と透明基板1との反射率カーブは、実施例
1〜5及び比較例1〜5の全てにおいて共通している。
反射率調整部3aの組成として、CrCONではなくCr
ONを採用して、各比較例ごとに反射率調整部3aにおけ
る窒素の含有率を変化させている。このように、反射率
調整部3aとしてCrONを採用した場合には、図4に示
すように、反射率カーブF,G,H,I,Jの変化の仕方と、窒
素ガスの流量(窒素の含有率)とには明確な相関がみられ
ない。
カーブF,G,Hと、反射率カーブI,Jとがそれぞれ殆ど重
なっているが、表2を参照すると、両者の境に窒素流量
の明確な臨界値があるか否かが定かでない。むしろこの
場合は、遮光膜3の反射率波長依存性には、酸素の流量
その他の成膜条件も関与していると考えられる。従っ
て、反射率調整部3aをCrONから構成した場合には、
窒素の流量のみで遮光膜3の反射率波長依存性を制御で
きるとは言い難い。
ーブI,Jとで、その変化の仕方が極端に異なっている。
従って、反射率調整部3aのスパッタリング成膜時におい
て二酸化炭素ではなく酸素を用い、CrONからなる反
射率調整部3aを形成した場合には、各構成元素の含有率
によって、遮光膜3の反射スペクトル(反射率波長依存
性)が極端に変化してしまうといえる。つまり、比較例1
〜5による遮光膜3は、反射率波長依存性の制御性が良好
であるとは言い難い。
に反射率調整部3aに炭素を含めることの有効性を裏付け
ている。即ち、反射率調整部3aの形成時におけるスパッ
タリング雰囲気に炭素(CO2やCO等)を含めることに
よって、該反射率調整部3aに炭素を含有せしめると、該
反射率調整部3aにおける窒素の含有率(スパッタリング
雰囲気中のN2の分圧)をコントロールすることによっ
て、遮光膜3の反射率波長依存性の制御性を向上でき
る。
部3bたる第1遮光膜31、及び反射率調整部3aたる第2遮
光膜32のみの構成を変えたハーフトーン型位相シフトマ
スクブランクを製造した。即ち、実施例6のハーフトー
ン型位相シフトマスクブランクにおいては、静止対向型
スパッタリング装置にて、クロムターゲットを用い、不
活性ガスとしてのArガスと、原料ガスとしてのN2ガ
スと、の混合ガス雰囲気(Ar流量=18.2[sccm],
N2流量=12.1[sccm]、ガス圧=0.074[Pa])中
で、反応性スパッタリングを行うことにより、半透光膜
2の上に、膜厚400[Å]のCrONからなる第1遮光
膜31を形成した。このとき、スパッタパワーは2.00
[kw]とした。
て、クロムターゲットを用い、不活性ガスとしてのAr
ガスと、原料ガスとしてのN2及びCO2ガスと、の混合
ガス雰囲気(Ar流量=20[sccm],N2流量=38[scc
m],CO2流量=15.7[sccm]、ガス圧=0.175
[Pa])中で、反応性スパッタリングを行うことにより、
第1遮光膜31の上に、膜厚165[Å]のCrCONから
なる第2遮光膜32を形成した。このとき、スパッタパワ
ーは1.30[kw]とした。これらの点以外は、実施例1
と同様にして実施例6によるハーフトーン型位相シフト
マスクブランクを得、それに上記と同様のパターニング
を施して実施例6によるハーフトーン型位相シフトマス
クを得た。
部)、及び第2遮光膜32(反射率調整部)の成膜条件(各原
料ガスの流量,スパッタパワー,成膜圧力)、膜種、及び
膜厚を下記表3にまとめた。
全体としての膜厚を60[nm]以下と実施例1〜5に比べて
薄膜化している。具体的には、実施例6による遮光膜3の
膜厚は、400+165=565[Å]、即ち56.5[n
m]である。
ーフトーン型位相シフトマスクについて、上記各実施例
と同様にして遮光膜3の反射率カーブを測定した。測定
結果を図5に示す。同図中、符号Kは、下地部3bの反射
率カーブを示し、符号Lは下地部3bと反射率調整部3aと
の積層膜、即ち遮光膜3全体の反射率カーブを示す。図
5に示すように、実施例6による遮光膜3の反射率カーブ
Lは、193[nm]〜365[nm]の波長範囲内における反
射率の変化が10%以内と反射率波長依存性が小さく、
しかもこの波長範囲内では一貫して反射率が20%以下
となっており、遮光膜3が非常に好ましい反射率波長依
存性を有している。
おける第1遮光膜31(下地部)、及び第2遮光膜32(反射
率調整部)の組成を、オージェ電子分光分析装置によっ
て調べた。その結果を、下記表4に掲げる。
部3bが酸素を含有しておらず、反射率調整部3aが酸素を
20原子%以上含有している。詳細には、反射率調整部
3aは、クロムを35原子%含有し、炭素を10原子%含
有し、酸素を40原子%含有し、かつ窒素を15原子%
含有してなる。
トーン型位相シフトマスクについて、遮光膜3の光学濃
度を測定した。測定結果を図6に示す。同図は、同図は
縦軸に光学濃度(OD)をとり、横軸に試験光の波長[nm]を
とったODカーブを示す。即ち、ODカーブとは、光学濃度
の波長依存性を表すグラフである。同図中、符号Mは下
地部3bのODカーブを示し、符号Nは下地部3bと反射率調
整部3aとの積層膜、即ち遮光膜3全体のODカーブを示
す。
は、膜厚を60[nm]以下、詳細には56.5[nm]とした
にも拘わらず、そのODカーブNは193[nm]〜365[n
m]の波長範囲内において2以上の充分な光学濃度を示し
ているため、半透光膜と合せた場合に3以上の光学濃度
を得ることができる。これは、遮光膜3を、酸素を含有
しない下地部3bを含んで構成したからであると考えられ
る。つまり、仮に遮光膜3全体をCrCONのみから構
成しようとすると、その総膜厚が厚くなるのは必須と考
えられるが、該遮光膜3を、酸素の排除された下地部3b
を用いて構成した場合には、該下地部3bが高い遮光性を
発揮するから、反射率調整部3aとしてCrCONを採用
