JP2004317547A - ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及びその製造方法並びにハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents
ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及びその製造方法並びにハーフトーン型位相シフトマスク Download PDFInfo
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Abstract
【課題】位相シフトマスクとして満足すべき光学条件の他に、露光光での位相シフトマスクとしての反射率や検査波長での透過率を制御でき、且つ、ドライエッチング適性を有するハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及び位相シフトマスクを提供することを目的とする。
【解決手段】透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されている化合物薄膜21を形成して、ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス10を形成し、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21をパターニング処理して、透明基板11上に露光光に対して透明域31と半透明域21aを形成して、ハーフトーン型位相シフトマスク100を得る。
【選択図】図3
【解決手段】透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されている化合物薄膜21を形成して、ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス10を形成し、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21をパターニング処理して、透明基板11上に露光光に対して透明域31と半透明域21aを形成して、ハーフトーン型位相シフトマスク100を得る。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、超LSI等の高密度集積回路の製造工程中に用いられるフォトマスクに関するものであり、特に、微細寸法の投影像が得られるハーフトーン型位相シフトマスク及びこれを製造するためのハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトマスクでは微細なパターンの投影露光に際し近接したパターンはマスクの光透過部を通過した光が回折し、干渉することによってパターン境界部での光強度を強め合いフォトレジストが感光するため、ウエハー上に転写されたパターンが分離解像しないという問題が起きていた。この現象は露光波長に近い微細なパターンほどその傾向が強く、原理的には従来のフォトマスクと露光光学系では光の波長以下の微細なパターンを分離解像することは不可能であった。
【0003】
そこで、隣接するパターンを透過する投影光の位相差を互いに180度にすることによって微細なパターンの解像力を向上させるという、位相シフト技術を使用した位相シフトマスクが開発された。すなわち、隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けることにより、透過光が回折し干渉し合う際、位相が反転しているために境界部の光強度は弱め合い、その結果転写パターンは分離解像する。この関係は焦点前後でも成り立っているため、焦点が多少ずれていても解像度は従来のものより向上する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58―173744号公報
【特許文献2】
特公昭62―50811号公報
【0005】
パターンを遮光層で形成する場合には、遮光パターンに隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けて位相を反転させるが、遮光層が完全な遮光性を持たず、かつこの半透明遮光層によって位相が反転させる場合にも、同様な解像度向上効果が得られ、この場合は特に孤立パターンの解像度向上に有効である。これをハーフトーン型位相シフトマスクという。
【0006】
ここで、ハーフトーン型位相シフトマスクを図面に従って簡単に説明する。図6は、ハーフトーン型位相シフトマスク200を用いたフォトリソグラフィの原理を示す説明図、図7は通常のバイナリマスク300の場合の説明図である。図6(a)及び図7(a)はフォトマスクの断面図、図6(b)及び図7(b)はフォトマスク上での光の振幅、図6(c)及び図7(c)はウエハー上での光の振幅、図6(d)及び図7(d)はウエハー上での光の強度をそれぞれ示し、111は透明基板、121は半透明位相シフト膜、122は遮光層である。
【0007】
ここで半透明位相シフト膜とは、透過する露光光の位相を同光路長の空気を通る露光光の位相に対して反転し、かつその強度を減衰させる機能を持つ膜であり、単層または多層により形成される。通常のバイナリマスクにおいては図7(a)に示すように、石英ガラスからなる透明基板111上にクロム等からなる遮光層122を形成し、光不透過部を形成したもので、ウエハー上の光強度分布は、図6(d)に示すように、回折により裾広がりとなり、解像度は劣ってしまう。一方、半透明膜からなるシフターを用いた半透明位相シフト膜121を透過した光とその開口部を透過した光とでは位相が実質上反転するので、図6(d)に示すようにウエハー上でパターン境界部の光強度が0となり、その裾広がりを抑えることができ、よって、解像度が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、ハーフトーン型位相シフトマスクの位相差に関しては180度が最適値になるが、透過率に関しても、適正値は2〜20%(開口部の透過率を100%とした場合)の範囲にあり、転写するパターン、転写条件等によって最適値が決まる。ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、位相差、透過率共にその適正値に作製することが要求され、適正値からずれた場合には、最適露光量等が変化し、寸法精度の低下、焦点裕度の低下等に至ってしまう。したがって、半透明位相シフト膜の透過率、位相差を左右する単層及び多層の膜の屈折率、消衰係数及び、膜厚の精度、安定性は重要である。
