JP2003313817A - 床版防水構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋梁等の床版防水等、長期に確実な防水を要
する箇所への防水を具備したアスファルト舗装の路面構
造を提供する。 【解決手段】 コンクリート床版上に、ウレタン系防水
材層、アスファルト舗装体を積層してなる床版防水構造
造であって、前記ウレタン系防水材層とアスファルト舗
装体が熱可塑性シートを介して接合してなることを特徴
とする床版防水構造。前記熱可塑性シートとして、好ま
しくは、複数の通気孔を有するシート、発泡シートが例
示される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は新規な床版防水構造
を提供する。詳しくは、橋梁等の床版防水等、長期に確
実な防水を要する箇所への防水を具備したアスファルト
舗装の床版防水構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、橋梁等のコンクリート床版では、
雨水等の水分が侵入するとことによる劣化亀裂の問題が
生じることが言われており、防水層を介してアスファル
ト舗装材を設けた床版防水構造とすることが一般的であ
る。従来、防水層としても、舗装材と同じアスファルト
系のものが一般的である。この場合、舗装材と防水層が
同種のアスファルト系の素材であり、各層の接着性が良
好である利点を有するが、防水層としての耐久性に問題
があると言われている。そこで、近年、アスファルト系
防水層に代わる防水層として、高温の６０℃以上でも強
度を維持し、一方、低温の−３０℃以下でも弾性を維持
する熱硬化性樹脂のウレタン系防水層などが注目されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ウレタン系防水層を採用する場合の問題点として、従
来、アスファルト舗装体との接合性が不十分であるこ
と、また、その接合を行うために接着層を設ける際の施
工性に問題があることなどの問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に鑑み鋭意検討を行った結果、ウレタン系防水層とアス
ファルト舗装体との接合において、特定の樹脂シートを
利用した接着材層を設けることで、かかる課題が解決さ
れることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明
は、橋梁等のコンクリート床版上に、ウレタン系防水材
層、アスファルト舗装体を積層してなる床版防水構造で
あって、前記ウレタン系防水材層とアスファルト舗装体
が熱可塑性シートを介して接合してなることを特徴とす
る床版防水構造に存する。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の床版防水構造の基本的な
層構成は、コンクリート床版／ウレタン系防水材層／熱
可塑性樹脂シート層／アスファルト舗装体である。該床
版防水構造を得る方法としては、コンクリート床版の表
面を、通常、清掃、洗浄、乾燥後、また、必要に応じ
て、ショットブラスト処理を行った後、通常、ウレタン
系、エポキシ系、酢酸ビニル系等の樹脂からなる接着層
としての所謂プライマーを通常０．０５〜１ｍｍ、好ま
しくは０．１〜０．５ｍｍ程度塗布し、次いで、ウレタ
ン系防水層を施工する。

【０００６】かかるウレタン系防水材層としては、ウレ
タン樹脂、ウレア樹脂、ウレアウレタン樹脂等があり、
一般にＮＣＯ基を有する化合物を主とする主剤と、主剤
と反応して硬化させる架橋剤、充填材、添加剤等を含む
硬化剤との２液を混合させ、架橋硬化して防水層を形成
するものを一般に使用する。主剤としては、４，４‘−
ジフェニルメタンジイソシアネート（ＭＤＩ）のプレポ
リマー及びカルボジイミド変性体等の混合物が例示さ
れ、ＮＣＯ％が１０〜３０％程度のものが好ましい。ま
た、硬化剤としては、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリア
ミン、エチレングリコール等ジオール化合物、ポリエー
テル、アミノ化ポリエーテル等、及びそれらの混合物が
使用される。この２液混合型ウレタン系樹脂の特長とし
て、引張伸度が通常１００％以上、好ましくは２００％
以上であり、塗膜硬化速度は通常３時間以内、好ましく
は１時間以内である。該ウレタン系防水材層は、スプレ
ー塗装、ローラー塗装、刷毛塗装などによって、通常
０．３〜５ｍｍ、好ましくは１〜３ｍｍ程度の厚さで塗
布する。従来、汎用されているアスファルト系の防水層
では、０℃以下の低温下の伸びがなくなる。また、５０
℃程度の高温となると引張強度が著しく低下すると言わ
れている。これに対して、上記のウレタン系の防水材層
では、低温下も伸びを保持し床版ひび割れに追従し、ま
た、高温下での高い引張強度が維持される。

【０００７】次に、上記のウレタン系防水材層が硬化し
た後、その上に、熱可塑性樹脂シートを設ける。該熱可
塑性樹脂シートとしては、軟化点が通常５０〜１５０
℃、好ましくは６０〜１２０℃、引張伸度が通常１００
％以上、好ましくは３００％以上であり、ポリオレフィ
ン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン
系、ゴム系等で、エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶ
Ａ）やアイオノマー、エチレンアクリル共重合体（ＥＡ
Ａ）、スチレンブチレンエラストマー（ＳＢＳ）等のシ
ートが使用できる。

【０００８】従来、ウレタン系防水材層とアスファルト
舗装体を接合するために、熱可塑性樹脂の粉末ないしペ
レットをウレタン系防水材層表面に散布する方法が試み
られている。しかしながら、アスファルト舗装のために
トラックやフィニシャーが面上を走行することになるの
で、樹脂の飛散や偏りが生じ、表面に樹脂を均一に分散
させにくく、結果としてウレタン系防水材層とアスファ
ルト舗装体についての十分な接合が達成されにくい。

