JP2014167650A - フォトマスクブランク及びフォトマスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のフォトマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜を有し、該遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクであって、上記遮光膜の透光性基板側におけるドライエッチング速度を、遮光膜の表面側におけるドライエッチング速度よりも遅くさせるようにした。
【選択図】図1
Description
その一方で、フォトマスクやフォトマスクブランクにおいては、フォトマスクに形成されるマスクパターンを微細化するに当たっては、フォトマスクブランクにおけるレジスト膜の薄膜化と、フォトマスク製造の際のパターニング手法として、従来のウェットエッチングに替わってドライエッチング加工が必要になってきている。
一つは、フォトマスクブランクのレジスト膜の薄膜化を進める際、遮光膜の加工時間が1つの大きな制限事項となっていることである。遮光膜の材料としては、一般にクロム系の材料が用いられ、クロムのドライエッチング加工では、エッチングガスに塩素ガスと酸素ガスの混合ガスが用いられている。レジストパターンをマスクにして遮光膜をドライエッチングでパターニングする際、レジストは有機膜でありその主成分は炭素であるので、ドライエッチング環境である酸素プラズマに対しては非常に弱い。遮光膜をドライエッチングでパターニングする間、その遮光膜上に形成されているレジストパターンは十分な膜厚で残っていなければならない。一つの指標として、マスクパターンの断面形状を良好にするために、ジャストエッチングタイムの2倍(100%オーバーエッチング)程度を行っても残存するようなレジスト膜厚にしなければならない。例えば、一般には、遮光膜の材料であるクロムと、レジスト膜とのエッチング選択比は1以下となっているので、レジスト膜の膜厚は、遮光膜の膜厚の2倍以上の膜厚が必要となることになる。遮光膜の加工時間を短くする方法として、遮光膜の薄膜化が考えられる。遮光膜の薄膜化については、特許文献3に提案されている。
また、上記特許文献1に記載されたクロム炭化物を含有するクロム膜を遮光膜とする場合、ドライエッチング速度が低下する傾向があり、ドライエッチングによる遮光膜の加工時間の短縮化を図ることができない。
(構成1)透光性基板上に主にクロムを含む材料からなる遮光膜を有するフォトマスクブランクにおいて、前記遮光膜は、水素を含む材料からなることを特徴とするフォトマスクブランクである。
(構成2)前記遮光膜に含まれる水素の含有量は、1原子%以上であることを特徴とする構成1記載のフォトマスクブランクである。
(構成3)前記遮光膜は、該遮光膜表面側から前記透光性基板側の深さ方向の略全域に水素が含まれていることを特徴とする構成1又は2記載のフォトマスクブランクである。
(構成4)前記遮光膜は、該遮光膜表面側から前記透光性基板側に向かって水素の含有量が異なる領域を有することを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成5)前記遮光膜は、該遮光膜表面側から前記透光性基板側に向かって連続的に又は段階的に水素の含有量が減少していることを特徴とする構成4記載のフォトマスクブランクである。
(構成6)前記遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止層を有することを特徴とする構成1乃至5の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成7)前記遮光膜の膜厚は、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定されていることを特徴とする構成1乃至6の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成8)前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクであることを特徴とする構成1乃至7の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成9)前記透光性基板と前記遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜が形成されていることを特徴とする構成1乃至8の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成10)前記遮光膜の膜厚は、前記ハーフトーン型位相シフター膜との積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定されていることを特徴とする構成9記載のフォトマスクブランクである。
(構成11)構成1乃至10の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をパターニングして前記透光性基板上に遮光膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成12)構成9又は10に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、エッチングにより前記ハーフトーン型位相シフター膜をパターニングして前記透光性基板上にハーフトーン型位相シフター膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成13)前記遮光膜のパターニングは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により行うことを特徴とする構成11又は12記載のフォトマスクの製造方法である。
(構成14)前記遮光膜のパターニングは、前記遮光膜上に電子線描画用レジスト膜を形成し、該電子線描画用レジストに所定の電子線描画及び現像処理によって形成されるレジストパターンをマスクにしてドライエッチング処理により行うことを特徴とする構成11乃至13の何れか一に記載のフォトマスクの製造方法である。
(構成15)構成11乃至14の何れか一に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
(構成17)前記遮光膜の透光性基板側に形成する層と前記遮光膜の表面側に形成する層の成膜速度の比率(透光性基板側に形成する層:遮光膜の表面側に形成する層)を、2.5:1〜4.0:1とすることを特徴とする構成16記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成18)前記遮光膜はクロムを含む材料からなり、更に、酸素と窒素の少なくとも一方の元素を含むことを特徴とする構成16又は17記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成19)前記遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止層を形成することを特徴とする構成16乃至18の何れか一に記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成20)前記遮光膜の表面側に形成する層が、前記反射防止層であることを特徴とする構成19記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成21)前記遮光膜の膜厚は、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定されていることを特徴とする構成16乃至20の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成22)前記透光性基板と前記遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜を形成することを特徴とする構成16乃至21の何れか一に記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成23)前記遮光膜の膜厚は、前記ハーフトーン型位相シフター膜との積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定されていることを特徴とする構成22記載のフォトマスクブランクの製造方法である。
(構成24)構成16乃至23の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして前記透光性基板上に遮光膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成25)構成22又は23に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、ドライエッチングにより前記ハーフトーン位相シフター膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成26)構成24又は25に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
(構成28)前記遮光膜の表面側から透光性基板側に向かってドライエッチング速度を遅くさせるようにしたことを特徴とする構成27記載のフォトマスクブランクである。
(構成29)前記遮光膜は、主にクロムを含む材料からなることを特徴とする構成27又は28記載のフォトマスクブランクである。
(構成30)前記遮光膜は、更に酸素を含み、表面側から透光性基板側に向かって酸素の含有量が減少していることを特徴とする構成27乃至29の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成31)前記遮光膜は、更に窒素を含むことを特徴とする構成27乃至30の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成32)前記遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全域に窒素が含まれていることを特徴とする構成31記載のフォトマスクブランクである。
(構成33)前記遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止層を形成することを特徴とする構成27乃至32の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成34)前記透光性基板と前記遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜が形成されていることを特徴とする構成27乃至33の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成35) 透光性基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクにおいて、前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクであって、前記遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全領域に窒素が含まれ、且つ、表面側から透光性基板側に向かって酸素の含有量が減少していることを特徴とするフォトマスクブランクである。