【0009】
また、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、露光波長での反射率も、フォトリソグラフィの工程でのマスクとレンズ間での多重散乱等の影響を抑えるため、低反射であることが望まれ20%以下が適正値である。さらに、マスク上に形成されるパターンの外観、位置精度等を保証するために、マスク製造工程で使用される各種の検査、測定装置で使用する波長での透過率は35%以下であることが望ましい。しかし、露光波長で高透過率化に伴い、検査波長での透過率も増大してしまい、透明基板とのコントラストが不足するという問題が生じている。
【0010】
ところで、半透明位相シフト膜の成膜は、金属系材料をターゲットとして用いた反応性スパッタで行う場合が多い。膜の屈折率、消衰係数、膜厚の精度、安定性は基本的に成膜工程で決定される。次に、位相シフトフォトマスクのパターニング工程で実際に位相シフト膜をエッチングする工程には、主にリアクティブイオンエッチング等のドライエッチングが用いられる。さらに、近年、パターンの微細化に伴い、より厳しい寸法精度が要求されるが、それを満たすためには、エッチングによるパターニングでは半透明位相シフト膜の膜厚は薄いほうが好ましい。
【0011】
以上のような課題を克服するために2層以上の膜を重ね合わせた位相シフトマスクが用いられている。しかし、モリブデンシリサイドやクロム等を主体としたハーフトーン型位相シフトマスクでは露光波長が短波長化するに伴い、成膜工程での膜の制御性や再現性に問題があり、また2層以上の構成にすることにより、製造工程の増加、膜厚、欠陥発生率の増大といった問題を有する。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、位相シフトマスクとして満足すべき光学条件の他に、露光光での位相シフトマスクとしての反射率や検査波長での透過率を制御でき、且つ、ドライエッチング適性を有するハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及び位相シフトマスクを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明域が金属とシリコンと炭素からなる化合物薄膜の単層膜で形成されていることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0014】
また、請求項2においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれる金属がジルコニウムで構成されていることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0015】
また、請求項3においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜がジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0016】
また、請求項4においては、前記半透明域の透過率が露光波長において2〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0017】
また、請求項5においては、前記半透明域の透過率が検査波長において35%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0018】
また、請求項6においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)が、0.05<α<1.04なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0019】
また、請求項7においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)が、0.13<β<2.57なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0020】
また、請求項8においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜はジルコニウムシリサイドターゲットを用いて、炭素を含む成膜ガス雰囲気中の反応性スパッタリングにて成膜されており、前記成膜ガスがCH4、CO2、CO、CCl4、CF4、C2H2、C2H4、C2H6、C2F6、C3H6、C6H6、C3H8からなる群から選択されたガスであることを特徴する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの製造方法としたものである。
【0021】
さらにまた、請求項9においては、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターンニング処理して、透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域を設けたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクとしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき説明する。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10は、図1に示すように、透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかの化合物薄膜21を形成したもので、化合物薄膜21は、位相シフトマスクとして満足すべき光学条件(半透明域を透過する露光光の透過率2〜20%、半透明域と透明域のそれぞれの透過光の位相差180度)と、露光波長での反射率20%以下、検査波長での透過率35%以下の光学特性とを満たすようにしている。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100は、図2に示すように、上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21をパターニング処理して、透明基板11上に露光光に対して透明域31と半透明域21aとを形成したもので、本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を用いて、半導体作製プロセスのパターン露光に適用した場合パターン解像度の向上が図れ、高精細のパターンを得ることができるようにしたものである。