【０００９】これに対して、本発明での熱可塑性樹脂シ
ートによる方法によれば、均一で強固な接着層が形成さ
れるほか、施工も容易であり、作業時間も短縮すること
ができる。熱可塑性樹脂シートは、通常０．０５〜２ｋ
ｇ／ｍ２、好ましくは０．１〜０．５ｋｇ／ｍ２の量で
使用される。また、かかる熱可塑性樹脂シートの好まし
い実施態様として、複数の通気孔を有するシートが挙げ
られる。ここでの通気孔とは、孔径が通常０．０１〜２
ｍｍ、好ましくは０．１〜１ｍｍ程度ものであり、通常
０．５〜５ｃｍおきで略等間隔に設ける。かかる通気孔
により、シートを設けた際の接触面でのわずかな隙間に
由来する気泡が抜けやすくなるので、より均一で強固な
接着層の形成が期待できる。

【００１０】更に、熱可塑性樹脂シートのその他の好ま
しい実施態様として、発泡シートが挙げられる。ここで
の発泡シートとしては、密度が通常０．０１〜０．９ｇ
／ｃｍ３、発泡倍率が通常１．１〜１００倍、好ましく
は２〜２０倍のものである。この場合、アスファルト舗
装体との接触面での密着性が向上し、この場合もより均
一で強固な接着層の形成が期待できる。なお、以上の熱
可塑性樹脂シートは、施工上の観点から、ウレタン系防
水材の上にウレタン系、エポキシ系、酢酸ビニル系等の
樹脂からなる接着層を薄く塗布した後で、敷き詰める方
法が好ましい。

【００１１】以上の熱可塑性シート層の上には、公知の
構成のアスファルト舗装体が通常５０〜２００mm程度の
厚さに積層される。アスファルト舗装体の層構成として
は、基層と表層の多層構造とし、その両層との間にも、
前記と同様の熱可塑性シートを敷き詰めることにより防
水効果を更に高めことができる。そして、表層舗装体の
打ち替え改修に際しては、表層舗装体だけを切削するこ
とで床版防水層を傷つけることなく切削できる。また、
この際、再度、熱可塑性シートを設け、次いで、表層舗
装体を形成させればよい。アスファルト舗装体は、通常
１００℃以上、特に１３０〜１６０℃加熱押圧すること
で、下部の熱可塑性シートの少なくとも一部を融解さ
せ、アスファルト層、ウレタン系防水材と熱可塑性シー
ト層が接合一体化する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。 実施例１ 市販のＪＩＳ規格の舗道板（３０×３０×６ｃｍ）のコ
ンクリート表面をショットブラスト処理して表面を平滑
化し、次に、エポキシ樹脂を主成分とするプライマーを
ローラー塗布した（厚さ０．２ｍｍ）。乾燥後に常温硬
化２液型ポリウレタン樹脂防水材（商品名：エフレタン
ＥＳ）を、スプレーガンにて塗布した。この塗布した
防水層が完全硬化した後、ウレタン系接着材をローラー
塗布し（厚さ２．５ｍｍ）、次いで、接着層として、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体からなるシート（ＥＶＡシ
ート）を敷き詰めた。更に、このＥＶＡシート上に、常
法により１６０℃で加熱されたアスファルト舗装（厚さ
１０ｃｍ）を施し、本発明の床版防水構造を有する試作
品を得た。上記の試作品のアスファルト表面の中央部よ
り８×８ｃｍサイズの試験用片を切り出し、引張接着強
度とせん断強度を測定した結果を表−１に示す。

【００１３】実施例２、比較例１，２ 実施例１において、防水層とアスファルト舗装体の間に
介在させる接着層の形態を表−１のように変更した以外
は、実施例１と同様な方法で各試作品を製造し、物性を
測定した。結果を表−１に示す。なお、比較例１のペレ
ット状ＥＶＡを使用した場合は実施例と同程度の物性を
示したが、実施例と比較して過剰の樹脂量を使用してい
る。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、施工性に優れ、また、
橋梁等の床版防水等、長期に確実な防水を要する箇所へ
の防水を具備したアスファルト舗装の床版防水構造を提
供する。

フロントページの続き Ｆターム(参考） 2D051 AA01 AG01 AG20 AH02 EA02 EA06 EB06 2D059 AA14 BB39 GG02 GG37

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 橋梁等のコンクリート床版上に、ウレタ
   ン系防水材層、アスファルト舗装体を積層してなる床版
   防水構造であって、前記ウレタン系防水材層とアスファ
   ルト舗装体が熱可塑性樹脂シートを介して接合してなる
   ことを特徴とする床版防水構造。
2. 【請求項２】 ウレタン系防水材層と熱可塑性シートの
   間に接着剤層を設けてなることを特徴とする請求項１の
   床版防水構造。
3. 【請求項３】 熱可塑性樹脂シートが複数の通気孔を有
   するシートであることを特徴とする請求項１又は２の床
   版防水構造。
4. 【請求項４】 熱可塑性樹脂シートが発泡シートである
   ことを特徴とする請求項１又は２の床版防水構造。