(構成36)前記遮光膜は、主にクロムを含む材料からなることを特徴とする構成35記載のフォトマスクブランクである。
(構成37)前記遮光膜は、該遮光膜中に含まれるクロムの割合を1としたときに、前記窒素は、表面側から透光性基板側に向かって0.5〜0.8の割合で含有されていることを特徴とする構成36記載のフォトマスクブランクである。
(構成38)前記遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止層を形成することを特徴とする構成35乃至37の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成39)前記透光性基板と前記遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜が形成されていることを特徴とする構成35乃至38の何れか一に記載のフォトマスクブランクである。
(構成40)構成27乃至39の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして前記透光性基板上に遮光膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成41)構成34又は39に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、ドライエッチングにより前記ハーフトーン型位相シフター膜をパターニングして前記透光性基板上にハーフトーン型位相シフター膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法である。
(構成42)構成40又は41に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
このように、主にクロムを含む材料からなる遮光膜中に水素を含むことにより、遮光膜のシート抵抗を小さくして、導電性を向上させることができる。これにより、遮光膜上にレジストパターンを形成するための電子線によるパターン描画を行っても、遮光膜に電荷がたまりチャージアップするのを抑制することができ、正確なパターン描画ができなかったり、放電による遮光膜パターン破壊を防止することができる。また、ドライエッチング処理に適した遮光膜とするため、ドライエッチング速度を低下させる炭素の含有量を低減させ、膜厚も所定の膜厚に設定された遮光膜としても、遮光膜中に水素を含むことにより、遮光膜の導電性を向上することができる。また、遮光膜中に水素を含むことにより、ドライエッチング時間を短縮でき、レジスト膜の膜減りを低減することができる。その結果、レジスト膜の薄膜化が可能となり、パターンの解像性、パターン精度(CD精度)を向上することができる。更に、ドライエッチング時間の短縮化により、断面形状の良好な遮光膜パターンが形成できるフォトマスクブランクを提供することができる。
また、遮光膜の導電性、及びドライエッチング時間の短縮化の点で、構成3にあるように、前記遮光膜は、該遮光膜表面側から透光性基板側の深さ方向の略全域に水素が含まれていることが好ましい。
構成4にあるように、本発明のフォトマスクブランクは、前記遮光膜は、該遮光膜表面側から前記透光性基板側に向かって水素の含有量が異なる領域を有する構成としても良い。例えば、遮光膜の表面側の領域に水素の含有量を多くして導電性を高め、チャージアップの抑制効果を向上させることができる。また、構成5にあるように、遮光膜の表面側から透光性基板側(つまり深さ方向)に向かって例えば水素の含有量が連続的に又は段階的に減少している組成傾斜膜とすることにより、ドライエッチング速度を遮光膜の深さ方向に向かって遅くさせることができる。これによって、ドライエッチング時のグローバルローディング現象による線幅エラーを低減することができる。
構成7にあるように、本発明のフォトマスクブランクにおいては、例えばバイナリマスク用フォトマスクブランクの場合、前記遮光膜の膜厚は、露光光に対して光学濃度2.5以上となるように設定される。
また、構成8にあるように、本発明のフォトマスクブランクは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクとする。遮光膜中に水素を含むことにより、ドライエッチング速度を高めることができるので、エッチング時間が短縮でき、レジスト膜の膜減りを低減することができる。その結果、レジスト膜を薄膜化して解像性、パターン精度(CD精度)を向上でき、エッチング時間の短縮化による断面形状の良好な遮光膜のパターンを形成することができる。
その場合、構成10にあるように、遮光膜はハーフトーン型位相シフター膜との積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定される。
構成11にあるように、構成1乃至10の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける遮光膜をパターニングして透光性基板上に遮光膜パターンを形成するフォトマスクの製造方法によれば、パターンの解像性及び、位置精度が良好で且つ、断面形状の良好な遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを得ることができる。
また、構成12にあるように、構成9又は10に記載のフォトマスクブランクにおける遮光膜をエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、遮光膜パターンをマスクにして、エッチングによりハーフトーン型位相シフター膜をパターニングして、透光性基板上にハーフトーン型位相シフター膜パターンを形成するフォトマスクの製造方法によれば、断面形状の良好なハーフトーン型位相シフター膜パターンを精度良く形成されたフォトマスクを得ることができる。
構成14にあるように、遮光膜のパターニングを、前記遮光膜上に電子線描画用レジスト膜を形成し、電子線描画用レジスト膜に所定の電子線描画及び現像処理によって形成されるレジストパターンをマスクにしてドライエッチング処理により行うフォトマスクの製造方法によれば、遮光膜上にレジストパターンを形成するための電子線によるパターン描画を行っても、遮光膜に電荷がたまりチャージアップするのを抑制することができ、正確なパターン描画ができなかったり、放電による遮光膜パターン破壊を防止することができる。
また、構成15にあるように、構成14又は15に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写するので、半導体基板上に形成される回路パターンにより欠陥のない半導体装置を製造することができる。
このように、遮光膜の透光性基板側に形成する層の成膜速度よりも、遮光膜の表面側に形成する層の成膜速度を遅くすることで、遮光膜の深さ方向(つまり遮光膜の表面側から透光性基板側)に向かってドライエッチング速度を遅くさせるように制御することができる。これにより、グローバルローディング現象を低減させ、パターン精度を向上させることができる。
透光性基板側のドライエッチング速度が、表面側のドライエッチング速度に近づくにつれ、パターン粗密によるCDバイアス差、即ち、グローバルローディングエラーが大きくなる。そのため、透光性基板側のドライエッチング速度を、表面側のドライエッチング速度に対し適度に遅くすると、グローバルローディングエラーが低減し、パターン精度を向上させることができる。
具体的には、構成17にあるように、遮光膜の透光性基板側に形成する層と遮光膜の表面側に形成する層の成膜速度を2.5:1〜4.0:1とすると好適である。
構成20にあるように、遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止膜を形成する場合、前記透光性基板側に形成する層の成膜速度よりも成膜速度を遅くしたステップにより反射防止層を形成することができる。酸素を含む反射防止層は、酸素含有ガス雰囲気中で成膜されるが、例えば酸素含有ガス雰囲気中で反応性スパッタによりCrO膜を成膜する場合、成膜装置のパワーを上げて成膜速度を速めると、膜の欠陥が増加するという問題が発生するため、膜の欠陥を低減するためには成膜速度を遅くすることが好適である。
また、構成22にあるように、透光性基板と遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜を形成しても良い。
その場合、構成23にあるように、遮光膜は、ハーフトーン型位相シフター膜との積層構造において、露光光に対して光学濃度2.5以上となるように設定される。
構成24にあるように、構成16乃至23の何れか一に記載の製造方法により得られるフォトマスクブランクにおける遮光膜をドライエッチング処理を用いてパターニングする工程を有するフォトマスクの製造方法によれば、ドライエッチング時間を短縮でき、断面形状の良好な遮光膜パターンが精度良く形成されたフォトマスクを得ることができる。
構成25にあるように、構成22又は23に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、ドライエッチングにより前記ハーフトーン位相シフター膜パターンを形成するフォトマスクの製造方法によれば、断面形状の良好なハーフトーン型位相シフター膜パターンを精度良く形成されたフォトマスクを得ることができる。
構成26にあるように、構成24又は25に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写するので、半導体基板上に形成される回路パターンに欠陥のない半導体装置を製造することができる。
このように、遮光膜の透光性基板側におけるドライエッチング速度を、遮光膜の表面側におけるドライエッチング速度よりも遅くすることで、グローバルローディング現象を低減させ、パターン精度やパターンの断面形状を向上させることができる。
遮光膜における透光性基板側のドライエッチング速度が、表面側のドライエッチング速度に近づくにつれ、パターン粗密によるCDバイアス差、即ち、グローバルローディングエラーが大きくなる。そのため、遮光膜の透光性基板側のドライエッチング速度を、表面側のドライエッチング速度に対し適度に遅くすると、グローバルローディングエラーが低減し、パターン精度を向上させることができる。
また、遮光膜の材料は、露光光に対して遮光機能を有する材料であれば良く、例えば、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の遷移金属を含む材料とすることができる。構成29にあるように、遮光膜の材料は、主にクロムを含む材料が好適である。
構成30にあるように、本発明のフォトマスクブランクは、更に酸素を含むことが好ましく、この場合、遮光膜の表面側から透光性基板側(深さ方向)に向かって酸素の含有量が減少している領域を有することが好適である。クロムと酸素を含む材料からなる遮光膜は、クロム単体からなる遮光膜よりもドライエッチング速度が速くなり、ドライエッチング時間の短縮化を図ることができる。ドライエッチング速度を速くできることで、遮光膜のパターニングに必要なレジスト膜の膜厚を薄くすることができ、遮光膜のパターン精度(CD精度)が良好になる。そして、遮光膜の深さ方向に向かって酸素の含有量が減少していることにより、遮光膜の深さ方向に向かってドライエッチング速度を遅くさせるように制御することができるので、グローバルローディング現象を低減させ、パターン精度を向上させることができる。