【0023】
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21は、金属とシリコンと炭素からなる化合物膜の単層膜で形成されており、前記金属はジルコニウムからなり、化合物薄膜は、具体的には、ジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されている。
化合物薄膜の光学特性として、半透明域と透明域のそれぞれの透過光の位相差180度を満たす光学定数の設定の他に、露光波長(例えば、193nm)での透過率を2〜20%に、検査波長(例えば、266nm)での透過率を35%以下になるようにしている。
併せて、化合物薄膜21に炭素を含有させることにより、検査波長(例えば、266nm)での分光透過率を35%以下に容易に達成できる。しかしながら、炭素を含有率を増加させすぎると、薬液に対する充分な耐性が得られない。
このため、化合物薄膜21に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)を0.051〜1.04、もしくはジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)を0.13〜2.57の範囲にすることが望ましい。
【0024】
化合物薄膜21は、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いて、キャリアガスとしてアルゴンガスを用い、CH4、CO2、CO、CCl4、CF4、C2H2、C2H4、C2H6、C2F6、C3H6、C6H6、C3H8からなる群から選択された反応性ガス雰囲気中でスパッタリングにて、石英ガラス基板等からなる透明基板11上に成膜され、具体的には、ジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかのジルコニウムシリサイド化合物膜が成膜され、図1に示すハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を得ることができる。
ここで、炭素を含むジルコニウムシリサイド化合物膜とすることにより、検査波長での透過率(35%以下)制御を容易に行うことができ、さらに、単層構成にできるため製造工程の減少、膜厚、欠陥発生率の低減といった利点を有する。
【0025】
上記、化合物薄膜21に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)及びジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)について、具体的にジルコニウム窒化炭化膜を成膜して、分光透過率特性、薬液に対する耐性を調べた。
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及びメタンガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に、印加電力:300W、圧力:0.25Paは一定にして、使用ガス(Ar、N2、CH4)の流量を変えて、A〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜を作製した。そのときの成膜条件を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
これらA〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜のシリコンに対する炭素の比率C/Si:α(atomic%)及びジルコニウムに対する炭素の比率C/Zr:β(atomic%)を測定した結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
さらにA〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜に対して、分光透過率特性及び薬液に対する耐性を調べた。その結果を表3に示す。
ここで分光透過率特性については、露光波長193nmにおいて、透過率が2〜20%の範囲にあり、検査波長266nmにおいて、透過率が35%以下である試料を○とし、満たさない試料を×とした。また薬液に対する耐性については通常洗浄薬液への浸漬に対し、露光波長193nmにおける分光透過率の変化が0.3%以下、位相差の変化が0.3deg以下の試料を○とし、満たさないものを×とした。
【0030】
【表3】
【0031】
表2、表3の結果から分かるように、C/Si:α(atomic%)が0.05<α<1.04、C/Zr:β(atomic%)が0.13<β<2.57の範囲にあるB〜Eの4種類のサンプルについては検査波長266nmにおいて透過率が35%以下を示し、さらに、薬液に対する十分な耐性をもつことが確認された。
【0032】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及びメタンガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に膜厚780Åのジルコニウムシリサイド窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を成膜し、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を作製した。
【0033】
この時の成膜条件は、印加電力:300W、圧力:0.25Paで使用ガス及び流量は、アルゴンガス:10sccm,窒素ガス:28sccm,メタンガス2sccmであった。
【0034】
上記成膜条件で成膜したハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの分光透過率特性及び分光反射率特性を図4に示す。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.81%を示し、検査波長266nmでの透過率は28.4%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。また、露光光の波長193nmにおける反射率は14.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できることが確認された。
【0035】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