した場合であっても、遮光膜3の総膜厚を60[nm]以下
に薄くできる。
ながら、その厚みを165[Å]とし、かつ遮光膜3全体
の膜厚を60[nm]以下にした場合には、図5に示すよう
に、該遮光膜3が特に良好な反射率波長依存性を示す。
また、このように、遮光膜3を薄くすると、該遮光膜3を
パターニングするときの加工精度を向上できるという相
乗効果も得られる。
たが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明のハ
ーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいては、バ
ッチ式或いは枚葉式の静止対向型スパッタリング装置で
はなく、インライン型のスパッタリング装置を用いて遮
光膜3を形成してもよい。その場合、遮光膜3は、その厚
み方向に向かって当該成分が連続的に変化するよう構成
される。
検査光に対して半透光膜パターンの方が遮光膜パターン
よりも反射率が高くなるように構成してもよい。
ンの材料なども特に実施例に限定されない。半透光膜2
は、金属、シリコン、窒素及び/又は酸素から実質的に
なる単層、若しくはそれを積層したもので構成できる。
又、半透光膜2は、高透過率層と低透過率層の多層構造
によって構成してもよい。この場合、高透過率層は、シ
リコン及び窒素、及び/又は酸素から実質的になるも
の、或いはこれにクロム、モリブデン、タンタル、タン
グステン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属を微量含
めたもので構成できる。又、低透過率層は、マグネシウ
ム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、イッ
トリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、
ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニ
ウムから選ばれる1種又は2種以上の材料で構成でき
る。
フトマスクにおける遮光膜の反射率波長依存性を容易に
かつ正確に調整できる。従って、露光波長、レジスト描
画波長、及び検査波長等の推移に伴うハーフトーン型位
相シフトマスクの再設計を適切かつ迅速に行えるように
なる。
クブランクの構成を示す断面概略図。
クの製造方法を説明するための図。
スクの反射率波長依存性を示す図。
スクの反射率波長依存性を示す図。
クにおける遮光膜の反射率波長依存性を示す図。
クにおける遮光膜の光学濃度波長依存性を示す図。
部、3b…下地部、21…半透光膜パターン、31…第1遮光
膜(下地部)、32…第2遮光膜(反射率調整部)、3111…第
1遮光膜パターン(遮光膜パターン)、3211…第2遮光膜
パターン(遮光膜パターン)。
Claims (6)
- 【請求項1】透明基板上に、露光光に対して所定の透過
率及び位相シフト量を有する半透光膜と、この半透光膜
上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シ
フトマスクブランクにおける前記遮光膜の反射率波長依
存性の調整方法であって、 前記遮光膜の最上層部分を、クロム、炭素、酸素、及び
窒素を含有してなる反射率調整部とし、 この反射率調整部における前記窒素の含有率によって、
前記遮光膜全体としての反射率波長依存性を調整するこ
とを特徴とする遮光膜の反射率波長依存性の調整方法。 - 【請求項2】透明基板上に、露光光に対して所定の透過
率及び位相シフト量を有する半透光膜を形成する半透光
膜形成工程と、該半透光膜上に遮光膜を形成する遮光膜
形成工程とを有するハーフトーン型位相シフトマスクブ
ランクの製造方法において、 前記遮光膜形成工程は、炭素、酸素、及び窒素を含む雰
囲気中で、クロムからなるターゲットを用いたスパッタ
リング成膜を行うことにより、前記遮光膜の最上層とな
る部分に反射率調整部を形成する反射率調整部形成工程
を有し、 この反射率調整部形成工程では、前記雰囲気中における
窒素の分圧を、前記遮光膜が所望の反射率波長依存性を
有するものとなるときの値とすることを特徴とするハー
フトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。 - 【請求項3】前記炭素、酸素及び窒素を含む雰囲気が、
二酸化炭素及び窒素を含む雰囲気であることを特徴とす
る請求項2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブ
ランクの製造方法。 - 【請求項4】透明基板上に、露光光に対して所定の透過
率及び位相シフト量を有する半透光膜と、この半透光膜
上に形成された遮光膜とを有するハーフトーン型位相シ
フトマスクブランクにおいて、 前記遮光膜の最上層部分が、クロム、炭素、酸素、及び
窒素を含有してなる反射率調整部とされ、 前記遮光膜表面の反射率が、露光光の波長及び遮光膜パ
ターンを形成するためのレーザ描画装置のレーザ光の波
長の何れに対しても30%以下であることを特徴とする
ハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 【請求項5】検査光に対する前記透明基板、半透光膜、
及び遮光膜の各反射率が互いに3パーセント以上相違す
ることを特徴とする請求項4に記載のハーフトーン型位
相シフトマスクブランク。 - 【請求項6】請求項4又は5に記載のハーフトーン型位
相シフトマスクブランクを用いて製造したことを特徴と
するハーフトーン型位相シフトマスク。
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