特に、構成32にあるように、遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全域に窒素が含まれていると好適である。更に好ましくは、遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向において均一か、ほぼ均一に窒素が含まれていることが望ましい。具体的には、遮光膜中に含まれる、即ち表面側から透光性基板側に向かって含まれるクロムの割合(組成比)を1としたときに、表面側から透光性基板側に向かって0.5〜0.8の割合で窒素が含有されている状態が好ましい。
また、構成34,39にあるように、透光性基板と遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜を形成しても良い。
構成35にあるように、本発明のフォトマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクにおいて、 前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクであって、前記遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の全領域に窒素が含まれ、且つ、表面側から透光性基板側に向かって酸素の含有量が減少する構成にした。
このように、遮光膜に、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全域に窒素が含まれているので、ドライエッチング速度を速くでき、遮光膜のパターニングに必要なレジスト膜の膜厚を薄くすることができる。従って、遮光膜のパターン制度(CD精度)が良好になる。更に、遮光膜の表面側から透光性基板側に向かって酸素の含有量が減少させることで、グローバルローディング現象を低減させ、パターン精度やパターンの断面形状を向上させることができる。
尚、遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向において均一か、ほぼ均一に窒素が含まれていることが望ましい。具体的には、構成37にあるように、遮光膜中に含まれる、即ち表面側から透光性基板側に向かって含まれるクロムの割合(組成比)を1としたときに、表面側から透光性基板側に向かって0.5〜0.8の割合で窒素が含有されている状態が好ましい。
構成40にあるように、構成27乃至39の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける遮光膜を、ドライエッチング処理を用いてパターニングする工程を有するフォトマスクの製造方法によれば、ドライエッチング時間を短縮でき、断面形状の良好な遮光膜パターンが精度良く形成されたフォトマスクを得ることができる。
構成41にあるように、構成34又は39に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、ドライエッチングにより前記ハーフトーン型位相シフター膜をパターニングして前記透光性基板上にハーフトーン型位相シフター膜パターンを形成するフォトマスクの製造方法によれば、断面形状の良好なハーフトーン型位相シフター膜パターンを精度良く形成されたフォトマスクを得ることができる。
構成42にあるように、構成40又は41に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記ハーフトーン型位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写するので、半導体基板上に形成される回路パターンに欠陥のない半導体装置を製造することができる。
また、本発明によれば、遮光膜の深さ方向でのドライエッチング速度を最適化させることでグローバルローディング現象を低減でき、良好なパターン精度が得られるフォトマスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、遮光膜の深さ方向に向かってドライエッチング速度を遅くさせるようにして遮光膜の深さ方向でのドライエッチング速度を最適化させることでグローバルローディング現象を低減でき、良好なパターン精度が得られるフォトマスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、遮光膜のドライエッチング速度を高めることで、ドライエッチング時間が短縮でき、レジスト膜の膜減りを低減することができる。その結果、レジスト膜の薄膜化が可能となり、パターンの解像性、パターン精度(CD精度)を向上することができる。更に、ドライエッチング時間の短縮化により、断面形状の良好な遮光膜パターンが形成できるフォトマスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、遮光膜に必要な遮光性能を有しつつ、遮光膜の薄膜化により、断面形状の良好な遮光膜のパターンが形成することができるフォトマスクブランク、フォトマスクの製造方法を提供することができる。
2 遮光膜
3 レジスト膜
4 ハーフトーン型位相シフター膜
5 遮光層
6 反射防止層
2a 遮光膜のパターン
3a レジストパターン
10、30 フォトマスクブランク
20、40 フォトマスク
[第1の実施の形態]
図1は本発明のフォトマスクブランクの第1の実施の形態を示す断面図である。
図1のフォトマスクブランク10は、透光性基板1上に遮光膜2を有するバイナリマスク用フォトマスクブランクの形態のものである。
上記フォトマスクブランク10は、前記遮光膜2上に所定の電子線描画及び現像処理によって形成されるレジストパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜2をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のマスクブランクである。
ここで、透光性基板1としては、ガラス基板が一般的である。ガラス基板は、平坦度及び平滑度に優れるため、フォトマスクを使用して半導体基板上へのパターン転写を行う場合、転写パターンの歪み等が生じないで高精度のパターン転写を行える。
遮光膜2中の水素の含有量は、1原子%以上の範囲が好適である。水素の含有量が1原子%未満であると、遮光膜のシート抵抗を小さくして導電性を高める効果が得られにくい。遮光膜は、その上に形成するレジスト膜を電子線描画しパターニングする際にチャージアップしない程度の導電性を有する必要があるが、そのためには遮光膜のシート抵抗は、例えば、150Ω/□以下、好ましくは、100Ω/□以下、更に好ましくは50Ω/□以下とするのが良い。
遮光膜2中に含まれる水素の含有量は、好ましくは、3原子%以上、より好ましくは5原子%以上が望ましい。水素の含有量が15原子%を超えると、耐薬性(耐酸性、耐アルカリ性)が悪化するので好ましくない。
遮光膜2中には、さらに酸素や、窒素、炭素を含んでも良い。
遮光膜2中に酸素を含む場合、酸素の含有量は、5〜80原子%の範囲が好適である。酸素の含有量が5原子%未満であると、クロム単体よりもドライエッチング速度を速める効果が得られにくい。一方、酸素の含有量が80原子%を超えると、波長200nm以下の例えば、ArFエキシマレーザー(波長193nm)においての吸収係数が小さくなるため、所望の光学濃度(2.5以上)を得るためには膜厚を厚くする必要が生じてしまう。好ましい酸素の含有量は、10〜50原子%とすることが望ましい。
また、遮光膜2中に酸素と窒素の両方を含んでも良い。その場合の含有量は、酸素と窒素の合計が、10〜80原子%の範囲とするのが好適である。また、遮光膜2中に酸素と窒素の両方を含む場合の酸素と窒素の含有比は、特に制約はされず、吸収係数等の兼ね合いで適宜決定される。
また、上記遮光膜2は、水素の含有量が深さ方向で異なり、表層部の反射防止層と、それ以外の層(遮光層)で連続的又は段階的に傾斜した組成傾斜膜としても良い。この場合、前述のように、遮光膜2の表面側の反射防止層の領域に水素の含有量を多くして遮光膜の導電性を高めたり、深さ方向に向かって水素の含有量を減少することで、遮光膜の深さ方向におけるドライエッチング速度を遅くさせるようにしても良い。この場合、ドライエッチング時のグローバルローディング現象により線幅エラーを低減することができる。また、遮光膜2の深さ方向の一部の領域において、水素の含有量が減少している組成傾斜膜としても良い。さらに、遮光膜2として、クロムと水素以外に、窒素、酸素、炭素等の元素を含む場合においても、遮光膜の深さ方向で異なり、また、深さ方向に連続的に又は段階的に組成傾斜した組成傾斜膜としても良い。このような遮光膜を組成傾斜膜とするためには、例えば、前述のスパッタリング成膜時のスパッタガスの種類(組成)を成膜中に切り替える方法、成膜時のスパッタガスのガス圧を変化させる方法等が挙げられる。
尚、遮光膜2中に含まれる水素の含有量を調整するには、水素ガスの流量、炭化水素ガスの流量、炭化水素ガスの種類、スパッタガス圧などの条件を選択することにより調整することができる。
このフォトマスクブランク10を用いたフォトマスクの製造方法は、フォトマスクブランク10の遮光膜2を、ドライエッチングを用いてパターニングする工程を有し、具体的には、フォトマスクブランク10上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン露光(パターン描画)を施す工程と、所望のパターン露光に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンに沿って前記遮光膜をエッチングする工程と、残存したレジストパターンを剥離除去する工程とを有する。
図2(a)は、図1のフォトマスクブランク10の遮光膜2上にレジスト膜3を形成した状態を示している。尚、レジスト材料としては、ポジ型レジスト材料でも、ネガ型レジスト材料でも用いることができる。
次に、図2(b)は、フォトマスクブランク10上に形成されたレジスト膜3に対し、所望のパターン露光(パターン描画)を施す工程を示す。パターン露光は、電子線描画装置などを用いて行われる。上述のレジスト材料は、電子線又はレーザーに対応する感光性を有するものが使用される。上記遮光膜2は導電性を有しているので、電子線描画時のチャージアップを防止できる。
次に、図2(c)は、所望のパターン露光に従ってレジスト膜3を現像してレジストパターン3aを形成する工程を示す。該工程では、フォトマスクブランク10上に形成したレジスト膜3に対し所望のパターン露光を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターン3aを形成する。
このドライエッチングには、塩素系ガス、又は、塩素系ガスと酸素ガスとを含む混合ガスからなるドライエッチングガスを用いることが本発明にとって好適である。本発明におけるクロムと水素と酸素、窒素等の元素とを含む材料からなる遮光膜2に対しては、上記のドライエッチングガスを用いてドライエッチングを行うことにより、ドライエッチング速度を高めることができ、ドライエッチング時間の短縮化を図ることができ、断面形状の良好な遮光膜パターンを形成することができる。ドライエッチングガスに用いる塩素系ガスとしては、例えば、Cl2,SiCl4,HCl、CCl4、CHCl3等が挙げられる。