図3(a)〜(d)に、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す。
まず、透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を形成した上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10(図3(a)参照)に電子線レジストを塗布し、電子線描画、現像等の一連のパターニング処理を行ってレジストパターン41を形成した(図3(b)参照)。
次に、ハロゲンガスをエッチングガスとするドライエッチングにより、レジストパターン41をマスクとして化合物薄膜21をエッチングし(図3(c)参照)、レジストパターン41をアッシング処理等により除去して、透明基板11上に化合物薄膜パターン21aからなる半透過域と透過域31が形成された本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を得た(図3(e)参照)。
【0036】
<実施例2>
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及び二酸化炭素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に膜厚80Åのジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を成膜し、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を作製した(図1参照)。
【0037】
この時の成膜条件は、印加電力:300W、圧力:0.25Paで使用ガス及び流量は、アルゴンガス:23sccm,窒素ガス:15sccm,二酸化炭素ガス:2sccmであった。
【0038】
上記条件で成膜したハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの分光透過率特性及び分光反射率特性を図5に示す。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は7.76%を示し、検査波長266nmでの透過率は33.2%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。また、露光光の波長193nmにおける反射率は16.5%であり、露光時の多重反射の影響を防止できることが確認された。
【0039】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
図3(a)〜(d)に、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す。
まず、透明基板11上にジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を形成した上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10(図3(a)参照)に電子線レジストを塗布し、電子線描画、現像等の一連のパターニング処理を行ってレジストパターン41を形成した(図3(b)参照)。
次に、ハロゲンガスをエッチングガスとするドライエッチングにより、レジストパターン41をマスクとして化合物薄膜21をエッチングし(図3(c)参照)、レジストパターン41をアッシング処理等により除去して、透明基板11上にジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜パターン21aからなる半透過域と透過域31が形成された本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を得た(図3(e)参照)。
【0040】
【発明の効果】
上記したように、半透明域を構成している化合物薄膜として、炭素を含んだジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかを用いることにより、位相シフトマスクとしての光学定数の他に露光光での反射率や検査波長での透過率を容易に制御できる。
また、化合物薄膜に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)を0.05〜1.04の範囲に、もしくは化合物薄膜21に含まれるジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)を0.13〜2.57の範囲にすることにより、検査波長での透過率制御、耐薬品性の向上を図ることができ、且つ、マスク検査時での充分なパターンコントラスト及び洗浄工程での充分な耐性を有するハーフトーン型位相シフトマスクを得ることができる。
さらに、半透明域の化合物薄膜の膜構成は単層であるので欠陥発生率の低減することができ、低欠陥でパターン形状再現性に優れたハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの一実施例を示す模式構成断面図である。
【図2】本発明のハーフトーン型位相シフトマスクの一実施を示す模式構成断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す模式構成断面図である。
【図4】実施例1で得られたジルコニウムシリサイド窒化炭化膜の分光透過率特性及び分光反射率特性を示す説明図である。
【図5】実施例2で得られたジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜の分光透過率特性及び分光反射率特性を示す説明図である。
【図6】ハーフトーン型位相リソグラフィーの原理を示す説明図である。
【図7】従来のフォトリソグラフィー方を示す説明図である。
【符号の説明】
10……ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス
11、111……透明基板
21……化合物薄膜(半透過膜)
21a……化合物薄膜パターン(半透過域)
31……透過域
41……レジストパターン
121……半透明位相シフト膜
122……遮光層
100、200……ハーフトーン型位相シフトマスク
300……バイナリマスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、超LSI等の高密度集積回路の製造工程中に用いられるフォトマスクに関するものであり、特に、微細寸法の投影像が得られるハーフトーン型位相シフトマスク及びこれを製造するためのハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトマスクでは微細なパターンの投影露光に際し近接したパターンはマスクの光透過部を通過した光が回折し、干渉することによってパターン境界部での光強度を強め合いフォトレジストが感光するため、ウエハー上に転写されたパターンが分離解像しないという問題が起きていた。この現象は露光波長に近い微細なパターンほどその傾向が強く、原理的には従来のフォトマスクと露光光学系では光の波長以下の微細なパターンを分離解像することは不可能であった。
【0003】
そこで、隣接するパターンを透過する投影光の位相差を互いに180度にすることによって微細なパターンの解像力を向上させるという、位相シフト技術を使用した位相シフトマスクが開発された。すなわち、隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けることにより、透過光が回折し干渉し合う際、位相が反転しているために境界部の光強度は弱め合い、その結果転写パターンは分離解像する。この関係は焦点前後でも成り立っているため、焦点が多少ずれていても解像度は従来のものより向上する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58―173744号公報
【特許文献2】
特公昭62―50811号公報
【0005】
パターンを遮光層で形成する場合には、遮光パターンに隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けて位相を反転させるが、遮光層が完全な遮光性を持たず、かつこの半透明遮光層によって位相が反転させる場合にも、同様な解像度向上効果が得られ、この場合は特に孤立パターンの解像度向上に有効である。これをハーフトーン型位相シフトマスクという。
【0006】
ここで、ハーフトーン型位相シフトマスクを図面に従って簡単に説明する。図6は、ハーフトーン型位相シフトマスク200を用いたフォトリソグラフィの原理を示す説明図、図7は通常のバイナリマスク300の場合の説明図である。図6(a)及び図7(a)はフォトマスクの断面図、図6(b)及び図7(b)はフォトマスク上での光の振幅、図6(c)及び図7(c)はウエハー上での光の振幅、図6(d)及び図7(d)はウエハー上での光の強度をそれぞれ示し、111は透明基板、121は半透明位相シフト膜、122は遮光層である。
【0007】
ここで半透明位相シフト膜とは、透過する露光光の位相を同光路長の空気を通る露光光の位相に対して反転し、かつその強度を減衰させる機能を持つ膜であり、単層または多層により形成される。通常のバイナリマスクにおいては図7(a)に示すように、石英ガラスからなる透明基板111上にクロム等からなる遮光層122を形成し、光不透過部を形成したもので、ウエハー上の光強度分布は、図6(d)に示すように、回折により裾広がりとなり、解像度は劣ってしまう。一方、半透明膜からなるシフターを用いた半透明位相シフト膜121を透過した光とその開口部を透過した光とでは位相が実質上反転するので、図6(d)に示すようにウエハー上でパターン境界部の光強度が0となり、その裾広がりを抑えることができ、よって、解像度が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、ハーフトーン型位相シフトマスクの位相差に関しては180度が最適値になるが、透過率に関しても、適正値は2〜20%(開口部の透過率を100%とした場合)の範囲にあり、転写するパターン、転写条件等によって最適値が決まる。ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、位相差、透過率共にその適正値に作製することが要求され、適正値からずれた場合には、最適露光量等が変化し、寸法精度の低下、焦点裕度の低下等に至ってしまう。したがって、半透明位相シフト膜の透過率、位相差を左右する単層及び多層の膜の屈折率、消衰係数及び、膜厚の精度、安定性は重要である。
【0009】
また、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、露光波長での反射率も、フォトリソグラフィの工程でのマスクとレンズ間での多重散乱等の影響を抑えるため、低反射であることが望まれ20%以下が適正値である。さらに、マスク上に形成されるパターンの外観、位置精度等を保証するために、マスク製造工程で使用される各種の検査、測定装置で使用する波長での透過率は35%以下であることが望ましい。しかし、露光波長で高透過率化に伴い、検査波長での透過率も増大してしまい、透明基板とのコントラストが不足するという問題が生じている。
【0010】
ところで、半透明位相シフト膜の成膜は、金属系材料をターゲットとして用いた反応性スパッタで行う場合が多い。膜の屈折率、消衰係数、膜厚の精度、安定性は基本的に成膜工程で決定される。次に、位相シフトフォトマスクのパターニング工程で実際に位相シフト膜をエッチングする工程には、主にリアクティブイオンエッチング等のドライエッチングが用いられる。さらに、近年、パターンの微細化に伴い、より厳しい寸法精度が要求されるが、それを満たすためには、エッチングによるパターニングでは半透明位相シフト膜の膜厚は薄いほうが好ましい。
【0011】
以上のような課題を克服するために2層以上の膜を重ね合わせた位相シフトマスクが用いられている。しかし、モリブデンシリサイドやクロム等を主体としたハーフトーン型位相シフトマスクでは露光波長が短波長化するに伴い、成膜工程での膜の制御性や再現性に問題があり、また2層以上の構成にすることにより、製造工程の増加、膜厚、欠陥発生率の増大といった問題を有する。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、位相シフトマスクとして満足すべき光学条件の他に、露光光での位相シフトマスクとしての反射率や検査波長での透過率を制御でき、且つ、ドライエッチング適性を有するハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及び位相シフトマスクを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明域が金属とシリコンと炭素からなる化合物薄膜の単層膜で形成されていることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0014】