尚、本発明は以上説明した実施の形態には限定されない。即ち、透光性基板上に遮光膜を形成した、所謂バイナリマスク用フォトマスクブランクに限らず、例えば、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるためのフォトマスクブランクであってもよい。この場合、後述する第二の実施の形態に示すように、透光性基板上のハーフトーン位相シフター膜上に遮光膜が形成される構造となり、ハーフトーン位相シフター膜と遮光膜とを合わせて所望の光学濃度(例えば2.5以上)が得られればよいため、遮光膜自体の光学濃度は例えば2.5よりも小さい値とすることもできる。
次に、図3(a)を用いて本発明のフォトマスクブランクの第2の実施の形態を説明する。
図3(a)のフォトマスクブランク30は、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2を有する形態のものである。透光性基板1、遮光膜2については、上記第1の実施の形態で説明したので省略する。
上記ハーフトーン型位相シフター膜4は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差を有するものである。このハーフトーン型位相シフター膜4は、該ハーフトーン型位相シフター膜4をパターニングした光半透過部と、ハーフトーン型位相シフター膜4が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回りこんだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この第2の実施の形態における上記遮光膜2は、ハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜とを合わせた積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定する。そのように設定される遮光膜2の膜厚は、50nm以下であることが好ましい。その理由は、上記第1の実施の形態と同様であって、ドライエッチング時のパターンのマイクロローディング現象等によって、微細パターンの形成が困難となる場合が考えられるからである。また、本実施の形態において、上記反射防止層6上に形成するレジスト膜の膜厚は、250nm以下が好ましい。さらに好ましくは、200nm以下、さらに好ましくは150nm以下とすることが望ましい。レジスト膜の膜厚の下限は、レジストパターンをマスクにして遮光膜をドライエッチングしたときに、レジスト膜が残存するように設定される。上述の点を考慮すると、レジスト膜の膜厚は、10nm以上300nm以下、15nm以上200nm以下、20nm以上150nm以下とすることが好ましい。また、前述の実施の形態の場合と同様、高い解像度を得るために、レジスト膜の材料はレジスト感度の高い化学増幅型レジストが好ましい。特に、レジスト膜を50keV以上の電子線描画してレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることで、フォトマスクを製造する際に用いられるフォトマスクブランクに適している。
本発明により得られるフォトマスクブランクの第3の実施の形態を示す断面図は、前述の図1と同様であるので、本実施の形態においても図1を参照して説明する。
フォトマスクブランク10は、透光性基板1上に遮光膜2を有するバイナリマスク用フォトマスクブランクの形態のものである。
上記フォトマスクブランク10は、前記遮光膜2上に形成されるレジストパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜2をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のマスクブランクである。
ここで、透光性基板1としては、ガラス基板が一般的である。ガラス基板は、平坦度及び平滑度に優れるため、フォトマスクを使用して半導体基板上へのパターン転写を行う場合、転写パターンの歪み等が生じないで高精度のパターン転写を行える。
具体的な遮光膜2の材料としては、クロムと、クロム単体よりもドライエッチング速度が速くなる添加元素とを含む材料が挙げられる。このようなクロム単体よりもドライエッチング速度が速くなる添加元素としては、酸素と窒素の少なくとも一方の元素を含むことが好ましい。
また、遮光膜2の材料は、上記クロムを含む材料に限らず、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の遷移金属を含む材料とすることができる。更には、遮光膜2が多層の場合は、遮光膜2を構成する全ての層において、上記遷移金属を含む材料としてもよいし、また各層毎に違う遷移金属を含む材料としてもかまわない。
また、遮光膜2中に窒素を含む場合の窒素の含有量は、15〜80原子%の範囲が好適である。窒素の含有量が20原子%未満であると、クロム単体よりもドライエッチング速度が速くなる効果が得られ難い。また、窒素の含有量が80原子%を超えると、波長200nm以下の例えばArFエキシマレーザー(波長193nm)においての吸収係数が小さくなるため、所望の光学濃度(例えば2.5以上)を得るためには膜厚を厚くする必要が生じてしまう。
また、遮光膜2中に炭素を含む場合、炭素の含有量は、1〜20原子%の範囲が好適である。炭素は導電性を高める効果、反射率を低減させる効果がある。しかし、遮光膜中に炭素が含まれていると、ドライエッチング速度が低下し、遮光膜をドライエッチングによりパターニングする際に要するドライエッチング時間が長くなり、レジスト膜を薄膜化することが困難となる。以上の点から、炭素の含有量は、1〜20原子%が好ましく、さらに好ましくは、3〜15原子%が望ましい。
このように、透光性基板側に形成する層の成膜速度よりも遮光膜の表面側に形成する層の成膜速度を遅くすることで、遮光膜の深さ方向(つまり遮光膜の表面側から透光性基板側)に向かってドライエッチング速度を遅くさせるように制御することができ、これによりグローバルローディング現象を低減させ、パターン精度を向上させることができる。
このように遮光膜の成膜速度を変更する時点は、遮光膜の深さ方向でのドライエッチング速度を上述のように好適に制御できるように、適宜決定される。例えば、遮光膜の成膜中にスパッタガスの種類(組成)を変更することにより遮光膜組成を変えるタイミングと合わせて遮光膜の成膜速度を変更するようにしても良い。尚、遮光膜のドライエッチング速度は、遮光膜の材料によっても異なるので、遮光膜を深さ方向での組成傾斜膜とした場合、組成傾斜によるドライエッチング速度の変化を考慮して、上述の成膜速度を変更するタイミングを決定するのがよい。また、遮光膜の深さ方向でドライエッチング速度が段階的に変わるようにしても良いし、連続的に変わるようにしても良い。
尚、反射防止層は必要に応じて透光性基板側にも設けてもよい。
また、上記遮光膜2は、クロムと、窒素、酸素、炭素等の元素の含有量が深さ方向で異なり、表層部の反射防止層と、それ以外の層(遮光層)で段階的、又は連続的に組成傾斜した組成傾斜膜としても良い。このような遮光膜を組成傾斜膜とするためには、例えば前述のスパッタリング成膜時のスパッタガスの種類(組成)を成膜中に適宜切替える方法が好適である。
尚、本発明は以上説明した実施の形態には限定されない。即ち、透光性基板上に遮光膜を形成した、所謂バイナリマスク用フォトマスクブランクに限らず、例えば、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるためのフォトマスクブランクであってもよい。この場合、後述する第4の実施の形態に示すように、透光性基板上のハーフトーン位相シフター膜上に遮光膜が形成される構造となり、ハーフトーン位相シフター膜と遮光膜とを合わせて所望の光学濃度(例えば2.5以上)が得られればよいため、遮光膜自体の光学濃度は例えば2.5よりも小さい値とすることもできる。
次に、本発明のフォトマスクブランクの第4の実施の形態を説明する。本実施の形態の断面図は前述の図3(a)(実施の形態2)と同様であるので、図3(a)を参照して説明する。
図3(a)のフォトマスクブランク30は、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2を有する形態のものである。本実施の形態における透光性基板1、遮光膜2については、上記第3の実施の形態で説明したので省略する。
上記ハーフトーン型位相シフター膜4は、前述の第2の実施の形態と同様、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差を有するものである。
本実施の形態における上記遮光膜2は、ハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜とを合わせた積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定する。そのように設定される遮光膜2の膜厚は、50nm以下であることが好ましい。その理由は、上記第1の実施の形態と同様であって、ドライエッチング時のパターンのマイクロローディング現象等によって、微細パターンの形成が困難となる場合が考えられるからである。遮光膜の膜厚を50nm以下とすることにより、ドライエッチング時のグローバルローディング現象及びマイクロローディング現象による線幅エラーを更に低減することができる。また、本実施の形態において、上記反射防止層6上に形成するレジスト膜の膜厚は、250nm以下が好ましい。さらに好ましくは、200nm以下、さらに好ましくは150nm以下とすることが望ましい。レジスト膜の膜厚の下限は、レジストパターンをマスクにして遮光膜をドライエッチングしたときに、レジスト膜が残存するように設定される。上述の点を考慮すると、レジスト膜の膜厚は、10nm以上250nm以下、15nm以上200nm以下、20nm以上150nm以下とすることが好ましい。また、前述の実施の形態の場合と同様、高い解像度を得るために、レジスト膜の材料はレジスト感度の高い化学増幅型レジストが好ましい。特に、レジスト膜を50keV以上の電子線描画してレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることで、フォトマスクを製造する際に用いられるフォトマスクブランクに適している。
次に、本発明により得られるフォトマスクブランクの第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態の断面図は前述の図1と同様であるので、図1を参照して説明する。
本実施の形態のフォトマスクブランク10は、透光性基板1上に遮光膜2を有するバイナリマスク用フォトマスクブランクの形態のものである。
上記フォトマスクブランク10は、前記遮光膜2上に形成されるレジストパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜2をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のマスクブランクである。