また、請求項2においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれる金属がジルコニウムで構成されていることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0015】
また、請求項3においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜がジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0016】
また、請求項4においては、前記半透明域の透過率が露光波長において2〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0017】
また、請求項5においては、前記半透明域の透過率が検査波長において35%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0018】
また、請求項6においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)が、0.05<α<1.04なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0019】
また、請求項7においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)が、0.13<β<2.57なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスとしたものである。
【0020】
また、請求項8においては、前記半透明域を構成している化合物薄膜はジルコニウムシリサイドターゲットを用いて、炭素を含む成膜ガス雰囲気中の反応性スパッタリングにて成膜されており、前記成膜ガスがCH4、CO2、CO、CCl4、CF4、C2H2、C2H4、C2H6、C2F6、C3H6、C6H6、C3H8からなる群から選択されたガスであることを特徴する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの製造方法としたものである。
【0021】
さらにまた、請求項9においては、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターンニング処理して、透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域を設けたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクとしたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき説明する。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10は、図1に示すように、透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかの化合物薄膜21を形成したもので、化合物薄膜21は、位相シフトマスクとして満足すべき光学条件(半透明域を透過する露光光の透過率2〜20%、半透明域と透明域のそれぞれの透過光の位相差180度)と、露光波長での反射率20%以下、検査波長での透過率35%以下の光学特性とを満たすようにしている。
本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100は、図2に示すように、上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21をパターニング処理して、透明基板11上に露光光に対して透明域31と半透明域21aとを形成したもので、本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を用いて、半導体作製プロセスのパターン露光に適用した場合パターン解像度の向上が図れ、高精細のパターンを得ることができるようにしたものである。
【0023】
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10の化合物薄膜21は、金属とシリコンと炭素からなる化合物膜の単層膜で形成されており、前記金属はジルコニウムからなり、化合物薄膜は、具体的には、ジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されている。
化合物薄膜の光学特性として、半透明域と透明域のそれぞれの透過光の位相差180度を満たす光学定数の設定の他に、露光波長(例えば、193nm)での透過率を2〜20%に、検査波長(例えば、266nm)での透過率を35%以下になるようにしている。
併せて、化合物薄膜21に炭素を含有させることにより、検査波長(例えば、266nm)での分光透過率を35%以下に容易に達成できる。しかしながら、炭素を含有率を増加させすぎると、薬液に対する充分な耐性が得られない。
このため、化合物薄膜21に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)を0.051〜1.04、もしくはジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)を0.13〜2.57の範囲にすることが望ましい。
【0024】
化合物薄膜21は、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いて、キャリアガスとしてアルゴンガスを用い、CH4、CO2、CO、CCl4、CF4、C2H2、C2H4、C2H6、C2F6、C3H6、C6H6、C3H8からなる群から選択された反応性ガス雰囲気中でスパッタリングにて、石英ガラス基板等からなる透明基板11上に成膜され、具体的には、ジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかのジルコニウムシリサイド化合物膜が成膜され、図1に示すハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を得ることができる。
ここで、炭素を含むジルコニウムシリサイド化合物膜とすることにより、検査波長での透過率(35%以下)制御を容易に行うことができ、さらに、単層構成にできるため製造工程の減少、膜厚、欠陥発生率の低減といった利点を有する。
【0025】
上記、化合物薄膜21に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)及びジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)について、具体的にジルコニウム窒化炭化膜を成膜して、分光透過率特性、薬液に対する耐性を調べた。
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及びメタンガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に、印加電力:300W、圧力:0.25Paは一定にして、使用ガス(Ar、N2、CH4)の流量を変えて、A〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜を作製した。そのときの成膜条件を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
これらA〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜のシリコンに対する炭素の比率C/Si:α(atomic%)及びジルコニウムに対する炭素の比率C/Zr:β(atomic%)を測定した結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
さらにA〜Fの6種類のジルコニウム窒化炭化膜に対して、分光透過率特性及び薬液に対する耐性を調べた。その結果を表3に示す。
ここで分光透過率特性については、露光波長193nmにおいて、透過率が2〜20%の範囲にあり、検査波長266nmにおいて、透過率が35%以下である試料を○とし、満たさない試料を×とした。また薬液に対する耐性については通常洗浄薬液への浸漬に対し、露光波長193nmにおける分光透過率の変化が0.3%以下、位相差の変化が0.3deg以下の試料を○とし、満たさないものを×とした。
【0030】
【表3】
【0031】
表2、表3の結果から分かるように、C/Si:α(atomic%)が0.05<α<1.04、C/Zr:β(atomic%)が0.13<β<2.57の範囲にあるB〜Eの4種類のサンプルについては検査波長266nmにおいて透過率が35%以下を示し、さらに、薬液に対する十分な耐性をもつことが確認された。
【0032】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及びメタンガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に膜厚780Åのジルコニウムシリサイド窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を成膜し、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を作製した。
【0033】
この時の成膜条件は、印加電力:300W、圧力:0.25Paで使用ガス及び流量は、アルゴンガス:10sccm,窒素ガス:28sccm,メタンガス2sccmであった。
【0034】
上記成膜条件で成膜したハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの分光透過率特性及び分光反射率特性を図4に示す。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.81%を示し、検査波長266nmでの透過率は28.4%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。また、露光光の波長193nmにおける反射率は14.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できることが確認された。
【0035】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
図3(a)〜(d)に、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す。
まず、透明基板11上にジルコニウムシリサイド窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を形成した上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10(図3(a)参照)に電子線レジストを塗布し、電子線描画、現像等の一連のパターニング処理を行ってレジストパターン41を形成した(図3(b)参照)。
次に、ハロゲンガスをエッチングガスとするドライエッチングにより、レジストパターン41をマスクとして化合物薄膜21をエッチングし(図3(c)参照)、レジストパターン41をアッシング処理等により除去して、透明基板11上に化合物薄膜パターン21aからなる半透過域と透過域31が形成された本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を得た(図3(e)参照)。
【0036】
<実施例2>
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス、窒素ガス及び二酸化炭素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、石英ガラスからなる透明基板11上に膜厚80Åのジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を成膜し、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10を作製した(図1参照)。
【0037】
この時の成膜条件は、印加電力:300W、圧力:0.25Paで使用ガス及び流量は、アルゴンガス:23sccm,窒素ガス:15sccm,二酸化炭素ガス:2sccmであった。
【0038】
上記条件で成膜したハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの分光透過率特性及び分光反射率特性を図5に示す。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は7.76%を示し、検査波長266nmでの透過率は33.2%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。また、露光光の波長193nmにおける反射率は16.5%であり、露光時の多重反射の影響を防止できることが確認された。
【0039】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