ここで、透光性基板1としては、ガラス基板が一般的である。ガラス基板は、平坦度及び平滑度に優れるため、フォトマスクを使用して半導体基板上へのパターン転写を行う場合、転写パターンの歪み等が生じないで高精度のパターン転写を行える。
具体的な遮光膜2の材料としては、クロムと、クロム単体よりもドライエッチング速度が速くなる添加元素とを含む材料が挙げられ、このようなクロム単体よりもドライエッチング速度が速くなる添加元素としては、上述のように少なくとも酸素を含むことが好ましい。
また、遮光膜2の材料は、上記クロムを含む材料に限らず、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の遷移金属を含む材料とすることができる。更には、遮光膜2が多層の場合は、遮光膜2を構成する全ての層において、上記遷移金属を含む材料としてもよいし、また各層毎に違う遷移金属を含む材料としてもかまわない。
また、遮光膜2中に酸素と窒素の両方を含んでもよい。その場合の含有量は、酸素と窒素の合計が10〜80原子%の範囲とするのが好適である。また、遮光膜2中に酸素と窒素の両方を含む場合の酸素と窒素の含有比は、特に制約はされず、吸収係数等の兼ね合いで適宜決定される。
また、上記遮光膜2は、クロムと、酸素、窒素、炭素等の元素の含有量が深さ方向で異なり、表層部の反射防止層と、それ以外の層(遮光層)で段階的、又は連続的に組成傾斜した組成傾斜膜としても良い。このような遮光膜を組成傾斜膜とするためには、例えば前述のスパッタリング成膜時のスパッタガスの種類(組成)を成膜中に適宜切替える方法が好適である。
尚、遮光膜のドライエッチング速度を深さ方向に向かって遅くさせるように制御するため、例えば遮光膜中に酸素を含み、酸素の含有量を遮光膜の深さ方向に向かって減少するような組成傾斜膜とする場合を説明したが、これに限らず、例えば遮光膜中に水素を含有し、水素含有量が遮光膜の深さ方向で異なる組成傾斜膜としたり、或いは、遮光膜の成膜速度を成膜中に適宜変更することにより、遮光膜のドライエッチング速度を深さ方向に向かって遅くさせるように制御してもよい。
尚、本発明は以上説明した実施の形態には限定されない。即ち、透光性基板上に遮光膜を形成した、所謂バイナリマスク用フォトマスクブランクに限らず、例えば、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるためのフォトマスクブランクであってもよい。この場合、後述する第6の実施の形態に示すように、透光性基板上のハーフトーン位相シフター膜上に遮光膜が形成される構造となり、ハーフトーン位相シフター膜と遮光膜とを合わせて所望の光学濃度(例えば2.5以上)が得られればよいため、遮光膜自体の光学濃度は例えば2.5よりも小さい値とすることもできる。
次に、本発明のフォトマスクブランクの第6の実施の形態を説明する。第6の実施の形態の断面図は前述の図3(a)(第2の実施の形態)と同様であるので、図3(a)を参照して説明する。
本実施の形態のフォトマスクブランク30は、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2を有する形態のものである。本実施の形態における透光性基板1、遮光膜2については、上記第5の実施の形態で説明したので省略する。
上記ハーフトーン型位相シフター膜4は、前述の実施の形態と同様、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差を有するものである。
この第6の実施の形態における上記遮光膜2は、ハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜とを合わせた積層構造において、露光光に対して光学濃度が2.5以上となるように設定する。そのように設定される遮光膜2の膜厚は、50nm以下であることが好ましい。その理由は、上記第1の実施の形態と同様であって、ドライエッチング時のパターンのマイクロローディング現象等によって、微細パターンの形成が困難となる場合が考えられるからである。また、本実施の形態において、上記反射防止層6上に形成するレジスト膜の膜厚は、250nm以下が好ましい。さらに好ましくは、200nm以下、さらに好ましくは150nm以下とすることが望ましい。レジスト膜の膜厚の下限は、レジストパターンをマスクにして遮光膜をドライエッチングしたときに、レジスト膜が残存するように設定される。上述の点を考慮すると、レジスト膜の膜厚は、10nm以上250nm以下、15nm以上200nm以下、20nm以上150nm以下とすることが好ましい。また、前述の実施の形態の場合と同様、高い解像度を得るために、レジスト膜の材料はレジスト感度の高い化学増幅型レジストが好ましい。特に、レジスト膜を50keV以上の電子線描画してレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることで、フォトマスクを製造する際に用いられるフォトマスクブランクに適している。
(実施例1)
前述の図2は、本実施例に係るフォトマスクブランク及びこのフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造工程を示す断面図である。本実施例のフォトマスクブランク10は、同図(a)に示すように、透光性基板1上に遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランク10は、次のような方法で製造することができる。
インライン型スパッタリング装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板1上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは1.16kW、全ガス圧は0.17パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。この遮光膜の膜厚は、67nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は32.5原子%、酸素(O)は12.8原子%、水素(H)は5.9原子%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が8.0原子%含まれていた。
この結果によると、遮光膜のうち遮光層は、クロム、窒素及び反射防止層の形成に用いた酸素、炭素が若干混入した組成傾斜膜となった。また反射防止層は、クロム、窒素、及び酸素、並びに、炭素が若干混入した組成傾斜膜となった。また、遮光膜中の水素については、深さ方向全体に含まれており、表面側の反射防止層中の含有量が高く、全体としては遮光膜の深さ方向に向かって水素の含有量が略減少している水素の組成傾斜膜となった。
この遮光膜の露光波長193nmにおける光学濃度は、3.0であった。また、この遮光膜の露光波長193nmにおける反射率は14.8%と低く抑えることができた。さらに、フォトマスクの欠陥検査波長である257nm又は364nmに対しては、それぞれ19.9%、19.7%となり、検査する上でも問題とならない反射率であった。
次に、前記フォトマスクブランク10上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムアーチ社製:FEP171、膜厚:250nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次にフォトマスクブランク10上に形成されたレジスト膜3に対し、電子線描画装置を用いて、所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン3aを形成した(図2(b)(c)参照)。
本実施例では、遮光膜2全体に水素を含有させることによってエッチング速度を速めるとともに、遮光層に主に窒素を多く含め、反射防止層に主に酸素を多く含めることによって、遮光膜2全体のエッチング速度を速くするようにした。このように、遮光膜2は膜厚が薄い上にエッチング速度が速く、エッチング時間も速いことから、遮光膜パターン2aの断面形状も垂直形状となり良好となった。また、遮光膜パターン2a上にはレジスト膜が残存していた。
最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスク20を得た(図2(e)参照)。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
インライン型スパッタリング装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとプロパンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:57体積%、C3H8:3体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは1.14kW、全ガス圧は0.17パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.30パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。この遮光膜の膜厚は、67nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は30.2原子%、酸素(O)は12.0原子%、水素(H)は1.8原子%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が10.1原子%含まれていた。
また、この遮光膜のシート抵抗は、4端子法で測定したところ、110Ω/□と小さい値を示していた。
次に、前記フォトマスクブランク上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムアーチ社製:FEP171、膜厚:250nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次に、上記レジストパターンに沿って、遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2のドライエッチング処理を行って遮光膜パターン2aを形成した。ドライエッチングガスとして、塩素(Cl2)ガスと酸素(O2)ガスの混合ガス(Cl2:O2=4:1)を用いた。このときのエッチング速度は、3.3Å/秒であり、非常に速いものであった。
最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスクを得た。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