図3(a)〜(d)に、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す。
まず、透明基板11上にジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜21を形成した上記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス10(図3(a)参照)に電子線レジストを塗布し、電子線描画、現像等の一連のパターニング処理を行ってレジストパターン41を形成した(図3(b)参照)。
次に、ハロゲンガスをエッチングガスとするドライエッチングにより、レジストパターン41をマスクとして化合物薄膜21をエッチングし(図3(c)参照)、レジストパターン41をアッシング処理等により除去して、透明基板11上にジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜からなる化合物薄膜パターン21aからなる半透過域と透過域31が形成された本発明のハーフトーン型位相シフトマスク100を得た(図3(e)参照)。
【0040】
【発明の効果】
上記したように、半透明域を構成している化合物薄膜として、炭素を含んだジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかを用いることにより、位相シフトマスクとしての光学定数の他に露光光での反射率や検査波長での透過率を容易に制御できる。
また、化合物薄膜に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)を0.05〜1.04の範囲に、もしくは化合物薄膜21に含まれるジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)を0.13〜2.57の範囲にすることにより、検査波長での透過率制御、耐薬品性の向上を図ることができ、且つ、マスク検査時での充分なパターンコントラスト及び洗浄工程での充分な耐性を有するハーフトーン型位相シフトマスクを得ることができる。
さらに、半透明域の化合物薄膜の膜構成は単層であるので欠陥発生率の低減することができ、低欠陥でパターン形状再現性に優れたハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの一実施例を示す模式構成断面図である。
【図2】本発明のハーフトーン型位相シフトマスクの一実施を示す模式構成断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の一例を示す模式構成断面図である。
【図4】実施例1で得られたジルコニウムシリサイド窒化炭化膜の分光透過率特性及び分光反射率特性を示す説明図である。
【図5】実施例2で得られたジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜の分光透過率特性及び分光反射率特性を示す説明図である。
【図6】ハーフトーン型位相リソグラフィーの原理を示す説明図である。
【図7】従来のフォトリソグラフィー方を示す説明図である。
【符号の説明】
10……ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス
11、111……透明基板
21……化合物薄膜(半透過膜)
21a……化合物薄膜パターン(半透過域)
31……透過域
41……レジストパターン
121……半透明位相シフト膜
122……遮光層
100、200……ハーフトーン型位相シフトマスク
300……バイナリマスク
Claims (9)
- 透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明域が金属とシリコンと炭素からなる化合物薄膜の単層膜で形成されていることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれる金属がジルコニウムで構成されていることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域を構成している化合物薄膜がジルコニウムシリサイド窒化炭化膜またはジルコニウムシリサイド酸化窒化炭化膜のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域の透過率が露光波長において2〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域の透過率が検査波長において35%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるシリコン(Si)に対する炭素(C)の比率α(atomic%)が、0.05<α<1.04なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域を構成している化合物薄膜に含まれるジルコニウム(Zr)に対する炭素(C)の比率β(atomic%)が、0.13<β<2.57なる条件を満たしていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明域を構成している化合物薄膜はジルコニウムシリサイドターゲットを用いて、炭素を含む成膜ガス雰囲気中の反応性スパッタリングにて成膜されており、前記成膜ガスがCH4、CO2、CO、CCl4、CF4、C2H2、C2H4、C2H6、C2F6、C3H6、C6H6、C3H8からなる群から選択されたガスであることを特徴する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスの製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターンニング処理して、透明基板上に露光光に対して透明域と半透明域を設けたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
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JP2006267091A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-10-05 | Hoya Corp | 較正用標準試料及びその製造方法、分光光度計の較正方法、並びにマスクブランク及びその製造方法。 |
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