インライン型スパッタリング装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスと水素ガスの混合ガス(Ar:44体積%、CH4:6体積%、He:40体積%、H2:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光膜成膜時のスパッタリング装置のパワーは1.18kW、全ガス圧は0.17パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.26パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。この遮光膜の膜厚は、67nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は35.3原子%、酸素(O)は13.0原子%、水素(H)は8.9原子%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が4.0原子%含まれていた。この遮光膜の露光波長193nmにおける光学濃度は、3.0であった。また、この遮光膜の露光波長193nmにおける反射率は15.0%と低く抑えることができた。さらにフォトマスクの欠陥検査波長である257nm又は364nmに対しては、それぞれ18.2%、18.5%となり、検査する上でも問題とならない反射率であった。
次に、前記フォトマスクブランク上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムアーチ社製:FEP171、膜厚:250nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次にフォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
本実施例では、遮光膜2全体に水素を含有させることによってエッチング速度を速めるとともに、遮光層に主に窒素を多く含め、反射防止層に主に酸素を多く含めることによって、遮光膜2全体のエッチング速度を速くするようにした。このように、遮光膜2は膜厚が薄い上にエッチング速度が速く、エッチング時間も速いことから、遮光膜パターン2aの断面形状も垂直形状となり良好となった。また、遮光膜パターン2a上にはレジスト膜が残存していた。最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスクを得た。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
図3は、本実施例に係るフォトマスクブランク及びこのフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造工程を示す断面図である。本実施例のフォトマスクブランク30は、同図(a)に示すように、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランク30は、次のような方法で製造することができる。
合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10体積%:90体積%)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン、及び窒素を主たる構成要素とする単層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を膜厚69nmに形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は5.5%、位相シフト量が略180°となっている。
次に、前記フォトマスクブランク30上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムアーチ社製:FEP171、膜厚:200nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次に、前記フォトマスクブランク30上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、所望のパターン描画(70nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン7を形成した(図3(b)参照)。
次に、上記レジストパターン7に沿って、遮光層5と反射防止層6とならなる遮光膜2のドライエッチングを行って遮光膜パターン2aを形成した(同図(c)参照)。
次に、残存するレジストパターン7を剥離後、再度レジスト膜8を塗布し、転写領域内の不要な遮光膜パターンを除去するためのパターン露光を行った後、該レジスト膜8を現像してレジストパターン8aを形成した(同図(e)、(f)参照)。次いで、ウェットエッチングを用いて不要な遮光膜パターンを除去し、残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスク40を得た(同図(g)参照)。その結果、透光性基板上に、70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することが出来た。
実施例4と同じ合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにタンタル(Ta)とハフニウム(Hf)との混合ターゲット(Ta:Hf=90:10at%)を用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で、DCマグネトロンスパッタリングにより、膜厚75ÅのTaHf膜を形成し、次に、Siターゲットを用い、アルゴンと酸素と窒素の混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより、膜厚740ÅのSiON膜(Si:O:N=40:27:33at%)を形成した。つまり、TaHf膜を下層とし、SiON膜を上層とする二層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は15.0%と高透過率を有し、位相シフト量が略180°となっている。
このようにして得られたハーフトーン型位相シフトマスク用のフォトマスクブランクを用いて、実施例4と同様に、ハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。但し、本実施例では、図4に示すように、転写領域内の遮光膜パターンを除去せずに、マスクパターンにおける光透過部(マスクパターンが形成されておらず透明基板が露出している部分)との境界部を除く部分に遮光膜を形成させておいた。
その結果、透光性基板上に、70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することが出来た。
実施例1において、反射防止層の形成を、アルゴンガスと二酸化炭素ガスの混合ガス(Ar:92体積%、CO2:8体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことで形成した以外は、実施例1と同様にしてフォトマスクブランクを作製した。尚、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.35kW、全ガス圧は0.20パスカル(Pa)の条件で形成した。遮光膜の膜厚は、70nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は38.0原子%、酸素(O)は12.1原子%、水素(H)は0%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が10.8原子%含まれていた。
また、この遮光膜のシート抵抗は、4端子法で測定したところ、200Ω/□であった。
次に、得られたフォトマスクブランクを用いて、実施例1と同様にして、フォトマスクを作製した。遮光膜のドライエッチング速度は、2.1Å/秒であり、非常に遅いものであった。このように、本比較例の遮光膜はエッチング速度が遅く、エッチング時間も長くなることから、形成された遮光膜パターンの断面形状も悪かった。また、80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが正確に形成することができなかった。
実施例1〜5によって得られたフォトマスクを露光装置にセットし、半導体基板上のレジスト膜にパターン転写を行って、半導体装置を作製したところ、半導体基板上に形成された回路パターンの欠陥もなく、良好な半導体装置を得ることができた。
上記実施例1〜5におけるフォトマスク作製過程における電子線描画の際の電子線の加速電圧を50keV以上とした際も、遮光膜の導電性は良好で、形成された遮光膜パターンの断面形状は垂直形状で良好、80nmや70nmのラインアンドスペースパターンも良好に形成されたフォトマスクが得られた。
(実施例6)
本実施例のフォトマスクブランクは、透光性基板1上に遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランクは、次のような方法で製造することができる。
スパッタリング装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板1上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは1.16kW、全ガス圧は0.17パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。遮光層と反射防止層の成膜速度の比率は、3.2:1であった。遮光膜の膜厚は、67nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は32.5原子%、酸素(O)は12.8原子%、水素(H)は5.9原子%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が8.0原子%含まれていた。
この結果によると、遮光膜のうち遮光層は、クロム、窒素及び反射防止層の形成に用いた酸素、炭素が若干購入した組成傾斜膜となった。また反射防止層は、クロム、窒素、及び酸素、並びに、炭素が若干購入した組成傾斜膜となった。また、遮光膜中の水素については、深さ方向全体に含まれており、表面側の反射防止層中の含有量が高く、全体としては遮光膜の深さ方向に向かって水素の含有量が略減少している水素の組成傾斜膜となった。
この遮光膜の光学濃度は、3.0であった。また、この遮光膜の露光波長193nmにおける反射率は14.8%と低く抑えることができた。さらに、フォトマスクの欠陥検査波長である257nm又は364nmに対しては、それぞれ19.9%、19.7%となり、検査する上でも問題とならない反射率であった。
次にフォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンに沿って、遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2のドライエッチング処理を行って遮光膜パターン2aを形成した。ドライエッチングガスとして、塩素(Cl2)ガスと酸素(O2)ガスの混合ガス(Cl2:O2=4:1)を用いた。このときエッチング速度は、反射防止層が4.9Å/秒、遮光層が3.3Å/秒で、遮光膜全体のエッチング速度は、3.6Å/秒であった。遮光膜の深さ方向におけるエッチング速度は、遮光膜の表面側のエッチング速度が速く、透光性基板側が遅い傾向であった。
最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスクを得た。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
スパッタリングターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガス(Ar:50体積%、N2:50体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板1上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.9kW、全ガス圧は0.2パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。遮光層と反射防止層の成膜速度の比率は、3.8:1であった。遮光膜の膜厚は、65nmであった。
次にフォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンに沿って、遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2のドライエッチング処理を行って遮光膜パターン2aを形成した。ドライエッチングガスとして、塩素(Cl2)ガスと酸素(O2)ガスの混合ガス(Cl2:O2=4:1)を用いた。このときエッチング速度は、反射防止層が4.9Å/秒、遮光層が2.9Å/秒で、遮光膜全体のエッチング速度は、3.2Å/秒であった。遮光膜の深さ方向におけるエッチング速度は、遮光膜の表面側のエッチング速度が速く、透光性基板側が遅い傾向であった。
最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスクを得た。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
図3は、本実施例に係るフォトマスクブランク及びこのフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造工程を示す断面図である。本実施例のフォトマスクブランク30は、同図(a)に示すように、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランク30は、次のような方法で製造することができる。
合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10体積%:90体積%)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン、及び窒素を主たる構成要素とする単層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を膜厚69nmに形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は5.5%、位相シフト量が略180°となっている。
次に、前記フォトマスクブランク30上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製:FEP171、膜厚:200nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次に、前記フォトマスクブランク30上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、所望のパターン描画(70nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン7を形成した(図3(b)参照)。
次に、上記レジストパターン7に沿って、遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2のドライエッチングを行って遮光膜パターン2aを形成した(同図(c)参照)。
次に、残存するレジストパターン7を剥離後、再度レジスト膜8を塗布し、転写領域内の不要な遮光膜パターンを除去するためのパターン露光を行った後、該レジスト膜8を現像してレジストパターン8aを形成した(同図(e)、(f)参照)。次いで、ウェットエッチングを用いて不要な遮光膜パターンを除去し、残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスク40を得た(同図(g)参照)。
その結果、透光性基板上に、70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することが出来た。また、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まった。
実施例6と同じ合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにタンタル(Ta)とハフニウム(Hf)との混合ターゲット(Ta:Hf=90:10at%)を用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で、DCマグネトロンスパッタリングにより、膜厚75ÅのTaHf膜を形成し、次に、Siターゲットを用い、アルゴンと酸素と窒素の混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより、膜厚740ÅのSiON膜(Si:O:N=40:27:33at%)を形成した。つまり、TaHf膜を下層とし、SiON膜を上層とする二層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は15.0%と高透過率を有し、位相シフト量が略180°となっている。
このようにして得られたハーフトーン型位相シフトマスク用のフォトマスクブランクを用いて、実施例8と同様に、ハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。但し、本実施例では、図4に示すように、転写領域内の遮光膜パターンを除去せずに、マスクパターンにおける光透過部(マスクパターンが形成されておらず透明基板が露出している部分)との境界部を除く部分に遮光膜を形成させておいた。
その結果、透光性基板上に、70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することが出来た。また、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まった。
スパッタリングターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板1上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。遮光層と反射防止層の成膜速度の比率は、1:1であった。遮光膜の膜厚は、70nmであった。
次にフォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
本比較例では、遮光膜2における遮光層の成膜速度と反射防止層の成膜速度を同じにして形成したことにより、遮光膜の深さ方向に向かってドライエッチング速度が略一定となり、そのためグローバルローディングエラーが大きくなり、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まらなかった。
(半導体装置の製造方法)
上述の実施例6〜9によって得られたフォトマスクを露光装置にセットし、半導体基板上のレジスト膜にパターン転写を行って、半導体装置を作製したところ、半導体基板上に形成された回路パターンの欠陥もなく、良好な半導体装置を得ることができた。
上記実施例6〜9におけるフォトマスク作製過程における電子線描画の際の電子線の加速電圧を50keV以上とした際も、遮光膜の導電性は良好で、形成された遮光膜パターンの断面形状は垂直形状で良好、80nmや70nmのラインアンドスペースパターンも良好に形成され、さらにグローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まったフォトマスクが得られた。
(実施例10)
本実施例のフォトマスクブランクは、透光性基板1上に遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランクは、次のような方法で製造することができる。
スパッタリング装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンガスと窒素ガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:30体積%、N2:30体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行って透光性基板1上に遮光層を形成し、その後、アルゴンガスとメタンガスとヘリウムガスの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、引き続き、アルゴンガスと一酸化窒素ガスの混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成し、合成石英ガラスからなる透光性基板1上に遮光膜2を形成した。尚、上記遮光層成膜時のスパッタリング装置のパワーは1.16kW、全ガス圧は0.17パスカル(Pa)、反射防止層成膜時のスパッタリング装置のパワーは0.33kW、全ガス圧は0.28パスカル(Pa)の条件で遮光膜を形成した。遮光層と反射防止層の成膜速度の比率は、3.2:1であった。遮光膜の膜厚は、67nmであった。遮光膜について、ラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果、窒素(N)は32.5原子%、酸素(O)は12.8原子%、水素(H)は5.9原子%が含まれているクロム(Cr)膜であった。また、オージエ電子分光法により組成分析を行った結果、上記遮光膜中には炭素(C)が8.0原子%含まれていた。
この結果によると、遮光膜のうち遮光層は、クロム、窒素及び反射防止層の形成に用いた酸素、炭素が若干混入した組成傾斜膜となった。また反射防止層は、クロム、窒素、及び酸素、並びに、炭素が若干混入した組成傾斜膜となった。
図8は本実施例の遮光膜のラザフォード後方散乱分析法により組成分析を行った結果であり、Crの組成比を1としたときの遮光膜の表面側から透光性基板側のクロム(Cr)、窒素(N)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C)の分布を示す図である。図8に示すように、遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全域に窒素(N)が含まれており、更に、表面側から透光性基板側に向かって酸素(O)の含有量が減少していることがわかる。また、表面側から透光性基板側に向かって水素(H)の含有量も減少している。ここで、窒素(N)は、遮光膜中に含まれるクロム(Cr)の割合(組成比)を1としたときに、窒素(N)は、表面側から透光性基板側の略全域において、0.65〜0.67と均一に含まれていた。
この遮光膜の光学濃度は、3.0であった。また、この遮光膜の露光波長193nmにおける反射率は14.8%と低く抑えることができた。さらに、フォトマスクの欠陥検査波長である257nm又は364nmに対しては、それぞれ19.9%、19.7%となり、検査する上でも問題とならない反射率であった。
次にフォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画(80nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターンを形成した。
次に、上記レジストパターンに沿って、遮光層と反射防止層とからなる遮光膜2のドライエッチング処理を行って遮光膜パターン2aを形成した。ドライエッチングガスとして、塩素(Cl2)ガスと酸素(O2)ガスの混合ガス(Cl2:O2=4:1)を用いた。このときエッチング速度は、反射防止層が4.9Å/秒、遮光層が3.3Å/秒で、遮光膜全体のエッチング速度は、3.6Å/秒であった。遮光膜の深さ方向におけるエッチング速度は、遮光膜の表面側のエッチング速度が速く、透光性基板側が遅い傾向であった。
最後に残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスクを得た。その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。
図3は、本実施例に係るフォトマスクブランク及びこのフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造工程を示す断面図である。本実施例のフォトマスクブランク30は、同図(a)に示すように、透光性基板1上に、ハーフトーン型位相シフター膜4とその上の遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2からなる。
このフォトマスクブランク30は、次のような方法で製造することができる。
合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10体積%:90体積%)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン、及び窒素を主たる構成要素とする単層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を膜厚69nmに形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は5.5%、位相シフト量が略180°となっている。
次に、前記フォトマスクブランク30上に、化学増幅型レジストである電子線描画用レジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製:FEP171、膜厚:200nm)を形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。尚、上記レジスト膜を塗布後、加熱乾燥装置を用いて所定の加熱乾燥処理を行った。
次に、前記フォトマスクブランク30上に形成されたレジスト膜に対し、電子線描画装置を用いて、所望のパターン描画(70nmのラインアンドスペースパターン)を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン7を形成した(図3(b)参照)。
次に、上記レジストパターン7に沿って、遮光層5と反射防止層6とからなる遮光膜2のドライエッチングを行って遮光膜パターン2aを形成した(同図(c)参照)。
次に、残存するレジストパターン7を剥離後、再度レジスト膜8を塗布し、転写領域内の不要な遮光膜パターンを除去するためのパターン露光を行った後、該レジスト膜8を現像してレジストパターン8aを形成した(同図(e)、(f)参照)。次いで、ウェットエッチングを用いて不要な遮光膜パターンを除去し、残存するレジストパターンを剥離して、フォトマスク40を得た(同図(g)参照)。
その結果、透光性基板上に70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。また、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まった。
実施例10と同じ合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにタンタル(Ta)とハフニウム(Hf)との混合ターゲット(Ta:Hf=90:10at%)を用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中で、DCマグネトロンスパッタリングにより、膜厚75ÅのTaHf膜を形成し、次に、Siターゲットを用い、アルゴンと酸素と窒素の混合ガス雰囲気中で、反応性スパッタリングにより、膜厚740ÅのSiON膜(Si:O:N=40:27:33at%)を形成した。つまり、TaHf膜を下層とし、SiON膜を上層とする二層で構成されたArFエキシマレーザー(波長193nm)用ハーフトーン型位相シフター膜を形成した。尚、このハーフトーン型位相シフター膜は、ArFエキシマレーザー(波長193nm)でおいて、透過率は15.0%と高透過率を有し、位相シフト量が略180°となっている。
このようにして得られたハーフトーン型位相シフトマスク用のフォトマスクブランクを用いて、実施例11と同様に、ハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。但し、本実施例では、図4に示すように、転写領域内の遮光膜パターンを除去せずに、マスクパターンにおける光透過部(マスクパターンが形成されておらず透明基板が露出している部分)との境界部を除く部分に遮光膜を形成させておいた。
その結果、透光性基板上に70nmのラインアンドスペースのハーフトーン型位相シフター膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができた。また、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まった。
実施例10と同じ石英ガラスからなる透光性基板上に、インライン型スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにクロムターゲットを使用し、アルゴンと窒素の混合ガス(Ar:50体積%、N2:50体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行い、次にアルゴンとメタンとヘリウムの混合ガス(Ar:54体積%、CH4:6体積%、He:40体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、遮光層を形成した。引続き、アルゴンと一酸化窒素の混合ガス(Ar:90体積%、NO:10体積%)雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことによって、反射防止層を形成した。このようにして、総膜厚が68nmの遮光層及び反射防止層からなる遮光膜が形成された。
本比較例の遮光膜は、光学濃度が3.0であった。また、この遮光膜の露光波長193nmにおける反射率は12.0%と低く抑えることができた。
その結果、透光性基板上に80nmのラインアンドスペースの遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを作製することができたが、グローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まらなかった。
(半導体装置の製造方法)
実施例10〜12によって得られたフォトマスクを露光装置にセットし、半導体基板上のレジスト膜にパターン転写を行って、半導体装置を作製したところ、半導体基板上に形成された回路パターンの欠陥もなく、良好な半導体装置を得ることができた。
上記実施例10〜12におけるフォトマスク作製過程における電子線描画の際の電子線の加速電圧を50keV以上とした際も、遮光膜の導電性は良好で、形成された遮光膜パターンの断面形状は垂直形状で良好、80nmや70nmのラインアンドスペースパターンも良好に形成され、さらにグローバルローディングエラーは実用上許容できる数値に収まったフォトマスクが得られた。
Claims (11)
- 透光性基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクにおいて、
前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜上に形成されるマスクパターンをマスクにしてドライエッチング処理により、前記遮光膜をパターニングするフォトマスクの作製方法に対応するドライエッチング処理用のフォトマスクブランクであって、
前記遮光膜の透光性基板側におけるドライエッチング速度を、前記遮光膜の表面側におけるドライエッチング速度よりも遅くさせるようにしたことを特徴とするフォトマスクブランク。 - 前記遮光膜の表面側から透光性基板側に向かってドライエッチング速度を遅くさせるようにしたことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜は、主にクロムを含む材料からなることを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜は、更に酸素を含み、表面側から透光性基板側に向かって酸素の含有量が減少していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜は、更に窒素を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜は、表面側から透光性基板側に向かう膜厚方向の略全域に窒素が含まれていることを特徴とする請求項5記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜の上層部に酸素を含む反射防止層を形成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載のフォトマスクブランク。
- 前記透光性基板と前記遮光膜との間に、ハーフトーン型位相シフター膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載のフォトマスクブランク。
- 請求項1乃至8の何れか一に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして前記透光性基板上に遮光膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
- 請求項8に記載のフォトマスクブランクにおける前記遮光膜をドライエッチングによりパターニングして遮光膜パターンを形成した後、該遮光膜パターンをマスクにして、ドライエッチングにより前記位相シフター膜をパターニングして前記透光性基板上に位相シフター膜パターンを形成することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
- 請求項9又は10に記載のフォトマスクにおける前記遮光膜パターン又は前記位相シフター膜パターンをフォトリソグラフィー法により、半導体基板上にパターンを転写することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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